川北ゆう −ゆらぎのあと 景色をそそぐ−展
@INAXギャラリー2
東京都中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA 2F
03-5250-6530
7/2(金)〜7/28(水)日祝休
10:00〜18:00
Yu Kawakita exhibition
@INAX GALLERY 2
3-6-18-2F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo
03-5250-6530
7/2(Fri)-7/28(Wed) closed on Sunday and national holiday
10:00-18:00
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INAXギャラリー2での川北ゆうさんの個展です。
以前より存じ上げていて、ようやく作品を実際に拝見できて感無量。もといあらためてstudio90での展示などを見逃していたことを後悔したりもするのですが、たった3点のみの出品ながら、圧倒的な世界が繰り広げられていて、涼しさと混沌とが交錯しながら展開していく壮大なスケール感に浸り、そこから無数の発見を導いていくのがとにかく楽しく感じられます。
ギャラリーの入り口脇のウィンドウに1点展示されている作品。
画面の上を揺らめくように這う線が、実に不思議なリズムを奏でているように思えます。美しい下地の白により、そこに乗る線の青は映え、1本1本の輪郭もシャープに表出されています。
メインスペースには、床置きの大作が2点、整然と・・・たった2点でもそう表現したくなるほどに・・・並んで展示されています。それだけで充分に、深遠な雰囲気が創出されているように思えます。
グリーンの線が這う作品。
この「精巧に歪む」といった感触の線は、その制作行程も実にユニークのようで、全体としておおらかに線が流れているなかで、至近で眺めると細微な波形すら、線同士が精密に並行関係が保たれているのがとにかく面白いリズムを醸し出していて、それが興味深い世界観をもたらしているように感じられます。
こちらの作品もこのサイズでありながら画面の仕上がりが圧倒的に美しく凛としていて、その風合いがこれほどの密度で導き出されている混沌にすら、清々しい印象をもたらしてくれているようにも思えます。
青の線が展開する作品。
「水」を連想させる青という色彩が、よりその涼しげで瑞々しい臨場感を前面に強く押し出しているように感じられます。
至近で眺めたときに視界が捉える、凄まじいほどに密集している線の混沌。微妙な差異の太さの線が並行に流れ、それらが同調しながら複雑な波形を導き出している様子に、ミニマムな表情への好奇心が膨らんで、意識がぐんぐんと入り込んでいきます。
画面の外へと流れ落ちる線、その質感にも感じ入る次第。画面表面の混沌からの側面へと向かい、そこで引かれる線のすうっと重力に導かれていくような表情に、どこか儚げで繊細な気配が思い起こされます。
俯瞰した時のスケール感と、至近で眺めたときの複雑さ、その両面における面白さが堪らないです。
クールなミニマルさが充満する、幻想的で繊細な抽象世界。例えば他の色彩ではどういうイメージが得られるだろう、などと想像するとまた楽しくなってきます。