TWS-Emerging 154 江口綾音「フワ・モコ・サラサ・ラ」
@トーキョーワンダーサイト本郷
東京都文京区本郷2-4-16
03-5689-5331
1/8(土)〜1/30(日)月休(祝日の場合開館、翌火曜休)
11:00〜19:00
TWS-Emerging 154 Ayane Eguchi "Fuwa・moko・sarasa・ra"
@Tokyo Wonder Site Hongo
2-4-16,Hongo,Bunkyo-ku,Tokyo
03-5689-5331
1/8(Sat)-1/30(Sun) closed on Monday (or Tuesday when Monday falls on a national holiday)
11:00-19:00
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トーキョーワンダーサイト本郷での江口綾音さんの個展です。
画面の上に絵の具をたっぷりと乗せてそのテクスチャーで魅せる展開の作品は多く拝見していてその質感の面白さが楽しいのですが、江口さんもまさにそういった感触のペインティングが展開されています。
むしろその質感を前面に押し出し、まるで作り込まれるようにしてファンタジックな情景とキュートな動物のキャラクターが描かれていて、独特の迫力が導き出されているように思えます。
深い緑の背景も印象的な、もっとも大きな作品。
てらてらと照明の光を反射する絵の具の質感も生々しく、まずその「もの」としての迫力に引き込まれます。
画面に盛り上がる絵の具は多彩ながらもオリジナリティを感じさせてくれる立体感を生み出していて、例えば2匹のクマの身体には表層の色彩とはまた別の色が盛り上がる色面に施される筋状の線のなかに現れていていっそう不思議な存在感を醸し出し、虚空にアメーバ状に揺らめく青の有機的なモチーフ、地面から生える虹のような、あるいは木の幹のような太いライン、その影を映し出す画面下方の水面の滲むような描写などなど、バラエティに富み、それぞれの立体的なテクスチャーに意図を感じさせてくれる展開に感じ入ります。
激しい、というとやや言葉の調子に語弊がある感じもしますが、ダイナミックなマチエルを備えていながらも描かれる世界はなんともかわいらしくて、その絵の具の盛り上がりもむしろ遊び心がそこに注がれているようなイメージも浮かんできます。
大胆なマチエルは、その力強い質感によって画面にダイナミックな動きのイメージももたらします。
大きなストロークが幾重にも重なる怪しい空、ごうごうと音を立てて吹く風のようでもあり、またまるで空が膨らんで天上から陸地を圧迫するかのような想像も浮かびます。聳える山の猛々しさ、そういった気配に煽られるかのように複雑に鋭くうねる海面。そのなかに現れる動物のキャラクターはこんな状況なのに無垢な表情を浮かべているように感じられてそのシュールさもまた楽しく思えます。陸のほうにふたつ、手前の動物の身体と同じ色彩と質感のモチーフが登場していて、それがこの動物の尻尾のようにも思えて、どれだけデカいんだよ、と...。その大胆さもまたコミカルに感じられます。
一転して淡い青の広がりが静かな気配を思い起こさせてくれる作品。
その薄い青の漂うような感触がひときわやさしく感じられ、そのなかに漂い浮かぶようなモチーフものんびりとしたイメージをいっそう深めてくれます。
そしてそののどかな雰囲気が、画面中央を横断し画面の下方へ二股に広がる部分のアグレッシブなテクスチャーを際立たせていて、鮮やかな色彩が画面の底から放たれるその立体感にも引き込まれます。全体的に穏やかな気配が広がっているような感じだけあって、さまざまな色彩が現れる立体的な部分の凝縮された感じも強く現れているように思えます。
顔もあって枝が両腕や尻尾を彷彿させていることもあって、なんだかそれが意図を持つ生き物にも思えてくる木の幹、そこに張られるクモの巣のように網状に点描が連なるモチーフの幾何学的な感触が全体的に有機的な風合いを強く思い起こさせる世界にアクセントをもたらしている作品。こちらもまたしっかりと盛り上がる絵の具の質感で描写される羽ばたく蝶は、かわいらしさを奏でつつも可憐というよりむしろ妖しげな雰囲気を醸し出していて、その木の幹とコミュニケーションをとっているような感じもして、それが淀んだ暗めの色彩が広がるこのシュールな情景に和やかさを届けてくれているように感じられます。
「遊び」が伝わってくるのがとにかく嬉しく感じられます。
テクスチャーの作り込みからはものを作ることの楽しさがしっかりと放たれ、そして想像が膨らんで物語へと昇華されているような感じにも惹かれます。
大胆なテクスチャーの立体的な面白さ、描かれる世界を満たすかわいらしさ、そのどちらも作品を目にした瞬間に心に響いてくる感じが心地よいです。



