《news》

《upcoming exhibiton》

《current exhibiton》
静物2020/paper works
参加アーティスト:足立真輝、後藤勇治、坂本睦美、佐藤明日香、勢藤明紗子、
能條雅由、村尾里奈、村松英俊
@ex-chamber museum
〒101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 205a
070-5567-1513
9/12(土)〜9/27(日)月火水・9/17休(祝日開廊)
木金:14:00〜18:00、土日祝:12:00〜18:00
プレスリリース

Still Life 2020/paper works
artists: Masaki Adachi, Yuji Goto, Mutsumi Sakamoto, Asuka Satow, Asako Setoh, Masayoshi Nojo, Rina Murao, Hidetoshi Muramatsu
@ex-chamber museum
3331 Arts Chiyoda 205a, 6-11-14, Soto-Kanda, Chiyoda-ku, Tokyo, Japan
81-70-5567-1513
Sep.12(Sat)〜Sep.27(Sun) closed on Mondays to Wednesdays (Holidays are open, Sep.17 is closed)
Thusdays and Fridays:14:00〜18:00, Saturdays, Sundays and Holidays:12:00〜18:00


《past exhibiton》

ex-chamber museum
http://ex-chamber.seesaa.net
〒101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 205a
google map
tel: 070-5567-1513
mail: exchamber@yahoo.co.jp
インフォメーション

ex-chamber museum
3331 Arts Chiyoda 205a, 6-11-14, Soto-Kanda, Chiyoda-ku, Tokyo, Japan
google map
mail: exchamber@yahoo.co.jp
information

artists
伊藤航 Wataru Ito
小野川直樹 Naoki Onogawa
小坂学 Manabu Kosaka
後藤勇治 Yuji Goto
坂本睦美 Mutsumi Sakamoto
佐藤明日香 Asuka Satow
勢藤明紗子 Asako Setoh
田島大介 Daisuke Tajima
鶴友那 Yuna Tsuru
照井譲 Yuzuru Terui
平山紗代  Sayo Hirayama
山口英紀 Hidenori Yamaguchi

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2011年05月02日

〜4/28のアート巡り

〜4/28のアート巡り mirror

■3/24 Thu
Eriko Nagamasu
ギャラリー坂巻
東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB2F
03-3563-1733
3/22(火)〜4/2(土)日祝休
12:00〜19:00
長増恵理子110322.jpg

版画作品をメインにドローイングも数点という展示構成で、可憐な女性の姿に蜂の巣の有機的な紋様を織り込んで独特の妖しげな世界が紡ぎ上げられていたのが印象的です。
こまやかな描写で奏でられる繊細さがしっとりとした大人びた気配となって静かに心に忍び込んできます。


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大判のリトグラフ作品。3人の女性の頭髪で大きく編まれた三つ編みが竜の尾のようなどこかおどろおどろしい風合いをその可憐な情景にもたらし、また纏う衣服の表層がびっしりと蜂の巣の紋様で覆われていることも、独特の危うい世界観をそこに引き出しているように思えます。
人物の肌の部分が黒で表現されていることで匿名性が強められ、そのことが他の要素の有機的な感触をより押し出してもいます。


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頭髪のシルエットを蜂の巣の紋様であしらった小品は、今度は遊び心が小気味よく放たれます。版画作品の落ち着いた風合いが画面に現れるモチーフのグロテスクさを程よく中和し、紋様の美しさもスムーズに感じさせてくれます。


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ドローイング作品では、その蜂の巣の引用と女性をモチーフとすることを保ちつつ、コラージュ的な手法を取り入れるなど実験的なアプローチも取り組まれ、また版画作品と比較しても手仕事の割合が上がることもあり、よりその艶かしい感触が強く届けられているようにも思えます。


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高木智広+櫻井りえこキュレーション 激凸
unseal contemporary
東京都中央区日本橋堀留町1-3-18 堀一ビル3F
03-5641-6631
3/12(土)〜4/9(土)日月休
12:00〜19:00
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開催前から話題となっていたこの企画、尋常でない感じは参加作家の数とバリエーションの豊かさからも伝わってきていて、一体どんな感じになるのだろうといろんなイメージを持って展示に伺ったのですが、印象として、むしろ拍子抜けするくらいに整理されたスマートなインスタレーションが構築されていて、展示タイトルの言葉の響きとは裏腹の気配に逆に唸らされた次第です。
参加作家数だけの個展を観ているような感覚。互いの作品との衝突は限りなく抑えられ、これほどの数の作家の作品がひとつの空間にぎっしりとおさめられているにも関わらずそれぞれの世界観とじっくり対峙できるような構成になっていたことに感嘆させられました。
特に強く印象に残った作品は、まず横野健一さんの赤と白の展開、このふたつの色彩が交錯し合うことで生み出される鋭いカオスがモチーフのストリート感にいっそうの斬新さをもたらしているように感じられました。そして、松山賢さんの新展開、直前の個展で発表された画面を彫った作品とは逆に盛り上げを駆使して画面に彫るのとは逆の立体感を出し、この両面の展開がいっそうの平面における表現の幅をユニークな方向から押し拡げているような感覚が痛快でした。



鴻池朋子展「隱れマウンテン 逆登り」
MIZUMA ART GALLERY
東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
03-3268-2500
3/9(水)〜4/9(土)日月祝休
11:00〜19:00
鴻池朋子110309.jpg

いよいよこの天井高5mを誇る空間の本領がダイナミックに発揮されてきたことを実感させられる、圧倒的なインスタレーション。縦に重ねられた二段の襖に描かれる巨大な絵画、そのサイズが導き出すスケール感だけでもう心がいっぱいになりそうなほど。
鴻池さんのクリエイションはひとつひとつの展示を体感してさまざまなイメージを獲得し、それを積み上げていきながら次の展示ではそこまでの経験を踏まえて新たなイメージを得ていき、観る人ひとりひとりの世界が広がっていくような印象をあらためて感じた次第です。繰り返し登場するお馴染みのキャラクターが時間と空間を自在に行き来し、内省的な深まりと外への膨張とが同時に引き起こされていきます。当初は別々のように思っていた物語もだんだんひとつに混ざり合っていく方向へと向かっているような感じも興味深く思えます。



■3/26 Sat
安部典子 “TIME LAG” -Linear- Actions Cutting Project 2011
SCAI THE BATHHOUSE
東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
03-3821-1144
3/25(金)〜5/7(土)日月祝休
12:00〜19:00
安部典子110325.jpg

言うまでもなく僕はこういう細かい仕事の集積で作り上げられるクリエイションが大好きで、安部さんの作品も21_21で初めて拝見したときからその世界観に一気に入り込み、その後開催されたグループ展での展開のバリエーションのユニークさにも感じ入ったということもあり、今回の個展も「個展」というだけでいったいどのようにあの空間を紙の作品でおさめてくるかがとにかく楽しみで。
で、大きな期待を胸に拝見し、まず感じたのが「仕上がりが粗いのではないか?」と。施されるカットは基本的に感覚的で有機的、小さな作品であってもあの枚数の紙をカットするだけで相当に難儀な作業であることを踏まえてもグルー処理なども含め、やや粗さが目立っているように思えます。
しかし逆に、この表現で向かわんとする目標というか、展開していく方向性がいわゆる作り込みの部分ではないようにも感じ取れ、そのことがむしろ興味深く、そしてリスペクトすべきことのようにも思えてきます。
台上に設置される小品もあるものの、今回の個展ではこの容積に余裕のある空間に対し、空間的な余白を活かす展開のみではなくスケールの大きさを持って展示構成を挑まれたような印象が強く、つまりは大きな作品を発表していてその壮大さにはさすがに圧倒された次第。ディテールこそ粗さが感じられはするものの、むしろ限られた時間でいかにダイナミックな表現を、紙を切るという分量相応の時間が必要な作業によって創出していく、その姿勢に大いに感じ入ります。



■3/30 Wed
林茂樹展「Accelerated Ceramics」
新宿高島屋10F美術画廊
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2
03-5361-1111
3/30(水)〜4/11(月)
10:00〜20:00(土:〜20:30、最終日:〜16:00)
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宇宙服を纏う赤ちゃんの作品の印象が強い林茂樹さん。これまでは同一の造形のバリエーションのみを拝見してきたのですが、今回は未来的なバイクを駆る子供がモチーフとなり、これまでの直立の像の落ち着いた雰囲気から一変、展示されていた作品はすべて同じかたちながらもそこにもたらされる動きのスピード感溢れるイメージがとにかく痛快で。
洗練された造形の美しさも言うまでもなく、さらにセラミック特有の深みもしっかりと併せ持ち、独特のしっとりとしてかつフワフワとした感覚が楽しく思えます。
もっといろんなバリエーションを観てみたいです。



「NOART」
TAKA ISHII GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-5F
03-5646-6050
3/30(水)〜4/28(木)日月祝休
12:00〜19:00

震災以降さまざまなかたちでチャリティーを絡めた展示が行われ、それぞれに接していろんな想いが浮かんできます。
心意気に共感するものからどこか胡散臭い感じがしてしまうものなどあって、しかしどれが正しいとか分からず、そして完全に正しいものなどないよなぁ、と思ったりもして・・・。
そのなかでこのTAKA ISHII GALLERYが急遽行ったこの企画、その姿勢にもっとも共感を覚えた次第です。
プレスリリースにも書かれていた通り、ホントにギャラリーにはひとつの募金箱のみが設置されていて・・・しかし、それ自体が作家の手によるもの、ということが一目で分かるもので、そのことが何だか嬉しいというか、このタイトルを謳っておきながらも結局美術がそこにあること(そもそも白く塗られた壁の空間自体が美しく、そこから感じるものも、得るイメージも充分にあると言える思うのです)やはり美術と関わり続けていかなければいけない、ということを静かに宣誓しているように思えました。



島嵜りか展 〜東京物質主義的女子男子〜
GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 吉井ビルB1F
03-5524-1071
3/28(月)〜4/2(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
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以前拝見した個展が印象深い島嵜りかさん、今回は描く主題のバリエーションに広がりをもたらし、もとよりの巧みな描写でそれぞれのアイデアのユニークさが鋭くコミカルに表現されていたように思えます。
熨斗袋をモチーフとしたシリーズ、女性の頭髪の描写の美しさにみとれます。


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祝儀袋、香典袋とそれぞれの空気感がユーモラスに表現されていきます。


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きらびやかな装飾にまみれる武者。
甲冑の豪勢さはもとより、そこに宝石貴金属がふんだんに挿入されて、勇ましさとは裏腹の過剰に洒落たどこかズレた感覚が楽しく、そしてひたすらに細かい描写にも感じ入ります。


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お馴染みの金魚とがま口とを合わせた作品も。
ぎらぎらした感触が画面から溢れてきてその豪勢さに圧倒されます。


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さまざまな方面へと向かうアイデアがそれぞれ高い写実性で描かれてスマートにそのイメージが伝わってきます。


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■4/1 Fri
コバヤシ麻衣子個展「MIND in a Gap」
表参道画廊
東京都渋谷区神宮前4-17-3 アークアトリウムB02
03-5775-2469
3/28(月)〜4/9(土)日休
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
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前回のhpgrp gallery 東京での個展では大きな作品をずらりと並べ、かわいらしいキャラクターを描く作品で重厚な雰囲気を作り出していたコバヤシさん、今回はサイズや質感などさまざまなバリエーションを駆使して、いろんな雰囲気をひとつの空間に届けていたように思えます。


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擬人化された犬、そのどこか淋しげな佇まいに意識が惹かれます。
無垢な表情や華奢な体つき、しかし目に宿る感情は純粋さを伴いながら深くて、それが独特の気配となって漂ってきます。


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大きな画面に1匹だけ。
画面に乗る筆の痕跡から醸し出てくる静かな焦燥感、かわいいキャラクターを描くはずなのに塗る行為の生々しさは異様なほどに伝わってきて、それがそこに横たわる犬の無垢さと不思議な響きを生み、濃厚な色彩でありながら朧げな、儚げな風合いもそこからゆるゆると立ちのぼってきます。


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ドローイング作品も印象的です。
さまざまなシチュエーションがシンプルに描かれ、それぞれの画面の余白もしっかりと気配に作用し、登場する犬の表情や仕草が背景を染めていきます。


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賑やかでもあり、静かでもあり。。。
なんとも不思議な雰囲気がさまざまなかたちで紡ぎ出されていて、そのひとつひとつに対する心の距離感もそれぞれに異なり、その差異がいっそうこの世界観を豊かなものにしているように思えます。


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阿部岳史展
MUSEE F
東京都渋谷区神宮前4-17-3 アークアトリウムB02
03-5775-2469
3/28(月)〜4/9(土)日休
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
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さまざまな色が塗布された小さなキューブを画面に整然と並べ、それによって風景や人物像を表現していきます。手法のユニークさが際立つのと同時に、その実余白というか相当に要素の密度が薄いことが何だか意外な感じで、そして何かに見えてきたときの何とも言えない嬉しさが痛快です。


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黒の支持体を採用した作品、キューブに乗る色彩のエッジもいっそう鋭く放たれます。


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平面のドットではなく、画面から立体的に盛り上がるキューブで表現されていることが、角度によって作品にさまざまな表情をもたらします。正面よりもやや斜めから見たほうがそのぶん画面に色彩が溢れ、それによってより具体的なイメージが届けられるのも面白いです。


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逆に近付くとそれが何か分からなくなり、その素材感、モノとしての質感がぐんと立ち上がってきます。


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■4/2 Sat
坂上チユキ「博物誌」
MEM
東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F
03-6459-3205
53/26(土)〜4/24(日)月休
12:00〜20:00
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ひたすら細かい描写で描かれるエキゾチックな世界。
ちいさな画面に収まるモチーフは高密度、所々に読めそうで読めない文字のような紋様も随所に織り交ぜられ、なんとも不思議な雰囲気が立ちのぼっているように思えます。


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時空をさかのぼっていくような理知的な妖しさがそれぞれの画面から奏でられます。
多くの作品が青い線で描かれ、それがもたらす窮屈なほどの統一感が、それぞれの作品のバリエーションを引き立たせ、ひとつひとつの画面からさまざまなイメージが得られていきます。


