αM2010『複合回路』Complex Circuit Vol.2 早川祐太
@gallery αM
東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F
03-5829-9109
6/5(土)〜7/10(土)日月祝休
11:00〜19:00
αM2010 Complex Circuit vol.2 − Cognitive Interstice Yuta HAYAKAWA
@gallery αM
1-2-11-B1F,Higashi-kanda,Chiyoda-ku,Tokyo
6/5(Sat)-7/10(Sat) closed on Suncay,Monday and national holiday
11:00-19:00
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gallery αMでの早川祐太さんの個展です。
早川さんの作品はWAKO WORKS OF ARTでの二人展、武蔵野美術大学での修了制作で拝見していて、展開される現象がなんとも不思議な心地よさをもたらしてくれたのが印象深く、その雰囲気は今回の個展でもしっかりと、そしてそのユニークな表現も遺憾なく発揮されていて、何というか、さまざまな清々しい刺激に満ちた空間が創り出されているように感じられます。
入って「何だろ、これ?」と思わずにいられない有機的な白の塊。
ギャラリーの入り口手前にも置かれていて、ギャラリーの中にもずらりと並べて置かれている物体は不思議なインパクトを放っています。
風船の中に石膏を注ぎ込んで硬化させたらしいものだそうで、眺めているとその表面の滑らかさのかげで硬軟のイメージがなかなか湧かない、掴めないのが面白いです。実際は躓くと普通に痛いくらいの重さとのこと...。
これまでの展示でも発表されたクリエイションも登場しています。
淡々と水平を保つ白のプレート、この安定感に見とれます。
回転する液体入りの容器。
提示されているのはシンプルな現象なのに、眺めていて飽きない感じなのが不思議で。
おそらくシンプル「だからこそ」「楽しい、心地よい」のかも、といった印象も。
壁面から伸びる棹。
こちらは特に仕掛けがあるわけではなく、ただ壁面に設置されているだけのようで、重力によって程よくしなる棹が導き出すおおらかな弧が凛とした美しさを放っているように思えます。これもまた、眺めていられる感じなのが嬉しくなってきます。
唐突に立っている角材。
むしろこれは、仕掛けがないのが痛快です。実際にもたれ合って立たせているだけだそうで、まったくではないとのことなのですが、人が通っても案外倒れることもないというのもなんだか面白く感じられます。
今回の展示でひときわ目を惹くのが、まずこの水槽。
こちらに展開されている現象のかわいらしい感じが堪らない!
水面に浮かぶ輪っかに向かってひたすら浮かんでいく水泡。これがきっちりと輪の中へと収まっていくのがなんとも...。
たったこれだけの、何の変哲もない仕掛けによってもたらされる秩序にとにかく不思議な印象を覚え、またその現象の律儀さがどうしようもなく痛快に思えます。動きがあることもあって、余計に長いこと眺めていられるインスタレーションです。
もうひとつは、展示空間内に巡らされるチューブによるインスタレーション。
チューブ内には水が入っていて、それは下の動力によってひたすら流動しています。
そしてこのチューブを辿ると、白のボックスに辿り着きます。
チューブの端からボックスの上に落ちる水滴は、その対角にある穴へとするりと転がっていきます。
この感じもまた、先の水泡と同じく律儀で秩序だっていてそれがとにかく不思議で愛おしく、眺めていて何ともいえない痛快な気持ちに満たされます。
さまざまなかたちで提示される「現象」の面白さ。
早川さんが子どもの頃に川などで遊んだときに観た現象、得た経験を、独自の手法で作品化し、空間に落とし込んでいるとのことで、それぞれの作品はいわゆる装飾的な要素はほぼ排除され、しかし独特の機能美が生み出されているようにも思えます。そういった要素が入り組む空間自体は、それぞれがほぼ白で統一されていることもあってか、未来的な感触も彷彿させながら、いわゆる自然物やそれを直接的に連想させるものこそないものの、清々しい爽やかな雰囲気で満たされていて、それもまた心地よく感じられます。