@GALERIE ANDO
東京都渋谷区松濤1-26-23
7/7(火)〜7/25(土)日月休
11:30〜19:00

Satoshi Uchiumi “thousand-armed"
@GALERIE ANDO
1-26-23,Shoto,Shibuya-ku,Tokyo-to
7/7(Tue)-7/25(Sat) closed on Sunday and Monday
11:30-19:00
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視線の高さで空間を知る...。
GALERIE ANDOでの内海聖史さんの個展に行ってきました。計3回足を運び、その都度見えてくるもの、見つかってくる要素、そして思い浮かぶイメージが変化し、そこにいる時間が常に充実して感じられたのが、いつものこととはいえ、今回も強く印象に残っています。
入り口の扉の格子越しに目が捉える空間。
もう何度も足を運んでいるこのギャラリーが、
「あれ、こんなに広かったっけ?」
と思わずにはいられないほどに、深くゆったりと感じられたのがとにかく新鮮に感じられた次第です。
ユニークなかたちのスペースの、敢えて上方に配される内海さんのペインティング。
その位置のアクロバティックさは否応なく視線を上へと向かわせると同時に、逆に壁と床が接するコーナー部分にも、自然と意識が向かうんです。
あらためて、意外なほどに天井が高いことを自ら強く認識するがごとくしげしげと空間の形状へと意識を注ぎ込んでしまうのがまた印象に残ります。
そして、前回のこの空間での個展でのインスタレーションを思い浮かべ、そのときに出展された1枚の壁面全面をほぼ覆う作品が、今更ながらに相当なサイズだったことに呆然とさせられたり。。。
前回の同ギャラリーでの個展の際に、上記の全面がペインティングで覆われた壁面の向かいの壁面に設置され、それと対峙し、空間として受け止めていた円環の構成の発展系である今回のインスタレーション。それぞれの画面が「何の色」と言い表せる構成、それに準じてもたらされる色彩のバリエーションにも随分と慣れてきたことも実感したのですが、では、とあらためて1点ずつとしっかり眺めてみると、例えば赤の作品の画面を眺めていると思って刹那、その画面に備わる赤ではない色に意識が入り込んでいることに気付かされることしばしば、この感触も印象的です。
また、同系統の色の濃淡が、壮大なイメージへと変換され、山並みを俯瞰しているような、もしくは余白が海面で、複雑な稜線に加え、無数の谷が這うように入り組む岸壁のようにも見えてきたり。
さらには、(敢えてこう表現しますが)ある一定数のストロークが構築するおよそひとつのドットの塊がうごめき、衝突しあっているような、動的なダイナミクスも伝わってくるんです。
下方から煽るように眺めて、画面に乗る絵の具の臨場感をいつもより生々しく、強く感じられたのも心に強烈な記憶として残ります。
作品の展示位置を考えると至近で観ることはかなわないのですが、それでも最至近である下方から眺めていると、だんだん足下の意識が消えていきます。
「もしかしたら浮いているのか?」
などという錯覚も敢えて思い描いてみると、このインスタレーションがさらに体感できるような感じもした次第で。
前回の「十方視野」の、すべての画面のサイズが異なる構成を直前に体感していたこともあり、また同時期にスパイラルガーデンで開催されていた展示のサイズがそのままド級の迫力へと転化する構成を観ていたこともあって、同サイズの画面を並べて得られていた今回の展示における無機的なリズム感がより伝わって、そしてそれが、一つの画面にトリミングされた感じいっそうシャープに提示しているようにも感じられました。
今回の作品が円環なのであれば、もし機会があれば、相応の広さの壁面で、文字通りひとつの円周上に配置された展示も観てみたいなぁ、と。
ひとつの空間での展示が時間的に完結しても、ここから作品が...もとい、コンセプトが育つ可能性を、今回の展覧会では、より強く感じます。
まずは8月の京都、そしてそれ以降の展開へも好奇心が膨らんでいきます!