2008年01月31日

review:木原千春展《1/27》

木原千春
現代HEIGHTS Gallery Den
東京都世田谷区北沢1-45-36
1/24(木)〜2/5(火)水休
13:00〜24:00
木原千春080124.jpg

Chiharu Kihara exhibition
GENDAI HEIGHTS Gallery Den
1-45-36,Kitazawa,Setagaya-ku,Tokyo
1/24(Thu)-2/5(Tue) closed on Wednesday
13:00-24:00
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真骨頂。



現代HEIGHTS Gallery Denでの木原千春さんの個展です。

マニアックなCDが並ぶ一角を横目に入口をくぐり、カフェスペースの奥にあるギャラリースペース。
白い壁、コンクリートむき出しの床というシンプルな空間に展示されている木原さんの作品、その面白さ、ユニークさが充分に引き出され、見応えのある展示が繰り広げられています。


木原千春009



今回はモチーフのダイナミズムがより際立ち、どこかコミカルな雰囲気も醸し出しつつ、鮮烈で力強い色彩が格別のスケール間を伴って迫ってきます。


木原千春001


巨大に拡大されて描かれた手。
筆の動きの痕跡がそのまま手のひらの肉感的な感触を生み出して、単にひとつの画面にふたつの色彩で描かれているだけに留まらない、おおらかで壮大な「動き」をもたらしているように感じられます。
加えて、手のシルエットが深みもたたえた透明感を持つ鮮やかな色彩で描かれ、それがそのフォルムを囲む黒に引き立てられ、よりいっそう鮮やかに、その色のもつ力を存分に発揮してるようにも思えてきます。


木原千春004 木原千春003

木原千春002



今回の個展を拝見して、木原さんは「色面」の人、というよりむしろ「線」の人、といった印象を受けます。
太い筆(あるいはおそらく刷毛のようなもの)が最初にキャンバス上に接し、それが離れるまでの痕跡に、ひと筆の力強さをひしひしと感じます。
おおらかに描かれモチーフは、究極的にシンプルなフォルムにデフォルメされている上に、ミニマムな視点でそこにあるさまざまなハプニング、例えば画面に残る絵の具の塊であったり、ひと筆ならではのスリルも滲み出ています。


木原千春006 木原千春008 木原千春007

木原千春005



比較的コンパクトなスペースに展示される大作群。

大胆な配色と構図とが放つクレイジーな風合いと、水墨画にも通ずるケレン味のなさ。
どこまでも壮大で、かつめちゃくちゃ痛快で。
シンプルに繰り広げられるユーモラスでパワフルなクリエイションの渦に引き込まれるような。

ポジティブな雰囲気に満ちた展覧会です。


木原千春010



余談ですが、まだアート巡りに没頭するようになるずっと前、この現代ハイツにはちょくちょく伺っていたのでした。
季節の素材を使った日替わりのカレー、絶品です。
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2008年01月30日

〜1/27のアート巡り

《1/22》
大野智史 個展「PYSICAL TREE」
magical,ARTROOM
東京都港区六本木6-8-14
1/22(火)〜2/23(土)日月祝休
11:00〜19:00
大野智史080112.jpg

TOMIO KOYAMA GALLERYやトーキョーワンダーサイト渋谷などでの弩級のインスタレーションがすごかった大野智史さん。
今回は、これまでの展示スペースからすると相当にコンパクトな空間ながら、平面のなかに壮大なイマジネーションを投入し、今までのと変わらぬスケールのイメージが提示されています。



《1/25》
project N32 名知聡子
東京オペラシティアートギャラリー 4Fコリドール
東京都新宿区西新宿3-20-2
1/26(土)〜3/23(日)月(祝日の場合開館、翌火休)2/10休
11:00〜19:00(金土:〜20:00)
名知聡子080126.jpg

凄い!
たった4点の出品ながら、充分に見応えのある作品。
横幅約12mの超大作など、迫力の平面展開に呑まれます。



「200∞年目玉商品」展
21_21 DESIGN SIGHT
東京都港区赤坂9-7-6
1/26(土)〜3/16(日)火休
11:00〜20:00
200∞目玉商品パンフ.jpg

アートと企業とがコラボレートし、楽しい空間が作り上げられています。
たくさんのハッピーな発見に満ちた展覧会です!



《1/26》
早川桃代展
Gallery K
東京都中央区京橋3-9-7 京橋ポイントビル4F
1/17(木)〜1/26(土)日休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)

一見すると写実的な絵画。
そのていねいな写実力とほのかにあたたかみを醸し出す独特の色使いも印象的ですが、画面のなかにさりげなく収められているタイトルを見つけたときは「ポイントはそこか!」と狂喜した次第で。
こちらの作品は指の皺が英語の綴りになっています。


早川桃代02

早川桃代01


ほか、教わらないと分からない忍ばせ方の作品もあったり。
細やかな描かれ方で、1点に費やす時間も相当に長そうなのですが、もっといろいろと観てみたいクリエイションです。


早川桃代05

早川桃代03



《1/27》
2007年度 武蔵野美術大学造形学部(通学課程)卒業制作展・大学院修了制作展
武蔵野美術大学鷹の台キャンパス
東京都小平市小川町1-736
1/25(金)〜1/28(月)
9:00〜17:00

ムサビが面白い!
昨年もたくさんのユニークなクリエイションの発見があったムサビの学内での卒業・修了展示。
今年も、特に油彩でもっと観続けていきたいと思わせてくれるたくさんの作品に出会えて満足で。



暁子の『い』深海武範
ギャラリーHANA下北沢
東京都世田谷区北沢3-26-2
1/26(土)〜2/3(月)火休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
深海武範080126.jpg



『い』か!Σ( ̄口 ̄;)


今度は『い』か!Σ( ̄口 ̄;)


・・・ていうか、


『暁子』のどこに『い』が!?!?!?!Σ( ̄口 ̄;)


音声分析。


「A」「K」「I」「K」「O」


「I」


これか!?!?!?!Σ( ̄口 ̄;)

これなのか!?!?!?!Σ( ̄口 ̄;)



もとい!
もとーい!



