澤井津波展
@GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 吉井ビルB1F
03-5524-1071
2/14(月)〜2/19(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)

Tsunami Sawai exhibition
@GALLERY b.TOKYO
3-5-4-B1F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo
03-5524-1071
2/14(Mon)-2/19(Sat)
11:00-19:00(Last day:-17:00)
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GALLERY b.TOKYOでの澤井津波の個展です。
細密描写やクラック、スプレーの吹き付けなどさまざまなテクスチャーを織り交ぜて繰り広げられる、異様なダークネスを備える世界。今回はもとよりの白と黒以外の色彩も作品によっては用いられ、描かれる気配の濃度にバリエーションがもたらされています。
入り口すぐの位置に展示されている、ふたつの月が重なってそれぞれのなかにモクモクとうねって膨張するような抽象的なモチーフが現れた小品。菌類の増殖にも通じるグロテスクな展開が独特の濃厚で暗い気配を醸し出します。
今回の個展で本格感に挑まれているのが、板を支持体に採用している作品。過剰に有機的な描写がぶつ切りの樹木の丸みを帯びたフォルムや、節の部分や年輪などの自然な紋様と絡み合い、蠢くような雰囲気にさらに強い臨場感をもたらします。
幹を縦に割るようにカットされた板を採用した作品も。縦に長いことで生まれる動線がそのなかの描写に流れのイメージを導き出しています。
小さな輪切りの幹の板に描き込んだ作品も。
木材のフォルムがもたらす質感がもとよりの抽象性に生命の感触が反映されて、表出される空間もいっそうの深みを感じさせてくれます。
方形の画面の作品。
黒が基調のものでは、広がる黒の色面が醸し出す途方もない深さと、鋭い線描や細やかなドットなどの高密度の描写とのコントラスト、さらには白が広がる部分との共存が生み出す奥行き感など、さまざまな要素の衝突や調和が小さな画面のなかにダイナミズムを引き出します。
淡々とした気配が静かに広がっていて、その傍らで揺さぶられる縮尺のイメージがここから得られる想像を分厚く、ファットにしてくれます。
白が基調の作品では、ことのほか具体的なイメージを立ちのぼらせるモチーフに濃厚な存在感が備わり、異様なエネルギーを伴って迫ってきます。白を背景に凝縮される要素の塊が現れ、さらに増殖をし続けているかのような生々しい雰囲気がそこから漏れて伝わってくるような感覚に引き込まれます。
大きな画面の作品では、さまざまなテクスチャーの配置がいっそう大胆に繰り出され、良い意味でのいい加減さを持つアプローチでアグレッシブな情景が描き上げられています。広い画面をダイナミックにうねる黒の迫力とスケール感、一方では表装に吹き付けられるスプレーのフラットな色面の広がりが届ける行為の生々しさとその裏に潜む焦燥が観る側の感性を煽ります。
部分的に人体などを彷彿させつつも寸止めで具象的なイメージまでに至らないようなモチーフが挿入されている独特の表現も今回も行われ、その気配の出入り、現実と幻想の出し引きを繰り広げながら、淡々と静かにダークな世界が紡がれています。