vol.2、アップされました。
ex-chamber_memo_top.jpg
ex-chamber memo vol.1
new articles

2008年01月08日

review:トーマス・ボーレ陶器展 ちび陶《1/5》

<トーマス・ボーレ陶器展 ちび陶
GALLERY ef
東京都台東区雷門2-19-18
1/1(火)〜1/21(月)火休(1/1を除く)
12:00〜21:00(1/1:〜19:00)
トーマス・ボーレ080101.jpg

Thomas Bohle ceramic exhibition CHIBI-Toh
GALLERY ef
2-19-18,Kaminarimon,Taito-ku,Tokyo
1/1(Tue)-1/21Mon) closed on Tuesday (1/1 is open)
12:0021:00(1/1:-19:00)
Google Translate(to English)



不思議な魅力を放つ、たくさんの陶器。



GALLERY efが2008年最初に紹介する企画が、トーマス・ボーレさんの小さな陶器です。

土蔵のちいさな入口をくぐると、低い台の上にずらりと、さまざまなかたち、さまざまな色の、独特のかわいらしさと味わいを放つ陶器が並んでいます。


トーマス・ボーレ01


やさしい膨らみをもったもの、すらりと平らにその縁を広げているものと、今まで観たことがない斬新なフォルムの陶器の列。
もちろん、ひとつたりとも同じ形のものはなく、色についても陶器らしい渋い色味のものもあれば、澄んだ黒のものもあったりと、バリエーションに富んでいて、たくさんあることも楽しい気分にさせてくれます。


トーマス・ボーレ03 トーマス・ボーレ04 トーマス・ボーレ05

トーマス・ボーレ02



それにしても...

ホントに不思議なかたちです。
多くの器が小さなくぼみを持っていて、いわゆる「和」の食材、料理がそこに盛り付けられるイメージが湧いてこない...。
およそ縁の直径が十数センチの中央に、あるいはほぼ球体の天辺にある、ちょっと深めのほぼ御猪口くらいのくぼみで、醤油とかお酒を注ぐにしても、体積的にはちょうどよくてもちょっと使いづらそうだったり...。

・・・しかし、この独創的なかたちが、陶器そのものがもつ雰囲気をより個性的なものへと押し上げているだけでなく、西洋の感性が捧げる東洋文化へのリスペクトが伝わってきたり、それでも「どうやって使おうかな
...」と考えを巡らせてしまいたくなるほどに抗い難いかわいらしさも醸し出しています。


空間の中にひとつだけ、香炉として使われているものがあって、なるほどなぁ、と思ったり。


トーマス・ボーレ06



2階にもたくさんの器がずらりと。
階段を登っていって、こちらではちょっと高めの台に並べられている陶器の側面のフォルムが視界に入ってきて、その洗練されたフォルムにもぐっと心を掴まれます。


トーマス・ボーレ14



くぼみの内側に塗られた釉薬の透明感や、外側の滋味溢れる色調など、目に届くさまざまな色は、そのまま「自然」のイメージへと繋がっていくような印象を受けます。
瑞々しい果実のようでもあったり、あるいは清流に誘われて磨かれた石のようでもあったり、人の手を介した「クリエイション」であるにもかかわらず、ナチュラルな味わいが伝わってきて、そのやさしい風合いもたいへん心地良く感じられます。


トーマス・ボーレ10 トーマス・ボーレ11 トーマス・ボーレ09

トーマス・ボーレ15



で、なにより印象的なのが、この独特の「膨らみ」です。
展示されている器はすべて轆轤で形成されるそうなのですが、陶器のお皿としては有り得ないこのファットな感じはいったいどうなっているのだろう、と。

・・・中が空洞になっているのです。
手にとってみると、イメージよりもずいぶん軽いことに驚かされます。
丸みを帯びたものはもちろん、表面がフラットなものまで...作品によっては折り返された縁が脚の部分でくるりと巻き込んであったりして、さらにびっくり。

いったいどうやって形成していっているのだろう、と、その制作風景も実際に観てみたい、という衝動も湧いてきます。
実際にご覧になったこちらのギャラリーのスタッフの方のお話によると、「観ても信じられなかった」そうなのですが...(笑)。

嬉しいことに、現在発売されている雑誌「ソトコト」に、ボーレさんの陶器のレントゲン写真が掲載されています。
スパッと輪切りにされたような陶器の姿。外側のシルエットが洗練されているだけでなく、見えない部分も実になめらかなフォルムが形づくられていることには、驚きと同時に、心底感動させられます。


トーマス・ボーレ08 トーマス・ボーレ07

トーマス・ボーレ12



思い返すと陶器、焼物の展示も拝見する機会は以外と多いような気がしますが、作品そのものの魅力に加え、どんなに若いアーティストの作品であっても、太古から連綿と続けられる手法が積み上げてきた歴史がもつ懐の深さが感じられ、さらに東洋人としてのアイデンティティなども認識させられるような気がします。

だからこそ、今回のトーマス・ボーレさんの作品群を拝見し、やはり歴史の流れに沿う焼き物の独特の深みのなかに、穏やかな斬新さを感じとり、そこに感動を覚えます。

Gallery efの「和」の空間で拝見することができたことも、おそらくボーレさんの陶器のここでしか味わえない魅力を引き出してくれていたのだろう、と思えて、この空間での一期一会の出会いに感謝する次第です。


トーマス・ボーレ13



鑑賞を終えて、時間も遅かったこともあり、カフェスペースで食事も。
注文したものが目の前にサーブされ、それまで読んでいた本を閉じて視線をテーブルに移したとき、その中央に置かれたボーレさんの器が視界に入ってきました。

さっきまでいろんな新鮮なイメージをくれた轡のひとつが目の前に現れた嬉しさ。
テーブルの上を静かに彩る渋い色と独特なフォルムが醸し出すやさしい雰囲気に、思わず笑みがこぼれてしまいました。
posted by makuuchi at 08:42| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする