Viewpoints into the substance: Takuro Ishii
@Takuro Someya Contemporary Art/Tokyo
東京都中央区築地1-5-11 築地KBビル1F
03-6278-0136
10/12(火)〜10/30(土)日月祝休
12:00〜19:00
Viewpoints into the substance: Takuro Ishii
@Takuro Someya Contemporary Art/Tokyo
1-5-11-1F,Tsukiji,Chuo-ku,Tokyo
03-6278-0136
10/12(Tue)-10/30(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
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Takuro Someya Contemporary Art/Tokyoでの石井琢郎さんの個展です。
表現に用いられるさまざまな素材のなかでも「石」はもっとも不器用で扱いづらいもののように思えます。なかなか目にすることのない素材でもあり、ということもあって今回の展覧会も興味津々だったのですが、行われる表現行為自体はきわめて単純、しかしだからこそその行為の純度の重厚さが際立って届けられるように感じられた次第です。
まず入り口からすぐのスペースに設置された、向こう側に行けないのではと刹那心配になるほどの造形物が。
もこもこと雲のように湧く重々しく有機的な造形、入り口側の正面にいは向こう側に通じる穴があいていて、それが先へ行くほどに大きくなっていることがさらに壮大なイメージを届けてくれます。
何らかの生命体をも彷彿させるその存在に、まずは圧倒された次第。
反対側に回るとその内側の凄まじいテクスチャーに再び圧倒されます。
現実の洞穴を凌駕するグロテスクな雰囲気が横たわります。
まだ明るい照明と白という色がなんとかそれを作品と捉えることを保たせているような印象で、さらに至近で眺めると手の痕跡がそこかしこに見受けられ、異様さがいっそう強められるという...。
展示の冒頭で得難い迫力に接した後、そこから石の作品が続きます。
台上に置かれる3つの造形物。
中央に石、その両脇にそれぞれ紫が妙に印象的な物体が配され、何らかの関係性を思い起こさせます。
おそらくは中央の石の型を取って制作されたと思われるのですが(確か伺ったのですが、失念してしまいました。。。)、無骨な造形と深い紫とのギャップが何とも不思議な味わいを醸し出し、またかたちの変遷が重厚なイメージとなって届けられるような感じで。。。
続いて、ようやく抱えられるほどの結構な大きさの石。
これがまたすごい。。。
その内側が徹底してくり抜かれ、薄くなってところどころに穴が開いていて、ただ単純な行為の蓄積であるにも関わらず、いったいどれだけの手間がかけられたのかと思うと気が遠くなります。
この無骨で硬質極まりない物体との対峙、そのことの力強さに圧倒されます。
奥まったスペースには、ちいさな作品がずらりと。
向かいサイズが小さいだけあって、削るという行為の精度が上げられ、コントロールも利いてその薄さに造形としての美しさが導き出されているようにも感じられます。
薄く削り上げられてもなお失われない素材の硬質な感触とどっしりと重さを伝える存在感に魅せられます。
もとの石のかたちがおそらくは活かされて、それぞれ空間的な構造が生み出されていることからも、さらに大きな空間のイメージを想起します。シンプルな構造に作り上げられているのがキャッチーさを生み出しているように思えます。ところどころに開いた穴がその行為の重みと凄みを静かに漂わせ、味わい深く感じられます。
素材の無骨さ、不器用さを逆手に取ったような展開に感じ入った次第です。
その「もの」の内側にアプローチする、という、言葉を選ばずに表現するとそれはもう行為の提示にしかならないようにも思えるのですが、だからこそその行為自体が相当な純度で提示され、とてつもない説得力で圧倒してくるような印象です。
どんな表現へと広がっていくかにも興味が湧いてきます。