先日まで開催されていた『あ』の好評を受け、立続けに開催されている深海武範さんの個展です。
前回から続けて出品されている作品とともに、今回新たに展示されている新作も。


深海武範201


イナバウアーか!Σ( ̄口 ̄;)

集団イナバウアーか!Σ( ̄口 ̄;)

・・・てか、そこの最前列、

なぜ泣くΣ( ̄口 ̄;)


もう支離滅裂、いったいどんなシチュエーションなのか謎も謎な場面が繰り広げられていて...


もう、満足(^^)。


深海さんの作品は、シーンの切り取り方といい、色彩といい、油彩としては格別に「軽い」と思うんです。
「深み」へと通ずる良い意味での「重さ」を放つ作品には多く出会ってきてその度に感動を得るのですが、深海さんの場合、とことんキャッチー、とことんエンターテイメント。


深海武範203 深海武範205

深海武範202


そしてその「軽さ」が、今回の個展では冴えに冴えているような印象を受け、痛快な気分が突き抜けていきます。
もっともっとダイナミックな展開も観てみたいです。


深海武範204



木原千春展
現代HEIGHTS Gallery Den
東京都世田谷区北沢1-45-36
1/24(木)〜2/5(火)水休
13:00〜24:00
木原千春080124.jpg

前回のシブヤ西武での個展も印象的だった木原千春さん。
今回は東北沢のカフェの奥にある白い壁の空間での展示で、木原さんの作品の面白さが空間ごと味わえます。
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2008年01月29日

review:渡辺泰子「コーラス」《1/18、1/19》

渡辺泰子「コーラス」
GALLERY SIDE2
東京都港区東麻布2-6-5
1/18(金)〜2/15(金)日月祝休
11:00〜19:00

Yasuko Watanabe "Chorus"
GALLERY SIDE2
2-6-5,Higashi-azabu,Minato-ku,Tokyo
1/18(Fri)-2/15(Fri) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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いちばんキュートなシュール。
いちばんシュールなキュート。



GALLERY SIDE2での渡辺泰子さんの個展です。
渡辺さんの作品というと、フェルト生地を用いて風景のシルエットが切り出されたインスタレーションと、自らの身体の動きを取り込んだユーモラスな映像とを思い浮かべるのですが、今回の個展では映像の作品を中心に、ドローイングなどの小品も交えた構成となっています。


ギャラリーの奥の壁に大きく映し出された映像作品。その冒頭の場面。
カラフルな色彩が軽やかに重なって、描き出されている風景のシルエット。そして星降る夜空。

さて、ここからどうなるのだろう...と、静かに期待が膨らみます。


渡辺泰子005




メインスペースには、モニターが1台設置されていて、こちらでも作品が上映されています。
テーブルか何かの上に並べられたさまざまなもの。
そこには、ものの数だけの色が現れています。

ほぼ無音でほんのしばらくの間、時間が流れ、


何が起こるんだろうねコレ...(・_・)


と考える間もなく...


渡辺泰子002


・・・画面下方からひょこっと顔を出す色鉛筆。


コレ→渡辺泰子003


ヘッドの部分をくねくねゆらゆらと動かしながら、時にするりと移動したりなんかもしつつ、ハサミの柄やらホッチキスやら地球儀やら鉛筆立てやら花瓶やらと同色の色鉛筆がひっきりなしに登場してはダンス。


そして、耳を澄ませると



カッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッスーーーーーカッカッカッカッカッカッ



という音が。

どうやら何かを描いている模様。


渡辺さんに

何描いてるんですか?...(・_・)



と質問するも満面の笑みで



内緒です!(^_^)



とのこと。




・・・・・。


気になるんですけど!Σ( ̄口 ̄;)
すっげー気になるんですけど!Σ( ̄口 ̄;)



それぞれの色鉛筆のヘッドの軌跡を目で追って想像する限り、そこにある光景を写生しているようには思えず...。
言うまでもなく色鉛筆を動かしているのは渡辺さんで、

一体どういう姿勢で描いてんだ!?!?!?!Σ( ̄口 ̄;)

という疑問もあったりもするのですが、その謎を解決しようと淡々と流れる画面を凝視しながら考えている内にあっという間に過ぎ去る数分間。

見えない部分に描かれているものを脳裏にシュミレートしていくのはけっこ楽しいです。



事務所のスペースに、フェルトの作品が1点。
今回の作品は小さめですが、1枚の1色の布を用いてカットされ、折り曲げられることでもたらされる陰影と、素材のぬくもりとが独特の雰囲気を醸し出していて、目にしただけで優しい気分が広がるような気がします。


渡辺泰子001


ほかにもドローイングや、構想が書き留めてられていったものも展示されていたり。




さて。

今回のメインの映像作品。
なんだかんだで小忙しくも楽しい色鉛筆の映像とは異なり、ほぼ無音で淡々と綴られていきます。


渡辺泰子007


重なる色彩のひとつむこうに隠された風景。
平面的な色の重なりに、一気に奥行きとスケール感、さらに隣り合う場面の関係がもたらす時間のおおらかさも印象的で。


渡辺泰子004


最後に夜空だけのシーンに辿り着きます。
おおきく映し出されていることもたいへん効果的に作用して、実際の大きさとイメージ上の大きさとのギャプがさらに大きく現されているのも、静かに、かつおおらかに可笑しみを奏でます。

映像自体はこれ以上ないくらいに淡々と、穏やかに、おそらく一切の編集なしで展開されているのだろう、ということが想像されるほどにシンプルな構成で。
だからこそ、そこに込められた無邪気な遊び心がピュアに再現されているのかな、とも思えてきます。

コンパクトなコンセプトでシンプルに展開される渡辺さんのキュートでキャッチーな映像作品。
あっという間に過ぎるおおらかな時間を、ゆったりと体感してほしいです。


渡辺泰子008
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2008年01月27日

review:カンバラクニエ ECHO《1/18、1/19、1/25》

カンバラクニエ ECHO
FOIL GALLERY
東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤
1/18(金)〜 2/11(月)
12:00〜20:00
カンバラクニエ080118.jpg

Kunie Kanbara ECHO
FOIL GALLERY
1-2-11,Higashi-kanda,Chiyoda-ku,Tokyo
1/18(Fri)- 2/11(Mon)
12:00-20:00
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軽やかに舞う、線と色。




