@Takuro Someya Contemporary Art
千葉県柏市若葉町3-3 TSCA KASHIWA
4/21(土)〜5/27(日)月火水、5/10〜5/12休・4/30開廊
12:00〜21:00
SPARK!!!
昨年のGallery Qでの個展や、今年最初のTSCAのショーケースなどで作品を拝見しているタムラサトルさんの、満を持してのTakuro Someya Contemporary Artでの個展に行ってきました。
入口を入るとまず、その吹き抜けのスペースでさっそく...
SPARK!!!
天井から吊り下げられた砲丸、その先に接点となる金属の棒が取り付けられ、床に置かれた円形の大きな金属板の上を揺れる砲丸が通過するたびにその先の棒が床面に接触するというダイナミックな作品がいきなり展示されています。
接点部分が接触するたびに、その傍に床置きされた電球が光り、瞬間の接触だとその灯りも一瞬灯り、砲丸の振幅が狭くなって円のなかを棒が引きずられるようになると煌々と明るく光ります。
その引きずられる棒の様子は、これだけ機能のみを追求された出で立ちの作品のなかにあって妙に有機的で、眺めているとだんだんと和んでくるから不思議。
階段を昇ると今度は、回転する接点が。
1分置きに回転と停止とを繰り返し、ふたつの円形の金属板に接触する瞬間とその内側を引きずるところで火花が散っています。
もちろんこちらにも電球が。
回転中、ぱんぱんに光を放ちます。
接触部分の「ジー」というノイズ、さらには接触面にぶつかる瞬間の「ガン!」というノイズもかなりのインパクト。
これだけ大掛かりでありながら、肝心なところが究極的にアナログなのがまた面白くて、愛嬌もあるように感じられるんです。
続く細長い空間では、Gallery Qでの個展にも出展されていたものをこの空間のために再構築された作品が。
要は全体を延長しただけではあるのですが、チェーンに引きずられて向こうまで行って還ってくるという単純な仕組みでありながら、その時間が心地良くて。
もちろん電球も。
ただ整然と並べてあるだけなのに、この姿にも愛着が湧いてきます。
棒が細長い板を引きずった痕も生々しく残ります。
こちらも例に漏れずアナログな仕組みですが、その単純な構造が醸し出すどこか不器用な感触が面白いんです。
最後のスペースでは小品が、壁と台とに並んで展示されています。
展示されている大きな作品のミニチュア版のような作品も。
そして、それぞれの設置部分が放つ火花は線香花火のようにちりちりと地味で、接地している時の「ヂー」というノイズも実に小さいのですが、それがまたかわいいんです。
壁掛けで、回転するディスク部分の接点に起こる火花。
吹き抜けのところに展示された作品のミニチュア版。
振り子の揺れがちょっとせわしなく感じるのもご愛嬌。
壁掛けで、階段を昇った最初のコーナーの作品のミニチュア版。
大きな作品ほどの派手さこそないものの。そこに起こる実に小さなスパークが何故かいとおしくて。
台上の作品で、先の曲がった接地部分が金属面を回転していて、その痕がくっきりと残っています。
小さな丸みを帯びたそのかたちは、絶妙な美しさを放っているように感じるのです。
そして、そこでスパークする小さな火花をよりクリアに見えるように、電球の灯りを遮る遮光板が取り付けられていて、それもまたなんともかわいらしい。。。
台上の作品、接地は回転するディスク。
このディスクはタムラさんの名刺代わりのユニークなクリエイションです。
タムラさんの今回出展された火花系の作品は、余計な装飾は一切なく、単純にスパークさせるための機能のみを考えて製作されていて、その潔さはホントに痛快です。
そして、例えば接触部分に取り付けられたラジエーターやある程度の可動範囲を確保するためのスプリング、ちいさな火花を見やすいように取り付けられた板など、その究極的なスマートさのなかにちょこちょとっと取り入れられるアイデアの面白さも見逃せません。
そうやって提示されるスパークの数々。
派手にバチンと弾けるものからチリチリと線香花火よりも地味なものまで、それぞれの一期一会の出会いも楽しく、エキサイティングでありながらほっと和める世界が繰り広げられています。
何より、このTakuro Someya Contemporary Artのたっぷりの空間でそれを体感できるのはホントにありがたいです。
たしかに都心からだとちょっと遠いですが、足を運ぶだけの価値があるエンターテイメントです!