ちょっと時間が経ってしまいましたが、4/18〜4/23に和田画廊で個展が開催された際、小松宏誠さんにインタビューを伺ってきました。昨年度の芸大の修了展示に続いて透明のパイプの中に白くやわらかな光を放つ羽根が上下する作品『浮く冬』を出展され、芸大のときよりもコンパクトな空間での羽根の舞いはなんとも幻想的で...。
展示の感想はこちらです。
フェードインするように開始したインタビュー、まずは使用する羽根のお話から。
「実は、羽根には結構ひとつひとつをこだわって作ってまして。多くはベーシックなタイプでおおよそ統一されているんですけど、25番まであるうちの『13番』っていうのはちょっと悪っぽくしようと思って(笑)、いちばん特徴的なやつで、先の方ががふたつに割れているんですよ(笑)。また、暴れん坊の羽根もいて、リストラしてやろうかとも思ったんだけど、これくらい個性的なものがあっても良いかなと思ってそのままにしてたり。そして、遊び毛がふわっと生えているいちばん美人さんの羽根が、いつも写真のアップに使われてたりします」
−例えば、ピンポン球みたいに無機的なものだと高さは揃っていたほうがいいかもしれないけど、羽根は有機物なので、高さが揃ってないところがかえって味わい深いですよね。
「そうなんです。羽根が斜めに上がっていって、止まった瞬間に『ふーっ』とずれていく感じがすごく好きですね。素材の力を借りてるな、と思います。今回、芸大の修了展示に続いてこういうふうにギャラリーで『観るもの』として展示してみて、『ディスプレイでもっとしっかり提示してみたい』という気持ちが急に強まってきましたね」
−やっぱり明かりや空気の流れにはこだわりがあるんですか?
「その点については相当こだわってます。これも、羽根だけが光ったように見せるために結構苦労しまして。これは1個1個調光ができるようになっていて...というのは、暗いところで必要以上に明るくしてしまうとパイプが光っちゃって格好悪いんですね。そしてこの白色の明かりにもこだわっていて、白色LEDといってもけっこう色に幅があるんです。日本の製品のはホント白いんですけど、台湾産の白のLEDは青白くなるということを見つけて、それで台湾製のを使ってたり」
−LEDなんですね、この光のスポットは。
「そうです、すごく高輝度の、幅が狭いやつで。だからこうやって上だけにビームを当てられるんです。さらにこの中で何段階か絞ってます。実はこの中に赤の光源も入ってまして、スイッチをつなげれば付くようになってます。『赤バージョン』っていうのがありまして、明るい場所では赤い羽根に赤のライトでやるんです。これを使ってちょっとやってみたいことがあるのですが...山の緑の中でランダムにこれを立てて、赤の羽根が『ふわーっ』て浮き上がるような。数は逆に減らして、森の中に間隔をおいて配置して。もちろん下の機械の部分も地面に埋めて、それを坂道なんかでやっ
てみたいですね」
−僕は、こういう作品を『ディメンションズアート』って呼んでるんです。単なる3Dでもなくて、第4の次元と一般にいわれている『時間』もすごく関係している。『時間』が提示されていることで、体験する側もスムーズに作品に心を楽にゆだねられるから、たくさんの人に楽しんでもらえる要素を持っていることだと思うんです。
「もっと一般の人に観てもらえるところに展示したくてしょうがないですね。もっと緊張感を伴って見せられるし、ディスプレイとしてももっと柔軟な対応が可能だと思っていて、そこら辺の能力を20代のうちに培いたいと。いろいろやりたいんですけど、なかなか話が繋がっていかないのが現状で、今年は売り込みを頑張ろうと(笑)。ただ、初めに美術として出しておかないと説得力がぜんぜんなくなるし、気持ち的にアーティストとしてやっていけないと思っていて。こういう部分は大事だと思っているので、今回は和田画廊さんには良い機会を与えてくださったな、とホントに感謝しています」
−以前の作品についてなんでが、ここに至るまでいろんなユニークな作品を発表されてますよね。
「実は一貫したテーマがここ3年ほどありまして。人と人との距離感には日本人ならではのところがあると思うんですよ。そういう見えない距離感を投影してみたいってところから制作が始まって、それがかたちになったのがハニカムの筒状の壁のだったり。今回の羽根シリーズは『ダンス』がテーマなんです。ダンスの高揚感...テンションが上がっていく感じをダンスをやってない人に伝えてみたくて、それを空間で表現したらどうなるんだろうと思った時に、ひとまず『ダンス』というキーワードは消してしまって、もっと多義的なことでいろんな風景が見えてくればいいな、と。そういった時に自然現象の力を借りてみると、それが意外といいフィルターとなって、より面白く伝わることを発見して、それで自然現象を作品に取り込んでいるんです」
−赤い羽根のインスタレーションは、部屋の中に赤い羽根がいっぱいあって...。
「そうです。5m×7mの白の明るい部屋を造って、そこに真っ赤な羽根をぶわっと敷き詰めて、ここより天井が高いぐらい舞い上がるっていう感じでやってましたね。そこに人が入っていって、僕がその様子をモニターで観ながら裏で羽根の吹き上がりを手動制御するっていうやつで。人との兼ね合いがものすごく面白かったんです。赤い羽根がある空間で透明人間が踊っているイメージですね。それに結構明るいんで、入った瞬間に赤の色彩の高揚感から気持ちが上がってくるというのもあって」
−そういう羽根を使う作品があって、それからこちらに。
「移行する時に『真っ白い部屋で赤い羽根が一枚だけ浮遊してるのを作ってみたい』と。その発展形が『浮く冬』なんです。イメージとしては、ダンスをみんなで練習していて、それが終わってみんなが帰ってしまったところで、たったひとり残ってその場にいるときのピーンと張りつめた空気感というか...。羽根の色とか動きでちょっと切なさがある感じを表現してみたくて」
−赤い羽根のときは羽根だらけで、『浮く冬』ではひとつひとつの羽根に個性を持たせているもそういうイメージがあるからなんですね。
「みんなの『面影』を観るような、そういう切なさの表現だったりするかもしれないです。また、『引き』の美学というか、そういう感覚は日本人はみんな好きだし、その感性に訴える作品でもあると思うんですね。ずっと日本にいる者としては、そういう『花鳥風月』的なわびさびの感覚も表現していきたいと思っていまして。この感覚って忘れちゃいけないなと思うし、忘れられないところもあると思うんです」
−これからはどういった作品の制作を考えているのですか?
「この次はちょっと派手なのをやろうと思ってます!この羽根の作品はこのまま発展させ続けていって、新しいものは違うアプローチでいきたいですね」
(4/22、和田画廊にて)
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2006年05月18日
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