村尾成律展
@Gallery Q
東京都中央区銀座1-14-12 橋本第17ビル3F
03-3535-2524
6/28(月)〜 7/3(土)日休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
Murao Masanori
@Gallery Q
1-14-12-3F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo
03-3535-2524
6/21(Mon)-7/3(Sat) closed on Sunday
11:00-19:00(last day;-17:00)
Google Translate(to English)
Gallery Qでの村尾成律さんの個展に行ってきました。
アートフェアやグループショーで拝見していて、暗い情景の中に何ともいえないシュールな場面が精巧な描写で描かれているペインティング、その独特の雰囲気が印象に残っていて、今回の個展も楽しみだったのですが、いやもう、エグい!
まさに平面だからこそ展開でき得る世界観。
ひとつの体から男女の体が生えている場面、それ自体が凄まじくシュールなのですが、それが圧巻の具象表現で展開され、表出される異様さにも説得力がもたらされているように感じられます。
それにしてもなんだろう、この痛快さは・・・!
どちらかというと「コワい」世界観だと思うんですけど・・・僕はコワいのは基本的に苦手なのでそちら系の映画はまず観ないのですが・・・、ホラー映画を観て笑う感覚ってこういう感じなのかな、と思わせてくれるような、なんともいえない可笑しみが溢れているのがとにかく興味深く思えます。
ぐわぁんと伸びる腕。その先、手のひらに乗る木と浮かぶ月。妖しい笑い顔を浮かべる男、赤ちゃんをあやす女、襖の影からその様子を眺める子ども。主要なモチーフは鮮やかな色彩で描き切られ、その他の背景はモノトーンという構成も、そのコントラストによっていっそう物語性が鮮やかに提示され、この世界のダイナミズムをさらに膨らませているように感じられます。
そしてその背景の具象性の高さにも唸らされます。
とにかくやりたい放題な展開が頼もしすぎる、そういう感じで...。
凄まじい瞬間を捉えた感じ、エッジの鋭い瞬発性が画面から溢れてきて、その動的なインパクトに圧倒され、緊張感がイマジネーションを煽ってきます。
人物の生々しい生命の感触を放つ濃く鮮やかな色彩と、それとは裏腹のモノトーンの背景の淡々とした雰囲気とのギャップも、この作品の場面のスリルをさらに高めているように感じられます。
シュールさでいうと、奥の壁面に展示されていた作品がとにかく凄まじい...。
いやもう、首とか足とか。。。
で、何なのよこのあっけらかんとした雰囲気は。。。
そもそもテーブルの上を歩いている女性、その状況だけとっても狂気性を感じさせてくれると思うんですけど、それすらどうでも良くなるほどに、それはもう軽やかなほどにアバンギャルドな世界が展開されていて、そのあまりの痛快さに思わず笑いが漏れるという...。
今回の作品はしっかりと構図を決めて制作されているそうなのですが、1点だけ、画面とセッションするようにモチーフを重ねていったという作品も展示されていて、他の作品とは異なるスリル、どこか不安定な、揺れを伴うような雰囲気がもたらされているように感じられるのが興味深いです。この展開ももっと観てみたいような気がします。
とにかく見応えがありました。
この世界観をこれほどの説得力で提示する、そのスキルとイマジネーションに感服です。