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ex-chamber museum
http://ex-chamber.seesaa.net
〒101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 205a
MORITAKAとシェア)(google map
tel: 070-5567-1513
mail: exchamber@yahoo.co.jp
インフォメーション

ex-chamber museum
3331 Arts Chiyoda 205a, 6-11-14, Soto-Kanda, Chiyoda-ku, Tokyo, Japan
(sharing the space with MORITAKA)(google map
mail: exchamber@yahoo.co.jp
information

artists
伊藤航 Wataru Ito
小野川直樹 Naoki Onogawa
佐藤明日香 Asuka Satow
勢藤明紗子 Asako Setoh
田島大介 Daisuke Tajima
鶴友那 Yuna Tsuru
照井譲 Yuzuru Terui
平山紗代  Sayo Hirayama
山口英紀 Hidenori Yamaguchi

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2010年04月30日

review:上田順平 個展 パート2:「カンゲン」《4/17》

review:上田順平 個展 パート2:「カンゲン」《4/17》mirror

上田順平 個展 パート2:「カンゲン」
imura art gallery
京都府京都市左京区丸太町通川端東入ル東丸太町31
075-761-7372
4/13(火)〜5/1(土)日月祝休
10:00〜19:00
上田順平100413.jpg

Jumpei Ueda Exhibition 2nd Period: Kangen
imura art gallery
31,Higashi-marutacho,Sakyo-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu
4/13(Tue)-5/1(Sat) closed on Sunday,national holiday and 8/12-8/16
10:00-19:00
Google Translate(to English)



2期続けて開催のimura art galleryでの上田順平さんの個展、そのパート2ではお馴染みの絢爛の仕上げで賑々しい雰囲気を醸し出すセラミック作品群とは一線を画す世界観。
陶芸作家としての本質を自身に問い質し、その姿勢を鑑賞者にも提示、そして問いかけるような深遠な雰囲気が創り上げられていています。

通りに面したガラス張りの部分を暗幕で覆い、薄暗い空間を創出。そこに5体のオブジェが佇み、ゆったりと緩やかな時間の流れを感じさせてくれます。生まれる前から人間の内面に横たわる懐かしさ・・・太古の世界、そういう雰囲気が演出されているようにも思えます。


上田順平_14.JPG



埴輪を思わせる素朴な造形と土の風合いを深く残す仕上がり。
表面にはびっしりと木の葉の葉脈の線で覆い尽くされていて、それもまた独特の深みを醸し出しています。
底の円形の部分からぬうっと湧き出るようなかたちが、独特の幻想的なイメージを届けます。シチュエーションは異なりますが敢えて例えると「金の斧と銀の斧」の池から現れる女神の登場シーンと似た感じ、それが水面ではなく陶芸の素材でもある「土」から湧いて現れたような想像が膨らんで、原始的な雰囲気もそれによってより濃くなっているようにも思えます。
加えて、造形に挿入されるユーモアも堪らないです。その土っぽい仕上がりと素朴な表情が大昔のおおらかな雰囲気を強く奏でながらも、バイオリンのそれに似たボディシェイプ、さらに背中に開くS字穴の艶かしさが現代的なポップな感覚を放ち、またマン・レイのパロディがこの造形で展開されていて、そのセンスに思わずにやりとさせられたり。


上田順平_13.JPG 上田順平_12.JPG 上田順平_11.JPG 上田順平_10.JPG

上田順平_09.JPG



人間のかたちをしたもうひとつの立像もなんとも言えないかわいらしさとユーモアに感じ入り、その淡々とした雰囲気,深い味わいに意識が入り込んでいきます。
胸を張る凛とした立ち姿と短い腕の造形によって無垢なイメージがより深まると共に、股間の作り込みにも思わず笑みがこぼれます。


上田順平_08.JPG 上田順平_07.JPG 上田順平_06.JPG 上田順平_05.JPG

上田順平_04.JPG



動物をモチーフとした作品も。
より地面から「湧く」感じが強く伝わってきます。


上田順平_03.JPG



素朴な表情がよい感じです。
自然と屈んで、その表情を愛でるようにして眺めます。


上田順平_02.JPG



上田さんの(語弊があるかもしれませんが)「本来の」作風における、陶芸の工芸性をさまざまな角度で過剰に引き出したかのような展開、艶やかでエンターテイメント性に富んだ、そしてだからこそそこに圧倒的な懐の深さを備える独創性の高い世界観から一旦離れ、少なくともそれらの絢爛とした風合いから真逆のベクトルへと振れた表現が繰り広げられていることが興味深いです。
(展開の方向性としては、今年始めに拝見した近美の工芸館での展示で発表されたインスタレーションも同様に興味深かったです)
その「本来の」作風はすでに相当に情報密度が高く、もちろんこれからのその展開,進化も楽しみで仕方がないのですが、一度陶芸作家として足下を敢えて見据え、まったく異なる表現を通じてどこまで「陶芸」としての本質に迫れるかに挑むようなストイックで思い切りの良い展開にあらためて感嘆させられます。

それで出来上がった世界観の深みは、「うわぁっ!」と一気に高揚感をもたらす「本来」の展開から一転して、ゆっくりとやさしく和やかな心持ちをもたらしれくれます。それが何より嬉しく感動的に思えた次第で。

で、ただそれでよしとしないのも上田さんらしいと思うのが、そういった逆に振れた展開にもしっかりとこれまで磨き上げててきたユーモアセンスをさらりと絶妙な塩梅で挿入しているように感じられるところで、それもまた嬉しく、そして頼もしいです。

今年は9月にメキシコへと向かい、1年間の予定で滞在制作をなさるとのことで、この独創的な陶芸世界にどんなエッセンスが加わっていき、展開が広がっていくかも楽しみです。


上田順平_01.JPG
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2010年04月29日

review:松井えり菜「ワンタッチ・タイムマシーーン!」《4/3、4/10、4/24》

review:松井えり菜「ワンタッチ・タイムマシーーン!」《4/3、4/10、4/24》mirror

松井えり菜「ワンタッチ・タイムマシーーン!」
山本現代
東京都港区白金3-1-15-3F
03-6383-0626
4/3(土)〜5/1(土)日月祝休
11:00〜19:00
松井えり菜100403.jpg

Erina Matsui "One-touch time machiiiine!"
YAMAMOTO GENDAI
3-1-15-3F,Shirokane,Minato-ku,Tokyo
03-6383-0626
4/3(Sat)-5/1(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google Translate(to English)



1 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土) 11:00:00
東京都港区白金のギャラリー山本現代で、約2年振りとなる松井えり菜の個展が始まった。
今回の直前に開催された旧フランス大使館での「No Man's Land」や東京藝術大学での修了制作の発表それぞれで鑑賞者の度肝を抜いたことも記憶に鮮やかなタイミングで開催される今回の個展、ペインティングを中心にインスタレーションなども組み入れたバラエティに富んだ構成となっており、会期前から大いに話題を集めている。

松井えり菜オフィシャルサイト
http://www.erinamatsui.com/
松井えり菜ブログ(ART IT公式)
http://www.art-it.asia/u/ab_matsuie/

山本現代
http://www.yamamotogendai.org



2 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
° ° ( Д ) ポカーン



3 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
いきなりやりたい放題かよ!!Σ( ̄口 ̄;)



4 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
エレベーター降りたらこれかw



5 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
額から顔www
迫力が半端なくwww



6 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
ウーパールーパ-----(°∀°)ーーーーー!!!

しかも一匹じゃないしw



7 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
一体タイムマシーーンでどこへ連れてってくれるのかと(笑)。
時代設定も謎、国籍も謎な感じでなんだかワケ分からなくなってきます。
前回の個展は壁面が黒(暗い青だったかも)で塗布された空間に平面作品が展示されていて、世界観がけっこう強烈に充満していたのを覚えているのですが、今回のは違う意味でいきなり濃いです。
ていうか壁白いままでも負けてない!



8 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
奥のほうから歌声聴こえるのが気になる


松井えり菜_38.JPG 松井えり菜_37.JPG 松井えり菜_36.JPG 松井えり菜_35.JPG

松井えり菜_34.JPG



9 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
平面
分身の術か



10 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
出ました自画像松井えり菜ワールド真骨頂キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!



11 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
濃いねぇ
そして凄まじい臨場感
それにしてもいったい何なんだろうこのスケール感は
この大胆な描写とシュールでユーモラスな世界観がタマラン



12 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
>>11
ちょっと待て
結構描き込みも凄い



13 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
>>12
薔薇とか金魚とかの再現性スゲー!



14 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
なんだかもうますますその世界観が深まっているのは痛快です。
ガァァァと大きく開かれる口から漏れるファンタジックな気配、広がる暗黒はまるで宇宙の壮大さと深遠さを思い起こさせ、そこから溢れる薔薇やら金魚やらが飛び出るように登場している動的な感触も楽しく感じられます。
何よりそもそも、すでに横に異様に展開され複数の鼻と前歯が備わる顔、そのどうしようもないユーモアに感じ入り、さまざまなかたちでシュールなイメージがもたらされているように思えます。



15 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/03(土)
>>14
空の中に潜むポップなモチーフも見逃すべからず


松井えり菜_33.JPG 松井えり菜_32.JPG 松井えり菜_31.JPG 松井えり菜_30.JPG

松井えり菜_29.JPG



16 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/3(土)
修了制作再登場



17 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/3(土)
でけぇなオイ!Σ( ̄口 ̄;)

こんなに大きかったんだ...



18 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/3(土)
よくここに入ったな



19 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/3(土)
襖絵なんだけど






どんだけデカイ襖なんだよwwwww



20 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/3(土)
>>19
開けるのに随分力がいりそうだな



21 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/3(土)
取っ手の位置が逆な気がするが(゚ε゚)キニシナイ!!



22 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/3(土)
>>21
実は両側にもう1枚ずつあったりして



23 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/3(土)
>>22
これよりもっとでかいのかよ!Σ( ̄口 ̄;)



24 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/3(土)
この襖
開けたら凄い広間が現れそうだな



25 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/3(土)
>>24
開けたら巨大ウーパールーパー従えた和服姿の松井えり菜嬢
キルビルのオーレンイシイばりに手下従えて
その手下がなぜかウーパールーパーで
で「ヤッチマイナー!!!」の一声で
ウーパールーパーの群れが迫ってきてギャァァァァ-----!!!!!

とか



26 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/3(土)
>>25
そのシチュエーションだとGOGO夕張の武器もウーパールーパーだなw



27 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/3(土)
もとい!
もとーい!

芸大の修了制作展で拝見した時もその迫力に圧倒されたのですが、この空間では天井の圧迫感も相まってよりその世界観は力強く届けられるように思えます。
襖という形式自体からも日本的な風合いがもたらされるのですが、与えられた巨大な画面にさらに伸びやかに自画像を描き、宇宙と海とがオーバーラップするようなダイナミックな雰囲気に、さらにぐっと引き込まれます。さまざまな魚や星など、湧き出るようなモチーフ群も濃密な感触をいっそう深めているように感じられます。


松井えり菜_28.JPG 松井えり菜_27.JPG 松井えり菜_26.JPG

松井えり菜_25.JPG 松井えり菜_24.JPG 松井えり菜_23.JPG

松井えり菜_22.JPG



28 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/10(土)
襖の裏がまたすごいことに



29 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/10(土)
マトリーショカとか羽子板とかおもちゃだが

なにこの和洋折衷www




しかも微妙に渋いwww


30 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/10(土)
座布団ワロタ



31 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/10(土)
>>30
木魚のか





・・・って木「魚」かよ!Σ( ̄口 ̄;)

爬虫類だから魚じゃなかろう...



32 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/10(土)
>>31
いやサンショウウオの例を考えると案外ウーパールーパーを漢字で書くと魚って文字使うか魚偏ついた漢字使いそう


案外最初の「ウー」とか



33 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/10(土)
>>32
魚爬流爬(嘘)



34 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/10(土)
>>しかも微妙に渋いwww
板絵は微妙ななくて実際に渋いの!



松井えり菜_21.JPG 松井えり菜_20.JPG 松井えり菜_19.JPG 松井えり菜_18.JPG

松井えり菜_17.JPG



35 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/10(土)
あーんwww



36 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/10(土)
こっちもある意味マトリーショカ状態



37 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/10(土)
何に向かって「あーん」なのかが気になる



38 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/10(土)
>>37
なるほど






ていうか普通に怖いだろこの状況!Σ( ̄口 ̄;)



39 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/10(土)
むしろかっこいいのだが



松井えり菜_16.JPG 松井えり菜_15.JPG 松井えり菜_14.JPG 松井えり菜_13.JPG

松井えり菜_12.JPG



40 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/10(土)
そろそろこの文体・形式で書くのが辛くなってきた...orz



というわけで終了。
失礼致しましたm(__)m




今回発表されているペインティングを拝見し、これまでの松井さんの作品をを思い返してみて、その世界のスケール感が格段に増した印象がとにかく強いです。
基本的に自画像による展開で合っていると思うのですが、画面に大きく描き出される顔にしろウーパールーパーにしろ、実際の縮尺よりもかなりデカいイメージ、その壮大さにただ圧倒されます。
そして以前より備わる過剰に有機的な雰囲気も、むしろ強まったような印象も。こちらは前から描かれてはいますが、産毛の描き込みなど細やかな描写にもさらに拍車がかかり、結構どの部分を切り取っても油彩画として密度が相当に濃く、それでいて全体を俯瞰したときにより強烈なコントラストが導き出されているような感じがして、それによって導き出されるパンパンに膨張した感触が凄まじい持続性を持つインパクトを提供してくれているように思えます。

で、この作品なんかは天頂のハートマークにいきなり目が釘付け、という(笑)。
鼻の頭に生えるキノコもなかなかよい感じです。


松井えり菜_11.JPG 松井えり菜_10.JPG 松井えり菜_09.JPG

松井えり菜_08.JPG 松井えり菜_07.JPG 松井えり菜_06.JPG

松井えり菜_05.JPG



ウーパールーパーの被り物と、それを被ってさまざまな場所で撮影した写真も楽しい!
っていうか


どんだけ出かけてるんだよ!Σ( ̄口 ̄;)


観ると明らかに海外。
どうやって持ち込んだかは定かではないですが、空港の荷物受け取りのベルトコンベアーでこれが流れてきて一堂唖然、それを松井さんがいそいそとピックアップする様子を思い浮かべてなんだかもう(笑)。


松井えり菜_04.JPG



ウーパールーパー大活躍!
調べると出てきたこちらなんかを拝見しているとあらためて


・・・こやつかわいいなチクショウ...


と思ったりするのですが、それと比較すると異様に肉感的に描き出されるウーパールーパー、背景もむしろ宇宙とか相当に壮大な感じがすることもあって、例えばあれだけ外見はキュートなのに残虐凶暴なマシュマロマンと近いギャップがあるように思えて、もちろん悪役という意味ではなくて、何というかむしろ原生のイメージ、生命が無垢なまま進化していった成れの果ての象徴のような想像も浮かんできます。
相当にグロテスクな描写なのですが、それでも愛嬌があってかわいく思えるから不思議で。しかしかわいいことにも納得していたりしています。


松井えり菜_03.JPG

松井えり菜_02.JPG



より濃厚に提示される独自の世界観、そこに投入されるさまざまなユーモア。
眺めていてまず受ける強烈なインパクトと同時にもたらされる奇妙さ、そこから次々に見つかっていく発見により、最初に生まれたイメージに細胞分裂と増殖をとをもたらしていくような感じがします。
そして何より、描く行為、もとい表現することの楽しさも感じられるような気がして、それが嬉しかったりもします。

さまざまなメディアの作品が展示されていて結構なカオスがもたらされているのですが、その主たる平面表現での展開にとにかく惹かれます。少し話は逸れますが、先日足を運んだ福岡アジア美術館でさまざまな国々のアーティストのペインティングを拝見し、平面で「表現」できることの力強さを幅広さに感銘を受けたのですが、それと近いパワフルさを松井さんの作品群は感じさせてくれるような気がします。より自身の世界観の表現に重きが置かれたような印象が強く、これからそれがどう深まり、どんなイメー時を提供してくれるかにも期待が高まります。


松井えり菜_01.JPG




41 名前:名無しさん@もうすぐ4周年 2010/04/24(土)
>>8
>>奥のほうから歌声聴こえるのが気になる
どうやらこの展示に合わせて作られたオリジナルソングらしい
で、PVまで出来てたwwwあてぶり必見www
posted by makuuchi at 11:43| Comment(2) | TrackBack(1) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月28日

SHINCHIKA新作 「ハレパミソ」

SHINCHIKAの新作 「ハレパミソ」の「あなたのお家のPC展示」です。ぜひ!

http://shinchika-video.jimdo.com/
posted by makuuchi at 08:52| Comment(1) | TrackBack(0) | information | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月27日

review:山本基 個展 たゆたう庭《4/18》

review:山本基 個展 たゆたう庭《4/18》mirror

山本基 個展 たゆたう庭
eN arts
京都府京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側
075-525-2355
4/2(金)〜4/30(金)金土日のみ
12:00〜18:00
山本基100402.jpg

MOTOI YAMAMOTO "Floating Garden"
eN arts
627,Gion-kitagawa,Higasiyama-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu
075-525-2355
4/2(Fri)-4/30(Fri) only Friday to Sunday (appintment only on anather days)
12:00-18:00
Google Translate(to English)



この複雑で豊かな動線を備える特異な空間で、あの塩のインスタレーションが創り上げられるのであれば、それが素晴らしくないはずはなく。。。



eN artsでの山本基さんの個展です。極めて美しく、そして深い異次元が創出されているのです。


このギャラリーでの展示でいつも楽しみにしているひとつがエントランスで、真向かいに八坂神社の和の気配が横たわるシチュエーションをどう活かし、何で魅せ、その世界へと誘ってくれるか・・・やや急な坂を少し登って辿り着いた最初に目にする展示がどうなっているか毎度期待しているのですが、山本さんはここで、今回の出品作品のなかで最小のものを展示。広い壁面に、あたかも気配が凝縮されたかのような感覚に満たされ、一気にこの先の世界との対峙への「覚悟」のようなものがもたらされます。


山本基_29.JPG

山本基_28.JPG



中へと足を踏み入れると、いつもとは異なる塩のラインの広がりが視界に捉えられます。


山本基_27.JPG




今回メインで展開されているインスタレーションは、僕が山本さんを知って以来これまで拝見してきた迷宮のシリーズではなく、より有機的に展開される、敢えて表現するとしたら無秩序のレース模様を思い起こさせる展開で、「迷宮」でも感じるような理知的な風合いは保たれつつも、その幾何学的な構造とは一線を画しているような印象で、静かでありながらもより感覚的に、そしてより衝動的に空間を「浸食」していっているようなイメージがもたらされ、横たわる圧倒的な静謐の奥に潜むその感性の生々しさに圧倒されるように思えます。


山本基_26.JPG



眼前の情景からいろんなイメージも重なってきます。
例えばさざ波にわき立つの水泡。打ち寄せて消えゆく感触を思い浮かべると、ある瞬間が捉えられているかのような緊張感が心にすうっと入り込んで、さらにその刹那な雰囲気に引き込まれたり。。。