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インスタレーションも巧みで、額におさめられた絵が散りばめられたり凝縮されたりしながら有機的なリズムが空間全体に導き出されていたのも印象的でした。それによって、独特の深遠な妖しさもいっそう濃厚の表出されていたように思えます。


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異なる色彩を用いた作品も。
要素が多い分、ひとつの世界としての強度がそこにもたらされ、有機的に紡がれ展開されるその緻密な情景に意識もどんどんとのめり込んでいきます。


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また、黒のみで描かれた作品もぽつねんと。
青い線のふわりとした感触と比べてさらに大人びた落ち着いた印象が届けられるのも興味深く思えた次第です。


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■4/8 Fri
project N 45 クサナギシンペイ
東京オペラシティアートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2
03-5353-0756
4/9(土)〜6/26(日)月休(5/2開館)
11:00〜19:00(金土:〜20:00)
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京都での個展、そして今年のVOCA展でも印象に残るクサナギシンペイさんがオペラシティのproject Nに登場。これまでで最大サイズの大作から小品までがずらりと長い空間の壁面に配され、それぞれに用いられる色彩や要素が何とも儚げで不思議な世界へと誘ってくれます。
ぱっと目にした瞬間にはなかなか捕らえられない、ただ支持体に滲む色が重なっているような作品に戸惑いも覚えるほどですが、ひとたび何かの要素や配置に奥行きを見いだすとそこから絵のなかの情景がさらに遠くへと広がり、また他の要素もれに呼応して繊細で麗らかな気配をその世界に溢れさせていきます。たった2本の縦の線、その微妙な長さや太さの差異が、はたまた大きく緩やかに靡く弧が、さまざまな世界をひとつの画面に引き出し、いくつもの空間がそこに重なってそ朧げで繊細、そして不思議な時空を観る側の感覚が構築していく、そういう感触がとにかく楽しくて痛快です。
もっとも大きな作品は用いられる支持体が漂白されておらず、全体的にくすんだトーンが広がっていてその情景を捕らえるのにやや時間がかかってしまうのですが、そのぶん何かが奥行きに見えてきたところからさらに深い世界へと意識が沈むように導かれていき、とにかく心地よいです。



■4/9 Sat
下平晃道 個展「ブルースとジュース」
waitingroom
東京都渋谷区恵比寿西2-8-11 渋谷百貨ビル3F
03-3476-1010
4/9(土)〜5/14(土)金土月のみ
13:00〜19:00(月:17:00〜23:00)
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展示空間を俯瞰してまず、その明るくエネルギーに満ちた色彩が溢れている情景にポジティブな高揚とどこかほっとするような感覚が湧いてきます。
むしろアグレッシブなマチエルで展開される奇妙な情景、揺らめく人のかたちのシルエットが絵のなかの世界に独特の賑々しくピュアな、不思議な生命の感触をもたらしているように思えます。


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粗い画面に収まる要素の多さも賑々しい雰囲気へと転化して、そこに現れる人の姿が寧ろ死を予見させるようなものであっても、グロテスクさと背中合わせでどこかユーモラスに感じられ、またひたすら明るい色彩が用いられることで麗らかな空気感さえ届けられているように思えます。


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築かれる情景は上昇気流に満ちあふれます。
揺らめくモチーフが、プリミティブな色使いと筆さばきで描かれ、また感覚を解放したような描写が繰り出されることでおおらかな気の流れがそこに生み出されているような印象です。


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キャンバスの作品からオンペーパーのドローイングmさらにさまざまなモノを空間に配して、いっそう賑やかな世界がこの空間に導き出されています。


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■4/16 Sat
伊藤航展 Vegetables with feelings
gallery元町
神奈川県横浜市中区元町5-216
045-663-7565
4/11(月)〜4/17(日)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
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銀座での個展を終えて間を置かずに開催された伊藤航の今度は横浜での個展。
今回は食物を主題として採り上げ、そこに紙であることを敢えて感じさせるような要素を掛け合わせてユニークな世界を紡ぎ上げていくような展開が行われていた次第。


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モチーフの有機的な造形が例によってペーパークラフトでリアルに再現されていきます。


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ふたつの要素を掛け合わせる展開もユニークで、そう来たか、と思わせるものも。葉の付いた人参、複雑な葉はもちろん、律儀に細かい根までも表現されています。
そしてその先端が紙テープになっているあたりがまたユーモラスです。


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緻密さでは群を抜いていたトウモロコシ。


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レンコンも、穴の部分のその穴の形状が異様にリアルです。


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さまざまな技巧を駆使してその表層の質感を表現していき、また前回の個展などでの硬いモチーフから一変してひたすら有機的なかたちもしっかりとその造形を掴んで再現していく展開に唸らされた次第です。


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西澤諭志展「ドキュメンタリーのハードコア」
SANAGI FINE ARTS
東京都中央区日本橋茅場町2-13-8 第一大倉ビル1F
03-5640-6882
3/25(土)〜4/16(土)日月祝休
12:00〜19:00
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一見して何の変哲もない、日常的な情景を捕らえたと思しき写真作品、しかしじっくりと観ていると所々に決定的なズレが散見され、一体どうなっているんだろうと気になり始め、どこからだんだんと精巧で奇妙な空間へと誘われていきます。
撮影されているのは実際に、職場や自宅などむしろ身近すぎるような光景なのだそうですが、それを分割して撮影して再構築、ひとつの画像として表出した写真作品とのこと。自宅の窓であれば手すりが微妙に、しかし決定的にズレていたり、仕事場では道路に停車している車両が分断されていたりと、時間の経過が感じ取れるような部分が硬質なアクセントとなって静かに迫ってきます。
知りすぎているような情景をモチーフに、だからこそ当たり前のように見過ごしてしまう気付き得ない変化を捕らえ、それをシームレスに提示していく展開に深みを感じます。



■4/28 Thu
Hans Josephson
TOMIO KOYAMA GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-7F
03-3642-4090
4/23(土)〜5/28(土)日月祝休
12:00〜19:00
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このスペースがこれほど暗く重い色彩で満たされたことはないのだろうか、と思うほどにこれまでとは違う雰囲気が空間にどっしりと溢れています。どこまでも朴訥とした、素朴極まりない造形。いったいいつの人が作ったのだろう、まるで何千年も前からあったんじゃ、という想像も浮かんでくるほどに粗野で力強い陶芸作品がずらりと並び、俯瞰したときに体感する得難い温もりにやさしい気分が広がります。牧歌的、長閑な気配が心地よいです。
そして至近で眺めると重たい色彩と思っていたなかに様々な色が潜んでいて、またぼんやりと捕らえていた風合いがいきなり金属的な光沢を漂わせ始めたりと、さらに深く奥行きのある世界へと意識を誘ってくれます。いつまでも接していたい優しさが横たわっているように感じられます。



市川孝典『FLOWERS』
NADiff Gallery
東京都渋谷区恵比寿1-18-4-B1F
03-3446-4977
4/28(木)〜5/29(日)月休(祝日の場合開廊、翌火休)
12:00〜20:00
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線香の炎で描くリアルなモチーフ。今回は蝶や花などをモチーフとした作品が発表され、市川さんの世界観に備わる独特の色香のようなものがそこから漂いくるような感じで、それが焦げた紙のどこか朽ちたような風合いと相まってさらにスリリングな気配を届けます。さらに興味深く感じられたのが、今回の作品ではその線香の炎で要素が描かれた紙が重ねてパネルに張られているものがあり、それによって導き出される今までにない物理的な立体感、テクスチャーの独創性がさらに際立って届けられるような、それまでの緊張感に加え、更なる複雑さをもたらす斬新なアプローチに大いに唸らされた次第です。
posted by makuuchi at 05:33| Comment(0) | TrackBack(0) | mini review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月22日

〜3/20のアート巡り

このたびの震災に遭われたみなさまへ、心よりお見舞い申し上げます。
ブログの更新もしばらくお休みしていましたが、連休明けの本日より再開いたします。

〜3/20のアート巡り mirror

■3/17 Thu
イケヤン☆ 2010-2011 シーズン・オーラス展!
neutron tokyo
東京都港区南青山2-17-14
03-3402-3021
3/16(水)〜4/3(日)月休
11:00〜19:00(最終日:〜18:00)
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1階から3階まで空間いっぱいに溢れる陶芸作品、その賑やかさが嬉しいです。
インスタレーションも楽しい1階では金理有さんの作品の重厚な存在感が際立ちます。やや暗い空間に聳える妖しくもどこかユーモラスさをたたえ、そして荘厳な造形が力強く迫ってきます。
田中雅文さんのブロックを積み上げるような展開の作品も興味深いです。土の素材感が醸し出すぬくもりと、造形の幾何学的なリズムとのバランスが絶妙で、新鮮な面白さを届けてくれているように思えます。
他にも桑田卓郎さんの鮮やかな色、青木良太さんの孤高などなど、ひとつひとつが味わい深く、さまざまな見所に溢れています。



関智生 Real/Red vol.2
TOKIO OUT of PLACE
東京都港区南麻布4-14-2 麻布大野ビル3F
03-5422-9699
3/11(金)〜4/10(日)月火水祝休
12:00〜19:00
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アートフェアなどで拝見していた関智生さん、個展でようやく初めて拝見することができました。
支持体に乗るさまざまなテクスチャーの「赤」は、引いた距離で眺めるとひとつの色彩でありながらも近付くにつれてさまざまな表情が現れてきて、そのうねりに引き込まれます。
コンパクトなサイズの作品は実際の風景を見ながら描かれ、大作は撮影された風景の画像を画面に投射してトレースしていったものとのことで、それぞれのテンションの差異も興味深いです。



SPRING GROUP SHOW 稲岡美早子/勝本みつる/牡丹靖佳
MA2Gallery
東京都渋谷区恵比寿3-3-8
03-3444-1133
3/16(水)〜4/10(日)月火祝休
12:00〜19:00
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タイトルに並ぶ3名の日本人作家をメインに据えたグループ展。
初めて拝見する稲岡美早子さんの作品のユニークさ、そこから醸し出されている妖しい、そして澄んだ緊張感に魅せられます。奇妙なハイブリッドの生物、その仕草。2回に展示された銀色の造形。それぞれ素材のかたちをダイレクトに活かされ、そのことがもたらす独特の深みが印象に残ります。
大阪での個展を終えたばかりの牡丹靖佳さんも新作を発表、そこに現れる意外な奥行き感に興味深さを覚え、静かなユーモアが淡々と奏でられる勝本みつるさんの作品に惹かれ...それぞれの作品の距離感、絶妙なバランスで互いを干渉し合わない感じも心地よく思えます。



芦田尚美個展「AMETSUCHI HUT」
object by gallery deux poissons
東京都渋谷区恵比寿2-3-6-1F
03-5795-0451
3/11(金)〜3/27(日)月休
12:00〜20:00
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陶芸のぬくもりが満ちるかわいらしい器や造形がガラス棚にずらりと並んで、眺めているだけでほっこりとした気分に浸れます。
蓋の上にちょこんとのるクマのユーモラスな佇まい、釉薬による瑞々しい仕上がりによってそのかわいらしさに艶やかさが重ねられ、ころころと心も軽やかに。
ひとつひとつの器に文字で中身が指定されている調味料入れも文字の感触が楽しかったりと、さまざまな遊び心が行き交うひとつの世界が痛快です。



帰ってきた りったいぶつぶつ展 〜現代作家による立体アート〜
Bunkamura Gallery
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
03-3477-9174
3/18(金)〜3/29(火)
10:00〜19:30
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初日に伺うことが難しかったこともあり、設営中にお邪魔してきました。
とにかく楽しい空間、タイトル通りに立体作品がずらりと並び、バラエティに富んだ構成が楽しさを加速させてくれます。ホントに共通するのが「立体である」ということくらいで、その解釈も実に幅広く、作品やアーティストごとにさまざまなイメージが浮かんできます。初めて拝見する作家の作品も少なくなく、新鮮な刺激にも溢れています。見応えのある展示が出来上がっているように思え、期待も高まります。あらためて伺うのが楽しみです。



■3/19 Sat
山本太郎個展「古典 -the classics- チェリー」
imura art gallery | kyoto
京都府京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31
075-761-7372
2/12(土)〜3/19(土)日月祝休
11:00〜19:00
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東京の第一生命ギャラリーで展示された作品に新作を加えた構成、空間が異なることで一度拝見しているそれぞれの作品が新鮮な表情を見せてくれていました。特に歩道のラインを複数の画面を繋げて表現した作品が、こちらでは2段重ねで展示されていて、その情景は本来想定されたかたちではないものの、平行に走る白線とそこに展開される物語性が異なるかたちで俯瞰できたのが貴重に感じられました。
新作の屏風作品での賑々しい情景は、山本さんらしさが溢れているように思えます。



Stephan Balkenhol
Tomio Koyama Gallery Kyoto
京都府京都市下京区西側町483
075-353-9992
2/19(土)〜3/19(土)日月祝休
11:00〜19:00

ザクザクとした彫り痕が生々しいバルケンホールの木彫作品。アグレッシブな表面の仕上がりが放つアバンギャルドさと、それとは裏腹に鮮やかな彩色などや臨場感溢れる造形により、圧倒的にポジティブでポップな雰囲気が作品から届けられるのが何とも痛快です。表現される活き活きとした人物の仕草、佇まいに楽しい気持ちが膨らんでいきます。
一度目にすると忘れられない、再び出会えたときにすぐにそれと分かるバルケンホールのテクスチャーが明るい空間で体感できたのが嬉しいです。



梶原航平「Wildfire」
児玉画廊|京都
京都府京都市南区東九条柳下町67-2
075-693-4075
2/26(土)〜4/2(土)日月祝休
11:00〜19:00
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昨年の個展での大作群も印象に残る梶原さん、間隔をそれほど置かずに開催されている今回の個展では比較的コンパクトな作品で展示が構成され、また描かれるモチーフやテーマにも幅広いバリエーションが展開され、興味深い世界が繰り広げられています。創造性が漲るストローク、それらが放つ闊達な感触に煽られ、また意外なモチーフをユニークな構図で取り込んだ作品が醸し出す濃厚な世界観など、得難いイメージも多く届けられます。



