「matter」稲葉友宏、宮田聡志
@CASHI
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F
03-5825-4703
5/6(金)〜5/28(土)日月祝休
11:00〜19:00
"matter" Tomohiro Inaba, Satoshi Inaba
@CASHI
2-5-18-1F,Nihonbashi-Bakuro-cho,Chuo-ku,Tokyo
03-5825-4703
5/6(Fri)-5/28(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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これまでグループショーで紹介されたふたつのクリエイションをパッケージ、平面と立体というだけでなく方や金属、方や感熱紙という素材の質感に極端な差異がありながらも、モノトーンの色調で空間が満たされクールな静謐とカオスとが力強く横たわる世界観が構築されているように思えます。
ギャラリーに入ってまず対面する稲葉友宏さんのスカル。
およそ正三角形の角度、ほぼ60°の鋭角で連なる鋼線。天頂から降り落ちるような造形をたたえつつ、下へと向かうほどにだんだんとその構造が複雑になり、そして塊となった部分に爛れるように現れるスカル。金属の感触を濃く残す鈍い黒の艶がその妖しい存在感をいっそう際立たせます。
さまざまな角度から観る側の意識を強く引き込みます。
増殖するような感もある鋼線の連なりは奥まった部分にカオティックな雰囲気を忍ばせ、相当に感覚的、刹那的でありながらも導き出される構造の面白さがとにかく尋常でない魅力を放ちます。有機的なスカル部分の仕上がりとのコントラストも深みを増すことに貢献しているように思えます。
奥まった一角にはカンガルーがかがんでいるような造形を再現した作品が。
巨体とは裏腹に、頭部のどこかかわいらしい感じが素材の質感とギャップを生み、不思議な気配で満たします。
造形の大きさも相まって、刹那的なほどに無軌道に連なる鋼線の集積は更なる密度で異様なほどのカオスを立ちのぼらせ、把握不能な混沌となって迫ります。鋼線部分はむしろ幾何学的な風合いも備えているのですが、塊となったときの蠢くような異様な有機的な感触がアバンギャルドさを鮮烈に提示してきているように感じられ、その濃厚な気配にぐんぐんと呑み込まれていきます。
壁面には宮田聡志の作品が展示され、ざっくりとしてしかし素材の脆弱さがスリリングな緊張感と焦燥感を醸し出すモノトーンの情景が空間を取り囲みます。
以前グループショーで拝見したときは漉いた紙によるユニークなクリエイションを発表されていたのですが、今回も紙という素材への着目を保ちながら、異なるアバンギャルドな世界を展開していることが興味深いです。
感熱紙に浮かぶ黒の独特の質感が、さまざまなアプローチで創出されていきます。
あたかも木版画を彷彿させる風合いの部分から薬品をぶちまけたような究極的に刹那な気配を奏でる箇所、ひたすらにつやのない黒が広がるところなど、さまざまな表情が導き出され、抽象性の高い情景にさまざまな奥行きやスケール感がもたらされていきます、もとよりの薄い素材に手が加えられて粗く仕上がる画面はアバンギャルドな雰囲気を色濃く醸し出し、一方で現実の風景のイメージと呼応し穏やかな雰囲気も浮かんできたりするから不思議です。
コンパクトな作品では、ひとつの画面にひとつの行為が実験体に行われているような印象で、いっそう濃厚に創出される気配が届けられているように思えます。金属のプレートにマウントされ、描かれるモチーフだけでなく素材感も前面に押し出されて提示され、モノとしての質感もシャープに提示されています。
無機質な風合いを濃厚に備えるそれぞれのクリエイションは、モノトーンの色合いとともにその質感に「熱」が残っているように感じられることもひとつの世界観が構築されることに大いに貢献しているように思えます。