山本基_25.JPG 山本基_24.JPG

山本基_23.JPG



全景を捉えることを一旦止め、部分に焦点を当てていくと今度は空間への浸食の過程を思い起こさせてくれます。
未だ終わらぬ空間の対峙。このまま時間が経てば、床全体にヒビが入るかのようにびっしりと塩の線に覆い尽くすのでは、などという壮絶な情景の想像も浮かんできます。
部分的にコンクリートの床にあるヒビに沿うようにして塩の線が走っていたりして、その関係性にも好奇心が煽られます。


山本基_22.JPG 山本基_21.JPG

山本基_20.JPG



壁面に展示される平面作品も、比較的小さなものが多いながらも実に深い風合いを醸し出しています。
大小どちらのスケールへもイメージを深めていける濃密かつ静謐な抽象世界。より有機的な描写により、妖し気な雰囲気をそのなかに色濃くもたらしているように思えます。


山本基_19.JPG

山本基_18.JPG 山本基_17.JPG 山本基_16.JPG

山本基_15.JPG



地下には「迷宮」の世界が。


山本基_14.JPG 山本基_13.JPG 山本基_12.JPG 山本基_11.JPG

山本基_10.JPG



さらにブラックキューブでのインスタレーションも楽しみだったのですが、意表を突く展開に一瞬唖然とさせられた次第。
塩のインスタレーションは材質の特性により床への展開意外に考えられず、実は拝見する前に「もし山本さんの塩のインスタレーションが壁面に展開されたら...」というあり得ない想像を思い描いていたところでこの空間に接し、実際に壁面に「迷宮」が展開されていて驚かされ、それらが僅かな白い明かりにその姿をほんのりと現しているその緊張感に呆然。黒の壁面に浮かびあがる塩の白の繊細さにただ純粋に感動させられます。


山本基_09.JPG 山本基_08.JPG

山本基_07.JPG



和室には縦長の画面を2点並べた作品が。
白と黒のコントラスト、砂状の何かが画面に塗布されそこに枯れた葉が乗る儚げな気配と黒の画面に鋭く走る縦の線の硬質さ、それらがせめぎあってもたらされる緊張感にも引かれます。


山本基_06.JPG

山本基_05.JPG 山本基_04.JPG 山本基_03.JPG

山本基_02.JPG



圧巻のアブストラクトワールドに今回も引き込まれ、その深遠な静謐さをじっくりと体感いたしました。
そして、会期終了後しばらく経った5月15日土曜日15時から「海に還る・プロジェクト」が行なわれるとのこと。もし時間が合えばぜひ参加してみたいと思っています。


山本基_01.JPG
posted by makuuchi at 07:23| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月26日

review:新田友美 個展「Infinite Set 1」《4/10、4/14》

review:新田友美 個展「Infinite Set 1」《4/10、4/14》mirror

新田友美 個展「Infinite Set 1」
YUKA CONTEMPORARY
東京都文京区関口1-30-9
03-5272-2476
4/10(土)〜5/1(土)日火休
11:00〜19:00
新田友美100410.jpg

Tomomi Nitta "Infinite Set 1"
YUKA CONTEMPORARY
1-30-9,Sekiguchi,Bunkyo-ku,Tokyo
03-5272-2476
4/10(Sat)-5/1(Sat) closed on Sunday and Tuesday
11:00〜19:00
Google Translate(to English)



気配で表現される、爽やかに春めく肖像群。



YUKA CONTEMPORARYでの新田智美さんの個展です。

今回の展示で発表されている作品は一貫して、単色の背景に据えられる女性の像というシンプルなもの。
しかし、その像は押し並べてそのフォルムが曖昧に表現され、またそのことによって現れる女性に匿名性ももたらされ、それが女性であるという「現実感」と、蜃気楼さながらの「幻想性」とが重なり独特の雰囲気を奏でます。


新田友美_18.JPG



明るい色彩の服を纏う女性の作品は、春めくような爽やかな色彩感が心地よい響きをもたらしているかのように思えます。ポジティブで軽やかな色香がやさしく広がっていきます。


新田友美_12.JPG 新田友美_11.JPG 新田友美_10.JPG

新田友美_09.JPG



眼前に現れる像は、身体性を生々しく感じさせるような、相当に動的な感触を思い起こさせるストロークの集積で構成されているのも興味深いです。あたかもモチーフとなる女性の「存在の気配」、むしろ残り香のようなものを探って捕らえ、すっと筆を一閃させて画面上に残していく...そのような行為を重ねて生み出されている、そんなイメージも沸き起こってきます。


新田友美_17.JPG 新田友美_16.JPG 新田友美_15.JPG 新田友美_14.JPG

新田友美_13.JPG



画面上に現れるさまざまなストロークは、刹那的な風合いを醸し出したり、また滲み湧くような感触ももたらしているように思えます。
その像の全体が認識され得ない至近距離で眺めたときに捉える抽象的な面白さもさまざな部分から届けられ、その点にも惹かれます。
そういった画面の表情の凝縮が生む、そこに現れる像が過ごした時間への想像もそれによって膨らみ、広がっていきます。
そしてもし、手を伸ばしてその気配に触れようとしたらふっとその気配も消え入ってしまいそうな儚げな空気感にも思いが寄せられ,深まっていくんです。


新田友美_08.JPG 新田友美_07.JPG 新田友美_06.JPG 新田友美_05.JPG

新田友美_04.JPG



女性の全身像を描いた作品が多い中で、肖像を描いたものも数点。
この構図においてあらためて、その際どい匿名性が醸し出される描写に惹かれます。デジャブのように、するりと記憶から立ちのぼる女性の顔。しかしそのディテールに想いが届かないもどかしさがあって、それは「誰か」であることが曖昧でありながらも保たれるように思えることで、作品と観る側との想いとの間に横たわる、しっとりとしたやさしく心地よい暗さも届けられているようにも感じられます。


新田友美_03.JPG



展示されているもっとも大きな作品。
むしろある「誰か」を意図して描いたような、今回の展示作品の中で際立つ高い具象性に一瞬たじろぎます。そこには観る側の「念」のようなものもあったりするのかな、など考えてしまったり。。。そしてそれすら消え入ってしまいそうな描写に、さらにいろんな感情の起伏への想像が広がっていきます。


新田友美_02.JPG



ほぼ正面の構図で描かれる作品、そこに表情は現されず、だからこそ「仕草」や「佇まい」が豊かな雰囲気を醸し出しているように思えます。
豊かな描写によってもたらされる揺らめくような気配とそこから紡がれゆく言葉にならない静かな物語にゆったりと浸り、また爽やかな色彩を単純に味わい、楽しみたい作品であり空間で、何故だか何となくこの得難い心地よい経験は大切にしたいと思うんです。


新田友美_01.JPG
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2010年04月24日

〜4/23のアート巡り

〜4/23のアート巡り mirror

■4/18 Sun
レゾナンス 共鳴
サントリーミュージアム[天保山}
大阪府大阪市港区海岸通1-5-10
06-6577-0001
4/3(土)〜6/20(日)月休(5/3開館)
10:30〜19:30
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面白かった!
冒頭のイケムラレイコさんの静謐で重厚な絵画インスタレーションで始まり、そこからめくるめく現代美術の世界へ誘ってくれるこの展覧会。海が、立体から映像に至るまで、さまざまなアートのエッセンスが散りばめられ、またいかにも現代美術的な観念的なものもじっくりと腰を据えた対峙を促してくれる構成がとにかく嬉しく、分けられる展示スペースごとにさまざまなイメージが深まり、広がっていきます。

ラキブ・ショウさんの絢爛、ジャネット・カーディフさんの荘厳、ヴァルダ・カイヴァーノさんの芳香、ライアン・ガンダーさんの深遠、などなど。。。海外のアーティストたちのアイデンティティも濃密に込められる表現のひとつひとつ、その世界に意識が沈み込んでいきます。

そして対する(というわけではないですが)日本人アーティストもホントに素晴らしい!

ここで観る伊藤彩さんの濃密な危うさに翻弄されたり、小さな作品が壁面放たれるように展示された法貴信也さんの線と点の展開、小泉明郎さんのヴィデオにぐっときて、ShugoArtsでの個展以来スイッチが入りっぱなしの状態で拝見する金氏徹平さんの作品群に刺激されたイマジネーションはその造形の中に入り込んでぐちゃぐちゃに蠢き、そしてトリを務める梅田哲也さんの


そっちもかよ!Σ( ̄口 ̄;)





非常口が...orz


だったという(笑)。

あと、草間彌生の1950年代の油彩の大作、キャンバスを白の油絵の具が浸食していくようなお馴染みのもので、時間の経過によって画面に乗る絵の具にもたらされるクラックなども受け入れたようなその重厚で堂々たる佇まいにもぐっと引き込まれた次第です。



宇宙民藝
ASS
京都府京都市西京区川島粟田町18−23
075-381-1189
4/10(土)〜4/25(日)土日のみ
11:00〜19:00
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この展覧会、とにかくタイトルが効いてます。Antennaのメンバーや元メンバーをはじめとして、その周辺の既知のアーティストやおそらく近いと思われる方など実に数多くのアーティストの、一風変わった(一部いつもの感じなのも一興)作品がいくつかの台の上に並べて置かれて展示されています。
しかもその多くがまさに「民芸」といった感じなのがなんとものどかで、それでいて「宇宙」なものだから、実に壮大なユーモアまー地味に展開されていて、この脱力感がいい感じで。
中でももっとも印象に残っているのがおかひろしさんの折り紙、あの小さな中に込められるミクロコスモス。その存在感が秀逸でした。



山本基 個展 たゆたう庭
eN arts
京都府京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側
075-525-2355
4/2(金)〜4/30(金)金土日のみ
12:00〜18:00
山本基100402.jpg

エントランスに展示された小品。いつもはここでは結構なサイズの作品が展示されることが多いので,展示の冒頭における極度に抑えられた展開がむしろ期待感を煽られます。
今回メインで展開されているインスタレーションは「迷宮」のシリーズではなく、レース地を思わせる展開で、いつものあたたかくてつめたい不思議な風合いの静謐はそのままに、より有機的な浸食を想起させてくれるのが強く印象に残っています。
地下のブラックキューブでの意表を突く展開も面白く、いうまでもなく充分に見応えのある空間が創出されています。
ちなみに来月5月15日に「海に還る・プロジェクト」が開催されるとのこと、伺えればぜひ足を運んでみたい...。



ペインター4人展 Four painters Exhibition『感じる世界、紡ぎだす物語』岩澤慶典,大森さやか,河野里沙,設楽陸
GALLERY M
愛知県日進市岩崎町根裏24-2
0561-74-1705
3/28(日)〜4/25(日)月火休
11:00〜19:00
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既知のアーティスト4名の作品がこの広い空間で観られるということで、久々に日進市へ。
それぞれが個性を発揮していて、観られてよかったなぁ、と満足です。

河野里沙さん。
透明感溢れる青やピンクなどで描かれるガーリーな世界、かわいらしい風合いのなかに潜む妖し気な気配に引き込まれます。


河野里沙_08.JPG

河野里沙_01.JPG


画面に大きく描き上げられる女の子のかわいらしい表情,どこに仄かな影が感じられるのが不思議と心に残ります。巧みなグラデーションで表現される深い透明感も、メランコリックな雰囲気と幻想的な感触を立ちのぼらせ、どこか遠くに感じられるような気がして、その感覚に胸を掴まれます。


河野里沙_07.JPG 河野里沙_06.JPG 河野里沙_05.JPG 河野里沙_04.JPG

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モチーフと色彩のキュートさと、作品によっては遊び心もふんだんに織り込まれていたりして。
楽しさと淋しさとが重なる感じが印象的です。
今回は河野さんは大作は出品されていなかったのですが、またいろいろ拝見したいです。


河野里沙_02.JPG



大阪で拝見している設楽陸さん。
今回もキッチュな世界がダイナミックに描き上げられた作品が並びます。


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くっきりとした描写がとにかく痛快です。
そこに投げ込まれるユーモアとシュールさ、それらがない交ぜになってどうしようもなく不思議な世界が展開されていく感じ、そこから始まるイメージの破天荒さ、唐突さが堪らなく思えてきます。


設楽陸_04.JPG 設楽陸_03.JPG

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確かアクリルで描かれていると記憶しているのですが、ペインティングとしての、何が描かれているかという部分での面白さが相当に力強く届けられているような気がします。


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大森さやかさんも、あらためて広い空間で大作中心に拝見し、その面白さにあらためて惹かれた次第です。


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構造的な面白さ、画面のなかでの不思議なバランス感にイメージが膨らんでいきます。
無機的でかたちが収まる部分に現れる幾何学的な奥行き感、広い色面から届けられる空虚さ。その密度のコントラストのダイナミックさが、抽象的な世界にさまざまな想像を呼び込んできます。


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1点だけ展示されていた小品も印象的で、小さいながらも独特の存在感を醸し出しています。
画面のもっとも上に乗る黒の線のドローイング的な軽さと,それがあるからこそもたらされる複雑な空間性。粗い仕上がりと実験的なアプローチがむしろユニークな効果をもたらしているように思えます。


大森さやか_01.JPG



岩澤慶典さんも、そのユーモアと描写の精度の高さが遺憾なく発揮された作品を発表されています。
相当に唐突でシュールなシチュエーションが創出されていて、そこにいわゆる「暗さ」、ネガティブさが強く感じられないのが楽しいです。


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岩澤慶典_007.JPG



岩澤さんの真骨頂とでも呼びたくなるような大作も!


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とにかく徹底した展開が痛快です。
この作品での「すべてを食品と家畜で描ききる」というコンセプトは、それはもう力強く伝わってくると同時に、どこか飄々としている雰囲気、これを描き上げる大変さも推して知るべしといった感が強いにも関わらず、やっぱり楽しんじゃってるように思えるのが嬉しいです。


岩澤慶典_005.JPG 岩澤慶典_004.JPG 岩澤慶典_003.JPG 岩澤慶典_002.JPG

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平田あすか 個展
Ain Soph Dispatch
愛知県名古屋市西区那古野2-16-10(円頓寺本町商店街 JAMJAM奥入ル)
052-541-3456
4/17(土)〜5/1(土)木休
13:00〜21:00
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昨年のYOKOI FINE ARTでの個展はオンペーパーの作品で構成され、統一された表現法によってよりその世界観の輪郭がシャープに提示されていたように思えましたが、こちらではそのイマジネーションの豊かさがおおらかに発揮されたような、さまざまなメディアの作品がずらりと並んでいて面白い空感が創り出されているように感じられます。

まず目が向かってしまうのが、木彫の作品。
もう観たまんまでOKなんですけど、その素朴な彫りと不思議な存在感に、ただ惹かれていきます。ユーモラスな造形に内包される濃い世界観にさまざまな思いが過ります。


平田あすか_16.JPG 平田あすか_15.JPG

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小品のペインティングも数点。
平田さんの表現する世界を構成する要素にスポットが充てられたかのような感じ、それが絵の具で濃く描写されていることが興味深いです。


平田あすか_13.JPG 平田あすか_12.JPG

平田あすか_11.JPG



そして、ベルベットの作品が展示されているのが嬉しいです。


平田あすか_10.JPG



脱色や刺繍が駆使されて展開される、シュールな世界。素材の色が醸し出す妖しさと、描かれる情景のグロテスクでキュートな感じ。さまざまな要素が濃く混ざり合う感じと、布地から連想される肌ざわりの滑らかさなどが、同様のモチーフが紙に描かれたものとは圧倒的に異なる、独特の質感と雰囲気を奏でているように思えます。


平田あすか_09.JPG 平田あすか_08.JPG 平田あすか_07.JPG 平田あすか_06.JPG

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ベルベット地の脱色部分の絶妙なグラデーションと、そこに縫い込まれる糸の色の立ち上がりの良さも印象的です。


平田あすか_04.JPG 平田あすか_03.JPG 平田あすか_02.JPG

平田あすか_01.JPG



■4/21 Wed
KYOTARO展「妖精たちの行く道」
ミヅマ・アクション
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F
03-3793-7931
03-3793-7931
4/21(水)〜5/22(土)日月祝休
11:00〜19:00
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前回のモノクロームで展開された世界から一転、実にカラフルな情景が空間に広がっています。
メインスペースでの、大作1点と20枚を超える紙の作品をずらりと絵巻状に並べた展示。初日で大勢の人で溢れていてその全体を俯瞰することはこの日は叶わなかったのですが、幻想的な雰囲気と艶かしい描写とでその世界観がより濃く展開されているように思えます。



■4/22 Thu
青野正 "テツモジ"
Showcase/ MEGUMI OGITA GALLERY
東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F
03-3571-9700
4/22(木)〜5/15(土)日月祝休
12:00〜19:00
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タイトルにあるように、鉄製のオブジェがずらりと並びます。
その造形は無骨そのもの、そしてそのどっしりとした力強さが味わいとなって心に響きます。
鉄砲やら眼鏡やらカメラやら、実物大で再現されたものや、何かの生き物を連想させるもの、戦闘機や戦車などの模型的なもの、そして抽象度の高いものまでさまざまなモチーフが並び、それぞれは小さな作品でありながらもそれがコンパクトな空間に配されることで心地よく重厚な雰囲気がもたらされているように思えます。



■4/23 Fri
吉本作次展
Kenji Taki Gallery Tokyo
東京都新宿区西新宿3-18-2-102
03-3378-6051
3/18(木)〜4/24(土)日月祝休
12:00〜19:00
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名古屋での個展も拝見しているのですが、はやりあらためて拝見し、絵画を観る充実感がとにかく嬉しく思える次第です。
比較的大きな作品が並び、そこに小さく描き込まれるマンガ風の人物が、現される情景のスケール感をより壮大なものへと押し拡げ、加えて画面にもたらされるさまざまなテクスチャー、激しいものから穏やかなものまで、それぞれがその場所の雰囲気を観る者に届けているようにも思えたり。
ほぼ貫かれるベージュ系の色彩も楽しく、穏やかなイメージをより深めてくれます。



鹿島幸恵「Anti ! Utopia」
新宿眼科画廊
東京都新宿区新宿5-18-11
03-5285-8822
4/23(金)〜4/28(水)
12:00〜20:00(最終日:〜17:00)
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賑やかな世界が展開されています。
もりもりと繰り広げられる物語性、それぞれはこてこての濃密さを備えながらも、どこかかわいらしい風合いも醸し出しているものだから、捉えどころが悩ましく思えたりします(笑)。
おおらかで飄々として底抜けに明るく思える世界観が頼もしく思えます。やや深みに物足りなさを覚えつつも、その痛快さに大いに楽しませてもらえたように感じられます。



小沢さかえ個展 亜熱帯劇場
@MORI YU GALLERY TOKYO
東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第三ビル4F
03-6906-9556
4/23(金)〜5/29(土)日月祝休
12:00〜19:00
小沢さかえ100423.jpg

