コイズミアヤ展 組み立て/Overflow(コップの水があふれる様について)
@ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
03-3281-7808
7/23(土)〜8/6(土)日休
11:00〜18:30
Aya Koizumi exhibition "Overflow"
@Gallery Tsubaki
3-3-10-1F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo
03-3281-7808
7/23(Sat)-8/6(Fri) closed on Sunday
11:00-18:30
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これまでも折に触れてコイズミアヤさんの作品や展示は拝見していますが、箱などに庭のような空間がこまやかに作り上げられる展開に加え、作品自体が畳めたり組み合わせられて直方体に収まるといった動かす要素にいっそうの巧みさが持ち込まれていて、それぞれの静かな佇まいを目にしているだけでもいったいどうなるんだろう、というワクワクするような高揚がもたらされるのがとにかく楽しく、嬉しいです。
カウンター側の大きめの台の上に並ぶ3点の作品。平らな板の上に枠が立つように乗っている造形で統一されていますが、それぞれ枠の左右の部分は閉まるようになっていて、巧い具合にひとつの箱へと収められるように作られています。
それぞれの作品にはさまざまな要素が配され、階段や樋などの細やかな造形に魅せられるとともに、木目がほんのりと浮かんで残る程度に白く塗布されたことでそこにふわりと漂うやさしい気配に心がだんだんと落ち着いていくようでもあり...。眼前の滋味溢れる光景に静かに引き込まれ、その心地よさにしばし浸れます。
要素のひとつひとつはこれまで発表されてきた作品にも登場してきたようなかたちが多くて、そのことが記憶をゆっくりと引き出してくれて、ゆったりとした時間に心を委ねていく感覚にも満たされます。
さらに、やはり遊び心というか、そこにもとより備わるやさしいユーモアにも感じ入る次第です。そこにある光景には「遊び場」のイメージが寄り添っていて、それも楽しい気持ちを静かに盛り上げてくれます。
並ぶ4つの台にそれぞれ1点ずつ、同じ大きさの筒を基本にしたバリエーションの作品が展示されています。
それぞれ筒の内と外とを回廊や橋、階段が繋がりながら行き交っていて、ちいさな空間に意識を入り込ませてそのなかをイメージが彷徨っていくのも楽しいです。ひとつひとつの美しい造形にも魅せられ、すべてが図形的、幾何学的なかたちで一貫していながら、用いる木の素材感からか、どこかやわらかくてあたたかな雰囲気もそこから漂ってきます。
長い台に置かれる複数の要素。白が塗布されたものと木の色がそのままのものとが並べ置かれていて、台上でひとつの風景を作り上げています。
要素のひとつひとつの構造の美しさにも大いに魅せられるのですが、こちらの作品はそれぞれが組み合わさってひとつの長めの直方体に収まります。設置されているモニターにその様子が映し出されていてそれを眺めるとさらに楽しい気持ちが膨らみます。実際に触れて動かして組むこともでき(無論細心の注意を持ってですが)、見事に収まったときの嬉しさも堪らなかったり。。。
もう1点は、ちょうど伺ったときはほぼ収まった状態に。
収まったかたちから、そこにどんな要素が組み込まれているのだろうと想像するのもまた楽しいです。
それぞれの作品を拝見し、程よいテンション感というか、緊張感が強くもなくまた緩くなってもおらず、淡々としていて落ち着いた雰囲気が心にしっとりと響きます。構造としてはむしろ相当にシャープでストイックなのですが、そこにコイズミさんならではのたおやかさが潜んでいるようにも感じられます。