Exchange Osaka→Tokyo 鈴木崇、立花常雄
@SANAGI FINE ARTS
東京都中央区日本橋茅場町2-13-8 第一大倉ビル1F
03-5640-6882
1/15(土)〜2/5(土)日月祝休
12:00〜19:00
Exchange Osaka→Tokyo Takashi Suzuki,Tsuneo Tachibana
@SANAGI FINE ARTS
東京都中央区日本橋茅場町2-13-8-1F,Nihonbashi-Kayaba-cho,Chuo-ku,Tokyo
03-5640-6882
1/15(Sat)-2/5(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
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SANAGI FINE ARTSと大阪のThe Third Gallery Ayaとがフィーチャーする写真のアーティストを2名ずつ交換して展示するというユニークな企画です。
こちらでは鈴木崇さんと立花常雄さんが登場、それぞれユニークなアプローチによる写真作品を発表され、そこから感じ取れる空間や時空のイメージが印象的です。
入り口に入るとまず鈴木崇さんの作品が目に入ってきます。
滲む建築。どこか透明感が溢れるような瑞々しい空気感をたたえ、曖昧でありながらも硬質な感触もあるという不思議な感覚の情景がするりと意識を引き込んでくれます。
さらにギャラリースペースへと足を踏み入れていくと、その先の壁面に対になっている画像が現れ、その光景に広がりがもたらされます。
具体的な被写体ではなく、敢えて表現するとレンズ直前の空気にピントの合わせるというユニークな手法により、なんとも不思議な情景が創造されています。ピントが合う距離ではその像はくっきりと画像の中で立ち上がり、遠くの景色は気配に溶け出すように、もしくは蜃気楼のように輪郭を潤ませ、緩やかな雰囲気が繊細に紡ぎ出されています。
この輪郭の硬軟のグラデーションでさらに深く導き出される遠近感とともに、2面の画像を並べて提示することが画像の中のとはまた異なる硬質感を醸し出しています。アクリルマウントされエッジが立つ物質的な構造が、画面に収まる透明感をいっそう鮮烈に引き出します。
さまざまな風景が取り上げられ、そのバラエティの豊かさがアプローチのユニークさをさらに際立たせています。
いわゆる「アオリ写真」的な(そういう撮影手法ではないとのことです)面白さもあって楽しく、またいずれの写真に爽やかさもあり、それが清々しい気分を届けてくれます。
カラーの写真で現代的な風景を提示されている鈴木さんとは一線を画し、もうひとりのアーティスト、立花常雄さんはモノクロームでレトロな雰囲気が漂う写真を並べ、静かな気配を淡々と届けます。
ずらりと横一列に並ぶ様は壮観です。
こちらの写真は実際に古いフィルムをもとにされていて、それを鈴木さんとは逆に遠くにピントが合っているような感じにプリントし、全体的にぼやけたような風合いがもたらされています。こちらもさまざまな場面が並び、しかしモノトーンで貫かれていたりサイズも整えられていることなどによって統一感が生み出され、並ぶ写真1点1点を続けて眺めていくとその流れに不思議とストーリー性が・・・もとい掌品小説をしみじみ味わっていくような感覚が思い浮かんできます。
そしてすべての写真を分断するように、画面の中心に黒い直線が線が縦に入れられているのも興味深いです。
ひとつの画面がふたつのコマに分けられていることで、場面の連なりが生み出され、空間的な膨らみと時間の流れとが新たに導き出されています。古めかしい情景はただそれだけで時空の豊かさを提供してくれているのですが、このシンプルなアクセントが加えられることでさらに深みを増し、ひとつの写真から浮かぶその情景への想いもいっそうおおらかに広がっていきます。
それぞれ壁面を分けて展示されたお二人の写真のコントラストも鮮やかで、それぞれに展開されているユニークさも互いに引き立て合っていて、それもまた嬉しい構成になっています。