渡辺泰子 starlight star
@GALLERY SIDE2
東京都港区東麻布2-6-5 タトルビル1F
03-6229-3669
10/2(土)〜10/30(土)日月祝休
11:00〜19:00
Yasuko Watanabe starlight star
@GALLERY SIDE2
2-6-5-1F,Higashi-Azabu,Minato-ku,Tokyo
03-6229-3669
10/2(Sat)-10/30(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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GALLERY SIDE2での渡辺泰子さんの個展です。
渡辺さんというとまず思い浮かべるのがフェルトを用いてシルエットを切り出し空間を作る作品ですが、今回はそのフェルト作品をお休みし、感覚的なコントロールよりもむしろ身体的なアプローチを強く感じさせる作品が展示され、なんとも不思議な雰囲気がそこにもたらされているように感じられます。
両面に配色が施された紙を破り、揉んで丸めただけ、という実に、というか過剰にシンプルな行為で作られた作品。
しかし、丸められて寄ったシワや破られた部分の縁など、その質感によってもたらされる表情自体になんともいえない女性的なかわいらしさがあるような印象というか、軽やかに華やぐような感覚を届けてくれているように思え、不思議と楽しい気分に満たされます。
鮮やかな色彩は壁面や台に反射して緩やかな色彩の影を導き出し、それがその作品の、壁面を通じての空間への作用を示しているように感じられます。
また、そのおそらく道具を用いずに手で直に行なわれるプリミティブな行為によって導き出される造形は、これまた不思議なのですが風景の稜線などの具体的なイメージをスムーズに誘い出してくれる、もとい自然と具体的なイメージを思い浮かべているのも興味深く感じられます。
白い台に置かれた作品、両面がそれぞれ濃い緑と黄緑という比較的自然をスムーズに連想させる色であることもあってか、横たわる山の稜線のイメージが浮かんできます。そして一回ぐにゃりと捻られた部分が、空間としてのシュールさを、山並みみに見えるほどに壮大な感覚を放ちながら、モノとしての生々しい存在をも晒しているように思え、そのギャップもまたいろんなイメージの想起を促してくれます。
映像作品も実にシンプルな行程を記録した作品で、それぞれ天地が反転されたモニターには天地の両方から水色と黄色とが迫っていき、ある瞬間に混ざり合って、というなんともユニークな抽象性がそこから醸し出されているように感じられます。
実に短い映像が淡々と展開されていっています。ふたつの色が接触してそこから異様に濃い色彩があらたに導き出されている様子を捉えた映像は、どこかユーモラスでもあり、また同時に鋭く知的なシュールな抽象世界を現しているようにも思えます。
ドローイング作品も楽しく、また色使いなどの独特のかわいらしさもそこに備わっているように思えます。
それぞれ、波打つような感じに重なる絵の具の風合いが、山並みや波を連想させてくれます。テクスチャー自体の物質感と直接的に感じ取れる抽象性、そしてそこから届けられるイメージの具体的でキャッチーな感触との関係性も楽しいです。
加えて、その静かに広がる色彩の鮮やかさも印象的です。
さまざまなメディアで展開されるクリエイションは、イマジネーションと行為との距離を縮め、その瞬発性や反射神経が全面に押し出されているような印象で、そのことはそれぞれの作品に色濃く反映されているように思えるのですが、同時にキャッチーであるというか、観る側の自然な感覚を心地よく刺激してくれるようなアプローチが自然に織り込まれているようにも感じられるのが興味深く、そこに渡辺さんの独自性を感じる次第です。
紙をちぎって丸めた作品は印象として比較的フェルトの作品と近い感じもするのですが、前者の抽象的、身体的な感触と後者の相当に正確にモチーフのシルエットが切り出された具象性とが違和感なくひとりのアーティストのクリエイションとして通じ合っているのように思えることにも感じ入ります。


