TWS-Emerging 147 鎌田友介「OTHER PERSPECTIVES」
@トーキョーワンダーサイト本郷
東京都文京区本郷2-4-16
03-5689-5331
10/30(土)〜11/21(日)月休(祝日の場合開館、翌火曜休)
11:00〜19:00

TWS-Emerging 147 Yusuke Kamata "OTHER PERSPECTIVES"
@tokyo wonder site Hongo
2-4-16,Hongo,Bunkyo-ku,Tokyo
03-5689-5331
10/30(Sat)-11/21(Sun) closed on Monday (If Monday is a national holiday,the following day will be closed instead.)
11:00-19:00
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トーキョーワンダーサイト本郷での鎌田友介さんの個展です。
GALLERY MoMo Ryogokuで開催された大庭大介さんのキュレーションによるグループショーで拝見した時も、3次元のものを一旦2次元に収め、さらにそれを3次元に引き上げることでユニークな空間を導き出しているインスタレーションが痛快で印象に残っているのですが、今回の個展ではふたつの空間でインスタレーションが繰り広げられ、それぞれ変換される次元の面白さが提示されているのが興味深く感じられます。
まず、手前のコンパクトな空間。
こちらでは先のグループショーでも展開された、窓をモチーフとしたインスタレーションが構築されています。
相当に狭い領域に収められる複数の窓、それらが全て精巧な台形の構造をもっていて、そのかたちが導き出す奥行きが実にユニークな空間に転化され、シャープに歪まされた不思議な次元が迫ってきます。
現実と異なる深い奥行きが眼前に提示され、そのズレが放つインパクトが痛快です。ひとつだけ半透明のグレーのパネルが入っていない窓があって、その存在が奥行きと配列のリズムにアクセントをもたらしているように思えます。
そして、至近でその構造物を眺めた時の立体としての美しさ、格好よさにも惹かれます。
メインスペースにはさらに壮大なスケールのインスタレーションが構築されていて、一気にそのシャープな空間性に意識が引き込まれていきます。
中空にも無数に浮かぶ、箱を彷彿させるパースを備えるモチーフ。数もさることながら、サイズや角度のバリエーションが想像の拡張を留めさせず、豊かな発見を促してくれているように思えます。
ひとつひとつの要素をピックアップした時の構造のシャープさに唸らされます。
まさに虚空に浮かぶパースといった感じで、平面にその線を収めたときに立ち上がる立体のイメージを線のみ引き出して3次元に浮かべることで、さらにバラエティに富む角度での鑑賞を可能にして、それがいっそう豊かな空間性を生み出しているように感じられます。
そういった要素がひとつの視界に重なり、現実の奥行きと線の構造による立体的なイメージとが交錯し関わりあって、さらに複雑な空間性がそこにもたらされます。
シュールともいえそうな遠近感が導き出され、過剰なほどに幾何学的でありながら、そこに溢れる空間の歪みはさまざまな線や構造が絡み合うことで奥行きも複雑に曲がりくねり、その状況はむしろ有機的にも感じ取れます。
床に置かれる小さなパーツの羅列、それ自体が充分に格好良く思え、そのクールさもイメージをさらに深くへと押し込んでくれます。
さらに見上げた時に天上にもさまざまな構造が現されていて、その降るような感覚も痛快です。繋がる歪んだ矩形が連なり、重なる情景を見上げて体感するときの得難いインパクトが堪らないです。
そこに存在する要素は全て直線である、という事実も頼もしく感じられます。
そして、空間での提示がもたらす全方位からの角度での視点が、そこに空間同士の交錯を生み、複数の3次元の衝突が得難い空間のイメージを届けてくれます。
痛快なダイナミズムと造形物としてのクールささえも備えるインスタレーションはいくつかの構造の塊によって組み上げられていて、それらはどうやら可動する部分もあって、実際に触れてはいないですが、「動かす」イメージも浮かんできて、広がった想像にさらなる膨張が促されるのも楽しく思えます。
実際に体感してほしい空間です。