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ex-chamber museum
http://ex-chamber.seesaa.net
〒101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 205a
MORITAKAとシェア)(google map
tel: 070-5567-1513
mail: exchamber@yahoo.co.jp
インフォメーション

ex-chamber museum
3331 Arts Chiyoda 205a, 6-11-14, Soto-Kanda, Chiyoda-ku, Tokyo, Japan
(sharing the space with MORITAKA)(google map
mail: exchamber@yahoo.co.jp
information

artists
伊藤航 Wataru Ito
小野川直樹 Naoki Onogawa
佐藤明日香 Asuka Satow
勢藤明紗子 Asako Setoh
田島大介 Daisuke Tajima
鶴友那 Yuna Tsuru
照井譲 Yuzuru Terui
平山紗代  Sayo Hirayama
山口英紀 Hidenori Yamaguchi

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2010年02月27日

review:"TALES FROM THE LIMEN" ROBERT PLATT SOLO EXHIBITION《2/14》

review:"TALES FROM THE LIMEN" ROBERT PLATT SOLO EXHIBITION《2/14》mirror

"TALES FROM THE LIMEN" ROBERT PLATT SOLO EXHIBITION
eN arts
京都府京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側
075-525-2355
2/5(金)〜2/28(日)金土日のみ(その他の曜日は事前予約制)
12:00〜18:00
Robert Platt 100205.jpg

"TALES FROM THE LIMEN" ROBERT PLATT SOLO EXHIBITION
eN arts
627,Gion-kitagawa,Higasiyama-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu
075-525-2355
2/5(Fri)-2/28(Sun) only Friday to Sunday (appintment only on anather days)
12:00-18:00
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時空を貫き、アブストラクトな気配が深化する。



eN artsでのロバート・プラットさんの個展です。
昨年のmuzzでの個展も印象的で、そのときは方形の空間に自身のペインティングを配し、階上のコンパクトなスペースには薄いベージュの壁画が施された壁面にさまざまなアーティストの小品を配する贅沢な展示だったのですが、今回は完全にソロであることに加え、eN artsの複雑な空間が備える動線も巧みに活かされ、力強く濃密、重厚なインスタレーションが構築されています。

まずエントランスの壁面に描かれた壁画。
まさにここからその世界へと誘うといった感触に、気持ちに緊張感がもたらされます。
muzzでの壁画が優しい色調であったこともあり、この黒の強さが,世界観をいっそう重々しく届けているようにも思えます。


ROBERT PLATT 18.JPG



そこから中へと入ると、立て続けに壁画が眼前に聳え、刹那圧倒されます。
今回の壁画のモチーフは世界最古の挿絵とのことで、そのまま拡大されたかのような黒い線は太さとその分の迫力を増し、また宗教画だろうと想像するその絵からは中世的な古めかしくも荘厳な気配を醸し出し、そして相当にアバンギャルトな場面が引き出されていることもあって、この雰囲気に否応なく呑み込まれます。


ROBERT PLATT 17.JPG



そして最奥の壁面にも広大な壁画が。
このスケールで展開されればその臨場感は無論格別で、まさにこの情景へと誘われた感触に満たされます。さらに色を帯びるペインティングとモノクロの壁画とのコントラストが、そこに横たわる時代性や場所のイメージに混沌をもたらすようにも思えます。


ROBERT PLATT 16.JPG



そのペインティング。
円形と方形の画面の作品が配され、初めて拝見したロバートさんの作品を思い返して比較すると、その色調はややレイドバックしたような感触を帯び、古めかしい風合いが醸し出され、また名刺代わりと言っても良かった木目のモチーフも目に見えて減少(もしかしたら今回の個展で発表されている作品には登場していないかもしれないです)、しかし画面に施されるストロークは緻密さを増し、鬱蒼とした雰囲気とダイナミックな縮尺の解釈、それらによって放たれ凄まじく複雑に交錯するパルスに翻弄されます。


ROBERT PLATT 15.JPG ROBERT PLATT 14.JPG ROBERT PLATT 13.JPG ROBERT PLATT 12.JPG

ROBERT PLATT 11.JPG



髭を蓄えた男が馬に跨がる場面。
画面には無数の色面が配され、有機的なかたちとともに、そのなかに緻密なグラデーションを備えるちいさな方形も無数に散らばっています。
このシーンのモチーフとなった時代性と全体に広がる渋めの色調、それは裏腹な要素としてと鮮やかな色彩の四角形の乱舞がフューチャリスティックな雰囲気を放し、時空的な現在位置を曖昧にさせ、それによりひとつのところにイメージを留まらせない動的な面白さをももたらしているように思えます。


ROBERT PLATT 10.JPG ROBERT PLATT 09.JPG ROBERT PLATT 08.JPG ROBERT PLATT 07.JPG

ROBERT PLATT 06.JPG



方形の画面の作品も、展示空間の絶妙な位置に配され、全体の流れの中のアクセントとして機能。空間のユニークな構造でもとより壁面数も多いこのスペースを、実に巧みなバランス感覚と大胆な構成で隙なく活かし切っているのも頼もしく感じられます。
そして、比較的抽象度の高い情景であっても、そう遠くない具象的なイメージで捉えられるのも興味深く感じられます。


ROBERT PLATT 05.JPG

ROBERT PLATT 04.JPG



eN artsといえば、階下のブラックキューブ。
こちらで展開されているインスタレーションが白眉で。
真っ暗な空間に足を踏み入れると刹那、明かりが灯り、正面の壁面に揺らめくシルエット、そしてあたかも満月のように浮かび上がる円形のペインティング、流れるフリーインプロビゼーションミュージックもその気配を深め、濃密で妖しく、しかし儚い気配はむしろ澄んだ印象の世界が導き出されています。


ROBERT PLATT 03.JPG



回転するジオラマのイージーな造りもかえって殺伐とした雰囲気を色濃くさせているように思え、それが白い照明に照らされて黒い壁面に黒のシルエットを揺らめかせている様子の戦慄さえ走りそうなスリル。シンプルな構造で充分に圧倒的な異空間が創出されていて、そこにしばらくいると時間の感覚がなくなっていくような錯覚さえ沸き起こってきます。


ROBERT PLATT 02.JPG



実に濃密な空間です。
さまざまな要素が、実験的なアプローチもふんだんに織り交ぜながらここに収められ、随所からアブストラクトな風合いが立ちのぼり、それでいて高貴な気配、確固たる確信に支えられた深遠な雰囲気が横たわっているように感じられた次第です。

ひとつひとつの壁面と画面と対峙していって脳内で紡がれゆく物語も時間とともに厚みと深みを増していきます。
危うさや荒廃した淋しさなども時おりそのストーリーのなかに現れ交わって、一貫したクールネスと圧巻の臨場感によって得難いイメージを体感できたことが嬉しく思えます。


ROBERT PLATT 01.JPG
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review:鬼頭健吾 新作展 color colour《2/13》

review:鬼頭健吾 新作展 color colour《2/13》mirror

鬼頭健吾 新作展 color colour
Kenji Taki Gallery
愛知県名古屋市中区栄3-20-25
052-264-7747
1/23(土)〜2/27(土)日月祝休
11:00〜13:00、14:00〜18:00
鬼頭健吾100123.jpg

Kengo Kito color colour
KENJI TAKI GALLERY
3-20-25,Sakae,Naka-ku,Nagoya-shi,Aichi-ken
052-264-7747
1/23(Sat)-2/27(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-13:00,14:00-18:00
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Kenji Taki Galleryでの鬼頭健吾さんの個展です。

1階で展開されているインスタレーション。
天井が高い空感全体を金色のシートで覆い、天井からは無数の赤いリボンが吊り下げられ、中央には蛍光灯を使用し星形を模した巨大なオブジェ。また床に板や鏡面を配し、ヴィヴィッドな空間がつくり出されています。


鬼頭健吾 21.JPG



実際にこの場にいると、そこにある要素が目に付き、下がるリボンに触れたり踏んだりしてやや鬱陶しくも感じたりするのですが、観終わってからの残像感が鮮烈で。
金色のシートに映り込み、ブリリアンントさと妖しさを増す空間。床に置かれる鏡面がその全体を下方へと反転させ、そこにどっしりと浮遊する巨大なスターマーク。ただでさえゆったりとした容積はイメージのなかでさらに膨張し、凄まじく壮大な空間にいたような錯覚が記憶として強く残っています。


鬼頭健吾 20.JPG 鬼頭健吾 19.JPG 鬼頭健吾 18.JPG

鬼頭健吾 17.JPG



その空間をくぐると今度は、お馴染みの金色のラメを用い、複数の色彩の線が交錯する平面作品が。


鬼頭健吾 16.JPG

鬼頭健吾 15.JPG



相当に抽象的な世界でありながら、おそらく今回の作品からだと思うのですが、画面奥にグラフィカルなパターンが描き込まれていることで、ぐっと「引き」の要素が加えられ、ダイナミックな情景が導き出されているように感じられた次第。
うようよとうねり、複雑に交錯する有機的な線の軌跡へも作用し、その塊が球体など三次元的なイメージを想起させてくれます。


鬼頭健吾 14.JPG 鬼頭健吾 13.JPG 鬼頭健吾 12.JPG 鬼頭健吾 11.JPG

鬼頭健吾 10.JPG



2階にはさまざまな作品が配されています。
天井から連なる金色のミラーボール、赤いメタリックカラーに覆われたポール、表裏が木目と鏡面とになっているパネルが組み上げられたものと、それぞれイメージを実世界へと落とし込んだようなものが並び、どこかコミカルさを漂わせつつ、全ての作品において共通する「光りもの」的な要素が興味深く思えたり。
光る要素が入る色彩の採用が、作品それぞれから放たれるインパクトを高め、その辺りに意図があるように思われます。


鬼頭健吾 09.JPG



金色のラメを用いたもの以前に展開されていた平面作品も。
奥の鏡面の銀色の煌めきと、その上に乗るパステルカラーのラインの盛り上がりがひときわポップな雰囲気を醸し出しているように感じられます。


鬼頭健吾 08.JPG 鬼頭健吾 07.JPG

鬼頭健吾 06.JPG



その奥の空間。
赤の巨大な平面作品が堂々と展示されていて、そのどっしりとした佇まいに圧倒された次第。


鬼頭健吾 05.JPG



赤いラメがびっしりと画面を覆い、赤のラインが有機的な軌跡を残しながら広大な画面を這う...。色味として、そして画材の質感としてさまざまなテイストの赤が重ねられ、至近で眺めるとそのコントラストがミニマムな奥行き感を導き出し、それに視界が覆いつくされて意識がぐっと引き込まれます。
いかにも、という鬼頭さんらしさを思い起こさせる展開を力強く保ちつつ、このサイズで提示されることで、絵画を観ている充実感に浸れたのも濃く印象に残っています。


鬼頭健吾 04.JPG 鬼頭健吾 03.JPG 鬼頭健吾 02.JPG

鬼頭健吾 01.JPG



今回の個展を拝見して、ヴィジュアルイメージがもっとも優先されているような印象を受けた次第です。
1階のインスタレーションの濃厚な残像感、2階に展示された一連の立体作品の色彩のインパクトと、観賞後に思い返したときにまず画像としてのブリリアントさが浮かんでくるのが大変興味深く感じられます。
そして、この点においては人によって差異があるように思うのですが、個人的にはこれらの作品については鬼頭さんの「手」に拘らず、その壮大なイメージの再現の精度を上げるべく、エキスパートを揃え、チームで制作されるのも面白いような気がします。
一方、平面作品は、描き手の行為の積み重ねによって提示される味わいに接することができることが嬉しく感じられます。色面に線が乗る極めてシンプルな展開でありながら、サイズやアイデアの変化により、さらに壮大なイメージが届けられ、そこに圧倒されるのが痛快です。
posted by makuuchi at 07:59| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月26日

review:NEGAM! 2ND EXHIBITION ザギンでシースーを《2/6、2/20》

review:NEGAM! 2ND EXHIBITION ザギンでシースーを《2/6、2/20》mirror

NEGAM! 2ND EXHIBITION ザギンでシースーを
CASHI
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F
03-5825-4703
2/5(金)〜2/27(土)日月祝休
11:00〜19:00
根上恭美子100205.jpg

NEGAM! 2ND EXHIBITION "Sushi at ZAGIN -Breakfast at Tiffany's-"
CASHI
2-5-18-1F,Nihonbashi-bakuro-cho,Chuo-ku,Tokyo
2/5(Fri)-2/27(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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・・・・・。

ザギンて。



・・・・・。

ザギンでシースーて。



・・・いや、大目に見よう。
ギョーカイっぽい言葉遊びということでスルーしておこうかと。


・・・・・。





にしてもヒドくないか!?Σ( ̄口 ̄;)
(あくまで良い意味で)(どんな意味だよ)

もとい、CASHIでの根上恭美子さんの個展。これまでも作品やインスタレーションを拝見していて観る度にヤリスギ感ムチャクチャ感が強くなっているような気がしますがさておき、

今回はちいさな作品が中心で一見して地味ですけど結構凄みを増しているような気がします。
いや、気のせいじゃないと思います。


まず杖。
パララ〜ラララ〜ラ〜ってイントロが聴こえてきそうなこの情景、しかし演じる楽器はチャルメラだったりするような間の抜けた感じ、でもなんでこんなに緊張感。

その映画は見てないけど判るから悔しい!Σ( ̄口 ̄;)


根上恭美子 15.JPG

根上恭美子 14.JPG



杖がさらに。
こちらは説明致しませんが。



ていうか出来るか!Σ( ̄口 ̄;)


根上恭美子 13.JPG 根上恭美子 12.JPG

根上恭美子 11.JPG



逆にこの辺りのシチュエーションがおとなしく見えるから不思議だったり。
いや、これはこれで相当にヒドいんですけど...。


根上恭美子 10.JPG

根上恭美子 09.JPG



かなりツボに入ったのがこちら。
世代的に志村後ろ(以下略)を思い浮かべるんですけど、まあ無茶な。
ピンク色のチュチュが妙に太くて、
なのに白鳥、
ぜんぜん優雅な印象はないんですけど、
ていうか頭頂部のは何だよ一体!?Σ( ̄口 ̄;)


根上恭美子 08.JPG

根上恭美子 07.JPG



そして貼られる写真が。


根上恭美子 06.JPG


こっちの映画も観てないけど!Σ( ̄口 ̄;)

観てないけど判るのがまた!Σ( ̄口 ̄;)



えーと、もといもとい。
今回のメインと思しき作品に絶句。


根上恭美子 05.JPG 根上恭美子 04.JPG

根上恭美子 03.JPG



映像観てさらに絶句。
これがとにかく壮絶で。
さまざまな場所に出没し、
それはもうやりたい放題で。
そして周りの人たちの反応も、
驚く人笑う人惚ける人呆れる人、
当然のように写真を取る人も出て、
挙げ句の果てには追う人までも現れ、

あー。よくやるなぁ、と思わず素で感心してしまいます。


根上恭美子 02.JPG



遊び心に溢れているとひとことで言い切ってしまえないほどに大胆で、それが今回もさらに加速、膨張しているさま痛快極まりなく。
加えてフォルム、人物の表情からさまざまなモチーフの仕上がりに至るまで、根上さんらしさは充分に保たれていて、そこに嬉しさを感じます。

究極的な下らなさがとにかく堪らないです!
とりあえずは怪我しないように気を付けていただきつつ、またほんのり「大概にしときましょーね」とも老婆心も浮かばせながら、今後の展開へもやっぱり期待が高まってしまいます。


