#005 心ここにあらず | 藤原彩人
@3331 Gallery
東京都千代田区外神田6-11-14
03-6803-2441
1/8(土)〜2/7(月)火休
12:00〜19:00

#005 The Heart is Not Here | Ayato Fujiwara
@3331 Gallery
6-11-14,Sotokanda,Chiyoda-ku,Tokyo
03-6803-2441
1/8(Sat)-2/7(Mon) closed on Tuesday
12:00-19:00
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3331 Galleryでの藤原彩人さんの個展です。
入り口が開けたスペース。その正面からの眺めで、3体の自立する人物像が佇む空間との対峙が始まります。淡々と時間が流れて、どこか空虚な気配も漂って・・・しかしセラミックの造形の見事さ、しっかりと届けられる重量感と表面の仕上げのさまざまな質感に魅せられ、深く濃い雰囲気に魅せられます。
すらりとまっすぐな姿勢で立つ姿の凛とした雰囲気に引き込まれます。
だらりと脱力する両腕、わずかに上に傾げられる首、立体作品だけあってみる角度によって表情は微妙に変化するもののどこかニヒルな印象を感じさせる表情。縮尺を考えると実物の2分の1程度のサイズなのですが立像としては充分に説得力があって、そこに展開される造形のリアリティに感じ入ります。
1体1体を眺めていくと、その表面の仕上がりのバリエーションの多さに惹かれます。
繰り返し竃に入れて焼く行程でさまざまな釉薬が重ねて塗布されているようで、それぞれのパーツごとの質感の差異が佇む像の表情や仕草から感じ取れるイメージとはまた別に、陶芸作品としての面白さに感じ入ります。びっしりとクラックが入る部分、金属的な光沢が覆う部分など、それぞれの陶芸表現らしい質感に見応えを感じます。
温もりを感じさせてくれる造形でありながら、時間の流れや生命が止められてしまったかのような刹那的な雰囲気も醸し出されています。顔の表情といい、両腕の指先といい、臨場感たっぷりに表現された立像のリアリティが逆にも作用し、その止まってしまった世界に彷徨い込んだような感覚も広がります。
南千住などの展示で拝見したスタイルの壁面に展示される人物像の作品も。
金属的な釉薬を駆使して表現される陰影はセラミックの白との硬質なコントラストを生み、またその仕草の豊かさ(内緒話に興ずる感じ)がこの場面のイメージを膨らませます。平面的な造形もユーモラスさを加速させていて、セラミックの硬くて重い質感をしっかりと滲ませながらもなんだかひらひらと軽やかな印象もあって、その不思議な雰囲気が独特の面白さとなって届けられます。
重厚な陶芸表現のなかにもたらされるユーモアや、その重量感をさまざまなアプローチで活かして独特の世界観を紡ぎ出す感じが深い味わいとなって静かにイメージを浸食してきます。
それぞれの表現のユニークさも、セラミックでないとで出し得ない風合いがいろんな形で現されることで導き出されていて、それぞれの作品が醸し出す雰囲気に引き込まれ、意識がその気配に沈んでいくんです。