青木良太展 王様の部屋 −Never Ever Die, Forever Beautiful−
@TOMIO KOYAMA GALLERY,Kyoto
京都府京都市下京区西洞院通六条下ル西側町483
075-353-9992
9/24(金)〜10/30(土)日月祝休
11:00〜19:00

Ryota Aoki Kings' Room -Never Ever Die, Forever Beautiful-
@TOMIO KOYAMA GALLERY,Kyoto
483,Nishigawa-cho,Shimogyo-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu
075-353-9992
9/24(Fri)-10/30(Sat) closed on Sunday,Modnay and national holiday
11:00-19:00
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青木良太 個展
@eN arts
京都府京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側
075-525-2355
9/24(金)〜10/30(土)金土日のみ
12:00〜18:00

Ryota Aoki solo exhibition
@eN arts
627,Gion-kitagawa,Higasiyama-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu
075-525-2355
9/24(Fri)-10/30(Sun) only Friday to Sunday
12:00-18:00
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TOMIO KOYAMA GALLERY,KyotoとeN artsとで同時開催された青木良太さんの個展に行ってきました。
それぞれの空間で、青木さんのクリエイションが繰り広げられ、バラエティに富んだ構成が印象に残っています。
まず、TOMIO KOYAMA GALLERY,Kyotoでのインスタレーション。
昨年の代官山でのスペースで行なわれた個展の世界観を押し進めたかのような感触で、壁面が黒色に塗布された空間に王冠とスカルとが4組、壁面に設置された台に並べて収められていました。
1階のEditionsのスペースでは、一転して明るい空間のなかに大きな台が設置され、ところ狭しとさまざまな器がずらりと。
壁面に設置された棚に並ぶ大振りの器。釉薬の絶妙な調合などによってもたらされる表面の艶と色彩の美しさが際立ちます。
振り出しや杯、茶碗といった小さな作品も、際立つ瑞々しい美しさ、さらに緩やかさと気品との独特のバランスに魅せられます。
eN artsでは、青木さんの作品は器のみが配され、そこにさまざまな要素を織り交ぜて展示が創り上げられていました。
入ってすぐのスペースに設置されたスチールプレートの台、その上に居並ぶバラエティに富んだ仕上がりの器。それぞれが深い味わいを醸し出し、また響き合いながら、凛とした緊張感を含んだ気配をそこに立ちのぼらせていました。
シンプルに台に並べられる器、振り出し、香炉。
その存在が澄んだ気配を立ちのぼらせ、ひとつひとつが空間をそこにもたらしているように感じられます。器の薄さや釉薬の煌めきが放つ艶かしさに惹かれます。
ひとことで言い切ってしまうにはあまりに惜しい色彩の振り出しと器。
台の金属の無機的な光沢に挑む温もりと緊張感に溢れる艶。そのまろやかな丸みも相まって、シャープでありながら、生命の感触に満ちた有機的な雰囲気も奏でられているように思えます。
広いスペースには、黒い布が被せられたテーブルに洋食器といっしょに青木さんの器が。シルバーの食器と銀色の光沢とが見事に合い、またそれぞれが布の黒に映え、神々しいまでの気品を醸し出しているように思えた次第。器の「和」の感触が、この空間に絶妙のアクセントをもたらしているようにも思えるのが興味深いです。
そして和室。
畳の上に置かれる青木さんの器は、その未来的な風合いをさらに際立たせながら、同時に本来の「和」の気配も実に自然に紡がれていて。。。
窓から差し込む光さえもその世界観の大事な要素となり、その空間に現れる雰囲気に清々しさと深みとがもたらされているようにも感じられます。
さまざまなクリエイションを一挙に拝見することができ、あらためて青木さんの器の美しさに大いに感嘆させられました。
とにかく単純に美しいです。釉薬のコントロールに細心の注意と好奇心とが注がれ、実にバリエーションに富んだ仕上がりが生み出されて、しかもその色調や質感のひとつひとつが凛とした緊張感に満ちた艶やかさが生み出されているように感じられます。
加えて、青木さんの特に器における「歪さ/いびつさ」にも惹かれます。薄くつくりあげられる器、その「薄さ」は直接的に緊張感を訴えると同時に、その薄さから連想される脆さがギリギリの刹那的な感触を届けてくれます。「焼く」という行程が入る陶芸特有の人の手の感触を感じさせてくれる造形の味わい深さも、こと青木さんの作品に置いてはその印象がさらに強く放たれているようにも思えてきます。
一方、正直な感想なのですが、王冠とスカルによる展示は、モチーフのチョイス自体に安易さを感じてしまいました。
スカル、髑髏というモチーフに普遍的に備わる「格好よさ」に頼ったような印象を覚えた次第。。。
器などにおける釉薬のバリエーションや、画像はないのですが、eN artsの地下のブラックの部屋に1点だけ展示されていた器の凄まじい薄さ(直上に設置された照明が器に当たり、そこを透過して器の外側に光が滲む!という...)といった技巧こそが青木さんの現時点でのもっとも大きな魅力のように思っています。そこに昨年の代官山での展覧会で発表された無骨な造形の力強さ、重厚さが加わり、さらに技法的な表現の幅はお持ちなのだと思います。
その上で、そういった要素が現在は別々に展開されているような印象で、それらが交わったときに得難い世界観が表出するのでは、と。。。
繰り返しになるのですが、釉薬を巧みに使って繰り出される圧倒的な艶やかさ、煌めきと、薄さによってもたらされる緊張感、さらにあたたかみややさしさを滲ませる歪さが醸す豊かさ、こういった質感を目にしているとこれからどういう表現が生み出されるか期待しないわけにはいかないし、少なくとも(というと大変失礼な表現で恐縮なのですが...)器に関してはこれから制作、発表される作品に対しても素晴らしいことに確信を抱けると感じています。
ぜひとも、今回拝見したスカルのインスタレーションの印象がひっくり返るような、そしてあらためてその意味や意義を感じさせてくれるような圧倒的な世界観の表出と展開を期待したいと思います。