根上恭美子 01.JPG
posted by makuuchi at 15:57| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月25日

review:永山真策展「portrait」《2/6、2/20》

review:永山真策展「portrait」《2/6、2/20》mirror

永山真策展「portrait」
GALLERY MoMo Ryogoku
東京都墨田区亀沢1-7-15
03-3621-6813
2/6(土)〜2/27(土)日月祝休
11:00〜19:00
永山真策100206.jpg

Shinsaku Nagayama "portrait"
GALLERY MoMo Ryogoku
1-7-15,Kamezawa,Sumida-ku,Tokyo
03-3621-6813
2/6(Sat)-2/27(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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GALLERY MoMo Ryogokuでの永山真策さんの個展です。
昨年はswitch pointで個展を拝見していてその独特の洗練された色香に触れられたことが印象に残っているのですが、今回は白い壁面の空間での展示とあって、その澄んだ気配感がさらに前面に押し出されて伝わってくるように感じられます。

入り口からの眺め、モノトーンの作品が奥の壁面まで並ぶ情景は壮観です。
白い壁に浮かぶ黒の影、その濃淡が導き出す深みは、たおやかに静謐の気配を醸し出しているように感じられます。


永山真策 12.JPG



ひとつの画面に描かれるひとりの女性。高い写実性で紡ぎ出される深遠な気配。
展示されているすべての作品に共通しているのですが、たとえ身体が正面を向いていても頭髪などで顔が隠され、その表情を直に伺うことができず...。しかしそれがここに登場する女性が想う何かへのイメージを押し広げてくれます。


永山真策 11.JPG 永山真策 10.JPG 永山真策 09.JPG

永山真策 08.JPG



ていねいに描写されるうなじがから醸し出される色香にも惹かれます。
一貫して保たれる匿名性。しかしわずかにかしげられる首、淡々とした気配を漂わせる背中、結われる頭髪など、言葉を発しない微妙な仕草や佇まいから想像されるさまざまな情景をそこに重ねていきます。そしてそれぞれの場面のスリリングな感触をいっそう深めているようにも思えてきます。


永山真策 07.JPG

永山真策 06.JPG



奥のスペースには、同一の構図の作品が。


永山真策 05.JPG



3名の女性の姿がそれぞれの画面に丁寧に描かれています。
色違いの服の柄と微妙な髪型の違いが、この3つの作品における統一感のなかでの細かい差異への興味を盛り上げてくれます。


永山真策 04.JPG 永山真策 03.JPG

永山真策 02.JPG



一貫する匿名性が醸し出すスリリングな気配におおいに惹き込まれます。
具象表現としてのレベルの高さが背景に広がる色彩のフラットさと相まって、引き締まった画面をつくり出し、そこにもたらされる緊張感も印象的です。


永山真策 01.JPG
posted by makuuchi at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月24日

review:烏丸由美個展「ぼくたちの東京ストーリーズ。」《1/23、2/3、2/7》

review:烏丸由美個展「ぼくたちの東京ストーリーズ。」《1/23、2/3、2/7》mirror

烏丸由美個展「ぼくたちの東京ストーリーズ。」
ミヅマ・アクション
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F
03-3793-7931
1/27(水)〜2/27(土)日月祝休(2/7開廊)
11:00〜19:00
烏丸由美100127.jpg

KARASUMARU Yumi Exhibition"It's Our Tokyo Stories."
MIZUMA ACTION
1-3-9-5F,Kami-meguro,Meguro-ku,Tokyo
1/27 (Wed)-2/27(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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ミヅマ・アクションでの烏丸由美さんの個展です。
前回、2006年の個展でもシャープな線とカラフルな色彩で現代の日本の都市の表情を引き出した作品の密度とダイナミズムに強いインパクトを覚えたのですが、今回は大きく捉えられる都市風景は、輪郭線の表出が抑えられたような印象で(もし前回の個展で発表された作品をあらためて拝見したら異なる印象を持つかもしれないのですが)、直接、色面同士が接し、またおよそひとつの作品においてほぼ統一感のある色彩で構成されていることもあり、描かれる風景全体のグラデーションに落ち着きがもたらされているように感じられたるのが興味深く思えます。


烏丸由美 24.JPG 烏丸由美 23.JPG 烏丸由美 22.JPG 烏丸由美 21.JPG 烏丸由美 20.JPG

烏丸由美 19.JPG



繰り広げられる仕事のイメージと比較すると相当に穏やかに広がる情景。その静かな感触が、オーバーラップして精緻な線で描き込まれる都市風景やぬいぐるみなどのモチーフの存在感を際立たせているように思えます。
ある程度の距離を置いて作品を眺めるとほぼ全体の風景を認識するに留まり、細かい色面の連なりが放つ凄まじいパルスと丁寧に表出される奥行き感、そして青い画面のなかの赤や紫、赤い絵の中の紺色など、部分的にアクセントがもたらされつつも全体的に保たれるおおらかさに浸り、そこから至近で眺めたときに唐突に目が捉え始める黒い線描のミニマムな面白さ、無秩序な縮尺感によって生み出される複雑な展開や関係性などにも引き込まれます。


烏丸由美 18.JPG 烏丸由美 17.JPG 烏丸由美 16.JPG 烏丸由美 15.JPG

烏丸由美 14.JPG



日本の都市風景が描かれた小品も多く展示されています。


烏丸由美 13.JPG



大胆な解釈でもたらされる色彩、その情景から引き出される輪郭線の面白さが痛快です。
知っている場所であればなおさらに、その作品からイメージが膨らみ、広がっていきます。加えてこれだけポップな色が用いられ、現実とは異なる雰囲気が現されていながらも、むしろそのこと自体がこのなかに収められる色や線への好奇心を高めてくれているようにも思えます。


烏丸由美 12.JPG 烏丸由美 11.JPG

烏丸由美 10.JPG



奥のスペースには目の大きな人形がモチーフとなった作品がずらりと。


烏丸由美 09.JPG



線や色の展開の面白さがさらに深まっているように感じられます。
奇妙な波形で画面を這う無数の線、それらが導き出す色面とモチーフの輪郭、奥行き。モチーフ自体が大きいこともあり、ひとつひとつの色面のかたちがより複雑になっているようにも思えます。
プロジェクターで映し出された画像の輪郭をトレースするという手法で描くのを基本としつつ、どの輪郭を引き出すかというのとは別のインスピレーションで、あらたに描き加えられた線もあるように思えて、この複雑な情景が出来上がる過程が見えるようなスリリングな面白さにも引き込まれます。


烏丸由美 08.JPG 烏丸由美 07.JPG 烏丸由美 06.JPG

烏丸由美 05.JPG 烏丸由美 04.JPG 烏丸由美 03.JPG

烏丸由美 02.JPG



現在イタリアを拠点に活動、制作される烏丸さんの視点も興味深く感じられます。
そのことを踏まえてあらためて思い返してみて、大きく描かれる東京のビル街や人物に、遠い地から俯瞰するクールさとともに、ななんとなく郷愁が感じられるような気がしてきます。


烏丸由美 01.JPG
posted by makuuchi at 15:47| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月22日

review:Nicolas Buffe《1/30、2/6》

review:Nicolas Buffe《1/30、2/6》mirror

Nicolas Buffe
MEGUMI OGITA GALLERY
東京都中央区銀座2-16-12 銀座大塚ビルB1
03-3248-3405
1/12(火)〜2/13(土)日月祝休
11:00〜19:00
Nicolas Buffe 100112.jpg

Nicolas Buffe
MEGUMI OGITA GALLERY
東京都中央区銀座2-16-12-B1,Ginza,Chuo-ku,Tokyo
03-3248-3405
1/12(Tue)-2/13(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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同じ銀座でも昭和通りより東側へと移転、これまでのスペース(Showcaseとして引き続き運営)からは想像もつかないほどの広大なスペースに驚嘆!



MEGUMI OGITA GALLERYの移転第一弾、フランス大使館での「No Man’s Land」のエントランスに設置された黒いゲートの制作者でもあるNicolas Buffeさんの個展に行ってきました。

高い天井、広い壁面。
そこに描かれる広大な壁画に圧倒されます。


Nicolas Buffe 24.JPG



壁面を覆い尽くす黒、その上を走る白の線。
チョークで描かれていて、その質感も嬉しいです。小中学生の頃に黒板に描いた落書きのどうしようもない楽しさを思い起こさせてくれます。しかもこのサイズで展開されていて、懐かしい記憶が現在を通り越して一気に膨らんでいくかのような・・・!


Nicolas Buffe 23.JPG

Nicolas Buffe 22.JPG



とにかくダイナミックな展開に圧倒された次第。
ポップなモチーフが多数登場しキャッチーな雰囲気を創出し、さらにがっつりと描き上げられる装飾は重厚で、素材の軽やかさとのギャップが爽快痛快な気分を盛り上げてくれます。


Nicolas Buffe 21.JPG



階段下のスペースへ。
閉じた空間の壁面も黒で覆われ、そこに描き込まれる装飾に囲まれるようにして展示されたタブローがひときわ強い気配を醸し出しているように感じられます。


Nicolas Buffe 20.JPG

Nicolas Buffe 19.JPG



さらに奥まった方向へと目を向けると立体作品が。


Nicolas Buffe 18.JPG



怪獣、しかしおどろおどろしいというよりむしろコミカルな気配を醸し出していて、何となくかわいく見えてくるから不思議で。
その表面に、おそらく白のペンらしきもので施される紋様。チョークの線とは異なる、強い艶を放つ線自体の強靭な感触が印象的です。


Nicolas Buffe 17.JPG

Nicolas Buffe 16.JPG Nicolas Buffe 15.JPG Nicolas Buffe 14.JPG

Nicolas Buffe 13.JPG



平面作品も随所に配置されていて、チョークによる描き込みに引き寄せられます。
壁画に紛れて、あるいは白い壁面に。それぞれのインスタレーションがもたらす気配の差異も面白く感じられます。


Nicolas Buffe 12.JPG Nicolas Buffe 11.JPG Nicolas Buffe 10.JPG Nicolas Buffe 09.JPG

Nicolas Buffe 08.JPG



壁画ではなく、画面、すなわち閉じた空間に描かれることで、絵画性が前面に押し出されるように感じられ、チョークを用いてギリギリの線の密度が追求され、一方で落書き的な身軽な感触もしっかりと残っていて、この画面でしか味わえない独特の手法の面白味と、それによって想像させられる,際立つスタンスの特異さにも惹かれます。


Nicolas Buffe 07.JPG

Nicolas Buffe 06.JPG Nicolas Buffe 05.JPG Nicolas Buffe 04.JPG Nicolas Buffe 03.JPG

Nicolas Buffe 02.JPG



さまざまなカルチャーのテイストが混ざり合い、ハイブリッドな世界観が創出されているのがとにかく楽しく感じられた次第です。
新しい空間のポテンシャルをこれでもかと見せつけるような大胆なインスタレーションが放つ凄みにまずは圧倒され、向かう視線の先をことごとく覆い尽くす情景にただもう呆然、そこから今度はだんだんと童心に近い好奇心が湧いてきて、目にするさまざまなキャラクターやモチーフが、そしてこれらのほぼすべてがチョークで描かれているという痛快すぎる事実が、楽しい気分を膨らませてくれたのが嬉しく感じられました。

そして、ここでこれから紹介されるクリエイションにも期待が高まります!


Nicolas Buffe 01.JPG
posted by makuuchi at 20:42| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月20日

〜2/18のアート巡り

〜2/18のアート巡り mirror

■2/9 Tue
大竹夏紀「AFFECTION OF IDOLS」
DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA
東京都港区南青山6-3-3
03-6418-5323
2/10(水)〜4/11(土)
13:00〜20:00
大竹夏紀100210.jpg

お馴染みの鮮やかな染織が施された細かいパーツを組んで展開される作品、なかでも最新の作品が楽しいです。これまでの作品のかわいらしさ、艶かしさとメランコリックさとが混ざり合って創り出される独得の雰囲気は保ちつつ、そこに「格好良さ」が加えられたような印象、派手派手しい装飾のなかに聳えるように立つ女の子の力強さと、装飾もより鋭さを増して感じられ、スタイルとしての強烈さの中での展開が興味深く思えます。
また、天井から吊るされるちいさなパーツ群や球体の作品、出力の作品と、バラエティに富んだ提示も楽しい雰囲気を押し拡げているようにも感じられます。



■2/10 Wed
天明里奈 続、とうめいなものたち
GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 吉井ビルB1F
03-5524-1071
2/8(月)〜2/13(土)
11:00〜19:00(金:〜21:00、最終日:17:00
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現在は漆芸を学ばれているという天明さん。今回の個展で発表された作品は石粉粘土(確かそうだと思います)を用い、鋭い妖婉さを放つ立像が艶かしい気配で空間を満たしていたのが印象に残っています。


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削がれたような細身の体躯、強烈な光をたたえる瞳。
かしげる首や指先まで、再現される造形が醸し出すひとつひとつの表情に、強く引き込まれます。


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関節が動くように作られた作品も。
動く、という事実は、メカニカルさを表出させていながら、造形とは別の生々しさを醸し出しているようにも思えます。


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それぞれ濃厚な雰囲気を備えていて、また観る角度ごとにラインの美しさが目に届けられ、繊細な気配をたたえたイメージも広がっていきます。
これから漆を用いた作品も制作されると思うのですが、どういう雰囲気が導き出されるかも楽しみです。


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松本菜々 on the flat
ギャラリー坂巻
東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB2F
03-3563-1733
2/8(月)〜2/20(土)日祝休
12:00〜19:00
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TWS本郷や都庁での展示で拝見した作品hが印象に残っている松本さんの抽象と具象とがアブストラクトに響き合う作品。今回の個展では、要素が削がれ、妖し気な気配の広がりに挑戦する姿勢(迷いも含めて)が感じられます。


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画面に投入される色彩の,現象が導き出すさまざまな表情をそこかしこに配しつつ、ところどころに強い意図を感じる濃い色彩と絵の具の質感が、いっそう広く感じられる画面のなかにアクセントをもたらします。そのコントラスト、俯瞰して捉えるおおらかさと至近でのミニマムな表情の妖しさにも惹かれます。


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今回の展開で得られたテイストがこれからの作品にどういう風に活かされるかも楽しみです。
個人的には要素が多いほうが好みなのですが、また違うアプローチの作品に接することができたのが嬉しいのと、また独自のバランスを見つけられたときにそれがどんな情景、世界観を提示してくれるかと思うと、好奇心も煽られます。


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mayu ten ―mayu語の春―
YSAN-AI GALLERY+contemporary art
東京都中央区日本橋蠣殻町1-26-8 三愛水天宮ビル1F
03-5847-7714
2/8(月)〜2/27(土)2/14,2/15休
11:30〜19:00(最終日:〜17:00)
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これまでも折に触れて拝見しているmayuさん、前回の同じ場所での個展も楽しかったのですが、今回もかわいらしい雰囲気が満ち溢れています。
フェルトなどを用いた指先に乗る小品も多数並べられ、「mayu語」のバラエティに富む「かたち」の面白さも前面に押し出されたような感じも楽しい気分を盛り上げてくれます。



ただようゆうやみ 小泉朋美
Ohshima Fine Art
東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第三ビル3F
03-3235-2271
1/16(土)〜2/13(土)日月火祝休
13:00〜19:00
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厚い光の向こう側にふわりと広がる情景を眺めているかのような、独特のタッチが印象的なペインティング。淡い色彩が折り重なるようにして画面にもたらされ、ファンタジックな場面が緩やかな時間の流れとともに導き出されていくような雰囲気が印象的です。


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登場する女の子の表情の豊かさにも惹かれます。
向かう視線に馳せる想い、閉じられた瞳。無垢さと相応の深みをたたえつつ、やわらかなマチエルで紡がれるように表現されたさまざまな場面は、あたたかくてやさしいイメージを届けてくれます。


