忽那光一郎 風速0
@ラディウムーレントゲンヴェルケ
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17
03-3662-2666
7/2(金)〜7/31(土)日月祝休
11:00〜19:00
Koichiro KUTSUNA "Wind Speed 0"
@Radi-um von Roentgenwerke AG
2-5-17, Nihonbashi Bakuro-cho,Chuo-ku,Tokyo
03-3662-2666
7/2(Fri)-7/31(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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ラディウムーレントゲンヴェルケでの忽那光一郎さんの個展です。
ひたすらに追求される世界観は初めて拝見した時から一貫しているように思えます。そしてそのストイックさが、高いアベレージでの写真作品を発表し続ける原動力になっているようにも感じられ、今回も展示を拝見してその説得力にただ感嘆させられた次第です。
撮影される重厚な夜景。
さまざまな建造物や風景と、その夜空に走る閃光、そこに沿って灯る光のドット。忽那さんの作品には欠かせない要素は、無論今回発表されているすべての作品に収められ、一目見ただけで忽那さんの世界と分かる構成が、ギャラリーの階段を上って作品を目にした瞬間からこちら側の感覚をその世界へと引き込んでくれます。
陸地に広がる、もとい横たわる情景の輪郭の重厚さに痺れます。
コンビナートの機能を徹底して追求された構造が視覚にもたらす硬質なイメージ。重力にのみひたすら従い、そこに鎮座するその静かな佇まいが、写真のなかではただ淡々とそこにあり、しかし圧倒的な存在感をじっくりと醸し出しながら、そして無言で語りかけてくるように思えます。
人工物と自然物とのコントラストが不思議な情景となって迫る作品も。
山並みの輪郭の有機的なイメージと、おそらくそれすらも人の手が入っていて削り出されているかもしれない、すなわち工場などと同じく無機質な姿であるという連想が、そこにとりあえずは、少なくとも人工物との対比として自然物の姿を晒しているのにも関わらず、どこか冷徹な気配を奏でているように思えて、その独特の雰囲気にも惹かれます。
その一方で、圧倒的な自然物である夜空も、そこに数本のおそらくは飛行機の放つ閃光の、何らかの数式で導き出されたかのようなシャープな直線や弧が、むしろ図面のような硬質な雰囲気を醸し出しているように思えるのも興味深く、さらにイメージが入り込み、夜空の微妙なグラデーションさえも無機的な歪みにも思えてくるのが面白く感じられます。
尋常でない説得力がそれぞれの画面から力強く放たれ、がっしりとした額装も相まって普段よりも重力の感覚が強く感じられるような錯覚さえ思い浮かんできます。
とにかく、相変わらずの格好良さに感服です。