今回は複数のキャンバスでひとつの壁面全面を使うようなサイズの作品こそないものの、大作から小品まで実にバラエティに富んだサイズのものが揃えられ、またあの幻想的で独創的な色彩感にも磨きがかかり、揺らめくような気配にぐっと引き込まれます。
鬱蒼とした情景、しかしそこから醸し出される透明感。ピンクの虎の艶かしさ。小沢さんの画面との対峙時の心持ちが見えてくるような起伏に富んだ筆使いの生々しさ。表出されるさまざまな要素にいろんな味わいや面白味が閉じ込められていて、それらにイメージが翻弄され、惑わされるのが楽しいです。



苅谷昌江 Twins in the labyrinth
GALLERY TERRA TOKYO
東京都千代田区岩本町2-6-12 曙ビル1F
03-5829-6206
4/23(金)〜5/22(土)日月祝休
10:00〜19:00
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苅谷さんというと重厚な油彩画のイメージが強いのですが、今回発表されているのは透明水彩を用いたオンペーパーの作品。その質感で苅谷さんの世界観を味わえることの新鮮さがまず印象深いです。
そして、油彩画で多く登場していたマスキングを駆使した表現はもちろん、それに準ずるような描写は登場していないものの、またこれまで少なくとも僕は拝見したことがないモチーフが描かれていたりするのですが、シリーズを異にしても一貫して展開されている独特の世界観は色濃く反映されているのが何より興味深いです。
展示作品数は6点、それぞれ1点完結の物語性を備えていて、見応え充分です。
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2010年04月23日

〜4/17のアート巡り

〜4/17のアート巡り mirror

■4/16 Fri
牛嶋直子「silent story」
ギャラリーアートもりもと
東京都中央区銀座3-7-20 銀座日本料理会館2F
03-5159-7402
4/12(月)〜4/24(土)日休
10:30〜18:30
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エアブラシを駆使して描き上げられる夜景。
しっとりとしたダークな色の中に、ふわりと光が煌々と静かに広がっているのが印象的です。


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画面を地平線が横切るシャープな構図ですべての作品が統一され、それぞれの作品だけに留まらず展示全体に硬質な気配がもたらされているように感じられるのも印象的です。


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大作から小品までさまざまなサイズのものが並んでいます。
画面上の地平線に寄るかたちでその情景のモチーフが丁寧に描写され、その深々とした風合いにも引き込まれていきます。


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ながさわたかひろ展「愛」
art data bank
東京都中央区銀座7-10-8 第5太陽ビル1F
03-3574-6771
4/12(月)〜4/24(土)日休
11:00〜19:00
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今年のTARO賞にも出展されていたながさわさん、その時は何となく近づくと異様に時間を取られそうな気がしてやや遠巻きに「随分と細かい描き込みの作品があるなぁ」程度の印象に敢えて留めていたのですが、今回の個展であらためてその作品を拝見し、


ながさわたかひろ_10.JPG ながさわたかひろ_09.JPG ながさわたかひろ_08.JPG ながさわたかひろ_07.JPG

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こやつ正気か!?Σ( ̄口 ̄;)


と思うに至った次第、いやもう仕事として凄すぎるというか、それはもう呆れるしかないレベルで圧倒的!
2009年シーズンの楽天ゴールデンイーグルスの全試合、リーグはもとよりクライマックスシリーズまでの全試合、しかもその各回のハイライトを銅版画で描いてしまったという、圧巻のボリュームと精度にただただ感嘆させられた次第。

さらに面白いのが、ながさわさんご自身が興味を持った人物をモチーフとし(楽天の場合はどうやら野村前監督)、その似顔絵を制作、そこに留まらずそれを本人にアポイントを取って実際に見てもらい、サインもその作品に添えてもらう、という奇想天外なパフォーマンスを経ているのにさらに感嘆。


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かつての日活の映画のポスターをモチーフに再現し、TARO賞にかこつけてしれっと太陽の塔を描き加えちゃってる作品も、ちゃんと宍戸錠のサインもといクレーム(笑)が・・・!


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なかなか渋い人選なのも結構笑えます。
在廊されていたながさわさんから伺うエピソードも相当に面白く、これからどんな展開が(もっというと「誰」に行くか!)がホントに楽しみです。


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八木良太「事象そのものへ」
無人島プロダクション
東京都江東区三好2-12-6 渡邊ビル1F
03-6458-8225
4/16(金)〜5/29(土)月祝休
12:00〜20:00(土日:11:00〜19:00)
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高円寺を離れ、清澄界隈へと居を移した無人島プロダクションの移転第一弾、八木良太さんがその個性を発揮していて痛快です。
程よくテクノロジーを作品に投入し、独特のコミカルさがそれぞれの作品に備わっていて、インタラクティブなものもあったりしてとにかく楽しい刺激を受けられます。



■4/17 Sat
デイヴィッド・ラトクリフ  古西紀子 展
TOMIO KOYAMA GALLERY,Kyoto
京都府京都市下京区西洞院通六条下ル西側町483
075-353-9992
3/19(金)〜5/1(土)日月祝休
12:00〜19:00
David Ratcliff 100319.jpg 古西紀子100319.jpg

伺うとご夫婦というふたりのアーティストが個展形式で紹介されています。これが凄く面白い!

まず、手前の広いスペースにデイヴィッド・ラトクリフさんの作品が。階段を上って視界に迫る大作のアグレッシブな世界にいきなり引き込まれ、圧倒されます。大きな画面のほぼ全面を覆い尽くす黒、その重い気配に挑むように展開する色彩のアバンギャルドさ。ステンシルの技法が駆使され、さまざまなかたちがひとつの画面で重なって複雑な衝突を引き起こし、凄まじく動的なインパクトを発するだけに留まらず、刹那的な雰囲気を充満させながらどこかクールな気配も導き出されているように思えます。


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並べて展示された2点、この関係性も興味深いです。左手のモノクロームの作品。
ある場面、状況が比較的リアルに思い浮かべられ、ただこのサイズで画像が再現されていることによる迫力は相当なもので、この雰囲気に呑み込まれるように思えます。


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その隣には、モノクロームの作品に用いられたステンシルの版を再利用し、崩れた画像の粗さに加え、その上から覆い被さるシルバーグレーの色彩の質感などが生み出すアバンギャルドな雰囲気がそこに充満していて、こちらは逆にそのアグレッシブな世界観が観る側に迫ってくるように思えたり。並ぶふたつの作品の関係性とコントラストにも感じ入ります。


デイヴィッド・ラトクリフ_10.JPG デイヴィッド・ラトクリフ_09.JPG デイヴィッド・ラトクリフ_08.JPG デイヴィッド・ラトクリフ_07.JPG

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額装された比較的小さな画面の作品、こちらはシルバーの支持体が採用されていて、その金属的な質感などがブリリアントな激しさを導き出しているように思えます。その気配はどこまでも無機的で、かつ動的なイメージが独創的なクールネスを放ちます。


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デイヴィッド・ラトクリフ_04.JPG デイヴィッド・ラトクリフ_03.JPG デイヴィッド・ラトクリフ_02.JPG

デイヴィッド・ラトクリフ_01.JPG



古西紀子さんの写真作品は奥のスペースで。
今回発表されているのはモノクロームの作品でそこにさまざまな植物の画像が重ねられ、複雑なパルスがシャープに奏でられています。
作品ごとに白と黒との割合が異なるのも面白く、それぞれの気配から伝わる感触と展示自体にもたらされるコントラストも楽しいです。


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古西紀子_10.JPG 古西紀子_09.JPG 古西紀子_08.JPG

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スクエアの画面の作品と、横長の画面、それぞれの構成が展示スペース内の壁面をシェアしています。


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さまざまな植物の画像が大胆にひとつの画面に投入され、そのかたち本来のシャープさがより強く引き出されているように感じられます。草の先端の尖った感じや蓮の葉の円形の鋭いフォルムなどがびしびしとその画面内で衝突し合い、高密度でストイックなグルーブがもたらされているように思え、ぐんぐんとその凄まじくアグレッシブな混沌に引き込まれていきます。


古西紀子_05.JPG 古西紀子_04.JPG 古西紀子_03.JPG 古西紀子_02.JPG

古西紀子_01.JPG



和田絢 "loop"
児玉画廊|京都
京都府京都市南区東九条柳下町67-2
075-693-4075
4/10(土)〜5/16(土)日月祝休
11:00〜19:00
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圧巻です。
オンペーパーの大作なども展示されていますが、何といってもその数600を超えるという小さな画面がびっしりと広い壁面に並ぶインスタレーションが凄い!
白地に黒と青で具象抽象さまざまなモチーフが描き上げられ、色彩と画面サイズに統一感がもたらされる中に独特の世界観がバリエーション豊かに、そして軽やかに繰り広げられていて嬉しくなってきます。爽やかな空気感がこの大きなスペースに満たされています。



中山玲佳個展「振り返る。とその向こうに」 
MORI YU GALLERY KYOTO
京都府京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19
075-950-5230
3/20(土)〜4/17(土)日月祝休
12:00〜19:00
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あらためて、その画面の立体感のアグレッシブさ、力強い臨場感に圧倒された次第。オオカミなどのモチーフとさまざまな色彩が重なるグラフィカルな背景やパターンとがひとつの画面に収まり、独特のホットな世界観を放つ作品や、単色な背景に黒の絵の具の塊が乗るシンプルな作風ながら、凄まじいアバンギャルドネスを立ち上らせる作品など、中山さんらしさが溢れる空間が濃密に創り出されていたのが印象的です。



上田順平 個展 パート2:「カンゲン」
imura art gallery
京都府京都市左京区丸太町通川端東入ル東丸太町31
075-761-7372
4/13(火)〜5/1(土)日月祝休
10:00〜19:00
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賑々しい焼き物の作風から一転、埴輪を思い起こさせる色調や純朴な造型が豊かな深みを奏で、心にやさしく響きます。
敢えてこれまでのエンターテイメント性に富んだ世界観を封印し、自身の内面と対峙、もしくは観る者に何か根源的なものを静かに問い掛けるようなインスタレーションが展開されていて、しかしそこにさり気なく織り混ぜられるユーモアがまた堪らなく嬉しい気持ちにさせてくれたりと、いろんな想像を引き出してくれます。



渡邊順子展
ギャラリー風
大阪府大阪市中央区北浜2-1-23 日本文化会館9F
06-6228-0138
4/12(月)〜4/24(土)日休
11:00〜18:00(土祝・最終日:〜17:00)
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ニスや土なども用いて描き出される土着的な抽象世界。
それぞれの素材は画面から盛り上がり、下地の白さによってその質感も色調も活かされていて、独特の濃厚な味わいが醸し出されているように感じられます。
やや大味な感じがしたのですが、緻密な表情とおおらかな部分とのコントラストがさらについてくればもっと懐の深い気配が導き出されるのでは、とも思え、今後の表現の広がりや深まりも楽しみです。



CGイズム 倉澤梓 NaO 2人展
展現舎
大阪府大阪市西区江戸堀1-23-19
06-6441-3677
4/10(土)〜4/17(土)
12:00〜18:00
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2人の女の子のアーティストをフィーチャーした展覧会、展現舎の「らしさ」がくっきりと現れた、キュートでキャッチーな雰囲気が溢れていました。

BUNKAMURA GALLERYでの展覧会などでも拝見している倉澤梓さんの作品。一度観るとすぐに覚えられるポップなキャラクターが登場するシリーズの展開が引き続き行なわれていて、フューチャリスティックな雰囲気がシャープに描き上げられる場面が楽しいイメージをもたらしてくれます。


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そこに登場する擬人化されたネコたちが浮かべる表情や仕草が、描かれる場面に不思議な深みを呼び込みます。
ある種の現代の鬱屈とした雰囲気をポップに、そして鋭く描いているようにも思えて、さまざまな想像が過ります。


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倉澤梓_04.JPG 倉澤梓_03.JPG 倉澤梓_02.JPG

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NaOさんは展示作品点数こそ少なかったものの、どこか生命の感触を感じさせない人形のような目のキャラクターとシュールな情景とが不思議に響く世界観が印象に残っています。それぞれの画面の世界は意外とずっしりと感じられ、大作などでもぜひ、もっといろいろと拝見してみたいです。


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芳木麻里絵展
SAI GALLERY
大阪府大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル4階
06-6225-4115
3/29(月)〜4/17(土)日休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
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お馴染みの立体感が楽しいシルクスクリーン作品、今回もレースなどのモチーフが緻密に再現されていて、加えてフレッシュな色彩なども相まって、清々しい臨場感で満たされていたように感じられた次第です。
そして、作品によっては斬新な平面からの解釈にも新鮮な興味が沸き起こってきます。

まず目にするのが板チョコを模造したような作品。
この辺りの造形が再現されるとその感触がもっとも巧みに伝わってくるように思えて楽しく、実際にお腹も空いてきたり(笑)。
微妙な差異の色が用いられているようで、至近で眺めるとその細やかな色彩のコントラストがさらに豊かな立体感を導き出しているように思えます。


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お馴染みのレースがモチーフとなった作品。
その造形にこれまでも納得してきたのですが、よくよく考えてみて、本物のレースはもっと平らなものなので、このあたりの「過剰な」立体感が芳木さんのクリエイションの真骨頂のようにも思えてきます。


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冒頭に続いて小さなチョコレートの作品。ガラスのプレートに置かれているように展示され、横から眺めると重なる塗料の層が分かって面白い!
この小さな造形の中に収められる小宇宙。上から観るのとはまた異なる臨場感に引き込まれ、構造の緻密さに感嘆させられます。


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包み紙を再現した作品には新たな展開を思い起こさせてくれます。
ひとつの作品にこれだけバラエティに富んだ色彩が用いられるのが興味深く、そのものの再現性の高さに加え、あたかも小さな抽象画のようにも思える混沌にも大いに惹かれます。


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シルクスクリーンプリントを過剰に重ねて立体的な造形を導き出す、という手法で、立体物をリアルに再現する、そして過剰に立体構造をもたらすという表現に活かされ、そうやって制作された作品が内包する密度に対して沸き起こる好奇心は相当に前掛りで。拝見する度に単純にワクワクさせられるんです。そして続けて拝見してきて、独創性もどんどん強められているように思えるのも興味深く、今後の展開も楽しみです。


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3オクターヴ ―3つの響き― 展 田中孝 濱田弘明 山江真友美
コウイチファインアーツ
大阪府大阪市西区江戸堀1-7-13
06-6444-1237
4/10(土)〜4/24(土)日祝休
11:00〜18:00(土:〜17:00)
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世代の異なる3名のアーティストがフィーチャーされた企画です。面白かったのが、それぞれのアーティストの作品の素材や手法が最初の印象とことごとく違っていて、そこに気付かされる度に驚き、ちょっと悔しかったり(笑)。

山江真友美さんの作品、淡々とした画面の質感とほんのりと滲むような感触にてっきり日本画と思ったのですが、油彩作品とのこと。


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艶かしい描写による大きな花の絵。可憐さと高貴さも備わり、儚げな風合いや色香にも引かれます。淡い深みが独特の気配を滲ませているように思えます。


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濱田弘明さんの作品は、糸くずを画面に閉じ込めたような感じがしたのですが、閉じ込められているのは鉛筆による線描。
細かいスパイラルを重ね、また何層にも及ぶ重ね描きととじ込みにより、画面自体に不思議な奥行きがもたらされています。


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描かれるモチーフこそ静かな印象なのですが、そこに重ねられる無数のストロークとそのひとつひとつの有機的な質感とでなんとも不思議な雰囲気が濃密に届けられてるように思えます。


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そしてこれこそ油彩、と思ったら写真作品。
田中孝さんの作品は、ご自身で制作されたミニチュアのジオラマを撮影し、目の細かい布地にプリントされたもので、そこにもたらされる仄かに幻想的な気配とやわらかではかなげな静けさが、すっと心に落ち着きをもたらしてくれます。
しっとりとしていてやさしい、そして仄かに懐かしげな風合いが心地よいです。


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上田真由美 個展
GALLERY ZERO
大阪府大阪市西区京町堀1-17-8 京ビル4F
06-6448-3167
4/12(月)〜5/1(土)日祝休
12:00〜18:00
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直前に東京で拝見していた上田真由美さんの個展、こちらでは明るい照明でその溌剌とした絵の具の質感と色彩感とが弾けるように展開されていて、描かれるモチーフの身近さとペインティングとしての説得力に感じ入りつつ、そのフレッシュな気配に高揚させられます。


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カラフルな色彩感がとにかく痛快です。
ひとつひとつの色は白の下地と黒の太い稜線とによって、よりくっきりと強く際立たされます。


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どこか朴訥とした風合いも印象的です。
画面に乗る絵の具の盛り上がりも、ぱっと華やかな色彩の感触に絵画としての重厚さをもたらしているようにも感じられます。


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nomoto piropiro exhibition into the silent land/osaka
TEZUKAYAMA GALLERY
大阪府大阪市西区南堀江1-19-27 山崎ビル2F
06-6534-3993
4/9(金)〜4/30(金)日月祝休
11:00〜19:00
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一部うっすらと青が入ったものがありつつ、ほぼモノトーンの写真作品によるインスタレーション、フューチャリスティックな静謐が広がっています。


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人物や風景を撮影し、ほぼモノトーンに色調がコントロールされ、それが人物であっても、はたまた身近にあることが容易に想像できる風景であっても、相当にシャープにフューチャリスティックな雰囲気が放たれているように思えます。


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構図の面白さや程よい演出なども、その画像の中の世界から届けられるイメージに広がりをもたらしてくれます。


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2010年04月22日

review:大久保如彌「もういいかい? もういいよ。」《4/3、4/10》

review:大久保如彌「もういいかい? もういいよ。」《4/3、4/10》mirror

大久保如彌「もういいかい? もういいよ。」
GALLERY MoMo Ryogoku
東京都墨田区亀沢1-7-15
03-3621-6813
4/3(土)〜4/24(土)日月祝休
11:00〜19:00
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Naomi OKUBO "Marco? Polo!"
GALLERY MoMo Ryogoku
1-7-15,Kamezawa,Sumida-ku,Tokyo
03-3621-6813
4/3(Sat)-4/24(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google Translate(to English)



フレッシュな色彩と、さらに上がる緻密さとで展開される、危うげなファンタジー。



GALLERY MoMo Ryogokuでの大久保如彌さんの個展です。
前回の個展や昨年の101 Tokyoなどでもその鮮やかな色彩感と丁寧な描写のペインティングが印象に残る大久保さん、今回の個展ではその描写の精度や密度が格段に増した感じで、ぞれがまず何より嬉しく思えます。

ぱっと目にした時の春めくような軽やかな色彩感。ふわりと高揚する感じが心地よくて、その明るい心持ちから絵の世界へ入っていくと、だんだんそこで繰り広げられている状況のシュールさが感じられてなんとも不思議な気持ち、敢えて言うとやわらかな動揺がもたらされるように思えます。下着姿の女の子たちが花を纏う、そしてそのひとりひとりに匿名性が保たれていて、彩りが醸し出す華やいだ気配とは裏腹に、全ては幻想じゃないか、というような緊張感も思い起こされるような気がします。


