北城貴子 Spiral Light Sprinkle
@アートフロントギャラリー
東京都渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラスA棟
03-3476-4869
11/2(火)〜11/28(日)月休
11:00〜19:00

Takako Hojo Spiral Light Sprinkle
@ART FRONT GALLERY
29-18-A,Sarugaku-cho,Shibuya-ku,Tokyo
03-3476-4869
11/2(Tue)-11/28(Sun) closed on Monday
11:00-19:00
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アートフロントギャラリーでの北城貴子さんの個展です。
大阪Gallery Nomartでの個展を終えて間もないタイミングで開催されたこの個展、お馴染みのグリーンの鬱蒼とした感触は保たれながら、さらにさまざまな色彩がそこに用いられ、より華やかな情景が描きあげられていたのが強く印象に残っています。
くっきりと輪郭が描かれていないにも関わらず、描かれる情景へのイメージは自然に、そしてむしろ刹那的な筆致は絵の具の使い方によってエネルギッシュさが獲得され、そこに溢れる生命の感触への想像は一気に膨らんでいきます。表層に散らばる白の飛沫はその空間に注がれる光のイメージへと転化し、いっそうポジティブな感触に包み込まれていくように思えます。
画面の中に灯される花の色は、その明るさ、鮮やかさが緑の色調、質感の両面における濃厚さによっていよいよ力強く引き立てられているように思えます。
こちらの作品でむしろぐいぐいと筆先を押し付けるようにして肉感的に描かれている花、それでも咲き誇る艶やかさは活き活きと表現されているように感じられ、そして増殖する感触も思い浮かべられます。
花を連想させる色彩が、展示全体を見渡していままでより多く用いられているような印象で、それが濃厚なテクスチャーの作品群から軽やかさ、気分的な明るさを引き出しているように思えます。華やいだ情景はそれぞれの作品の重心、そして空間全体の重心をやや上方に持っていっているような印象です。
比較的小さな作品も多数展示され、それぞれの色彩のバリエーションも楽しく感じられます。
北城さんの作品としては珍しく縦長のものも。
画面に導き出される縦方向の動線が、空間的な広がりに新鮮さをもたらしているように思えます。
続けて北城さんの作品を拝見してきて、その変遷を思うと、画面の仕上がりの質感や用いる色の強さなどによって備わるもとよりの尋常でないエネルギーを保ちつつ、世界観がよりポジティブで軽やかな雰囲気の情景へと広がっているように感じられます。
作品の中に登場する緑や花の生命の純粋さと力強さ、そして溢れるような光の表情など、対峙していてさらにさまざまな高揚感がもたらされるのが嬉しく感じられます。