@東邦アート
東京都中央区銀座8-9-13 銀座オリエントビル2階
10/15(月)〜10/27(土)日休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)

PASSION FLOWER Kotaro Fukui exhibition SERIES FLOWER Vol.3
@Toho Art
8-9-13-2F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo
10/15(Mon)-10/27(Sat) closed on Sunday
11:00-19:00(last day:-17:00)
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花のかたちを借りて表現される、壮大な世界。。。
東邦アートでの福井江太郎さんの個展です。
一昨年から3年連続で企画された「花」のシリーズの最終章。画面いっぱいに花弁を広げ、圧倒的な存在感を力強く放つ花の姿がダイナミックに描かれた作品が、薄暗い照明の中に浮かび上がる空間。
作品の中に登場する色の数は、絵の具の単位で勘定すると極めてシンプルです。
おそらくひとつの作品について、ふたつ、おおくて3つの色の数。
背景となる支持体の色も含めても3つ、あるいは4つ。。。
しかし、そのシンプルな色彩で繰り広げられる世界は実に壮大です。
たおやかに、おおらかに描き出される花弁の曲線のなめらかさ、花の中央部の細やかな描写。
すべてをコントロールできない、衝動的、情動的な何かを激しく画面に叩き付けるように繰り出される色彩の飛沫。
この相反する風合いによって生み出されるコントラストが、花の絵を花のイメージだけに留めさせず、そこに込められた宇宙の壮大さを、そして凝縮されるエネルギーの力強さを感じさせてくれます。
また、今回の作品に用いられた「黒」の美しさも印象的です。
照明を受けて輝く細かな粒子が混ぜ込まれた墨。その濃淡によって絶妙に描き上げられるグラデーションの深み。
濃く重なる部分では、粒子の輝きがその黒の色面にどこまでも遠くへと続いていくような深遠さを発し、薄く染まる箇所は儚げに果てなく広がるようなイメージが思い浮かんできます。
「花」のシリーズの最初の破壊的な風合い。画面に盛り上がる黒の塊が重々しく放つアグレッシブな力強さ、激しい熱さ。
昨年の、豪勢に張り巡らされた金箔を背景に可憐に咲き乱れる花菖蒲。遠い時代へとおおらかに馳せる思い。連綿と続く時間の壮大さ。
そして今回のダイナミックに描かれる花。画面から溢れる迫力と、どこまでも広がる、広がり続ける宇宙。
もちろん、それぞれが福井さんにとっての「名刺代わり」とも言えるオリジナリティ溢れるモチーフとなっていますが、そこに表現される大きな世界観に、あらためて圧倒された次第です。
これまでと同様に、「現在」を実感し、同時にさまざまな時間、空間へとイメージを広げながら味わいたい世界です。