■7/20 Tue
藤野真由子「アリクイ・アブダクション」
@MEGUMI OGITA GALLERY
東京都中央区銀座2-16-12 銀座大塚ビルB1
03-3248-3405
7/20(火)〜8/7(土)日月祝休
11:00〜19:00

アリクイが登場するSFチックな物語が、数多くの切り絵の連作で展開されていて圧巻。そのひとつひとつが絵本の挿絵風のかわいらしさを充満させていて、そしてさらに面白いのが、それらの色の部分は全て印刷物をコラージュすることで表現されていることで、額装された作品のひとつの裏側を見せていただいたのですが、まさに「!」と痛快な驚きが。
ずらりと並んだ作品を繋げて眺めていって展開していく物語の大胆さ、ダイナミックさ、ちょっと和むようなところなども楽しく感じられます。
TERRA+island ”SUMMER COLLECTION" 岩崎宏俊+秋山幸
@GALLERY TERRA TOKYO
東京都千代田区岩本町2-6-12 曙ビル1F
03-5829-6206
7/20(火)〜8/7(土)日月祝休
11:00〜19:00

GALLERY TERRA TOKYOとislandとの共同企画。
islandからは、国内では久々の展示となる秋山幸さん。
鮮やかな配色と伸びやかな筆致で描き出される、ユーモラスな味わいに満ちて活き活きとしたペインティングが並びます。
今回の大作がまた、秋山さんの個性がまさに炸裂、といった感じで痛快です。
揺らめくように鮮やかな色彩が画面の上で重なり寄り添って、ダイナミックな幻想世界が生み出されているように感じられます。
そしてさまざまな距離で眺めて、大小いろんなモチーフが次々に見つかっていく感じもまた楽しいです。案外もっとも大きく描かれているいななく馬の姿を見つけるのが遅かったりして、「ああやられた!」と(笑)。。。
TERRA TOKYOからは岩崎宏俊さん。個展でも発表された作品がふたたびお目見えで、小さなモニターに短いループでそれぞれアニメーションが上映され、
併せてそれに用いられた、原画を描いては消しが繰り返された紙が展示されています。
消されたモチーフなどの生々しい痕跡に引き込まれます。
奥のスペースでは、イメージフォーラムフェスティバル2010の「ジャパン・トゥモロウ」で大賞を受賞した「between showers」も上映されています。
■7/24 Sat
赤川芳之 おとなの子
@MEGUMI OGITA GALLERY Showcase
東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F
03-3571-9700
7/22(木)〜8/7(土)日月祝休
12:00〜19:00

タブローと鉛筆画が展示されています。
それぞれの作品に登場する目が大きな女の子と、それを囲んでいたり一部から湧くような花がふわりとファンタジックな雰囲気を奏でその一方で現代的な闇というか、妙に醒めたような風合いが危ういイメージをもたらしているようにも感じられて興味深いです。
実に細かい描写でていねいに紡がれる鉛筆画の密度は見応えがあり、またペインティングでは鮮やかな色彩と意表を突くマチエルなどが混在した不思議な感触があるように思えます。
杉山功個展「神居 SANTUARIO」
@東京画廊+BTAP
東京都中央区銀座8-10-5-7F
03-3571-1808
7/21(水)〜8/28(土)日月祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)

大理石を角材を主に用いて制作されるオブジェが、しんしんとギャラリースペースに配されていて、まずその雰囲気に引き込まれます。
それぞれの作品には建物が建てられていて、それによってひとつひとつの作品が「空間」としての存在感を静かに醸し出し、また建物の多く和風の住居を、もしくは祠を思わせるかたちであることもあり、共感できる宗教観というか、眺めていてすっと落ち着くような風合いが心地よく感じられます。
じっくりと眺めていて、それだけで心が洗われるような...「石」という素材の涼しげな風合いもこの季節に拝見する展覧会としては嬉しく思えます。
80年代の草間彌生
@OTA FINE ARTS
東京都中央区勝どき2-8-19-4B
03-6273-8611
7/16(金)〜8/27(金)日月祝休
11:00〜19:00

