@ヴァイスフェルト
東京都港区六本木6-8-14コンプレックス北館3F
11/2(木)〜11/24(土)日月休
11:00〜19:00
凄い。本当に、凄い。
今年の6月に六本木のクラブで開催されたレントゲンヴェルケのパーティーでいち早く紹介された気鋭のアーティスト、斉藤邦彦さんの個展。
パーティーの時は照明が暗かったのですが、それでも画面の中に投入されている情報の多さは圧巻で、あの画面の広さが寸分の隙もなくミニマムなパルスで埋め尽くされているのに心底圧倒されて以来、この個展をすごく待ち遠しく思っていました。
さっそくオープニングの日に。
ギャラリースペースの入口に立っただけで暫し惚けてしまうほどの、そこから目に届いてくる光景の壮観さ。
右手に比較的小さめの作品が数点、正面に大きめのスクエアの作品が3点、そして左手には広大な面積を誇る大作が、その大きさのガラス板にラミネートされるかたちで展示されています。
なによりまずその色彩にやられます。「色」が、とにかくかっこいい。
例えば金属の錆だったり劣化してペンキが剥がれて表出した下地だったり、または砂漠や宇宙といった生命の存在を遠ざけている場所というように、生命の感触が伝わらないどこか冷徹で殺伐とした物体や光景を思い起こさせる色がそれぞれの画面に広がっています。
展示を見渡して届く色のイメージだけでも充分に、殺伐とした印象であるにもかかわらずポジティブなベクトルのイマジネーションがものすごい勢いで喚起されます。
それぞれの作品に接近、さらに圧倒的な世界へと意識が一気に引き込まれます。
ある意味ストイックささえ感じてしまうほどに徹底して画面の隅々まで広がり増殖するノイズ。この展覧会のタイトルが「現像『中』」であることを鮮烈に認識させられる、細かい線や飛沫の集合の異様なまでの生々しさ。実際にはそんなことはないはずですが、一瞬目を離したらもしかしたらそこは違う形態に変化してしまっているかもしれない、そんなスリリングなイメージも浮かび上がってきます。
とにかく尋常でないテンションです。
血管が凝縮したようにも見えたり、あるいはどこまでも続く風景、道の重なりのようにも思えたり。
目測では判別しかねるほどの細かさで複雑に線が入り組み凝縮した部分には、強烈な引力さえ感じます。
幻想的であり、激しく複雑な変拍子と音像の重なりで構成された重厚な現代音楽が奏でられているかのようです。
そういったミニマムな世界に真剣に対峙し、画面に顔をギリギリまで近付けていると、唐突に具体的な何かを思わせるものが現れます。
その出会いの瞬間はまさに衝撃的。
印象的なのが、いちばん大きな作品に現れているちいさな百合の花を思わせるような細かい無数の白いドット。23世紀のある場所、生命の息吹きがまったく感じられないような殺伐とした崖に咲く花。この美しさの際立ち具合はちょっと言葉にはできないほどで、強引に例えていうなら無機物から有機物が誕生した瞬間の感動に通ずるかも知れないです。
作品はサブスペースにも展示されています。こちらは小品。
ちいさな作品であっても、それらが奏でるリズムの複雑さは大きい作品と変わらぬ面白さ。
むしろちいさな画面が並ぶことで、バリエーションの多彩さに驚きます。
カンノサカンさん、内海聖史さんと続く、僕の中でいかにもレントゲンらしいミニマムな世界。
今観なければいけない展示のひとつとして全力で推します!
この展示は見応えありましたよね。
何でもまだとてもお若い方なのだとか…。
一体この次にどのような世界を見せてくれるのかも楽しみです。
p.s 今少しバタバタしているもので、
画廊巡りがうまく出来ていないのですが、
また落ち着いたら是非ご一緒させてください。
宜しくお願いします。
こちらこそご無沙汰してます。
斉藤さん、作り上げられる世界もそのための過程もユニークですよね。僕も今後が楽しみです。
またいろいろご一緒しましょう!