@magical, ARTROOM
東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F
03-3445-8988
10/23(金)〜11/21(土)日月祝休
12:00〜20:00

WORM HOLE episode 11 Yusuke Komuta, Rintaro Hiramine, Tomoki Furuhata, Tomonari Mase, Toru Matsushita
@magical, ARTROOM
1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo
03-3445-8988
10/23(Fri)-11/21(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-20:00
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六本木時代のmagical, ARTROOMで開催されてきた若手作家を紹介するシリーズ企画が復活。「episode 11」「episode 12」と連続して5名ずつのアーティストがフィーチャーされ、その前半はユニークなアプローチが面白いクリエイションが紹介されていました。
平嶺林太郎さんの映像作品、平嶺さんの名刺代わりにも思えるエンブレムのなかに複数の動画が挿入されたもので、独得のストリート感覚が印象的です。粗い画像がそこで繰り広げられる情景をいっそう生々しく描き出しているように感じられたのも興味深く、このエンブレムの作品はこの以前にも何度か拝見しているのですが、このあとにongoingで観たインスタレーションを観て、もしかしたらもっといろいろと情報の交錯やそれらの関係性が導く要素もあったのかも、と。
なかなか映像作品と対峙する時間がなくて悔しいのですが、あらためてじっくりと観てみたい、また、上階のMAGIC ROOM?での展示の雰囲気も面白く、もっとそういう展示とはかけ離れた空間でも接してみたいクリエイションです。
間瀬朋成さんの作品。
支持体となる板の全面が透明のウレタン塗料で覆われ、まずはその過剰な艶やかさ、物質的なインパクトに圧倒されます。
画面を垂れる塗料の生々しさ、揺らめく画面が照明の光を反射し、屈折してダイナミックな歪みをもたらしています。それとじっくりと対峙していると今度はそこに描かれた女性のシルエットが浮かび上がってきて、それを捉える瞬間のスリルもまた堪らなく感じられます。
小さな作品でもその濃密な雰囲気は変わらず、むしろ凝縮されたような感触もあり、さらに意識が入り込んでいきます。
画面下方の垂れるウレタンの雫が強烈に醸し出す「もの」としての臨場感、そしてやはり浮かび上がってくる女性の表情の艶かしさ。輝く画面の強烈さも含め、その素材へ対するストイックさと、その風合いを大胆に引き出す独創性には相当な厚みが感じられ、今後の展開への興味も湧いてきます。
ART AWARD TOKYOで拝見した時に、その熱い情動とクールな視点とが同時に感じられるインスタレーションに圧倒され、強く印象に残っている松下徹さんの作品。
もう、個人的にこのテイストは大好きで、行為によって生まれる偶然性、それらが導きだす複雑な展開に、どんどんと意識が入り込んでいきます。
発色の鮮やかさはまさに弾けるようなインパクトとなってヴィヴィッドな空間を創出し、そこに繰り出される有機的な要素、重なる顔料の断層がアバンギャルドに表出して、その蠢くような感じがとにかく堪らない!
巨大なパネルを組んで創出されているインスタレーション的展開、こちらもまた凄かった。。。
俯瞰したときのダイナミックなライン、それらによってもたらされる壮大な空間性。サイズもそのダイナミズムに力強さを加え、圧倒的な情景が構築されていて。
また至近では、無数のクラックやスクラッチ痕が細密な展開を導いていて、画面自体の平滑な印象とは裏腹の圧巻の複雑さに好奇心が煽られ、加えてモノトーンのクールさがダークな気配を思い起こさせ、さらに格好良く感じられるんです。
おそらく樹木とシューズとが支持体に採用されている作品も、その重厚でアングラな雰囲気を強烈に充満させる存在、その気配に圧倒されます。
生み出される異空間、3次元での展開の強みが充分に発揮され、より濃密にその臨場感を漂わせていたのが印象的です。
小牟田悠介さんはグラフィカルな展開が面白いです。
描くモチーフやインスタレーションなど、創り出す世界にはしっかりとした理論というか、クリアなイメージが備わっているような感触が興味深く感じられます。
ゴールドの画面に導き出されているさまざまな幾何学的パターン。
微妙な濃淡により、幻想的にも思えるパースが生み出されているのが面白く、安定と不安定の狭間を思わせる空間性に知的なスリルを感じます。
小牟田さんといって真っ先に思い浮かぶのがこの回転体。
ワシャワシャと音を立てながら、右回り、左回りを等間隔で繰り返し、回転中は遠心力で浮遊している細いプレートが、回転が止まる瞬間にバサッと脱力する様子もまたなんともいえないかわいらしさというか、不思議な風合いが醸し出されていて。
古畑智気さんは、描こうとしているもの、描くという行為で引き出そうとしていることとにかく興味深いです。
大きな画面に描かれる格子のパターン。
これが、この支持体であるパネルの骨の部分を描き出しているという。本来は見えない部分を敢えて描く、実際に見えていない部分を画面上に表出させることで、これまで思い描くことがなかった空間位置への想像が生まれて新鮮で、また、ただそれを描き出すだけに留まらず、この空間の光が導き出す陰影、この位置であれば左側の窓から入る自然光によって導き出されるグラデーションも、一見同じ白に見える画面に広がる背景に精緻に施されていたりして、さらにその新たに植え付けられたイメージが深まっていくんです。