山本竜基展
@MIZUMA ART GALLERY
東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
03-3268-2500
1/26(水)〜2/26(土)日月祝休
11:00〜19:00

YAMAMOTO Ryuki Exhibition
@MIZUMA ART GALLERY
3-13-2F,Ichigaya-Tamachi,Shinjuku-ku,Tokyo
03-3268-2500
1/26(Wed)-2/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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MIZUMA ART GALLERYでの山本竜基さんの個展です。
凄まじいカオスが立ちのぼる世界観。お馴染みの写実的な自画像による展開はさらに過剰になり、それぞれの作品から創出される異様さに呑み込まれ、その迫力に立ち尽くします。
シルバーの背景に学ラン姿などなどの山本さんの自画像が散りばめられる作品、この時点でもう凄い。。。
円形にリズミカルな配置がなされたパターンを随所に投入しつつ、その隙間に飛翔中、もとい落下中の山本さんがこの空間に不思議な重力感/無重力感をもたらし、また瞬間高速移動中であることを彷彿させる歪む輪郭の像がさらにこの情景に流れる時間の感覚をファットにずらしていきます。
そしてこの異様さを強烈にさせているのが、輪切りの自画像群。これ以上ないくらいに緻密に描き込まれた内蔵や骨格が、どうしようもなくユーモラスな残酷さで晒されていることで、圧巻の複雑な混沌さが導き出されています。
上下に描かれたふたつの青い楕円、その間を膝を抱えながら落下(もしくは上昇?)していく様子を捕らえたような自画像。描写のリアリティの凄みがこのシュールな情景に臨場感をもたらしています。
今回の個展のクライマックス、怒濤の地獄絵。4枚の画面が組み合わされた超大作で、古びた板絵を彷彿させるような渋い色調をベースに、徹底的に残酷な情景が緻密に描き上げられています。見上げて呆然、そして痛快。自画像がさまざまなかたちで紛れていてそれらが地獄世界と関わり合い、怖さと面白さの両方向へと想像も膨らんでいきます。
ひとつひとつの要素を眺めていくと、その臨場感にも引き込まれます。
隅々まで一切の隙がなくていねいに描写されたモチーフ群。鬼や閻魔のおどろおどろしくもユーモラスな表情や脈々と盛り上がる筋肉の生々しさ、坊主や天女の細い目の達観、こんなヤバい情景にあって淡々と生えちゃってる桜や紅葉の麗らかさ、夜空に浮かんで眼下の混沌を見下ろす左右二つの紅白の月(赤いのは夜空に浮かぶ太陽かも?)、燃え盛る炎の力強さ、など、など、など・・・そこにあるモチーフがこの世界に置けるリアリティを強く発し、よく考えつくなと逆に感心してしまうほどにグロテスクな場面も配しながら展開されるこの地獄絵、圧倒的なインパクトが信じられないくらいの持続性でひたすら観る側の感覚を蹂躙していきます。
加えてリアルに描かれる自画像がアグレッシブな痛快さを届けて、過剰なシュールさで画面を満たしています。
大きな球体にびっしりと張り巡らされた山本さんの姿、これも凄い。。。相当にグロテスクな雰囲気を漂わせています。
この球体は3点が配され、それぞれの存在感が展示のアクセントとして効きまくっていています。
黒い和室ではドローイング、小品が展示されています。
メインスペースの大作と呼応する自画像の作品も。
顔が積み上げられたドローイングも圧巻です。小さなサイズでありながら相当なスケール感とカオスが届けられます。
問答無用の凄まじさが強く心に残ります。
グロテスクで残酷で、しかし観ることができたことの満足感、達成感も相当に大きく感じられます。
どっしりと重厚でありながらもダイナミックさや留まることを知らない動的なイメージが溢れまくり、さまざまなテンションが交錯して生み出される得難い空気感にひたすら感じ入ります。