mariane「BOM SONHOS」〜よい夢を〜
@artdish.g
東京都新宿区矢来町107
03-3269-7289
10/16(土)〜11/10(水)月休
12:00〜22:00

mariane "BOM SONHOS"
@artdish.g
107,Yarai-cho,Shinjuku-ku,Tokyo
03-3269-7289
10/16(Sat)-11/10(Wed) closed on Monday
12:00-22:00
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artdish.gでのmarianeさんの個展です。
大阪のstudio Jでの個展を拝見し損ねていて、ただ小さな作品自体は何度か拝見していたこともあり、その細密な世界をあらためて東京で観られると知ってホントに嬉しく思った次第。
コンパクトな空間をメインにレストランスペースの壁面に至るまでさまざまな、しかも大きなサイズの作品までもが展示され、独特の色彩感と細かい線とで描かれる有機的なモチーフが湧くように溢れていてそのひとつひとつにぐっと近づいて見入ってしまいました。
広い縦長の画面の作品では、日本古来の軸の絵などで見受けられるようなゆったりと静かに広がる「間」のようなものが感じられるほどに、絶妙な配置で奇妙なモチーフが描かれていています。
原生的な植物を彷彿させるモチーフ、その妖しげな佇まいになんとも不思議なイメージが広がり、それらを至近で眺めると実に細やかな線描がぎっしりと密集していることが分かり、その凄まじい密度に圧倒されます。
どこかコミカルにも感じられる飄々とした雰囲気も醸し出しながら、その画面に現れる要素は徹底して鋭さをたたえていて、ぐんぐんと意識がこの有機的で幻想的な世界に引きずり込まれていきます。
それにしても何とも不思議なモチーフです。
確かに植物的なのですが、何となく意思を持っていそうなイメージもあって、またこの大きな画面に描かれていながらも、高彩度の細密表現が逆に相当にミニマムな世界を思い起こさせてくれるのにも惹かれます。広い紙に広がる余白のなかをふわふわと浮遊し、また画面下方の大きなモチーフは無脊髄動物のようなもってりとした存在感が感じられ、結構グロテスクなんですけどなんだかかわいらしくも思えてくるのがまた楽しいです。
抑えられる色数も、その世界を過剰に濃くしないことに貢献しているように感じられます。どこか全体的に軽やかで洗練された気配が漂っていて、加えて赤や紫、金色、白といった色彩の繊細さから清々しい緊張感が奏でられているように思えます。
一転して小さな作品、こちらはまたシンプルにひとつのモチーフを画面中央に描写、バランスはむしろ何も描かれていない余白部分が広めで、それがその小さなモチーフの細やかなテクスチャーを際立てています。紙の質感の味わい深さ、紙の繊維の感触や色合いも、鋭く鮮やかな色彩を引き立てます。
レストランスペースのやや暗めのなかに展示されるとその妖しさがさらに強められ、特に赤の深みがいっそうの生々しさをもって迫ってきます。
あくまで想像上の形体、画面に対して自由にその形を増殖させていくように描かれているのだと連想するのですが、それが思わぬ形を導き出し、抽象的な世界観のイメージが濃く現れるように思えます。
しかし画面に表される線や色彩の一切が常に切れ味がいいというか、目が覚めるような張りつめた感触を伴っているために妖しくも実にクリアな輪郭の印象が届けられます。
思わずじっくりと眺めてしまう、そして明るい色彩の爽快感が嬉しいという、独特の細密表現のように思えます。
もっといろんな形で作品を拝見してみたい、好奇心がぐんと膨らむのも痛快です。