大久保如彌「もういいかい? もういいよ。」
@GALLERY MoMo Ryogoku
東京都墨田区亀沢1-7-15
03-3621-6813
4/3(土)〜4/24(土)日月祝休
11:00〜19:00
Naomi OKUBO "Marco? Polo!"
@GALLERY MoMo Ryogoku
1-7-15,Kamezawa,Sumida-ku,Tokyo
03-3621-6813
4/3(Sat)-4/24(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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フレッシュな色彩と、さらに上がる緻密さとで展開される、危うげなファンタジー。
GALLERY MoMo Ryogokuでの大久保如彌さんの個展です。
前回の個展や昨年の101 Tokyoなどでもその鮮やかな色彩感と丁寧な描写のペインティングが印象に残る大久保さん、今回の個展ではその描写の精度や密度が格段に増した感じで、ぞれがまず何より嬉しく思えます。
ぱっと目にした時の春めくような軽やかな色彩感。ふわりと高揚する感じが心地よくて、その明るい心持ちから絵の世界へ入っていくと、だんだんそこで繰り広げられている状況のシュールさが感じられてなんとも不思議な気持ち、敢えて言うとやわらかな動揺がもたらされるように思えます。下着姿の女の子たちが花を纏う、そしてそのひとりひとりに匿名性が保たれていて、彩りが醸し出す華やいだ気配とは裏腹に、全ては幻想じゃないか、というような緊張感も思い起こされるような気がします。
今回発表されている大作では、一様に登場する女の子の表情が隠されていて、それも絵の世界を現実感から遠ざけている一因のように思えるのも興味深いです。
それとは別に、描写の細やかさに大いに惹かれます。細微なストロークの集積によって描き上げられる、例えばこの下の作品であれば絨毯や女の子が着るワンピースの柄などの模様の緻密さ。ひとつひとつの色はどれだけ細かくても弾けてるような発色で、それぞれが絵の中での存在感を互いに際立たせているように思えます。
加えて、マチエルの立体感も面白いです。僅かな段差で盛り上げられる部分などが随所に現れ、硬質に構築されるような独特の油絵の具の立体感も、絵の世界をよりシャープに押し上げているような気もしてきます。
危うさと背中合わせのファンタジー。その危うさが、ただでさえ美しいという点で充分に引き込ませてくれる絵の世界にさらに濃い気配をもたらします。おそらくその中にホントに入ったら、その絵の中の虚構をより体感するのだろう、と...。
一見、鏡に映っている女の子の姿を描いたような小品も。
こちらでも匿名性が保たれて、届かない場所から女の子の姿を覗いているかのような、どこか危ういイメージももたらされるように思えたり。
奥のスペースでは、一転して表情が丁寧に描写されたドローイング作品が並びます。さまざまな表情のかわいらしい男の子(だと思います)、そこに金色の線描によるパターンが重なって、なんとも不思議な雰囲気が生み出されているように思えます。
振り返って見つかる立体作品も。
展示されている場所が面白くて、見つけられた時の嬉しさもひとしお。
作り込みの丁寧さとやはり隠される顔とで、絵の世界観がしっかりと立体に起こされているように思えるのも印象的です。
展示作品数こそ少ないものの、そのひとつひとつにかけられた手間というか、圧巻の密度で紡がれていく色彩感豊かな幻想的な世界を充分堪能した次第です。