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今回発表されている大作では、一様に登場する女の子の表情が隠されていて、それも絵の世界を現実感から遠ざけている一因のように思えるのも興味深いです。
それとは別に、描写の細やかさに大いに惹かれます。細微なストロークの集積によって描き上げられる、例えばこの下の作品であれば絨毯や女の子が着るワンピースの柄などの模様の緻密さ。ひとつひとつの色はどれだけ細かくても弾けてるような発色で、それぞれが絵の中での存在感を互いに際立たせているように思えます。
加えて、マチエルの立体感も面白いです。僅かな段差で盛り上げられる部分などが随所に現れ、硬質に構築されるような独特の油絵の具の立体感も、絵の世界をよりシャープに押し上げているような気もしてきます。


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危うさと背中合わせのファンタジー。その危うさが、ただでさえ美しいという点で充分に引き込ませてくれる絵の世界にさらに濃い気配をもたらします。おそらくその中にホントに入ったら、その絵の中の虚構をより体感するのだろう、と...。


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一見、鏡に映っている女の子の姿を描いたような小品も。
こちらでも匿名性が保たれて、届かない場所から女の子の姿を覗いているかのような、どこか危ういイメージももたらされるように思えたり。


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奥のスペースでは、一転して表情が丁寧に描写されたドローイング作品が並びます。さまざまな表情のかわいらしい男の子(だと思います)、そこに金色の線描によるパターンが重なって、なんとも不思議な雰囲気が生み出されているように思えます。


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振り返って見つかる立体作品も。
展示されている場所が面白くて、見つけられた時の嬉しさもひとしお。
作り込みの丁寧さとやはり隠される顔とで、絵の世界観がしっかりと立体に起こされているように思えるのも印象的です。


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展示作品数こそ少ないものの、そのひとつひとつにかけられた手間というか、圧巻の密度で紡がれていく色彩感豊かな幻想的な世界を充分堪能した次第です。
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2010年04月21日

review:O JUN展「O JUNの山」《3/24、3/31、4/16》

review:O JUN展「O JUNの山」《3/24、3/31、4/16》mirror

O JUN展「O JUNの山」
ミヅマアートギャラリー
東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
03-3268-2500
3/24(水)〜4/24(土)日月祝休
11:00〜19:00
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O JUN "Mt. O JUN"
MIZUMA ART GALLERY
3-13-2F,Ichigaya-Tamachi,Sinjuku-ku,Tokyo
3/24(Wed)-4/24(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google Translate(to English)



国立国際美術館での「絵画の庭」と国立新美術館での「アーティストファイル」。このふたつの大規模な展覧会への参加、それぞれ大きな容積を持つ空間を活かしきり、ボリューム感たっぷりのファットな壁面インスタレーションを展開されたO JUNさん。「絵画の庭」は既に会期を終えていますが、ほぼ同時期に3つの展示を通じてひとりのアーティストの個性に触れられたのは大変貴重な体験のように思えます。


前出の美術館での展示が、それぞれ趣は異なるものの、過去の作品も含めたアーカイブ的な構成であるのに対し、昨年末のミヅマ・・アクションでの二人展を経て満を待してのミヅマアートギャラリーの新スペースでのO JUNさんの個展、和室を除けばペインティングのみで構成され、作品点数こそ少なめに抑えられつつ、それでもその旺盛な制作意欲が充分にエネルギッシュに反映され、またオイルペインティングの面白さ、美しさも詰まった充実の展示が創り上げられているように感じられます。


O JUNさんの作品を眺めていると、何て言うか、



あー、わかんねー!(≧∇≦)ノ゛
ぜんぜんワケわかんねー!(≧∇≦)ノ゛



みたいな想いがぶわっと膨らんできて、でもその「解らない」ことをポジティブに受け入れているという・・・さらにそのことがどうしようもなく痛快で嬉しく感じられるんです。。

謎めいていて妖しさが充満していても、そこに「暗さ」はなくて、得られるイメージはむしろひたすら楽しい・・・!
そんな感触はO JUNさんの真骨頂のような気がします。


入り口の扉を開けると正面に展示された巨大なペインティングが眼前に迫ります。


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天地2枚の画面による組み作品。
描かれているのが上は船舶、下が飛行機。このふたつの画面を繋ぐ色彩の重鈍な青は海と空、おそらくそれぞれの画面を単独で眺めても世界観として成立していると思うのですが、こうやってアクロバティックな状況を敢えて生み出すかのごとく組まれる画面が凄まじくシュールな雰囲気を生み出しているように思えます。

そこにある要素のひとつひとつに


何でだよ!?Σ( ̄口 ̄;)


・・・と叫びたくなる感じがまた堪らない!
そもそも飛行機の状況が分からない、不時着したようにも見えるし、もしかしたら飛行しているのかもしれないし、だとしてじゃあ何故上に船舶もとい海が、などなど...でもそのどれもが


オーケーオーケー!!!(≧∇≦)ノ゛


って感じに収まっちゃうんですよ、いや判るか判らないかって言われたら「判んないですー」ってなるんですよなんだか不思議なんですけどその「説得されちゃう感」っていううの、なんだか書いていて支離滅裂なのはさすがに判っていてそれでも書き直さないですけど、まあ要するに痛快至極。


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キャンバス作品、そのひとつひとつが持つ「濃い世界観」に引き込まれます。
画面にたっぷりと乗る絵の具の臨場感、ひたすらに艶やかで溌剌としていて、フレッシュな感触も届けられます。用いられる色彩は軽快でありながらも、なお残る絵の具の湿り気が醸し出す妖しい風合いにも惹かれます。
加えて構図の面白さ、ケレン味なく広がる白の白さとそれが赤のアグレッシブさを鮮烈に際立たせ、また画面左下の青のラインとによって崖を思わせる壮大なスケール感も導かれます。もっとも赤を中心にさまざまな色彩が混ざり込む絵の具の塊の混沌として抽象的な感触にも惹かれつつ、これがある風景に見えるのだとしたら、じゃあ上方の画面側面に施される青は何なの、と。
ひとつのイメージは他の要素に強化され、また別の要素に破壊されて、しかし右往左往するのも「(いやぁ、やられた≧∇≦)ノ゛」と嬉しくなるんです。


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広いスペースの右手、和室の側の壁面に展示された作品は、とにかく緑が美しい!
この作品を拝見し、これまでにさまざまなメディアの平面作品を制作されるO JUNさんならではというか、ああこの人は油絵の具が好きなのだなぁ、そしてその良さを引き出すことに長けているなぁ、と感じ入る次第。
とにかく濃厚な絵の具の臨場感、生々しさは尋常でなく、筆やおそらくナイフなどを用いて画面に乗せられる絵の具はフラットに広がったり、はたまた筆が画面から離れる瞬間のスリリングなマチエルがもたらされるなどさまざまな表情が導き出され、「描く」という行為の痕跡のひとつひとつ、それらが生み出す豊かな表情に好奇心が大いに刺激されます。
加えて、大胆な色彩感にも感嘆させられます。どっしりと広がる濃い緑と、そこにノイジーに混ざり込む明るい緑。そのコントラストは鮮やかに響きます。無論他にもさまざまな色彩の関係性が楽しくてしょうがない・・・!


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飛行機と船舶の大作と向かい合うように展示された小品も実に不思議な物語性を醸し出します。キラキラと光る顔料なども用いられ、空間に小気味よく痛快なアクセントをもたらしているように感じられます。


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奥まったスペースには、大作と同じく粗い麻布が支持体に採用された作品が。
分かりやすく風景を思い起こさせる構成で、麻布の質感に加え、その支持体を染めるようにして塗られる絵の具の色彩の深みや筆使いによる味わい深さになんだかあったかい気分に...しかしこの作品も、右側の赤いラインが一度深まったイメージを崩し、広々とした遠景が一転、支持体の麻布の生々しい質感がその見たままのサイズで迫るんです。


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和室はオンペーパーの作品やパステルの作品などが展示されています。
紙というフレキシブルな素材であることもあってか、油彩とはまた異なる実験的な風合いが、これはこれでさまざまなイメージと謎めきを呼び込んでくれたり。


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いやー分かんないですねーっていう気持ちが嬉しいっていうのが嬉しいです。
ただ分からないといっても、それを超えて余りある「感覚的な確信」のようなものは得られているかと。
ズレや歪み、無くてもいいものもいっぱい絵の中にはあって、でもそれらは必要と思わせてくれるくらいに絵の世界を面白くしているように感じられます。
そして、やはりペインティングとしての「美しさ」も堪能!画面に乗る絵の具の溌剌として艶やかな発色、そして豊かな表情を観るにつけ、それを観る喜びにひたすら浸っていたい、そう思わせてくれるのも楽しいです。


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2010年04月20日

review:竹川宣彰・小池真奈美《3/27》

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竹川宣彰・小池真奈美
OTA FINE ARTS
東京都中央区勝どき2-8-19-4B
03-6273-8611
3/23(火)〜5/8(土)日月祝休
11:00〜19:00

Nobuaki Takekawa / Manami Koike
OTA FINE ARTS
2-8-19-4B,Kachidoki,Chuo-ku,Tokyo
03-6273-8611
3/23(Tue)-5/8(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google Translate(to English)



オオタファインアーツで開催の展覧会、形式としては二人展の体を為していますが、竹川さんと小池さんそれぞれの作品はちょうど真ん中で左右2等分されたスペースで展開され、このふたりの個展が同一空間をシェアするかたちで行われているといった印象の構成になっています。


エレベーターの扉が開くと眼前にいきなり小さな青の球体が現れ、竹川宣彰さんのインスタレーションに唐突に引き込まれます。


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入り口から向かって左手の空間が竹川さんの展示。入り口にあった球体はその先でさらに数を増し、やや変な表現ですが「爽やかなうっとうしさ」がその一角に溢れています。


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その球体は全て一枚の世界地図から切り出されたもののようで、その抜かれた地図も律儀に展示され、すなわちひとつの惑星から無数の惑星が生み出されているようなイメージが痛快で、もう随分前になりますが、当時のJ-WAVEで確か深夜0時前に放送されていたポエトリーリーディングの番組で聴いた三代目魚武濱田成夫の「地球バーガー」の壮大な内容と豪快な朗読が、この静かな空間で唐突に思い出されたり。


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その球体の展開図を拡大し、それを支持体としたペインティング作品も。結構というか相当にいい加減で雑な描写ながら、一瞬「なるほど」と納得してしまうのがちょっと悔しいです(笑)。というか、随所にもたらされているズレがむしろ別のコミカルな面白さを醸し出しています。
手描きの青の波線が生み出す濃淡、その密集によって生み出される渦巻き状の動的なイメージが爽快で壮大な感触を導き出してくれるようにも思えます。


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今年1月末に開催されたG-Tokyoでも発表された大作ペインティングも再び登場。前回の個展でも一度発表された、画面にひたすら波形を描き込んでいくシリーズの新作のようで、このサイズでひたすら律儀に破綻することなく描き込まれる連なる波形の群れの迫力とその行為の痕跡のストイックさにただ圧倒され、そして手描きだからこそのひとつひとつの波形の差異、白と青の絵の具の混ざり具合の絶妙さなど、ミニマルな面白さも止めどなく溢れてきて、一旦この広大な画面との対峙を開始すると次々に現れる発見に時間の感覚がなくなっていきます。画面左上の陸地を思い起こさせる褐色の色面と、波形の幾何学的な構造とのユーモラスなギャップも楽しいです。


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巻き貝に中国の国名を彫り込んだ作品にもおおいに感嘆させられます。
貝という存在のなかにたゆたう時間的,時空的な懐の深さが、そこに中国の国名の漢字を彫り込む行為自体にもプリミティブな印象をもたらしてくれるようにも感じられます。壁面に映り込むシルエット、そこにくっきりと現れる文字の影も美しく、そして無論、工芸的な面白さにも惹かれる次第です。


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入り口から向かって右手のスペースには小池真奈美さんの新作ペインティングが並びます。
まず目に入ってくるのが、白無垢姿の女性を描いた作品。ほんのりと背景を染める薄いピンク色とそこにはらはらと舞う桜の花弁。儚げな演出により、画面正面に描かれる白無垢の女性の立ち姿の凛とした風合いや白地に白で入る絣の艶やかさもより美しさを増し。その姿を通して垣間見えるさまざまな人々の思いなどもがいっそう際立って観る者に届けられているような気がします。


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その向かいの壁面には一転、煙管を掲げ、虚ろな表情で濃厚な色香を醸し出す女を描いた作品。先の白無垢の神々しさとは裏腹に、この雰囲気との距離感の生々しさ、子の一場面自体は賑々しくはないけれども妙に人情的に感じられたりして、その独特の臨場感に引き込まれます。
背景の淡いベージュ系の色調も、そこにいる女の雰囲気によってかどこか後ろめたいような風合いを醸し出しているように思えます。
加えて描写の巧みさと味わい深い筆致にも惹かれます。遠目で眺めた時のややぼやけたようなシルエット、至近で眺めて、あたかも色彩の粒子が凝縮されてその色のかたちを形成しているかのような感触から、いろんな深みや味わいが伝わってきます。


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落語をモチーフにその一場面を描く小池さんの真骨頂は、椀と箸を持った女の絵で痛快に展開されます。くるくると変化する女の表情の豊かさ、厚ぼったい紅の艶かしさや庶民的な和装と椀の柄など、織り込まれる身近に感じられる描写なども相まって、いかにも滑稽で賑やか、温もりに満ちた空気感が届けられているように思えます。


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絵のモチーフから醸し出される艶やかさとはまた別に、画面に乗る色そのものの色気にも感じ入ります。羽織の深みや絣の賑々しさ、かんざしのかわいらしさが、赤の鮮やかさや紺の濃さなどでいっそう引き立てられて、より濃く醸し出される味わい深い人情的な風合いとともに観る者に届けられいるように思えます。


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それぞれの雰囲気の違いも楽しく感じられる、爽やかさと味わい深さに溢れる展示です。
posted by makuuchi at 07:20| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月19日

review:篠塚聖哉 深山《2/20》

review:篠塚聖哉 深山《2/20》mirror

篠塚聖哉 深山
ANDO GALLERY
東京都江東区平野3-3-6
03-5620-2165
2/9(火)〜4/24(土)日月祝休
11:00〜19:00
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SHINOTSUKA Seiya
ANDO GALLERY
3-3-6,Hirano,Koto-ku,Tokyo
03-5620-2165
2/9(Tue)-4/24(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google Translate(to English)



ANDO GALLERYでの篠塚聖哉さんの個展です。

今回も前回のこちらでの初めての個展で発表されたキャンバスの作品によって構成、しかもお馴染みの画面な天地のみがトリミングされたオンペーパーのな新作の発表は控えられています。
その前回の個展ではほぼ同一のサイズの作品が並んでいたのですが、今回はその大きさにバリエーションがもたらされ、それぞれの画面から感じるイメージの距離感にもダイナミックなコントラストが生み出されているように感じられるのも印象的です。


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この空間でこの展示が観られるのはホントに嬉しいです。居並ぶ巨大な画面との対峙に充分な「引き」が得られ、それが画面から得る想像の膨張に無限の広がりをもたらしてくれます。それは画面のサイズから外側へと向かう広がりはもちろん、今までと較べても格段に増したように思われる豊かな奥行きへの想像にも更なる加速を促してくれます。


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今回の作品を拝見して印象的なのは、作品ごとにまずそから思い浮かんでくる縮尺のイメージが実にバラエティに捕んでいるところで、入り口から続く壁面から並ぶ順に眺めていって、むしろ比較的小さなさいずの画面で展開されている情景のほうがより壮大に感じるられたりして、また逆に大きな画面の作品に描かれる世界に対して極端にミニマムなスケールのイメージも思い浮かんでくるなど。。。
空間にもたらされる視覚的なリズムが、得られるイメージに自由度をもたらしているようにも思えるのも興味深いです。


篠塚聖哉 06.JPG 篠塚聖哉 05.JPG

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そこに描かれる抽象的な情景。ストイックなまでに圧倒的にダークに展開されるその世界からは尋常でない濃さの謎めきをかもし出し、一瞥しただけでは閉じられたままただ眼前に重たい色彩がのグラデーションがあるだけのものが、そこからひとたび何らかのイメージをキャッチした刹那、そこに潜んでいたエネルギーで観る側の感覚を呑み込み、深く暗く重厚な幻想へと誘っていきます。


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加えて、それぞれの作品に据えられたタイトルが、そのひとつひとつの作品へのイメージに意外な広がりをもたらしてくれるのも面白く感じられます。ユーモラスにも、また深遠にも思える言葉により、描かれる情景が予想もしないものに見えてきたり...。

眼前に広がる力強い色面とじっくりと対峙したい展覧会です。


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2010年04月16日

〜4/14のアート巡り

〜4/14のアート巡り mirror

■4/10 Sat
Stepping IN | OUT 山本晶
アートフロントグラフィックス
東京都渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラスA棟
03-3476-4869
4/6(火)〜5/2(日)月休
11:00〜19:00
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GALERIE ANDOでの個展などで拝見している山本晶さん。そのときは小品のみで構成されていたのですが、今回は大作を中心にさまざまなサイズのものが取り揃えられ、山本さんの明るくポジティブで、そのなかに繊細さや感性の揺らめきが紡がれていくような世界がよりおおらかに展開されています。


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山本さんの作品を直に拝見してまず、そのマチエル、画面の質感に目が向かいます。
マスキングなども駆使され、バラエティに富むパターンが、しかも手仕事のあたたかみを残しながら展開されていて、さらにその上にもストロークが重ねられているなど、モニターやDMなどで画像を観た時の印象と比較すると、思いのほかその画面の「粗さ」が目につきます。
敢えて言葉にするとそれは「雑な仕上がり」ということにもなると思うのですが、しかしじっくりと対峙していると、そこにある要素全てが「感覚的な意図」に基づいて繰り出されているように感じられてきます。絵の中の情景がそういう風に育ち、広がっていく様子が肌で感じられるような、そういう深みに惹かれ、「なぜここにこのモチーフや色彩が入り、重ねられてるんだろう」というふわふわとした謎めきがそのイメージを膨らませてくれるんです。


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不思議な、というか変な言い方になってしまいますが、「観なければいけない絵」という印象です。観ることでそこに現れたものひとつひとつがさまざまなイメージを呼び込んでくれるように感じられます。そして、得られるイメージももとよりの画面の明るさによって沈むような感じがそれほど強くないのも嬉しく思えます。


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真島直子展「密林にて」
ミヅマ・アクション
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F
03-3793-7931
3/10(水)〜4/10(土)日月祝休
11:00〜19:00
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最終日に滑り込みで再訪。
人が少ないと、今回出品されている唯一の立体作品の存在感はさらに際立って感じられます。


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至近で眺めたりすると相当にグロテスクなのですが、それでもなんとも言えないかわいらしさが醸し出されているように思えるから不思議です。頭部が異様に膨らんだ骸骨も浮気上がる肋骨も剥き出しの歯も、妙にコミカルに感じられるというか...。


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鬱蒼とした情景を思い起こさせる鉛筆画は、味わい深さを伴う筆致でダイナミックなスケール感が創出されているように感じられます。


