@SPICA art
東京都港区南青山4-6-5
5/1(木)〜5/20(火)
12:00〜20:30
Through the Mountain Youna Kousagiuguisu
@SPICA art
4-6-5,Minami-aoyama,Minato-ku,Tokyo
5/1(Thu)-5/20(Tue)
12:00-20:30
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無駄も不足もないデフォルメーション。
おそらくもっともインパクトのあるアーティストネーム、耀樹孝鷺鴬(ような こうなぎうぐいす)さんのSPICA artでの個展です。
耀樹さんの作品は、昨年のシェル美術賞ではじめて拝見し、4コマのマンガ風の作品があの空間において特に異色を放っていたのを記憶していて、それに続いて本年の岡本太郎賞展でも入選されているのもチェックしていて、お名前とともにその独特の画をすっかり覚えてしまったのですが、今回はじめて個展で拝見することができ、作風とともに素材のユニークさもじっくりと堪能することができました。
まず、胸にスコップのシルエットをたたえた兄弟たちの絵がお出迎え。
1コマだけ提示されたマンガのような感触で、しかし1コママンガとは違う意味でひとつの画面から発するユーモラスな雰囲気とストーリー性が妙にツボにハマります。
実にシンプルな構成です。
実際の風景をモチーフに、遠近感や立体感を基本的に直線でデフォルメし、黒い線で描く、という統一されたスタイルで、かつ同一の大きさのスクエアのパネルで展開し、絵の構図、展示ともに、不必要な奇を衒わない展開が繰り広げられています。
下地に広がる、未来的でかつ味わい深いムラが残されたグレー。
塗った筆の動きの跡も比較的しっかりと残っていながらも、むしろ未来的な感触が伝わります。
そして、そういう下地の上に乗る線。
すべての線がムダもムラもなく緻密に配置され、風景がシャープで図形的な絵となって表現されている一方、その線は丸みを帯び、同時にもこもこと画面から盛り上がっていて、素材的なインパクトも結構強かったり。
使用されている絵の具はTシャツのプリントなどにも用いられるシルクスクリーン用のものなのだそう。
服にプリントされることもあるために乾燥後も伸縮性のある素材で、そのゴムのような有機的な質感が線からもしっかりと感じられます。そしてその素材感が、耀樹さんのペインティングの独特なユーモラスな感触をより力強く、しかしあたたかく押し上げているように感じられます。
しかし、無駄がない!
すっきりさっぱりと表現された風景や場面は静かで穏やかで、なのに未来的な洗練も感じられます。
その風景に吹く風や、走る車の臨場感、さまざまな要素が伝わってくるような気がしてしまうから不思議です。
1点だけ展示された黄色い作品。
シンプルなことは他のグレーの作品と変わらないはずが、この黄色の発色がより鮮烈に感じられ、ホワイトキューブにモノクロームの線画が展示されたなかでひときわ強烈なアクセントとなっています。
そんな作品の中に登場する人の顔が渦みたいになっているものだから、余計に大きなインパクトが提示されているように感じられます。
耀樹さんはもともマンガも描かれていたことがあるそう。現在の作風も納得です。
で、こういったかたちで表現されることで、1こまの力強さや存在感をより立ち上がらせることを可能にし、さらにユニークな素材を用いたり大きな画面で描くことでその個性をより高めているように感じられます。
作品も空間もシンプルで、かつポップでキャッチー。
入って作品が目に飛び込んできた瞬間にすっとその空気をポジティブに楽しめる、そういうクリエイションに巡り合えるのはホントに嬉しいです。


