松嶋由香利「口にすると嘘になる呪文」
@児玉画廊|東京
東京都港区白金3-1-15-1F
03-5449-1559
7/2(土)〜8/13(土)日月祝休
11:00〜19:00
Yukari Matsushima "Casting a spell that becomes a lie once spoken"
@Kodama Gallery,Tokyo
3-1-15-1F,Shirokane,Minato-ku,Tokyo
03-5449-1559
7/2(Sat)-8/13(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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展示のたびにバラエティに富んだ世界をさまざまな筆致を繰り出しながら体感させてくれる松嶋由香利さん。しかし今回はさらにそれぞれの画面から放たれるスピードのイメージに幅広さが感じられ、これまで展開されてこられた華々しくも刹那的な感触も作品によってはむしろ遠ざかってまた新たな風合いが醸し出されているように思え、それもまた楽しく興味深いです。
比較的これまでの展開の続きを彷彿とさせる作品、ひとつの画面にたくさんの要素が散りばめられ、それぞれはまるでそこから光を放つかのようにどこか儚くて、しかしその瞬間を謳歌するかのような瑞々しさも思い起こさせてくれます。もわもわとテーブルの皿の上の魚の口から湧く画面のほぼ真ん中辺りを横切る黒のモチーフ、その緩やかな動きの風合いは星や花のかたちのさまざまな要素の絢爛さを際立たせ、また画面全体にも大きなうねりをもたらしているように感じられ、その気配に呑み込まれていきます。
奥の一角にも刹那的な感触がさらに鋭く表現されている作品が。しんしんと降る煌めく粒子、夜空に大きな弧を描く閃光、鮮やかな色彩を灯らせる草木、そこに首が外れた人形が佇んで、何だか不思議と怖さを感じないというか、ふっと虚空に浮かぶ頭部の様子さえもこの世界のひっそりとして麗らかな気配になじみ、神々しさが高められ、松嶋さんらしい孤高のファンタジーがよりいっそうの鮮やかな輪郭を伴って迫ってくる印象です。
細かく多彩な手描きのパターンがひとつの画面に展開されるのも松嶋さんの真骨頂、それをシンプルに押し進めて賑やかでリズミカルな作品も多く発表されています。かわいらしさと賑やかさとが絶妙の塩梅で収まっていて、そのころころとした雰囲気は相変わらずの楽しさです。
トーンが落とされてほぼモノクロームで展開される作品の気品にも魅せられます。
白地にふわりと乗る黒のうっすらとした風合いは水墨画の可憐さにも通じその静けさが心地よく清々しく響きます。
そこからさらに大胆な構図の展開へと。
細やかな描き込みとともに、画面を縦に覆う絵の具の質感も生々しい濃紺のストローク、さらには発破の瞬間を表したかのようなグリーンのメタリック色のモチーフのコラージュも施され、テクスチャーのギャップが絵の情景に不思議な緊張感をもたらします。
幾何学的な要素が黒地に散りばめられ、そこにさらに金色のストロークと飛沫が重なっている抽象的な作品も。思い返すと鋭い「かたち」がこれまでは作品のなかに多くは登場していないような印象で、しかし刹那的な風合いはむしろこれまでの展開と強く関わり合っているようにも思え、ある場面の一部をぐっと大きく抽出したかのような感じにさまざまな想像がよぎります。
ピンクや赤の鮮やかさがひときわ強いインパクトを放つ作品、犬みたいな頭部かたふわりと靡くオレンジ色の頭髪の結構な存在感に圧倒され、背景に這うように描かれる梅のような配色の花のどこかコミカルな感じも楽しくて、そして頭部の円形のレース模様が重なるコラージュ部分の湧くような感触にも意識が引き寄せられていきます。
さまざまな展開がひとつの画面に重ねて描かれたような作品まで登場し、いっそうその世界観も複雑に関わり合っていくように思えます。それぞれの層で流れる時間のスピードが違っている印象で、それがまた独特のおおらかさを導き出しています。
小品も小粒でぴりり、といった小気味よい痛快さがそれぞれから感じられます。
さまざまなかたちで遊び心もふんだんに織り込まれながら展開される独創的な世界、いままではひとつの風景や場面が大きく広く描かれていたように思えるのですが、今回の個展では一部はぐっと近付いたりと縮尺に変化や差異がもたらされているような印象です。
小沢さかえさんや長井朋子さんにも通じる壮大なファンタジーを感じさせる展開、これからどんな場面が現れるかも楽しみです。



個展にお越し頂き、このようにご紹介いただいてありがとうございます。
幕内さんのレビューを読むと、自分の予想していなかった感想があったりしてこちらも新しい発見があるので楽しいです。
これからもこのブログを楽しみに読ませて頂きます。
短いですが、お礼まで☆