國府理 Parabolic Garden
@ARTCOURT Gallery
大阪府大阪市北区天満橋1-8-5 OAPアートコート1F
06-6354-5444
11/9(火)〜12/4(土)日月休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
Osamu Kokufu Parabolic Garden
@ARTCOURT Gallery
1-8-5-1F,Tenmabashi,Kita-ku,Osaka-shi,Osaka-fu
06-6354-5444
11/9(Tue)-12/4(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00(Saturday:-17:00)
Google Translate(to English)
ARTCOURT Galleryでの國府理さんの個展です。
初めて青山スパイラルで國府さんの展示を拝見したとき、帆がついたビークルだったのですが、映像を拝見してそれが実写だと知った瞬間の驚きは今でも失せることなく。。。それ以降、スケールの大きな作品やコンセプチュアルな要素が備わるものなど、無機的な感触と自然や人肌の風合いとが絶妙に織り込まれる展開に感嘆させられているのですが、今回の個展では僕が拝見した中ではもっとも壮大で圧巻、それぞれのコーナーに展示、設置されたインスタレーションにイメージもぐんと広がっていきます。
最初のコーナーに展示されたテーブルの上のシダ。
テーブルのシンプルでスマートな造形と、その上に広がる緑のギャップが痛快で、不思議な空間が作り上げられ、得難い新鮮な感触が心に広がります。
この光景をぱっと目にした瞬間、そのギャップすらも自然に捉えられるのですが、よくよく考えるとこの薄い表層によく根付いているなぁ、と感心させられたり。。。
続く広い空間には、一見して圧倒されるインスタレーションが。
巨大な円形の地面が唐突に現れ、その空間の不思議さ、斬新さにイメージが一気に、そして静かに膨らみます。構造の美しさにも大いに惹かれる次第。
円形の中央部にわずかに生える芝。伺った日は会期開始から1週間足らずなのですが、その繊細で神秘的な光景に接し、硬質で未来的な構造の上に存在する生命の存在に触れてさらに深いイメージが湧き起こります。
円の中央部に円形の芝、そこには天井部に設置されたシャワーから定期的に「雨」が注がれます。
ほぼ1時間に1回だけ、その瞬間のふわりとした気配も印象的で、機械の作業でありながらどこかあたたかな、やさしい感じがしてくるんです。
通路にはアートフェア東京でも出現していた動く庭が。
さすがに上部の緑は植え替えられているとのことなのですが、さらに機械構造と自然物とのギャップが痛快で、どこか理知的なユーモアもそこから感じ取れるような気がします。支える台座と車輪のどっしりとファットな作り込みの機能美にも魅せられます。また、「動かせる」ということが空間が空間を移動するイメージを生み、ここから放たれる世界観を一段と壮大なものへと押し上げているように思えます。
緑の瑞々しさはそれこそ目にやさしい色彩を奏でていて、その部分だけに意識を集中させると自然の空間の伸びやかなイメージに満たされます。そこからあらためてここにある全体像を思い起こすとそのシュールさがさらに堪らなく面白く感じられます。
今度はさらにダイナミックなインスタレーションが。
展示室内に建て込まれる巨大なドーム。
その中に植わった木々、地面にほんのりと広がる芝の緑。ドーム内の閉じた空間に創り上げられる自然の光景の不思議さ、それでも保たれる生命の力強さ。内側と外側の隔絶され、隔離された空間との距離感にもさまざまな物語性が生まれます。
こちらも定期的にミストがかかるそうで、機械に管理されていることにもさらにイメージが深まっていきます。
最後のスペースにはエスキース作品が並べられています。
構造部分のどっしりと硬質な造形とは裏腹に、意外にもどこかのんびりとしたやさしくて和やかな情景がそれぞれに描かれていて、その雰囲気も心地よく感じられます。
今回の國府さんの作品を拝見し、宇宙ステーションのようなイメージが心に広がります。機械にさ支えられた自然、空間。子供の頃に本で読んだ未来の世界のひとつに宇宙ステーションの想像図があって、街が巨大な構造物のなかにつくりあげられているのが結構心に残っているのですが、國府さんの作品は都市ではないもののそれに通じる空間性が感じられ、その壮大なスケールに圧倒されます。
さらに今回はこのスペースのポテンシャルが最大限に活かされ、サイズ的にも圧倒してくる構成にも感嘆させられます。