中井章人展「闇の中で目を閉じる」
@GALLERY MoMo Roppongi
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
03-3405-4339
10/23(土)〜11/13(土)日月祝休
12:00〜19:00

Akito Naka i"Closing my eyes in the darkness"
@GALLERY MoMo Roppongi
6-2-6-2F,Roppongi,Minato-ku,Tokyo
03-3405-4339
10/23(Sat)-11/13(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
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GALLERY MoMo Roppongiでの中井章人さんの個展です。
昨年開催のULTRA002でも紹介されていて、そのときに拝見して異様に艶やかな仕上がりとそこに描かれるグロテスクで壮大、荘厳な情景にぐっと引き込まれたのですが、今回の個展では空間全体を暗めに設定し、その気配にさらなる濃厚な臨場感がもたらされ、深遠な雰囲気に意識が微睡み、沈み込んでいくように感じられます。
多くの平面作品は絢爛な装飾が施された金縁の額に収められ、その気配がさらに重厚に演出されています。
仕上がりの艶やかさにあらためて感じ入ります。
表面を覆い尽くし、激しい映り込みをもたらすそのマチエルは、単なる仕上がりの域を超え、あたかもそこに薄い層が創り出されているかのような、物質的なインパクトさえも感じさせてくれます。
その漆黒の艶のなかに浮かび上がるモチーフの有機的な形状。グロテスクなイメージを彷彿させる要素は、背景に広がる宇宙を思い起こさせる暗い色調に引き立ち、光を放つような印象さえ脳裏に湧いてきます。
そして、その有機的なフォルムから、顕微鏡を覗いて認識できるような感じもあって、縮尺の解釈にもたらされる豊かな、もとい極端なバリエーションも興味深く思えます。
ほぼすべての作品で画面中央に描かれ、光を放つようなその有機的なモチーフに対し、妖しさとともに神々しささえ感じます。
画面の仕上がりの艶やかさはそのまま美しさへと転化され、また分厚い闇を彷彿させる背景の黒は怖くなるほどの奥行きを思い起こさせ、そういった要素が響き合って圧倒的な空間をその画面に導き出しているように思えてきます。
額装されていない作品では、その情景が額に拡張を抑えられることなく、壁面に作用しておおらかな広がりが感じられます。
吸い込まれるような奥行きと迫るような臨場感も感じ取れ、三次元的に壮大なスケール感がそこから生み出されているように思え、ただただ圧倒されてしまいます。
有機的なモチーフの内部に光源をもつような感触もその異様さを加速させ、畏怖の感覚さえ観る者にもたらしているような気もしてきます。
立体作品も、空間に濃厚なアクセントをもたらします。
平面で表現される世界と比べるとダイレクトに有機的な要素を持ち込み、その妖しく重厚な世界観が直接的に表現され、むしろシュールささえ奏でられているようにも思えます。
そのシチュエーションの謎めきの輪郭が強烈に現れて、一体何なのだろう、と想像が翻弄されます。
黒のケースに収められた有機的な要素。
グロテスクな立体感が強烈な左側の漆黒の造形と、一転して赤い布に乗せられ標本のように収められる謎めく立体物。それぞれダイレクトにイメージに刺激を届けてくれます。
どこか重々しい気配が感じ取れ、箱に入っていることでサイズ的にも実寸の印象が強く実感され、危うい世界に導かれていくような錯覚さえ思い起こされます。
台の上に並ぶさまざまな立体物もそれぞれに異様な存在感を放ちます。
どこか骨董のような古めかしい感触も、その気配に説得力をもたらしているように思えます。
おそらく出来合いの何かに自身のクリエイションを注ぎ、ワイン色の窓の中を覗くとそのなかに何かがいたりして、細やかな展開がその存在と物語性をいっそう深遠で豊かにしてくれているように感じられます。
圧倒的な世界観が、平面と立体とをひとつの空間に配することで力強く展開されているように感じられます。
さまざまなスケール感を彷彿させる平面作品の壮大さと深遠で荘厳な空間性、そしてそこから醸し出される危うさを通り越す妖しさに引き込まれ、さまざまな立体作品があたかも展開される情景から採取したような印象が届けられることで曖昧なイメージに過剰までに輪郭をもたらしてくれます。
充満する気配がとにかく強く印象に残ります。そして1点ごとの作品の説得力に大いに感じ入り、荘厳さに魅せられます。