@ラディウム−レントゲンヴェルケ
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17
11/7(金)〜11/29(土)日月祝休
11:00〜19:00

Yoshihiko Sato TRACHEA
@Radi-um von Roentgenwerke AG
2-5-17,Nihonbash-bakurocho,Chuo-ku,Tokyo
11/7(Fri)-11/29(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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抽出される圧巻の造形美。
ラディウム−レントゲンヴェルケでの佐藤好彦さんの個展です。
このところ、「音」関係の作品の展示が続いていた佐藤さん、今回は一転し、ホンダF1エンジンをモチーフとしたその名も「SOICHIRO」というプロジェクトを開始、そのイントロダクションは既にレントゲンヴェルケ移転前後のグループショーや、今年のアートフェア東京でリリースされたアートポスターで提示されていましたが、今回の個展がその本格始動第1弾とのこと。
まずそのイントロダクション、連なるエンジンのマケットが階段壁面に展示されています。
模型の面白さを感じつつ、これが現実化されたら一体どうなるんだろう、と鳥肌が立つような想像も膨らみます。
2階へと上がると、圧巻の造形が飛び込んできます。
もっと混沌とした、グチャグチャとしたものを想像していたこともあり、実際に目にした瞬間の、鋭くほとばしる「洗練」に圧倒させられます。
空間に1点、その鮮烈な存在感。
足下からの白熱灯による照明が、この白の白さを際立たせ、フューチャリスティックな雰囲気で空間を染め上げます。
そして、至近で眺め、この複雑に入り組む造形に視界を占めさせたときのわくわくするような感触。何ともいえない嬉しさが心を満たします。
すべてにおいて計算された、理知的な造形美に魅入られ、同時にそれぞれのパイプが発する動線のダイナミズムが高揚感を煽ります。
鎌首をもたげるヤマタノオロチの様相を思い起こさせ、その迫力にも圧倒させられたり、積もるような繊細な清廉とした風合いに心を沈み込ませ、浸るのもまた嬉しく感じられます。
パイプの外側の白と、内側の黒とのコントラストもシャープな美しさを奏でます。
おそらく相当にフィクショナルな要素が注ぎ込まれているはず...とは言え、導き出されたこの造形に意図的なものを強くは感じないのも興味深いです。伸びるパイプのバランス感というか、全体の収まり具合が実にナチュラルな印象で、それが壮大な臨場感をもたらしているようにも思えます。
今回、「SOICHIRO」プロジェクトの一端がまず提示され、果たしてそれがコンプリートされたとき、どんな空間が作り上げられるのだろう、と想像すると、もういてもたってもいられないほどに、「絶対観たい!」という好奇心が大いに沸き起こってきます。
既にこれほどのスケール感。エンジンの内部、という本来目にすることの出来ない閉じた空間に詰め込まれた究極の機能美。それをの精度で提示されたらもう、これからのこのプロジェクトへの期待も凄まじい勢いで高まります。
どうなっていくのか、どんな展開を見せるのか、これから何巻も続いていく壮大な物語を読み始めたような感覚で、続きがホントに楽しみです!