@GALLERY ef
東京都台東区雷門2-19-18
10/19(金)〜11/4(日)火休
12:00〜21:00

J.P.Hol "FORGOTTEN"
@GALLERY ef
2-19-18,Kaminarimon,Taito-ku,Tokyo
10/19(Fri)-11/4(Sun) closed on Tuesday
12:00〜21:00
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イタリア在住のオランダ人アーティスト、J.P.ホルさんの個展です。
GALLERY efの心地よい落ち着きに満ちた静謐な空間で、1階はインスタレーション、2階では映像作品が展示されています。
事前のインフォメーションなどを拝見していて、今回の展覧会はずいぶんかわいいものになるのかなぁ、と予想していたのですが、実際に拝見するとむしろ大人の雰囲気が充満しているように感じられます。
もっというと、アバンギャルド。
この感覚は、ふと耳に届くトイミュージックは軽やかに心地よく感じられて和めるけど、そのミュージシャンの音楽をアルバム1枚分まるまる対峙したらかなり難解なイメージが膨らんで嵌まった、というのに似ています。
1階のスペース。
足を踏み入れた瞬間に、シュールな緊張感が迫ります。
頭部のみがかわいらしいキャラクタリスティックな動物の顔に変えられた剥製によるインスタレーション。
華やかな羽を纏う鳥たちの美しい姿と頭部とのギャップは相当にシュールです。そのギャップを、射すようなスポットがぐんと引き立てています。
空間の中央に凛とした姿の雉。
ほか、巣を作るように壁のそこかしこに集まっています。
イージーな風合いと、剥製による究極のリアリティ。
さらには、これらがもともと生きていたことを実感させることも、この空間に広がるアバンギャルドな雰囲気に拍車を掛けているよう思えます。
いつも使う「かわいい」では表現できない感覚です。
2階の映像インスタレーション。
こちらでは、モニター3台で、それぞれ異なる映像が同時に上映されています。
最初は同じ映像が時間をずらして流れているのかなと思いきや、それぞれに異なるタイトルも付けられていて、曖昧ですが主役も違ったり、いなかったり...。
さまざまな素材=で作られたキャラクターが登場するアニメーション。
ヨーロッパの街並を思わせる風景や暖炉のある部屋の内装など、和の空間とのギャップも映像作品のキャッチーな感触を引き立てます。
それぞれの作品の時間ほぼ同じ長さだと思われますが(数分です)、それぞれの画面に目をやりながら眺めていると、ひとつの作品にタイトルが現れているときに別の画面では物語が展開中というのが続くこともあり、エンドレスな物語が延々と綴られていくような錯覚を覚えます。
さらに、それぞれの作品の物語の時間の経過もよく思い返すとけっこう差があったりするのも、ここで体感する時間の歪みに影響しているかもしれないです。
他、カフェスペースの壁面やショーケース、2階の壁の棚などにも作品が展示されています。
確かにアバンギャルドな印象を受けたのですが、同時にやっぱりほっこりと和める、後味も心地よい展覧会です。
ギャラリーに置かれている資料の中のホルさんへのインタビューも面白くて、読むとこちらのインスタレーションに込められたメッセージやイメージをより実感できるような気がします。