@Azabu Art Salon Tokyo
東京都港区麻布十番1-5-10
8/1(金)〜8/22(金)日月休
12:00〜19:00

Midsummer Show 2008 -10 emerging artists-
@Azabu Art Salon Tokyo
1-5-10,Azabujuban,Minato-ku,Tokyo
8/1(Fri)-8/22(Fri) closed on Sunday and Monday
12:00-19:00
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10名のユニークなアーティストがピックアップされたショーケース的な展覧会です。
アーティストによっては今年の卒業・修了制作で発表された作品の再登場もあり、それに再び、卒業修了展示と比較すると格段に余裕がある空間で再び観られるのも嬉しい限りです。
先日の文京アートでの個展も面白かった麻生知子さん。
これまでも折りに触れて拝見しているアーティストですが、ありふれた、あまりにありふれた日常を
そこ、そうやって切り取るか!Σ( ̄口 ̄;)
とおおいにツッコミを入れたくなるようなかたちで提示するスタイルがさらに進化し、今回出品された3点はこれまで以上にケッタイな感触が堪らない!
中村恭子さんは、ご自身のライフワークでもある蘭とのかかわりの延長として制作されたような、蘭をモチーフに描いた作品です。
とにかくこの表現力と渋い色調とに魅入られます。
ゆたかな弧を描く花弁の稜線、蜘蛛、蝿と、虫の形へと進化した花のフォルムのどうしようもなく魅力的な妖しさ。
拝見することができて嬉しい、特別な雰囲気を持った作品です。
谷下田朋美さんの油画は、日本の油画としてのクラシカルな雰囲気を今に再現したような感触がまず印象に残ります。
何度も重ねられた筆のストロークの痕跡が独特なテクスチャーを編み出し、鈍く渋い色彩感が奏でる独特な味わいが、連綿と続くストレートアヘッドなオイルペインティングらしい深みをもたらしているように感じられます。
描かれるシーンはクラシカルな雰囲気と同時に、双子葉もなく妖しい感触が伝わり、それによるコントロールされた混沌が存在しているように思えます。
今回唯一の立体作家、松下由紀子さん。
堂々とした存在感で強烈に濃厚なインパクトを放つ、重鈍な木彫作品が鎮座しています。
どこか滑稽な風味も滲ませつつ、重たい妖しさを充満させる独特な表情。そして何より、自らの髪を鋏で切る仕草の重々しさは、ぐっと力づくでこの世界に観る人の意識を引き込んでいきます。
現代の木彫の面白さをふんだんに備えたクリエイション。ぜひ、他の作品も拝見してみたいです。
枝史織さんの横長の大作は尋常でない迫力を醸し出しています。
深く重厚な、しかし乾いた色調。そこに描かれる光景は、さまざまな動物たちや人間の姿を織り込みながら、巨大な建造物のなかで綴られるゆったりとした時間の流れを奏でているように感じられます。
独特の静謐感を放ちながら、緻密な筆致でおおらかに放たれる壮大なダイナミズムに、思わず言葉を失って見入ってしまいます。
今年のトーキョーワンダーウォールで初めて拝見して強く印象に残った国本泰英さん。
落ち着いた淡いベージュを背景に、水着の子供達のシルエットが描かれた作品が2点出品されています。
用いられる色彩ひとつひとつは沈み込むような落ち着きを保ちながら、全体として、実に鮮やかな「キレ」を感じさせてくれます。
シルエットのシャープさと、そのシルエットを至近で眺めるとなめらかなグラデーションではなく、微妙な階調が施されていて驚かされます。
他、日本画の松岡歩さん、菅かおるさん、直近に迫るPepper's Galleryでの個展も楽しみな山田彩加さんの緻密なリトグラフ、画廊るたんでのグループショーでも同日に拝見したタケイチユリさんの作品も出品されています。
それぞれに、今後の展開が楽しみなクリエイションです。