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眺めていると、さまざまな流れのようなイメージが画面から届けられます。
そして、全体を俯瞰しているような視点が得られるのも興味深いです。加えてひとつひとつのストロークに生命の蠢きを濃く思い起こさせてくれるのも興味深く思えます。


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真島直子_01.JPG



sal 展
GALLERY MoMo Roppongi
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
03-3405-4339
4/10(土)〜4/30(金)日月祝休
12:00〜19:00
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展示作品数こそ4点と少ないものの、そのひとつひとつがあてがわれるギャラリーの壁面のほぼ全面を覆い尽くすほどのサイズで、ギャラリーの中を外から眺めた時点でそのスケール感に圧倒されます。


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サイボーグを思い起こさせる、メカニカルな表現と有機的な描写とが巧みに混在させられている作品群。黒の背景なども含め、ほぼ全ては鉛筆で描き込まれていて、その身近な黒の色調によって、ただ危ういような雰囲気が立ちのぼっているだけに留まらず、どこかポップな雰囲気をも高めているように思えるのが興味部かいです。


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構造のクリアさにも惹かれます。あまり難解なポーズや画面上の配置がなされていない、分かりやすい感じも嬉しいです。
数枚の布地を縫い合わせて作られる支持体に描かれる迫力の作品群に接し、小さな画面に描かれるとどういう世界が出てくるんだろうという興味も湧いてきます。


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カオス*ラウンジ2010 in 高橋コレクション日比谷
高橋コレクション日比谷
東京都千代田区有楽町1-1-2 日比谷三井ビルディング1F
03-6206-1890
4/10(土)〜4/18(日)
11:00〜19:00
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昨今話題を集めるカオス*ラウンジ、その展示とようやく対峙できるとあり(先に開催されたGEISAI#14へは行けなかったこともあり...)、初日にまず足を運んだ次第。

おそらく僕の今の興味が向いている方向とはやや異なっている印象がありました。どちらかというと、それがコンセプチュアルなものであってもまずは「作品」それ自体のクオリティ、質の部分に目を向けがちなので、今回の展示を拝見し、おそらくまず間違いなく彼らが伝えようと意図する部分よりも先に「粗さ」を捕らえてしまうのが、自分にとって残念に感じられます。。。

もとい、翌日にもあらためて足を運び、その時はトークショーが開催されていたので展示を観る位置はある程度限られていたのですが、むしろある程度の距離を置いた状態で眺めた時のほうが、そこで繰り広げられているクリエイションの強度とパワーがよりダイレクトに届けられたように感じられたのが興味深く思えます。特に正面の壁面に展開されている梅沢和木さんの圧巻のグラフィック、華々しい色彩に溢れる情景の極めて現代的で今の感覚に満ち溢れる荘厳に接すれば、それはもう「おおっ!」と唸らずにはいられないです。

で、トークショーは全編を拝聴できていないのでその流れは掴めていないのですが、なんとなくの印象として、カオス*ラウンジの面々は相当にクリアに自身の展開とヴィジョンを持っているように思えた(彼らの発言は聞いていて単純に面白かったです)一方で、相対する外部の側の方々はそれに対して何かを言わなければいけないのだけど言葉が追いついていない、もしかしたらイメージも追いついていないのかも、というように感じられました。
僕自身、興味はあれどまだ何かを言えるほどに彼らの作るものに接していないので、機会を作っていろいろとチェックしたい、そして僕にとっての距離を掴めるといいな、と思っています、どうなっていくか分からないけどとにかく面白そう,今は僕はそれでいいのかな、と思う次第です。



北城貴子 HOJO TAKAKO
a piece of space APS
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル511号室
03-3567-4330
4/7(水)〜4/24(土)日月火休
12:00〜19:00
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ちいさな空間に展示されている北条さんの作品はたったの2点。しかし、それでも充分に、北条さんの「今」を伝えるポジティブな空間が創り出されているように感じられるのがとにかく嬉しいです。


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コンパクトな空間の正面に展示された大きめの作品。
昨年京都での個展などで拝見した時と比較すると、画面全体が明るく、爽やかになっているように思え、その清々しい気配が心地よく感じられます。
画面の艶やかな仕上がりも、光に溢れるような風合いをより鮮やかに導き出しているよう思え、ふわりとした浮遊感にも似た、ぬくもりに溢れる高揚感に浸れます。


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カウンター側にも小品が1点。瑞々しい気配感がとにかく心地よいです。
ちょっと先の季節のイメージもあって、この次期にこの展示が観られるのも嬉しく思えます。


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岩渕華林展
ギャラリー椿GT2
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
03-3281-7808
4/5(月)〜4/10(土)
11:00〜18:30(最終日:〜17:00)
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これまでシルクスクリーンの作品を拝見してきましたが、今回の岩渕さんの個展ではペインティングがその展示の中心に据えられていました。
版画作品と同様に黒をベースとした情景が展開されていますが、シャープなエッジが印象的な版画作品とは異なり、揺らめくように滲む描写がこれまでにない深みを醸し出しているように感じられました。


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お馴染みのモチーフも、これまでとはやや違う、どこか幻想的な風合いが醸し出されています。画面全体がメロウになった分、艶かしい感触が増したように思えます。


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もちろん、版画作品も数点展示され、そのコントラストも直に感じられたのも嬉しかったです。
版画のポップさとペインティングの妖しさ。それぞれが個性的な風合いを持ち合わせていて、それらが並行して展開されることでその世界観もより深まっていくように思え、今後もいっそう楽しみです。


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熊谷明子 上田真由美展
アートギャラリー環
東京都中央区日本橋室町4-3-7
03-3241-3920
3/29(月)〜4/10(土)日休
11:00〜18:30(最終日:〜17:00)
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ふたりの女性アーティストがそれぞれのフロアでほぼ個展形式で紹介されていて、大阪で拝見して印象に残っている上田真由美さんの作品の魅力にあらためて接することができたのが嬉しかったです。


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白地に黒、そしてその隙間に潜むパステル調の色彩。黒はその存在を主張しつつ、他の色彩をくっきりと際立ててもいるように感じられ、そのバランス感がなんだか楽しい心地よいイメージをもたらしてくれます。


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やや濃い色調の作品も。
ペインティングとして相当にオーソドックスな風合いも持ち合わせていて安心感があり、加えて描かれる情景の身近さも相まって、画面のなかに満たされる和やかな雰囲気に何だかほっとするんです。


上田真由美_06.JPG 上田真由美_05.JPG 上田真由美_04.JPG

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さらに風合いの異なる作品も。


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ほっこりとした風合いと、溌剌とした色使い、画面に乗る絵の具の臨場感など、豊かな面白味に満ちた作品群です。
この展示の直後にGALLERY ZEROで開催される、即ち現在開催中の個展ではさらに新作で構成されているとこのとなので、こちらも楽しみです。


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中谷ミチコ そこにあるイメージ
森岡書店
東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 第2井上ビル305
03-3249-3456
4/5(月)〜4/10(土)
13:00〜20:00
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今年のVOCA展で奨励賞を受賞され注目を集める中谷ミチコさんの個展です。
まずこの空間、古びたビルの一室におそらくヴィンテージもののアートブックなどを並べ、レトロな雰囲気がひたひたと広がっている森岡書店、その奥に構えられている展示スペースで観られたのが嬉しく感じられました。この雰囲気に、中谷さんの世界観はじつにしっくりときます。

床置きの作品。
中谷さんのこのシリーズの作品、VOCAに出品されたものと同じシリーズのものなのですが、そのVOCA展で子どもが無邪気に「この絵、右から観るとこっち向くし、反対側から観ると今度はこっち向くんだよー」と連れのお父さんに話していて、むしろ僕もそれで「おお...なるほど...」と感心させられた次第で。
中谷さんの仕事は、やはり彫刻家のそれだと基本的には思います。しかし、その技術をこのようなかたちで「平面」に落とし込まれたときに得られるユニークな効果にはあらためて唸らされます。
加えてどこかレイドバックしたような雰囲気にも惹かれます。ゆったりとした時間の経過を思い起こさせる世界観、その緩やかさにも和まされます。


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魚の鱗を纏う人物像。びっしりと覆い尽くされる鱗の密度、その緻密で細やかな表現にも引き込まれます。


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立体の作品も1点、窓際にさり気なく。


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本来であれば「凸」の表現である立体での展開を、敢えてこうやって「凹」の表現に落とし込み、樹脂で凹んだ部分を埋めることで表面に平滑性も獲得され、そのアプローチの面白さにさまざまなイメージも広がっていきます。何というか、奥まっているはずなのに、出るところが出ているように感じられるのが不思議です。
緩やかに、そして儚げに綴られていくような独特の物語性も含め、これからどんな世界が創出されていくかも楽しみです。


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森村泰昌「なにものかのレクイエム:外伝」
ShugoArts
東京都江東区清澄1-3-2-5F
03-5621-6434
3/11(木)〜4/28(水)日月祝休
12:00〜19:00
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いつものさまざまな歴史上の有名人を森村さんが演じた写真がずらりと並んでいます。
中にはこれまで拝見しているお馴染みのもの、既知のものも多数含まれ(ているように思ったのですが・・・実際はどうなんだろう)、アーカイブ的な要素も感じられるのですが、1点、絵画制作中のポロックを演じた写真があり、それは僕がポロックがどんな容姿なのか知らないこともあり、また絵の具を撒くような制作スタンスにも臨場感があって、なんとも不思議な気分に。もちろんここで展示されているので、それが森村さんであることはまず間違いないのですが、もしその空間から森村さんがいなくなったら、もっとリアリティが増すのでは、と。
結構その状況も徹底的にリアリティが追求されているように思われ、そのフェイクの空間は森村さんがいなくなった瞬間からもっと本物へ近づくような想像が浮かんできた次第。女装ものとかを思うと、その不思議さはさらに深まるように感じられます。
森村さんの仕事は基本的にはパロディと捉えて構わないと思っているのですが、パロディにしてはシリアスすぎる...ストイックなスタンスと強烈劇的な違和感とが混ざり合い交わって、その独特の臨場感を創出しているようにあらためて感じた次第です。



大矢加奈子「室内風景」
Gallery Jin
東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F
03-5814-8118
4/10(土)〜5/1(土)月火休
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
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独特なスタイリッシュさを醸し出すペインティング、いつものようにオレンジ色を多用し、水まわりの室内の情景などが描かれた大作、小品が展示されています。
はじめて大矢さんの作品を拝見した時にその作品の精度に唸らされたのですが、今もその仕上がりの良さはいうまでもなく健在、そして描かれる情景もよりメランコリックな雰囲気が立ちのぼっているようにも思えたり、または危ういほどのリアリティが届けられたりと、表現される世界にいっそうの奥行きがもたらされているように感じられます。



新田友美 個展「Infinite Set 1」
YUKA CONTEMPORARY
東京都文京区関口1-30-9
03-5272-2476
4/10(土)〜5/1(土)日火休
11:00〜19:00
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爽やかな妖しさに溢れる、ステキなペインティングが並びます。
極めてシンプルな、薄いトーンの色彩を背景に描き上げられる女性の全身像。画面に乗るストロークは、そのひとつひとつが鋭さをたたえていて荒々しささえ感じられるのですが、その集積が奏でる風合いはむしろ清々しく儚げな印象が届けられ、一貫する匿名性などの要素も重なり、独特の凛とした気配が導き出されているような印象を受けます。ほぼ等身大で女性の姿が描かれる大作から肖像のみの小品まで、ひとつの世界観のなかで豊かな雰囲気が創出されているようにも思えます。



■4/11 Sun
Island LOVES FRESH
island
千葉県柏市若葉町3-3
047-170-2404
4/2(金)〜4/11(日)
12:00〜20:00
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最終日に滑り込みで。
アートフェア東京でのislandのブースでも、壁面をペインティングで覆い尽くし、ひときわその溌剌とした展開が強いインパクトを放っていたのですが、この柏の大きな空間でもバラエティに富んだクリエイションがフィーチャーされていて圧巻で、どの作品にも、そのなかに「ひとひねり」入っている感じがまた痛快に思えました。
そのスタンスは何か強烈なオリジナリティを見つけようともがいている、模索しているようでもあり、何だかその必死さにあらためて心打たれます。人物像を象った樹脂のかたまりを回転させることでアバンギャルドな造形を生み出し、体全体で叫んでいるようなアグレッシブなイメージを彷彿させる木村泰平さんの立像や、本来はひとつの空間を覆う形で制作されたペインティングをフラットな壁面で再構築し、パネルの間隔にもウォールペインティングを施しダイナミックな展開を繰り広げた加茂昂さんのインスタレーション、顔料自体の材質の面白さを活かし、クラックがびっしりと画面上に生み出され、それをさらに削ったり擦ったりすることで混沌とした細密世界を生み出している松下徹さんの咲く品など、既に圧倒的な存在感を放つ作品も少なくなかったのですが、それでもさらにその自身の個性にさらなる「確信」を得ようとしているような印象で、そこから得られる「強さ」に期待も膨らみます。



■4/13 Tue
ヤマガミユキヒロ展『Sleep Walking』
neutron tokyo
東京都港区南青山2-17-14
03-3402-3021
4/7(水)〜4/25(日)月休
11:00〜19:00(最終日:〜18:00)
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今回のヤマガミさんの個展では、まず1階では一昨年のTARO賞でも発表されたペインティングに映像を重ねる作品の銀座と渋谷のバージョンほか、2階では写真を用いたコラージュ作品など、バラエティに富んだ構成が楽しいです。
なかでも映像がペインティングに重なる作品は、あらためてその構造の面白さに惹かれます。同じ絵が重なる映像によって時間帯も天候も変化し、映像が途切れたときのペインティングの静寂、その気配が消えた感触のスリルや筆致の生々しさに驚かされます。



「無題 -絵画-/UNTITLED -Painting-」井上樹里,佐原和人,竹内義郎
hpgrp GALLERY 東京
東京都渋谷区神宮前5-1-15 CHビルB1F
03-3797-1507
4/2(金)〜4/25(日)月休
11:00〜20:00

3名の平面作家がフィーチャーされている展覧会。
まず佐原和人さん、今回展示されている中でももっとも大きなサイズの作品に目を奪われます。
お馴染みの都市の一場面をシルエットで描き、さまざまな色彩をそこに施す作品なのですが、よりその空間構成に大胆さがもたらされているような感じで、加えて随所に抽象的な面白さ、豊かな表情が現れていて、それによってもたらされている重厚な幻想的な雰囲気にも惹かれます。


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円形の作品や、細長い画面の作品も。


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参加されている中でもっともベテランの竹内義郎さんは、ひときわ渋く、そして濃厚な雰囲気を創出しているように感じられます。くっきりとした形を画面の中央に据えた抽象世界。独特の深みが伝わってくるように思えます。


竹内義郎_03.JPG 竹内義郎_02.JPG

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井上樹里さんの描く情景にもおおいに引き込まれます。
パネルに直に描かれるタブローで、ラメが入ったような顔料が用いられていたり、そこにさまざまなテクスチャーが挿入されるなど、アプローチのバリエーションの多さで紡ぎ上げられる静謐に、時間を忘れて対峙してしまうような。スケール感のおおらかさも印象的です。


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小品もそれぞれに面白味を奏でています。
さまざまな色彩での展開に、イメージもさらに広がっていきます。


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■4/14 Wed
Jungle Project!! -Johnny come lately- 安藤隆一郎 稲垣萌子
@MORI YU GALLERY TOKYO
東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第三ビル4F
03-6906-9556
3/27(土)〜4/17(土)日月祝休
12:00〜19:00
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再訪。
凸倉庫でのオープンスタジオで拝見している二人のアーティストの作品群と東京でふたたび相見えることができて嬉しいです。
稲垣萌子さんの版画作品、さまざまなサイズのものが展示されていて、その広い画面で展開されている有機的な世界観にあらためて引き込まれます。


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うねうねと画面を這う,葉脈や血管を思い起こさせる緻密な線の広がり。そこに建物の画像やスカルなどが織り込まれて、異様な妖しさが創出されています。


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独特の世界観の広がりが今後どのように広がっていくかも楽しみです。


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安藤隆一郎さんは、凸倉庫で拝見したものをそのまま発表。
このサイズで展開される緻密な描写が楽しいテキスタイルの作品が白い壁面に展示され、あらためて対峙できたのも嬉しく思えました。


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SPRING SHOW - Room with a view - ten artists, ten creations
Ohshima Fine Art
東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第三ビル3F
03-3235-2271
4/10(土)〜5/1(土)日月火祝休
13:00〜19:00
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Ohshima Fine Artで開催のグループショー。これまでこちらで紹介されたアーティストを中心に、フレッシュな個性がパッケージされていて見応え充分の空間がつくり出されています。

なかでもぐっとその密度に引き込まれたのが及川恵子さんの鉛筆画。
びっしりと描き込まれる密集して生える葉、その鬱蒼とした雰囲気によってもたらされる壮大なスケール感に圧倒されます。
ファイルを拝見するとこのスタイルの作品は他になく、これからどんな世界が展開されるかも興味深いです。


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肉の絵で覚えている笹田晋平さんは、加工される前の吊られる肉の塊を臨場感たっぷりの画面で表現。もってりと画面に乗せられる絵の具、その厚みによってより濃密な雰囲気が生み出されているように思えます。


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大沢拓也
ギャラリー広岡美術
東京都千代田区神田駿河台3-1-7 烏山お茶の水ビル2F
03-5281-1001
4/7(水)〜4/17(土)日休
11:00〜18:30
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これまでも折りにふれて拝見している、今もっとも好きな日本画家のひとり、大沢さんの、一昨年以来、またその時と同様にアートフェア東京での展開に続いて開催の個展です。
今回もこれまでに描かれてきた風景のシルエットの作品を中心に構成され、そのバリエーションに広がりがもたらされるだけに留まらず、漆を用いた作品も前回より多く出品され、さらに進化した大沢さんの世界に接することができて嬉しい限り。

岩絵の具を用いた作品は、人工建造物などの硬質で幾何学的なモチーフはもちろん、さざ波や樹木などの自然物も多く描かれ、さらに精度と繊細さを増した描写とその色彩の選択の絶妙さに感嘆させられます。


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おおよそ筆使いで雰囲気を生み出すような展開はこれまではなかったのですが、こちらの作品にもたらされている筆の流れが画面に残される作品、それがこれまでにない有機的な気配を導き出しているように感じられて興味深いです。


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細密表現の精度はさらに緻密さを増して展開されているように感じられます。立ちのぼる幻想的で静謐な気配、その凄まじい緊張感にも感じ入ります。


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漆の作品は、まずその素材にもとより備わる濃さと深みに惹かれ、岩彩の作品と同様の巧みな構図と高精度の再現性が感じられ、立ちのぼる独特な高貴さと妖艶さに、さらに強くその世界観に引き込まれます。


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大沢拓也_07.JPG 大沢拓也_06.JPG 大沢拓也_05.JPG

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磨き込まれて得られる漆の艶が、描かれる情景のシルエットに硬質な臨場感をもたらします。
独特のクールさがより際立って観るものに届けられます。
あらためてぜひ直にご覧頂きたい作品群です。


