[roller coaster island]村上滋郎
@magical,ARTROOM
東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F
11/1(土)〜11/30(日)12:00〜20:00
Jiro Murakami "roller coaster island"
@magical,ARTROOM
1-18-4-3F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo
11/1(Sat)-11/30(Sun)
12:00-20:00
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まず、村上滋郎さんの個展から。
アングラ感溢れる幻想世界が広がるペインティングがずらりと並ぶ中、コーナーに設置されたレコード盤のオブジェに目が向かいます。
重なるレコード、それぞれに小さな緑とプラスチックによるジオラマが設けられていて、池上永一氏の小説「シャングリ・ラ」の積層都市アトラスのちっちゃい版を連想させます。
で、近寄るといきなり回転して
!Σ( ̄口 ̄;)
となるワケですが...。
随所に持ち込まれたプラモデルのランナー部分が素材としての実感をもたらし、ジオラマとのギャップが生まれて、不思議な縮尺感が脳裏に浮かびます。
このジオラマがモチーフとなったようなペインティング群。
垂れる絵の具の痕跡や散らばるる飛沫が醸し出すアバンギャルドなテクスチャーのかっこよさ、加えて平面に納められることで奥行きや立体的な展開がダイナミックに挿入され、壮大に展開されるいスケール感が痛快です。
そういった中にほのかにメランコリックな風合いも織り交ぜらているような印象もあり、鮮やかさとにブザ、様々な風合いが混在する光の表現と相まって、実に不思議な味わいの世界が繰り広げられています。
個人的には上に掲載の全体が深いグリーンの作品の印象が強くて、全体も緑の印象を持ち帰ってきているのですが、小さめの作品での黒い背景も、さまざまな意味での「闇」を連想させ、物語性を膨らませてくれるような印象を覚えます。
続いて、Hyon Gyonさんの個展へと。
[いよいよ]Hyon Gyon
@magical,ARTROOM
東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F
11/1(土)〜11/30(日)
12:00〜20:00
Hyon Gyon "Iyo-iyo"
@magical,ARTROOM
1-18-4-3F,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo
11/1(Sat)-11/30(Sun)
12:00-20:00
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まず、エレベーター正面に設置されたモニターで上映されていた映像作品に引き寄せられます。
TWS本郷での個展でも映像作品は上映されていましたが、スローなテンポで妖しさを充満させながらゆらゆらと流れる時間と、そこで繰り広げられるシュールな行為とに煽られ、さまざまな「なぜ・・・?」が妄想を思い起こさせます。
コーナーの壁面にびっしりと飾られたインスタレーション。この圧巻な風合いも強く印象に残ります。
無数の包丁、そのあからさまな危なさ。それらを過剰に彩る装飾が放つ幻想的な絢爛の風合い。
ただ単にものを詰め込んだイージーなアプローチで、しっかりとクリエイションの導入となって迫り、このあと続くペインティングとしっかり響きあう構成が印象深いです。
そして、ずらりと並ぶ大作群。
独特の世界感を充満させ、それはもう圧巻です。
しかし、TWS本郷で拝見したときのあの暗めの照明の中に浮かび上がって、それでいてその果てを掴ませないような、どこまでも広がり続けるような妖しい気配が演出された空間から一転し、今回の個展では明るい照明での展示が行われ、Hyon Gyonさんの鮮やかな色彩感、シャープな筆致などの、これまでだと雰囲気に呑まれて気付けなかった美しさ、面白さが全面に押し出されているような感じです。
そして、髪の毛や刀などといった要素の持つイメージがもたらすちょっと怖いような物語性の印象がほどけ、天真爛漫で、実は相当な「おかしみ」、もっというと「笑いどころ」「ツッコミどころ」に満ちているように感じられたのも大変興味深いです。
ひとつひとつの美しい筆致への感嘆、大胆な描きっぷりの痛快さ。
妖しさとおかしみとのコントラストが奏でる不思議な世界観。
その面白みのひとつひとつがポジティブな高揚をもたらします。
無論、全体を覆うおどろおどろしさも大きな魅力のひとつです。
以前、ラジオで聞いた話で、米国人が日本のホラー映画を観て「なんでアタック(攻撃)しないんだ?」と強く疑問に思ったそうなのですが、まさに日本的、もとい東アジア的な感性による、心に訴える怖さも随所に織り込まれているように感じます。
しかし、Hyon Gyonさんの作品には、少なくとも僕の記憶ではこちら側の誰かが何らかの形で攻撃されたり、なんてことがないのはもちろん、刃物があれだけ登場していても刃傷を連想させる要素はたしかになく、このことに気付かされたのも面白く感じられた次第です。
そう思い始めると、Hyon Gyonさんが描き上げる世界は実にファッショナブルに感じられます。
無数の刃物はそこに多少の「守護」の思いは詰まっているかもしれないですが、むしろアクセサリー的に思えてきます。
遊び心がふんだんに詰まった不思議な世界、そこに織り込まれるさまざまな絢爛。
もっとダイナミックな展開も観てみたい、そんな好奇心も沸き起こってきます。