タイトルが示す通り、草間彌生の80年代の作品が展示されています。それも立体と平面とがバランスよくセレクトされ、また空間的なバランスも見事に調和しているように感じられます。
草間で僕がまず思い浮かべるのが白の絵の具で展開していくミニマムなペインティングで、この作品群は平面でありながらキャンバスに乗る絵の具の生々しい立体感が魅力だと感じているのですが、今回の展示ではそれ以降の作品で構成されていて、キャンバス上での立体感がそれぞれ平面と立体とに分けて発展しているような印象をまず受けた次第です。それによってそれぞれがよりダイナミックに発展していっているようにも思え、立体作品ではよりもりもりとした過剰で不気味なまでに有機的な雰囲気を獲得され、平面はパターンの展開に豊かなバリエーションがもたらされて、またさらに立体作品の彩色でふたたびその展開が交錯しているように思えるのも興味深いです。ひとりのクリエイションのハイブリッドな展開が、それも色彩感、立体感の両面においてぐんぐんと凄まじい勢いで進行していっている過程の一部が20年余りを経てこの空間にパッケージされ、その臨場感にあらためて感じ入り、そしてそれを冷静に俯瞰できることがまた嬉しく思えます。
オリジネイターのパワーを実感できる展覧会のように思えます。
土田瞬展
@Gallery Art Composition
東京都中央区佃1-11-8 ピアウエストスクエア1階
03-5548-5858
7/24(土)〜8/14(土)日祝休
11:00〜18:00(土::〜17:00、最終日:〜16:00)

今年のART OSAKAでもこの個展より一足先に拝見し、その情感溢れる描写の深みに感じ入った至高の鉛筆画。今回の個展では小品から大作までがずらりと並び、鉛筆のモノクロームの表現特有の静謐と、深遠な情景やスカルを緻密な描写で表現することで生み出される重厚感とに大いに惹かれた次第です。
中沢研展
@ANDO GALLERY
東京都江東区平野3-3-6
03-5620-2165
6/8(火)〜8/28(土)日月祝・8/8〜8/16休
11:00〜19:00

ANDO GALLERYでの最初の個展ではペインティング、前回はインスタレーション、そして今回はふたたびペインティングのみで展示が構成されています。
この空間特有の、ゆったりと距離を置いて観られることの嬉しさが実感できる展示で、壁面に余裕をもって展示される大作を俯瞰し、その淡々とした渋い雰囲気に浸っていきます。
前々回の個展で拝見した平面作品と比較すると、より角が取れたという印象です。表層にベージュ系の色彩が多用されることなどはおよそ変わらない印象でありながら、そこにラインを連想させる要素が少なくなったことで、いっそう淡い風合いがもたらされ、独特の深遠さが横たわっているように感じられます。
至近で眺めたときに気付かされる奥に潜む色彩の存在が俯瞰して感じる印象とはまたひと味違う緊張感を届けてくれます。
思いもよらない色彩が下地に用いられているようで、その濃さが封じ込められているという事実が、この淡い色彩の広がりが醸し出す静謐にアクセントをもたらしてくれているように思えるのも興味深いです。
畠山直哉「線をなぞる / 山手通り」
@TAKA ISHII GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-5F
03-5646-6050
7/17(土)〜8/14(土)日月祝休
12:00〜19:00
手前と奥とで異なるシリーズ作品が展示されていて、その奥の作品群に大いに感嘆させられた次第。
ガラスに付着した水滴に焦点を当て、それによってその水滴一粒一粒に逆さに映り込むさまざまな情景の細微な歪みとその密集が放つ硬質なリズム感が堪らなく思えます。特に東京タワーやビルなどの人工建造物がびっしりと映り込む様子は、よりその歪みが強調され、淡々としていながらも凄まじい展開性を思い起こさせるのが楽しく思えるんです。
泉イネ「未完本姉妹 影の春光」
@TKG Contemporary
東京都江東区清澄1-3-2-6F
03-3642-4090
6/26(土)〜7/31(土)日月祝休
12:00〜19:00

