@hpgrp GALLERY 東京
東京都渋谷区神宮前5-1-15 CHビルB1F
6/5(金)〜6/28(日)月休
11:00〜20:00
Miki Kubota -Deshadowd and swelling-
@hpgrp GALLERY Tokyo
5-1-15-B1F,Jingu-mae,Shibuya-ku,Tokyo
6/5(Fri)-6/28(Sun) closed on Monday
11:00-20:00
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進化する解釈。深化する彫刻。
hpgrp GALLERY 東京での窪田美樹さんの個展です。
「見えないところを表出する」という感じのユニークでストイックな作風、今回はそこに新たなアプローチの作品も発表され、いっそうクリエイティビティが孤高へと向かったような印象を受けた次第です。
昨年のshiseido art eggなどでも発表された、家具を削り出す作品。
木製の椅子を切り、隙き間を埋め、新たな平滑面を創出することで斬新な美しさが提示されています。
思いもよらぬさまざまな表情が生み出されていて、もとのかたちとのギャップがさらに深遠なイメージを思い起こさせてくれます。
背もたれだった部分、彫り上げられおおらかな弧がもたらされ、組み上げられた角材の空間を埋めるベニヤの板とパテ。そこには、少なくともその椅子よりも具体的なかたちは存在せず、ほぼ無意識的に、ただ「埋める」「削る」という作業をストイックにおこなったことで表出されている抽象的な情景が現れ、さらに、生々しく提示される素材の質感との硬質なギャップが深いイメージの想起を促してくれます。
そこには実に単調な、敢えて意識を遠ざけ、無にするような印象を思わせるアプローチが繰り広げられていながら、だからこそのピュアな美しさがもたらされているようにも感じられ、興味深く思えます。
おそらく観音開きの衣装タンスが基となっている作品。
こちらにもアクロバティックなアプローチが注ぎ込まれていて、分厚い時空のイメージが創出されているように思えます。
ただ、おそらく感覚的に削られている部分。
展示では棚のように出っ張る部分に渋いブルーやピンクのパテが微妙な空間を埋め、削られて、そこからはあたかも別の時空が現実空間を削り取った痕跡のような重厚で深遠なスリルが伝わってきます。
そしてこの作品におけるインパクトは、なんといっても作品を緩やかに貫く数珠状の木製の球の群れ。
ひとつの列となって、端から端へと球体が連続し、板を通過する部分ではそれらは板のなかに入り込んでいて、その状況のシュールさに思わず後ずさりしそうなほどの妖しく危ない気配、凄まじく冷静な狂気を感じます。
こうやって提示される作品にもたらされている空間性の尋常でない密度に感嘆させられる次第です。
隙き間を埋め、表面を削ることで本来見えない部分を表出させる、という行為。見えない部分が見えるようになったときに、見えている景色は本来はいったいどの地点から眺めているのだろう、という想像が始まると、次第にその立ち位置の解釈の斬新さに唸らされます。
窪田さんの作品が見せる光景は、こうやって削られることで見えてきてはいるものの、あらためて考えるとたまたま家具の状態だと「見えない」だけで、存在しているわけで、だとすると、こうやってストイックな行為によって導き出された光景は、CTスキャン的なイメージに拠ってみると実際は無限に存在するということになり、それが眼前に「もの」として存在する作品に秘められる情報の膨大さに、あらためて圧倒されるんです。
そしてこの作品には、今度はこの立体造形をひとつの空間として捉え、そこを木の数珠が通過することで臨場感を伴って強烈に、そして静かに提示されているように感じられ、皿に斬新で複雑な三次元(もしかしたらさらに高次元)のイメージの世界へと誘ってくれるような気もしてきます。
今回の個展で発表されている新たなシリーズは、これまでの「埋めて削る」作品と比較すると実に騒々しい表面の質感を晒しています。
これまでとは圧倒的に異なる、より生々しい有機的な感触。
二人掛けの椅子が丸められた紙に覆われて、あらたな造形が導き出されているのですが、この紙は椅子の表面の布の模様と、おそらくその骨組みとして内側にある木材の表面とが裏表にプリントされているものなのだそう。
この椅子の内外の表面の柄に覆われ、しかもそれがくしゃくしゃと丸められることでさらに無数の平面の交錯を生み出しているように感じられ、凄まじく複雑なイメージが脳内に増殖していきます。
プリントの艶やかさや色見の有機的な感触から、過剰なまでに実に生々しい色彩感に包まれていて、ぱっと目にした瞬間はグロテスクなインパクトに襲われるのですが、じっくりと対峙しているとここから滲むイメージの深みに加え、やはり造形としての美しさにも気付かされます。
事務所のスペースにも数点の脅威深い作品が。
重箱の作品を拝見すると、このストイックな手法はイメージの深遠さだけでなくしっかりと美しさも導き出すことができる、ということを力強く提示してくれているように感じられます。
そして、平面作品が大変興味深いです。
立体作家、三次元での表現を主戦場として制作されているアーティストの平面作品はいつも刺激的なのですが、窪田さんもその例に漏れず。
グラビアかなにかの画像を色で埋め、新たな空間のイメージが提示されていて、一貫するアプローチのユニークさが面白く感じられます。
今回はメインスペースではまったく異なる肌合いの作品が2点ずつ展示されているのですが、これだけ激しく差異のある作品でありながら、窪田さんが制作されたものとしての説得力は大変強く伝わってきます。
全体に横たわる雰囲気は静謐そのものです。しかし、作品から放たれるイメージは刺激に富み、分厚く斬新な空間性が体感できるように思えます。