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大沢拓也_01.JPG



《買った本》
「六つの星星 川上未映子対談集」川上未映子
「天地明察」冲方丁
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2010年04月13日

review:関口正浩「平面B」《2/20、3/27》

review:関口正浩「平面B」《2/20、3/27》mirror

関口正浩「平面B」
児玉画廊|東京
東京都港区白金3-1-15-1F
03-5449-1559
2/20(土)〜3/27(土)日月祝休
11:00〜19:00
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Masahiro Sekiguchi "Painting B"
Kodama Gallery Tokyo
3-1-15-1F,Shirokane,Minato-ku,Tokyo
2/20(Sat)-3/27(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google Translate(to English)



京都のスペースでの個展も強く印象に残る関口正浩さんの、児玉画廊|東京での個展です。

油絵の具を湯葉状(という表現がいちばん伝わるように思われます)に加工し、それをキャンバスに展着させるという独自の手法で制作される作品。その行程は前回拝見した時と変わらないものの、前回は大きな空間に、画面の全面を覆い尽くすほどの広いシートを重ねた大作が発表され、その行程のユニークさに加え、薄い膜が重ねる過程の中でくっついて出来る皺や膨らみ、さらには破れてその奥が見えるところなどが際立ち、三次元的な要素が放つスリリングな面白さがより鮮烈に感じられたのですが、今回はその時の印象とと比較するとより「絵画的」に案じられたのが興味深く思えた次第です。


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1枚のシート、言い換えるとひとつの色彩で大きく画面を覆う作品は比較的少なく、むしろ複数の、しかもそれぞれ明らかに異なる色彩のシートを重ねることで画面に色彩上のギャップが創出され、視覚的なインパクトより強く届けられるように感じられます。


関口正浩_32.JPG 関口正浩_31.JPG

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また、1枚のシート自体の面積も小さめのもの(といってもそれなりの大きさのものも多いです)が多用されることで、画面にもたらされるマチエルはむしろ激しさを増して迫ります。行程で生み出される皺はおそらくある程度の意図が入ったものと無意識的なものとが混在しているように感じられ、その混沌とした感触にも力強さを感じます。


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一方で、画面自体はアグレッシブさを増しているにもかかわらず、やはり随所にもたらされた色彩のダイナミックなコントラストであったりその色彩の配置自体であったり、画面における配色のコントロールが新たな魅力となって迫ってくるのも痛快に感じられます。
手法上どうしても現れてしまう仕上がりの「粗さ」は無論関口さんのこの作風のもっとも強い個性であり面白さで、そもそも大胆な展開を持つところに大胆な配色が加わって、よりアクティブな雰囲気がもたらされているように思えるんです。


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そしてさらに新たなアプローチが加わっていきます。
画面に生まれたシートの膨らみを「削る」行為、それがまたさらにアグレッシブな画面を創出していきます。


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画面に乗るシートの膨らみの部分はこういうふうになっているのか、という、関口さんの作品を拝見して生まれたその構造への好奇心が満たされます。またその一方で、この、敢えて表現すると「壊す」行為が展開されることで、これまででも充分にアグレッシブだった世界観がさらに荒々しく押し進められるように感じられるのも興味深いです。


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そのさまざまな要素が入り込んだ大作は、とにかくそこから放たれる雰囲気の強烈さに圧倒されます。
画面に配されるシート状の色彩、それぞれの形の鋭さに加え、ガリガリと擦り上げられた痕跡の凄まじさがこれ以上ないほどのアバンギャルドな雰囲気を生み出しているように思われます。


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小品ではむしろさまざまな実験が細やかに展開されているように感じられた次第。
大きな画面と比較すると構図も行程もコントロールしやすい、その分ある程度の意図が反映されやすいこともあると思うのですが、だからこその大胆さが見受けられるのも楽しいです。


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生み出される画面のユニークさはいっそう際立ってきているように思えます。
手法自体の面白さと、その手法の可能性もさらに追求されている感じで、さらにこの展開でどんなインパクトが放たれていくかも楽しみです。


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2010年04月11日

〜4/4のアート巡り

〜4/4のアート巡り mirror

■3/31 Wed
今井裕基「ろま」
artdish g
東京都新宿区矢来町107
03-3269-7289
3/23(火)〜4/18(日)月休
12:00〜22:00
今井裕基100323.jpg

鬱蒼とした雰囲気が印象的な作風はそのままに、構図などに変化が見られるように感じられたのが印象深いです。要素と余白のバランスに広がりや遊びが現れているような感じがした次第です。



Jungle Project!! -Johnny come lately- 安藤隆一郎 稲垣萌子
@MORI YU GALLERY TOKYO
東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第三ビル4F
03-6906-9556
3/27(土)〜4/17(土)日月祝休
12:00〜19:00
稲垣萌子100327.jpg 安藤隆一郎100327.jpg

京都の凸倉庫のオープンスタジオで拝見して印象に残っているふたりのアーティストの展覧会。安藤さんの作品はそちらで拝見しているものですが、あらためてテキスタイルの表現としての斬新さに触れることができて嬉しいです。
稲垣さんは大作もあわせて展示。メカニカルな感触と、有機的なモチーフとが絡み合い、緻密な線がもたらすクールな混沌がかっこいいんです。



201OAFTY(201One-Man Art Fair Tokyo Yanaka)
Gallery Jin
東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F
03-5814-8118
4/1(木)〜4/4(日)
10:30〜20:00(4/1:12:00〜、4/4:〜17:00)
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アートフェア東京と会期を合わせて開催された、フレッシュな個性を中心にパッケージした展覧会。

カウンターの一角には藤森詔子さんの作品群。大胆で鮮烈な色彩で描き上げられる人物像は、濃密な妖しさが立ちのぼり、独特の緊張感が画面より届けられます。


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描写の具象性の高さが臨場感を生み出しているようにも思えます。
徹底して表現されるリアリティが描かれる情景の生々しさを導き出し、またそこに、色彩なども含めたフィクショナルな要素がその世界観を独創的なものへと押し上げているように思え、興味深いです。


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能智雄大さんの写真作品。
例えばぼやけた風合いを出すためにレンズに息を吹きかけて曇らせるなどのアナログなエフェクトをかけるなどして、幻想的な気配をていねいに創出させています。
軸装されることで雰囲気のユニークさがさらに際立って伝わってきます。


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一度目にしたら忘れられない寺澤真澄さんの作品群。
大きな画面いっぱいに描かれる、ピンクのウサギの着ぐるみを纏うキャラクター。常に笑顔のユーモラスな表情と佇まいから滲む憂いが印象的です。


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今年の東京芸大先端の修了制作でもひときわ強く印象に残っている文谷有佳里さんの作品をあらためて拝見できたのも嬉しかったです。


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画面に広がるさまざまな線。直線と曲線とが交錯し、複雑な空間を構築していきます。本来は現代音楽を作曲をなさるそうで、そういうこともあってか、独特のリズム感が溢れているように感じられ、それによってシャープで無機的な世界へと意識が引き込まれていきます。
感圧紙を使用しているのも面白いです。


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画面に展開される硬質な奥行き感がとにかく面白いです。
凄まじく大きなものを俯瞰しているようにも思えたり、一方で直線の幾何学的な感触が冷静で冷徹な雰囲気をもたらし、独創性に満ちた感覚的な構造美を奏でているようにも感じられます。


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■4/1 Thu
巧術
スパイラルガーデン
東京都港区南青山5-6-23
03-3498-1171
4/2(金)〜4/7(水)
11:00〜20:00
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面白かった!
レントゲンヴェルケの池内さんのキュレーションで、手技が冴えまくるクリエイションがゆったりとパッケージされ、それぞれが緻密な世界を放っていてそのひとつひとつに引き込まれた次第。
昨年末の個展で発表された、ラメ入りの顔料が塗布された湾曲面にお馴染みの細やかなストロークが紡がれるシリーズの新作を展示されたカンノサカンさんをはじめ、中村哲也さんのスピード感溢れる造形で有機的に構築されるスカル、一見マット紙を使用していると思わせるほどに大小の正方形のカットが入った紙を何枚も重ね、その奥にさらに細かいドット状のスクエアのホールがびっしりと並ぶ圧巻の作品を展示されたあるがせいじさんの大作、ひっそりと灯る須田悦弘さんのつぼみなど、初見の作品も多数展示。また満田晴穂さんの蜂の屍骸の山、資生堂ギャラリーでの個展の為に制作された内海聖史さんの大作、佐藤好彦さんの10連ギターなど、ふたたび登場の作品もその個性を強烈に放っていてその技巧の凄さに圧倒され、それぞれに見応えがありました。



この日はアートフェア東京2010のプレビューへ。

会期中、プレビューも含めて3度足を運ぶことができ、そのぶんしっかりと拝見でいたのですが、まず面白かったのが、近代美術を扱うギャラリーがほぼ個展形式でレコメンデーションする若手アーティストの展示で、なかでもギャラリー広田美術での繊細な質感の和紙に岩絵の具で描かれる爽やかな風合いを奏でる風景を豊かなバリエーションで展開し、並ぶ小品の一角が特に楽しかった神戸智行さん、ブース壁面を黒にしてさまざまなサイズの画面をその空間に配し、それぞれにサルの群れを描き、瑞々しい色彩感とおおらかな余白とでもとよりのエキゾチックな雰囲気に爽やかさとユーモアとが加えられた感じがして目を楽しませてくれた大雅堂での石井鈴さん、漆の表現にさらに深みと重厚感が増したギャラリー広岡美術での大沢拓也さんの展示などが面白く感じられました。

一方、コンテンポラリーのギャラリーでグループ展形式で展示を構成してきているところでは、1点入魂の作品との出会いがまた嬉しかったです。LOWER AKIHABARA.での山口英紀さんの作品は、僕との関わりだけではおそらく生まれそうにない幻想的な雰囲気に溢れる花を描いたもので、そのふわりとしたやわらかな気配感とは裏腹に画面に施されたスクラッチ痕のアグレッシブさが面白く、お馴染みの白い粘土の造形を背景に重ねて描くシリーズの一貫ながら、その白い造形自体に青を加えることで画面に鮮やかさと強さがもたらされ、より痛快な世界観を導き出しているように感じられたShugoArtsでの千葉正也さんのペインティング、そこにあるだけでインパクト充分で、加えて天板に生えている芝生にスタッフの方が噴霧器で水を撒いている様子が作品の存在感とは裏腹の和やかさを感じさせてくれたARTCOURT Gallery國府理さんの作品、滑らかなフォルムとクールな造形と久々に接することができて嬉しかった東京画廊+BTAPでの金田勝一さんのオブジェなどがそれぞれ印象的でした。

もちろん骨董なども観られるのはありがたく、例えば水戸忠交易のブースに並べられていたルーシー・リーの陶芸作品などはショーケース越しではない「生」での展示で拝見すること自体が貴重で、そういった展示と出会えるのもこのフェアの醍醐味かと思う次第です。

「projects」のコーナーも、それぞれにフレッシュな構成で楽しませてもらえました。FRESHの面々のクリエイションを大胆に投入、展示空間全体をペインティングで覆い尽くし、ひときわ強烈な勢いを感じさせてくれたislandや一転して三宅一樹さんの座禅を組む女性の木彫作品1点で重厚で繊細な空間を創出していたYOKOI FINE ART、松原健さんのコップの作品が、仕組みも含めて不思議で幻想的なイメージを奏でていたMA2gallery、ユーモラスでアクロバティックな造形が目を引き、そこに込められる深遠で神聖な世界観も印象深い田中圭介さんの木彫作品が格別だった山本現代など、それぞれのギャラリーが独自性を強く推し出していたのも嬉しく感じられました。

ひとつだけ、ギャラリー小柳のインスタレーションを拝見して、いろいろとフェアのあり方や方向性を考えさせられました。須田悦弘さんの薔薇1点のみを正面の壁面に展示した空間は、その作品の言わずもがなの再現性の高さと鮮烈な存在感によってブースの作りの安っぽさがさらに際立って感じられ、またこの作品自体も備え付けられていた資料を拝見する限りおそらくはこのフェアの為に制作されたものではないように見受けられたりして...僕にはこういう展示をギャラリー小柳が敢行してきたということはむしろ、アートフェア東京の・・・うまく言葉にできないですが・・・「本質的な現状」のようなものを強烈に突き付けてきているように思えてならないです。

たった4日間で5万人も動員できるアートイベントは国内では他になく、そこにはもの凄く多くの「新しくアートに向けられた好奇心」があると思うのですが、それらはフェアの後にどれだけアートに残っているのだろうと思うと相当に残念な感じがします(実際、フェア開け最直近の週末にギャラリーを回っても印象としていつもと変わらなかったですし、もし新規の来場者の感想の多くが「面白かった、来年も楽しみ」だとすると、本末転倒とまではいかなくともちょっと違うような気もします)。
また、こちらのブログでは「買う」ことについては基本的に触れないのですが、敢えて書くと新たな購買層の開拓についてもいろいろと思うことはあり、はじめてアート作品を買ってみたいと思う人向けの、顧客とギャラリー双方への提案も充分でない気がしますし(「1万円から買えるアート」とかいうのでは決してないと思いますが)、またハイエンドの新たな顧客獲得の活動はどれだけ行われているのか、無論皆無ではないと思うのですが、もしそれがほぼ各ギャラリー頼みなのが現状だとしたらそれはいかがなものか、とも思ったりします。

繰り返しになりますが、たった4日間で5万人も動員できるアートイベントは国内では他にないし、そこまでフェアの規模を育てられてきた運営側の方々へのリスペクトはそれはもう言葉に置き換えられる程度のものではなく、おそらく現状の運営自体も相当にタフなことも重々承知、そもそも毎年楽しませてもらっている僕のような立場で生意気なことを言えたものではないし、もちろんこのフェアのよってシーンの広がりがもたらされていることもあると思います。ただ、アーティストが神経を削りながら命がけで(と言葉に刷るとやや大げさに響きますが、そういうことだと思うのです)作ったものや、リズクを負ってそれらをシーンに届けているギャラリーに応えられているかということを思うと、この規模だからこそ出来ることはもっとあるとも思うのです。



■4/2 Fri
ART FAIR FREE
VACANT
東京都渋谷区神宮前3-20-13
03-6459-2962
4/2(金)、4/3(日)12:00〜21:00、4/4(日)18:00〜

こちらはこちらでまたいろんなことを考えさせてくれた企画でした。
展示された100点を超える作品、それらは全て作家名は伏せられているのですが(もちろんその中には誰の作品か判るものもあります)、それらの中から欲しいものがあればそれにベットし、お金ではない何かを対価として提示し、その作品の作家との交渉が成立したら晴れて交換する、というもので、まず展示された作品の多くはそれが誰のものだか判らない、あるいは知らないアーティストのものだったりして、そこから「探す」のは結構楽しく感じられました。
中には「いいな」と思う作品ももちろんありましたが、まず既知の作品については気が引けるのと面白味が減るのとが半々で、作品並びにアーティストが好きであってもまず遠慮、せっかくならば未知の出会いから何か、と思いさらに観ていくのですが、さてその作品がどの程度「欲しい」かというとこれが非常に難しい問題となって迫ってくるという...、
ある作品は、間違いなくその材料費が半端なくかかっているのが分かるものでこちらが提示すべき対価の価値も常識的にそれ相応のものが求められるものであったり、また「持っておいてもいいかな」程度の興味の作品に対し、対価も相応のもので、というのはそのクリエイティビティに対して非常に失礼に思えてしまったり...。また、対価として提示するものは「もの」に限らず「行為」や「誠意」でも構わなかったのですが、今度はその「行為」や「誠意」にある「価値」を決めてしまうのでは、と考えるとそれもまた難しき思えるのです。
ベットすることにおいて「参加することに意義がある」というのはないう考えもあり、結局ベットするまでに至らなかった次第。

おそらく、もっと気楽に参加していいイベントなのだと思います。日曜日夜に交換内容が発表されたのですがそれはもう多種多様で、実際に結構気軽な「対価」も多く見受けられたので、ノリで参加、ベットするのも「あり」で構わないのだろう、と。
何はともあれ、イベントとしては楽しいものであったことには変わりなく、また出品する側、参加する側双方に「慣れ」がでてくれば、もっと面白いものになるのかも、とも思います。まずはしばらく続けてほしいなぁ、と感じた次第です。



「無題 -絵画-/UNTITLED -Painting-」井上樹里,佐原和人,竹内義郎
hpgrp GALLERY 東京
東京都渋谷区神宮前5-1-15 CHビルB1F
03-3797-1507
4/2(金)〜4/25(日)月休
11:00〜20:00

3名の平面作家がパッケージされた展覧会。
これまでも折に触れて拝見している佐原さんは大作1点と円形などの小品を発表、これまでの幻想的な色彩感とそこに主に都市風景のシルエットが独特の雰囲気を紡ぐお馴染みの作風ながら、そこに抽象的な要素がほんのりと入ってきたように感じられるのが印象的です。
くっきりとしたパターンで強い画面構成を展開される竹内義郎さん、アグレッシブな筆致を織り交ぜながら、スリリングな雰囲気を導く井上樹里さん、それぞれの個性が不思議な響きをもたらしています。



■4/3 Sat
Apichatpong Weerasethakul
SCAI THE BATHHOUSE
東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
03-3821-1144
3/12(金)〜4/17(土)日月祝休
12:00〜19:00
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正面の壁面に上映される映像作品の重厚感とアグレッシブさが強く印象に残ります。
東南アジアの空気感を思い起こさせる、どこか熱を帯びたような闇、そこに灯る安っぽい街灯と、地面に起こる爆発、そしてそこに落ちる稲妻。その状況の凄まじくシュールな世界観に思わず目が釘付けに。
続いてどのような流れでそういう展開になったのか思い出せないのですが、何となく唐突に、何故か火球を蹴り合う子どもたち、行き交う火球の轟音などにも引き込まれたり。ストーリー性は不可解で、しかしその迫力と深遠さとにより力づくで説得、納得させられたような感じがします。アーティストのバックグラウンドを知るともしかしたら、もっと見えてくるメッセージ性もあるように思えます。
伺った時間帯は比較的早かったのですが、ほぼ一貫して暗い映像で展開されるので、陽が落ちた遅い時間のほうがこの作品をご覧になられるには適しているようにも思えます。



中山ダイスケ旧作展「Strings, 1993」
ラディウムーレントゲンヴェルケ
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17
03-3662-2666
4/2(金)〜4/24(土)日月祝休
11:00〜19:00

中山ダイスケさんの作品というと、数字を描き重ねるペインティングを思い浮かべるのですが、今回は旧作、しかも立体で、この2階のスペースにあつらえて制作されたかのような奇跡のサイズが作品自体が持つさまざまな要素をより濃くし、強い臨場感も生み出されているように思えます。
張られる弓と矢とが構築する巨大な球体。使い込まれたようなやや古びた風合いの弓と矢が誘う「過去」のイメージ、それとは裏腹に張られる弦や、朽ちることのない矢尻の鋭さが放つ危うさ。そのコントラストが、その球体の構造自体に備わる多くの隙間に独特の緊張感をもたらしているように思えます。