MA2Galleryでの展示を拝見し、あらためて足を運んだ次第。
初日に伺った時は MA2Galleryでの展示を初めて拝見した時と同様にほぼまったく掴みきれなくて、異なるテイストの平面作品や写真、立体などが収まった、ここで提示されているインスタレーションが実に雑多に感じられたのですが、あらためて拝見し、入り口左手すぐに展示されている写真を目にして全てが繋がる感じがして。。。
この展示で泉さんがモチーフとされている「本姉妹」に対する距離感によって、感じ取れるイメージが随分異なってくるように感じられます。
「物語の伏線」 Part 2:大谷透 岡野訓之 多田圭佑 鷲崎公彦
@GALLERY MoMo Ryogoku
東京都墨田区亀沢1-7-15
03-3621-6813
7/24(土)〜8/7(土)日月祝休
11:00〜19:00

大庭大介さんのキュレーションによフレッシュなクリエイションを紹介する企画の後期、こちらでは事前に耳にしていた通り、ほぼ平面作品のみで構成されています。そしてそれぞれがまさに一筋縄ではいかない独創的な展開を繰り広げていて痛快です。
入り口すぐに展示されている大谷透さんの具象画とそのモチーフを知ったときの面白さ、シャープなかたちがひとつの画面に収められ、ヴィヴィッドな空気感を創出している多田圭佑さん、支持体のパネルの地を活かした描写が面白い鷲崎公彦さん、そして圧巻のマスキングテープワークで整然とした緻密な混沌を展開する岡野訓之さん、それぞれにエッジの鋭さが際立ち、その個性に魅入られた次第です。
桝本佳子
@Gallery Jin
東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F
03-5814-8118
7/24(土)〜8/14(土)月火休
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)

今年の初めはINAXで、そして先日京都のTKG Editionsでの個展を終えたばかりの桝本佳子さん、今度は東京と大忙し大活躍!
そして今回は季節感溢れるユーモアが注ぎ込まれた陶芸作品が展示されていて、その涼しげな風合いが心地よくて和まされます。
それにそてもよく思いつくものだと感心するばかりです。
壷に団扇が重なる作品。やわらかな白が爽やかな風合いを奏で、そこに射し込まれた団扇の柄もまた涼やかで。陶器ですからきっと結構な重さだと思うのですが、それとは裏腹になんとも軽やかな気分にさせてくれます。
こちらは灯籠と壷とが合体。
ちゃんと明かりまで内蔵されていて、いっそうユーモラスな雰囲気がもたらされています。無論陶芸ですけど「いかにも」な、石っぽい色味や質感もよい感じです。
で、一見、桝本さんらしくない普通の壷が。
回り込むと...
!Σ(@口@;)
壷にトンネル(しかも走行車両付き)。
しっかりとトンネル内は照明が灯されていて、車もライト点灯、と、ディテール表現もここまでくるとホントにただただ頭が下がります。
眺めていてホントに楽しい!
ミニカーサイズの車ももちろん焼き物で、なんともかわいらしく思えてきます。
INAXでの展示では回転する台に設置されていた作品もあらためて展示されています。動かない状態でじっくり観るとそれはそれでいろんな発見と味わいがあって嬉しいことこの上なく。
■7/27 Tue
もりやゆき展「つづきを見に」
@neutron tokyo Main Gallery + 2F Salon
東京都港区南青山2-17-14-1&2F
03-3402-3021
7/21(水)〜8/12(木)月休
11:00〜19:00(最終日:〜18:00)

久々に拝見するもりやさんのインスタレーション。
入り口の扉を開けると正面に鉛筆で描かれたモノトーンのカーテンに視界が覆われて、その深遠な雰囲気に引き込まれます。
続く各部屋にも作品がシンプルに配置され、それが引き続き淡々とした気配を醸し出しているように感じられます。そこに収められた表現のアクセントが、漂う物語性に微妙な起伏をもたらしているようにも思えます。
2階に展示されている平面作品も、それぞれが独特の雰囲気を持っているように感じられるのが興味深いです。小さな作品に「空間」が収めらているような印象で、それが想像を静かに膨らませてくれるようにも思えます。
松井沙都子展「a mimic」
@neutron tokyo 3F Mini Gallery
東京都港区南青山2-17-14-3F
03-3402-3021
7/21(水)〜8/12(木)月休
11:00〜19:00(最終日:〜18:00)