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さまざまなサイズの作品が壁面に配され、そのリズムもまた印象に残っています。
闇夜を思い起こさせてくれる暗めの色調を背景とした作品が多く、そのなかに明るい色彩の画面が紛れるようにして展示され、そのコントラストも美しく感じられた次第です。


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描かれるモチーフの輪郭は、その形を描くというよりも捉えられた光をていねいに紡ぎ出したようにも思えます。
独得の気配感が心に暖かいイメージを灯してくれて、やわらかな静けさも含めてやさしさが広がる世界観が嬉しくて心地よいです。


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山口藍展「きゆ」
ミヅマアートギャラリー
東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
03-3268-2500
2/10(水)〜3/13(土)日月祝休
11:00〜19:00
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昨年のアートフェア東京で発表された大きな桶型には作品の外側に加筆が施されていて、これが記憶と比べて随分大きくて驚かされたり、またクッションの作品もこれまででもっとも大きなサイズのものからちいさなものまでが空間に散りばめられて、山口さんの世界に包まれる感じが嬉しいです。
そして、おそらく今、以前発表された作品を拝見すると見え方も違って感じられると思うのですが、まず感じる山口さんの世界に接する嬉しさに続いて、今までよりも登場する女の子たちの表情や仕草により強い「意志」が感じられるのが印象的です。



■2/12 Fri
NEXT DOOR vol.11
T&G ARTS
東京都港区六本木5-9-20
03-5414-3227
1/28(木)〜2/25(木)土日月祝休
11:00〜19:00
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フレッシュな個性が紹介されるこの企画ももう11回、今回は垂谷知明さんの作品に大いに惹かれた次第です。
画面にもたらされる鉛筆による繊細なタッチ。緻密に紡がれるちいさな気泡のような丸と細密な点描とで、ふわりと浮遊するような気配が導き出されているのが印象的です。


垂谷知明11.JPG 垂谷知明10.JPG 垂谷知明09.JPG

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小品も良いです。
さまざまなモチーフが細やかに描き込まれ、全体的に抽象的な展開が繰り広げられる中に具象的な要素も巧みに組み込まれて、そこから広がるイメージがに心躍ります。


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近作はカラーのペンなども用いられ、よりカラフルな展開が繰り広げられて、よりポップにその世界が押し拡げられているように思えます。
今後の展開も楽しみです。


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吉岡俊直 ”Birth/Tears"
TOKIO OUT of PLACE
東京都港区南麻布4-14-2 麻布大野ビル3F
03-5422-9699
2/12(金)〜3/13(土)日月火祝休
12:00〜19:00
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トークショー開催中で展示全体を拝見できていないのですが、さまざまな状態のスイカを撮影してなんとも不思議なテイストが醸し出される写真作品など、独得のニヒルともいえそうな視点で繰り広げられる世界に興味を覚えます、
あらためてしっかりと楽しみたい展示です。



Peter McDonald project
GALLERY SIDE2
東京都港区東麻布2-6-5
03-6229-3669
2/12(金)〜3/12(金)日月祝休
11:00〜19:00
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さまざまな場面が描かれていて、これまで以上に展開のキャッチーさが伝わってきます。
そのなかに潜むアカデミックな面白さ。そら豆のようなかたちの頭部のお馴染みのキャラクターが登場し、コミカルな仕草をそこかしこで見せてくれていて、またカラフルな色彩も相まってポップな雰囲気が楽しく、そしてさまざまな形と構図による色彩の配置の面白さ、その響きにも引き込まれます。



荻野僚介「still life」
Showcase/ MEGUMI OGITA GALLERY
東京都中央区銀座5-4-14 銀成ビル4F
03-3571-9700
2/12(金)〜2/27(土)日月祝休
11:00〜19:00
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何よりもまず、絵肌の美しさに惹かれます。
画面にもたらされる色面のフラットな広がりが、隣り合う色とのギャップをいっそう強め、それによって画面全体のダイナミズムもより鮮烈に届けられるように感じられます。
今回は過去のものから新作まで、点数こそ少ないものの、そのクリエイションの変遷も辿ることができるのも嬉しいです。



■2/13 Sat
森北伸 ghost hunter "anyway...the world is not changing"
白土舎
愛知県名古屋市中区錦1-20-12 伏見ビル地階
052-212-4680
1/23(土)〜2/20(土)日月祝休
11:00〜19:00
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深遠さ、静謐さがゆっくりと迫ります。
鉛筆で表出される朴訥としたイメージ群。色彩が醸し出す淡々とした気配、タッチの素朴さと時おりもたらされる圧倒的に濃く硬質な黒い色面など、描く行為自体のプリミティブな味わいが、ただでさえ深い印象の情景群をさらに分厚くしているように思えます。


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森北伸 09.JPG 森北伸 07.JPG

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描かれる場面の空間的な広がりの独得な風合いに惹かれます。
シンプルな画面構成が、より深いイメージを想起させてくれます。


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前回の個展は拝見できていないのですが、以前拝見した個展では要素の多い作品があり、その印象が強かったこともあって、今回の個展でのひと味違う深みがいっそう強く迫ります。
じっくりと対峙できるクリエイションのように思えます。


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荒川美由喜展 "reproduction"
STANDING PINE - cube
愛知県名古屋市中区錦2丁目5-24 長者町えびすビル Part2 3F
052-203-3930
2/11(木)〜2.28(日)火水休
13:00〜19:00
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はじめて伺うったのですが、1階のショップを抜けて奥のエレベーターに乗って辿り着くスペースはゆったりと広く、まずその空間のポテンシャルに嬉しさを覚えた次第です。
荒川美由喜さんはサイトなどを拝見するとユニークな展開を繰り広げられていて、それを踏まえると今回発表されている作品もより面白く感じられます。

入り口すぐの壁面に設置された棚に置かれる作品、こちらは布の中にさまざまなものが包み込まれ、外側にはそれとは無関係なモチーフが素朴なタッチで描かれていて、無関係とはいえ、その関係性にもイメージが深まります。


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広い布を支持体としたドローイング的な作品も。
画面の広さが気配の薄さを思い起こさせ、その儚い感触にもさまざまな想いが過ります。


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メインの作品は、展示空間中央に設置されるインスタレーション。
天井から下方へと向かう、足を思わせる木製の立体、その爪先がふわふわの物体にちょこんと乗る感じが楽しい!


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奥の壁面にもたらされるパターンと相まって、なんとも不思議な空間がつくり出されています。


荒川美由喜03.JPG 荒川美由喜02.JPG

荒川美由喜01.JPG



鬼頭健吾 新作展 color colour
Kenji Taki Gallery
愛知県名古屋市中区栄3-20-25
052-264-7747
1/23(土)〜2/27(土)日月祝休
11:00〜13:00、14:00〜18:00
鬼頭健吾100123.jpg

このインスタレーションを実際に拝見し、まず先行しているのはヴィジュアルイメージなのでは、と感じました。
金色のシートに囲まれ、そのなかに天井から赤いリボンが無数に吊るされてそれらは床にまで達するには充分な長さで、また床面には鏡面、木製のパネルなどを設置。その中央に置かれる、蛍光灯を用い星形を模した巨大なオブジェ。実際にこの空間に入るとむしろ造形の粗さと、その隙に潜む素材の表情の圧倒的な生々しさに迫られたのですが、観賞後にあらためて思い返すと、どうしてもその粗さは残っているとしても、脳内で再生されるからこそ生み出される壮大さに感じ入る次第です。
1階奥から2階にかけてのさまざまな作品群も興味深いです。特に2階奥で展示された赤い大作と対峙している時の充実感。
相当に、鑑賞者にイメージの広がりを預けているように思えて、そもそも僕は作品は「イメージの起動装置」だと思っているので、其の点において凄いインスタレーションだと思うのです。



石崎誠和 個展
Ain Soph Dispatch
愛知県名古屋市西区那古野2-16-10 円頓寺本町商店街 JAMJAM奥入ル
052-541-3456
2/13(土)〜2/27(土)木休
13:00〜21:00
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伺うと日展にもご出品されるという日本画家、石崎誠和さん。今回は随所にその描写力を発揮しながらも、遊び心に満ちた作品を配し、シュールさとかわいさとがよい塩梅で混ざり合う空間が導き出されています。


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瓶のキャップを打ち出して変形させ、そこに彩色が施された作品。
まずはそのサイズのかわいらしさに惹かれ、そしてそこに描かれているモチーフの多彩さも楽しいイメージを押し拡げてくれます。かたちの奇妙さも面白いです。


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既製品のパッケージを支持体にしたドローイング的な作品も。
プリントされた文字や色なども巧く出したり隠したりしながら、不思議な風景が表出されていて、不思議な味わいが滲んできます。


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石崎誠和03.JPG 石崎誠和02.JPG

石崎誠和01.JPG



稲垣元則展−phase
Gallery Nomart
大阪府大阪市城東区永田3-5-22
06-6964-2323
2/13(土)〜3/13(土)日祝休
13:00〜19:00
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映像やドローイングなどさまざまなメディアで自身のクリエイションを展開される稲垣元則さん、今回は写真のみで構成し、実に硬質なインスタレーションが展開されています。
風景や花を撮影したモノクロームの写真がある規格に沿ったサイズで3つのサイズにプリントされて黒のフレームで額装、それらが精緻な配置によって空間全体に落とし込まれています。
そして、「phase」、フェーズ、すなわち位相が主題とされているように、ひとつの作品はすべて2点から4点の組み作品で、それぞれ同一の場所や花が微妙な差異で捉えられ無機的に提示されて、重厚な深遠さに覆われ、またひとつひとつの作品にぐっと引き寄せられます。



「俗なる美意識」上田順平 山本太郎 龍門藍
imura art gallery
京都府京都市左京区丸太町通川端東入ル東丸太町31
075-761-7372
1/20(水)〜2/20(土)日祝休
11:00〜19:00

同ギャラリーでお馴染みの3名のアーティストの作品を展示。山本さんの少し前のものや昨年のTCAFで展示された龍門さんの小品のペインティングなど、観られて嬉しい作品がずらりと。
なかでも上田順平さんのセラミックのオブジェが凄いです、造形のユーモラスな感じはもちろん、ツヤッツヤの光沢が施された表面とその奥に描かれる細かい描写など、見蕩れて呆れてなんだかもう楽しくてしょうがない!



今村哲「いない」
MORI YU GALLERY KYOTO
京都府京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19
075-950-5230
2/13(土)〜3/13(土)日月祝休
12:00〜19:00
今村哲100213.jpg

昨年のKenji Taki Gallery Tokyoでの個展では大作が並べられましたが、今回はそのときに比べると比較的コンパクトな作品を中心に構成されていて、今村さんのベラエティに富みつつも個々の作品が独立してそれぞれの世界観を深遠に奏で、また添えられるテキストがそこに更なる説得力をもたらしているように思えます。
もし機会と時間が許せば、あらためてじっくりと拝見したい展示です。



■2/14 Sun
この日は朝早くから京都市立芸術大学作品展へ。
まずは学内の展示を拝見、既知のアーティストの力作が観られたのがまず嬉しく、特に川上雅史さんのモンタージュ的なアプローチによる圧倒的なアバンギャルドな世界観、児玉画廊での個展を控える梶原航平さんのダイナミックな奥行き、野田仁美さんのモノトーンのドローイングが醸し出す高貴な妖しさ、厚地朋子さんの建築現場を描いた大作のおおらかな迫力など。
また、同会期で開催の「INTERIM SHOW」でのHyonGyonさんの焦がした合成布をコラージュした作品の強烈に濃密な世界観、さらにダークな雰囲気へと深く入り込む黒宮菜菜さんの大作、ほんのりとコミカルな妖婉さをたたえる樫木知子さんの作品など、こちらも見応え充分で。関口正浩さんの湯葉状にしつらえた油絵の具を重ねる作品の制作の様子が観られたのもよかったです。

京都市美術館では、ずらりと大作が並ぶ中で、唐仁原希さんや西田菜々子さん、尾家杏奈さんの作品が印象深く、また漆芸の白子勝之さんの美しい仕上がりのオブジェにも大いに惹かれた次第です。



京芸の学内展を見終えてから京都オープンスタジオ2010へ。昨年の反省を踏まえ、時間に充分余裕をもって臨んだはずが、結局桂地区と凸倉庫しか伺えず。しかし、それでも充分にそれぞれの個性に接することができて満足でございます。



"TALES FROM THE LIMEN" ROBERT PLATT SOLO EXHIBITION
eN arts
京都府京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側
075-525-2355
2/5(金)〜2/28(日)金土日のみ(その他の曜日は事前予約制)
12:00〜18:00
Robert Platt 100205.jpg

入り口の黒の壁画から、濃密な世界へと意識が誘われます。
細かいストロークで繰り広げられる鬱蒼とした気配、そこに過剰に鮮やかな色彩とシャープな矩形がインサートされ、異空間性がさらに際立ちます。
地下のブラックキューブでの意表を突く展開も興味深く、随所に高質なクリエイティビティが落とし込まれる、見応えのある展示、インスタレーションです。



■2/17 Wed
岡田卓也
ギャラリーなつか
東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F
03-3571-0130
2/15(月)〜2/27(土)日休
11:30〜18:30(土:〜17:30)
岡田卓也100215.jpg

鮮やかな色彩が放つケミカルな風合い、そこに部分的に落とし込まれる植物のモチーフ。混沌とした情景の中から溢れる迫力は痛快です。
小品では一転して、少ない配色でシンプルなイメージが提示されているような感触。



ROUND 2010 西山ひろみ 吉永晴彦
ギャラリーなつかb.p
東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F
03-3571-0130
2/8(月)〜2/20(土)日休
11:30〜18:30(2/13:〜17:30、最終日:〜17:00)
ROUND2010 100208.jpg

もう随分長く拝見している西山ひろみさんの作品、お馴染みのやわらかな表情を紡ぐ肖像画に加え、儚げな気配を醸し出す風景を描いた作品と、前回拝見したときに続いて描くモチーフのバリエーションも広がっているのが嬉しく思えます。吉永晴彦さんの作品は、色のやわらかさと遊び心に満ちたアプローチが楽しいです。コラージュ風に貼られるシートで表出されるモチーフと版によるシャープな輪郭を伴う色面との調和が心地よく伝わってきます。



Terumi Sakane Exhibition 坂根輝美
松坂屋銀座店 別館4階 美術画廊
東京都中央区銀座6-10-1 松坂屋銀座店別館
03-3572-1111
2/17(水)〜2/23(火)
10:30〜19:30(最終日:〜17:30)
坂根輝美100217.jpg

昨年のトーキョーワンダーウォールでひときわ印象に残った日本画家、頭部に奇妙な被り物やセミの抜け殻が乗り、そこから人物の頭部に管が繋げられるという相当にグロテスクなモチーフでありながら、圧倒的な絵肌の美しさと線の緻密さに引き込まれます。



高木こずえ「MID」
第一生命南ギャラリー
東京都千代田区有楽町1-13-1
050-3780-3242
2/17(水)〜3/12(金)土日祝休
12:00〜18:00
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思わず唸らされるインスタレーション。この空間での写真の展示自体が珍しく(おそらく純粋な写真としては初めて)、人物や風景を捉えたスナップがさまざまなかたちでこの高い天井を誇る空間に落とし込まれて、ひとつひとつの画像との対峙だけでなく空間全体からもたらされるイメージの膨らみも楽しいです。



■2/18 Thu
菅野猛個展「喰わず芋」
Gallery ef
東京都台東区雷門2-19-18
03-3841-0442
2/19(金)〜2/28(日)火休
12:00〜20:00(最終日:〜17:00)

渋いです。
そして、心憎い構成がまた。。。
1階と2階、ふたつのフロアで見事なコントラストを導き出し、実に味わい深いインスタレーションが繰り広げられています。「喰わず芋」と名付けられたアルミ製のオブジェが練られた配置でインストールしてあって、その情景がイメージを豊かに膨らませてくれます。



《買った本》
「かのこちゃんとマドレーヌ婦人」万城目学
「ヘヴン」川上未映子
posted by makuuchi at 10:35| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月18日

review:小池一馬「瞬き」《1/22、2/9》

review:小池一馬「瞬き」《1/22、2/9》mirror

小池一馬「瞬き」
hpgrp GALLERY 東京
東京都渋谷区神宮前5-1-15 CHビルB1F
03-3797-1507
1/22(金)〜2/19(金)月休
11:00〜20:00

Kazuma Koike [Blinks]
hpgrp GALLERY Tokyo
5-1-15-B1F,Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo
03-6805-0840
1/22(Fri)-2/19(Sun) closed on Monday
11:00-20:00
Google Translate(to English)



漲る自信。それによって深まり力強さを増す世界観。


hpgrp GALLERY 東京での小池一馬さんの個展です。
精力的に活動されている小池さん、一昨年より立て続けに比較的力の入った展示開催され、最近挑まれているペインティングのシリーズは初の発表から続けて拝見していますが、その独得の手法ででき得る表現がさらに発展し、より力強く濃密な世界が創出されているように感じられます。

そして、その感触が嬉しいことこの上なく。

初めて拝見した作品は、今思い返すと結構抽象性の高い感じが印象に残っているのですが、今回はそれぞれの作品に登場するモチーフはくっきりと描かれ、よりダイレクトに具体的なイメージを想起させてくれます。


小池一馬 21.JPG 小池一馬 20.JPG 小池一馬 19.JPG 小池一馬 18.JPG

小池一馬 17.JPG



真ん中が窪むドットのストロークが画面上にチェーン状に綴られ、それが具象的な形を表出します。そこに用いられる色彩は鮮やかで、ほんのりと透明な風合いを醸し出しながら独得な雰囲気も放たれます。
力強い赤をバックに描き上げられるドレスの絢爛風味。じゃらりと音を立てそうなドットの連なりとその立体的なうねりが、人が着ていないドレスに動きのイメージをもたらしてくれるているようにも思われます。


小池一馬 16.JPG 小池一馬 15.JPG 小池一馬 14.JPG 小池一馬 13.JPG

小池一馬 12.JPG



バラエティい富んだマチエルも、面白みをいっそう強めます。
細かなストロークでもたらされるさまざまな色彩が全体を覆う中、分かるモチーフの存在感はいっそう強められ、一方でアバンギャルドな世界観も奏でているように思えます。
キャッチーな色彩感によってポップな面白さも強まって、またさらに凄まじいテンション感で交錯するさまさまな色彩のドットの羅列が奏でるパルスにも引き込まれていきます。


小池一馬 11.JPG 小池一馬 10.JPG 小池一馬 09.JPG 小池一馬 08.JPG

小池一馬 07.JPG

小池一馬 06.JPG 小池一馬 05.JPG 小池一馬 04.JPG 小池一馬 03.JPG

小池一馬 02.JPG



一部水彩のドローイング作品がじむしょのすぺーすで展示されていることを除き、今回の個展はペインティングのみで構成。水彩や木調、紙のオブジェクトなどバラエティに富んだ展開を繰り広げる小池さんの「今」が伝わってくるような感じも嬉しく思えます。

色彩感、マチエル共に個性的で、加えてこれまで発表されてきたさまざまなアーティストの作品と比較しても、その強烈な質感が圧倒し、存在感を濃く醸し出すのでは、と。


小池一馬 01.JPG
posted by makuuchi at 23:45| review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月17日

review:FUTURE PRIMITIVE 池添彰/谷澤紗和子《1/23》

review:FUTURE PRIMITIVE 池添彰/谷澤紗和子《1/23》mirror

FUTURE PRIMITIVE 池添彰/谷澤紗和子
MA2Gallery
東京都渋谷区恵比寿3-3-8
03-3444-1133
1/15(金)〜2/13(土)日月祝休
12:00〜19:00
FUTURE PRIMITIVE 100115.jpg

FUTURE PRIMITIVE Akira Ikezoe/Sawako Tanizawa
MA2Gallery
3-3-8,Ebisu,Shibuya-ku,Tokyo
03-3444-1133
1/15(Fri)-2/13(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
Google Translate(to English)



モノトーンとカラフル。
ふたりのアーティストの個性が静かに響き合う、MA2Galleryらしさが充分に感じられる展覧会です。

池添彰さんの平面作品。主にハスを中心に、有機的なモチーフが画面に溢れ、独得の気配を奏でています。


池添彰 13.JPG



蓮が持つ宗教的というか妖し気なイメージがポップに取り込まれ、不思議な空間が生み出されているように感じられます。
うねうねと伸びる茎、そこにまとわりつく人々。画面の真ん中よりややずれたところを中心に画面全体に重なり広がる円も、観る者の意識を呑み込み、引き込んでいくような強い気配をもたらしているように思えます。


池添彰 12.JPG 池添彰 11.JPG 池添彰 10.JPG 池添彰 09.JPG

池添彰 08.JPG



横長の大作も見応え充分で。
背景のやや濃い茶色が独得の重みを醸し出し、そこにひたすら並ぶ幾何学的な蓮などのかたち。鮮やかな色のキノコや蛾が危ないのと通じる、毒々しくも思える鮮やかな色彩の羅列がこの濃い茶色に映え、いっそう妖し気な雰囲気が放たれているように思えます。


池添彰 07.JPG



小品におけるシンプルな構図も興味深いです。
重なる円がもたらす奥行き感。大きな作品で描かれる情景のある部分を引き出したような印象が脳裏に浮かびます。


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池添彰 05.JPG



階段の傍の壁面に展示されたドローイング。


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2階にはまた異なる気配を醸し出す作品が。
月の表面のようにも、または顕微鏡を覗いているかのようなイメージも...白い円のなかにちいさなドットでふ描かれるさまざまなモチーフが醸し出す不思議なかわいらしい雰囲気、それが大小の縮尺でそれぞれ捉えられるのも興味深いです。


池添彰 03.JPG 池添彰 02.JPG

池添彰 01 .JPG



谷澤紗和子さんはこれまでも折りに触れて拝見していて、その都度、バラエティに富んだ幅広い手法で繰り広げられるさまざまな世界観に翻弄され、その濃密な世界に接してきましたが、今回はモノトーンの作品を揃え、そのなかでさまざまなメディアの作品が配され、個性的な静けさがそこかしこから繊細な気配として放たれているように感じられます。

まず目に留まるのが、白い毛布のインスタレーション。人形らしきものが包まれていて、微妙に色が透けているものの、直に見えないようになっているのが妖しく感じられます。


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お馴染みの付け爪の作品。
軸には貝殻を採用し、また斬新な艶かしさを奏でているように思えます。


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2階には大きめの付け爪の作品が。
やはり大きくなるとその分だけ、醸し出される気配も濃密に伝わってきます。


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よくよく眺めると肖像になっていて、驚かされます。


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鉛筆画の作品。
有機的なかたちにカットされた紙に描かれ、モノトーンの静謐な気配が画面の外側にも緩やかに溢れます。
展示位置も効いていて、見上げたり見下ろしたりする行為もそこから放たれる気配を濃くするのに一役買っているようにも思えます。


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大判の作品の迫力も印象的です。
中央にちょこんと描かれる人の頭部が。この抽象的な情景を壮大なものへと押し拡げ、重い描かれるスケール感の大きさに圧倒されます。


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鳥の羽を用いた作品も。
素材の生々しさと色彩の儚げな気配とのギャップに、想像も思いもよらぬほうへと広がっていきます。


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ふたつの個性はひとつひとつを眺めるとまったく異なる気配を創出しているのですが、それがひとつの空間に配されて、お互いの妖しい世界観を浸食し合うことなく、むしろ豊かな響きをもたらしているように感じられたのが印象に残ります。
そして、得難いイマジネーションの刺激を、イメージの広がりをもたらしてくれるのも嬉しいです。


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2010年02月16日

review:坂川守「Press」/Kodama Gallery Project 21 西森瑛一「Tinctura」《1/16》

review:坂川守「Press」/Kodama Gallery Project 21 西森瑛一「Tinctura」《1/16》mirror

今年最初の京都の児玉画廊での展覧会は、続いた濃密な世界観から一転、澄んだ空気感が印象的です。


坂川守「Press」
児玉画廊|京都
京都府京都市南区東九条柳下町67-2
075-693-4075
1/16(土)〜2/20(土)日月祝休
11:00〜19:00
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Mamoru Sakagawa "Press"
Kodama Gallery | Kyoto
67-2,Higashi-Kujo-Yanaginosita-cho,Minami-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu
075-693-4075
1/16(Sat)-2/20(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google Translate(to English)



1階の坂川守さん。
画面に配される、マンガの吹き出しのようなモチーフ。
ほんのりと異なる色彩、そのなかに現れる情景と画面全体に広がる気配との差異が、どこかほっこりとしたユーモラスな緊張感をもたらしているように感じられます。


坂川守 26.JPG 坂川守 25.JPG 坂川守 24.JPG

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妖し気な場面を思い起こさせる作品も。
もわもわとした色の広がりや、モチーフの墨で描いたような滲む線が不思議な気配を導き出し、また画面に現れる色彩の鮮やかさとのギャップで独得の雰囲気が発せられています。なんともいえない浮遊感が堪らなく味わい深く感じられます。


坂川守 22.JPG 坂川守 21.JPG 坂川守 20.JPG

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一転して物語の一場面を思い起こさせるメランコリックな雰囲気が印象的な作品。
画面上方からぶら下がるブランコのどこか切ない感じ、そこに座り佇む人物が醸し出す孤独感。地面の風合いも独得の臨場感があって、でも人物の頭部をちょうど覆い隠すように画面に浮かぶ水色のモチーフが、全体を包むメランコリックな気配のなかから、やはり不思議でコミカルな印象をもたらしてくれます。


坂川守 18.JPG 坂川守 17.JPG 坂川守 16.JPG

坂川守 15.JPG



多彩な色彩、情景が溢れます。
プリンとひよこ。なんともかわいらしいモチーフが自然に収められ、有機的なかたちの画面も、そのエッジにもたらされる絵の具の赤と青の盛り上がりも効いていて、比較的はっきりとしたイメージのなかに妖し気な印象が混ざり込んできて、それもまた楽しく感じられたり。


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色彩の広がりや画面に収まるかたちなどの有機的な感触が、それぞれの作品でおおらかな動きや時間の流れのイメージを思い起こさせせてくれるのも興味深いです。
実に自然体に、しかし巧みに画面に配される具象的なモチーフも、その曖昧な気配感とのギャップをもたらすと同時に全体の情景をよりキャッチーなものへと転化させているように感じられ、そこからこの時空へと引き込まれていきます。


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大判の布に描かれ、そのまま壁に展示した作品も。


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ほっこりとした世界観が心地よいです。
それぞれの画面にコラージュ風に貼られる吹き出しのようなかたちのキャンバス地は、絵の具で定着させているようで、その縁の部分に稜線のかたちをフォローする絵の具の盛り上がりはそのキャンバス地を貼り付けたときに溢れたものと思われ、色や質感などさまざまな要素が醸し出す線としてのユニークな楽しさとともに、行為の痕跡としての生々しさをも思い起こさせてくれます。


坂川守 02.JPG



独得の濃密さも備えつつ、ふわりと軽やかな色彩が多く用いられてるのも印象的、そしてそこから広がっていく物語性のシュールさも興味深いクリエイションです。
ひとつひとつの作品には結構無関係なモチーフが混在していたりするのに、何故かその状況を自然に受け入れていて、その楽しげな謎めきは想像をこんがらがらせつつも、拝見したあとになんともいえない心地よさがもたらさらて、それもまた嬉しく感じられた次第です。


坂川守 01.JPG



Kodama Gallery Project 21 西森瑛一「Tinctura」
児玉画廊|京都
京都府京都市南区東九条柳下町67-2
075-693-4075
1/16(土)〜2/20(土)日月祝休
11:00〜19:00
西森瑛一100116.jpg

Kodama Gallery Project 21 Eiichi Nishimori "Tinctura"
Kodama Gallery | Kyoto
67-2,Higashi-Kujo-Yanaginosita-cho,Minami-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu
075-693-4075
1/16(Sat)-2/20(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
Google Translate(to English)



2階は西森瑛一さん。
1階の坂川さんのコミカルな軽やかさとはまた異なる浮遊感が空間いっぱいに広がり、さらに澄んだ気配に包まれます。


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壁面に整然と並ぶスクエアの画面。
そのひとつひとつにもたらされる色彩は実に繊細です。


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西森瑛一 26.JPG 西森瑛一 25.JPG

西森瑛一 24.JPG



手前より1点ずつ続けて拝見していくと、あたかもひとつの画面のなかでの情景の変遷を思い起こさせるようなストーリー性を感じさせてくれます。
相当に抽象的で曖昧な気配が続いていきます。支持体の紙の白の中から淡く溢れるようにして、さまざまな表情が導き出されていきます。


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西森瑛一 21.JPG 西森瑛一 20.JPG

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だんだんとその気配に濃い色彩が広がっていきます。
画面にもたらされるストロークの繊細な感触は保たれつつ、色が持つ強度が押し出されるような印象。有機的な表情による「うねり」はいっそう強まっていきます。


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西森瑛一 17.JPG 西森瑛一 16.JPG

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そしてこれまで細かいストロークによってミニマムな雰囲気が編まれるように展開していった流れから唐突に、大柄の色彩の広がりが画面から溢れます。
いっそう大きくおおらかな情景に包まれたような、またはさらにこの世界へと入り込んでいったようなイメージも。薄く淡い気配の流れの中で想像もさまざまな方向へと揺さぶられていきます。


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西森瑛一 13.JPG 西森瑛一 12.JPG

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そして気配がさらに濃さを増し...


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ほんのりと儚げな色の重なりと広がりで繰り広げられてきた情景に、強いかたちが現れた作品が登場し、いっそうその気配の深みへと誘われます。


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グループショーで拝見した、黒い紙に描かれたドローイングも。
ずらりと並ぶスクエアの画面で構成される展示空間にアクセントをもたらしています。


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画面に色を乗せる、というより、画面から色を引き出すような感触が印象に残ります。
描かれた情景は、例えば陽の光を受けて輝き揺らめく水面の表情の輪郭をすくい取ったかのような、もしくは空気の中にあるさまざまな光線の流れを捉えたような風合いのように思えます。それぞれ曖昧で儚げ、しかしそういった捉え難い表情を画面に起こす行為によって紡ぎ出される緊張感。それに伴ってもたらされる浮遊するような繊細な気配包まれるような感触が心に広がります。


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2010年02月13日

review:山口英紀展《1/26、1/28》

review:山口英紀展《1/26、1/28》mirror

山口英紀
新生堂
東京都港区南青山5-4-30
03-3498-8383
1/27(水)〜2/19(金)日祝休
11:00〜18:00(最終日:〜17:00)
山口英紀100127.jpg

Hidenori Yamaguchi exhibition
SHINSEIDO
5-4-30,Minami-Aoyama,Minato-ku,Tokyo
03-3498-8383
1/27(Wed)-2/19(Fri) closed on Sunday and national holiday
11:00-18:00(last day:-17:00)
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新生堂で開催されている山口英紀の個展です。

エレベーターを降りて正面の壁面に、DMにも掲載されている渋谷のスクラんブル交差点を描いた作品を展示しています。
薄い和紙が幾重にも重ねられ、ぼやけた風合いも醸し出すと同時に、紙本でありながら強靭な画面が創り出されています。部分的にスクラッチが施され、紙を重ねて得られるのとはまたひと味違った、歪んだ感触が得られています。


山口英紀 20.JPG 山口英紀 19.JPG 山口英紀 18.JPG

山口英紀 17.JPG 山口英紀 16.JPG 山口英紀 15.JPG

山口英紀 14.JPG



横幅およそ7mにも及ぶ大作。
スペースの都合でふたつの壁面を通じての展示です。


山口英紀 13.JPG



木更津のコンビナートの硬質な景色が、精緻な再現性で描き上げられています。
本来発せられているはずの煙突からの煙を一切排除、稼働している気配が強く抑え込まれ、紅茶染めされた和紙によるセピア調のモノトーンの落ち着いた色彩感も相まって、深く重厚な静謐が奏でられます。


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山口英紀 04.JPG



階段を上がったスペースには、昨年のULTRAで紹介したアーティストの作品も併せて展示。
海外のフェアへの出品のため2月4日までの展示でしたが、昨年のULTRAで発表した石塚源太の作品。


石塚源太 02.JPG

石塚源太 01.JPG



3月にGALLERY b.TOKYOでの個展を予定している澤井津波の作品。ULTRAで発表された作品に2点が追加されています。


澤井津波 01.JPG



林原章矩は新作を発表しています。
ULTRAでは抽象度の高い作品でしたが、今回はスカルをモチーフに採用。ちいさな作品でありながら力強く、妖し気な世界観が確かな具象表現で描き上げられ、独得の絵肌で展開されています。


林原章矩 03.JPG 林原章矩 02.JPG

林原章矩 01.JPG



山口の小品も2点展示しています。それぞれ、紙本と絹本の作品です。


山口英紀 03.JPG

山口英紀 02.JPG



一昨年のULTRAと昨年の小品を中心に構成した個展で山口を紹介してきましたが、実は今回の個展が最初に決まったスケジュールでした。
既に多くの方に足を運んでいただけて、嬉しい限りです。ありがとうございます。


山口英紀 01.JPG
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2010年02月12日

review:加納明日香展 -わすれたいわすれたくない-《2/6》

review:加納明日香展 -わすれたいわすれたくない-《2/6》

加納明日香展 -わすれたいわすれたくない-
シロタ画廊
東京都中央区銀座7-10-8-B1F
03-3572-7971
2/1(月)〜2/13(土)日祝休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
加納明日香100201.jpg

Asuka Kanoh -Wasuretai Wasuretakunai-
Shirota Gallery
7-10-8-B1F,Ginza,Chuo-ku,Tokyo
03-3572-7971
2/1(Mon)-2/13(Sat) closed on Sunday and national holiday
11:00-19:00(last day:-17:00)
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渋めの色調と独得のタッチで展開される、ユーモラスさと儚さとが絶妙の塩梅で混ざり合う。。。



シロタ画廊での加納明日香さんの個展です。
武蔵野美術大学の学内でと、続くART AWARD TOKYOで展示された修了制作の憂いを帯びたような気配が印象に残っていて、また版画作家を多く紹介するシロタ画廊でのペインティングの展示ということもあり、どんな感じだろうといろいろと想像を巡らせていたのですが、空間に漂う渋い気配と、ところどころに現れる細かい描き込み、さらにポージングのコミカルさが醸し出す不思議な妖しさなど、それぞれの要素が実に個性的な味わいを醸し出し、ぬくもりに溢れる空気感がやさしく包みこんできます。


加納明日香 20.JPG



さまざまな構成が繰り広げられています。
2点が対になり、その関係性がユニークな物語性を奏でる作品も。


加納明日香 19.JPG



僕にとって嬉しい発見だったのが、随所に見受けられる細かい描写。
楕円形の両眼が眉間で繋がるシュールな顔、その眼のまわりに施される幾重にも重なる線や付近に数個だけ整然と並ぶドット。さらに大柄のパターンで表出される編まれた頭髪など、さまざまなダイナミズムで展開される表現が絵の中の気配に楽しげなリズムをもたらしているように感じられます。
そして、加納さんに伺った限りでは意図的ではないようなのですが、これらの描写によってメカニカルな面白さも弾けるように放たれ、そのテクスチャーにも惹かれます。


加納明日香 18.JPG 加納明日香 17.JPG 加納明日香 16.JPG 加納明日香 15.JPG

加納明日香 14.JPG



くっきりと表出される輪郭線の強さが、登場する女性の表情や佇まいがほんのりと醸し出すセンチメンタルな風合いに違和感をもたらし、ただそういうアンニュイな感触に落とし込ませずどこかコミカルなイメージも想起させてくれるのが楽しいです。
画面を走る線は思いのほか幾何学的な味わいもあり、からりとした乾いた気配を導き出して、それが観る側との距離感を絶妙なものにしているようにも思えます。


加納明日香 13.JPG 加納明日香 12.JPG 加納明日香 11.JPG 加納明日香 10.JPG

加納明日香 09.JPG


小品も味わい深いです。
ほぼ同様の構図を同じサイズの画面に描いて並べ、そのリズムも楽しく、また統一感のある色調のなかでのバリエーションの豊かさにも感じ入ります。


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加納明日香 07.JPG 加納明日香 06.JPG 加納明日香 05.JPG 加納明日香 04.JPG

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2点だけ立体の作品も。
際立つ線の存在が抑えられ、まろやかな風合いがじんわりと届けられます。


加納明日香 02.JPG



絵肌の強さも印象的です。
フラットな色面の絵の具の広がりの艶やかさ、細かい描き込みがなされている部分の絵の具の盛り上がりの臨場感など、油彩画を観ている充実感にも満たされます。
そして、全体を覆うセピア調の色合いに混ざって赤やオレンジなどの結構主張する色彩もそこかしこにもたらされているのですが、そういった色もレイドバックしたような雰囲気を醸し出していて、緩やかに時間が流れているような感じも印象に残ります。

色の味わいと線の面白味にゆったりと浸りたい作品群,情景群です。


加納明日香 01.JPG
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2010年02月11日

review:満田晴穂 自在《1/16、1/30、2/6》

review:満田晴穂 自在《1/16、1/30、2/6》mirror

満田晴穂 自在
ラディウムーレントゲンヴェルケ
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17
03-3662-2666
1/15(金)〜2/13(土)日月祝休
11:00〜19:00

Haruo MITSUTA "JIZAI"
Radi-um von Roentgenwerke AG
2-5-17, Nihonbashi Bakuro-cho,Chuo-ku,Tokyo
03-3662-2666
1/15(Fri)-2/13(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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現代美術の空間に持ち込まれた「和」の気配。
その「和」の気配の中から立ちのぼる現代美術のシーンに訴え得る鋭い感性。



ラディウムーレントゲンヴェルケでの満田晴穂さんの個展です。

昨年秋に開催された「メークリヒカイトU」でフィーチャーされ、圧倒的な再現性に目を剥き、その工芸性の高さにも呆然とさせられたのですが、それから僅か数ヶ月で始まった個展では、あらためていうまでもない再現性を誇る「自在置物」を並べ、しかし単に工芸としての素晴らしさに留まることを善しとせず、実に濃密な世界観を創出しているように思えます。

階段を上ってまず、唐突に畳敷きの空間が目に入ります。
四畳半、正方形の領域に、桐箱とともに置かれる昆虫。実物大で再現され小さいサイズでありながら、その1体1体に凝縮された重厚な存在感を感じ、濃い生命の感触が伝わってくるような気がします。


満田晴穂 15.JPG



6本の脚に、触覚に、口許に。
甲虫の格好良さ、メカニカルな姿が緻密に再現され、いったいいくつのパーツで組み上げられているのかと想うと気も遠くなり、またこれらの関節がすべて動くことへもあらためて感嘆させられます。巧みな彩色もあって、今にもカサカサと動き出しそうな生々しさに好奇心もどんどん引き寄せられていきます。


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1点ごとの作品の味わい深さ、「自在置物」の懐の深い表現に感嘆させられて、続いてもうひとつ奥の一角に設置された台上の情景に今度は絶句。


満田晴穂 07.JPG

満田晴穂 06.JPG



一見するだけではその数が把握できないほど、何匹もの蜂の自在置物が小山になって台上に置かれていて、その気配の濃密さに言葉を失います。
ほぼ全体を覆う黒々とした色合い、そこに絶妙の塩梅で金色が混ざり込み、それが金属的な質感をより強く醸し出しているように感じられます。無論、フォルムの再現性の高さは圧巻で、羽の透過性が素材的にほぼ不可能であることを差し引いても、造形は思わず眉間に皺が寄ってしまうほどに生々しく。。。
1体制作するのにそれなりの時間が掛かり、この技術の習得のために積み上げられた時間もさらに重ね、容易にここに注がれた時間の膨大さを思い描くことができ、しかしそれほどのものをこうやってごそっと無造作に置いてしまう行為の凄さ。
こうやって置くことでこの作品が完成するという意図の強度は、これらの制作自体に費やされた時間の厚みと匹敵するほどのように思えます。


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満田晴穂 04.JPG 満田晴穂 03.JPG

満田晴穂 02.JPG



そして、1匹ごとに展示されたとき、たとえそれが標本的なものであったとしても、馳せる想いは目の前の自在置物の昆虫が「動き出す」ことで、そのポジティブなイメージが沸き起こるのですが、一転してこうやって固め置かれたときに伝わるのはむしろ「屍骸」のイメージで、思い浮かぶシチュエーションもどうしようもなくネガティブ、しかしそんな状況であってもどうしようもなくこの屍骸の塊に美しさを見出し、それに圧倒されてしまうのです。

塊の内側で絡まる脚が、小山から突き出る腹部が奏でるパルス、凝縮された様子が導く重々しいカオス。得難い刺激が強烈に放たれているように思えます。


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review:栗田咲子[数珠の茂み]《1/15》

review:栗田咲子[数珠の茂み]《1/15》mirror

栗田咲子[数珠の茂み]
FUKUGAN GALLERY
大阪府大阪市中央区西心斎橋1-9-20-4F
06-6253-3266
12/19(土)〜2/13(土)日月火・12/27〜1/12休
13:00〜20:00
栗田咲子091219.jpg

Sakiko Kurita [Beads Bush]
FUKUGAN GALLERY
1-9-20-4F,Nishi-Shinsaibashi,Chuo-ku,Osaka-shi,Osaka-fu
06-6253-3266
12/19(Sat)-2/13(Sat) closed on Sunday,Monday,Tuesday and 12/27-1/12
13:00-20:00
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国立国際美術館で開催中の「絵画の庭」へも参加されている栗田咲子さんの、FUKUGAN GALLERYでの個展に行ってきました。
前回の個展も拝見していてそのときはコミカルな雰囲気が心地よく、登場する動物や人物たちの飄々としてニヒルな佇まいに思わずニヤッとさせられたのが印象に残っているのですが、今回拝見してまず感じたのが、シリアスな感触が強まったなぁ、と。大胆な色使い、敢えて異なる色を隣り合わせて衝突させ、違和感が濃密なエネルギーを創出するような感じは前回に引き続いてそこかしこから伝わってきます。そしてその一方で、今回の作品に描かれている動物や人物の表情や佇まいには、幾分か険しさのようなものが感じられたような気がしています。


栗田咲子 20.JPG



横たわるカンガルー(おそらく)。
そもそもここにカンガルーがいること自体が違和感ありすぎでそれがまた楽しい、面白いのですが、なんでまたこんなにダークな表情を。。。
だらりと大きな身体を伏せさせ、むっくりと上半身を持ち上げるような仕草の

「メンドクサ...」

みたいな雰囲気にコミカルな味わいを感じつつ、黒でざらりと描かれた体躯は表情とともに暗さを漂わせます。
また背景におけるさまざまな色彩、ほんのりとしたやわらかな色と重く硬い色調とがどっしりとした空気感も醸し出しているようにも思えます。左上のややメタリックがかったグレーのクールさ、ふわりと水色に浮かぶピンクにおおいに惹かれます。


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栗田咲子 16.JPG



カンガルー、再び。
栗田さんの真骨頂、と快哉を叫びたくなるような配色や筆捌きが独得の世界観を紡ぎ出し、シュールさと深みとを画面のなかに押し広げています。
赤いポールや錆びたトタン壁の倉庫、その描写の生々しさと、クリーム色の地面や右手のライトグリーンのふわりとした風合い、さらに後ろに広がる重たい青、さらに向こうの薄紫。おおらかな奥行き感に、この場所の気配のイメージが具体的に思い描かれ、しかしそこに何故横たわってるのよカンガルー。さらに降る雪を思わせる奥の青に乗る白のドット。さまざまな要素の意味不明な関係性に「あれ?あれ?」と思わされキッチュな気配も膨らんで、そして実はもしかしたらいちばん効いているのは画面下に走るピンクの帯。これが現実世界とを仕切る「柵」のようにも感じられ、不思議な距離感を思い起こさせてくれているような気もしてきます。


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栗田咲子 12.JPG



あたかもいくつもの情景を嵌めていくかのように構成された作品も。
色合いや筆致だけでなく、モチーフの配置のバランスにも独得の深みを感じさせてくれて、よくよく眺めているとぱっと観た時のおかしな感じとは裏腹に、ひとつの構図として相当に具現的で整理されていることに気付かされます。
手前の白いテーブルの上に落ちる淡いピンクの花、影も含めてそのやわらかな描写が、どっしりとした赤い鉢に植わる木の部分の抜かれたようなピンクの色面と呼応し合って、不思議な時間性が醸し出されたり。
さまざまなかたちで凝縮されている要素、それらの描写における具象性とズレの応酬。ここにある情報が整理、調整されたかと思えば刹那崩壊、その繰り返しによってこの不思議な空気感へと意識が引き込まれていきます。


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構図の大胆さがもたらす力強さは痛快そのもの。
ちいさな、見逃して然るような要素を敢えて大きく描き出し、その向こうにこの場面の主となるモチーフを登場させ、さらに奥にその場所をいっそう具体的に連想させる情景を描く構成も、栗田さんの描く世界観の独得の豊かさを導き出しているように思えます。そういったシュールな構造で展開することで生まれる違和感は、味わい深い筆致や濃い薄いの色を感覚的に画面に収めていくような大胆さとによっていっそう濃密に醸し出されているようにも思えてきます。


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程よい具象性とズレや違和感とがおそらく感覚的に織り交ぜられて展開される栗田さんの作風。そこに備わる鋭い現代感覚も看過できない要素のひとつのようにも思えます。
色調にしろ登場する人物や動物にしろ、これほどまでに本来あり得ない要素をひとつの画面に共存させているにも関わらず、どこか共感できる時代感覚がが確実に伝わってくるのも実に興味深いです。
そしてその時代感覚が、前回の個展よりもよりシャープな輪郭を伴って展開されているように感じる次第で、そういった印象がどこかシリアスな気配へと転化しているのかな、と。

鮮烈な発色、そのインパクトさえも、今となって思い返すとじんわりと味わい深いもの、どこか郷愁感を漂わせるものに思えてくるのも不思議です。絶対に体験しているはずのない世界に対する何となく分かる感じ。むしろ観てから随分あとになって、奇妙な説得力に満たされているのに気付かされるのも興味深く思えます。


栗田咲子 01.JPG
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2010年02月09日

〜2/6のアート巡り

〜2/6のアート巡り mirror

■1/29 Fri
G-tokyo 2010のプレビューへ。
これまで拝見したアートフェアのなかでもっとも充実した印象を受けました。フェアでありながら、美術館に展示されることで力のある作品がいっそう力強く感じられ、それが何より嬉しく思えた次第で。



■1/30 Sat
東京藝術大学の卒業・修了制作展を。
まず東京都美術館での卒業制作を拝見し、まずデザイン科の小柳景義さんのスケールの大きなペインティングに圧倒され、そして昨年のULTRAでTARO NASUの鹿又さんがフィーチャーされていた加藤直さんの大作、さまざまな要素がバラエティに富んだ筆致で描かれて、グラフィティ的な荒々しい痛快さと一転して細かいモチーフの強烈な具象性、そのコントラストが興味深かったです。
続いて学内展、特に絵画棟が面白く、やりすぎな感じが堪らない栗原森本のインスタレーションに圧倒され、それとは裏腹に高橋麻子さんの室内に入って一見何もない空間から見付けていく過程に引き込まれました。



播磨みどり -光源-
Gallery Jin
東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F
03-5814-8118
1/30(土)〜2/20(土)月火休
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
播磨みどり100130.jpg

不思議な雰囲気を醸し出す写真作品。
これまでの播磨さんの仕事の流れにも沿い、モチーフを立体で再現し、そこに画像を投射、それによって生まれる不思議な3次元性と、その情景に強烈なノイズとして存在する、立体に光が当てられることでもたらされる影。独得の時間が流れているように感じられます。



泉太郎「クジラのはらわた袋に隠れろ、ネズミ」
アサヒ・アートスクエア
東京都墨田吾妻橋1-23-1 スーパードライホール4F
090-9118-5171
1/16(土)〜1/31(日)火休
11:00〜19:00
泉太郎100116.jpg

!Σ( ̄口 ̄;)

なんかもう、凄いインスタレーション。これまで拝見した泉さんの作品の中でもっとも強烈。
広い空間に角材などで創り出される双六、そしてそこかしこにある意味罰ゲーム的なイベントが用意されていて、正面の大きなプロジェクターに映し出されている映像で泉さん扮するウサギ(だと思うのですが・・・ネズミだったかも?)がサイコロ転がしてひとり双六敢行、イベントも水かぶったりなどなど律儀にこなしている様子が撮影されていて、それはもう相当に凄まじいカオスが...。

メインのインスタレーションとは別に、空間の隙間にさまざまなサイトスペシフィックな作品が。ひとつ上の階のモニターで上映されていた巻き尺を片方で褒め、もう片方で貶す、その両方がどうしようもなくヒドい内容で大爆笑した次第。



堂端徹作品展
来来/Lairai
東京都台東区柳橋1-21-6 伊藤ビル5F
03-5829-9870
12/19(土)〜2/20(土)金土のみ
13:00〜19:00
堂端徹091219.jpg

初めて来来/Lairaiへ。
以前の展示の様子を撮影した映像は拝見したことがあって、そのイメージを持ってお邪魔したら展示スペースが狭くてびっくり。
堂端さんの作品はキッチュで、イージーな味わいがまた和やかでコミカルで。ユーモアを狙ってやっている感じはせず、作品の無垢さにわざとらしさがない感じが印象的です。もっと大きな画面などで見たらどうなるんだろう、と。



「誠実な草」 帆苅祥太郎, 興梠優護, 宮田聡志, 杉浦慶太
CASHI
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F
03-5825-4703
1/8(金)〜1/30(土)日月祝休
11:00〜19:00
CASHI 100108.jpg

最終日に再訪、4名のアーティストがフィーチャーされ、それぞれのアーティストのクールさがひときわ前面に押し出されたような感じが印象的です。

帆苅祥太郎さんの立体作品。
壁面に配された黒い装飾、展示スペースのほぼ中央に聳える謎めくオブジェクト、それぞれ重厚な存在感を放っているように思えます。


帆苅祥太郎 02.JPG

帆苅祥太郎 01.JPG



杉浦慶太さんは、前回の個展などで発表されたシリーズの作品を額装し再構成。
キレのあるダークトーンが額に収められることでその硬質な感じがさらに強められ、そのシャープさに惹かれます。


杉浦慶太 01.JPG



初見の宮田聡志さんの作品。
身近なものをいっしょに混ぜ込んで紙に漉き上げたもので、例えば錠剤か何かの薬のパッケージやみかんの皮なども混ざり、異様な生々しさが発せられているようにう思えます。


宮田聡志 05.JPG

宮田聡志 04.JPG

宮田聡志 03.JPG 宮田聡志 02.JPG

宮田聡志 01.JPG


宮田さんのファイルを拝見すると他にもユニークな作品が多く、そちらもいつの日か拝見したいところです。

興梠優護さんは昨年のULTRAにも出品された作品が再登場。
これまでのヌードグラビアを描いた生々しい世界観とある面で通じる情景の臨場感に惹かれます。


興梠優護 05.JPG 興梠優護 04.JPG 興梠優護 03.JPG 興梠優護 02.JPG

興梠優護 01.JPG



NEW WORLD
island
千葉県柏市若葉町3-3
047-170-2404
1/30(土)〜2/28(日)火水休
12:00〜20:00
island11001130.jpg

magical,ARTROOMから独立するかたちで立ち上がったislandのこけら落とし。TSCAで何度も伺ったことのある広い空間に、その門出を高らかに祝うかのようなダイナミックな展示が繰り広げられています。
なかでも興味深いのが、まず淺井裕介さんのインスタレーション。ふたつの空間を繋ぐ通路部分の壁面にびっしりといつものプリミティブな壁画が描き上げられ、いつも以上にその世界観に包み込まれる感じが心地よく、温かみを感じます。
また大田黒衣美さんのガムを使った作品もユニークに感じられます。



柏の後は麻布のホテルMancy’s Tokyoで開催のフェア、Mancy’s Tokyo Art Nightへ。
Wada Fine Artsのゲストルームで展示されていた海老原靖さんの作品がとにかく素晴らしかったです。もとより備える妖し気な気配が空間と調和し、いっそうその雰囲気を濃くしているのが印象深く感じられた次第です。加えてこれまで展開されたシリーズも幅広く紹介されていたのも嬉しかったです。



■1/31 Sun
武蔵野美術大学の卒業・修了制作展へ。
節目の作品ということもあってとは思うのですが、「一生懸命大きな作品を作ったので細かいところは目を瞑ってね」的な印象を受けるものが多いのが残念で。もっとも自身の個性を発揮でき、スキルを活かせるサイズで臨んでも良いのでは、と毎度ながら思う次第です。
WAKO WORKS OF ARTでの2人展が印象に残っている早川祐太さんの作品、さらに天井の高い空間でダイナミックさが増した感じが楽しく、YUKA CONTEMPORARYでのグループショーで拝見している神楽岡久美さんの与えられた空間を活かし切ったインスタレーションが面白かったです。



西原功織 Archives -New paintings and Drawings- archive-B
A-things
東京都武蔵野市吉祥寺本町4-6-2 SATOH BLDG.1F
0422-20-3088
1/31(日)〜3/13(土)月火休
13:00〜19:00
西原功織100131.jpg

前回のarchive-A、ずらりと並ぶ小品による構成も素晴らしかったのですが、続くarchive-Bは大作で構成、入ってすぐ右手に展示されたダイナミックな色面構成の作品に一気に引き込まれます。
サイズこそ統一されているのですが、そこで描かれているのはバラエティに富んでいて、抽象的なものからひとつのモチーフを大きく描き出したもの、そしてこれまで描いたモチーフを細かく画面上に並べて描いたユニークなものと、この幅広さも興味深いです。



■2/3 Wed
廣沢美波 "おもひでころころ"
Ai Kowada Gallery
東京都渋谷区恵比寿西2-8-11ー4F
1/23(土)〜2/20(土)日月火休
12:00〜19:00
廣沢美波100123.jpg

再訪。
ペインティングとぬいぐるみとで構成、あたたかい空間が創り上げられています。
ペインティングは軽やかな色彩が溢れ、虹のようなラインはキュートに交錯し、そこかしこに登場する動物のころっとした表情がまたなんともかわいらしかったり。


廣沢美波 05.JPG

廣沢美波 04.JPG



ふくよかな笑顔にも楽しい気分が膨らまされます。
縁起のよい作品もまた楽しい!


廣沢美波 03.JPG



意表を突くところに展示された作品も。


廣沢美波 02.JPG



溢れる色彩がもたらすポジティブな雰囲気が印象的です。
絵肌もふわふわとした感触で、そのぬくもりの味わい深さにも惹かれます。
そして描き手の楽しさがもっとも強く伝わってきます。無垢なイメージがキャンバスに落とし込まれたような感じで、その瑞々しさに接することが嬉しく、そしてこの感性がこれからどんなものに出会って、そのふわっと膨らむような世界観にどういう変化がもたらされるかも楽しみです。


廣沢美波 01.JPG



酒井龍一「ゆめか、うつつか、まぼろしか」
neutron tokyo Main Gallery + 2F Salon
東京都港区南青山2-17-14
03-3402-3021
2/3(水)〜2/21(日)月休
11:00〜19:00(最終日:〜18:00)
酒井龍一100203.jpg

ていねいな写実表現が、しんしんとした気配を導き出す日本画。
薄暗い照明に深遠にたちのぼる空気感も印象的です。
幾何学的な構図で巧みに奥行き感をもたらす作品のシャープな臨場感、また淡い空気感が繊細に紡ぎ出されたかのような場面など、ある統一感の中でバラエティに富んだ構成も印象的です。



■2/5 Fri
ARTJAM TOKYO 2010 GROUP1 奥まゆみ×張麗寧×中山恵美×入江早耶
ArtJam Contemporary
東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F
03-5449-8122
2/5(金)〜2/21(日)月休
12:00〜20:00
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奥まゆみさんのペインティング、滲む色彩で朧げな気配が紡がれ、メロウな雰囲気のなかでどこかコミカルな物語性が導き出されているように感じられるのが興味深いです。
そして、入江早耶さんのクリイエイションが楽しい!ちびた鉛筆の先に施された彫刻といい、1000円札の作品といい、行為のキッチュさが痛快です。



青山ひろゆき "天使ノセイチョウ"
YOKOI FINE ART
東京都港区東麻布1-4-3 木内第二ビル6F
03-6276-0603
2/5(金)〜2/20(土)日月祝休
11:00〜19:00
青山ひろゆき100205.jpg

さまざまなサイズの画面に登場し、無垢さを溢れさせ、無邪気な仕草でかわいらしい気配をもたらす天使たち。ジェリービーンズなど、楽しいイメージを思い浮かばせてくれるモチーフといっしょにファンタジックな気配を導き出しています。
レモンイエローの壁面に小品が展示された奥の空間もまた楽しい気持ちを膨らませてくれます。



Dream of the Electric Animals 太湯雅晴
H.P.FRANCE WINDOW GALLERY
東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング1F H.P.FRANCE BIOUX 丸の内店
03-3240-5791
2/5(金)〜3/25(木)
11:00〜21:00(日祝:〜20:00)
太湯雅晴100205.jpg

太湯さんというと紙幣のパロディをまず思い浮かべますが、今回はウェブ上にあったさまざまな動物の姿をこれまで培ったスキルで描き出した作品がずらりと並び、これまでとはひと味もふた味うも違う様相を呈しています。
今後の展開もいっそう興味深く感じられます。



TANKA「惑星地球へのパスポート」
GALERIE SHO CONTEMPORARY ART
東京都中央区日本橋3-2-9 三晶ビル B1F
03-3275-1008
2/5(金)〜3/6(土)日祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
TANKA100205.jpg

捉えどころのなさは予想以上。
自身の好奇心や興味に任せてさまざまなモチーフや場面、情景を描いていくような、自由さ、気ままさが痛快な雰囲気をもたらしているように思えます。
さまざまなサイズの支持体に描かれるドローイングからキャンバス作品まで、それらがランダムに壁面に貼られ、また画面を重ねることも厭わない大胆な展示。至近で眺めて謎めきと混沌に翻弄され、俯瞰して見えてくるイメージの景色が興味深く感じられたり。じっくりとこの空間を満たすものと対峙しなければと思わせてくれるて展示です。



AN10 - MOTアニュアル2010
東京都現代美術館
東京都江東区三好4-1-1
03-5245-4111(代表)
2/6(土)〜4/11(日)月休(3/22開館、3/23休)
10:00〜18:00
MOT+100206.jpg

レセプションに伺ってきたのですが、とにかく嬉しい!
僕が感じる限りで、日本のアートの必須要素として「工芸性」は確実に存在していて、その現時点でのいちばん面白いものをセレクトし、しかも「装飾」という副題にあわせて幅広いクリエイションが紹介されているのが興味深いです。
さまざまなジャンルにおける緻密・細密な仕事がずらりと配されることに加え、それぞれの平面のアーティストがここにフィーチャーされていることにもなるほど、唸らされます。



■2/6 Sat
加納明日香展 -わすれたいわすれたくない-
シロタ画廊
東京都中央区銀座7-10-8-B1F
03-3572-7971
2/1(月)〜2/13(土)日祝休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
加納明日香100201.jpg

武蔵野美術大学での修了制作などを拝見した印象では、アンニュイさとどこか儚げな艶かしさが印象に残っているのですが、今回個展で拝見し、メカニカルな描写、細かい描き込みもふんだんに折り込まれ、予想以上にさまざまな見どころに溢れているように思われます。
コミカルにも思えてくる仕草と浮かべる表情の豊かさがシュールに感じられる面白さ。全体的に落ち着いた色調で統一されているのも、独得の気配を深めています。



Hollow/小谷元彦
@メゾンエルメス8階フォーラム
東京都中央区銀座5-4-1
03-3569-3300
12/17(木)〜3/28(日)1/1、1/2、3/17休
11:00〜20:00(日:〜19:00)
小谷元彦091217.jpg

文句なしにカッコいいインスタレーション。
artscapeの福住廉さんのレビューを拝読してからの鑑賞となったのですが、なるほどと思わせてくれる納得の批評でその視点の鋭さに感嘆しつつ、それでもやはり空間にもたらされるダイナミックな浮遊感には感動せざるを得ない、配置なども考え抜かれたと思われるインスタレーションの素晴らしさを堪能できた次第。
アートのなかに留まらない、もっと広いシーンへ向けて発信でき得る小谷さんのクリエイションの真骨頂に触れることができたような気がします。イメージを可能にする素材を研究されたのか、それとも素材との出会いがこのイメージを生み出したのか、そういった想像もまた楽しいです。



山脇紘資 作品展 "『俺の国』in ツァイト・フォト・サロン"
ZEIT-FOTO SALON
東京都中央区京橋1-10-5 松本ビル4F
03-3535-7188
1/12(火)〜2/13(土)日月祝休
10:30〜18:30(土:〜17:30)
山脇紘資100212.jpg

CASHIのグループ展で拝見し、ぼやけた配色で画面いっぱいに描き上げられる動物などの表情の妖しくも力強い気配が印象に残っている山脇紘資さんの個展、さらに大きな画面の作品が壁面を覆い尽くし、圧倒的な空間が創出されています。
その大きな画面に溢れるほどのサイズで描かれるさまざまな動物の顔。潤んだ瞳の仔犬の無垢さも、何かを狙わんとするような細く鋭い瞳孔の猫も、それぞれがぐっとその雰囲気に引き込むように濃厚な気配を発し、対峙した刹那、怯んでしまうほどに観る者の感性を包みます。



かちどき 2
OTA FINE ARTS
東京都中央区勝どき2-8-19-4B
03-6273-8611
1/29(金)〜3/6(土)日月祝休
11:00〜19:00

G-Tokyoでのインスタレーションが「かちどき 1」で、それに併せて開催のグループショー。どっしりとした大作がずらりと並び、それぞれが力強い存在感を放ってブース内に濃い密度をもたらしていた「1」でフィーチャーされた一部の作家の別作品が、今度はこちらの広い空間で、いっそうそれぞれの深遠さ、懐の深さをじっくりと醸し出しているように感じられます。
全10点による組み作品のうち9点を並べた猪瀬直哉さん、個展などで展示された作品とともに、ユニークな視点と構図が妖艶なコミカルさを奏でる樫木知子さんといったフレッシュなインパクトから、同ギャラリーではお馴染みの「しょうゆ画」「かぼちゃ」なども配され、それぞれじっくりと対峙できるクリエイションが堂々と聳え、また佇んでいます。



NEGAM! 2ND EXHIBITION ザギンでシースーを
CASHI
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F
03-5825-4703
2/5(金)〜2/27(土)日月祝休
11:00〜19:00
根上恭美子100205.jpg

だからお前ら!Σ( ̄口 ̄;)

まだわずかな時間しか拝見できていないのですがなんだかどいつもこいつも、といった塩梅で。
ぱっと触れただけでも伝わる、根上さんのキュートな暴走具合が楽しすぎる空間でございます。



永山真策展「portrait」
GALLERY MoMo Ryogoku
東京都墨田区亀沢1-7-15
03-3621-6813
2/6(土)〜2/27(土)日月祝休
11:00〜19:00
永山真策100206.jpg

モノトーン、カラーそれぞれで描かれた後ろ姿の女性の肖像が並び、その1点ごとの確かな描写によって醸し出される澄んだ美しさと、正面から描かれないことで表出される匿名性、それによってその美しさにオーバーラップしてくる妖しい気配に見とれます。空間としても緊張感と静謐感とが満ち渡っているように感じられるのも印象的です。



《買ったCD》
「FRACTALIZED」AOKI takamasa



《買った本》
「鳥有此譚」円城塔
「キケン」有川浩
posted by makuuchi at 07:40| Comment(2) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月07日

review:前田圭介「the patchery」/石森五朗 Possibility of tranlation/東義孝「Dilemma」《1/16、1/23、1/30》

review:前田圭介「the patchery」/石森五朗 Possibility of tranlation/東義孝「Dilemma」《1/16、1/23、1/30》mirror

今期のhiromiyoshiiは3名のアーティストが3つあるスペースそれぞれで個展を開催、そしてそのどれもが興味深く、さまざまな刺激に溢れています。


前田圭介「the patchery」
hiromiyoshii [main space]
東京都江東区清澄1-3-2-6F
03-5620-0555
1/16(土)〜2/13(土)日月祝休
12:00〜19:00
前田圭介100116.jpg

Keisuke Maeda "the patchery"
hiromiyoshii [main space]
1-3-2-6F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo
03-5620-0555
1/16(Sat)-2/13(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
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前回の個展も強く印象に残っている前田圭介さん。
ディテールにおいて記憶が曖昧になったところはあるのですが、前回の個展で発表された作品のモチーフになっていたのは燃える紙屑で、その現象の一瞬をさまざまな角度で捉え、膨らませ、圧倒的な写実性で絵画やドローイングの中で再現し、配置される作品の関係性を探るうちにどんどんとその世界観へと入り込んでいく過程も楽しかったことは忘れ難く。
そして今回、まず拝見して表現される時間的なモチーフが若干広げられたような印象を受けます。前回同様いわゆる大作というサイズのものはないものの、前回よりもややゆったりとしたインスタレーションで、静謐と緊張感をこの広い空間にもたらしているように思えます。


前田圭介 06.JPG



「かもめのジョナサン」を読み耽る女の子。
そのシーンに潜むさまざまな光景が、巧みな描写と構成によって美しく引き出され、バラエティに富んだかたちで空間に配されていきます。

入り口側、手前に展示されたドローイングからは儚げな気配が漂います。
繊細なタッチと朧げな風合いを醸し出す淡い色調。次の刹那には失せているかもしれない、そういう緊張感を奏でているように感じられます。


前田圭介 05.JPG



一転してペインティングは力強い色彩が観る者に迫ります。
高い写実性はクラシカルな風合いを発し、それが絵としての説得力を高めているように思えます。


前田圭介 04.JPG

前田圭介 03.JPG



入り口正面奥と、カウンター右の壁面とに1点ずつ展示された金縁の額に収められたドローイングは、いっそうの深い気配を放っているように思えます。
手に持つペーパーバック、その表紙はやや朽ちているのですが、しかしその質感は長きに渡って受け継がれ、時空を超えて多くの人の手に渡って現在に至るような味わい深さを思い起こさせます。


前田圭介 02.JPG



展示されている作品1点ずつとの対峙からも充分に充実した満足感が得られます。描写の美しさもさることながら、そこに紡ぎ込まれる気配の深みに想像もいっそう膨らんでいくように思われます。

そして、展示全体を俯瞰した時の感動といったら...。
印象として、1冊の本(今回モチーフとなっている「かもめのジョナサン」ではなく、もっと普遍的な意味で...)を乱読していっているかのような。膨らんでいたり縮こまっていたりしながら寄り添い、はたまた交錯,衝突する時空を精神が往来し、迷い、微睡んでいくようななんともいえない、得難いイメージの世界へとどんどん引き込まれていきます。

並ぶペインティング、ドローイングの関係性を探るのはホントに楽しいです。
唐突に配置される色調、質感共に濃い青のペインティング、これがここに横たわる複雑な時空のどこが引き出されているのか、どの部分を挿しているのかを思うだけで、あっという間に時間が過ぎてしまう...。右端の海景にカモメの姿を重ね、またその情景は女の子の想像なのかも、と思うと、普段からは思いもよらぬ地点へとアプローチしようとしている状況に気付かされてたじろいだり、何らかの形で展示される全ての作品に共通のモチーフが存在していた前回個展とはまた異なる、ひとつひとつの画面における情景との接点を探り、脳内で手繰って導き出していく行為、そのスリルがとにかく堪らないんです。

充分な時間を取って臨んでほしい、深い感動と感嘆に満ち溢れる至高の展示と思います。


前田圭介 01.JPG



石森五朗 Possibility of tranlation
hiromiyoshii [small space]
東京都江東区清澄1-3-2-6F
03-5620-0555
1/16(土)〜2/13(土)日月祝休
12:00〜19:00
石森五朗100116.jpg

Goro Ishimori "Possibility of tranlation"
hiromiyoshii [main space]
1-3-2-6F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo
03-5620-0555
1/16(Sat)-2/13(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
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3つあるなかでもっともコンパクトなスペースでの石森五朗さんの個展、こちらはバラエティに富んでいながら、殺伐としたストリート感覚と、虚無的な世界観が伝わってくるような場面がさまざまなサイズで描かれています。そしてそれらがぎっしりと展示されることで凝縮感も生み出され、気配としての惰性を満たしながらも相当に濃密な空気感が溢れているように思われます


石森五朗 12.JPG



採用される支持体がユニークです。
さまざまな布地、質感はもとより、作品によってはパターンがプリントされたものなども用いられ、その質感や色が画面に浮き出て不思議な臨場感が醸し出されます。
ごわっとした粗い目のものから合成繊維のつるりとした肌合いのものまで実に多彩な布地が使われていて、描いた感触をざらりと強烈に残す絵の具の質感と時に違和感と行ってしまえるほどの大胆なギャップやコントラストを生み出し、それがそれぞれの絵の面白さへと転化されているように思えます。


石森五朗 11.JPG 石森五朗 10.JPG

石森五朗 09.JPG

石森五朗 08.JPG 石森五朗 07.JPG

石森五朗 06.JPG



描かれるモチーフの幅広さが混沌とした気配をもたらします。
ペインティングでびっしりと埋め尽くされる壁面の迫力、何故それが思い浮かんだのかが分からない理由も関連もない記憶の連鎖。瞬間的にポジティブな風合いも放たれているように感じられ、それがまた混沌へと観る者のイメージを導いていくように思われます。


石森五朗 05.JPG 石森五朗 04.JPG 石森五朗 03.JPG

石森五朗 02.JPG



そして、それほどの濃密な臨場感に包囲されながら、ひとつひとつの作品に描き出される情景へのイメージの侵入が許されないように感じられるのも印象的です。いくつかのフィルター越しに見る記憶、それによる詰めきれない距離と、一転して絵肌の生々しさ、粗い質感が醸し出す現実感、それは力強く迫ってくるという...。この要素が混在して創り出される雰囲気に翻弄されるのがなんとも痛快です。

もっとおおきな空間で、大作で、同様な距離感と臨場感を提示されたらどうなるだろう、と想像すると、どうしようもなく高揚してきます。独得のダイナミズムの今後の展開も楽しみです。


石森五朗 01.JPG



東義孝「Dilemma」
hiromiyoshii [small space]
東京都江東区清澄1-3-2-6F
03-5620-0555
1/16(土)〜2/13(土)日月祝休
12:00〜19:00
東義孝100116.jpg

Takayoshi Azuma "Dilemma"
hiromiyoshii [main space]
1-3-2-6F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo
03-5620-0555
1/16(Sat)-2/13(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
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遊び心がキッチュに深化したかのような。
さまざまなシルエットのなかにパンパンに詰め込まれる物語性は濃厚なカオスとインパクトを放ち、それでいてまるで映画のようなエンターテイメント性にも富んだ情景を創出していきます。

東義孝さんの個展。ずらりと並ぶ作品のひとつひとつで、キャッチーな描写でダイナミックなストーリーが展開され、同時にそのダイナミクスがシルエットのなかで窮屈に収められているという、ある種のシュールさに満ちる世界が繰り広げられています。


東義孝 16.JPG



人体のシルエットを取り込んだ作品。
正面から見て胴体に重なる腕の輪郭も律儀に再現され、その奥行き感が不思議な空間性のイメージを思い起こさせてくれます。
そして、描き込まれるさまざまなモチーフは縮尺やテーマ性も含めて実に雑多で、描かれるひとつひとつが丁寧に表現されているだけに相当に濃密なカオスがその閉じたなかに充満しているように思えてきます。大自然を想起させるものがあるかと思えばスキャンダラスな要素も投げ込まれていたり、隣り合う情景はあからさまに衝突し合い、しかしある瞬間に関係性をキャッチするとその中のモチーフや情景が一気に組み上がり、壮大な物語を構築していくような痛快なイメージも湧いてくるから不思議で面白いです。


東義孝 15.JPG 東義孝 14.JPG 東義孝 13.JPG 東義孝 12.JPG

東義孝 11.JPG

東義孝 05.JPG 東義孝 04.JPG 東義孝 03.JPG

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展示されているもっとも大きな作品は、おそらくゴリラのシルエットかと。。。
稜線で区切られたパーツごとに情景も分割され、しかしその一部からは溢れ飛び出すようにしてさまざまなモチーフが描き出され、例えば上方から降るように眼科へと飛び込んでいく人々のアクロバティックな滑稽さ、疾駆するシマウマのダイナミズムなど、それぞれがエネルギーを発し、ひときわ動的なイメージが思い浮かんできます。


東義孝 10.JPG 東義孝 09.JPG 東義孝 08.JPG 東義孝 07.JPG

東義孝 06.JPG



「なんでいっしょに?」という情景群。ほぼ無関係な要素が隣り合うことで生み出されるエネルギーがダイナミズムを迸らせ、壮大な絵巻のようなスケール感を、しかもアイデアとしてのユーモアもたっぷり織り交ぜて展開されていくさまは圧巻、そしてこれ以上なく痛快です。


東義孝 01.JPG
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2010年02月05日

review:名知聡子展 告白《1/16、1/23》

review:名知聡子展 告白《1/16、1/23》mirror

名知聡子展 告白
TOMIO KOYAMA GALLERY
東京都江東区清澄1-3-2-7F
03-3642-4090
1/16(土)〜2/13(土)日月祝休
12:00〜19:00
名知聡子100116.jpg

Satoko Nachi Confession
TOMIO KOYAMA GALLERY
1-3-2-6F,Kiyosumi,Koto-ku,Tokyo
1/16(Sat)-2/13(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00-19:00
Google Translate(to English)



大きな画面で紡がれる、アンニュイな雰囲気。
その臨場感に心が深々とざわめいて。。。



TOMIO KOYAMA GALLERYでの名知聡子さんの個展です。
名知さんはほぼ偶然に大学の卒業制作を東京で拝見していて、その時は大画面に力強く、そして荒々しささえも感じられるダイナミックなコラージュ作品の圧倒的なエネルギーに呆然とさせられたのを思い出します。
その記憶が遠くへと押し込められた頃に、オペラシティで拝見した巨大なペインティング。そのバイタリティにあらためて感嘆させられたのと同時に、やや違うほうへと話が逸れますが、やりたいことを思いっきりやることの重要さを思い知らされたように感じられました。


そして、今回の個展。
国内屈指の巨大な壁面を備える同ギャラリーのメインスペースでの展示で開催されるとあっては期待も高まったのですが、それに充分すぎるほど応えてくれている、描くことが持つ力強さに満ちたインスタレーションが創り出されていて、心から快哉を叫んだ次第です。

まず、手前のちいさなスペース、こちらに3点の肖像画が。


名知聡子 25.JPG 名知聡子 24.JPG 名知聡子 23.JPG

名知聡子 22.JPG



大きな画面であっても、もとい大きな画面だからこそ、実に巧みに描き出される陰影。
やや暗めの照明が、そのアンニュイな気配を、繊細な雰囲気を、絵肌と同様にていねいに引き出しているように思えます。
また、至近で眺めた時の色の粒子にミニマムな好奇心も膨らまされます。これほどまでに写実性の高い肖像が、緻密な筆使い、またもしかしらたエアブラシなども用い、無数の手数とミニマムな要素の積み上げによって構成されていることを実感させられるのも嬉しく感じられます。


名知聡子 21.JPG 名知聡子 20.JPG 名知聡子 19.JPG 名知聡子 18.JPG 名知聡子 17.JPG

名知聡子 16.JPG



メインスペースへと向かう通路から。
眼前に現れるとんでもない情景に、不意に歩みも止まり、思わず漏れる溜息。
いったいどれだけのスケール感がそこに存在し、展開されているのだろう...そういう期待感が一気に高まり、無我の境地で展示スペースへ。


名知聡子 15.JPG



圧倒的な。。。
縦2m、横8m。大きな壁面のほぼすべてを覆い尽くすこのサイズのペインティング、しかし画面の隅々なで一切の隙を感じさせない、圧巻の情景がこれ以上ないというほど臨場感たっぷりに提示され、刹那、立ち尽くします。
漂う幻想的な雰囲気。上から落ちていく女性が浮かべる表情のどこか醒めたような感じが、大人びたファンタジックさを醸し出します。背景にびっしりと描き込まれるステンドグラスを思い起こさせる滲んでぼやけるパターン、そこに重ねて描かれる金の装飾の絢爛。スカートの布地のうねりも実にリアルに描写され、落ちる女の子の纏うドレスの豪奢な感じもこの繊細で朧げな気配に力強さをもたらしているように思えます。
何より、ほんのりと金色に輝く女の子の素肌に惹かれます。このサイズでの展開も相まって、浮遊感を伴って放たれる神々しい色香にただ、まさに周りが見えなくなるくらいに引き込まれるんです。


名知聡子 14.JPG 名知聡子 13.JPG 名知聡子 12.JPG 名知聡子 11.JPG

名知聡子 10.JPG 名知聡子 09.JPG 名知聡子 08.JPG 名知聡子 07.JPG

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あこがれの女性を描いたという作品も。
ひときわ高貴な気配が漂います。


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2点だけ展示されている写真作品。
それぞれ異なる風合い、仕上がりでありながら、ペインティングとどこかしら通じる気配が感じられるのも興味深いです。


名知聡子 03.JPG

名知聡子 02.JPG



この空間が体感できたこと、これだけのスケールで絵の力、表現の力を感じ取れたことが何よりもまず嬉しいです。
この巨大な、おそらくなかなかお目にかかることの叶わない圧倒的なサイズで、絵画の大人びた幻想的な世界が迫るような雰囲気がもたらされ、そこへ感性が深く沈み込むような印象。充分な「引き」で、それぞれこれだけの大作を俯瞰して観られるのもありがたく、また至近で視界が絵の世界に完全に支配され、さらにこの気配に入り込んでいけたことも心に深く残ります。


名知聡子 01.JPG
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2010年02月04日

review:市川孝典 作品展「murmur」《1/16、1/23》

review:市川孝典 作品展「murmur」《1/16、1/23》mirror

市川孝典 作品展「murmur」
FOIL GALLERY
東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤201
03-5835-2285
1/15(金)〜2/6(土)日休
12:00〜19:00(初日:〜18:00)
市川孝典100115.jpg

Kosuke Ichikawa murmur
FOIL GALLERY
1-2-11,Higashi-Kanda,Chiyoda-ku,Tokyo
03-5835-2285
1/15(Fri)-2/6(Sat) closed on Sunday and national holiday
12:00-19:00(Opening day:-18:00)
Google Translate(to English)



焦げ朽ちた紙は、焦げることでむしろ繊細さを増す。、
そこから放たれる色香、色気に...