大久保如彌「もういいかい? もういいよ。」
GALLERY MoMo Ryogoku
東京都墨田区亀沢1-7-15
03-3621-6813
4/3(土)〜4/24(土)日月祝休
11:00〜19:00
大久保如彌100403.jpg

六本木での個展なども印象に残っている大久保如彌さん、今回もふわりとしたかわいらしさを連想させる華やいだ色彩感と、細緻な描写とで日常と幻想とが不思議な塩梅で混ざり合う独特の世界が描き上げられた作品が展示されています。そして、その描写はさらに細かく緻密さを増し、複雑にさまざまな色彩が重なり合うところや人物の描写部分に僅かな段差がもたらされているなど、マチエルの多彩さにも惹かれます。
奥のスペースにはドローイング的な作品を並べて構成、線画の美しさが目を楽しませてくれます。
どこか危うげな雰囲気も印象に残ります。そして1点だけひっそりと意表を突く位置に展示された立体作品も。



法貴信也
TAKA ISHII GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-5F
03-5646-6050
4/3(土)〜5/1(土)日月祝休
12:00〜19:00

入り口より続く、人の顔を思い起こさせる小品群、そこからお馴染みのふたつの線が画面を並行に舞い、交錯する作品が並び、奥には黒い支持体を採用した作品が。
眺めていると常に線の流れを視線が自然と追い続け、画面に動的なイメージが常に保たれながら、ある瞬間にその線が導き出す形が何かに見えてきたり、またもっとおおきな空間が思い描かれてきたりと、対峙する時間と相応のイメージを提供してくれるような気がします。
じっくりと拝見したい空間です。



大城絢 | Between a Woman and a Woma
hiromiyoshii [Gallery L]
東京都江東区清澄1-3-2-6F
03-5620-0555
4/3(土)〜5/8(土)日月祝休
12:00〜19:00

MIHOKANNNOのメンバーとしても活動される大城絢さん、今回は昨年夏の展示で発表された作品を入り口付近に据え、正面の壁面にシュールな世界観が貫かれるイージーなアニメーション、広い壁面にその映像作品から得られるイメージを大きな紙にドローイング風に描いていった作品などが展示され、独特の緩い雰囲気の中にまた独特な緊張感がもたらされるという、なんとも不思議な空間が創り出されているように感じられます。
とにかく映像、一度観始めるとなんだか分からないままにその時間を過ぎしてしまうという。。。いきなり大きな画面いっぱいに物騒なノイズとともに現れるモチーフなど、展開は淡々とした気配を醸し出しつつも終始唐突で、なんともいえない可笑しみが心に立ちのぼってくるんです。



井上信也 | 5、6の事
hiromiyoshii [Gallery M]
東京都江東区清澄1-3-2-6F
03-5620-0555
4/3(土)〜5/8(土)日月祝休
12:00〜19:00

空間に数点のモニターが配置され、それぞれで映像作品が上映されています。
もっとも入り口に近いところで展開されていたボールペンの先を捉えた作品のどうしよもなだがホントに堪らないのです。
あらためて時間を作って拝見し、いろんな面白さを見付けたい展示です。



小林華織「核」
MEGUMI OGITA GALLERY
東京都中央区銀座2-16-12 銀座大塚ビルB1
03-3248-3405
3/30(火)〜4/24(土)日月祝休
11:00〜19:00
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てっきりギャラリースペースに台を配してそこに陶芸作品を置くインスタレーションを想像、もとい思い込んでいてたこともあり、扉を開けてその空間構成の意外さにまず驚かされます。
展示されている多くの陶芸作品、その造形が独特の濃さで醸し出す有機的な感触と生命のイメージ。陶芸作品特有の味わい深さが滲み、貝殻を思わせる仕上がりにも惹かれます。
そしてその多くの作品の一部は「蓋」として機能していて、すなわち入れ物であるという事実、道具としても用いられることへの細やかな作品への配慮のようなものも面白く感じられます。



黒宮菜菜 −流彩の幻景−展
INAXギャラリー2
東京都中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA 2F
4/1(木)〜4/27(火)日祝休
10:00〜18:00
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初めて拝見した時は支持体にアルミ板が採用されていて、そのメタリックな鈍い輝きと有色透明な絵の具とがもたらすダークな色調が独特の雰囲気を導き出していたのですが、しばらくしてから支持体に白色の樹脂製の板が用いられるようになり、発色がより鮮やかで軽やかになったことで描かれる世界観もポジティブな広がりがもたらされてきたように感じられます。
しかし、その一方で、ふたたび違う形でダークな世界観もふたたび顔を覗かせているような感触も興味深く。筆遣いもより巧みに、そしてバリエーションも広げられて、より濃密で複雑な情景が描き上げられているように感じられます。素材や手法のユニークさなどによってももたらされる、強烈に独創的な迫力と重々しい静けさに圧倒されます。



うじまり個展 命菌
ギャラリー椿GT2
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
03-3281-7808
3/29(月)〜4/3(土)
11:00〜18:30(最終日:〜17:00)
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面白い!
銀色の下地に黒、赤、そして金の要素が描き込まれた作品。
それらによって生み出される有機的なモチーフは、抽象的な雰囲気を漂わせながらもどこかユーモラスな感触を放っているように思えます。


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それぞれの色彩が持つ雰囲気と、特に黒で紡がれる細い線描が、鋭く繊細な気配を導き出しているように思えます。そしてそれぞれの色彩の配分も絶妙のように感じられ、生物的な高貴な色香も醸し出しているように思えます。


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今回はひとつのシリーズで構成が整えられていたのも良い印象となって心に残っています。
こちらの世界観の続きも拝見したいと思うとともに、違うテーマでどんな描写が紡がれるかにも興味を覚えます。


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土屋秋恆
和田画廊
東京都中央区八重洲2-9-8 近和ビル302
03-3231-7774
4/1(木)〜4/25(日)
13:00〜19:00
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ポップな水墨画。
ほぼ封筒程度のちいさな紙にさらさらと灯されるストローク。その軽妙さと、裏腹におおらかな情景が描き上げられている面白さに引かれます。


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大きな作品でもそのスタンスの軽やかさは貫かれ、むしろ複雑な筆致も随所に織り交ぜられて、水墨画としての味わい深さと軽やかなストリート感覚とが重ねられてユニークな情景が導き出されているように思えます。


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武谷大介「Beautiful Japan」
Showcase/ MEGUMI OGITA GALLERY
東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F
03-3571-9700
3/26(金)〜4/17(土)日月祝休
11:00〜19:00
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まず、緑と茶色(どうやらそれぞれ「抹茶」と「小豆」をイメージされているのだそう)とに塗り分けられた空間に目を剥きます。
そしてそこに展示された縦長のタブロー。画面最下部に細やかに描き込まれる都市風景のなんともいえないかわいらしさとおおらかでユーモラスな空間性、そして画面に乗る絵の具の臨場感とそれによってもたらされる複雑な画面の質感に惹かれます。


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1点だけ展示されているドローイング的な鉛筆画は、濃厚な空間のなかのアクセントとして機能し、その高貴さと儚げな気配にも引き込まれます。


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アートフェア東京ではChristopher Cutts Galleryのブースで武谷さんの作品が展示されていて、そちらでは大きな作品も展示されていたのも印象に残っています。


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問谷明希 ”きのう雨、きょう晴れ”
Ai Kowada Gallery
東京都渋谷区恵比寿西2-8-11ー4F
3/20(土)〜4/24(土)日月火休
12:00〜19:00
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久々に拝見する問谷さんのペインティング。
イメージとして抽象的な描写で紡がれる淡い気配感という感じを持っていたのですが、今回発表された作品では、随所に具象的なモチーフが織り交ぜられて、これまでの独特の色調と気配はそのままに、洒落やユーモアといった意味ではない「遊び心」が感じられます。


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挿入される人物や花などのモチーフの存在は、画面にたゆたう幻想性をより高めているようにも思えます。
仮に絵の中の空気を手で掻いてみてもおそらく空を切るような。眼前に想いが灯るような儚げな風合いにもさまざまな想像がよぎります。
もしこの世界観が追求されるとして、具象性と抽象性とのバランスにさらに絶妙な感覚が見つけられるともっと深い情景が導き出されるのでは、という期待感も浮かんできます。


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宮永亮「地の灯について」
児玉画廊|東京
東京都港区白金3-1-15-1F
03-5449-1559
4/3(土)〜5/8(土)日月祝休
11:00〜19:00
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宮永さんが創り出す映像世界は今回も凄い。
前回の個展、京都のスペースで上映された作品での、圧倒的なスケール感で観る側のイマジネーションもねじ伏せられるような圧倒的な迫力から一転、今回は複雑な壁面構成の空間のそれぞれの壁面に映像を映して常に移動しているような雑然とした雰囲気をもたらし、さらにそれぞれの画像を素材として創り上げられたメインの映像を正面に上映、スピード感に溢れる展開とブリリアントでアグレッシブな映像群に、今回も圧倒された次第。
時間に余裕をもってあらためてしっかりこの空間の凄みを体感したいと思っています。



Tatiana Doll "Reventon"
NANZUKA UNDERGROUND
東京都港区白金3-1-15-2F
03-6459-3130
4/3(土)〜5/1(土)日月祝休
11:00〜19:00
Tatjiana Doll100403.jpg

僕らの世代にはこの「ランボルギーニ・カウンタック」というモチーフには平伏せざるを得ず...。
存在する全てのなかでもっともかっこいいものの象徴でもあったので、それを描いた、しかもエナメルという強烈な艶と質感を持つ素材で描かれた作品を目にした瞬間の高揚感といったら!
そしてやや冷静になり、描き手が女性であること、その女性ならではの感性がこのモチーフの持つ色香を引き出してるようにも思えるのが興味深いです。
もう1点、ウージェーヌ・ドラクロワの「墓場の孤児」を元に描かれた作品のスリルも堪らないです。



松井えり菜「ワンタッチ・タイムマシーーン!」
山本現代
東京都港区白金3-1-15-3F
03-6383-0626
4/3(土)〜5/1(土)日月祝休
11:00〜19:00
松井えり菜100403.jpg

!Σ(@口@;)

ああ!
いくらなんでも!
ブロマイドとか歌とか!

ただただその世界に引きずり込まれ...いや正直に言おう、むしろ全景で飛び込んでいって、メランコリックでグロテスクでロマンチックでワーでキャーでピーな松井ワールドが炸裂しまくっていてああもう!

松井さんのバイタリティが炸裂、そして描き手の楽しさ、描くことへの充実感も伝わってきて嬉しいです!



■4/4 Sun
飯沼知寿子展
トキ・アートスペース
東京都渋谷区神宮前3-42-5 サイオンビル1F
03-3479-0332
3/29(月)〜4/4(日)水休
11:30〜19:00(最終日:〜17:00)
飯沼知寿子100329.jpg

こういうペインティングは僕は好きなのだろうなぁ、と思った次第。
具象的な描写と絵の具の質感やストロークの痕跡によってもたらされる抽象性とが絡まり合い、弾けるようなエネルギーを生み出しているようなペインティングです。


飯沼知寿子_13.JPG 飯沼知寿子_12.JPG 飯沼知寿子_11.JPG

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ダイナミックな筆致や画面に盛り上がる絵の具の塊などが生み出す迫力に大いに引き込まれます。随所に見つかってゆく画面の表情の面白味もバラエティに富み、それぞれがポジティブに勢いよく迫ってくるのが痛快に感じられます。


飯沼知寿子_09.JPG 飯沼知寿子_08.JPG 飯沼知寿子_07.JPG

飯沼知寿子_06.JPG



作品によって異なる抽象と具象の表情のバランスも楽しいです。


飯沼知寿子_05.JPG 飯沼知寿子_04.JPG 飯沼知寿子_03.JPG

飯沼知寿子_02.JPG



今後の展開も楽しみなクリエイションで、その描写がどういうふうに振れていくかも興味津々です!


飯沼知寿子_01.JPG



瓜生祐子展
neutron tokyo 3F Mini Gallery
東京都港区南青山2-17-14-3F
03-3402-3021
3/17(水)〜4/4(日)月休
11:00〜19:00(最終日:〜18:00)
瓜生祐子100317.jpg

淡い色調と鉛筆による線描とで描き上げられる壮大な情景。
曲線は地図の等高線を思い起こさせたりと、なんだかそのおおらかな空間へと誘われていくかのようです。
・・・と思いきや、


瓜生祐子_12.JPG 瓜生祐子_11.JPG

瓜生祐子_10.JPG



食べ物か!Σ( ̄口 ̄;)

初見のイメージと全然違って見えてくる!Σ( ̄口 ̄;)


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瓜生祐子_06.JPG 瓜生祐子_05.JPG 瓜生祐子_04.JPG 瓜生祐子_03.JPG

瓜生祐子_02.JPG



いやもうこのギャップが楽しいです。
山だと思っていたものが急に身近になる瞬間の脱力。やられました。。。

大きな画面の作品の大きく描かれることによって生み出されるスケール感も痛快、小品のかわいらしい感触も心地よく目に届けられます。


瓜生祐子_09.JPG

瓜生祐子_08.JPG



淡い色調で紡がれる世界観と意外なモチーフの採用が醸し出すユーモア。
もっといろんな展開で驚かせてほしいです。


瓜生祐子_01.JPG



Red String Akira the Hustler展
コミュニティセンターskta
東京都新宿区新宿2-15-13 第二中江ビル301
03-3226-8998
3/23(火)〜4/4(日)月休
16:00〜22:00
Akira the Hustler100323.jpg

六本木クロッシングで全編を観ることができたダムタイプの「S/N」、そこで受けた衝撃を忘れないうちに拝見したいと思っていた展覧会。
まず、展示の冒頭で掲示されていたテキストの繊細さにさまざまな想いがよぎります。
そして作品を拝見し、むしろそれぞれがナイーブで繊細に感じられました。より直接的に織り込まれるメッセージ性は押し付けがましさはなくて実に自然に感じられ、冒頭で読んだテキストから得た想いが静かに膨らんでいくような。

で、観終わって会場を出て、展示を拝見している最中に「S/N」のことを一切思い出さなかったことに気付いて何となく不思議に思った次第。
「我々は正しい!」ということを押し出し、声高にその主張を圧倒的な勢いで展示し続ける印象だった「S/N」と同様にゲイカルチャーもその題材の一部を担っている展示でしたが、やはり鑑賞後に残るのは「S/N」とはむしろ真逆と言ってもよさそうなほどにやわらかい感触だったのも印象的です。
posted by makuuchi at 14:23| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月09日

review:宮澤男爵 個展「宙吊り/ in mid air」《3/20、3/27》

review:宮澤男爵 個展「宙吊り/ in mid air」《3/20、3/27》mirror

宮澤男爵 個展「宙吊り/ in mid air」
東京画廊+BTAP
東京都中央区銀座8-10-5-7F
03-3571-1808
3/20(土)〜4/17(土)日月祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
宮澤男爵100320.jpg

Danshaku Miyazawa solo exhibition 'in mid air'
Tokyo Gallery+BTAP
8-10-5-7F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo
03-3571-1808
3/20(Sat)-4/17(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00(Sat:-17:00)
Google Translate(to English)



ふわりと儚げな雰囲気とは裏腹の、濃密/緻密なストローク。



東京画廊+BTAPでの宮澤男爵さんの個展です。

ギャラリーの入り口から展示を俯瞰して「あれ?」と。
前回の2人展ではギャラリーに台を設置し、壁の展示と併せてそこに平置きでたくさんの作品が展示されていたのでそのイメージを持って臨んだところ、あまりにも何もない感じに一瞬呆然とさせられた次第。
しかし、近づいてみると、大きな余白のなかに儚げな筆致を紡ぎ重ねて描かれる肖像は、水彩であればそのストロークの繊細さ、薄い気配感が、そして鉛筆による作品はむしろ凄まじいほどに緻密な筆致による描き込みの集積が、それぞれに独創的な緊張感を放ち、その世界観へと意識を引き込んでくれるように感じられます。

メインスペースに展示され、ギャラリーに入るとまず目に届けられるのが大判の作品。
紙という素材としての身近さが、そこに描かれる淡い気配を立ちのぼらせる肖像に、鑑賞する側との不思議な距離感をもたらします。
宮澤さんの作品に一貫してもたらされるふたつのドットは、絵の具をしみ込ませた筆先をちょこちょと紙に触れさせているだけのような、見ようによってはむしろ過剰に単調な作業の集積に生命の感触を灯します。そのストロークの集積には大まかなガイドラインはあるようですが、何だか拡散した要素がふわりと集まってきてひとつの像となっている・・・そんな想像も浮かんできたりして、その気配になんとも不思議な印象を覚えます。


宮澤男爵_25.JPG 宮澤男爵_24.JPG

宮澤男爵_23.JPG



画面にもたらされるストロークは、バリエーションに富んでいます。
すうっと弧を描くように、画面に走る水彩絵の具の線。その儚げなグラデーションも、目、鼻、口といった顔のパーツが描き加えられることでそこに、儚げな気配の存在が灯されます。
その顔のパーツの描き込みを凝視すると凄まじく緻密な描き込みが繰り出されていて、おおきな余白と強烈なコントラストを生み出しているように思えます。


宮澤男爵_22.JPG 宮澤男爵_21.JPG 宮澤男爵_20.JPG

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鉛筆による作品は、一見墨かなにかですうっと短く引かれたかのような描写が、すべて実に細やかなバブルで構成されていることに驚かされます。
無論、顔のパーツはそれ以上に緻密なバブルの凝縮で、大きな余白の淡い気配感とは裏腹に強烈なほどに濃密な存在感を放っています。


宮澤男爵_18.JPG 宮澤男爵_17.JPG

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奥の一角へと足を運ぶと一転して濃い色彩が迫ってきます。
さらに大胆なストローク、そのバリエーションも一気に広がり、さまざまな展開でそれぞれが強烈な存在感を奏でます。


宮澤男爵_13.JPG 宮澤男爵_12.JPG 宮澤男爵_11.JPG

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大判の紙に大きな余白での展開の作品が、空間的な余白もゆったりと保ちながら並べられていただけに、この一角の濃密な雰囲気はいっそう強烈に迫ってくるように感じられ、そしてそのスタンスに頼もしさ、痛快さすら覚えます。


宮澤男爵_09.JPG

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それでも細かい筆致を重ねた作品が並んだ壁面と向かいあう一角には、さらに濃い色彩が並びます。
今度は一転して余白を消し、紙全体が染め上げられた作品群。こうなると人物のフォルムなど消失されてしまうわけですが、それでも灯されるふたつドットはやはり「目」を観る者に意識させ、そこにこれまでのとた異なる気配が感じられるのも興味深いです。


宮澤男爵_05.JPG

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前回の展示で発表されたあぶり出しの作品から考えて、その変遷も興味深いです。
むしろ感覚的にやってみようと思ったアプローチが次々に行なわれ、そこからまた感覚的に納得がいくものが並べられたような印象もあり、また作品は手前からほぼ制作順に並べられているとのことで、その流れを経過を踏まえながら拝見したときに伝わる紆余曲折感も独特です。

まずはぜひ直にご覧戴き、余白と描き込みのギャップとそれが導き出す不思議な気配感を体感してほしいです。


宮澤男爵_01.JPG
posted by makuuchi at 06:52| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月08日

review:服部知佳展《3/27》

review:服部知佳展《3/27》mirror

服部知佳展
ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
03-3281-7808
3/27(土)〜4/10(土)日祝休
11:00〜18:30
服部知佳100327.jpg

Chika Hattori exhibition
Gallery Tsubaki
3-3-10-1F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo
3/27(Sat)-4/10(Sat) closed on Sunday and national holiday
11:00-18:30
Google Translate(to English)



ギャラリー椿での服部知佳さんの個展です。

明るさが抑えられた照明のなかで、豊かな色彩感と深く沈むような透明感をたたえるペインティングが空間を囲みます。絵肌の仕上がりの美しさも、その世界観にぐっと深みをもたらしているように感じられます。

やや低い位置に展示された、水中の情景を思い起こさせる作品。美しいグラデーションで表現される揺らめくような立体感、そして画面のなかに溢れる光の質感に引き込まれ、幻想的なイメージの中へと誘われます。


服部知佳_19.JPG



さらにダイナミックな陰影による表現が、より深遠な気配を導き出す作品も。
サンゴのようにも、または原生生物の一部のようにも思えるモチーフは、有機的なかたちが絡まるモチーフ自身があたかも光を放つかのような神々しい描写はそれ自体が美しく、やや抽象的な風合いを醸し出しながら、重厚感さえ感じられる濃い青にその存在を引き立てられているように思えます。


服部知佳_18.JPG 服部知佳_17.JPG 服部知佳_16.JPG

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植物などさまざまな主題が採用されつつも、より大胆になった印象がある構図のユニークさが、今まで以上の迫力をもたらしているように感じられます。
背景と主題との境界、モチーフの縁の部分の独特の臨場感。どこまでも続くような奥行きを生み出しながら、またどこかしらユーモラスな雰囲気も奏でつつ、画面いっぱいに描き上げられるモチーフの迫力がいっそうの力強さを増して迫ってきます。


服部知佳_14.JPG 服部知佳_13.JPG 服部知佳_12.JPG 服部知佳_11.JPG

服部知佳_10.JPG



カモメを描いた作品の爽快感も心地よく心の中を満たしていきます。
ふわりと画面のなかに広がっている、伸びやかでおおらかな情景のイメージ。羽ばたくカモメの優雅な姿に、そしてつぶらな瞳、無垢な表情にも惹かれます。


服部知佳_09.JPG 服部知佳_08.JPG 服部知佳_07.JPG

服部知佳_06.JPG



遊び心にも満ちる小品群も楽しいです。
華やかな色彩がそれぞれの画面に満ち、またふわりとした膨らむような雰囲気があたたかみも届けてくれるような気もしてきます。


服部知佳_05.JPG

服部知佳_04.JPG 服部知佳_03.JPG

服部知佳_02.JPG



今回は特に構図の面白さが魅力的な作品が多く展示されているように感じられます。
画面いっぱいにモチーフを描く作風はこれまでも多く展開されてきましたが、そのダイナミックさはより大胆になったような印象で、それによって観る者の意識をその幻想的な気配のなかへと引き込むような力強さがそれぞれの作品に今まで以上にもたらされているように思えます。


服部知佳_01.JPG
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2010年04月05日

review:榮水亜樹 Aki Eimizu Solo Exhibition《3/12、3/27、4/3》

review:榮水亜樹 Aki Eimizu Solo Exhibition《3/12、3/27、4/3》mirror

榮水亜樹 Aki Eimizu Solo Exhibition
MA2Gallery
東京都渋谷区恵比寿3-3-8
03-3444-1133
3/12(金)〜4/10(土)日月祝休
12:00〜19:00(Appointoment:19:00〜20:00)
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Aki Eimizu Solo Exhibition
MA2Gallery
3-3-8,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo
03-3444-1133
3/12(Fri)-4/10(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
Google Translate(to English)



淡くて儚くて、そして瑞々しい白のドットがもたらす繊細な響きに...



MA2Galleryでの榮水亜樹さんの個展です。

お馴染みの無数の小さくて白いドットによって描き出される、おおらかで清楚で、そしてほんのりとメランコリックな雰囲気を漂わせる独特の世界。これまでもさまざまなかたちでその独創的な空間が導き出されてきましたが、今回はそこにさらに新たなテクスチャーやアプローチが織り込まれて情景の質感が多彩になる一方で、これまでゆっくりこつこつと紡ぎ上げられた物語性はしっかりと保たれて、その世界観により豊かな広がりがもたらされているように思えます。

何ていうか、榮水さんが紡ぎ上げる世界は、何となく感覚的かつ直感的に「さわってはいけないもの」のような風合いで、見守りたい繊細さが満ちているように思えます。
それにふれる時の緊張感とふれて大丈夫だった時の安堵感。その両方が同時に沸き起こって、静かに心の中で響くような...そんな印象が浮かんできます。
ちいさな感動。その積み重ねや連なりが、さらに榮水さんの紡ぐ世界へと引き込んでいくんです。
決して強くて力で迫るような絵/世界ではないのだけど、だから作品の中に収められた世界は細やかな筆致による要素の多さとは裏腹にまったく饒舌ではなくて、でもしっかりと心を包み込んで、その繊細な気配へと感覚を誘ってくれるように思えるんです。


今回の榮水さんの作品には、さまざまな「層」が生み出されています。
樹脂によって画面にもたらされる透明で微妙な厚み。その僅かな厚みの表側と閉じ込められた側とに描き込まれる異なるパターンやトーンが、実に豊かな奥行き感と浮遊感を導き出しているように思えます。


榮水亜樹_31.JPG 榮水亜樹_30.JPG 榮水亜樹_29.JPG

榮水亜樹_28.JPG


榮水亜樹_27.JPG 榮水亜樹_26.JPG 榮水亜樹_25.JPG 榮水亜樹_24.JPG

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支持体に洋紙をシンプルに用いた大きな作品も。
紙の白と絵の具の白との色調の微妙な差異が、繊細で軽やかな気配を導き出します。


榮水亜樹_22.JPG 榮水亜樹_21.JPG 榮水亜樹_20.JPG

榮水亜樹_19.JPG



仄かなベージュ系の作品でほぼ統一される1階から2階へ。
こちらでは、これまでの榮水さんの作品では見受けられなかった春めいた色調が用いられた作品が展示され、新鮮な印象がもたらされます。
薄い黄色と緑が淡い白のドットの奥にふわりと広がる作品。どちらかというと榮水さんの描く世界には淋しげな気配が漂っている印象があるのですが、それらとはひと味違うあたたかみ、ポジティブなイメージが思い浮かんできます。


榮水亜樹_18.JPG 榮水亜樹_17.JPG 榮水亜樹_16.JPG

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その向かいに展示されている作品も、そこに用いられる色彩が印象的です。
細やかなドットの装飾的な連なりが幾重にも重なる様子は榮水さんらしさが伝わり、そのメッシュ地の画面の奥にしっとりと広がる大人びたトーンと有機的なドットの群れがなんとも言えない不思議で独特な、鬱蒼とした気配が。そしてそれらに絡まるようにうっすらとピンク色の色彩が放たれています。


榮水亜樹_14.JPG 榮水亜樹_13.JPG 榮水亜樹_12.JPG 榮水亜樹_11.JPG 榮水亜樹_10.JPG

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他、小品も随所に。


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立体作品も数点。空間にアクセントをもたらします。


榮水亜樹_06.JPG



びっしりと小さな白いドットに覆われるさまざまなものは、たったそれだけで爽やかな妖しさを立ちのぼらせます。


榮水亜樹_05.JPG

榮水亜樹_04.JPG



ひときわ目を凝らしてしまうのが、さまざまなパターンでびっしりと白いドットが描き込まれたちいさなノート。ライフワーク的に各ページに描き込みがなされているようで、棚の上に置かれてあたたかい緊張感を奏でているように感じられます。


榮水亜樹_03.JPG

榮水亜樹_02.JPG



淡々と紡がれる情景、その仄かに淋しげでやさしさにも満ちた繊細な気配に大いに惹かれます。
そして、抽象性の高い世界であっても、白のドットが描き出すかたちや連なりはキャッチーで分かりやすくて、やわらかくイメージを包み込んできます。

日中は自然光が降り注ぐこの空間、早い時間と遅い時間とでその雰囲気にも大きな変化がもたらされるのも楽しく感じられます。明るい時間帯だと爽やかさ、軽やかさが画面から空間へとより強く引き出され、また遅い時間では照明の明かりに照らされてしっとりとした気配が漂います。その表情の違いを体感すると、イメージの奥行きもいっそう豊かになるように思われます。

画面に近づいてその緻密な描き込みとそれらが導き出す豊かな関係性、または俯瞰しておおらかな気配に包み込まれるような心地よさなど、それぞれの接し方で届けられるイメージとその広がりが嬉しい展覧会です。


榮水亜樹_01.JPG
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2010年04月03日

review:秋吉風人「口説き文句は持ってない」《3/20》

review:秋吉風人「口説き文句は持ってない」《3/20》mirror

秋吉風人「口説き文句は持ってない」
TARO NASU
東京都千代田区東神田1-2-11
03-5856-5713
3/13(土)〜4/3(土)日月祝休
11:00〜19:00

Futo Akiyoshi "I have no pick-up lines"
TARO NASU
1-2-11,Higashi-Kanda, Chiyoda-ku, Tokyo
3/13(Sat)-4/3(Sat) closed on Suncay,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google Translate(to English)



なぜ、こういう「絵画」が描かれるのだろう、という思いに至ります。そして、そこからいろんな想像が膨らみ、加速し、深まっていくように思えます。


TARO NASUでの秋吉風人さんの個展です。


初めて秋吉さんの作品を拝見したのはまだ六本木にあった頃のTARO NASU GALLERYでの個展で、そのときに発表されていた「脚」をモチーフとしたペインティングでした。現在の秋吉さん作品に対しての感じているのとは異質の、今思えば敢えて言うと「分かろうとしない」レベルでの「なぜ」だったように思えるのですが(今は無論、むしろあらためてしっかり「観たい」です)、その印象が強かったこともあり、最初に今回の金色の作品を目にしたときは正直なところ大いに戸惑った次第で。

比較的コンパクトなサイズのキャンバスのなかに収められた空間。
微妙な差異の濃淡の金色が数種類ひとつの画面に組み込まれ、またそれぞれのかたちはマスキングによってシャープな輪郭がもたらされ、ぱっと目にした瞬間にシンプルに空間のイメージを意識が捉えます。

そしてその小さなキャンバスは、広い壁面にも濃く作用しているようにも思えます。キャンバスの木枠の厚みの分だけ壁面から迫り出た画面内の空間は、画面の外側にそのまま広がっていくような連想も浮かんでくるし、一方で実際の空間から伝わり、身体的に捉えている現実の3次元のパースとの衝突も興味深く思えたりします。


秋吉風人_15.JPG



さらにこの作品を拝見していて感じるのは、「絵画」としての圧倒的な美しさ。
金色という直感的に思い浮かぶ最高級の色調が用いられていることに加え、伺うと何度も絵の具を塗り重ねることでもたらされる画面の高質/硬質な平滑性、キャンバス側面の処理の隙のなさなど、「もの」としての美しさが、そこで表現されている極めてシンプルなイメージをよりスムーズに届けてくるように思えるんです。


秋吉風人_14.JPG



また、空間を画面に描くにあたってなぜ金色を採用したのかを秋吉さんにお尋ねしたところ、(やや僕の解釈が入っているかもしれないのでその辺りはご容赦いただきたいのですが)描く空間に何もない、何も存在していない状況を表現し、かつ鑑賞者にそこに何かがあることを連想させないためにもっとも適した色彩が金色だったとのことで。
そのお話を伺って、確かにもしこの空間が白で描かれていたらおそらくそこに何か違う要素を連想したかも、と容易に連想できたり、また他の赤や青などの色調であったならばその色がもたらすイメージに引きずられ、さらに黒であればむしろ「何もない」ことが過剰に強調されるか、あるいは黒というもっとも暗い色調によって何かが隠されているような想像をもたらすだろうなぁ、と。

ただ、金色こそもっとも何かを連想させる色調であるとも思えるのも事実で、しかし今回のこの一連の作品群から伝わるのが、確かに目にしたままの「空間」であることにあらためて感じ入る次第です。


国立国際美術館での「絵画の庭」における秋吉さんの展示スペースを再構成したかのようなインスタレーションも興味深いです(実際は展示されるキャンバスの数も、また組み作品の構成も異なっています)。そのでデジャヴ感がもたらすイメージの広がりもまた愉しく思えます。そして、展示された作品同士がひとつの空間としての機能も果たしているのと同時に、ひとつひとつの画面との対峙、それも至近から俯瞰までさまざまな距離での鑑賞で得られるさまざまな、静かな刺激にも引き込まれます。相当に無機質でありながら、画面内の「何もない」部屋に漂う不思議な気配。凄まじくミニマムな表現と巧みな空間構成によってもたらされるストイックなリズム感に誘われ、そこから届けられる重厚さに得難い刺激を受けます。


秋吉風人_13.JPG



奥のスペース、その入り口のから続く壁面には長い棚が設置され、そこにはずらりとポラロイド写真が並んで置かれます。
一部が塗装された角材やカラーテープなどを組み合わせて画面内でさまざまなコンストラクションが展開されていて、用いられる要素の数の増減や際どいバランスで積み上げられた構造などを経て、あたかも画面のなかのものが組み体操を展開していくかのようにリズミカルに構造が変化していくイメージが面白く感じられます。
そして、ポラロイド写真で記録されていることも合わせ、展開の即興性が前面に押し出されている感触にも惹かれます。そこに用意されたものでどんどんとイメージを構築していき、記録していく感じに敢えて感情を無機的なものへと落とし込もうとしているような雰囲気、行動内容をシンプルに削ぐことで、イメー時とそこから表出されるものとの距離を短く,近くしようとしているように、また延々と続けることでその純度を上げようとしているように感じられるのも興味深いです。


秋吉風人_12.JPG 秋吉風人_11.JPG 秋吉風人_10.JPG 秋吉風人_09.JPG

秋吉風人_08.JPG



さらに、木枠に張られたキャンバスの表裏と側面含めた全面をひとつの色彩で塗りたくった作品が。


秋吉風人_07.JPG

秋吉風人_06.JPG



三角形の小さな棚に立て掛けられた作品は、絵画性も醸し出しつつ、またこちらでも行為そのものを提示しているようにも思えます。
キャンバスに油彩、というオーソドックスな制作提示、それに対してその範疇を超えず、しかしあからさまなオーバーワークからは、ユーモラスさよりもストイックでシリアスなスタンスのほうが痛切に伝わってくるように思えます(もっともユーモアを感じるのが展覧会のタイトルだったりするのも興味深いです)。
加えて、キャンバスと油絵の具が持つ強靭さと美しさにも、この作品の状況であっても感じられるのが興味深いです。


秋吉風人_05.JPG 秋吉風人_04.JPG 秋吉風人_03.JPG

秋吉風人_02.JPG



今回の秋吉さんの3種類の展開を同一空間で拝見して、それぞれの作品が「作品」としての体を成すまでの行程の差異にも興味を覚えます。
それぞれに提示されるクリエイションこそ、想像するに相当に直感的に思えるのですが、行程を減らしたポラロイド写真の作品がもっともそこに詰め込まれている要素が多く、逆に何時間にも渡ってひたすら絵の具を塗り重ねる金色の絵画が、そこへ想像上の要素介入も許さないほどに何もない状況を導き出していたりと、なんとも不思議な気分が広がってきます。
もちろんそれぞれを単体で拝見すると、まさに「絵画の庭」での展示が感じたのがそうであったように、それはそれでそれぞれが持つ強度が迫ってくるようにも思えます。

秋吉さんのライフワーク的な活動で、さまざまなアーティストの制作風景をそれぞれが写真に収めたものを掲載しているサイト「Always Moving」があり、こちらの活動も合わせて考えると、それぞれの制作の「過程」・・・どう作っているか、ということではなくて、それぞれの作品にはかけられた時間があるという事実・・・も秋吉さんにとっては大事な要素のひとつなのかも、とも思えてきます。

これからどんなクリエイションが展開されるかも楽しみです。
あわせて、足を描いたペインティングのような作品もあらためて今、ぜひ拝見してみたいです。


秋吉風人_01.JPG
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2010年04月01日

review:福田真規 "一瞬、時がとまった"《3/19、3/27》

review:福田真規 "一瞬、時がとまった"《3/19、3/27》mirror

福田真規 "一瞬、時がとまった"
YOKOI FINE ART
東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F
03-6276-0603
3/19(金)〜4/3(土)日月祝休
11:00〜19:00
福田真規100319.jpg

Maki Fukuda  "in a moment, time stopped"
YOKOI FINE ART
1-4-3-6F,Higashi^Azabu,Minato-ku,Tokyo
03-6276-0603
3/19(Fri)-4/3(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google Translate(to English)



YOKOI FINE ARTでの福田真規さんの個展です。


格調高い静謐が空間にしっとりと漂います。
やや無彩色に傾いた色彩感で、暗い室内を描いた油彩画。ていねいな描写で微妙な陰影が紡ぎ出され、しっとりとした雰囲気が導き出されているように感じられます。


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作品から醸し出される雰囲気にもおおいに惹かれます。
多くの作品に登場する木調の椅子。誰もいない部屋に佇むように置かれる椅子は、その向きや窓からわずかに射し込む陽光がもたらす影などにより「いつか、誰かがそこに椅子を置いた」という、実に単調に事実だけを伝えながらもそこにさまざまな想いが過っていくような物語性が、静かに奏でられているように感じられます。


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絵画を観る充実感にじっくりと浸れるのも嬉しいです。
艶やかに仕上げられた画面、そのなかにはひとつひとつのモチーフの、その場所にもたらす強い主張も隠れるような遠慮もない淡々とした存在感を丁寧に捉え、緻密な描写で描き上げられ、具象画としての説得力がゆっくりと静かに迫ってくるようにも思えます。また、モチーフの僅かにぼやけた輪郭が絵の世界にやわらかさをもたらし、さらに巧みなグラデーションとの調和の絶妙さがこの場所のなかにある光の表情と影の深みを表出。それによって醸し出されるしっとりと横たわる豊かな気配にも引き込まれます。


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空間構成の巧みさにもゆっくりと感嘆させられます。
それぞれの作品が壁面にしっかりと作用し、そこに掛けられる絵がたとえ小さくてもそこから絵の外側へとイメージが広がっていくように感じられるのも印象的で愉しく、心地よく感じられます。


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描かれる情景には、おそらく画面に収まっていない場所にも人はいないのだろう、という想像ももたらされます。しかし、そこに誰かが「いた」感じ・・・それはどれくらい前のことかは分からないのですが、「分からない」ことは大きなことではなく・・・はしっかりとイメージできて、その人の気配の残り香がここで紡がれゆく世界の深みの本質のようにも思えます。
時間を忘れて対峙し、底から広がるイメージに浸っていたい作品群、そして空間です。


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posted by makuuchi at 07:28| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする