@eN arts
京都府京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側
11/1(土)〜11/30(日)金土日のみ(その他の曜日は事前予約制)
12:00〜18:00
Yasuko Iba "SENSE OF TOUCH"
@eN arts
,Gion-kitagawa,Higasiyama-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu
11/1(Sat)-11/30(Sun) only Friday to Sunday (appintment only on anather days)
12:00-18:00
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素晴らしいことは分かっていて、それでもなお、感動を与えてくれる空間と絵。
eN artsでの伊庭靖子さんの個展です。
伊庭さんの作品はそれこそギャラリー巡りを始めた頃に初めて出会い、そのときの感動がさらにアートへの関心を深めたのは僕に間違いなくて、それ以来拝見していて、いつもその具象性の精度の高さに感嘆させられるのですが、今回は京都の至高空間、eN artsでの個展ということで。
それはもう観なくても素晴らしいことは分かっているじゃないか、と。
だからこそ・・・観たい!
お茶屋さんが並ぶ八坂神社の北側の通り、和の光景のなかにまさに唐突に表われる現代美術のギャラリー。
少々急な坂を上ってガラス張りのエントランスに辿り着き、そこで、ここで伊庭さんの作品を観ることの意味を瞬間的に実感します。
青で鮮やかな模様が施された器。そこに描かれた器の柄の和の風合いが、この和の風合いがしっとりと漂う場所にしっくりと響きます。
複雑な動線を持つ空間に、透明感溢れる伊庭さんのペインティングが展示され、穏やかな静謐感を奏でています。
モチーフはお馴染みのクッション、磁器の皿など。そこに究極の描写で現され、写真以上の臨場感を放ちながら、爽やかな深みに心が沈み込んでいきます。
大きな画面に、そこに収まりきらないサイズに描かれるクッション。
表面に寄るシワなどの陰影が、信じられないほどの緻密なグラデーションで画面に描かれます。
そのことによって、モチーフに対するこれまでにない想い浮かぶだけでなく、大きく描かれていることでおおらかな雰囲気が奏でられ、クッションのやわらかな感触に包み込まれるような心地よさが心を満たします。
清潔感溢れる色彩が印象的です。
クッションなのに、そのふんわりとしたやさしい手触りはもちろん、その色彩の爽やかさが澄んだ情景を思い起こさせてくれて、モチーフが単に精緻に描かれているだけでなく、そこにそよぐ空気の流れも実感するような錯覚も伝わってきます。
至近で眺めたとき実感する、滑らかな色彩の移行。その絶妙さも感動的です。
エントランスにも展示されているのと同サイズの、磁器の皿の柄を描いた作品。
磁器の艶やかさを油彩で表現し、その艶やかさが鮮烈な臨場感を伴って迫ってきます。
思わず、自分の姿が映っているのではないか、と確認してしまいそうなほどに徹底して追求されるリアリティ、そしてそれが繊細に奏でる珠玉の美しさに圧倒されます。
eN artsお馴染みの「ブラックキューブ」へと向かう階段の正面に作品が。
椅子のアップのを描いた小さな作品。白が登場しない色彩の構成と現実的な風合いが他の作品よりも強められたような佇まいが、空間にちょっぴり強いアクセントをもたらしています。
エントランスからギャラリーの中へと向かう途中の展示構成と同様に、ちょうどこの位置に展示されることで、ここから世界が変わりますよ、とアナウンスされているかのような印象も覚えます。
そしてブラックキューブ。それぞれ、水が注がれたグラス、そしてソーサーとカップを描いた小さな作品が並んで展示されています。
画面の白さがスポットに照らし出され、シャープな光となってこの空間に神々しいまでの存在感を醸し出しています。 ほぼモノトーンに近い色彩で表現され、そこにもたらされるわずかな陰影が淡々とした時間の流れを奏でつつ、空間とのコントラストが美的感性だけでなく、硬質で同時に膨らむような雰囲気が、知性も刺激してきます。
再び階段へ。見上げると今度はその手前に飾られている額装作品が違う世界からの帰りを迎えてくれるかのようです。
もうひとつのエフェクティブな空間、畳の間の和室にも1点の小品が展示されています。
こちらは赤の透明感と鮮やかさが印象的です。
既にそれが何であるかすぐには認識できないほどに拡大、トリミングされた世界。そこにあらたに紡ぎ出されていく幻想にも似た時間の流れもまた、心地よい刺激をもたらしてくれます。
もはや孤高のクリエイションにも思えます。まさに至高のペインティング。
そして、初めて拝見したときからその高い水準を常に保ち続け、ハイクオリティが「当たり前」であり、そこへの期待もまったく裏切らないことへの嬉しさ。思い返すと、驚かされ、そして感動させられます。
淡々とした静けさが京都のこの場所で観られ、体感できたのはホントに幸せなことだなぁ、と、その思いをあらためてかみしめている次第です。