今回の松井さんの作品を拝見し、これまでよりもいっそう抽象性が増したように思え、逆にそれによって、これまでの作品から感じられた「もどかしさ」、展開される線が描き出すモチーフがぎりぎりで(意図的に)破綻していて掴めない感じが抑えられて、すっとその世界へと入っていけるような感じがします。
もちろん、線が導き出すやわらかな妖しさは保たれていて、独特の謎めいた雰囲気はしっかりと感じられます。
また、これまでの印象ではあまり用いられなかった強い発色の作品もあり、有機的な線の妖し気な風合いに斬新な、「強い」気配をもたらしているように感じられるのも興味深いです。
3人展 - 澁谷忠臣、吉田潤、アデラ・リボウィッツ
@hpgrp GALLERY 東京
東京都渋谷区神宮前5-1-15 CHビルB1F
03-3797-1507
7/2(金)〜8/1(日)月休
11:00〜20:00
それぞれ異なる雰囲気を持つ3名のアーティストがフィーチャーされたグループ展。
初めて拝見する吉田潤さんの作品、これが凄いです。
木版とペンによって、それぞれの技巧とそれによってもたらされる密度や色合い、質感を存分に活かし、妖し気な緊張感とエキゾチックな雰囲気が充満する情景が描き出されていて、その世界観と描写の精度に大いに引き込まれます。
登場する女の子のかわいらしい佇まいと、その回りに描き込まれる花の華やかさと可憐ささらに動物たちの狂気じみた仕草や表情など、ひとつの画面のなかにさまざまなテンションが折り重なるようにし混在していて、しかしそれがひとつの「情景」として強い説得力を持って迫ってくるような印象です。とにかく次から次へと目に飛び込んでくるひとつひとつの要素の強度に圧倒されます。
今回は3点のみの出展でしたが、もっとたくさん拝見したいクリエイションです。
木版とペンの細密表現とのバランスの絶妙さと大胆さが抜群のように思えます。
hpgrp GALLERY 東京ではお馴染みの澁谷忠臣さん。
前回の個展で発表された作品での色調をそのままに、そこに独自の幾何学的なパターンを描き加えていくというユニークな段取りで、奇妙に生々しく、そしてソリッドなフォルムのスカルが生み出されている作品。アンダーグラウンドな雰囲気が濃く充満する感じが堪ら
なくクールに感じられます。
一転して過剰なまでに鮮やかな色彩が凄まじい勢いで観る者に迫ってくるような作品も。
画面に落とし込まれるかたち自体のクールさが、独特のテンションを創出しているように思えるのも楽しいです。
アデラ・リボウィッツさんは1点のみの出展。
青だけで描き上げられた情景は、登場する女の子たちの表情などそれぞれのモチーフは具象的に描かれていながらも、どこか謎めいていて幻想的な気配が満ちているように思えます。単色で構成されている上に、青という色彩が持つ透明感のイメージが、よりその気配を高めているようにも感じられます。こちらもぜひ他の作品も拝見してみたいです。
■7/28 Wed
Jun Nguyen-Hatsushiba展 “Thank you ありがとうCảm ơn”
@ミヅマアートギャラリー
東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
03-3268-2500
7/28(水)〜9/8(水)日月祝・8/12〜8/18休
11:00〜19:00

ギャラリーに入っていきなり、そのインスタレーションに目を奪われるというか、目を疑います。相当に濃いメッセージ性を伴った臨場感のある空間が創り上げられていて、さまざまな想像が膨らんでいくことが余儀なくされるような感じがしてきます。
入り口カウンター前と奥の一角に映像作品が上映されていて、それらの関係性もなんとなく掴めてくるような構成も興味深く思えます。
そして、ここで提示されているメッセージ性が、テキストだけでは伝えられない何かがどこにあるかをじっくりと探っていきたいと思っています。