Kodama Gallery Project 27 杉本圭助「rules」
児玉画廊|京都
京都府京都市南区東九条柳下町67-2
075-693-4075
2/26(土)〜4/2(土)日月祝休
11:00〜19:00
杉本圭助110226.jpg

東京のスペースで開催されたグループ展でまず拝見している杉本さんの個展。ひとつの空間に注ぎ込まれているさまざまなかたちのイメージ、メディアの選択も含めてのバリエーションの広さにも感じ入ります。抽象性の高い展開が繰り広げられていて、しかしそこに備わるパターンが独特のリズム感を紡ぎ出し、徐々にその気配へと誘われていきます。オープニングで行われたパフォーマンスの残り香、それ自体は淡い痕跡であるにも関わらず、その妖しさは相当に濃厚です。



グループ展「UNDULATIONISM (波動主義)」
MORI YU GALLERY KYOTO
京都府京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19
075-950-5230
3/4(金)〜4/30(土)日月祝休
12:00〜19:00
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同ギャラリーお馴染みのアーティストに加え、初めて紹介されるクリエイションも名を連ねるグループショー。なかでも新作を発表されている小沢さかえさんと、その初めてのアーティスト、浦郷仁子さんの作品の新鮮な世界観に惹かれます。
小沢さんはこれまでの作品では豊かな時間をひとつの画面に収めたような印象だったのが、今回は寧ろ瞬間を描いたような風合いなのが印象的。浦郷さんはさまざまな筆致とかたちとがひとつの画面に織り込まれて深さと刹那的な感触とが重なる抽象世界が作り上げられています。



outside and the insideU 小林亜有美・山下春菜
O Gallery eyes
大阪府大阪市北区西天満4-10-18 石乃ビル3F
06-6316-7703
3/14(月)〜3/19(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
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個展も拝見している山下春菜さんの新たな展開が興味深いです。
これまでは盛られた料理を濃厚な色彩とテクスチャーで表現された作品を発表されていましたが、今回は水彩に通じる風合いをキャンバスに展開、白が多く表面に現れて爽やかな感触が現れているのが印象的です。


山下春菜_14.JPG

山下春菜_13.JPG 山下春菜_12.JPG

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白が増えたことで全体的な色調のイメージに大きな変化が生まれているのですが、一方でストロークやそれによって導き出される色面にこれまでの山下さんらしさがしっかりと現れているように感じられるのも嬉しいです。描かれている場面は秋、しかし色彩が春めいていて、そのバランスも楽しく思えます。


山下春菜_10.JPG 山下春菜_09.JPG 山下春菜_08.JPG 山下春菜_07.JPG

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軽やかな感触がひときわ鮮やかに感じられます。そこに描き込まれる細やかな景色の表情にも魅せられます。これまでにない瑞々しさが、これからどんな風景や情景に活かされていくかも楽しみです。


山下春菜_05.JPG 山下春菜_04.JPG 山下春菜_03.JPG 山下春菜_02.JPG

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上須元徳展 "RE: Assemble"
YOD Gallery
大阪府大阪市北区西天満4-9-15 第一神明ビル
06-6364-0775
3/1(火)〜3/26(土)日月祝休
11:00〜19:00
上須元徳110301.jpg

人口建造物などを硬質に、幾何学的な構造をストレートに描く作品を拝見し、その独特のリアリティが痛快だった上須さん、今回の個展では発表される作品全てがモノトーンで統一されたことでクールさや硬質さがさらにも増して届けられています。さらに、人工的なモチーフは寧ろ曲線が印象的なものが選ばれ、一方で植物をその切れのある写実性で緻密に表現していて、その世界のシャープさもさらに際立っているように思えます。



福重明子展「Goahti(ゴアティ)」
The Third Gallery Aya
大阪府大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル2F
06-6445-3557
3/1(火)〜3/19(土)日月休
12:00〜19:00(土:〜17:00)
福重明子110301.jpg

シルクスクリーンプリントと細密描写とで繰り広げる妖艶な情景群。細やかな描写がひとつの画面に重なって不思議な奥行きが作り出されています。
カラフルな色彩が収められる作品のフワフワとした浮遊感、淡い色調に黒の線が乗る展開での硬質な静謐、それぞれが醸し出す気配の微妙な違いにも魅せられます。また、黒の描写が重なる作品ではその描かれる部分の細やかさが切り絵のようなテイストも生み出していて、その感触にも意識が引き込まれていきます。



荒木由香里展「CONSTELLATION」
studio J
大阪府大阪市西区新町3-14-8
06-6110-8508
3/19(土)〜4/30(土)日月火休
13:00〜19:00
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さまざまな素材を組み合わせて独特の女性的な世界を紡ぐ荒木由香里さんの個展。今回もバラエティに富んだ作品が配され、そのひとつひとつがコンパクトでありながら深く濃い気配を静かに、しかし程よく華やかに奏でています。
テーブルに乗る立体作品のユニークな賑々しさ、赤い素材のみで構成された、天上から吊るされた作品の存在感の大きさなど、いろんなテンション感がひとつの空間に交錯しています。



■3/20 Sun
松井沙都子展『Phantom hides on the wall』
neutron kyoto
3/8(火)〜3/27(日)
11:00〜23:00(最終日:〜21:00)
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線描が多用されていたこれまでの作風から、写実的にウサギなどのシルエットを表現し、それらを抽象的にひとつの画面に織り込んでいく展開へと変化が見られるのが興味深いです。広い画面に妖しげなかたちの色面が広がり、そこに隠されるようにモチーフが描かれていたり、またレイヤーの構成もいっそう大胆に感じられます。支持体の板目が活かされる作品も印象的です。
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2011年03月10日

〜3/7のアート巡り

〜3/7のアート巡り mirror

■2/26 Sat
笠井麻衣子「Place no one knows」
YUKA CONTEMPORARY
東京都文京区関口1-30-9
03-5272-2476
2/26(土)〜3/26(土)日火休
11:00〜19:00
笠井麻衣子110226.jpg

昨年の個展も印象に残る笠井さん、今回はそれ以降に制作された作品で展示が構成され、短い期間で変化が感じられるのが興味深いです。
澄んで弾けるような白を下地に、その上に衝動的、刹那的な筆致で描き上げられるさまざまな場面。そこに登場する女の子の表情が今まで以上に具象的に描かれているような感じが描かれる世界への入り口となっているような感じで、すうっと鮮やかな気配へと意識が入り込んでいきます。
独特の色使いは健在、さらに活き活きと、そして作品によっては沈むような静かな気配が横たわっていたりと、バラエティに富んでいる様子にも感じ入ります。



下田真由美 Biginning=Afterimage
Ohshima Fine Art
東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第三ビル3F
03-3235-2271
2/19(土)〜3/12(土)日月火祝休
13:00〜19:00
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白い背景に乗る軽やかな色彩のラインがなんともかわいくて楽しい雰囲気を奏でています。
さまざまなモチーフが丁寧に丸みを帯びた太めの線で描かれていて、そこにもたらされる遊び心にも魅せられます。


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楽器がさまざまなかたちで織り込まれている作品、これがまた痛快!
ひとつひとつのラインとフォルムがユーモラスな雰囲気を現し、また楽器であることがそのまま賑やかなイメージを膨らませます。


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風景を描いた大きな作品も。
比較的平面的なアプローチでありながら、シンプルに生み出される奥行き感はとにかく軽やかでコミカルな感触をそこに導き出しています。


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奥の一角には12星座をモチーフとした作品も。
小さな画面で展開されるバリエーションも楽しいです。


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第5回展覧会企画公募「Girlfriends Forever!」
トーキョーワンダーサイト本郷
東京都文京区本郷2-4-16
03-5689-5331
2/26(土)〜3/27(日)月休(祝日の場合開館、翌火曜休)
11:00〜19:00
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なんだかもう痛快!
松井えり菜さんや今津景さん、長井朋子さんといった折に触れて拝見しているアーティストのクリエイションが個展などで拝見するときとはまたひと味違う雰囲気のなかに収められていて、その活き活きとした感触が新鮮です。大御所、辰野登恵子さんの作品もその世代の差を感じさせないのが面白くて、さらに映像などさまざまなメディアも配されて、なんともガーリーな世界観が作り上げられているのが楽しいです。



高山陽介「彼女のウィンク。それをみた私。」
GALLERY HASHIMOTO
2/22(火)〜3/11(土)日月祝休
東京都中央区東日本橋3-5-5 矢部ビル1F
03-5641-6440
12:00〜19:00
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前回の個展で拝見した丸みを帯びてまろやかな造形、その印象が強かったこともあり、今回の個展で発表されている作品群のアバンギャルドさに思わず後ずさりしそうに。おそらくはチェーンソーでざっくりと彫られる木の塊、凄まじく粗い表装は分厚く塗装された上にニスのようなもので仕上げられ、グロテスクで暴力的なほどに荒々しい表面の質感が抑え込まれて何とも不思議なテイストを紡ぎ出しています。そしてそれぞれのかたちはだんだんと人のシルエットに見えてきて。。。



朝海陽子展 Conversations
無人島プロダクション
東京都江東区三好2-12-6-1F
03-6458-8225
1/15(土)〜2/26(土)月祝休
12:00〜20:00(土日:11:00〜19:00)
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・・・よく分からないのです。
いや、分からないのは、ずらりと並ぶ研究室の一場面らしき写真を目にしてそれ自体は純粋に「面白いなぁ、いいなぁ」と思えて、でもその理由が分からない、という。。。
なんでそんなところにカメラが持ち込まれて撮影されているのか、そもそもその場面に登場している人々が何となく嘘っぽく思えてきたり、いろんなイメージがそこから浮かんできて、そして広がっていきます。



篠塚聖哉「ペネトレイト」
ANDO GALLERY
東京都江東区平野3-3-6
03-5620-2165
2/1(火)〜4/23(土)日月祝休
11:00〜19:00
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この空間で開催された過去2回の個展はキャンバスの大作が中心の構成でしたが、今回はオンペーパーの作品のみ。久々の展開は新鮮さと懐かしさとを届けてくれます。そしてそのなかに描かれる情景にもぼんやりと変化が感じられるのも興味深いです。
俯瞰して拝見したときの篠塚さんの作品のスケール感の壮大さはキャンバスの大作と比較すると圧倒的にコンパクトなサイズの画面であっても失われることなく、一方で多くの画面が並べられることで生み出されるバリエーションの豊かさにも感じ入ります。さらに、至近で眺めていったときに気付く微細なテクスチャーの面白さにも引き込まれます。



大槻素子『a blank』
アルマスGALLERY
東京都江東区深川2-2-3
03-6412-8210
2/26(土)〜3/12(土)月休
12:00〜19:00
大槻素子110226.jpg

これまでのイチゴが乗るショートケーキを独特のクリーミーなタッチで描く展開から、今回はさまざまな料理、食材をモチーフとした作品で構成され、大槻さんらしい表現がひと味違う面白さを伴って清々しく迫ってきます。
ひたすらに明るく軽やかな色彩、そこにほんのりと濃さ、沈むような暗さが忍ばされていて、その明暗のイメージのバランスが絶妙です。また、これまで多く登場しなかった色彩もそこかしこに現れていて、広がる世界観も嬉しく思えます。



■3/3 Thu
蝸牛あや「海のむこう 空のなか」
MEGUMI OGITA GALLERY Showcase
東京都中央区銀座5-4-14-4F
03-3571-9700
3/3(木)〜3/26(土)日月祝休
12:00〜19:00
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なかなかにユニークな刺繍の作品。
シンプルながらもバラエティに富んだステッチを駆使して具象的に表現されるクラゲなどのモチーフ、一転して空や海の表情を淡々と、点描のようなアプローチで表現したりなど、刺繍ならではのテクスチャーと絵画的な展開とが楽しくて新鮮です。



時松はるな「ライツ、カメラ、アクション!」
ギャルリー東京ユマニテ
東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB1F
03-3562-1305
2/28(月)〜3/12(土)日休
10:30〜18:30
時松はるな110228.jpg

お馴染みののんびりとした表情のキャラクターが繰り広げるシュールでコミカルで奇想天外な世界、鉛筆による描写を中心に彩色なども繰り出しながらバラエティに富んだ場面が賑々しく描き上げられていて痛快です。
そして今回はそこにもたらされる「仕掛け」が今まで以上に手が込んでいるように思えるのも面白いです。気付いたときの「ツボった」感じがとにかく堪らない!



■3/4 Fri
ワンダーシード2011
トーキョーワンダーサイト渋谷
東京都渋谷区神南1-19-8
03-3463-0603
3/5(土)〜3/21(月)月休(祝日の場合開館、翌火曜休)
11:00〜19:00

石原都知事来場でなんだか凄い雰囲気、ワンダーシードのレセプションはいつも人が多くてごった返しますが今回はそこにカメラの放列が加わってとにかく異様なほどの込み具合。。。
さすがに100を超えるクリエイションをじっくり観ることは叶わず、あらためて時間を取って足を運びたいと思う次第です。観ているとどうしても既知のクリエイションに意識が引きずられる傾向があるので、しっかりひとつずつ丁寧に拝見したいと思います。



第5回shiseido art egg 川辺ナホ展
資生堂ギャラリー
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビルB1F
03-3572-3901
3/4(金)〜3/27(日)月休
11:00〜19:00(日祝:〜18:00)
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大阪での個展を拝見した上での、この大きな空間での川辺さんの個展。加えてひとつ前の今村遼佑さんのインスタレーションを踏まえてどんな展開を見せてくれるか興味津々だったのですが、照明が落とされて暗い空間にさまざまなアプローチと仕掛けが施された映像インスタレーションが上映されていて、静かな痛快さが心に広がります。奥の一角に築かれている儚げなインスタレーションも印象的、切り口のユニークさが際立っているように思えます。時間をかけてじっくりと空間と対峙したいと思わせてくれます。



朝日聡子展 湖水の窓
森岡書店
東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 第2井上ビル305号
03-3249-3456
2/28(月)〜3/5(土)13:00〜20:00(最終日:〜19:00)
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久しぶりに拝見する朝日さんのペインティング。これまでのイメージと比べると、描かれる情景によりおおらかな空間性がもたらされているような印象で、ひとつひとつのモチーフにゆったりと空間が与えられ、のどかな広がりとともに背景の硬質な色調がクールな雰囲気をそこから漂わせています。
並べて展示されていた3点の大作、充分なサイズも相まって背景の広がりがいっそうおおらかに届けられ、イメージも今までになくダイナミックに膨らんでいきます。


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コンパクトな作品でのさらにシンプルな構図も印象的です。
モチーフの描写の具象性の高さと、用いる色彩と背景との関係性とで、現実とどこか幻想的な気配との間の絶妙な空間をそこに現しているように思えます。


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日本画的なオーソドックスな渋みと空間性、そこにフューチャリスティックな配色がなされることで作り上げられるシャープな世界。進化する巧みさがこれからどのように発展していくかにも興味がわいてきます。


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笛田亜希 Animaless Zoo Project #021 INOKASHIRA
LOWER AKIHABARA.
東京都千代田区東神田1-11-7 東神田MKビル1F
03-5829-8735
3/4(金)〜3/19(土)日休
11:00〜19:00
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今回はシンプルにオイルオンキャンバスの作品のみでメインスペースを構成、過度になりすぎない程よい写実性で描かれる井の頭動物園のさまざまな風景は、重厚なシルバーなどを多用する独特の色使いとざらりとしたタッチによって深い気配がそこから醸し出されています。



冨井大裕個展『色と形 を並べる』
ラディウム-レントゲンヴェルケ
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17
03-3662-2666
3/4(金)〜3/26(土)日月祝休
11:00〜19:00
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面白いです。
僕が今まで拝見した冨井さんの展示を思い返して比べてみると、今回は今まで以上に大胆に、色彩がふんだんに取り込まれているような印象で、ひときわ明るく軽やかな雰囲気が生み出されているように思えます。しかしそこはそれ、用いられる素材の質感が直接的に作品のテイストに持ち込まれて、アプローチのユニークさはしっかりと提示されていて痛快です。



SLASH-3 Naively Manners:大田黒衣美/谷口真人
island MEDIUM
東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 205
03-5812-4945
3/4(金)〜3/20(日)月火休
12:00〜19:00
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前回に引き続き、2人のアーティストをフィーチャー。それぞれ自身の名刺代わりといった感じの作品とともにドローイングを展示し、互いのクリエイションが絶妙なバランスで響き合っていて、ひとつの展示としての感触が心地よく感じられます。
大田黒さんのガムの作品、初めて拝見したときに感じた「わ、やられた!」という痛快さを今回はひとつの壁面でしっかりと対峙できる嬉しさ、谷口さんはお馴染みの鏡面を用いた作品ながらやや大きめのサイズであることが新鮮だったりと、それぞれに引き込まれる世界観が生み出され、そして互いにドローイングを発表していることが、近似の支持体にイメージが乗せられることでその差異と共通点とが見えてくるように感じられるのも興味深いです。



■3/5 Sat
松本春崇個展「縄文式ダブルバインドハウス」
AISHO MIURA ARTS
東京都新宿区住吉町10-10
03-6807-9987
3/5(土)〜3/26(土)日月祝休
12:00〜19:00
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縛る、縛る、とにかく縛る、とにかくさまざまなモノが紐で縛られていて、あまりの直接的な行為の提示に否応なく引き込まれます。写真作品には縛られた家が撮影されていたり。
で、立ち会うことは叶わなかったのですが、オープニングレセプションの一環として、この一軒家のギャラリーも縛っているらしく、実際にこのサイズが縛られているとどんな感じに見えるかもちょっと楽しみだったりします。



齋藤瑠璃子 個展「森の共犯者 郷の抽象化」
ゼロダテ アートセンター 東京
東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 206a
03-5812-4360
3/5(土)〜3/28(月)火休
12:00〜20:00
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大きな作品のもやもやと気配が立ちのぼるようなタッチで描かれるファットな風景、一方でたくさんの小品では敢えて写実的な描写を抑えてそこに登場する絶滅種が儚いその存在に不思議な距離感を生み出しています。
膨らむような色彩の深みであったり、提示される純朴なメッセージ性など、その表現のユニークさからもさまざまな想像が浮かんできます。



田中偉一郎個展「平和趣味」
Yuka Sasahara Gallery
東京都千代田区神田岩本町4
03-6206-9590
3/5(土)〜4/9(土)日月休(火:予約制)
12:00〜19:00
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「ラジオ体操アドリブ」。笑。最高。



小島章義 Little island
GALLERY TERRA TOKYO
東京都千代田区岩本町2-6-12 曙ビル1F
03-5829-6206
3/5(土)〜3/26(土)日月祝休
11:00〜19:00
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不思議なテンション感が横たわっています。空間中央に配される巨大な作品の異様な存在感に気圧されつつ、ひとつひとつの作品ごとの独立した感じ、互いに関連づけられないような展開に興味を覚えつつ、むしろ曖昧さを深めていくようなタッチがそれぞれの画面に展開されていてその緩さが逆に緊張感となって現れているように感じられます。アプローチのユニークさがその不思議さを加速させています。



川島小鳥展「BABY BABY」
GALLERY MoMo Ryogoku
東京都墨田区亀沢1-7-15
03-3621-6813
3/5(土)〜4/2(土)日月火休
11:00〜19:00
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あどけなさの残る女の子のかわいい表情や仕草、そこにいくつかの画面からはほんのりと大人の気配が潜んでいるような...。ほのぼのとした心地よさとそこに漂ってくる一抹の淋しげな雰囲気、さまざまな気配が入り交じっていて、それがいつもと違った空気感で溢れるこのギャラリースペースにひときわ新鮮な感覚ももたらします。



斉藤あずさ ―まゆだま―
Gallery Suchi
東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 第2井上ビル2F
03-6661-6393
3/4(金)〜3/26(土)日月祝休
11:00〜19:00
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TWS本郷での個展も拝見して印象に残っている斉藤さん、そのときに続いて何かの暗喩を思わせる羊を描いた作品が並び、淡々とした気配が空間に満ちています。
パネルや枝を切っただけの板に直に描かれた作品が多いなかで、有機的なフォルムを残す板の作品が醸し出す雰囲気により強く惹かれます。浮かぶ木目などもその気配をいっそう深め、輪郭のないぼんやりとした、だからこそ濃く深い物語がそこから届けられているような気がします。



佐脇健一展 Landscape 青空の記憶 Memory of Blue Sky
BASE GALLERY
東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F
03-5623-6655
3/4(金)〜4/9(土)日祝休
11:00〜19:00
佐脇健一110304.jpg

暗く設定された照明のなかに配される重厚な作品群。錆びた戦闘機の孤高の存在感に圧倒され、また小さな箱のなかに築かれる風景の寂しげな雰囲気にも惹かれます。がっしりと硬質な、そして殺伐とした世界がさまざまなあ縮尺で提示され、低く漂う深遠な気配に意識も沈んでいき、いくつもの時間を過ぎていったことで紡がれたことで深さを増した渋い静寂に引き込まれていきます。



柏原由佳展 ―真ん中へ
TKG Contemporary
a href="http://map.yahoo.co.jp/pl?p=東京都江東区清澄1-3-2&lat=35.68132710&lon=139.79362146&ei=utf-8&v=2&sc=3&datum=wgs&gov=13108.12.1.3.2" target="_blank">東京都江東区清澄1-3-2-7F
03-3642-4090
3/5(土)〜4/9(土)日月祝休
12:00〜19:00
柏原由佳110305.jpg

感慨深いです。
武蔵野美術大学で拝見した卒業制作がその年チェックした作品のなかでもっとも印象に残っている柏原さん。その直後にドイツに渡られたので、相当に久々に個展を拝見することができるということだけでホントに嬉しく思っていたんですが、実際に作品を目にし、ドイツに行かれる前に開催された個展で拝見した小品の世界がさらに広がり、そして深まっていったような感じなのが興味深いです。
ダイナミックな奥行き感、立体感を思い起こさせる風景。その壮大さに紛れるように正面から捕らえた情景が織り込まれていたりと、深い緊張感に溢れる重厚で刹那的な世界が描き上げられていて、眺めているといろんな発見がもたらされます。



杉戸洋−青木淳展 needle and thread
TOMIO KOYAMA GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-7F
03-3642-4090
3/5(土)〜4/9(土)日月祝休
12:00〜19:00
杉戸洋110305.jpg

圧倒的な空間、メインスペースに配される巨大な黄色のふたつのバルーンが空間全体をその黄色で染め上げている様子に驚かされた次第。そしてその間をすり抜けたりして目にする杉戸さんのペインティングがその空間に和やかなアクセントとして機能しています。杉戸さんと青木さんの関係性を思うとさまざまなイメージも湧いてきます。



■3/7 Mon
武居功一郎 個展『PICTURE ELEMENT』
waitingroom
東京都渋谷区恵比寿西2-8-11 渋谷百貨ビル3F
03-3476-1010
2/26(土)〜4/3(日)金土月のみ(4/3開廊)13:00〜19:00(月:17:00〜23:00)
武居功一郎110226.jpg

風景を一度分解し、再構築したようなCG作品群。大判にプリントされたものから、もとの景色からの乖離が進んだ展開など、用いられる色彩なども含めてよりバラエティに富んだテンション感が生み出されているのが興味深いです。また、ひとつの画面にひとつのグラデーションを提示する新たなシリーズも発表されていて、さまざまな発見が提供されるのも面白く感じられます。
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2011年02月24日

〜2/12のアート巡り

〜2/12のアート巡り mirror

■2/10 Thu
松井亜希子 −冬の水 うつろう光影−
INAXギャラリー
東京都中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA 2F
03-5250-6530
2/1(火)〜2/24(木)日祝休
10:00〜18:00
松井亜希子110201.jpg

スケールの大きな銅版画に圧倒されます。京都でも拝見しているのですが、そのときの印象と比べても緻密さや重厚さが増したようにも感じられます。
入り口正面の広い壁面に複数の画面を組み合わせて構成される作品の迫力がとにかく凄いです。



井上麻衣展「白いユートピア」
SANAGI FINE ARTS
東京都中央区日本橋茅場町2-13-8 第一大倉ビル1F
03-5640-6882
2/11(金)〜3/12(土)日月休
12:00〜19:00
井上麻衣110211.jpg

展示作業中に伺いました。
スクエアの画面に切り取られる明るい室内風景、清々しくて溌剌としていて、同時に凛とした気配も満ちる雰囲気が印象的な写真作品です。
あらためて作品が展示された状態でどのような雰囲気が空間に広がるかも楽しみです。



リニューアルオープン展 再生 -Regenerate- Part2
GALLERY MoMo Ryogoku
東京都墨田区亀沢1-7-15
03-3621-6813
2/8(火)〜2/26(土)日月祝休
11:00〜19:00
MoMo110115.jpg

両国のスペースのリニューアルオープン記念の展覧会の第2弾。今回もGALLERY MoMoゆかりのフレッシュなアーティストの作品がずらりと並び、ワクワクするような気配が広がっています。

抽象の風味を一気に増した吉田晋之介さんの作品。独特のグリーンをたたえつつ、有機的な揺らぎが奥まで続いて行く空間性に引き寄せられます。


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吉田晋之介_01.JPG



昨年末の六本木での個展が記憶に新しい重田美月さん。太い稜線で描かれるさまざまなモチーフがひとつの画面に重なり、さらにそこに混在する縮尺と要素同士の無関係さが醸し出す混沌とが面白く、一見ポップで軽やかな印象ながらもだんだんとそのズレのダイナミックさが不思議なイメージとなってじわじわと届けられます。


重田美月_05.JPG 重田美月_04.JPG 重田美月_03.JPG 重田美月_02.JPG

重田美月_01.JPG



TETTAさんは鉛筆画がずらりと。
カップ麺の中身を出して精緻に描いたような作品で、徹底されるリアリティが状況のシュールさを際立たせます。散らばる具材がどこか殺伐とした寂寞感を醸し出しているように思えるのもユニークです。


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TETTA_04.JPG TETTA_03.JPG TETTA_02.JPG

TETTA_01.JPG



石庭美和さん、見返り美人ならぬ、ちょっとすれたような感じにも思える表情を浮かべる女の子、大きな目がなんともかわいらしいです。高い写実性がもたらす臨場感と、落ち着いたトーンの背景の静けさとが独特の温度感が満ちる、どこか懐かしげにも思える気配を奏でます。


石庭美和_01.JPG



木原千春さんの作品、一見して木原さんと分からなかったほどにぐっとそのテイストに変化が見られます。これまでの大きなストロークから一転、色面のばさついた細かいエッジ部分やテクスチャーのアグレッシブさ、黒猫の目が放つインパクトの異様さなど、どこか激しい気配がそこに現れ、それでいてその激しさを抑え込むような感触にぐんぐんと引き込まれます。
背景に用いられる深く鮮やかなグリーンも印象的です。


木原千春_04.JPG 木原千春_03.JPG 木原千春_02.JPG

木原千春_01.JPG



室井公美子さんも抽象世界は保ちながらそこに生み出される雰囲気に変化が感じられるのが興味深いです。
感覚的なかたちが重なっていて、しかしそれはこれまでになくどこかコントロールされたテイストが備わっているように思えます。偶然性が生み出したかたちからそれが醸し出す動的なイメージを活かし、描かれる情景に抽象的ながらも物語性が作り出されているように思えます。


室井公美子_04.JPG 室井公美子_03.JPG 室井公美子_02.JPG

室井公美子_01.JPG



小野さおりさん、個展のときも印象的でしたが、そのときから格段に描く世界の奥行きが増し、さまざまなモチーフが散りばめられ、幻想的な雰囲気がしっとりと横たわり独特の気配が静かに迫ってきます。色や形が曖昧さを保ち、そのふわふわとしたテイストによってそこにあるものすべてが幻のようなイメージさえ浮かんできます。


