渡辺豪「lightedge - 境面II-」
@ARATANIURANO
東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A
03-3555-0696
1/22(土)〜2/26(土)日月祝休
11:00〜19:00
Go Watanabe lightedge: face II
@ARATANIURANO
2-2-5-3A,Shintomi,Chuo-ku,Tokyo
03-3555-0696
1/22(Sat)-2/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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ARATANIURANOでの渡辺豪さんの個展です。
時間を忘れてその気配に沈み込むように没頭したい、そう思わせてくれる圧巻の映像世界。渡辺さんというと肖像など人物が登場する映像作品をまず思い浮かべるのですが、今回は人物が登場しないストイックな映像作品を中心に展示が構成されていて、静謐を伴う重厚な情景が淡々と続いていきます。
入り口右手、カウンターから向かって正面の壁面に上映されている映像、とにかくこの作品のスケール感が凄まじい。。。
ただ淡々と、上から下へと厚い本が下ってくる映像がひたすら続きます。
壁面のスクリーンに大きく映し出される本。背表紙と反対側の部分を正面から捕らえ、まるで水中に沈んでいくかのようなスピードで、しかしむしろその動き自体は無機的で。。。
加えて圧巻の映像美が保たれ、1ページの紙の厚みも実感できるほどにシャープな映像の精度が、この何の変哲もない、ただ本が流れていく情景に意識をぐんぐんと引き込んでいきます。
長尺のループでひたすら流れる時間、登場する本はひとつのループのなかですべて異なっているようで、長くて遠い時間のなかにもその情景の表情は思いのほかダイナミックに変化していきます。
あるときは積まれるように本が上下に連なり、その様子が続いていくかと思えば気付くと下降のスピードが異なる本が次々と流れていって、なんだか風に漂う雲を眺めているときに感じる荘厳で壮大なイメージが心が満たされているという。。。
入り口から向かって左のコーナーに上映されている映像、こちらで展開されるスリリングな気配も印象的です。
コーナーで隣り合うふたつのスクリーンに繋がって投影される映像、それぞれのなかで室内の情景が暗闇のなかからだんだんと現れてきて、人の気配を一切感じない重く静かな雰囲気に意識が掴まれます。
その情景をただ眺めていると、それらはだんだんと歪み、崩壊していきます。
3つの種類の映像それぞれが異なる崩壊を展開し、それぞれの差異にも感じ入ります。室内と思っていた情景が実はもっと無機的な、奥行きのない要素でぎりぎりの緊張で組まれていたもの、というようなイメージが湧いてきたり、または高速でノイジーに激しく歪む様子に目を奪われたり。流れる時間は変化が始まった瞬間から凄まじいコントラストを導き出し、ひとつひとつの展開を互いに際立たせます。
奥のスペースには静止画の作品が。
積み上がる雪、もしくは冬の山並みを連想させる情景、白と黒のツートーンが澄んだ空気感を届けます。
この雪を彷彿させる白のストライプはひとつの波ごとに整然としていて、確かシューズの裏の画像を紡ぎ合わせたものと伺ったような気もするのですが、そういったもともと異なる要素から壮大なスケール感を想い描かせてくれることにも感嘆させられます。
さらに奥には別の映像作品。
こちらはメインスペースの本の映像と世界観が通じているような印象で、ただその情景はより大きく変化し、さまざまな場面が取り込まれています。こちらも長尺のループになっていて、静かに流れる時間のなかに消えては現れる情景のひとつひとつの重厚で深遠な美しさに魅せられ、その闇の澄んだ気配に引き込まれます。
本棚にも映像作品が1点。
こちらは柄の入ったガラスを基に作られているようで、高速で崩壊と再構築を繰り返す様子が他の映像とはまた異なるスリルや緊張感を醸し出しています。
とにかくモノトーンの映像美が尋常でないです。
ひたすらに無機的でありながらも、本というモチーフの採用がそこに流れる情景に静かでやさしいぬくもりを届けているようにも感じられます。
延々と続く時間、ゆったりと動く映像、たとえ変化に乏しくとも、それでも観る側の好奇心を強烈に引きつけ、まるで別の次元に入り込んだかのようなずっしりと氷河のように流れる時間に意識が沈み込んでいきます。
時間が許すなら、その映像世界にいつまでも浸っていたい、そう思わせてくれる世界観です。