FOIL GALLERYでのカンバラクニエさんの個展です。

カンバラさんの個展は、ギャラリーをいろいろと観て回り始めた頃に渋谷のロゴスギャラリーで開催されたときのを拝見していて、久々に作品をチェックできるのが嬉しくて。
前回の個展では画集「RESET」のリリースに合わせられたもので、ほぼ出力による大判の作品が並び、orange pekoeのジャケットなどでおなじみの洗練された画風に直に触れられたのがすごく新鮮だったことが思い出されるのですが、今回は新たにリリースされる2作目の画集「



入口沿いの壁には、スケッチ、画集のプリントなどがびっしりと。


カンバラクニエ12



なめらかに画面を往来する洗練された線に、女性らしい軽やかでキュートな彩色で、キャッチーでドリーミーな世界がそこかしこで繰り広げられています。
なかには全てが手描きの作品も。
ほぼ全ての作品に登場する女性は、横顔をこちらに見せていて、フレッシュな色香をケレン味なく放っていて痛快です。


カンバラクニエ02 カンバラクニエ03

カンバラクニエ01



ギャラリーのいたるところにはこっそりとリボンが吊り下げられていたり、ちょっとしたワンポイントがそこかしこに配されているのですが、ひとつだけ、編んだ紐で作られたものが。
紐のあらゆるところにクリスタルが取り付けられていたり。


カンバラクニエ11



絶妙の配置で繰り広げられるカンバラさんの世界は、それぞれのコーナーで作品同士が呼応してさまざまなイメージを提供してくれるような仕掛けも随所に施されています。
例えば、柱を挟んで横に連なる作品が、それぞれ異なる縮尺で同じ場面を描いているかのような印象を抱かせてくれたり、同じサイズの作品が離して展示されていることで、そこへと至る場面の変遷を思い浮かべさせてくれたり。


カンバラクニエ05

カンバラクニエ04


いろんなかたちで提供されている「楽しく見せる」工夫も、嬉しく感じられます。
1点1点の作品の、ピュアな美しさ、艶やかさが際立つような風合い。
ポジティブな閃光がそこかしこから放たれ、重なりあって、空間に清々しさが満たされるような。


カンバラクニエ09 カンバラクニエ10

カンバラクニエ08



カンバラさんの作品を拝見してまず情景反射的に思い浮かぶのが、僕の場合まず「orange pekoe」で、それがおおいに影響してか、今回のカンバラさんの作品に囲まれていると、フルバンドが奏でるゴージャスなスウィングビートが脳裏に響き渡ってくるような感じで。
大きなホールでぱーっとおおらかに発せられる音楽がまさにしっくりとハマるようなイメージが浮かび上がります。

画集「

2008年01月26日

review:いしかわかずはる個展「Dear friends,」《1/10、1/24》

いしかわかずはる個展「Dear friends,」
YUKARI ART CONTEMPORARY
東京都目黒区鷹番2-5-2 市川ヴィラ1階
1/10(木)〜2/9(土)日月休・火水事前予約制
12:00〜20:00
いしかわかずはる0110DM.jpg

Kazuharu Ishikawa solo exhibition "Dear friends,"
YUKARI ART CONTEMPORARY
2-5-2-1F,Takaban,Meguro-ku,Tokyo
1/10(Thu)-2/9(Sat) closed on Sunday and Monday,Tuesday and Wednesday:appointment only
12:00-20:00
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和みの線のスペシャリスト。



YUKARI ART CONTEMPORARYでの、いしかわかずはるさんの個展です。
これまでもギャラリーエスノグループ展などで作品は拝見していて、そのキャッチーさには心底和やかな気分が広がって心地よかったのですが、個展ではその個性がさらに発揮されていて、楽しい空間が満ちています。


入口すぐ。
なんともかわいいちっちゃな作品がお出迎え。


いしかわかずはる21



福助か!Σ( ̄口 ̄;)
昭和時代に生まれた福助の子供の頃か!Σ( ̄口 ̄;)



・・・・



なんだその想像上のディティール設定は!Σ( ̄口 ̄;)




も、もとい。



いしかわさんの作品は、線を用いてさまざまな情景が引き出されています。
普段はノートを持ち歩き、そこにスケッチを重ねられるのが日常となっているとのことで。
それをキャンバスに現すとき、絵の具など何らかの画材線を「描く」よりももっと線の均一さをピュアにで保たせた状態にするため、糸を用いることにされた、というお話を伺い、おおいに膝を打った次第で。

均一に撚られた毛糸が、その素材のあたたかみをそのままに、ゆったりと人々の表情や仕草をシンプルに引き出す線を辿り、ときにくるりと渦を巻いてちいさな色面を作り出しながら、なんとも和やかな風景を生み出しています。

たったひとつの色の毛糸が画面の上に紡いでいった絵。
キャンバスの下地と毛糸とのふたつの色しかない、しかも背景と線しか画面の上には存在しないのに、そうやって描き出された人々のやわらかな表情から、見えていない光景や時間の流れ、さらにはそこから聞こえる音までも、イメージとして浮かんできます。


いしかわかずはる13 いしかわかずはる14

いしかわかずはる12



シンプルだからこそ、画面の空間の活かされ方も絶妙です。
さまざまな大きさのキャンバスに、本来そのサイズに収められる情報はきっともっとたくさんあるはずで、しかしそこからおそらく自然に視線が向く場所の、さらにそのラインを辿って現すだけで、その場面のすべてを現しているかのような。
それが、構図的にもなんとも言い難い収まりのよさ、心地よさが滲み出ていて、嬉しいもどかしさが想像を緩やかに掻き立ててくれるのがまた堪らなく感じられます。

そして、特に子供の表情は、その素朴さがさらに素朴に表現され、なのに決して可能な純粋が放つ危うさは微塵にも感じさせずに、ただキャッチーに、そこに溢れるほっこりとした小さな幸せが表現されているような印象を受けます。


いしかわかずはる17 いしかわかずはる16

いしかわかずはる15



キャンバスの作品は、用いられる糸によって、背景のクリーム色も微妙に異なっています。
そこに、いしかわさんの色への気遣いが感じられます。
その微妙な差異が、それぞれの糸の色を引き立てるだけでなく、色がもたらす季節感や場面のイメージを押し拡げているような気もしてきます。