ただ、耽溺する...



FOIL GALLERYでの市川孝典がとにかく素晴らしいのです。

昨年初めて市川さんの作品を拝見したときの衝撃。
描かれる情景やモチーフはリアリティが深く追い極められ、しかしそれが、「焦げた紙」で表出されている、という事実の凄まじさ。
普遍的な「描く」という行為が支持体に絵の具を乗せる、もしくは染めると言うことであることを考えると、紙を焦がす行為は確実に相反していて、しかし眼前にあるものの臨場感たるや、それを創り出すためにどれだけの集中力を維持しなければいけないのかと...。

今回の個展、市川さんご自身が実際に彷徨われた森を、記憶に基づいて制作された作品が並んでいます。


市川孝典 19.JPG



用いられる紙に、今回は和紙を採用したとのこと。
市川さんから伺って驚いたのですが、この強靭な和紙は繊細な炎に晒されて無数の穴が開けられているにも関わらず、水張りができるほど丈夫なのだそう。
それが、線香による絶妙な炎で描かれたさまざまな緻密な表情にいっそう濃密な臨場感をもたらしているように感じられます。
実際、数点の作品は「生」の状態で展示され、焦げ痕の生々しさも、微妙なグラデーションも、いっそう鋭く、濃くその風合いが観る者に届きます。


市川孝典 18.JPG 市川孝典 17.JPG 市川孝典 16.JPG

市川孝典 15.JPG



そして、市川さんの記憶に沿うさまざまな森の情景がこの空間に「まさにそこ」という配置で落とし込まれ、やや暗めの照明も相まって、その気配へといつしか迷い込んでしまっているかのような感触に包まれます。
モノトーンの静けさと深みは実に心地よく、それぞれの作品を至近で眺めたときに心に充満する興奮も、また俯瞰したときのあまりのリアリティへの驚嘆も、すうっと降り注ぎ、澄み渡るような凛とした空気感によって、程よく刺激を抑え込んで冷静さを呼び込んでくれる用な気がするのも印象的です。


市川孝典 14.JPG

市川孝典 13.JPG


市川孝典 12.JPG 市川孝典 11.JPG 市川孝典 10.JPG

市川孝典 09.JPG



いちばん奥に展示された作品の存在感は、いっそう鮮烈に伝わります。
今回展示されているなかでおそらくもっとも大きな作品、その画面に精緻に再現される情景は自然にもたらされる混沌といった風合いで、雑草、蔦、折れる枝、幹とそこにあるものが醸し出すさまざまな気配に大いに引き込まれ、また重ねて焦がされ黒の色面と化した部分と、白い紙が大きく残る箇所は光が広がっているかのよう、同時にあたかも記憶が飛んでしまっているかのようでもあり、そのふたつのトーンがひとつの画面に大きなコントラストを導き出して、より深い空気感、そしてそこに流れていた時間,瞬間が貫かれ、時空をも横切る鋭いダイナミズムをもたらしているように思えます。


市川孝典 08.JPG 市川孝典 07.JPG 市川孝典 06.JPG

市川孝典 05.JPG



そして至近で眺めると、今度は燃えた紙の生々しさが鮮烈に伝わります。
水張りによってもたらされる緊張感、強靭な紙とはいえおそらくギリギリの強度によって保たれるスリリングな質感。そして焦がされ大きな穴が出来た部分あたりはやや撓んで下の黒いパネルから浮き上がり、その僅かにめくれた黒焦げの紙の強烈な危うさに,心底痺れます。


市川孝典 04.JPG 市川孝典 03.JPG

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実にクールな気配が満ち渡っています。
微細な濃淡、グラデーションの絶妙さなど、用いる素材(主に紙、それに付随して可能になった展示方法など)や何十という種類にも渡る線香のサイズと炎の強弱によって丁寧に紡ぎ出される表情が醸し出すスリルにいっそうのシャープさが獲得されたかのようで、作品自体を観て感じることも、またそこを基点に馳せる想いもより深遠に広がっていきます。

そして、そこから醸し出される色香。
これだけ凄まじい仕事の質と量が提示されいて、無論それを実現している市川さんのコンセントレーションの凄さには感じ入るのですが、それらがむしろ自らも記憶へと引き込まれて作られたかのような、憑かれたように制作されている様子が伝わってきて、全体的に広がるクールネスとともに、相当に人間らしく、どうしようもない人の仕事としての残り香、感情の生々しさにも圧倒され、そして惹かれるんです。


市川孝典 01.JPG
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2010年02月03日

review:大竹司「ビニル」《1/9、1/23》

review:大竹司「ビニル」《1/9、1/23》mirror

大竹司「ビニル」
山本現代
東京都港区白金3-1-15-3F
03-6383-0626
1/9(土)〜2/6(土)日月祝休
11:00〜19:00(金:〜20:00)
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OHTAKE Tsukasa 'VINYL'
YAMAMOTO GENDAI
3-1-15-3F,Shirokane,Minato-ku,Tokyo
03-6383-0626
1/9(Sat)-2/6(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00(Fri:-20:00)
Google Translate(to English)


バリバリと電気が走るような衝撃的な情景。



山本現代での大竹司さんの個展です。
前回の個展での福助のインパクトは今だ忘れられず。
しかし今回はその福助こそ登場しないものの、無数の生物たちがある土地の断面を思わせる上下にシャープに分割される画面のなかに描き込まれ、情報量としては実に賑やか、しかしどこか博物館の図表的とでも言いたくなるようなほどに、ほぼ全ての動物たちは同じ表層で同じ方向を向いていて、その律儀さはむしろ無機的。
そして、その画面から放たれるエネルギーがビビッとスパークし、まさに電気のようなインパクトに圧倒されます。

まず最初に出迎えてくれるのが、もうひとつの大竹さん本領である切り絵。
ふたつ折りした紙に鋏で切り込みを入れて制作される切り絵、その精緻さには脱帽し切り、同時に妖し気な気配をも醸し出しているように思えて、するりとその世界観に引き込まれていきます。


大竹司 25.JPG

大竹司 24.JPG



ペインティングはとにかく圧巻です。
大作を中心に構成され、そのサイズが放つインパクトはもちろん、登場する動物の描写に注がれるリアリズムと仄かに漂うコミカルな表情など、そこに備わる要素が渾然一体となり、ダイナミックなうねりも伴う濃密な世界観で迫ってきます。

全体を覆う黄色がこれまで抱いたことのない独得の妖しさを放つ作品。ひとつの層がレイヤー的に被さっているようなもどかしい感じが逆に痛快です。一方でひとつひとつのモチーフに目を向けると、地上に並ぶ動物たちの何となくメロウな表情と佇まいがシュールに感じられ、一転して地では一部解剖図のように描かれる鯨がこれだけ唐突であるのに違和感なく絵の世界に馴染んでいることに気付いて驚き、地底の洞穴や窟がむしろ奇妙な空間性を思い起こさせてくれたり、また無軌道に交錯する奇妙な線の交錯と密集が惹起させる焦燥感、ふたたび地上に目を向けてずっと遠くの山並みがコミカルで...などなど、整理された構図に配される多くの要素が響き合い、また衝突し合い、さまざまな想像が沸き起こってくるんです。


大竹司 23.JPG 大竹司 22.JPG 大竹司 21.JPG 大竹司 20.JPG

大竹司 19.JPG



一転して色彩が本来持つエッジが鋭く立ち上がり、その強さが際立つ作品。そのヴィヴィッドさが醸し出す気配に好奇心もぐっと引きつけられます。
地上のキノコ、水面下の魚、それぞれにコレクション的な面白さが伝わって、その賑やかさと、これだけ色が溢れていながら不思議と標本を思わせる無機質さも面白く、海底に沈むスカルや箱など、一方で空に浮かぶ雲のダイナミズム、このギャップの大きさも壮大なイメージを想起させてくれます。


大竹司 18.JPG 大竹司 17.JPG 大竹司 16.JPG

大竹司 15.JPG



今度は要素が抑え込まれ,ひときわシンプルな構成。
海面から抜き出る木の枝らしきものに留まる爬虫類、そこに当たっているのか、それともその爬虫類が放っているのか、ありえない無軌道な軌跡で錯綜する稲妻が強烈なインパクトを奏でます。ポップでクールな色彩感がアニメ的な親しみやすさをもたらしながら、何かとんでもないスケール感を思い起こさせ、むしろ映画的、壮大な叙情詩の序章にような印象はこの物語性をおおいに盛り上げます。またその一方で山並みや水面の線などの味わい深い表情にも惹かれます。


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大竹司 11.JPG



奥には切り絵作品も。
危うさ、妖しさを発しながら、どこかコミカルな表情を感じさせてくれるのが面白いです。ペインティングとは異なる色彩の立ち上がり方が、展示にアクセントをもたらしているようにも思えます。


大竹司 10.JPG 大竹司 09.JPG

大竹司 08.JPG



立体作品も楽しい!
ペイんティんグの世界観がコンパクトに3次元に落とし込まれたような痛快さが堪らないです。かわいらしさもいっそう加速して迫ってきます。


大竹司 07.JPG 大竹司 06.JPG 大竹司 05.JPG 大竹司 04.JPG

大竹司 03.JPG



そして、壁面に設置された棚の上に置かれるふたつの箱。
こちらはそれぞれ正面に穴があって、そこを覗くと...。


大竹司 02.JPG



さまざまなメディアで展開されるバラエティに富んだ世界観。そこから溢れる要素のひとつひとつは結構なインパクトを備えていて、めくるめく展開される物語性のダイナミズムに圧倒されます。
それでいて失われない統一感。一貫する強度にも感嘆させられた次第です。



大竹司 01.JPG
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2010年02月01日

review:Words lie 松田啓佑個展《1/16》

review:Words lie 松田啓佑個展《1/16》mirror

Words lie 松田啓佑個展
eN arts
京都府京都市東山区祇園北側627 円山公園内八坂神社北側
075-525-2355
12/19(土)〜1/17(日)金土日のみ(その他の曜日は事前予約)
12:00〜18:00
松田啓佑091219.jpg

Words lie Keisuke Matsuda
eN arts
627,Gion-kitagawa,Higasiyama-ku,Kyoto-shi,Kyoto-fu
075-525-2355
12/19(Sat)-1/17(Sun) only Friday to Sunday (appintment only on anather days)
12:00-18:00
Google Translate(to English)



eN artsでの松田啓佑さんの個展、最終日直前に滑り込みで拝見することができました。
松田さん、2009年のART AWARD TOKYOへも出展されていて、その際も佐藤直樹賞を受賞され、その授賞式での佐藤さんのコメントが「分からなかったから賞に決めた」という趣旨のことを仰っていて印象に残っているのですが、僕自身もそのときに松田さんの作品を拝見した時に「・・・なんだろ,,,?」と相当に謎に感じたのを覚えています。

で、今回の個展に伺って、そのときにART AWARD TOKYOで拝見していたことを思い出しました。作品を直に拝見して徐々に記憶がほぐれていく感覚。
謎めく感じは相変わらず、しかしこちらでは個展でということもあり、松田さんが発する世界もいっそう濃く伝わってきて、その生々しさ、土臭さ、そして強烈な可能性を感じた次第です。

入り口から力強い世界がぐんと迫ってきます。
ダイナミックな筆致、配色。垂れる絵の具、濁る色彩、そこで起こることはすべておおらかに受け入れながら、しかしその偶然性に負けない濃厚な何か。画面より圧倒的に人間的な気配が放たれているように感じられます。


松田啓佑22.JPG



展示スペース内に入ってまず出迎えてくれたのが比較的コンパクトな作品が纏めて展示される一角。
幼虫のような異様に有機的なモチーフ。そのどくどくしい感じが抽象性のなかで強烈な存在感を醸し出しているように思えます。


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全体的に貫かれる粗野な感じは、空間にいてそれらと過ごすうちにだんだんと慣れてきて、それにつれて作品が放つ人間的な魅力にも惹かれていきます。
展示全体を通じて多用される茶系の色彩は土っぽさを感じさせ、画面を這い、垂れ、盛り上がる絵の具の質感は,相当に抽象的でありながら、どっしりと重厚な気配も醸し出し、不思議と内省的な刺激をもたらします。内へ内へとぬるぬると、のしのしと入り込んでいく感じ、眺めていてその状況も受け入れつつ、違和感と心地よさとが混ざり合ってなんともいえない気分が広がるんです。


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縮尺のイメージの帰結,解決を許さない情景にも、否応なく意識が引き寄せられます。
一旦気になってしまった謎は最後まで粘ってなんとかその輪郭を捉えたいと思うもので、次から次へと現れる松田さんの世界に、そのうねる感じ、湧く感じ、動的なイメージと対峙しながら...しかし謎は謎のまま深まる一方で。


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書道を思い起こさせる力強いストローク、そのファットな風合いにもいつの間にか惹かれている次第。
分からないことは保留したまま、画面に投入される行為の痕跡とそれらがもたらすさまざまなテクスチャーに、さらに時おり具体的なモチーフが登場してその情景の縮尺のイメージとスケール感が何となく掴めたあたりからどんどんこのもっさりとした世界へと引きずり込まれていくという...。


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こうなると、それぞれの作品の「絵画」としての、さらには「もの」としての仕上がりの粗さもだんだんと魅力に思えてきます。パネルに直描きのもの、キャンバスのものとそれぞれあるのですが、キャンバスの時に創出される少なくとも絵画として充実した感じも、またパネルでの異様な生々しさも、松田さんの個性として捉えられるように感じられます。
そして、そういった粗い質感が、描かれる情景の濃密な空気感がはみ出てきた様子にも思えてきたり。。。


松田啓佑02.JPG



迷う前に描く、迷ったら迷ったでいいからそのまま描く...そういうスタンスを思い起こさせてくれます。
そうやって、画面にもたらされる身体性に溢れずっしりと重々しく躍動する作品群。さまざまな感情が交錯し、それによって無数の奇跡も画面のなかに引き起こされているように思えます。
これからどんな世界を描いていくのか興味津々です。


松田啓佑01.JPG
posted by makuuchi at 21:06| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする