新田友美 個展「Infinite Set 1」
@YUKA CONTEMPORARY
東京都文京区関口1-30-9
03-5272-2476
4/10(土)〜5/1(土)日火休
11:00〜19:00
Tomomi Nitta "Infinite Set 1"
@YUKA CONTEMPORARY
1-30-9,Sekiguchi,Bunkyo-ku,Tokyo
03-5272-2476
4/10(Sat)-5/1(Sat) closed on Sunday and Tuesday
11:00〜19:00
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気配で表現される、爽やかに春めく肖像群。
YUKA CONTEMPORARYでの新田智美さんの個展です。
今回の展示で発表されている作品は一貫して、単色の背景に据えられる女性の像というシンプルなもの。
しかし、その像は押し並べてそのフォルムが曖昧に表現され、またそのことによって現れる女性に匿名性ももたらされ、それが女性であるという「現実感」と、蜃気楼さながらの「幻想性」とが重なり独特の雰囲気を奏でます。
明るい色彩の服を纏う女性の作品は、春めくような爽やかな色彩感が心地よい響きをもたらしているかのように思えます。ポジティブで軽やかな色香がやさしく広がっていきます。
眼前に現れる像は、身体性を生々しく感じさせるような、相当に動的な感触を思い起こさせるストロークの集積で構成されているのも興味深いです。あたかもモチーフとなる女性の「存在の気配」、むしろ残り香のようなものを探って捕らえ、すっと筆を一閃させて画面上に残していく...そのような行為を重ねて生み出されている、そんなイメージも沸き起こってきます。
画面上に現れるさまざまなストロークは、刹那的な風合いを醸し出したり、また滲み湧くような感触ももたらしているように思えます。
その像の全体が認識され得ない至近距離で眺めたときに捉える抽象的な面白さもさまざな部分から届けられ、その点にも惹かれます。
そういった画面の表情の凝縮が生む、そこに現れる像が過ごした時間への想像もそれによって膨らみ、広がっていきます。
そしてもし、手を伸ばしてその気配に触れようとしたらふっとその気配も消え入ってしまいそうな儚げな空気感にも思いが寄せられ,深まっていくんです。
女性の全身像を描いた作品が多い中で、肖像を描いたものも数点。
この構図においてあらためて、その際どい匿名性が醸し出される描写に惹かれます。デジャブのように、するりと記憶から立ちのぼる女性の顔。しかしそのディテールに想いが届かないもどかしさがあって、それは「誰か」であることが曖昧でありながらも保たれるように思えることで、作品と観る側との想いとの間に横たわる、しっとりとしたやさしく心地よい暗さも届けられているようにも感じられます。
展示されているもっとも大きな作品。
むしろある「誰か」を意図して描いたような、今回の展示作品の中で際立つ高い具象性に一瞬たじろぎます。そこには観る側の「念」のようなものもあったりするのかな、など考えてしまったり。。。そしてそれすら消え入ってしまいそうな描写に、さらにいろんな感情の起伏への想像が広がっていきます。
ほぼ正面の構図で描かれる作品、そこに表情は現されず、だからこそ「仕草」や「佇まい」が豊かな雰囲気を醸し出しているように思えます。
豊かな描写によってもたらされる揺らめくような気配とそこから紡がれゆく言葉にならない静かな物語にゆったりと浸り、また爽やかな色彩を単純に味わい、楽しみたい作品であり空間で、何故だか何となくこの得難い心地よい経験は大切にしたいと思うんです。