いしかわかずはる19

いしかわかずはる20



ふたつの展示室のうちの奥のほうへ。
こちらには、キャンバスでなく、透明のパネルに糸が配された作品が並びます。
透明パネルと線、このふたつの素材の面白さがシンプルに活かされています。


いしかわかずはる01



キャンバスと同様に、空間を活かしつつ、照明が当てられることで白い壁に線の影が映り、期せずして二重の線の作品ができあがっています。
至近で眺めたときの細かい毛糸の繊維の表情と、それらが消されてシンプルな線となって壁に映り込む影とのコントラスト。


いしかわかずはる05 いしかわかずはる04

いしかわかずはる07 いしかわかずはる06


影では消えてしまっている、毛糸の微妙な繊維による素材的な「滲み」の存在をさらに強く意識させられるのも興味深いです。
また、白い糸を使った作品の、先に影が見える面白さも。


いしかわかずはる11 いしかわかずはる10

いしかわかずはる09 いしかわかずはる08



さまざまな角度で糸と影とのズレが変化し、実像と残像との関係が生み出されているようで。
近くで確かめると、影を透明パネルの裏側が反射してもうひとつの薄い影を映し出していたりして、いくつもの像のかさなりがそこに見受けられます。
いろんな想像が湧いてくると同時に、このアプローチの可能性も広がっていくように感じられます。


いしかわかずはる03

いしかわかずはる02



イラスト的な軽やかさ、シンプルさが魅力のクリエイションです。
どこまでもキャッチーで、エンターテイメント性に富んでいます。
いしかわさんの作品の楽しい要素としてもうひとつ忘れては行けないのが、タイトル。
作品ごとには添えられていないのですが、それぞれの作品のタイトルを確認しながら観たり、または作品を観てそのタイトルを当ててみるのもまた面白い!


このところ東京ではいつになく気温が低い日々が続いていますが、その冷えきった感覚をあたためてくれそうな展覧会です。
いろんな世代の人、特にこどもたちに観て楽しんでもらえると嬉しいなぁ、なんて思ったり。


いしかわかずはる18
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2008年01月25日

review:New-laid eggs《1/22、1/24》

New-laid eggs
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
1/8(火)〜1/8(土)日月祝休
12:00〜19:00
New-laid egg080108.jpg

New-laid eggs
GALLERY MoMo
6-2-6-2F,Roppongi,Minato-ku,Tokyo
1/8(Tue)-1/8(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
12:00〜19:00
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6名のフレッシュなアーティストがクレジットされている展覧会です。
GALLERY MoMoらしく、初々しさと清々しさとが心地よく広がる空間が作り上げられています。


まず、今回の展覧会で、唯一僕が存じ上げていた杉田陽平さん。
昨年からの、絵の具で作られたプレートを重ねて作り上げられる作品が展示されています。


New-laid杉田陽平01 New-laid杉田陽平02

New-laid杉田陽平03


ひとつのプレートの中に混ざりあうさまざまな色彩のうねりの抽象的な感触の面白さと、それらが重ねられてある風景や人物の肖像を描き出している面白さ。
さらに、今回はひとつの色のプレートが用いられた作品も出展され、色の迫り方が異なり、力強いテイストを放っていたのも印象的です。


New-laid杉田陽平06 New-laid杉田陽平05

New-laid杉田陽平04



曖昧なフォルムの人の姿が描かれた小品。
西林由佳さんの作品です。


New-laid西林由佳01


どこか可笑しみを内包しながら、小さな画面であることも作用して、独特のかわいらしさを醸し出しています。
大きな画面の作品も拝見してみたいです。


New-laid西林由佳03

New-laid西林由佳02



今回唯一の立体の作品は根上恭美子さんのクリエイション。
犬をモチーフに、ていねいな彩色とフォルムとが、不思議な感触を放ちます。


New-laid根上恭美子03

New-laid根上恭美子02


おそらくほぼ実物大の犬の頭部のリアルさ。
しかし、目が妙に達観しているような風合いを醸し出しているのが、なんだかユーモラスに感じられます。


New-laid根上恭美子01



吉田和夏さんの作品は、ケーキやお菓子をモチーフにキュートな世界が繰り広げられています。


New-laid吉田和夏03


カットされたケーキの断面やなどが見せるファンタジックな光景。
それぞれが実に緻密に描き込まれていて、小さな画面に引き寄せられていきます。


New-laid吉田和夏06

New-laid吉田和夏05


立体のケーキも。


New-laid吉田和夏04


あざやかなグラデーションの背景の美しさと、緻密なケーキの断面とのコントラストが楽しいです。
手のひらに乗るような身近なサイズ感も嬉しい感じです。


New-laid吉田和夏01

New-laid吉田和夏02



石庭美和さんの作品は、動物と人物がそれぞれ描かれています。
動物の作品は、写実的に描かれたことでそのリアルな仕草が再現されています。
絶妙なグラデーションによって紡がれる背景の色合いも印象的です。


New-laid石庭美和01

New-laid石庭美和02


人物の作品は、表情が奥行きを放ちます。
あたたかみややわらかな感情も滲み出てくるかのよう。
さらに、目の表情が、寡黙にしてさまざまなイマジネーションを呼び起こしてくれます。


New-laid石庭美和03

New-laid石庭美和04



ひとつの画面にたくさんの情報を詰め込む中川雅文さんの作品群。
杉田さんのとは質感がまったく異なるノイジーな感覚、そして、詰め込まれるモチーフの関係性を読みといていく面白さが痛快です。


New-laid中川雅文02

New-laid中川雅文01


妖しげなモチーフのひとつひとつが、衝動的な感覚を滲ませます。
局部のミニマムなスピード感と、全体のダイナミックな時間のイメージとのコントラストも壮大な印象を抱かせてくれます。


New-laid中川雅文05 New-laid中川雅文04 New-laid中川雅文06

New-laid中川雅文03



こういった機会に出会える未知のクリエイションは、次に出会ったときにどういう世界を見せてくれるかが、という楽しみも提供してくれます。それぞれの今後の展開も興味深いです。
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2008年01月24日

review:市村しげの “Time Drops”《1/18、1/19》

市村しげの “Time Drops”
BASE GALLERY
東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F
1/18(金)〜2/29(金)日祝休
11:00〜19:00
市村しげの080118.jpg

