@COOLTRAIN GALLERY
東京都港区六本木7-7-4 ハリントンガーデンB1F
4/11(水)〜4/23(月)火休
10:30〜17:00
できたばかりの東京ミッドタウンと国立新美術館のちょうど中間あたり、ちょっと入り組んだところにあるCOOLTRAIN GALLERY。
夜はジャズのライブハウスとして営業されている空間で、その準備が始まるまでの時間がギャラリーとして運営されているという、たいへんユニークな形態をとっているスペースです。
そこで開催されている佐原和人さんの個展に行ってきました。
ジャズの香りが漂うレンガ造りの壁が地下へと続く階段に配され、その降り切ったところにまず1点、佐原さんの作品が出迎えてくれます。
バーカウンターとソファがある空間。外は日が高くても、まるで夜。
ステージにはピアノ、ドラムセット、アンプ類が置かれていて、僕の場合にわかに別の血も騒ぎます。
ぐるりと見渡して、ソファの後ろの壁に展示されている大作に目が向かいます。
この空間に合わせて製作されたという作品。この位置に展示されることを前提にあつらえられたと思われる横長のコットン、そこに描かれているのは、ある記憶を辿り、時間の流れを現したような雰囲気が漂う風合いの絵。
横長の方形のなかにそれが何かを認識できるモチーフのシルエットが織り込まれ、その外側の色彩のスプレッドとのコントラストも美しいです。視線を移しながら作品を観ていると、なんだか映像を眺めているような感じがします。
さまざまなサイズの作品がこの空間の各所に展示されています。
街並み、林、歩く人々などのシルエットが、透明感がある赤や青などの軽やかな色彩で描かれています。なんともいえない揺らめき、夜見る夢のような曖昧な記憶のような風合いが、その色彩の重なりによって演出されているような気がします。
そのシルエットは例えば建物の窓枠なども実に精緻に再現されていますが、マスキングやステンシルの手法は用いず、すべて手描きとのこと。そのていねいさには驚かされます。
コットン地のやわらかな風合いが、どこか儚げな雰囲気をより引き立てているように思えます。
カウンターの中にも数点の小品が展示されています。
いろんなお酒のボトルやグラスが並んだ棚の間にちょこんと置かれた幻想的な風景が、壁のミラーと居並ぶグラスや瓶類が醸し出す夜の雰囲気に映え、見つけて嬉しいこの空間のアクセントとなっています。
そして、正面の壁で上映されているアニメーション。
これがまたすごく面白いんです。
延々と続く道路。滲んだ赤い空、あるときは青い夜空も現れて。
トンネルをくぐったり、断崖を通過したり。
この映像作品、手描きによるおそらく水彩の絵を取り込み、編集しているそうなのですが、そのコマ数が3200とのこと。
およそ20分の作品で、スピードが突然早くなったりする箇所も織りまぜつつ繰り広げられ、どこかほっこりと温かみを感じる絵に心を委ね、緩やかな時間が過ごせるような気がします。
くっきりと滲む独特の風合いで展開される佐原さんの作品が、この空間と調和してお互いに響きあい、心に残る素敵な展示となっています。
展示タイトルの「Hidden Window」、隠された窓というのもすごくいいなぁ、と。
その後の日程は大丈夫だったでしょうか?
(FC東京は無事勝利でしたね!)
それはさておき、素晴らしいレビューをありがとうございます!
写真もキレイですし、こんなにしっかり見ていただけて、本当に嬉しいです〜!
感じてもらえたら良いな、と思って制作したことを見事に汲み取っていただけてありがたい限りです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
おかげさまであのあとはつつがなく予定を粛々と。(粛々て)
こちらこそヨタ話におつき合いいただき、失礼いたしました(汗)
東京も何とか勝てたみたいで、ほっとしました。
レビュー、ご覧頂き恐縮です。
ホームページのほうに掲載されているおおきな壁画やパリでの展示の様子も観てみたいです!
こちらこそ今後もよろしくお願いします!