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2011年06月05日

review:高木久美 "VANITAS"《6/2》

review:高木久美 "VANITAS"《6/2》mirror

高木久美 "VANITAS"
ArchitectS Office
東京都中央区日本橋小網町16-16
03-5847-7785
5/27(金)〜6/7(火)水休
11:00〜19:00
高木久美110527.jpeg

Kumi Takagi "VANITAS"
ArchitectS Office
16-16,Nihonbashi-Koami-cho,Chuo-ku,Tokyo
03-5847-7785
5/27(Fri)-6/7(Tue) closed on Wednesday
11:00-19:00
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素材のユニークさが際立つクリエイション。ラテックス、すなわちラバー、すなわち天然ゴムをメインの素材に用いていて、そのこと自体がオリジネーターとしての地位を確立しそうなほどのように感じられるのですが、その弾力や表面の質感、艶などを活かしつつ、皮膚に近い感触からさまざまな要素を「包む」、さらには「護る」というコンセプトも端的にスマートに提示されていて、なかなか得難いイメージが獲得できるのも大変興味深く思えます。

芸大での修了制作展で拝見した作品は、天然ゴムで出来たオブジェがポンプのように膨らんでしぼんでを繰り返していてその動きがなんともキッチュでユーモラスな印象を持ったのですが、今回の展示ではそういった素材に備わる面白みは極力抑えられ、むしろ行為のストイックさが前面に押し出されていて独特の濃度で醸し出される緊張感に引き込まれます。


急な階段を上ってほぼ正面、枠に張られないキャンバス地に大きく描かれる手。細かいタッチの集積で表出され生々しいリアリティが提示されています、その表層がラバーで覆われ、ケミカルな仕上げが施されていながらむしろ質感としては実際の肌に近く表現されていることに興味を覚えます。何となく、用いる素材にどのようなイメージを重ねているかをまず提示し、そこから現れるバリエーションへもスムーズに入り込めるようにもなっている気もします。


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そこから先、展示されている作品は全てがそれぞれに独特のテンション感が備わる謎めきを醸し出しています。
まず白の台に置かれる琥珀色の作品。一見するとプラスチックのグラスが溶けているのかと思ったのですが、天然ゴムで台の下に置かれたグラスの型を取ったものとのこと。触らせてもらったのですが当然生々しいほどに弾力があって、持ち上げるとべろりと剥がれるような感触も最初に浮かんだ硬いイメージと相当にギャップがあってそれによりいっそうこの素材のユニークさに魅せられます。


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グラスのかたちが薄い皮膜となって現れています。まるで液状の何かにそのものが浮かんでいるような情景は、色調によりなんとも不思議なシチュエーションを彷彿させます。透過する色味がさらに独特の黄昏れるような風合いもそこにもたらし、また重力によって出てしまうフォルムの歪みも揺らめくような気配の感触を思い起こさせてくれます。


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素材の艶やかさにも惹かれます。
グラスを型に取るという行為の提示は極めてシンプルに提示されていて、一方で作品の「もの」としての魅力も、随所に見いだされる陰影や透過性などが導き出す美しさが濃密に引き出されているようにも感じられます。


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さらに行為はエスカレートしていきます。
ボンテージ然とした艶やかな黒で包み込まれるフルーツバスケット。
フェイクの食材をかごに乗せて制作されているのかと思いきや、まずパイナップルの株の部分が、もしフェイクだとしたら異様にリアルに再現されているな、と思ったところからだんだんと、このフルーツバスケットが実物をラバーで包んでいることに気付かされ、刹那、絶句します。


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実際に近くにいると甘く香しい腐臭が漂ってくるのが分かります。
展示中も重ねてラバーが塗布されているようで、おそらくは傷んでいく過程でガスなどが生まれてそれがラバー部分を圧力で微細に裂いていると思われところどころに現れるカビの漏れなどが随時塞がれているのですが、最終的には腐乱も進んで萎んでいくらしく、内側の有機物を外側のラバー、人工的な皮が未来永劫その内側を隔離する、というイメージに、色合いや個々で起きていることの生々しさや艶めかしさが覆い被さって相当に深遠な気配が立ちのぼっているようにも感じられます。


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濃厚な緊張感を奏でるふたつの作品に続いては、見るからにビニールプールが。
これももちろん空気が入って膨らんだビニールプールを天然ゴムで包み込んでいる作品で、用いた素材のどこか無垢でキュートなイメージを思い起こさせてくれるのとともに、ゴム素材にゴムが重なるシュールさ、だんだんと空気が抜けてきたときにいったいどういうふうになっていくんだろうという想像の広がりがもたらされます。


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もっとも奥の側には、天然ゴムを用いたオブジェ作品。
無彩色のカエルと、その内蔵の圧倒的なカラフルさがある種のグロテスクなイメージを想起させてくれます。
カエルの姿や内蔵のパーツがバラエティに富んだ質感で制作されていて、この素材による表現の可能性もストレートに提示されています。


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1階に展示されている写真や映像作品も楽しさや深みがあって、高木さんのクリエイションのユニークさや可能性も提示しています。
落ち着いた雰囲気が漂う空間に配される作品は、この気配にそれぞれが空間自体と異なる響きを生み、用いる素材の一貫性や強固なコンセプトとともに表現のバリエーションの豊かさと可能性も感じ取れ、今後の展開へもいっそう興味を覚えた次第です。


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posted by makuuchi at 11:11| Comment(1) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
スチールの台座をお手伝いさせて頂いた
(鉄工加工業)者ですが
いいーカンジ ですね
四角い台座が シャープな感じで
ラバーの作品とマッチしてますね
全体の配置も good
Posted by heartmarkerさん at 2011年06月14日 22:39
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