Shigeno Ichimura "Time Drops"
BASE GALLERY
1-1-6-1F,Nihonbashi-kayambacho,Chuo-ku,TYokyo
1/18(Fri)-2/29(Fri) closed on Sunday and national holiday
11:00-19:00
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平面に立ち上がる緻密。



市村しげの14



ニューヨーク在住のアーティスト、市村しげのさんのBASE GALLERYでの個展です。

展覧会が始まる前に画像で市村さんの作品を拝見していたのですが、実際に拝見したときの迫力には、ギャラリースペースに入る前、通りに面した窓から見える作品の力だけで充分に圧倒されてしまいました。
予想以上に、画面に幾何学的に配置されるドットが立体的で、その重好感、未来的な感触に、一気に引き込まれます。


市村しげの07



画面に並ぶさまざまな大きさのドット。
その大小のドットがほぼ同心円上に緻密に配置され、複雑に、ミニマムなリズムがかき鳴らされていきます。
その精度は圧巻のスピード感を伴って、視界に迫り、数学的、理系的なイマジネーションがぐんぐんと刺激されます。
大きなスクエアの画面に、敢えて中心を外し、全ての円形が画面よりはみ出るように設定された作品。
その表面に登場しない、描かれないことで「隠された」部分の存在は充分に鑑賞者に提示され、実際の作品の画面の大きさ以上のスケールが容易に想像されるのも、その迫力に一役買っているような気がします。
無論、ずらされた円が醸し出す構図的な美しさも素晴らしいです。中央から何重にも広がっていく円や、同心円状のドットの配列、さらにはひとつ、あるいは複数の同心円で展開されるパターンのなかで、そして複雑に組み込まれるドットによって生み出される奥行きなど、さまざまな動線が導かれているような印象を受け、その複雑に展開していく動線を目で追っていくのもホントに面白く、見応えがあります。


市村しげの12 市村しげの13

市村しげの11



一方、ドットがランダムに画面にちりばめられるような構成のものも。
宇宙の星のような壮大なスケールが思い浮かぶ一方で、さらにミニマムな世界を拡大したかのような感触も浮かんできます。
同心円での展開の作品と比較すると無秩序に配置されているように感じられるドット群ですが、そのひとつひとつが関係しあい、複雑な奥行きを作り上げているのも面白く感じられます。


市村しげの09 市村しげの10

市村しげの08



全ての作品がスクエアで、さまざまなサイズの画面で、さらにさまざまな構図によってそのサイバーな世界が繰り広げられていて、圧倒的な統一感がこの空間に生み出されています。
今回展示されている作品群が互いに呼応しあい、異なるスケール感やドットのサイズの差異が作用しあって、それぞれの関係性が複雑に構築されていくような。。。
そういった空間の展開の中で、電子音で組み上げられるミニマムミュージックの冷徹で緻密なグルーブが脳内に鳴り響いていくような錯覚も心地よかったり。
実際に、この作品をバックにそういった音楽に浸ってみたいという衝動も沸き起こってきます。


市村しげの01 市村しげの02

市村しげの05 市村しげの03

市村しげの04



画面から立ち上がるドットは、照明によって影をつくり出します。
それが、作品を眺める角度により劇的な変化をもたらしているようにも感じられます。
また、すべてがハンドメイドで制作されているところ、例えば、盛り上がるドットの微妙な大きさの差異や盛り上がるドットの絵の具が画面に残された瞬間の痕跡などに、緻密で過剰なまでに理知的な仕上がりを誇る作品でありつつも、人の手によって制作された温かみやそこに詰め込まれた好奇心、情熱のようなものが滲み出てきているようにも感じられます。

白い壁での展示だと、さまざまなシチュエーションでの鑑賞のイメージが喚起されて楽しいのですが、市村さんの作品を、例えば壁に埋め込んだ状態だとどうだろう、とか、または黒い空間で展示されたら...などなど、ぐんぐんと想像も膨らんでいくのも楽しいです。

痛快な理知がとにかく気持ちいい展覧会です。


市村しげの06
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2008年01月23日

review:中岡真珠美展 −白い眺め−《1/12、1/19》

中岡真珠美展 −白い眺め−
INAXギャラリー ギャラリー2
東京都中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA 2F
1/8(火)〜1/29(火)日祝休
10:00〜18:00
中岡真珠美080108DM.jpg

MASUMI NAKAOKA exhibition
INAX Gallery Gallery2
3-6-18-2F,Kyobashi,Chuo-ku,Tokyo
1/8(Tue)-1/29(Tue) closed on Sunday and natinoal holiday
10:00-18:00
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究極的にスマートなテクスチャーが奏でる、未来的な景色。


INAXギャラリー ギャラリー2での中岡真珠美さんの個展です。
中岡さんの作品は、東京のOギャラリーでの関西のアーティスト2人をフィーチャーした企画展や東京オペラシティアートギャラリーでのProject N、そして昨年のVOCA展と、拝見する機会が多く、そのたびにそのヴィヴィッドで爽やかな色彩感が放つ鮮烈な風合いを目にして、清々しさが心の中に大きく膨らむような感触を覚えました。


今回は、まだ階を移して新しいINAXギャラリーでの個展。
淡いグレーの床、シンプルで洗練され、清潔感が広がる空間。
いつもよりも明るめの照明設定で、大作から小品までの中岡さんの作品が絶妙の位置に配され、独特のフューチャリスティックな雰囲気が充満した空間が作り上げられています。


中岡さんの作品は、ふたつの階層から作り上げられています。
キャンバス地がそのまま表出し、布の織り目が確認できる部分と、特殊な塗料によるフラットな盛り上げとにより、立体感が醸し出されています。

ふたつの層に広がる、それぞれ異なる質感の白が、お互いの清潔か感じを引き立てあい、どこまでも爽やかな
コントラストを構築しているのにも惹かれます。
さらに、その白の上に、実に軽やかなパステルカラーがふわりと、ときに強い意志を持ったかのように鮮烈な勢いを伴ったかのように、被さっています。
キャンバスの中に収められるさまざまな色面がお互いに作用しあい、突き抜けるような爽快感と、同時に滲ませたようなグラデーションなどがフューチャリスティックな穏やかさを醸し出し、さまざまなかたちでイマジネーションを刺激してくれます。