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小野さおり_01.JPG


この他にもさまざまなアーティストが溌剌としたクリエイションであたら四k巣生まれ変わった空間を賑々しく彩っています。



■2/12 Sat
分岐展 -大久保如彌・大坂秩加・亀山恵・丸山恭世-
GALLERY MoMo Roppongi
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
03-3405-4339
2/12(土)〜3/19(土)日月祝休
12:00〜19:00
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六本木では女性アーティスト4名のグループショー。
大久保如彌さんはさらに落ち着いて大人びた雰囲気が緻密な描写で紡ぎ出され、淡い色調が醸し出す穏やかな気配と随所に施される絵の具の盛り上がりとで独特のテイストに深まりをもたらしています。大坂秩加さんはシェル美術賞出品作品とリトグラフの大作を発表、それぞれのメディアでの緻密な描写で繰り出される妖しい情景が印象的です。
ドローイングで構成する亀山恵さん、丸山恭世はお馴染みのタッチによる女性の肖像作品と、それぞれ個性を発揮しています。



村上佳奈子展
なびす画廊
東京都中央区銀座1-5-2 ギンザファーストビル3F
03-3561-3544
2/7(月)〜2/12(土)
11:30〜19:00(土:〜17:00)
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ユニークな木彫作品です。
抽象的な造形でやわらかさ、ゆるやかさを感じさせてくれる木彫表現に魅せられた次第。大作の濃厚な気配による迫力も印象的ですが、ちいさな作品で展開される軽みが届ける心地良さも痛快で、そこにさらにどこか落ち着いた風合いも備わっているのが興味深いです。



千葉正也「生きていたから見れた素晴らしい世界」
ShugoArts
東京都江東区清澄1-3-2-5F
03-5621-6434
2/12(土)〜3/12(土)日月祝休
12:00〜19:00
千葉正也110212.jpg

もうひたすうら楽しい世界、お馴染みの絵の上に絵を描くユニークな過程を経て描き上げられるペインティングで今回はご自身のアトリエにギャラリースペースを見立ててぐるりとその情景を大小のペインティングで現しているのが痛快です。
一度登場した石膏などでできた歪んだ造形のモチーフなど、複数の画面に登場する要素も少なくなく、それぞれの作品を脳内で繋げて行く作業を促す構成のも面白いです。



青木豊|マルチプライム
hiromiyoshii
東京都江東区清澄1-3-2-6F
03-5620-0555
1/21(金)〜2/26(土)日月火休
12:00〜19:00
青木豊110121.jpg

昨年の五美大展で印象に残るアーティスト、青木豊さんの個展。多彩なメディアで繰り出すクリエイションはそれぞれヴィヴィッドな色彩やエッジの鋭いかたちや構造などが溢れ、ブリリアントさを高らかに放つ抽象世界が展開されていて、目に飛び込んでくるさまざまな要素が弾けるような動的な衝撃を届けます。有機的なテクスチャーがふんだんに持ち込まれる抽象のペインティングでさえも、そこから生み出される気配は一途なまでにケレン味のない痛快さで溢れています。



夢で逢いましょう|See me in the dream 青木豊、明石雄、大塚聡、杉戸洋、塚田守、南川史門
SPROUT Curation
東京都江東区清澄1-3-2-6F
03-3642-5039
2/12(土)〜3/19(土)日月祝休
12:00〜19:00
夢で逢いましょう110212.jpg

ユニークなクリエイションがずらりと並ぶグループショー、参加されるアーティストのお名前を一見するといかにも統一感のない印象なのですが、実際の展示はそのバランスが絶妙で、バラエティに富むテイストが互いに響き合いながらきらびやかさやふわふわとした浮遊感などを空間におおらかに織り上げていくような印象です。



《買った本》
梓崎優「叫びと祈り」
川上未映子「発光地帯」
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2011年02月11日

〜2/6のアート巡り

〜2/6のアート巡り mirror

■2/5 Sat
牡丹靖佳展《馬鹿レチェと恐れミエドの会話》/寄神くり展《すぐ隣りの出来事》
ARTCOURT GALLERY
大阪府大阪市北区天満橋1-8-5 OAPアートコート1F
06-6354-5444
1/9(日)〜2/5(土)日月祝休(1/9開廊)
11:00〜19:00(土、1/9:〜17:00)
牡丹靖佳110109.jpg 寄神くり110109.jpg

牡丹靖佳さんと寄神くりさんとの同会期での個展、というクレジットになっていますが、その展示構成がユニークで、同じ空間に2人の作品を配し、それぞれのソロでの展開を繰り広げながら同時に2人展の体も成している、というのが興味深く思えた次第。
組作品なども含むさまざまなサイズのペインティング、そのなかに細かやな線描から抽象性の高い絵の具のテクスチャーまでを織り交ぜる展開で独自の不思議な世界観を生み出す牡丹さんと、ネットとカーペットを用いた作品などバラエティに富んだクリエイションで妖しげな気配を紡ぐ寄神さん、それぞれの個性が共存し、同化と反発とを創出して得難い気配を導き出していたように思えます。



加賀城健展 "transFLAT"
YOD Gallery
大阪府大阪市北区西天満4-9-15 第一神明ビル
06-6364-0775
1/15(土)〜2/12(土)日月休
11:00〜19:00
加賀城健110115.jpg

入った瞬間に目に飛び込んでくる、直接壁に施されるドローイングが圧巻。空間全体が濃厚な雰囲気で満たされていて、そのなかに滲む質感を活かした染色作品が散りばめられ、さらにそれらにドットの描写やワッペンなどが重ねられて、その世界観に広がりと深まりを感じさせてくれます。
遊び心と実験性の高いドットとワッペンのアプローチが加速させるユニークさ、生まれるレイヤーの立体感、そして何より染色表現におけるバリエーションの広がりに感じ入った次第です。



倉澤梓個展 −NEW WORLDー
展現舎
大阪府大阪市西区江戸堀1-23-19 グランビルド江戸堀4F
06-6441-3677
2/4(金)〜2/18(金)日祝休
12:00〜18:00
倉澤梓110204.jpg

大阪が誇る双子アーティストの妹さんの個展。既発表のものも含むバラエティに富んだ作品が並べられ、シャープでスマートな構造とぱりっと鮮烈な色使いとで表出され、やんちゃなネコが登場してさまざまな仕草や表情を見せていて楽しいことこの上なく。
新作ではその場面にさらに大胆な展開が繰り出され、さらにシャープでクリアな像がキャッチーなイメージに転化されて小気味よく届けられます。


倉澤梓_12.JPG 倉澤梓_11.JPG 倉澤梓_10.JPG 倉澤梓_09.JPG

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溢れるお菓子の爆発が場面のやんちゃ度を高めている作品、キャップとグローブをはめたネコの表情と仕草も印象的です。


倉澤梓_07.JPG 倉澤梓_06.JPG 倉澤梓_05.JPG

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今回は立体の作品も展示されています。
もとより立体的なイメージが湧きやすいモチーフということもあり、そのかわいらしさがていねいに表現されていて、また三次元に落とし込まれたときの臨場感も楽しいです。ちょっとした遊び心も効いています。


倉澤梓_03.JPG 倉澤梓_02.JPG

倉澤梓_01.JPG



垣内玲展 -Except Rule-
サイギャラリー
大阪府大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル4F
06-6225-4115
1/29(土)〜2/19(土)日月祝休
12:00〜19:00(土:〜17:00)
垣内玲110129.jpg

展示スペースに入るとまず目に留まるのが重ねて置かれるタンス。時折がしゃがしゃと音を立てて揺れ、そのノイズも含めて本来危うい情景が逆になんともユーモラスに感じられます。
興味深かったのが方眼1枚につきに1色ずつ、合計7色の揺れる線が描かれた泥ドローイング。ひたすら抽象的なんですけど、この作品のルールが紙の上にペンを乗せ、ペンを直接手に取らずにに紙を動かして支持体とペン先を触れさせ、落としたら終了、という行程で制作されているとのこと。そう思ってあらためて眺めるとほんのちょこっとしか線やら点やらが描かれていない作品が切なく思えてきて笑えます。
映像作品も含め、シュールなクリエイションです。



佐藤未希+上出長右衛門窯
Yoshimi Arts
大阪府大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル3F
06-6443-0080
1/24(月)〜2/11(金)
11:00〜19:00
佐藤未希+上出長右衛門窯110124.jpg

先に開催された個展も印象に残る佐藤さんと、青山スパイラルでの展示でも何度か拝見している上出さんの陶芸作品との2人展、といってもメインスペースは佐藤さんの作品で占められ、上出さんの作品は奥のスペースに1点のみ、となっています。

佐藤さんの新作。繊細な気配がさらにていねいに紡ぎ出されていて、そのグロテスクさを伴う繊細な妖しさに魅せられます。
向かい合う女性の肖像、背景にそれぞれ青と赤の色彩がほんのりと漂い、浮かぶ静かな表情が淡々と、ひっそりとした時間の流れを思い起こさせてくれます。


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合わせて少し前に制作された作品も展示されていて、現在の佐藤さんの世界観への道程も感じ取れるのが嬉しいです。異様さがいっそう強く表出されている濃厚な感触に引き込まれます。


佐藤未希_03.JPG 佐藤未希_02.JPG

佐藤未希_01.JPG



上出長右衛門窯さんの作品は、車輪が付いた急須。網の目に施される赤絵の独特の鮮やかさとあたたかくて緩い風合い、ふたにしがみつくようにちょこんと乗る人の傾げる首など、なんともかわいらしくユーモラスな雰囲気が堪らないです。


上出長右衛門窯_05.JPG 上出長右衛門窯_04.JPG 上出長右衛門窯_03.JPG

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そしてウィリー!


上出長右衛門窯_01.JPG



想像の森 ―奥田文子・奥田耕司・山内裕美 三人展―
コウイチ・ファインアーツ
大阪市西区江戸堀1-7-13
06-6444-1237
1/29(土)〜2/12(土)日休
11:00〜18:00
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3名のアーティストをパッケージしたグループショー。
Gallery MoMoなどの展示で拝見している奥田文子さんの作品が多く発表されているのが嬉しいです。
これまでの青や白を多く用いる作風から広がりが感じ取れ、今回は鮮やかなグリーンがおおらかに広がる大作の今までにない新鮮な瑞々しさに感じ入った次第。光の表現に穏やかさがもたらされていて、日差しの温もりのイメージも届けられます。


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描かれる情景もいっそう大胆に、ダイナミックに。
入り組む海岸を描いたような作品では、そのスケール感のおおらかさ、豊かな広がりに圧倒されます。水面に映るさまざまな情景と、そのなかに一人佇む水着の女性の存在が生み出す縮尺の違和感や現実からの乖離も痛快です。


奥田文子_08.JPG 奥田文子_07.JPG 奥田文子_06.JPG

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これまでの色彩感を踏襲するような風合いの作品も。
ふわりと滲んで漂うように広がる青や白、それらが届ける清々しさが気持ちいいです。


奥田文子_04.JPG 奥田文子_03.JPG

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そして、小品ですが深く暗い色が多く用いられた作品に、奥田さんの新境地を感じさせてくれます。際立つ光の描写、いっそう鮮烈なコントラストが新鮮で、これからの展開も楽しみになってきます。


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山内裕美さんは抽象的な風合いが印象的なペインティング。今回は大きなドットが重ねられる展開が抑えられ、より風景を意識させる表現が力強さをダイレクトに生み出しています。


山内裕美_06.JPG 山内裕美_05.JPG 山内裕美_04.JPG

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小品や組作品も、風景を彷彿させつつも色彩の配置やテクスチャーから受け取るイメージの曖昧さ、抽象性が面白く感じられます。


山内裕美_02.JPG

山内裕美_01.JPG



奥田耕司さんの立体作品、こちらも楽しいです。
やじろべえの進化系、といった印象で、それぞれにユニークな形状が彫り上げられ、その細い要素の上にちょこんと乗る羽のかわいらしさと回転させたときのこみ上げる嬉しさが堪らないです。


奥田耕司_04.JPG
奥田耕司_03.JPG

奥田耕司_02.JPG



壁に設置されたものも。
そして大きな作品も合わせて発表され、有機的な造形によってどこか鬱蒼とした気配が生み出されているのも面白いです。


奥田耕司_01.JPG



豊富春菜:drops
Gallery Nomart
大阪府大阪市城東区永田3-5-22
06-6964-2323
2/5(土)〜3/5(土)日祝休
13:00〜19:00
豊富春菜110205.jpg

DMなどを拝見した時点では写真作品かと思っていました。
ギャラリーに入った瞬間も事前の思い込みもあってか一瞬写真、と思ったのですが、そこから気付かされるテクスチャーの面白さがとにかく痛快で、圧巻です。
透明度を備えるジェル状の顔料を用いて描写される風景やモチーフ。それらはリアリティをしっかりと保たせるほどに緻密な描写が展開され、同時に異なる色彩が重なって生まれる構造の面白さも鮮烈に放っています。俯瞰したときにもその立体的な画面構造のユニークさが感じ取れるほど。そして素材の艶やかさは瑞々しさとなって、得難い独特の気配を空間全体に溢れさせています。



松田啓佑 個展 WORDS LIE U
eN arts
京都府京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側
075-525-2355
2/4(金)〜2/27(日)金土日のみ
12:00〜18:00
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前回の個展も印象的だった松田さん、今回もその異様さは健在、どっしりとした過剰なまでにプリミティブな世界が力強く創出されています。
静かで無垢で、しかし荒れ狂い、のたうち回る情景。巨大な虫を彷彿させるもの、強烈な土臭さを思い起こさせるものなど、その有無を言わさぬ濃厚な雰囲気が意識を呑み込んできます。
大作のペインティング、額に収められる大判のオンペーパーの作品、階下の黒い部屋に展示されたちいさなドローイングと、それぞれが強烈な雰囲気を醸し出しています。



長井朋子「木枯らしと、こんこ」
Tomio Koyama Gallery Kyoto
京都府京都市下京区西側町483
075-353-9992
12/17(金)〜2/5(土)日月祝休
11:00〜19:00
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最終日に滑り込みで観ることができた長井さんの個展、いやもうこれはホントに観ることができてよかった!
全体的に奏でられる気配が、東京での個展で感じたキラキラしたものが抑えられて、ここから長い物語が始まっていくような印象です。意外と(というとやや言葉が足らないのですが・・・)激しいマチエルも随所に織り交ぜながら、それでもファンタジックな気配はしっかりと奏でられ、ワクワクするような世界へと誘ってくれます。
今までにないサイズの大作、さまざまなモチーフや支持体のものをぎゅっと凝縮して展示した圧巻の壁面構成、そして黒くて暗いスペースでの夜そのままを思い起こさせるインスタレーションと、見所と見応えがふんだんに用意されていた展覧会、この続きも是非観たい、体感したい!



TRANS COMPLEX -情報技術時代の絵画- 彦坂敏昭、村山悟郎
京都芸術センター
京都府京都市中京区室町通蛸薬師下ル山伏山町546-2
075-213-1000
2/5(土)〜2/27(日)日月休
10:00〜20:00
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京都と東京とで開催される、彦坂敏昭さんと村山悟郎さんとによる展覧会。スペースを分けて展示が行われ、それぞれの空間の解釈が面白く感じられました。
時間に余裕がなくてじっくりと観ることがかなわず、どんな展示だったかという印象のみが残っている感じでして...東京での展示を楽しみにしたいと思います。



■2/6 Sun
FRESH with 横丁便ギャラリー vol.1 加藤翼、加茂昂、須賀悠介
横丁便ギャラリー
東京都新宿区山吹町258
1/23(日)〜2/6(日)水休
13:00〜18:00
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神楽坂と江戸川橋のちょうど真ん中あたりにあるスペースで行われたFRESHの展覧会。なんとか最終日に滑り込みで拝見。
まず加藤翼さんの映像が痛快、これまで拝見したなかで最も面白かったです。転がして吊って落としてガッシャーンという一連のダイナミックな無意味さが、しかし記録された映像から届けられる参加者の誇りにも通じる達成感が楽しくて嬉しくて。

加茂昂さんのインスタレーション、壁画の上にタブローを配し、さらにそこから広げていくというユニークなスタイルがここでも繰り広げられ、商店街の入り口のスペースに異次元空間を生み出していました。ヴィヴィッドな色彩感とシャープなモチーフで繰り出されるフューチャリスティックな世界、その清々しさに圧倒された次第。閉じていない空間でさえ濃密な雰囲気を創出していることにも感嘆させられます。


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昨年のULTRAにも参加してもらった須賀悠介の立体木彫もふたたび登場。実はULTRAでは想定していた天地を逆にしての展示だったのですが、今回はそれを吊ることで本来の天地での構造を提示、虚空に浮かぶ異様な造形がそのユニークさを深め、不安定な感触が導き出すスリルを奏でます。


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須賀悠介_06.JPG



新作も興味深いです。
大小のクレーターがひとつの円の形に連なっている作品。咲く花のような絢爛ささえも思い起こさせるような、それでいて破壊物としてのアバンギャルドさも持ち合わせ、さらに提示されるシチュエーションもいっそうシュールになっています。


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須賀悠介_01.JPG
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2011年01月18日

〜1/15のアート巡り

〜1/15のアート巡り mirror

■1/12 Wed
大島梢展「星図」
ミヅマ・アクション
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F
03-3793-7931
1/12(水)〜2/12(土)日月祝休
11:00〜19:00
大島梢110112.jpg

素晴らしいです!
色面に挑んだ作品を発表された前回の個展で感じられた「重さ」が抜け、澄んだ情景が広がっています。ちょうど入れ替わるタイミングで個展の会期を終える池田学さんの作品に引けを取らない圧巻の密度、そしてやはり池田さんとはひと味違うファンタジックな世界観や凛とした爽快さ、ある意味女性的な繊細で鋭い緊張感などに溢れていて、目にしているだけで清々しい高揚感が心の中に膨らんできます。
大作から小品まで多彩なサイズの作品が並び、またそれぞれに描かれる場面もバラエティに富んでいるのが嬉しいです。



■1/13 Thu
TEAM 16 | 荒川智則個展 presented by カオス*ラウンジ/TEAM 17 | わくわくSHIBUYA coordinated by 遠藤一郎
トーキョーワンダーサイト渋谷
東京都渋谷区神南1-19-8
03-3463-0603
1/13(木)〜2/13(日)月休(祝日の場合開館、翌火曜休)
11:00〜19:00
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いやあ、ヒドい(笑)。
何というかどっちもカオス、異様な濃度が立ちこめていてその勢いに圧倒されます。
で、このふたつのカオスが同会期で隣り合わせ、ひとつ屋根の下で行われることで、それぞれの空気感の差異が伝わってくるのが興味深いです。
まずひたすら明るい、陽気な雰囲気に満ちている「わくわく」。僕は遠藤一郎さんにはコーディネーターとしてのバイタリティに相当なユニークさを感じているのですが、今回もそれが遺憾なく、というより節操無く発揮されていて、いったい何人のアーティストが参加しているんだろう、と途方に暮れるほどの分量が詰め込まれています。どうやら遠藤さんも把握してないっぽく、それもまた痛快だったりします。
一方、カオス*ラウンジ側は切迫感、刹那的な緊張感が広がっているように思えます。メインスペースでは生連続ドラマ(!)が撮影されるのだそうで、そのセットが組まれていて、さてどんなハプニングが起こるのだろう、と。さらに奥のスペースでいつもの破滅ラウンジ、ここに溢れる異様な「暗さ」、集団でアングラへと潜り込んでいく際に生まれる熱が展開されています。
今起こっていることがそれぞれ肌で感じられるのは貴重のように思えます。



■1/14 Fri
「ゴミとITとわたし」いしかわかずはる、泰平、淀川テクニック
YUKARI ART CONTEMPORARY
東京都目黒区鷹番2-5-2-1F
03-3712-1383
1/8(土)〜2/5(土)日月火休(水:事前予約制)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
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開廊3周年記念展の第2弾。
今回もお馴染みのアーティスト3組がフィーチャーされ、それぞれの個性やテンション感の差異が前回以上に際立つユニークな空間が作り出されています。
いしかわかずはるさんの糸を画面に配置する作品はこれまでの温もり溢れる描写に加えてまるで細い筆で描いたかのようなテクスチャーが作り出され、淀川テクニックはいつもの通りに漂流物で作る造形が圧巻、特に木が凄いです。
そして奥のスペースでの泰平さんはこれまでの文庫本の背表紙の展開から一変、コタツを用いたインスタレーションが相当にユニークです。



森田浩彰:タイムクエイク
青山|目黒
東京都目黒区上目黒2-30-6
03-3711-4099
1/8(土)〜2/5(土)日祝休
11:00〜20:00
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森田さんが作る作品群はその制作行為や意図においてコンテクストも相当に充分に備わっていると思うのですが、とにかく目にした瞬間の痛快さが堪らないです。まず目にしたときにワクワクするような嬉しさが届けられるように思えます。
今回は地震現象をさまざまなアプローチで表現、それぞれの作品にもたらされている仕掛けが秀逸で、一見ただそのものでしかないにも関わらず、現象が起こった時点で目が離せなくなるという。。。
ぜひとも現場で体感してほしい、得難い感覚に満たされる展覧会です。



小谷元彦展:幽体の知覚
森美術館
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53F
03-5777-8600(ハローダイヤル)
11/27(土)〜2/27(日)
10:00〜22:00(火:〜17:00)
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四の五の言う感じじゃないです。参りました。圧巻です。
すべての展示室をどっぷりと満たすヴィジュアル的なインパクト、無限の発見に溢れていて、まさしく洪水のようにその世界観に引きずり込まれ、沈み込んでいきます。
既に拝見している作品でさえ、その斬新さに呆然とさせられるほどのインパクトを放ち、またこの展示の為に制作されたと思しきインスタレーションは空間とのマッチングが尋常でなく。
さらに、充分にヴィジュアル的な凄みで観る側の感性を蹂躙してくるのにも関わらず、それぞれの作品からはコンセプトであったりメッセージ性などがしっかりと伝わってきて、その説得力にも感じ入った次第です。



■1/15 Sat
『モノケイロケモノ』大西宏志 近藤弘 スティーヴン・ギル
東京画廊+BTAP
東京都中央区銀座8-10-5 第4秀和ビル7F
03-3571-1808
1/15(土)〜2/12(土)日月祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
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なかなかに渋い雰囲気が横たわる3人展です。
大西宏志さんのたくさんのモニターのなかに泳ぐ金魚の華やいだ感じ、伏せておかれた器の無骨な表情がたまらない近藤弘さんの展開、スティーヴン・ギルさんの石のインスタレーションが奏でる繊細な気配。それぞれに静かに引き込まれます。



ミノリ「ふんでいい色」
MEGUMI OGITA GALLERY Showcase
東京都中央区銀座5-4-14-4F
03-3571-9700
1/13(木)〜1/29(土)日月祝休
12:00〜19:00
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それぞれの作品の中に作り出される空間がユニークです。
DMにも採用されている作品、こちらは制作年がやや早いようなのですが、ご自身で制作された模型の空間を撮影したものにところどころに彩色が加えられ、それがアクセントとなり、また縮尺の感じも含めてなんとも不思議な物語がそこから醸し出されているように思えます。淡い色調に、特に画面左側に乗る濃い色彩が意識が引きつけられます。


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他の作品は硬質な構図で展開される抽象的な情景が紡がれています。
パネルに直に描かれた作品、近くで眺めるとベニヤの木目がものとしての質感を強く意識させるのですが、遠くから観ると今度は組み込まれるかたちがぐんと奥行きを伴って迫ってくる感じがして痛快です。


ミノリ_07.JPG



マスキングを用いた作品。何層にも重なる色彩が醸し出す立体感、相当に薄い幅の中に何層も重なっている感じとずっと遠くまで続いてるようなイメージとが同時に思い起こされる不思議な奥行き感、また剥がれたようなかたちがそこかしこにあって、それがもたらすどこか刹那的な、スリリングな気配も印象的です。


ミノリ_06.JPG ミノリ_05.JPG ミノリ_04.JPG ミノリ_03.JPG

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それぞれの画面のなかにもたらされる空間のイメージがなんとも不思議で、ざらりとした強い感じとふわりと浮遊するような淡い気配との交錯で生まれる気配が印象的です。


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大中啓 個展
和田画廊
東京都中央区八重洲2-9-8 近和ビル302
03-3231-7774
1/12(水)〜2/12(土)月休
13:00〜19:00(最終日:〜17:00)
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横長の画面に収められるさまざまな風景。
モノクロームであることが、そこにある情景の重厚さ、壮大さ、そして静けさとをいっそう強く感じさせてくれます。


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仕上げにニスのようなものを塗布し、そのことによって捉えられる情景のディテールが鋭く立ち上がり、静かな緊張感を奏でます。ぐんと荘厳さを増す景色の広がりは、モノトーンの淡々とした雰囲気も相まって、力強く観る側の意識をしっかりと捕らえてきます。


大中啓_07.JPG 大中啓_06.JPG 大中啓_05.JPG

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2種類のサイズの画面で構成され、その統一感がさまざまな情景を撮影した写真が並ぶ空間に統一感をもたらしているように思えます。横長のパノラマ風の構図が、地平線をさらに遠くに広がっているように感じさせてくれるのも印象的です。


大中啓_03.JPG 大中啓_02.JPG

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川上哲史 -Melancholic Heaven-
ギャラリー戸村
東京都中央区京橋2-8-10 丸茶ビルB1F
03-3564-0064
12/10(金)〜1/22(土)日祝・12/26〜1/10休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
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テクスチャーのユニークさが活かされた展開が楽しいです。
画面に盛り上がる線、小さな弧の密集によって表現されるモチーフ。グラフィカルな展開がキャッチーさをより際立たせ、独創的なマチエルの面白さもよりクリアに活きているように思えます。


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同様のパターンの作品が複数の画面に渡って展開されているのも興味深いです。
美しく仕上げられた画面にほぼ同色の線が乗り、立体感と密度とでもたらされるトーンによって、モチーフが下地に広がる色彩から立ち上がってきます。


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川上哲史_22.JPG 川上哲史_21.JPG 川上哲史_20.JPG 川上哲史_19.JPG

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同じモチーフで色違いの作品は、構図がほぼ完全に一致していて、その緻密さにも唸らされます。一方でそのなかに紡がれる盛り上がる線のパターンはそれぞれに異なっていて、それによって1点ごとのオリジナリティが際立ち、ひとつひとつが細微な部分で違っていることに逆に凄みを感じます。


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川上哲史_15.JPG 川上哲史_14.JPG 川上哲史_13.JPG 川上哲史_12.JPG

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さらに、色彩の個性も濃厚に迫ってきます。
ストリートカルチャーの影響を感じさせてくれるクールなモチーフはさまざまな色彩で表現されることでそのモチーフに備わるイメージを深めます。


川上哲史_10.JPG 川上哲史_09.JPG 川上哲史_08.JPG

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心臓を描いた画面を連ねた作品も圧巻です。
色彩の差異がいっそう鮮やかさを増して痛快に迫ってきます。


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白い作品は、その上に乗る立体的な線に無数のクラックが生まれ、危うい雰囲気が強められているように思えます。このクラックは自然に生まれているものの、意図的に生み出されているようで、ユニークなテクスチャーにさらに異なるテイストがもたらされています。


川上哲史_05.JPG 川上哲史_04.JPG 川上哲史_03.JPG

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画面に線を立体的に展開すること自体はそれほど珍しくはないと思いますが、その緻密な描写と色彩感の鮮やかさ、それらがこれからどんなイメージが生まれてくるかも楽しみです。
さまざまな実験が行われることでその表現の可能性に広がりがもたらされたときに、さらにユニークさが極められていくように思えます。


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鎌谷徹太郎 proliferation -flower PART2
Gallery Cellar
東京都中央区銀座1-21-14
03-3563-8003
1/11(火)〜1/25(火)日月祝休
12:00〜18:00
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昨年の前期の展示と作品を入れ替え、リスタートした鎌谷徹太郎さんの個展。
前期と比較してさらに大きな画面の作品で構成され、広い画面をびっしりと覆い尽くす花が異様な気配を伴う情景となって迫ってきます。


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自身で作った情景を撮影し、支持体にプリントされた画像にさらに手を加えていくという独特の手法で展開される作品、おそらくは支持体に現れる情景の時点で相当なカオスが生まれているように見受けられるのですが、そこに花の輪郭が強められるようにしてペインティングが施され、ひとつひとつの花に何とも言い難い不思議な生命の感触が導き出されているように思えます。咲く花の構造を考えると真上から俯瞰していることになっているはずが、あくまで水平視点での情景として迫ってくるように感じられるのも興味深いです。


鎌谷徹太郎_10.JPG 鎌谷徹太郎_09.JPG 鎌谷徹太郎_08.JPG 鎌谷徹太郎_07.JPG

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そして、もっとも大きな作品がとにかく凄まじい!
ほぼ赤が基調となっていながら、そこにはいっそうカラフルな色彩が溢れ、その賑々しさに高揚させられます。
さらにひとつひとつの花になんともキュートな顔が徹底して描き込まれていて、その表情がひとつひとつ違っていることの面白さや、またさらに他の作品と異なる生命のイメージが沸き起こっているように感じられるのにも圧倒されます。
ポップでありながらも相当にシュール、そういう雰囲気が痛快極まりなく、楽しいイメージに満たされます。


鎌谷徹太郎_05.JPG 鎌谷徹太郎_04.JPG 鎌谷徹太郎_03.JPG 鎌谷徹太郎_02.JPG

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Exchange Osaka→Tokyo 鈴木崇、立花常雄
SANAGI FINE ARTS
東京都中央区日本橋茅場町2-13-8 第一大倉ビル1F
03-5640-6882
1/15(土)〜2/5(土)日月祝休
12:00〜19:00

大阪のThe Third Gallery Ayaとの共同企画、同ギャラリーで発表されているふたりのアーティストの作品が展示されています。
鈴木崇さんと立花常雄さん、それぞれの写真に広がる気配が印象的です。カラー写真で身近な風景をユニークなフォーカスで捕らえ、おぼろげな気配の広がりを生み出す鈴木さんの作品群は蜃気楼のような風合いが興味深く、立花さんは入手した古いポジフィルムを敢えてぼやけさせてプリント、さらに画像の中心に1本線を入れることでそこに現れる場面に物語性がもたらされているような感じが印象的です。



小林且典展 フィスカルス村滞在記録 ー風景と静物ー
森岡書店
東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 第2井上ビル305号
03-3249-3456
12/21(火)〜1/15(土)日・12/30〜1/6休
11:00〜19:00
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最終日に滑り込みで拝見、スペースが持つ渋い雰囲気に実によく合っていて、こわれたレンズで撮影される情景の幻想的な気配がいっそう心に豊かに響いてきたように思えます。


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今回の個展ではちいさな写真作品を並べ、その淑やかさが空間的な余白が醸し出すあたたかな雰囲気と相まって、やさしく緩やかに観るものの感性を包み込んでくれます。
モノトーンの写真の中に佇むように広がっている場面の大人びたかわいらしさは画面が小さいことで独特の深みが増し、その世界に意識も入り込んでいきます。


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今回撮影されたものは木彫りの壷状のちいさな置物で、それらもスペースの随所に展示されていて、またそれがなんともかわいらしく。。。
手捻りのブロンズの置物とはまた異なるあたたかみに触れ、和やかな気分が広がります。


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淡々とした静謐、そこに満ち溢れる温もりがなんとも心地よく感じられた次第です。


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リニューアルオープン展 再生 -Regenerate-
GALLERY MoMo Ryogoku
東京都墨田区亀沢1-7-15
03-3621-6813
1/15(土)〜2/26(土)日月火休
11:00〜19:00
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リニューアルオープンのGALLERY MoMoの両国のスペース、これまであった細長いスペースから一変し、およそふたつの方形がくっついたような空間へと生まれ変わっての最初の展示。ゆったりとした広がりがもたらされ、また広さ自体も充分に保たれていて、これからここで観られる展示も楽しみになってきます。
そしてそのお披露目の展示、お馴染みのアーティストの作品がずらりと並んでいて壮観、フレッシュな個性が溢れ、賑やかな雰囲気が楽しいです。それぞれがポジティブな世界を展開しているのも嬉しく感じられます。



Ryan Gander「Ftt, Ft, Ftt, Ftt, Ffttt, Ftt, or somewhere between a modern representation of how a contemporary gesture came into being, an illustration of the physicality of an argument between Theo and Piet regarding the dynamic aspect of the diagonal line and attempting to produce a chroma-key set for a hundred cinematic scenes」
TARO NASU
東京都千代田区東神田1-2-11
03-5856-5713
1/15(土)〜2/12(土)日月祝休
11:00〜19:00

3つの空間で異なるインスタレーションが展開されていて、それぞれから感じ取る「気付き」が知的な痛快さをもたらしてくれます。
もっともインパクトのある一番手前の空間の殺伐とした静けさ、ひとつひとつの気付きがヒントとなって次々とさまざまな発見がもたらされる2番目の空間、淡々と2面のフィルムがコーナーに映し出されていく最後のスペースと、それぞれの気配の差異も大きく、そのバリエーションの幅広さにも感じ入ります。
じっくりと対峙したい展示のように思えます。



田内万里夫 ”Mario曼陀羅 展“ & 嶋本丈士 Joji’s Photo展
TOBIN OHASHI GALLERY
東京都中央区日本橋横山町1-4
03-5695-6600
1/8(土)〜2/10(木)月火休
13:00〜19:00
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ふたりのアーティストの個展がひとつのギャラリーで開催されています。
田内万里夫さんはこれまでも折に触れて拝見していますが、今回のキャンバスの作品で展開されている鮮やかな色彩感がとにかく痛快です。もとより紡ぎ出されている何らかの菌を彷彿させるような有機的なモチーフがさまざまな色彩で描かれ、そのさわやかさが新鮮です。そして大きな紙を支持体とした作品も圧巻、こちらはいつも以上の線の鋭さがお馴染みの有機的な気配に緊張感をもたらしているように思えます。



塙将良「ハナワンダー -解放-」
ZENSHI
東京都千代田区神田岩本町4
03-6206-8078
1/15(土)〜2/19(土)日月火休
12:00〜19:00

この空間はこういう煽るような賑々しい展開が実によく映えます。
主にクレヨンを用いて描かれたタブローが壁を覆い尽くし、また外側に絵が描かれた段ボール箱が雑然と小高く積み上げられて、そのボリュームに圧倒され、クレヨンの濃厚な質感が醸し出すあたたかい気配にも引き込まれます。
刹那的というか、溢れる衝動をそのまま注ぎ込んだような濃厚な世界観がとにかく強烈です。



GOOD NIGHT MIHOKANNO
アキバタマビ21
東京都千代田区外神田6-11-14 3331Arts Chiyoda 201・202
03-5812-4558
1/15(土)〜2/13(日)火休
11:00〜13:00、14:00〜19:00

昨年のTWS渋谷での展示のインパクトも凄まじかったMIHOKANNO、今回は展覧会のタイトルに「Good Night」、おやすみなさいと添えられていることもあり、全体的に夜を思わせる雰囲気が広がっているのが印象的です。
大城絢さんのシュールなアニメーションの冒頭の西洋の城を手が這う場面の何とも言えない面白み、榎倉冴香さんは現在開催中の個展での展開とはまた異なる、樹木を描いたペインティングが妖しさと静けさを奏で、山本修路さんはこれまでの緑の作品から一転、モノトーン松の情景がただならぬ暗さを醸し出していてその深みにも感じ入る次第。またCOBRAさんと松原壮志朗さんはそれぞれ際どい世界観を強烈に届けているあたりに凄まじいエネルギーを感じます。
そして直近に個展を控える福永大介さんの光の揺らめきが風景の輪郭を表すような独特の気配に満ちたペインティングを1点発表されていて、そちらも嬉しい限りです。



福嶋さくら "from yesterday"
Bambinart Gallery
東京都千代田区外神田6-11-14 アーツ千代田3331B107
03-6240-1973
1/15(土)〜2/6(日)月火休
11:00〜19:00
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ほんのりと染まるキャンバスに刺繍でさまざまなモチーフが描き出される、というユニークな作品が並び、ふわりとした色彩感と刺繍糸の優しい色合いとで、温もりに溢れたなんともかわいらしい世界を奏でています。
表現されるモチーフも多彩で、部屋のなか、公園、綿毛が飛ぶ空、サンドイッチなど、そのひとつひとつがやわらかな魅力とほんのり寂しげな気配を持ち合わせているように思えます。



GROUP SHOW:極並佑・近藤亜樹・英ゆう・龍門藍
imure art gallery | tokyo
東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第三ビル4F
03-6547-5258
1/15(土)〜2/12(土)日月祝休
11:00〜19:00
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4名のアーティストの作品をパッケージ。
太い稜線で人物の姿などを描き出す極並佑さんの作品は背景に新たなアプローチが繰り広げられているのが面白く、またはじめて拝見する近藤亜樹さんの独特の混沌とした世界にも惹かれます。
龍門藍さんのお馴染みのジャポネスクワールド、個展も拝見している英ゆうさんの独特の濃厚な密度など、バラエティに富んだ構成が楽しいです。



堀藍 "物有引力"
Ohshima Fine Art
東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第三ビル3F
03-3235-2271
1/15(土)〜2/5(土)日月火祝休
13:00〜19:00
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余白をたっぷりと備える銅版画。堀藍さんの真骨頂とでも呼びたくなるような、実にのんびりとした、ふわふわとしたコミカルな情景が描き出されていて和やかな気分に浸らせてくれます。
皿回しのシーンを描いた作品群や、工事現場などの作品など堀さんらしいバラエティの広がりも痛快です。



窓と物語 windows and the stories
waitingroom
東京都渋谷区恵比寿西2-8-11 渋谷百貨ビル3F
03-3476-1010
1/15(土)〜2/19(土)金土月のみ
13:00〜19:00(月:17:00〜23:00)
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国内外の5名のアーティストの作品をパッケージ、バラエティに富んだクリエイションがひとつの空間に配され、それぞれのテンション感の差異も興味深く思えます。
Darina Karpovさんのペインティングがなかでも興味深く感じられた次第。ひとつの画面に用いられる色彩は比較的多く、焦燥感を煽るようなアグレッシブで刹那的な抽象世界が展開されていて、そのアバンギャルドな気配に引き込まれます。
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2011年01月10日

〜1/8のアート巡り

〜1/8のアート巡り mirror

■ 1/7 Fri
青木千絵 −URUSHI BODY−
INAXギャラリー
東京都中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA 2F
03-5250-6530
1/7(金)〜1/28(金)日祝休
10:00〜18:00
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漆芸で表現される人の肢体と抽象の造形とのハイブリッド。
徹底的に磨き上げられた文字通りの漆黒が、とてつもなく重厚な妖しさを醸し出しているように思えます。
たった3点の作品で作り上げられた空間は高貴な静謐で満ち、それぞれの作品同士の映り込みもまたこのインスタレーションに深い美しさをもたらしています。
そして、このサイズの表面の研ぎ出しの仕事量に思いを馳せ、この空間のために費やされた時間と精神とのとてつもなさにも感じ入ります。



白石綾子
Galley Q
東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3F
03-3535-2524
1/7(金)〜1/22(土)日休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
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GALLERY b.TOKYOでの個展が印象に残っている白石さん、そのときにも展開されていた、柄が入った布地を支持体に採用したペインティングを中心に今回の個展も構成されています。
大作から小品まで、またなかには鉛筆を用いた作品や柄が入らないし自体を用いたものまでバラエティに富んだ構成で、そして柄の華やかさとは裏腹に暗いモノトーンの印象が強い情景群から独特の温度感の色香が奏でられ、その気配に静かに意識が沈み込んでいきます。



俵萠子展
Oギャラリー
東京都中央区銀座1-4-9 第一田村ビル3F
03-3567-7772
1/7(金)〜1/16(日)
12:00〜20:00(日:〜15:00)
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濃いグリーンが印象深い俵萠子さんの抽象画。
それは今回も重く保たれつつ、これまでの印象と比較するとそれぞれに風景のような感触がもたらされ、全体の広がりや奥行き感がより豊かに、ダイナミックに感じられます。


俵萠子_14.JPG 俵萠子_13.JPG 俵萠子_12.JPG 俵萠子_11.JPG

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その一方で、ミニマムな視点で捉えたときに、そこに現れる複雑なマチエルの面白さ、絵の具の盛り上がりの立体感や画面の表面を垂れて這う痕跡が導き出す抽象的な現象にも引き込まれます。
全体の情景がおおらかになり、壮大なイメージが届けられているぶん、その作品における実際の立体的な感触が導き出す複雑なテクスチャーが、アグレッシブな気配をいっそう強くしているように思えます。


俵萠子_09.JPG 俵萠子_08.JPG 俵萠子_07.JPG 俵萠子_06.JPG

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小品でも雄大な感触はしっかりと展開されているように感じられます。
むしろこちらのサイズのほうがより風景画的な感触が奏でられているのも興味深いです。


俵萠子_04.JPG 俵萠子_03.JPG

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偶然性に頼ることの多い抽象表現でのオリジナリティの表出は、抽象表現を受け取る側のそのときの感覚にも左右されるだけあって思った以上に大変だろうと想像するのですが、ひたすらに独特の深く濃い緑の色彩を保ちながら重々しい世界を展開する俵さんのストイックなスタンスにもあらためて感じ入った次第です。


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西田菜々子展
OギャラリーUP・S
東京都中央区銀座1-4-9 第一田村ビル3F
03-3567-7772
1/7(金)〜1/16(日)
12:00〜20:00(日:〜15:00)
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京都市立芸術大学での卒修制展、そのあとに開催された名古屋での個展も印象に残る西田菜々子さんの東京での個展。絵の具の艶やかさが残るペインティング、そのなかに織り込まれるユーモアがさまざまな面における絶妙な緩さを伴いながら表現され、登場するモチーフのどこか飄々とした感触がなんとも楽しく感じられます。


西田菜々子_15.JPG 西田菜々子_14.JPG 西田菜々子_13.JPG 西田菜々子_12.JPG

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大作ではよりバラエティにとんだアプローチが大胆に繰り出されていて痛快極まりないです。
手前の樹木の浸食し合うような色彩の広がり具合、カーブミラーや路面標識、家々のシャープな輪郭、比較的律儀に表現される影、そして画面左上方のさわやかな青で展開されるファンタジックな空間。異なるテイストの要素がひとつの画面に配され、なんとも不思議なテンションが生み出されています。


西田菜々子_10.JPG 西田菜々子_09.JPG 西田菜々子_08.JPG 西田菜々子_07.JPG

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水彩の作品もまた味わい深い。。。
飄々としたタッチは身近な水彩絵の具の風合いによっていっそう軽やかに感じられ、その場面からあったかい空気の感触が届けられるように思えます。


西田菜々子_05.JPG 西田菜々子_04.JPG 西田菜々子_03.JPG

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マチエル自体はペインティングらしさが充満しているように感じられ、そういったテイストで描かれる世界や情景はなんだか軽やかで、さらに程よいシュールさも備わっていて、ふわふわとした楽しい気分で満たされるのが心地よいです。


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第5回shiseido art egg 藤本涼展 <かすみを食べて幻視する。>
資生堂ギャラリー
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビルB1F
03-3572-3901
1/7(金)〜1/30(日)月休
11:00〜19:00(日祝:〜18:00)
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これまでもさまざまな空間やシチュエーションで拝見している藤本涼さんが、今年のshiseido art eggの一番手で登場。
ゆったりとした容積を誇る空間にずらりと並べられた写真作品群、初見のものはむしろ少ないのですが、だからこそ今回のインスタレーションのすばらしさが実感できるように思えます。
もとより繊細な暗さと曖昧な気配を奏でる世界観。もやもやとした感覚を伴う独特の静けさが、高い天井によって澄んだ気配感で満たされる空間にしっとりと響き、蜃気楼のような届かない風景に意識だけが吸い込まれていくような、なんとも不思議な感覚がいつも以上に強くもたらされます。

奥まったスペースには新しい展開の作品が並びます。
全体的にモノトーンに近い配色に抑えられてきた印象がありますが、その一角にはふわりと曖昧に滲むようでありながらもひときわ鮮やかな色彩が広がる写真作品が並び、またそこだけ明るい照明であることも相まって、また異なる雰囲気が送出されているのも印象的です。
できることならひとりだけで体感したい空間のように思えます。



■ 1/8 Sat
増子博子「盆栽サピエンス」
Gallery Jin Projects
東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F
03-5814-8118
1/8(土)〜1/29(土)月火休
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
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これまで制作されてこられた盆栽画から、今回はその「鉢」に着目、という意表をつく展開、それだけもし事前に知っていたら「いったいどうなるんだろう」とk隊と心配が入り交じるのですが、実際に拝見するとさらにどっしりと力強く奏でられるスケール感に心配は一瞬で霧散し、よりおおらかでコミカルに繰り広げられる情景群に楽しまされます。
むしろこれまでの盆栽画のほうが展開の自由度は高いです、しかしそれをむしろ逆手に取って、ほぼ決まったかたちにさまざまなパターンを紡いでいくことで、痛快な混沌感にまたひと味違う面白みが加増しているようにも思えます。
昨年の群馬青年ビエンナーレに出品されたという大作がとにかく圧巻!



#005 心ここにあらず | 藤原彩人
3331 Gallery
東京都千代田区外神田6-11-14
03-6803-2441
1/8(土)〜2/7(月)火休
12:00〜19:00
藤原彩人110108.jpg

佇む3体の人物の陶芸作品。それらが作り出す気配と、ひとつの作品にもたらされるバラエティにとんだ表層の質感、そして何より自立していることに感じ入ります。
釉薬の光沢や細かいクラックなどがそれぞれのテイストを引き立て合い、部分ごとの風合いに魅せられます。加えてどこか達観したような、淡々とした佇まいと表情にも引き込まれます。
ほか、一昨年の展示などでも展開された壁面の作品なども。陶芸表現の懐の深さや可能性を感じさせてくれる構成も印象的です。



TWS-Emerging 153 池田衆「trivial today, transient tomorrow」
トーキョーワンダーサイト本郷
東京都文京区本郷2-4-16
03-5689-5331
1/8(土)〜1/30(日)月休(祝日の場合開館、翌火曜休)
11:00〜19:00
池田衆110108.jpg

トーキョーワンダーウォールで拝見したときにも、やはりその緻密な仕事によって印象に残る池田衆さんの作品。
写真に細かいカットを施すことで、そこに現れる情景とカットされて得られるシルエットといったふたつの景色がひとつの平面上に重ねられて不思議な空間を送出しているように思えます。
手前のスペースに展示されたちいさなスクエアに切り刻まれた写真を再構築した作品も圧巻。
行われる仕事自体に対する新鮮さこそ強くはないものの、創出される気配や確かなスキルなどに独自性を感じます。



TWS-Emerging 154 江口綾音「フワ・モコ・サラサ・ラ」
トーキョーワンダーサイト本郷
東京都文京区本郷2-4-16
03-5689-5331
1/8(土)〜1/30(日)月休(祝日の場合開館、翌火曜休)
11:00〜19:00
江口綾音110108.jpg

画面上に盛り上がる絵の具の立体感と濃厚さ、ひとつの盛り上がりにいくつもの色彩が重ねられているようで、そこに溝状に引かれる線からはさまざまな色が混ざり合って複雑なテクスチャーを生み出していて、その質感に惹かれます。
絵の具の生々しさも相まって、用いられる色彩もより濃く強く感じられ、そういった風合いで描き出される情景には動物が佇んでいたりして、絵の立体的なインパクトとともに不思議なかわいらしさが感じられるのが面白いです。



TWS-Emerging 155 坂根輝美「Schizophrenia」
トーキョーワンダーサイト本郷
東京都文京区本郷2-4-16
03-5689-5331
1/8(土)〜1/30(日)月休(祝日の場合開館、翌火曜休)
11:00〜19:00
坂根輝美110108.jpg

昨年のULTRA003に参加していただいた坂根輝美さんの個展。絵の世界観がしっかりしているだけあって、ソロで空間が作り上げられるとその雰囲気もいっそう深く感じられます。
グロテスクな肖像を描きつつもそこにむしろ男性的な格好良さを思い起こさせるモチーフを織り交ぜ、艶かしいのとは異なる濃い妖しさが放たれているように思えます。そして何といっても、その「線」の過剰なほどの繊細さにあらためて魅せられます。



『西野達 別名 大津達 別名 西野達郎 別名 西野竜郎』西野達作品集出版記念展
ARATANIURANO
東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A
03-3555-0696
12/17(金)〜1/8(土)日月祝・12/26〜1/5休
11:00〜19:00

最終日に滑り込みで拝見することができました。
で、なんだかこのスペースは毎回大変だなぁ、と同情してしまうほどに今回も空間全体での作り込みが強烈なインスタレーションが展開されていて呆然、赤いカーペットが敷かれて前回とは一気に異なるヴィヴィッドな雰囲気で満たされていたのが痛快で。
ギャラリー内で制作されたというゲーム台上の盆栽やら、豆腐の仏像しょうゆの後光の一連の作品の強烈な世界観、そしてどうしようもなく面白かったのが東京タワーの写真に落書きした作品群で、そこに繰り広げられるユーモアは何せ「あの」西野さんが考えられたことだと思うとその壮大さが具体的に思い浮かんで楽しいことこの上なく。
例の「天井と電柱」のインスタレーションと比べるとインパクトはさすがに大人しめですが、それでも充分に強烈でした。



大源麻友 個展
アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
03-3538-0160
1/8(土)〜1/15(土)日休
11:00〜19:00(金:〜21:00、最終日:〜17:00)
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GEISAIや羅針盤でのグループショーなどで拝見し、その細やかな描写と鮮やかな彩りが印象的な大源麻友さんの個展。
まずは圧巻なのが巨大な曼荼羅図。これがすべてひとつひとつ描かれているから、そこにいる観音様の表情や仕草が微妙に違っていてまたいちいち味わい深く、さらにけっこうユーモアも織り交ぜられていたりするので眺めていてひたすら発見がもたらされるのが楽しいです。
伺うと曼荼羅の構図としての標準はしっかりと保たせて描いているそうで、それをこの精度で再現することでこの世界へのリスペクトを強く提示し、一方でどこかインチキくさい(言葉が良くなくてすみません...)感じがさらに面白さを加増させているように思えます。


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金魚をモチーフにした作品も、その鮮やかな色使いと高い具象表現のスキルが遺憾なく発揮され、またさまざまな紋様の美しいリズム感なども相まって、独特の「穏やかな華やかさに魅せられます。


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さらにユニークな世界観が静かに漂い、そこに現代的なユーモアを織り交ぜた作品なども。
渋い色調を背景に広げ、古めかしい気配をしっとりと溢れさせておきつつ、そこにトランプといった西洋のモチーフをちりばめたり、ひときわその鮮やかさ、明るさが引き立つ色彩を投入したりと斬新なアプローチが繰り出されるのも痛快に思えます。


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一方で、本格的な観音様を彷彿させる作品も。
すらりと画面を走る線のシャープで凛とした風合い、美しいシンメトリックな構成、全体的にくすんだ色調が醸し出す古めかしい幻想的な気配など、現在と記憶とをさまざまなイメージが行き交い、深い気配に意識も沈んでいきます。


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さまざまな面に置ける繊細さに魅せられます。
古来からのモチーフをていねいに再現し、そこに現代的な感覚が注がれることで生み出される緊張感と痛快さが堪らなく思えます。
もっといろんなスタイルの作品を拝見してみたいアーティストです。


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再読 vol.1 -佐藤栄輔展-
GALLERY MoMo Roppongi
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
03-3405-4339
1/8(土)〜2/5(土)日月火休
11:00〜19:00
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今回の個展はこれまで発表された作品を一挙に展示、佐藤さんのユニークでキッチュな世界がずらりと並ぶ様は壮観です。
キャンバス上に均一に絵の具が塗布されるペインティングの「もの」としての美しさ、スマートさは以前から保たれていることが分かるのも嬉しく、またそれとは別に結構実験的なアプローチの作品もあったりして、展開されてきた世界の変遷にも興味がわいてきます。



ignore your perspective 11
児玉画廊|東京
東京都港区白金3-1-15-1F
03-5449-1559
1/8(土)〜2/12(土)日月祝休
11:00〜19:00
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フレッシュなクリエイションをグループショー形式で紹介するお馴染みの企画。関口正浩さんと田中秀和さんを除けば東京では初のレコメンデーション、それがとにかく嬉しいです。
京都の個展がとにかくすばらしかった八木修平さんの新作、さすがに個展で発表されたサイズと比較すると小振りではありますが、それでも充分に引き込まれる密度に感嘆。同じく昨年末の個展が印象的だった堀川すなおさんは、また異なるテクスチャーの作品を並べ、展開される図形的な情景、その格好良さに魅せられます。
和田真由子さんは京都での同企画では立体でのドローイング作品を発表されていましたが、今回はもうひとつの展開である平面のなかで立体を築く作品が並び、その独創的な視点に興味が湧いてきます。そしておそらくはじめて拝見する杉本圭助さんのドットの展開、むしろシンプルで明るいアプローチながらもどこか奇妙な雰囲気が満ちているのが不思議に思えます。



Tomoo Gokita, Hiroki Tsukuda, Rinus van de velde BW
NANZUKA UNDERGROUND
東京都港区白金3-1-15 SHIROKANE ART COMPLEX 2F
03-6459-3130
1/8(土)〜2/5(土)日月祝休
11:00〜19:00

タイトル通りにモノクロームで独自の世界を展開する3名のアーティストがパッケージされたグループショー。床まで白い明るい空間にモノトーンはホントによく映えます。
このスペースではお馴染みの佃弘樹さんは建築的なモチーフの作品とともに久々に人物を描いた作品も発表され、硬質な艶かしさが生み出されているのが堪らなく感じられます。Taka Ishii Galleryでの個展がとにかく印象深い五木田智央さんは今回はドローイング作品を中心に出展。シンプルに描かれる大判の作品から奏でられる、やはり硬質な妖しさや、小品群の作品ではさまざまなテンションが各々のスピードで意識射し込んでくるような感触などが痛快です。そしてRinus van de veldeさんの大作の、それぞれに具象性が強くもたらされながらも木炭のテクスチャーのもわっとした曖昧な風合いが不思議な雰囲気を感じさせてくれたりと、それぞれにバラエティに富んだ気配が生み出されて、それらが混ざり合ってさらに独創的な世界が構築されているように思えます。



立石大河亞個展「音雷韻走査」
山本現代
東京都港区白金3-1-15-3F
03-6383-0626
1/8(土)〜2/5(土)日月祝休
11:00〜19:00

4点の大作を並べた、年始にふさわしい賑々しい雰囲気溢れる回顧展。
とある企業に収められていた3点の作品は、機会や図形などの未来的なイメージを彷彿させるモチーフがふんだんに織り交ぜられ、またそれぞれのトーンが微妙に違っているのもまた面白く感じられます。
以前このスペースで開催されたグループショーで拝見した小品の、「静かなダリ」という風合いが印象に強く残っていることもあって、今回拝見する大作のボリューム感、スピード感に圧倒された次第。ひたすらにエネルギッシュで、そこに和のテイストも注がれる独特の世界観。相当に初期の戦争をモチーフに描いた賞hんなどもあり、見応え充分です。
posted by makuuchi at 10:11| Comment(0) | TrackBack(0) | mini review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする