上須元徳展 "RE: Assemble"
@YOD Gallery
大阪府大阪市北区西天満4-9-15 第一神明ビル
06-6364-0775
3/1(火)〜3/26(土)日月祝休
11:00〜19:00
Motonori Uwasu "RE: Assemble"
@YOD Gallery
4-9-15,Nishi-Tenma,Kita-ku,Osaka-shi,Osaka-fu
06-6364-0775
3/1(Tue)-3/26(Sat) closed on Sunday and Monday
11:00-19:00
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前回拝見したときはさまざまな色彩をふんだんに用い、シャープでどこか幾何学的な印象をもたらす高い写実性を保った情景がポジティブな迫力を伴って描き上げられていたのが強く印象に残っています。そのイメージを持ち続けながら拝見した今回の上須元徳さんの個展、ソロで拝見するのは初めてだったのですが、発表された作品はすべてモノトーンの大作、それによってもとより備わるシャープさやスマートさはさらに力を得て、強烈なほどに無機的な雰囲気がそれぞれの作品から醸し出されていて、その得難い空気感に包み込まれたのがとにかく痛快で。
そもそも僕がモノトーンが好きな傾向だ、というのもあると思いますが、溢れ出る淡々とした沈む気配がクールな雰囲気へと転化、さらにフューチャリスティックな風合いもひときわ強く奏でられていたような印象で、表出される世界にただ感じ入った次第です。
広い画面の正面に堂々と描かれるドーム。構造の無機質な感触が丁寧な描写で表出され、またドームを形成するひとつひとつのプレートの陰影のパターンがバリエーションに富み、そしてそれぞれの緻密さがアバンギャルドな抽象性も放っているように感じられます。
細かいトーンのコントロールで展開されていくドーム表面とは裏腹に、その精緻さを引き立てる背景の過剰なまでに淡々とした感触がギャップをもたらし、ドーム自体のシンプルなかたちとその表面に施される複雑な陰影を鮮烈に引き立てます。
未来的なドーム建造物、もう1点。
こちらはその表面の陰影は大きく描写され、その膨らむ造形の様子がダイナミックに表現されています。こちらもその向こうに広がる空、横たわる地面の異様なまでに無機質な色彩の広がりが生命の感触とはほど遠い深い静けさを醸し出し、壮大な静寂感、寂寞感が淡々と紡ぎ出されているように感じられるのも印象的です。
人工的な造形を描く印象が強かった上須さん、その無機質な風合いは無彩色によってストレートに残され、その質感で今度は有機物が描き上げられていきます。
色面に細かく分解していったときに複雑さが際立つその情景は、降るような淡々とした静けさをその画面のなかに横たわらせつつ、それぞれ部分で画面を捉えていくと今度は裏腹に、緻密に細かい色面を組み上げて築かれていく世界のシャープさに感じ入ります。
抑えられた色彩感が有機的なかたちの連続にも整然とした印象をもたらし、それが転化して発せられるリズム感にも好奇心が煽られます。
淡いグレーを背景に、椰子の葉の複雑な構造が際立ちます。
鋸状に刻まれる葉のエッジ部分、そこに巧みなバランスの無彩色の濃淡で陰影や奥行きが表現され、無彩色の止まった時間の印象とは逆にばさばさと風に煽られて音を立てて靡くようなイメージも浮かんできます。
そしてその椰子の幹のさらに細かく複雑なパターンを繰り出すことで表現されるその粗い樹皮の質感、また地面の凹凸の轟々と爛れ流れてくるような動的な風合いなど、それぞれの部分がいろんな動きや時間の流れを連想させてくれます。得難い迫力がそこから放たれているように思えます。
板張りの床面に散らばる枯れ葉を描いた作品も、凄まじくクールな気配を醸し出します。
右下から左上へとひたすら無機的に続く板の直線、それが描き出すシャープな気配。リズミカルさは鮮烈を極め、ヴィヴィッドに奏でられるなか、そこ無秩序に散らばる枯れ葉はひとつひとつの造形の複雑さ、葉脈が導く繊細な線、枯れて乾いて思い思いの形状にカールする様子、さらには床面に映り込む影などさまざまな要素が緻密に再現され、そこに深遠に横たわるリアリティとそれに伴う臨場感に静かに圧倒され、また同時に、硬質でストイックな空気感も観る側の感覚を包み込んできます。季節的な印象がもたらす淋しさと、一方でひたすらに無機質な雰囲気が淡々と広がる感触に大いに感じ入ります。
5つの大きな無彩色の画面に囲まれたときの何とも言えない不思議な充実感、そして随所からシャープに放たれてイマジネーションを刺激してくるクールでスマートな風合い。写実性の高さと構造としての面白さを堪能し、大いに感嘆させられた次第、これからどんな展開が繰り出されるかもさらに楽しみです。