層と色面によってつくり出されているかたちもユニークです。
大きな画面の作品ではおおらかな弧を描くようなケレン味のないフォルムが、ちいさな作品では木漏れ日や地図を思わせるような複雑なシルエットが導き出され、それぞれの空間性がさまざまな縮尺のイメージを創出させてくれるような感じで、どこかの風景のようにも感じられたり、未来の景色を眺めているかのような錯覚を惹起させられたり。


そのなかで、作品によってところどころにくしゃっと画面に筆を擦った痕跡が見受けられます。
これが、ホントにユニークな効果を生んでいるような印象で...。
背景となっているヴィヴィッドな色彩とは異を成す、もっと身近な有機的な風合いを放つ部分。
はっきりと何かのかたちが描かれているようには思えないのに、その色合いによって、野鳥、あるいは金魚のようなイメージを受けるんです。
未来的な空間に漂うようにそこにいる野鳥や金魚が、またさらにこの画面の中に奥行きや景色のイメージを作り上げているような感じです。



もうひとつ、ぜひ触れておきたいのが、絶妙な照明設定です。
作品ごとに当てられるスポットも、小品は意図的に外してライトの広がりの部分で穏やかに照らしたり、大きな画面の作品はその広がりのスピードをさらに加速させるかのように設定されていたり。
そして何より効果的なのが、スポットとは異なる、白熱灯の白い照明です。
3ケ所ほど、作品にではなくコーナーなどに向けて照明が放たれ、明るい空間を演出し、中岡さんの作品が展示された空間全体をさらにヴィヴィッドに作り上げるための大きな要素となっているように感じられます。


さまざまなユニークな要素が一体となり、いろんなイメージを受けられる、至高の展覧会です。
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2008年01月21日

〜1/20のアート巡り

《1/16》
Jane Dixon Regeneration
東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5-7F
1/16(水)〜2/9(土)日月祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
Jane Dixon080116.jpg

エッチング、ドローイングと、都市の破壊と再生をテーマに据え、それぞれの作品1点ずつで展開される制作方法やコンセプト、さらにお互いの作品の関係性から、複雑に入り組む時間軸が提示されています。
作品自体のクールさと、コンセプトを知ることで分かる奥行きと。
TABのインタビューやギャラリーがリリースし、過以上に置かれているパンフレットなどをチェックしてご覧になられるのをお薦めします。



《1/17》
Hanayo
ギャラリー小柳
東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル8階
1/17(木)〜2/22(土)日月祝休
11:00〜19:00
花代080117.jpg

作品によっては手作りのイージーな額に収められている写真作品群。
小屋の窓枠を想像させるような雰囲気が放たれます。

花代さんの目線で切り取られる風景からは、狂気と隣り合わせの無垢に溢れているような印象を受けます。
統一感があるようなないような、あいまいで、でも繋がりも感じられるいくつもの風景。
ぼやけたピントの向こうには、掠れた青空や女の子。

どうしてこんな風景が切り取られたんだろう、という興味と、何故だかその風景へするすると進んでいく僕自身の思い入れとが交錯し、知らないのに懐かしい、すっぱいような甘いような、優しいような痛いような、いろんな感情が静かに混ざりあっていくようで。

奥のスペースでは、映像作品が上映されています。
空の画像の上から綴られていく手書きの文字による文章。
原住民を思わせる半裸のコスチュームの人間と女の子とが焦燥感を煽る分厚くノイジーなBGMとともに無邪気に振る舞う情景。
無邪気と狂気とを隔てていた1枚の薄紙が取り除かれていっしょくたになって迫る、鋭利さを増した切なさに羽交い締めにされるような感触。

時間をかけて鑑賞し、心に広がる言葉にできない感情を味わいたい展覧会です。


オープニングでは、花代さんと、実の娘さんの点子ちゃんとによる、舞妓の日本舞踊が披露され、今年も半月すぎたところでいちばんお正月らしい雅びな気分に浸れたのも嬉しかったです。




《1/18》
カンバラクニエ ECHO
FOIL GALLERY
東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤
1/18(金)〜 2/11(月)
12:00〜20:00
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ストリングスも配したフルバンドによるゴージャスな4ビートが鳴り響くような。
オレンジペコーのCDジャケットなどでもおなじみのカンバラクニエさんの、東京では久し振りの個展です。
華やかで楽しい色彩と線。



市村しげの “Time Drops”
BASE GALLERY
東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル1F
1/18(金)〜2/29(金)日祝休
11:00〜19:00
市村しげの080118.jpg

幾何学的に、緻密に配置されたドットと、画面全体を覆うシルバー。
ミニマムなリズムが知性を刺激します。
予想以上に画面から立体的に立ち上がるドットの迫力にも圧倒されます。



渡辺泰子「コーラス」
GALLERY SIDE2
東京都港区東麻布2-6-5
1/18(金)〜2/15(金)日月祝休
11:00〜19:00

さまざまなメディアを無邪気に往来するアーティスト、渡辺泰子さん。
今回は映像作品を中心とした個展。
映像の中で淡々と綴られるかわいいシュールとユーモア。和やかな可笑しみを爽やかに奏でます。



《1/19》
榊貴美 secret in secret
GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 吉井ビルB1F
1/14(月)〜1/19(土)
11:00〜19:00(金:〜21:00、最終日:〜17:00)
榊貴美080114.jpg

無垢な子供達をモチーフに、どこかシュールな狂気も仄かに滲んだ世界が描かれています。
独特の深みがもたらされた色彩。ひとつひとつのいいろのくっきりとした感触と、色と色とが接する部分のスリリングな質感。
ていねいに表現された子供達の表情からは、その純粋なこころの動きが臨場感たっぷりに伝わってくるような印象を受けます。


榊貴美06 榊貴美07

榊貴美05


木版画の作品も。
こちらは線で輪郭が引き出され、この場面の展開がより刹那的に表現されているような感じです。


榊貴美10 榊貴美09

榊貴美08


感情の揺れが激しい子供たち、絵の中では穏やかでかわいらしい表情をしていても、もしかしたら次の瞬間には泣いていたり叫んでいたりするかも知れない...
そんな刹那的な純粋さがスリルに変換されて伝わってくるような、子供が登場している絵なのに大人の世界があるような感覚が、たいへん興味深いです。


榊貴美03 榊貴美04 榊貴美02

榊貴美01




増殖するイメージ VISIONS 名和晃平 廣澤仁 元田久治 山田純嗣
東京日本橋高島屋6階 美術画廊X
東京都中央区日本橋2-4-1
1/9(水)〜1/29(火)
10:00〜20:00(最終日:〜16:00)
VISIONS080109DM.jpg

4名のユニークな個性がパッケージされた展覧会。
名和晃平さんのシルクスクリーンのスリリングな雰囲気は圧巻です。
廣澤仁さんはおそらく今回はじめてちゃんと拝見したのですが、ざっくりとした抽象的なフォルムと、鮮やかな色彩感とのギャップが面白いです。
これまでも多く作品を拝見している元田久治さんと山田純嗣さんも、これまでとは違う展開のクリエイションが出展されていて、その広がりがさらに楽しみになってきます。



夜は白金に移転したギャラリーのオープニングへ。
神楽坂のスペースよりもぐんと広くなって、ここでこれからどんなクリエイションが繰り広げられるかと思うとホントにワクワクしてきます。
posted by makuuchi at 08:48| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月19日

review:CHIKA KATO|BETWEEN《1/11、1/15》

CHIKA KATO|BETWEEN
Azabu Art Salon Tokyo
東京都港区麻布十番1-5-10
1/11(金)〜2/9(土)日月休
12:00〜19:00
カトウチカ080111DM.jpg

CHIKA KATO|BETWEEN
Azabu Art Salon Tokyo
1-5-10,Azabujuban,Minato-ku,Tokyo
1/11(Fri)-2/9(Sat) closed on Sunday and Monday
12:00-19:00
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Real+Real=Virtual。


Azabu Art Salon Tokyoでのカトウチカさんの個展です。

淡々とした、淡白で単調な映像。

・・・もとい。

淡々とした、淡白で単調な「はずの」映像。
そこにたゆたうありのままの時間がありのままのかたちで「切り取られ」、再構築されてひとつのストーリーが曖昧に奏でられていく...そういった不思議な時間的体験をもたらしてくれる映像が、カトウさんの真骨頂のような気がしているのですが、そのことを再認識させられます。



まず、ウインドウに飾られた2点大判の写真が出迎えてくれます。
そして、通り沿いのガラス張りの空間、こちらでは蝶の視線をコンセプトに制作された、いかにもカトウさんらしい映像世界が展開する作品が上映されています。


カトウチカ012


緑の中、地下鉄の線路の上、横たわる人の傍...時おりサブリミナル的に、前後の時間の流れを寸断するような唐突な画像の変化を迎えつつ、淡々とそこにある景色のなかを視線が彷徨い動いていく様子を収めたような映像が流れていきます。
無声でまず鑑賞すると、無声だからこそのスリル、音声情報が遮断されることの「怖さ」に似た感覚が湧いてくるのですが、設置されているヘッドホンで音声とともに作品を鑑賞すると...


むしろ、「音」の作品なのかも、という印象さえ受けるほどに、圧倒的な臨場感が力強く、静かに迫ります。
その場所を通る車の騒音や、もっと単純に集音マイクを擦り付けていく風のノイズなどが、映像以上の存在感を轟かせるような印象です。



同じ空間には、小さな段ボール箱の内側に投影される映像作品も。
あまりにも身近な、しかも普段はその存在を意識から外されているようなものをこうやって取り込み、ちいさな空間をインスタレーションするのもカトウさんらしいです。
「・・・なんだろう...?」という小さな「はてな」から始まる発見に面白さを感じます。


カトウチカ013


さらに、横長で展開していく写真も。
伺った時間が遅かったこともあり、車両のヘッドライトやブレーキランプ、向かいの店舗のネオンなど、外のさまざまな光が画面に反射しているのが妙に効果的に感じられるのも面白いです。


カトウチカ009

カトウチカ010



奥の空間には、昨年BankARTで開催された「都市との対話」展に出品された映像作品が、壁にオープンに上映されています。
ピントがぼかされた、人の朧げなシルエット。人の姿の上をさらに別の光源が彷徨う場面。

薄い紙もある角度からは人の肌を傷つけるに充分な鋭さを内包しているように、緩やかで曖昧な映像の中にシャープな側面が常に見え隠れするような印象を受けます。


カトウチカ011



暗がりのなかに、多くの写真作品も展示されています。


カトウチカ008

カトウチカ007


カトウさんが制作した映像作品の一場面を抽出したようなものから、その映像を上映しているところを撮影したものなど、時間的な立体感を醸し出すシチュエーションが収められた作品が並びます。


カトウチカ005 カトウチカ002

カトウチカ001


もっとも人が登場する場合は動きの「支持」こそあると思われるものの、ほぼ演出されない、何気ないはずの映像作品からさらにたったひとつの瞬間が切り取られ、刹那的にすぎてしまう時間が醸し出すほのかな儚さや、逆にひとつの平面に切り取られた瞬間の存在の力強さなど、さまざまなイメージが喚起されます。


カトウチカ003 カトウチカ006

カトウチカ004



今回の展示は2階でも行われていて、こちらではカトウさんの比較的過去に制作された映像作品が続けて上映されていて、これらが一挙にチェックできるのもありがたいです。

白眉なのは、花火の作品。
夜、ある場所に佇む人の衣服に映し出されていく花火の爆発のシルエット。
さまざまな場面が織り込まれながら綴られていく作品で、人の影のかたちに切り取られた花火の残像の美しさが印象的です。


カトウチカ014

カトウチカ015



カトウさんの作品からは、被写体へのいとおしさとより、時に過剰なほどにも感じられるほどの冷静な視線の存在が伝わってきます。
過剰な無垢は狂気なのかもしれない、という想像すら湧いてきます。
さらに、そのクール過ぎる視線の奥にある好奇心。
クールで、斜に構えたスタンスが、実にユニークな時間を紡ぎあげるような気がしています。


これまでカトウさんの作品が上映された空間でもっとも印象に残っているのが、移転してしまった原宿のNADiffの店内で、本棚に直接、川面の映像が映し出されていて、たったそれだけでさらに亜ーティスティックに、不思議な空間に作り替えられていて。

またそういう場所で拝見したい、と、今回の作品を拝見してそれらの持つポテンシャルに思いを馳せた次第です。
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2008年01月18日

review:山口英紀展《1/17》

山口英紀
新生堂
東京都港区南青山5-4-30
1/16(水)〜1/26(土)日休
11:00〜18:00(最終日:〜17:00)
山口英紀080116.jpg

HIDENORI YAMAGUCHI EXHIBITION
SHINSEIDO
東京都港区南青山5-4-30,Minami-aoyanma,Minato-ku,Tokyo
1/16(Wed)-1/26(Sat) closed on Sunday
11:00-18:00(last day:-17:00)
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水墨画の滲みが醸し出す味わい、奥深さには抗い難い魅力を感じます。

・・・しかし。

これまで観てきた水墨画は何だったのだろう、とも思えるほどの...。



新生堂で開催されている山口英紀さんの個展です。
「水墨画」「書」「篆刻(印)」を一人でこなし、それらがひとつの画面に展開される作品。
これまでも何度か拝見していて、その空間的な面白さの魅力は承知していたつもりでしたが、今回の展覧会では特に「水墨画」のあまりの緻密さに、静かな、しかし大きな衝撃を受けた次第です。


まず、正面に展示される軸の作品が出迎えてくれます。
今回出品されたもっとも大きな作品、味わい深いたわみを伴った「書」と、大きな画面の空間を大胆に活かしきって描かれた仔犬とが、おおらかな静謐感を漂わせます。


山口英紀008



前回の個展でもそうだったように、一角に「篆刻(印)」のコーナーが設けられています。


山口英紀005


ひとつひとつに何の言葉が印字されているか、キャプションが添えられているのもありがたいです。
緻密に彫り上げられている印の存在感と、捺された朱のグラフィカルな面白さに引き込まれます。


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古来から伝わる手法の三位一体がなす作品群。
文字、印、絵の配置が、それぞれ和の技法が用いられているにもかかわらず、どこか西洋的な洗練の感覚も伝わってくるような気がします。

そして、何より圧巻なのが、過剰と言えるほどに緻密な水墨画。
どこかの街並みの風景が、実に精緻に描き込まれています。
水墨画がここまで細かくコントロールすることができるという事実には衝撃を覚えずに入られません...。
じっと画面の前に立ちすくみ、じっくりと目を凝らして眺めてしまいます。


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実物大の切手を描いた作品も印象的です。
より空間性が全面に押し出され、知性溢れるユーモアが感じられます。


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観覧車が描かれた作品。
この線の精度といったら...。
どうやって描いているのか伺ってないのですが、瞬間的にはちょっと古い写真かと見間違えるほど。
水墨のやさしい風合いに、鋭い緊張感がもたらされているような印象を受けます。


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山口英紀016



橋の遠景。
ここまで描くのか...描けるのか...と感嘆しきり。
橋を渡る人影からは、その心の動きまでが伝わってくるようにも感じられます。
ここに流れた時間がじんわりと滲み出てくるような...。


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ほかにもさまざまなモチーフが描かれています。
それぞれに、山口さんの優しい視線が感じられ、緻密な作品ながら、やわらかな気分が広がります。


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山口英紀011



このところ、書の奥行きの面白さに気付いたこともあり、縁があるのか、書に触れる機会が多いのも嬉しいです。
また、「篆刻(印)」にもまたあらたな面白味を見出せるかも知れない、と思うと、また時間をかけて観たくなってきます。

そして、もし機会があれば、もっと大きな画面での緻密な水墨も拝見したいです。


ぜひ、直にこの素晴らしさを多くの方に体感してほしいと願います。


山口英紀007
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2008年01月17日

review:田部井勝 Platform《1/11》

田部井勝 Platform
CLEAR GALLERY
東京都渋谷区渋谷4-2-5 Place Aoyama
1/11(金)〜 2/23(土)日月祝休
11:00〜19:00
田部井勝090111DM.jpg

Masaru Tabei Platform
CLEAR GALLERY
4-2-5,Shibuya,Shibuya-ku,Tokyo
1/11(Fri)-2/23(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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昨年のEXHIBITION C-DEPOTに出展されていた、黒い砂利の敷き詰められた床。
歩くと数秒の間隔を置いた後に「ジャッ、ジャッ、ジャッ」と踏んだ床の砂利が鳴る、インタラクティブな作品。

この作品の制作者が田部井勝さんで、今回の個展では同作品がかたちを変えて出展されています。


長方形の床の真ん中に、「通ってください」という感じに設置された長い黒の砂利道。
おそるおそる踏み入れ、ゆっくりと歩いていくと、踏んだ歩数と同じ数の「ジャッ」という石と石とが擦れあって鳴る摩擦音がついてきます。

この音が不思議と心地よいんです。
片手で握って包めるほどの大きさの石の自然の音。普通の砂利道とはまた異なる未来的な感じも面白いです。
無論、前回のC-DEPOTのときよりも精度が増し、感度が良くなった感じで、律儀に砂利のノイズが続いていきます。

思いのほか、何度も何度も往復したり横切ってみたりしてしまった次第で。


田部井勝01



奥のスペースにはもうひとつ作品が。
砂利石に覆われたオブジェが台の上に鎮座しています。


田部井勝02


艶やかな石の黒。
この石の塊を拝見して、床の作品もこの石の色合いに田部井さんの美的感覚が注がれているのだろうなぁ、などと想像し、鑑賞を終えようとしたのですが...


田部井さんに退出の挨拶をしているとき、「奥の作品も試されましたか?」と。




え?





試す?





てっきり石の塊のオブジェだと思い込んでいたのですが...
慌てて踵を返す僕。




こんなところにスイッチが!Σ( ̄口 ̄;)



田部井勝03


ここに顎を乗せると、骨伝導により振動音が聴こえてきます。
かける重力により、その音も変化。
顎を乗せるというよりも、顎で押し付けるようにするつさらに倍音が増し、音圧も上がるようです。

こんな仕掛けが施されていたとは...。


石の風流な印象と、作品のフューチャリスティックな感覚とが渾然一体となって不思議な体験が生み出される空間が作り上げられています。
さらに、新しく立ち上げられたCLEAR GALLERYの新鮮でフレッシュな静謐感もこの作品の体感的な面白さを引き立てるのに一役買っているようにも感じられます。
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