昨日の高円寺ペンギンハウスでのライブ、今回も無事終えることができました。
毎度ながら多くの方々に足をお運びいただきまして、あらためてお礼申し上げる次第でございます。
どうもありがとうございました!
2007年07月31日
review:志水児王 LINNERSCOPE《7/28》
志水児王 LINNERSCOPE
@RECTO VERSO GALLERY
東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 第2イノウエビル#401
7/23(月)〜8/4(土)日休
11:30〜19:00(最終日:〜16:30)

フューチャリスティックな光の像。
茅場町界隈に新しくオープンしたRECTO VERSO GALLERYで開催されている志水児王さんの展覧会に行ってきました。
志水さんといえば、昨年秋の表参道画廊での展覧会やそれ以前のSOLでの個展などで光のインスタレーションの作品を拝見していて、空間を行き交い、蠢くサイバーな光のかっこよさがいつも尋常でなく、今回も楽しみでいたのですが、その期待をまったく裏切らない、むしろさらに意表を付く、鮮烈さに満ちた空間が作り上げられいます。
ここ、RECTO VERSO GALLERYの空間のユニークさから。
完全なホワイトキューブで、空間の形状もほぼ正6面体的な印象、照明は天井にスクエアに組まれた蛍光灯のみという、展示に特化した空間です。
青山のvoid+などとも通ずる、アーティストのイマジネーションを刺激する空間。
今回出品されている志水さんの作品も、まずこの空間での展示が前提となっているようです。
照明が消され、暗室となっているギャラリーへと入った瞬間から、美しく揺らぎ、鮮やかな波形を描きながら変化し続けるグリーンの光と赤の光線とが目に飛び込んできて、その未来的な風合いに一気に持っていかれます。
しばらく眺め続けていると、その光の変化に時間を忘れてしまいそうになるくらいの鮮やかさ。
志水さんの作品は、実際に提示するものは壁などに映し出される光の像なのですが、それを生み出す器機からもまた、端整な機能美が感じられます。
これだけ複雑な光の波形を描き出せるのに、その器機の仕組みのシンプルさには驚かされます。

発光器機が放つ光が向かう先には、細長く浅い長方形の水槽が。
これが、角度の浅いシーソーのようになっていて、揺れる度に中に入っている水が動き、波が起こるような仕組みが施されています。
緑の光に浮かび上がる細長い長方形も、美しいです。

そして、この水面に反射した光が壁に投影されます。
シャッタースピードの関係で、写真ではどうしても光のエッジが滲んでしまっているのですが、実際には実に細やかな波形が大きな振幅を伴いながら、左斜め上と右下とし行き交います。
まるで壁を分断しているかのようなその緑の光のレールの真ん中を走る赤い光の筋。素晴らしく鮮やかなアクセントとなっています。


ここに展示されたすべてがかっこいいんです。
このギャラリーが入っている建物自体からは、奥野ビルにも通ずる古めかしさを感じずに入られないのですが、そんな風合いのなかにこの空間があることのギャップもまた面白く感じられます。
テクノロジーアートに興味がある方にはぜひチェックしてほしい展覧会です。
@RECTO VERSO GALLERY
東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 第2イノウエビル#401
7/23(月)〜8/4(土)日休
11:30〜19:00(最終日:〜16:30)
フューチャリスティックな光の像。
茅場町界隈に新しくオープンしたRECTO VERSO GALLERYで開催されている志水児王さんの展覧会に行ってきました。
志水さんといえば、昨年秋の表参道画廊での展覧会やそれ以前のSOLでの個展などで光のインスタレーションの作品を拝見していて、空間を行き交い、蠢くサイバーな光のかっこよさがいつも尋常でなく、今回も楽しみでいたのですが、その期待をまったく裏切らない、むしろさらに意表を付く、鮮烈さに満ちた空間が作り上げられいます。
ここ、RECTO VERSO GALLERYの空間のユニークさから。
完全なホワイトキューブで、空間の形状もほぼ正6面体的な印象、照明は天井にスクエアに組まれた蛍光灯のみという、展示に特化した空間です。
青山のvoid+などとも通ずる、アーティストのイマジネーションを刺激する空間。
今回出品されている志水さんの作品も、まずこの空間での展示が前提となっているようです。
照明が消され、暗室となっているギャラリーへと入った瞬間から、美しく揺らぎ、鮮やかな波形を描きながら変化し続けるグリーンの光と赤の光線とが目に飛び込んできて、その未来的な風合いに一気に持っていかれます。
しばらく眺め続けていると、その光の変化に時間を忘れてしまいそうになるくらいの鮮やかさ。
志水さんの作品は、実際に提示するものは壁などに映し出される光の像なのですが、それを生み出す器機からもまた、端整な機能美が感じられます。
これだけ複雑な光の波形を描き出せるのに、その器機の仕組みのシンプルさには驚かされます。
発光器機が放つ光が向かう先には、細長く浅い長方形の水槽が。
これが、角度の浅いシーソーのようになっていて、揺れる度に中に入っている水が動き、波が起こるような仕組みが施されています。
緑の光に浮かび上がる細長い長方形も、美しいです。
そして、この水面に反射した光が壁に投影されます。
シャッタースピードの関係で、写真ではどうしても光のエッジが滲んでしまっているのですが、実際には実に細やかな波形が大きな振幅を伴いながら、左斜め上と右下とし行き交います。
まるで壁を分断しているかのようなその緑の光のレールの真ん中を走る赤い光の筋。素晴らしく鮮やかなアクセントとなっています。
ここに展示されたすべてがかっこいいんです。
このギャラリーが入っている建物自体からは、奥野ビルにも通ずる古めかしさを感じずに入られないのですが、そんな風合いのなかにこの空間があることのギャップもまた面白く感じられます。
テクノロジーアートに興味がある方にはぜひチェックしてほしい展覧会です。
2007年07月30日
7/28のアート巡り
平野真美「散歩道」
@Gallery Jin
東京都台東区谷中2-5-22
7/27(金)〜8/5(日)月火休
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)

どこか水墨画のような渋味も感じられる銅版画と、やわらかく温かみのある色調で広がる油彩の作品。
それぞれがお互いに響きあい、おだやかでのんびりとした世界が繰り広げられています。
VIsual contents VII -版画-
@SAN-AI GALLERY
東京都中央区日本橋蠣殻町1-26-8 三愛水天宮ビル1F
7/21(土)〜7/28(土)
11:30〜19:00(日祝:〜18:00、最終日:〜17:00)

3名の女性の版画家のグループ展。
それぞれが手法とイマジネーションとを活かして、オリジナリティのある世界を作り上げています。
大西瑞穂さんのリトグラフの作品。
画面の中にあらわれる、細やかな描き込みがつくり出す奥行きが強く迫ってきます。
そして、色彩の鮮やかさが、どこか和洋が混然となった不思議な世界をさらに独特なものへと押し上げているように感じられます。


孤泥さんの作品はこれまでも度々拝見していますが、銅版画とペン画で繰り広げられる中世的なイメージが広がる緻密な模様に今回も圧倒された次第で。
細かい線のつながりとさまざまな種類の模様が繋がって、有機的なモチーフを形成しています。しかし、生命感が溢れるというよりも、その細やかさに目がいってしまうんです。


東京造形大学の修了展示で拝見して印象に残っている馬場都紀子さんのリトグラフ。
何版も用いながら、やさしくやわらかな色彩による陰影だけでその光景を浮かび上がらせていています。
フォルムを失い、残り香のように画面に佇むモチーフが印象的です。


3つの世界がお互いの良さをも引き出しあって、素敵な展覧会となっていました。
ぞれぞれの個々の展開も楽しみです。

志水児王 LINNERSCOPE
@RECTO VERSO GALLERY
東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 第2イノウエビル#401
7/23(月)〜8/4(土)日休
11:30〜19:00(最終日:〜16:30)

無機的な「光」で魅せるアーティスト、志水児王さんが、RECTO VERSO GALLERYのほぼ完全なホワイトキューブで繰り広げるハイパーフューチャリスティックな世界。
テクノロジカルなアプローチとアナログな手法とで、信じられないほどの美しい光の世界が作り上げられています。
浮かび上がるかたち 佐藤忠展
@東京日本橋高島屋6階 美術画廊X
東京都中央区日本橋2-4-1
7/18(水)〜8/7(火)
10:00〜20:00(最終日:〜16:00)

錆びた鉄の渋味と端整なフォルムが印象的です。
素材の重厚な感触がまた、心に落ち着きをもたらしてくれます。
金子晴香 絵画展 この上にあるもの
@Gallery坂巻
東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB2F
7/23(月)〜7/28(土)
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)

木版画とタブローが展示されていました。
まず、タブローは、ちょっと厚めのパネルが用いられ、「箱」のような感触もどこかユーモラス。
そのなかに、かわいい世界が収められています。


木版画もやっぱりかわいいんです。
のんびりとした風合いが、さまざまなサイズの画面から滲み出ていて良い感じです。


from/to #04 傍島崇 三井美幸 横井七菜
@WAKO WORKS OF ART
東京都新宿区西新宿3-18-2-101
7/28(土)〜8/30(木)日月祝・8/11〜8/20休
11:00〜19:00

WAKO WORKS OF ARTが紹介する若手作家のグループショー。
傍島崇さんのパワフルな色面、横井七菜さんのメルヘンチックな世界。無条件にその素晴らしい世界に意識が入り込んでいきます。
この日は時間に余裕がなく、三井美幸さんの映像作品をチェックできず。。。あらためてしっかり伺う所存です。
この日は他に、青山|目黒でのオープニング展における、壁に塗布する「白」をサンプルとして提示するユニークな展覧会や、T&G ARTSのNEXT DOORの第2弾、そしてとある女性アーティストのウェディングパーティーにも。
@Gallery Jin
東京都台東区谷中2-5-22
7/27(金)〜8/5(日)月火休
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
どこか水墨画のような渋味も感じられる銅版画と、やわらかく温かみのある色調で広がる油彩の作品。
それぞれがお互いに響きあい、おだやかでのんびりとした世界が繰り広げられています。
VIsual contents VII -版画-
@SAN-AI GALLERY
東京都中央区日本橋蠣殻町1-26-8 三愛水天宮ビル1F
7/21(土)〜7/28(土)
11:30〜19:00(日祝:〜18:00、最終日:〜17:00)
3名の女性の版画家のグループ展。
それぞれが手法とイマジネーションとを活かして、オリジナリティのある世界を作り上げています。
大西瑞穂さんのリトグラフの作品。
画面の中にあらわれる、細やかな描き込みがつくり出す奥行きが強く迫ってきます。
そして、色彩の鮮やかさが、どこか和洋が混然となった不思議な世界をさらに独特なものへと押し上げているように感じられます。
孤泥さんの作品はこれまでも度々拝見していますが、銅版画とペン画で繰り広げられる中世的なイメージが広がる緻密な模様に今回も圧倒された次第で。
細かい線のつながりとさまざまな種類の模様が繋がって、有機的なモチーフを形成しています。しかし、生命感が溢れるというよりも、その細やかさに目がいってしまうんです。
東京造形大学の修了展示で拝見して印象に残っている馬場都紀子さんのリトグラフ。
何版も用いながら、やさしくやわらかな色彩による陰影だけでその光景を浮かび上がらせていています。
フォルムを失い、残り香のように画面に佇むモチーフが印象的です。
3つの世界がお互いの良さをも引き出しあって、素敵な展覧会となっていました。
ぞれぞれの個々の展開も楽しみです。
志水児王 LINNERSCOPE
@RECTO VERSO GALLERY
東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 第2イノウエビル#401
7/23(月)〜8/4(土)日休
11:30〜19:00(最終日:〜16:30)
無機的な「光」で魅せるアーティスト、志水児王さんが、RECTO VERSO GALLERYのほぼ完全なホワイトキューブで繰り広げるハイパーフューチャリスティックな世界。
テクノロジカルなアプローチとアナログな手法とで、信じられないほどの美しい光の世界が作り上げられています。
浮かび上がるかたち 佐藤忠展
@東京日本橋高島屋6階 美術画廊X
東京都中央区日本橋2-4-1
7/18(水)〜8/7(火)
10:00〜20:00(最終日:〜16:00)
錆びた鉄の渋味と端整なフォルムが印象的です。
素材の重厚な感触がまた、心に落ち着きをもたらしてくれます。
金子晴香 絵画展 この上にあるもの
@Gallery坂巻
東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB2F
7/23(月)〜7/28(土)
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
木版画とタブローが展示されていました。
まず、タブローは、ちょっと厚めのパネルが用いられ、「箱」のような感触もどこかユーモラス。
そのなかに、かわいい世界が収められています。
木版画もやっぱりかわいいんです。
のんびりとした風合いが、さまざまなサイズの画面から滲み出ていて良い感じです。
from/to #04 傍島崇 三井美幸 横井七菜
@WAKO WORKS OF ART
東京都新宿区西新宿3-18-2-101
7/28(土)〜8/30(木)日月祝・8/11〜8/20休
11:00〜19:00
WAKO WORKS OF ARTが紹介する若手作家のグループショー。
傍島崇さんのパワフルな色面、横井七菜さんのメルヘンチックな世界。無条件にその素晴らしい世界に意識が入り込んでいきます。
この日は時間に余裕がなく、三井美幸さんの映像作品をチェックできず。。。あらためてしっかり伺う所存です。
この日は他に、青山|目黒でのオープニング展における、壁に塗布する「白」をサンプルとして提示するユニークな展覧会や、T&G ARTSのNEXT DOORの第2弾、そしてとある女性アーティストのウェディングパーティーにも。
2007年07月29日
review:楽天地 Miyazaki Yujiro Solo Exhibition《7/24、7/26》
楽天地 Miyazaki Yujiro Solo Exhibition
@ギャラリーエス E zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
7/24(火)〜8/5(日)月休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)

「二枚目」への痛快な転身。
ずいぶん前から楽しみにしていた、ギャラリーエス E zoneでの宮崎勇次郎さんの個展です。
宮崎さんの作品は、たしか2年ほど前のギャラリーアートポイントでのグループ展で拝見して以来、その銭湯の壁面画を思わせる妙に和やかな明るさをたたえたスタイルが忘れられず、以降もたびたび続けて観てきたのですが、第一印象とそれからしばらくの間は「こういう絵」といった印象に留まっていたんです。
敢えて言葉にするとしたら、「狙ったユーモア」。
無論、この個性の鮮烈さは相当なインパクトをもたらしてくれるので、ずっと気になるクリエイションではあるのですが、どうにも「三の線」の域を抜けだせないもどかしさを感じていたんです。
しかし、昨年のミヅマ・アクションでの「眼差しと好奇心」にフィーチャ−され、さらに今年のVOCA展でも作品を発表、そしてVOCA展と同時期に新宿のギャラリーユイットで開催された個展と、およそここ1年でその「三の線」の域を抜け出してきたような感触があって、それが何より嬉しく、また痛快に感じられるんです。
例えれば、角界でのユーモラスなアクセントだった力士が力を付けて、独特の得意技を持ちつつ、一気に大関横綱の地位を引き寄せてきたかのような。
今回の個展でまず嬉しいのが、VOCA展に出品された大作の再登場。
あらためてじっくりと拝見して、芝をあらわすきみどり色と、空の青、それぞれのくっきりとした鮮やかさが醸し出すユーモラスな雰囲気の中に、尋常でない情報量が詰め込まれ、そしてそのひとつひとつが実にかっこよく感じられます。
緻密な陰影で異様にリアルに描かれた動物たちの肉感的な体躯、かと思えばまるでアニメのような、色のエッジがはっきりとしたキャラクターがいたり。
ありとあらゆるものが投入され、どこまでもお賑やかな雰囲気が画面から充満しています。


なまずの作品もかっこいい。
僕にとって宮崎さんというと「きみどり色」のイメージが強いのですが、青が画面を覆う作品は、さらにそのユーモアの力強さ、スケールの大きさを押し上げているかのよう。
そこに、画面から受ける第一印象からは考えられないほどに実に細やかな点描なども施されていて、見応え充分です。


楽しいクリエイションが「頼もしい」クリエイションへと一歩前進し、その「おかしみ」はそのままに、さらに壮大な世界へと進んでいくような。
今回の個展を拝見して、宮崎さんの作品をどんどん観たい、もっと観たい、そんな欲求が強く芽生えました。
今、すごく面白いクリエイション。こちらのイマジネーションが追い付かないような展開を、期待したいです。
@ギャラリーエス E zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
7/24(火)〜8/5(日)月休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
「二枚目」への痛快な転身。
ずいぶん前から楽しみにしていた、ギャラリーエス E zoneでの宮崎勇次郎さんの個展です。
宮崎さんの作品は、たしか2年ほど前のギャラリーアートポイントでのグループ展で拝見して以来、その銭湯の壁面画を思わせる妙に和やかな明るさをたたえたスタイルが忘れられず、以降もたびたび続けて観てきたのですが、第一印象とそれからしばらくの間は「こういう絵」といった印象に留まっていたんです。
敢えて言葉にするとしたら、「狙ったユーモア」。
無論、この個性の鮮烈さは相当なインパクトをもたらしてくれるので、ずっと気になるクリエイションではあるのですが、どうにも「三の線」の域を抜けだせないもどかしさを感じていたんです。
しかし、昨年のミヅマ・アクションでの「眼差しと好奇心」にフィーチャ−され、さらに今年のVOCA展でも作品を発表、そしてVOCA展と同時期に新宿のギャラリーユイットで開催された個展と、およそここ1年でその「三の線」の域を抜け出してきたような感触があって、それが何より嬉しく、また痛快に感じられるんです。
例えれば、角界でのユーモラスなアクセントだった力士が力を付けて、独特の得意技を持ちつつ、一気に大関横綱の地位を引き寄せてきたかのような。
今回の個展でまず嬉しいのが、VOCA展に出品された大作の再登場。
あらためてじっくりと拝見して、芝をあらわすきみどり色と、空の青、それぞれのくっきりとした鮮やかさが醸し出すユーモラスな雰囲気の中に、尋常でない情報量が詰め込まれ、そしてそのひとつひとつが実にかっこよく感じられます。
緻密な陰影で異様にリアルに描かれた動物たちの肉感的な体躯、かと思えばまるでアニメのような、色のエッジがはっきりとしたキャラクターがいたり。
ありとあらゆるものが投入され、どこまでもお賑やかな雰囲気が画面から充満しています。
なまずの作品もかっこいい。
僕にとって宮崎さんというと「きみどり色」のイメージが強いのですが、青が画面を覆う作品は、さらにそのユーモアの力強さ、スケールの大きさを押し上げているかのよう。
そこに、画面から受ける第一印象からは考えられないほどに実に細やかな点描なども施されていて、見応え充分です。
楽しいクリエイションが「頼もしい」クリエイションへと一歩前進し、その「おかしみ」はそのままに、さらに壮大な世界へと進んでいくような。
今回の個展を拝見して、宮崎さんの作品をどんどん観たい、もっと観たい、そんな欲求が強く芽生えました。
今、すごく面白いクリエイション。こちらのイマジネーションが追い付かないような展開を、期待したいです。
review:吉田朗 犬張り子《7/24、7/26》
吉田朗 犬張り子
@ギャラリーエス S zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
7/24(火)〜8/5(日)月休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)

さて、犬張り子。
唐突ですが、とにかく犬張り子。
ガラス張りのギャラリーの入口から眺めると、なんともかわいい、未来的なジャポネスクの味わいが溢れる、ちょうど抱いてかかえられるくらいの大きさのつやつやの犬の張り子が、こっち向いて。

・・・か、かわいいじゃないか。
真ん丸のおめめとお鼻、すっと手描きの線で表されたひげ、口。
真っ白のボディにそれぞれの色が映えます。
で、後ろに回ると...

張り子の犬の背に思わず注目。
桜吹雪と髑髏かよ!Σ( ̄口 ̄;)
なんかもう、このギャップが堪らないのです。
桜吹雪のほうをさらにしっかりと観てみると、背中に文字も。

アルファベットで英訳してあるのでぱっとは分からないのですが。
ナゼに憲法9条!Σ( ̄口 ̄;)
未来の世界からやってきた張り子の犬が遠山の金さん張りに背中に桜吹雪を舞い上がらせて「忘れたとは言わせねぇ」とばかりに訴えるのが憲法9条。
なんかもう、シュールでシュールで。
というわけで、吉田朗さんの個展です。
これまでは、日々のニュースをモチーフにして、ユーモアのエッセンスをふんだんに投入して作り上げたジオラマ風オブジェの展覧会や、新宿でのグループ展で発表されたフューチャリスティックな質感が清々しいオブジェなど、幅広いイマジネーションで作り上げられたさまざまな作品を拝見しているのですが、今回のテーマが「犬張り子」で。
とにかく、第一印象の徹底的にも思えるほどのかわいらしさと、その背中にスプレーガンで描き上げられた刺青・タトゥ−ふうの紋のギャップが面白い、FRP製の張り子がずらりと並んでいます。
なかでも目を惹くのが、黒い犬張り子。
吉田さんのお話では、これが「親」らしい...もとい、この作品から型を取って他の作品を作ったそう。
漆のように奥行きのある艶やかさと、そこに浮かぶ赤とのコントラストが、他の張り子と比べて特別「不良っぽい・ワルっぽい」感じがしてきます。


そして、1点だけ出展されている、巨大な張り子。
ダイナミックな刺青が施され、さらにその存在感を強烈に押し上げています。


何というか、かわいいのにかっこいい!
あと、イメージ的になんですけど、そのまま張り子を引いて手を放すと車のおもちゃみたい「ウィーン」って走りそうな感じもまた楽しい(笑)。
そして何より、スプレーガンで描かれたさまざまな紋様の精緻さも大きな見どころとなっています。
マスキングも駆使しながら、不良願望を掻き立てるモチーフが再現されていて、ひとつひとつを眺めながら感嘆しきり。
かっこかわいい展覧会となっていて、楽しいのです。
@ギャラリーエス S zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
7/24(火)〜8/5(日)月休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
さて、犬張り子。
唐突ですが、とにかく犬張り子。
ガラス張りのギャラリーの入口から眺めると、なんともかわいい、未来的なジャポネスクの味わいが溢れる、ちょうど抱いてかかえられるくらいの大きさのつやつやの犬の張り子が、こっち向いて。
・・・か、かわいいじゃないか。
真ん丸のおめめとお鼻、すっと手描きの線で表されたひげ、口。
真っ白のボディにそれぞれの色が映えます。
で、後ろに回ると...
張り子の犬の背に思わず注目。
桜吹雪と髑髏かよ!Σ( ̄口 ̄;)
なんかもう、このギャップが堪らないのです。
桜吹雪のほうをさらにしっかりと観てみると、背中に文字も。
アルファベットで英訳してあるのでぱっとは分からないのですが。
ナゼに憲法9条!Σ( ̄口 ̄;)
未来の世界からやってきた張り子の犬が遠山の金さん張りに背中に桜吹雪を舞い上がらせて「忘れたとは言わせねぇ」とばかりに訴えるのが憲法9条。
なんかもう、シュールでシュールで。
というわけで、吉田朗さんの個展です。
これまでは、日々のニュースをモチーフにして、ユーモアのエッセンスをふんだんに投入して作り上げたジオラマ風オブジェの展覧会や、新宿でのグループ展で発表されたフューチャリスティックな質感が清々しいオブジェなど、幅広いイマジネーションで作り上げられたさまざまな作品を拝見しているのですが、今回のテーマが「犬張り子」で。
とにかく、第一印象の徹底的にも思えるほどのかわいらしさと、その背中にスプレーガンで描き上げられた刺青・タトゥ−ふうの紋のギャップが面白い、FRP製の張り子がずらりと並んでいます。
なかでも目を惹くのが、黒い犬張り子。
吉田さんのお話では、これが「親」らしい...もとい、この作品から型を取って他の作品を作ったそう。
漆のように奥行きのある艶やかさと、そこに浮かぶ赤とのコントラストが、他の張り子と比べて特別「不良っぽい・ワルっぽい」感じがしてきます。
そして、1点だけ出展されている、巨大な張り子。
ダイナミックな刺青が施され、さらにその存在感を強烈に押し上げています。
何というか、かわいいのにかっこいい!
あと、イメージ的になんですけど、そのまま張り子を引いて手を放すと車のおもちゃみたい「ウィーン」って走りそうな感じもまた楽しい(笑)。
そして何より、スプレーガンで描かれたさまざまな紋様の精緻さも大きな見どころとなっています。
マスキングも駆使しながら、不良願望を掻き立てるモチーフが再現されていて、ひとつひとつを眺めながら感嘆しきり。
かっこかわいい展覧会となっていて、楽しいのです。
2007年07月28日
review;嵯峨篤、小池一馬、ディディエ・クールボ Casino Royale《7/20、7/21》
嵯峨篤、小池一馬、ディディエ・クールボ Casino Royale
@SCAI THE BATHHOUSE
東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
7/20(金)〜8/31(金)日月祝・8/11〜8/20休
12:00〜19:00

3名のアーティストのグループショー。
嵯峨さんのどこまでも艶やかな平面、小池さんの和紙を用いた大きな立体作品と水彩のタブロー、ディディエさんのインスタレーション。それぞれが重ならず、絶妙のバランスでひとつの空間に収まっていて、ひとつひとつの作品のユニークさをしっかりと堪能できる展覧会です。
絶妙のバランス。
それでいて、充分に存在するイマジネーションの有余。
SCAI THE BATHHOUSEで始まった久々のグループショー「Casino Royale」に行ってきました。
そのスタイルや手法はいう間でもなく、世代も国籍も統一されない3名のアーティストのユニークなクリエイションがパッケージされ、独特な「間」を持って響きあっている、たいへん興味深い展覧会となっています。
入口をくぐってまず目に飛び込んでくるのは、鮮烈な光沢を放つスクエアの画面の清冽。
嵯峨篤さんの平面の作品です。
とにかくその表面の艶やかさと、シャープな造型に鮮烈さを覚えます。

手前と正面奥とに展開される幾何学的で無機的な光景。
その画面と対峙するすべての事象を有無を言わさず映してしまうほどに、磨き込まれた画面の強さ。
ぱっと眺めるとまったく同じ大きさ、同じ形に見えるそれぞれの列のスクエアも、実はそこに封じ込められた色彩や、設置される角度に若干の違いがあるようで、そのわずかな差を感じながら眺めると、さらに奥深くイメージが広がっていきます。
何よりその無機的な重厚さが醸し出す存在感のインパクトに、感服してしまいます。


フランス人アーティスト、ディヂエ・クールボさんの作品。
まず、こんなものが、ぽつねんと。

椅子。この空間に計2つ。
どこかの板の切れ端を使って作られたかのような粗雑さが妙にそそられる作品。
(・_・)ハテ?
・・・と、なんかあるんじゃないかと思って見渡すと・・・

壁に穴が。
ちょ
壁かよ!Σ( ̄口 ̄;)
壁切ったのかよ!Σ( ̄口 ̄;)
建物壊したのかよ!Σ( ̄口 ̄;)
いやしかしよく許したねSCAI THE BATHHOUSE.!
この作品に値段が付いているのも(しかもそれなりのお値段)、それでいて初日のレセプションで当たり前のように物置き台と化していたのも、妙におかしく、シュールで。
アーティストが道具だけ抱えてやってきて、そこにあるもので(というかそこにあるものを壊して)作品を作ってしまうという、何という能率の良さ(爆)。そんなふうに感心しつつ。。。
ディディエさんの作品は、他に映像、写真も。
延々と、手に何か妙にその出自が気になるようなちいさな物を乗せて道路を歩くパフォーマンスや、街並との違和感がこれまた妙に気になって、しかしだんだんとそれが当然であるかのように風景として馴染んでくる不思議な写真。

さらには、木材や鋼材の細いスティックを組み上げて制作した作品も。
ペーパーバックがかけられていたり、明かりが灯されていたり。


それぞれの作品は、どこか「謎解き」的で、敢えて例えると「智恵の輪」のように、ニヒルな笑顔で何か問うてきているような印象です。
じっくり対峙するうちに、ゆっくりとイメージが広がっていくような感触。
もうひとりは、昨年末に拝見したclementain workshopでの個展がたいへん印象に残っている小池一馬さん。
広々とした空間をたっぷりと使って、ダイナミックなオブジェを出展しています。
木製の土台に付着された和紙。それがどこか中世的な風合いも醸し出し、時代や場所をまったく異なるところへと誘ってくれるような作品です。


隣り合う壁には上方にまた大きな作品が。

水彩の作品も展示されていて、こちらも素敵です。
水彩絵の具特有の可憐な滲み具合を絶妙の加減でコントロールし、細やかな模様やモチーフを表情豊かに描き上げています。
また、大きな画面の作品では、立体作品と同様に謎めいた場所や時代をイメージさせつつも、広々とした平面の空間にふわりと広がるように展開する印象があって、仄かにやさしく、かつ硬質な感触も心に残ります。


3名の個性がひとつの空間にパッケージされているのですが、それぞれがお互いの領域を侵食しあうことなく、それぞれが持つイマジネーションのエアポケットをお互いに補完しあっているような感じがすごく印象に残り、興味深く感じられます。
あらためてじっくりと堪能したい展覧会です。
@SCAI THE BATHHOUSE
東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
7/20(金)〜8/31(金)日月祝・8/11〜8/20休
12:00〜19:00
3名のアーティストのグループショー。
嵯峨さんのどこまでも艶やかな平面、小池さんの和紙を用いた大きな立体作品と水彩のタブロー、ディディエさんのインスタレーション。それぞれが重ならず、絶妙のバランスでひとつの空間に収まっていて、ひとつひとつの作品のユニークさをしっかりと堪能できる展覧会です。
絶妙のバランス。
それでいて、充分に存在するイマジネーションの有余。
SCAI THE BATHHOUSEで始まった久々のグループショー「Casino Royale」に行ってきました。
そのスタイルや手法はいう間でもなく、世代も国籍も統一されない3名のアーティストのユニークなクリエイションがパッケージされ、独特な「間」を持って響きあっている、たいへん興味深い展覧会となっています。
入口をくぐってまず目に飛び込んでくるのは、鮮烈な光沢を放つスクエアの画面の清冽。
嵯峨篤さんの平面の作品です。
とにかくその表面の艶やかさと、シャープな造型に鮮烈さを覚えます。
手前と正面奥とに展開される幾何学的で無機的な光景。
その画面と対峙するすべての事象を有無を言わさず映してしまうほどに、磨き込まれた画面の強さ。
ぱっと眺めるとまったく同じ大きさ、同じ形に見えるそれぞれの列のスクエアも、実はそこに封じ込められた色彩や、設置される角度に若干の違いがあるようで、そのわずかな差を感じながら眺めると、さらに奥深くイメージが広がっていきます。
何よりその無機的な重厚さが醸し出す存在感のインパクトに、感服してしまいます。
フランス人アーティスト、ディヂエ・クールボさんの作品。
まず、こんなものが、ぽつねんと。
椅子。この空間に計2つ。
どこかの板の切れ端を使って作られたかのような粗雑さが妙にそそられる作品。
(・_・)ハテ?
・・・と、なんかあるんじゃないかと思って見渡すと・・・
壁に穴が。
ちょ
壁かよ!Σ( ̄口 ̄;)
壁切ったのかよ!Σ( ̄口 ̄;)
建物壊したのかよ!Σ( ̄口 ̄;)
いやしかしよく許したねSCAI THE BATHHOUSE.!
この作品に値段が付いているのも(しかもそれなりのお値段)、それでいて初日のレセプションで当たり前のように物置き台と化していたのも、妙におかしく、シュールで。
アーティストが道具だけ抱えてやってきて、そこにあるもので(というかそこにあるものを壊して)作品を作ってしまうという、何という能率の良さ(爆)。そんなふうに感心しつつ。。。
ディディエさんの作品は、他に映像、写真も。
延々と、手に何か妙にその出自が気になるようなちいさな物を乗せて道路を歩くパフォーマンスや、街並との違和感がこれまた妙に気になって、しかしだんだんとそれが当然であるかのように風景として馴染んでくる不思議な写真。
さらには、木材や鋼材の細いスティックを組み上げて制作した作品も。
ペーパーバックがかけられていたり、明かりが灯されていたり。
それぞれの作品は、どこか「謎解き」的で、敢えて例えると「智恵の輪」のように、ニヒルな笑顔で何か問うてきているような印象です。
じっくり対峙するうちに、ゆっくりとイメージが広がっていくような感触。
もうひとりは、昨年末に拝見したclementain workshopでの個展がたいへん印象に残っている小池一馬さん。
広々とした空間をたっぷりと使って、ダイナミックなオブジェを出展しています。
木製の土台に付着された和紙。それがどこか中世的な風合いも醸し出し、時代や場所をまったく異なるところへと誘ってくれるような作品です。
隣り合う壁には上方にまた大きな作品が。
水彩の作品も展示されていて、こちらも素敵です。
水彩絵の具特有の可憐な滲み具合を絶妙の加減でコントロールし、細やかな模様やモチーフを表情豊かに描き上げています。
また、大きな画面の作品では、立体作品と同様に謎めいた場所や時代をイメージさせつつも、広々とした平面の空間にふわりと広がるように展開する印象があって、仄かにやさしく、かつ硬質な感触も心に残ります。
3名の個性がひとつの空間にパッケージされているのですが、それぞれがお互いの領域を侵食しあうことなく、それぞれが持つイマジネーションのエアポケットをお互いに補完しあっているような感じがすごく印象に残り、興味深く感じられます。
あらためてじっくりと堪能したい展覧会です。
2007年07月27日
review:夏目麻麦展《7/21》
夏目麻麦展
@ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
7/17(火)〜7/31(火)日休
11:00〜18:30

濃厚で透明な色彩。
ギャラリー椿での夏目麻麦さんの個展です。
つい先日まで東京都現代美術館やギャラリー小柳で展覧会が開催されていたデュマスの作風を思わせる、独特の重厚さと静謐感をたたえた作品が並び、深遠な雰囲気を充満させています。

多くの作品には人物の肖像が描かれています。
輪郭を失ったかのようなシルエットと、ダークな色彩とで描き出される人の顔。
それぞれのパーツも滲んでそのフォルムをぼやけさせ、色と色との曖昧なグラデーションがわずかに描かれているものが顔であることを認識させてくれます。
それでいて、そこにある顔が表す表情は、声にならない声を発し、尋常でないほどの強い意思を放っているかのよう。
ダークな色調のなかに提示される世と対峙し、ただただ立ち尽くしてしまいます。


人物の全体像を描いた作品は、顔の作品と比べると情報量が多くなることもあり、どこかの場面を思い浮かべさせてくれます。
ただ、そこに描かれている色彩と同様に、まるで曖昧な記憶や想像を辿っていくかのような独特の雰囲気が強く印象に残る世界で、眺めていて意識がどんどんとのめり込んでいくかのような、とてつもない奥深さを秘めた作品群です。


いつもよりも若干暗めの照明に設定されたギャラリー椿。
こちらのギャラリーが紹介するクリエイションは、その多くに独特のナイーブさをたたえたユニーク個性と、そこに緩やかに「軽さ」や「さわやかさ」が感じられ、その空気を嗅ぎ取るのが嬉しい、といった印象があるのですが、今回の夏目さんの展覧会は、逆にそのナイーブさのメーターが最大のほうへと振り切っていて、いつのも軽みが消えて、どこまでも重厚に迫ってくる空間が作り上げられています。
時間を忘れてじっくりと味わいたい、至高の展覧会です。
@ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
7/17(火)〜7/31(火)日休
11:00〜18:30
濃厚で透明な色彩。
ギャラリー椿での夏目麻麦さんの個展です。
つい先日まで東京都現代美術館やギャラリー小柳で展覧会が開催されていたデュマスの作風を思わせる、独特の重厚さと静謐感をたたえた作品が並び、深遠な雰囲気を充満させています。
多くの作品には人物の肖像が描かれています。
輪郭を失ったかのようなシルエットと、ダークな色彩とで描き出される人の顔。
それぞれのパーツも滲んでそのフォルムをぼやけさせ、色と色との曖昧なグラデーションがわずかに描かれているものが顔であることを認識させてくれます。
それでいて、そこにある顔が表す表情は、声にならない声を発し、尋常でないほどの強い意思を放っているかのよう。
ダークな色調のなかに提示される世と対峙し、ただただ立ち尽くしてしまいます。
人物の全体像を描いた作品は、顔の作品と比べると情報量が多くなることもあり、どこかの場面を思い浮かべさせてくれます。
ただ、そこに描かれている色彩と同様に、まるで曖昧な記憶や想像を辿っていくかのような独特の雰囲気が強く印象に残る世界で、眺めていて意識がどんどんとのめり込んでいくかのような、とてつもない奥深さを秘めた作品群です。
いつもよりも若干暗めの照明に設定されたギャラリー椿。
こちらのギャラリーが紹介するクリエイションは、その多くに独特のナイーブさをたたえたユニーク個性と、そこに緩やかに「軽さ」や「さわやかさ」が感じられ、その空気を嗅ぎ取るのが嬉しい、といった印象があるのですが、今回の夏目さんの展覧会は、逆にそのナイーブさのメーターが最大のほうへと振り切っていて、いつのも軽みが消えて、どこまでも重厚に迫ってくる空間が作り上げられています。
時間を忘れてじっくりと味わいたい、至高の展覧会です。
2007年07月26日
review:西澤千晴 For beautiful human life《7/18、7/21》
西澤千晴 For beautiful human life
@東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5,7F
7/18(水)〜9/1(土)日月祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)

ユーモアの中に潜む、シニカルな視点。
東京画廊での西澤千晴さんの個展です。
前回の個展も拝見していて、そのときも画面の中にたくさん登場するオヤジやオバサンひとりひとりの仕草や格好がやけに面白くて印象的だったのですが、今回の個展では、そこに込められたメッセージのようなものがよりくっきりと輪郭を帯びて現れているような感じがします。
例によって、多くの作品で多数、というかイメージ的には無数のオヤジやオバサンが登場します。
入口すぐにある作品では、なぜか海に浮かんでいるオヤジの姿が。向こう岸のリゾートホテルらしき建物に打ち寄せている小包ふうのものとの対比もなんだかシュール。
顔に表情が浮かんでいないせいか、意思を感じないオヤジたちの脱力が妙に印象に残ります。


今回は、鳥や、鳥のシルエットが織りまぜられた作品も多数。
そして、それらの作品の多くに登場するオヤジたちは一様に背中にパラシュートのようなものを背負っていて...しかし、空中にいるオヤジはおらず、結局地面にいるばかりで。
この対比が、飛ぶ鳥の自由さと、例え空中に放たれたとしてもほとんど降下するしかないオヤジの悲哀のようなものをお互いに引き立てあって、ポップでユーモラスな最初のインパクトから痛烈に何かを感じさせてくれます。
ただ、そのことがどうとかを言っているのではなくて、ただ、その状況をこういった形で表している、という淡々とした感触も印象に残るんです。


もうひとつ、夢、というか、人生設計における理想、目標をモチーフにした作品も。
正面のコーナーに展示された3点、ハートの形をした花壇のなかに、「お金があれば手に入るもの、手に入れたいと思うもの」が描き出されています。
いちばん左手が、豪勢な食事。

その隣に、車。

そして住宅、と、連作として展示されています。
鮮やかな花壇の花の色と、そのハート形の中に描かれるモチーフの色合いが注目で、実際に手に入れることがたやすいものの順に、だんだんと色が薄く描かれるようなっていて、その色調が現実的な距離感を表しているとのこと。
ぱっと観て派手な風合いの作品なのに、どこか切なさが漂ってくるのがなんとも興味深いです。

そして、アートフェア東京でも出品された、スタインウェイのグランドピアノが支持体となった超大作が再び登場しているのも嬉しいのです。
なによりもまず、
どうやって運んだんだ!Σ( ̄口 ̄;)
ということに驚いたりもするのですが、まあピアノは案外細かく部品に分解できるのでそれはすぐに理解できるとして...。
「川」を描いた作品、蓋に暗めの青でたゆたう水の様子がおおらかに描かれていて、印象的です。
そして、この作品は、ピアノの側面が絵巻のような構成になっていて、ちょうどピアノの低音の鍵盤のあたりから、ぐるりとまわって高音域付近へと進むに連れて、そこに描かれるオヤジとご婦人たちの姿がより元気なものとなっていて、さらにそれを描く色調もだんだんと明るく、くっきりとしたものと変化しています。


一体何人いるんだろう、と数えてみたくなったりもするのですが、どこか俯きがちな低音部のオヤジたちの姿と、元気にダンスをしているオヤジ、そして最後には川べりに寝そべってのんびりとしているオヤジの姿のコントラストがこの作品の奥深さを演出しています。
そういうふうにあらためて眺めてみると、ホントに見応えがある作品です。
また、脚部やペダル、鍵盤の蓋や譜面台などにもワンポイントみたいに絵が描かれているのもなんともオシャレで。

何でもこちらの作品、ベーゼンドルファーと並んで世界2大ピアノメーカーのスタインウェイが西澤さんの作品を知り、特別な注文なしに描くことを依頼されたとのことで、制作自体はやはりキャンバスなどと都合が違ってたいへんだったようなのですが、それでも西澤さんに依頼されるスタインウェイのユニークなセンスと、それに応えて見事な構成の作品を描き上げる西澤さんの両者に拍手です。
で、今回の個展で僕が一番印象に残ったのは、西澤さんの作品としてはたいへん珍しく、オヤジとオバサンがひとりずつしか登場していない作品。
遠い風景の一場面のこの味わい深さに感服した次第。

見応え、そこから感じるイメージの奥深さ、その両方に感じ入ることができる展覧会です。
もっといろいろと観てみたい、そして続きも楽しみなクリエイションです。
@東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5,7F
7/18(水)〜9/1(土)日月祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
ユーモアの中に潜む、シニカルな視点。
東京画廊での西澤千晴さんの個展です。
前回の個展も拝見していて、そのときも画面の中にたくさん登場するオヤジやオバサンひとりひとりの仕草や格好がやけに面白くて印象的だったのですが、今回の個展では、そこに込められたメッセージのようなものがよりくっきりと輪郭を帯びて現れているような感じがします。
例によって、多くの作品で多数、というかイメージ的には無数のオヤジやオバサンが登場します。
入口すぐにある作品では、なぜか海に浮かんでいるオヤジの姿が。向こう岸のリゾートホテルらしき建物に打ち寄せている小包ふうのものとの対比もなんだかシュール。
顔に表情が浮かんでいないせいか、意思を感じないオヤジたちの脱力が妙に印象に残ります。
今回は、鳥や、鳥のシルエットが織りまぜられた作品も多数。
そして、それらの作品の多くに登場するオヤジたちは一様に背中にパラシュートのようなものを背負っていて...しかし、空中にいるオヤジはおらず、結局地面にいるばかりで。
この対比が、飛ぶ鳥の自由さと、例え空中に放たれたとしてもほとんど降下するしかないオヤジの悲哀のようなものをお互いに引き立てあって、ポップでユーモラスな最初のインパクトから痛烈に何かを感じさせてくれます。
ただ、そのことがどうとかを言っているのではなくて、ただ、その状況をこういった形で表している、という淡々とした感触も印象に残るんです。
もうひとつ、夢、というか、人生設計における理想、目標をモチーフにした作品も。
正面のコーナーに展示された3点、ハートの形をした花壇のなかに、「お金があれば手に入るもの、手に入れたいと思うもの」が描き出されています。
いちばん左手が、豪勢な食事。
その隣に、車。
そして住宅、と、連作として展示されています。
鮮やかな花壇の花の色と、そのハート形の中に描かれるモチーフの色合いが注目で、実際に手に入れることがたやすいものの順に、だんだんと色が薄く描かれるようなっていて、その色調が現実的な距離感を表しているとのこと。
ぱっと観て派手な風合いの作品なのに、どこか切なさが漂ってくるのがなんとも興味深いです。
そして、アートフェア東京でも出品された、スタインウェイのグランドピアノが支持体となった超大作が再び登場しているのも嬉しいのです。
なによりもまず、
どうやって運んだんだ!Σ( ̄口 ̄;)
ということに驚いたりもするのですが、まあピアノは案外細かく部品に分解できるのでそれはすぐに理解できるとして...。
「川」を描いた作品、蓋に暗めの青でたゆたう水の様子がおおらかに描かれていて、印象的です。
そして、この作品は、ピアノの側面が絵巻のような構成になっていて、ちょうどピアノの低音の鍵盤のあたりから、ぐるりとまわって高音域付近へと進むに連れて、そこに描かれるオヤジとご婦人たちの姿がより元気なものとなっていて、さらにそれを描く色調もだんだんと明るく、くっきりとしたものと変化しています。
一体何人いるんだろう、と数えてみたくなったりもするのですが、どこか俯きがちな低音部のオヤジたちの姿と、元気にダンスをしているオヤジ、そして最後には川べりに寝そべってのんびりとしているオヤジの姿のコントラストがこの作品の奥深さを演出しています。
そういうふうにあらためて眺めてみると、ホントに見応えがある作品です。
また、脚部やペダル、鍵盤の蓋や譜面台などにもワンポイントみたいに絵が描かれているのもなんともオシャレで。
何でもこちらの作品、ベーゼンドルファーと並んで世界2大ピアノメーカーのスタインウェイが西澤さんの作品を知り、特別な注文なしに描くことを依頼されたとのことで、制作自体はやはりキャンバスなどと都合が違ってたいへんだったようなのですが、それでも西澤さんに依頼されるスタインウェイのユニークなセンスと、それに応えて見事な構成の作品を描き上げる西澤さんの両者に拍手です。
で、今回の個展で僕が一番印象に残ったのは、西澤さんの作品としてはたいへん珍しく、オヤジとオバサンがひとりずつしか登場していない作品。
遠い風景の一場面のこの味わい深さに感服した次第。
見応え、そこから感じるイメージの奥深さ、その両方に感じ入ることができる展覧会です。
もっといろいろと観てみたい、そして続きも楽しみなクリエイションです。
2007年07月25日
review:加藤泉「人へ」《7/14、7/21》
加藤泉「人へ」
@ARATANIURANO
東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A
7/14(土)〜8/11(土)日月祝休
11:00〜19:00

今年に入って怒涛の露出を見せる加藤泉さんの描く人。
この奇妙な人たちにもさすがに慣れたわけですが、慣れると一気に愛着が湧いてくるこの不思議。
ARATANIURANOのこけら落としにふさわしく、大きな平面作品と各種の木彫とのふたつの空間がつくり出され、ダイナミックな空間が演出されています。
・・・さて。
果たして彼らはどんな言葉をしゃべるのだろうか。。。
初めて加藤泉さんの作品を拝見したのは、SCAI THE BATHHOUSEでの個展ででした。
ギャラリーの至る所に、あるものは四つん這いになって、あるものはその四つん這いになっている大きな背中の上にさらに四つん這いになっていたり、壁に寄り掛かっていたり、といった具合にさまざまな姿の作品が展示されていて、もう一度観ると絶対に忘れられないその奇妙な魅力に溢れた表情と姿に例に漏れず持って行かれた次第で。
で、2007年のMOT ANNUALに参加された辺りからにわかにその忘れられない作品を目にする機会が増え、本郷のTOKYO WONDER SITEや高橋コレクションでの展覧会を経て、この夏新しくオープンしたARATANIURANOのこけら落としとして始まった加藤泉さんの新作展に、さっそく行ってきました。
メインスペースには平面の大作、ミーティングルームに木彫の作品、あと事務所にも小品が展示されています。
まず、油彩の大作。
なによりもまず、黒一色に塗りたくられた背景によって、いつになくダークな雰囲気が充満しています。

「夜」を思わせるその黒の雰囲気の効果もあってか、彼らの「宇宙人・異星人」っぷりがより全面に押し出されて、それで作り上げられた空間の雰囲気も一段と力強く奇妙なものに。
刷毛で塗られ、その流れも生々しく残る色面、筆が画面から離れた瞬間がそのまま硬化した絵の具など、一度描かれている作品の世界から、画面に近付くことによって離れたときに見つかってくるさまざまな痕跡も、油彩特有の重厚さに溢れています。

ミーティングルーム。
こちらは、もう...(汗)。
「異星人」の頭部のみ、上半身、足首より上...さまざまな姿と形で何故かいろんなイスの脚部に取り付けられ、すべて入口のほうを向いて展示されています。

・・・一体何だ、この押し込まれるような圧力は(笑)。
彼らに言葉があるとして、それはきっと「少年アシベ」のゴマアザラシ「ゴマちゃん」がしゃべるような意味不明ながら意図は何故か通じる、そんな類いの擬音だろうな、とあらためて想像を逞しく、というより自然に思い浮かんでしまうのですが・・・。
それより、いちばんツボったのは...キャスター付きの脚に乗っかっている異星人。
動くのかよ!Σ( ̄口 ̄;)
と、想像しただけで、もう(汗)。
・・・・いやいや、たまりません。
小品も素敵です。
平面にしろ、木彫にしろ、しっかり仕上げないところが最高の仕上げ、と言わんばかりの描きっ放し切りっ放しのやりっ放し感が痛快で堪らない作品が。
これがだんだんかわいくなってくるからホントに不思議です。

人が作るものって、あらためて面白いなぁ、と思った次第です。
もっといろいろと観てみたいですし、これからどういう展開を見せるかすごく楽しみです。
そして、ARATANIURANOのサイトを拝見すると、クレジットされているアーティストがすごく興味深い!こちらのこれからも楽しみです!
@ARATANIURANO
東京都中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3A
7/14(土)〜8/11(土)日月祝休
11:00〜19:00
今年に入って怒涛の露出を見せる加藤泉さんの描く人。
この奇妙な人たちにもさすがに慣れたわけですが、慣れると一気に愛着が湧いてくるこの不思議。
ARATANIURANOのこけら落としにふさわしく、大きな平面作品と各種の木彫とのふたつの空間がつくり出され、ダイナミックな空間が演出されています。
・・・さて。
果たして彼らはどんな言葉をしゃべるのだろうか。。。
初めて加藤泉さんの作品を拝見したのは、SCAI THE BATHHOUSEでの個展ででした。
ギャラリーの至る所に、あるものは四つん這いになって、あるものはその四つん這いになっている大きな背中の上にさらに四つん這いになっていたり、壁に寄り掛かっていたり、といった具合にさまざまな姿の作品が展示されていて、もう一度観ると絶対に忘れられないその奇妙な魅力に溢れた表情と姿に例に漏れず持って行かれた次第で。
で、2007年のMOT ANNUALに参加された辺りからにわかにその忘れられない作品を目にする機会が増え、本郷のTOKYO WONDER SITEや高橋コレクションでの展覧会を経て、この夏新しくオープンしたARATANIURANOのこけら落としとして始まった加藤泉さんの新作展に、さっそく行ってきました。
メインスペースには平面の大作、ミーティングルームに木彫の作品、あと事務所にも小品が展示されています。
まず、油彩の大作。
なによりもまず、黒一色に塗りたくられた背景によって、いつになくダークな雰囲気が充満しています。
「夜」を思わせるその黒の雰囲気の効果もあってか、彼らの「宇宙人・異星人」っぷりがより全面に押し出されて、それで作り上げられた空間の雰囲気も一段と力強く奇妙なものに。
刷毛で塗られ、その流れも生々しく残る色面、筆が画面から離れた瞬間がそのまま硬化した絵の具など、一度描かれている作品の世界から、画面に近付くことによって離れたときに見つかってくるさまざまな痕跡も、油彩特有の重厚さに溢れています。
ミーティングルーム。
こちらは、もう...(汗)。
「異星人」の頭部のみ、上半身、足首より上...さまざまな姿と形で何故かいろんなイスの脚部に取り付けられ、すべて入口のほうを向いて展示されています。
・・・一体何だ、この押し込まれるような圧力は(笑)。
彼らに言葉があるとして、それはきっと「少年アシベ」のゴマアザラシ「ゴマちゃん」がしゃべるような意味不明ながら意図は何故か通じる、そんな類いの擬音だろうな、とあらためて想像を逞しく、というより自然に思い浮かんでしまうのですが・・・。
それより、いちばんツボったのは...キャスター付きの脚に乗っかっている異星人。
動くのかよ!Σ( ̄口 ̄;)
と、想像しただけで、もう(汗)。
・・・・いやいや、たまりません。
小品も素敵です。
平面にしろ、木彫にしろ、しっかり仕上げないところが最高の仕上げ、と言わんばかりの描きっ放し切りっ放しのやりっ放し感が痛快で堪らない作品が。
これがだんだんかわいくなってくるからホントに不思議です。
人が作るものって、あらためて面白いなぁ、と思った次第です。
もっといろいろと観てみたいですし、これからどういう展開を見せるかすごく楽しみです。
そして、ARATANIURANOのサイトを拝見すると、クレジットされているアーティストがすごく興味深い!こちらのこれからも楽しみです!
review:生々しき空像 樫木知子・坂本千弦《7/21》
生々しき空像 樫木知子・坂本千弦
@ギャラリーなつか& b.p.
東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F
7/17(火)〜7/28(土)日休
11:30〜18:30(最終日:〜17:00)

二人の女性アーティストの展覧会です。
まず、ギャラリーなつかのちいさなほうのスペース、「b.p.」で展示されている坂本千弦さんの作品。
素材のユニークさが存分に活かされた立体的な作品を中心に、さまざまなクリエイションが繰り広げられています。
この空間に入っただけで、ほぼすべての作品が目に飛び込んできてかなりのインパクト。
奥のほうの壁に展示されている、赤く透明な楕円のパネルの作品。
至近で観る角度を変えながら画面を探ると、細かいドットによって何やら描かれています。右側の作品は、赤ちゃんの寝顔が。


透明の素材を用い、壁に飾られた作品。この季節にぴったりの、瑞々しくフレッシュな感触が気持ち良いです。
まさに、水の飛沫を捉えたような感触で。


数点展示されている、黒い紙に描かれたタブローの作品も印象的です。
黒の背景に城のフォルムが映え、描かれるモチーフの繊細さが伝わってきます。

もっともインパクトがある作品が、天井から吊り下げられたリボン状のもの。
なんでも、糊に絵の具を混ぜて、平たいところに乗せながら長く長く紡ぐように作っていったそう。いかにもハンドメイドらしい、ひとつひとつ違っている輪の輪郭を至近で眺めたときに感じる味わいも良く、加えて見上げる気持ちよさも。


広いほうのスペースでは、樫木知子さんの平面作品が展示されています。
ナチュラルな色調のなかに女の子を登場させて、霞みゆく回想のようにふわふわと、しかし仄かに殺伐とした感触も持たせながら、独特の物語が展開されているような。

この「描きかけ」感が、妙に心を誘ってきます。
すべてを言ってしまわない、それどころか、ほとんど言わない...そこにあるものだけで淡々と、ある光景が描き出されているのですが、その未完成な感触が逆に観る側のイメージを膨らませてくれるような感じです。
そして、部分的に登場するひっきりなしに続くパターンや幾何的モチーフなどが絶妙なアクセントとなって、やわらかさのなかに硬さやミニマムな広がりを与えています。


事務所のスペースに展示されていた小品は、若干違うテイスト。
小品で、色調こそ大きな作品と近いのですが、ちいさな画面の中にぽつんとひとつのモチーフだけが描かれ、なんともかわいらしい、そしてそこはかとなくシュールな感触も醸し出されているように感じられます。

それぞれの世界は繋がっているようにも独立しているようにも感じられます。
不思議な後味のする、ユニークな作品群です。

この二人のアーティストの作品、色調も質感も異なりますが、逆にそのギャップも面白く感じられる展覧会となっています。
@ギャラリーなつか& b.p.
東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F
7/17(火)〜7/28(土)日休
11:30〜18:30(最終日:〜17:00)
二人の女性アーティストの展覧会です。
まず、ギャラリーなつかのちいさなほうのスペース、「b.p.」で展示されている坂本千弦さんの作品。
素材のユニークさが存分に活かされた立体的な作品を中心に、さまざまなクリエイションが繰り広げられています。
この空間に入っただけで、ほぼすべての作品が目に飛び込んできてかなりのインパクト。
奥のほうの壁に展示されている、赤く透明な楕円のパネルの作品。
至近で観る角度を変えながら画面を探ると、細かいドットによって何やら描かれています。右側の作品は、赤ちゃんの寝顔が。
透明の素材を用い、壁に飾られた作品。この季節にぴったりの、瑞々しくフレッシュな感触が気持ち良いです。
まさに、水の飛沫を捉えたような感触で。
数点展示されている、黒い紙に描かれたタブローの作品も印象的です。
黒の背景に城のフォルムが映え、描かれるモチーフの繊細さが伝わってきます。
もっともインパクトがある作品が、天井から吊り下げられたリボン状のもの。
なんでも、糊に絵の具を混ぜて、平たいところに乗せながら長く長く紡ぐように作っていったそう。いかにもハンドメイドらしい、ひとつひとつ違っている輪の輪郭を至近で眺めたときに感じる味わいも良く、加えて見上げる気持ちよさも。
広いほうのスペースでは、樫木知子さんの平面作品が展示されています。
ナチュラルな色調のなかに女の子を登場させて、霞みゆく回想のようにふわふわと、しかし仄かに殺伐とした感触も持たせながら、独特の物語が展開されているような。
この「描きかけ」感が、妙に心を誘ってきます。
すべてを言ってしまわない、それどころか、ほとんど言わない...そこにあるものだけで淡々と、ある光景が描き出されているのですが、その未完成な感触が逆に観る側のイメージを膨らませてくれるような感じです。
そして、部分的に登場するひっきりなしに続くパターンや幾何的モチーフなどが絶妙なアクセントとなって、やわらかさのなかに硬さやミニマムな広がりを与えています。
事務所のスペースに展示されていた小品は、若干違うテイスト。
小品で、色調こそ大きな作品と近いのですが、ちいさな画面の中にぽつんとひとつのモチーフだけが描かれ、なんともかわいらしい、そしてそこはかとなくシュールな感触も醸し出されているように感じられます。
それぞれの世界は繋がっているようにも独立しているようにも感じられます。
不思議な後味のする、ユニークな作品群です。
この二人のアーティストの作品、色調も質感も異なりますが、逆にそのギャップも面白く感じられる展覧会となっています。
2007年07月24日
review:鴻崎正武展《7/14》
鴻崎正武展
@GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
7/14(土)〜8/4(土)日月祝休
12:00〜19:00

さらにオリジナリティ溢れる世界へと突き進んでいく鴻崎正武さん。
今回はGALLERY MoMoでの個展で、真っ白な空間に蛍光灯の白い光で照らし出され、鴻崎さんのあの絢爛な世界に新しい表情が加わったかのような。
僕にとってはもうおなじみの絢爛画。
鴻崎正武さんのGALLERY MoMoでの個展に行ってきました。
今年に入ってからも数回の展覧会に参加、個展なども開催され、満を持してのコンテンポラリーアートのギャラリーでの展覧会。
驚いたのが、蛍光灯の明るい照明の中で展示される鴻崎さんの作品が、これまで感じたことがない表情を表しているんです。
色彩的も新しくなるに連れて明るい色が登場してきたりしていたものの、どちらかというと何よりもまず「混沌」とした感じ、異様なまでの濃厚さに圧倒されていたのですが、今回はむしろ、ギャラリーの空間がポジティブな明るさに満ちています。
奥のスペースには小品がずらりと。
おなじみの大きさのスクエアのパネルに、植物も動物も混在して奇妙な生物となったモチーフがひとつ。
整然と、ずらりと並んだ様はやはり壮観。



手前のメインのスペースには、大作が。
相変わらずの情報量の多さも、今回の展覧会ではその重々しさよりもむしろ軽さ、明るさが全面に出て、鴻崎さんのクリエイションの違う側面が現れているような気がします。


意外なことに、岩絵の具や箔などといった日本画の素材を使っているという以外にこれといって日本的なものを具体的に象徴するモチーフは実は画面に登場していないのですが、それでも鼻を突くほどに強烈に醸し出されるジャポネスク、エキゾチックな雰囲気。
海外の人はこのクリエイションをどう捕らえるのだろう、と興味が湧いてきます。
で、実は今回の鴻崎さんの個展、このブログもきっかけのひとつとなっていまして。。。
昨年、ギャラリーアートポイントでの鴻崎正武さんの個展の記事をギャラリーMoMoの方がご覧になって、以前から気になられていたという鴻崎さんにあららめてコンタクトを取られた、という経緯で開催に至ったということで、そういった形でこのブログが機能したことがなんとも嬉しいのです。
@GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
7/14(土)〜8/4(土)日月祝休
12:00〜19:00
さらにオリジナリティ溢れる世界へと突き進んでいく鴻崎正武さん。
今回はGALLERY MoMoでの個展で、真っ白な空間に蛍光灯の白い光で照らし出され、鴻崎さんのあの絢爛な世界に新しい表情が加わったかのような。
僕にとってはもうおなじみの絢爛画。
鴻崎正武さんのGALLERY MoMoでの個展に行ってきました。
今年に入ってからも数回の展覧会に参加、個展なども開催され、満を持してのコンテンポラリーアートのギャラリーでの展覧会。
驚いたのが、蛍光灯の明るい照明の中で展示される鴻崎さんの作品が、これまで感じたことがない表情を表しているんです。
色彩的も新しくなるに連れて明るい色が登場してきたりしていたものの、どちらかというと何よりもまず「混沌」とした感じ、異様なまでの濃厚さに圧倒されていたのですが、今回はむしろ、ギャラリーの空間がポジティブな明るさに満ちています。
奥のスペースには小品がずらりと。
おなじみの大きさのスクエアのパネルに、植物も動物も混在して奇妙な生物となったモチーフがひとつ。
整然と、ずらりと並んだ様はやはり壮観。
手前のメインのスペースには、大作が。
相変わらずの情報量の多さも、今回の展覧会ではその重々しさよりもむしろ軽さ、明るさが全面に出て、鴻崎さんのクリエイションの違う側面が現れているような気がします。
意外なことに、岩絵の具や箔などといった日本画の素材を使っているという以外にこれといって日本的なものを具体的に象徴するモチーフは実は画面に登場していないのですが、それでも鼻を突くほどに強烈に醸し出されるジャポネスク、エキゾチックな雰囲気。
海外の人はこのクリエイションをどう捕らえるのだろう、と興味が湧いてきます。
で、実は今回の鴻崎さんの個展、このブログもきっかけのひとつとなっていまして。。。
昨年、ギャラリーアートポイントでの鴻崎正武さんの個展の記事をギャラリーMoMoの方がご覧になって、以前から気になられていたという鴻崎さんにあららめてコンタクトを取られた、という経緯で開催に至ったということで、そういった形でこのブログが機能したことがなんとも嬉しいのです。
2007年07月23日
〜7/22のアート巡り
《7/18》
西澤千晴 For beautiful human life
@東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5,7F
7/18(水)〜9/1(土)日月祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)

オヤジとオバサンが繰り広げる一風変わったファンタジー。
ユーモラスな画風のなかに込められた悲哀が、今回の個展ではひときわぐっと感じられます。
Gino Rubert "True Blues"
@ミヅマ・アクション
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F
7/18(水)〜8/11(土)日月祝休
11:00〜19:00

エキゾチックな雰囲気が印象に残る作品が並びます。
そして、独特の色彩で描き出される世界はけっこうシュール。
岡田裕子「愛憎弁当」
@MIZUMA ART GALLERY
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F
7/18(水)〜8/11(土)日月祝休
11:00〜19:00

いや、もう何も言うまい(笑・汗)。
逆に自身が感じる「面白いもの」への真摯な姿勢が伺えるような気がします。
《7/20》
嵯峨篤、小池一馬、ディディエ・クールボ Casino Royale
@SCAI THE BATHHOUSE
東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
7/20(金)〜8/31(金)日月祝・8/11〜8/20休
12:00〜19:00

3名のアーティストのグループショー。
嵯峨さんのどこまでも艶やかな平面、小池さんの和紙を用いた大きな立体作品と水彩のタブロー、ディディエさんのインスタレーション。それぞれが重ならず、絶妙のバランスでひとつの空間に収まっていて、ひとつひとつの作品のユニークさをしっかりと堪能できる展覧会です。
《7/21》
この日、自転車が破損。。。
パンクやらブレーキが切れたりやらライトの電球が切れたりやらチェーンが切れたりやらそれなりにいろんな故障や破損は経験してるつもりでしたが、今回はさすがに初めての事態で。
そもそも、ここ数日なんだか乗り心地が悪いな、とは感じていたのですが、明らかにペダルを漕いだ際のエネルギー伝導率が悪いのと、時おり聞こえる金属と金属とが擦れあう嫌なノイズとが気になってしまい、銀座へと向かう途中で自転車をひっくり返して後輪をチェック。
当初は誰かが倒して車輪が歪んだのかな、と思っていたのですが、思いのほか回転はストレート。
じゃあなんだろう、と回っている後輪を止めるべくスポークのところに指を入れてみたら...
原因判明。スポークが折れてました(爆汗)。
それも1、2本じゃなくて、10本ほど。。。
乗り捨てるわけにもいかず、かといって乗りっぱなしというわけにもいかず...なんとか銀座までは辿り着き、そこから自転車を押してギャラリー巡り。途中、電車で移動しつつ再び銀座へと戻り、そこから何とかホームセンターまで乗っていって、買い替えた次第で。
おかげで見に行く予定だった展示のいくつかを諦めざるを得ず。。。
しかし、あの乗り心地の悪さはトラウマになります。
生々しき空像 樫木知子・坂本千弦
@ギャラリーなつか& b.p.
東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F
7/17(火)〜7/28(土)日休
11:30〜18:30(最終日:〜17:00)

坂本千弦さんの素材の質感を活かした立体的な作品、樫木知子さんの描きかけの感触にイマジネーションが掻き立てられるタブロー。
それぞれのコーナーでユニークな個性を発揮しています。
cross exhibition 西山ひろみ展
@ギャラリーなつか cross
東京都中央区銀座5-8-117 GINZA PLAZA58 8F
7/9(月)〜7/21(土)日祝休
11:30〜18:30(土:〜17:00)

ギャラリーなつかの通路部分を、ミニギャラリーとして開催される展覧会。
今回は西山ひろみさん、紙の上に広がる鉄錆の粒子と細かい黒のドットによって、深く渋い世界がつくり出されています。

奥のミーティングルームにも大作が。
びっしりと画面に乗る無数の細かいドットを観るだけで、この作品を描きあるためにどれだけの時間がかかったのだろう、と圧倒されます。
そのドットが繰り広げる陰影によって、やさしい人物の表情が浮かび上がっています。鉄錆の素材としての重みとともに、その色合いの渋味が実にうまく取り込まれていているように感じられます。
もっといろいろと観てみたいと思うのです(が、きっと時間が相当かかるんだろうなぁ...)。


夏目麻麦展
@ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
7/17(火)〜7/31(火)日休
11:00〜18:30

デュマスを思わせる、深遠な世界。
何も描いていない...なのに、その色彩と風合いだけで魅せるのです。
《7/22》
yuta iida soro exhibition oratotical inventory
@Bunkamura Gallery
Arts & Crafts + Gallery+
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
7/17(火)〜7/31(火)
10:00〜19:30

ペーパーブックや厚紙で、展示の度にどんなものをつくってくるのだろう、と楽しみな飯田竜太さん。
今回は、三島由紀夫の「永すぎた春」の活字が切り取られ、編み上げられて、それぞれの画面に収められています。ちいさなルビだけが残る紙や、活字が編まれてできた網など、こういった形での文学や本へのリスペクトも興味深く感じられます。
ウィンドウには重なる厚紙を使ってつくられた立体の作品が見応え充分。さらに、壁にかかった厚紙の作品も面白いです。
そして、Gallery+には例によって多数の文庫本のインスタレーションが。
SAORI CHIBA ART EXHIBITION 2007
@ギャラリー同潤会
東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ 同潤会アパー
ト再生棟「同潤館」2F
7/19(木)〜7/24(火)
12:00〜19:00(土、最終日:〜17:00)

鮮やかな色彩の重なりが美しい花の絵。ちばさおり です。
色鉛筆などで彩られたカラフルな花、すらりと流れる色面も美しいです。
紙の白色を背景にして、奥行きがぐんと感じられるのもユニーク。大きな作品から小品、そしてポストカードまで、まさに咲き乱れるように、さまざまな花が溢れています。

西澤千晴 For beautiful human life
@東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5,7F
7/18(水)〜9/1(土)日月祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
オヤジとオバサンが繰り広げる一風変わったファンタジー。
ユーモラスな画風のなかに込められた悲哀が、今回の個展ではひときわぐっと感じられます。
Gino Rubert "True Blues"
@ミヅマ・アクション
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F
7/18(水)〜8/11(土)日月祝休
11:00〜19:00
エキゾチックな雰囲気が印象に残る作品が並びます。
そして、独特の色彩で描き出される世界はけっこうシュール。
岡田裕子「愛憎弁当」
@MIZUMA ART GALLERY
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F
7/18(水)〜8/11(土)日月祝休
11:00〜19:00
いや、もう何も言うまい(笑・汗)。
逆に自身が感じる「面白いもの」への真摯な姿勢が伺えるような気がします。
《7/20》
嵯峨篤、小池一馬、ディディエ・クールボ Casino Royale
@SCAI THE BATHHOUSE
東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
7/20(金)〜8/31(金)日月祝・8/11〜8/20休
12:00〜19:00
3名のアーティストのグループショー。
嵯峨さんのどこまでも艶やかな平面、小池さんの和紙を用いた大きな立体作品と水彩のタブロー、ディディエさんのインスタレーション。それぞれが重ならず、絶妙のバランスでひとつの空間に収まっていて、ひとつひとつの作品のユニークさをしっかりと堪能できる展覧会です。
《7/21》
この日、自転車が破損。。。
パンクやらブレーキが切れたりやらライトの電球が切れたりやらチェーンが切れたりやらそれなりにいろんな故障や破損は経験してるつもりでしたが、今回はさすがに初めての事態で。
そもそも、ここ数日なんだか乗り心地が悪いな、とは感じていたのですが、明らかにペダルを漕いだ際のエネルギー伝導率が悪いのと、時おり聞こえる金属と金属とが擦れあう嫌なノイズとが気になってしまい、銀座へと向かう途中で自転車をひっくり返して後輪をチェック。
当初は誰かが倒して車輪が歪んだのかな、と思っていたのですが、思いのほか回転はストレート。
じゃあなんだろう、と回っている後輪を止めるべくスポークのところに指を入れてみたら...
原因判明。スポークが折れてました(爆汗)。
それも1、2本じゃなくて、10本ほど。。。
乗り捨てるわけにもいかず、かといって乗りっぱなしというわけにもいかず...なんとか銀座までは辿り着き、そこから自転車を押してギャラリー巡り。途中、電車で移動しつつ再び銀座へと戻り、そこから何とかホームセンターまで乗っていって、買い替えた次第で。
おかげで見に行く予定だった展示のいくつかを諦めざるを得ず。。。
しかし、あの乗り心地の悪さはトラウマになります。
生々しき空像 樫木知子・坂本千弦
@ギャラリーなつか& b.p.
東京都中央区銀座5-8-17 GINZA PLAZA58 8F
7/17(火)〜7/28(土)日休
11:30〜18:30(最終日:〜17:00)
坂本千弦さんの素材の質感を活かした立体的な作品、樫木知子さんの描きかけの感触にイマジネーションが掻き立てられるタブロー。
それぞれのコーナーでユニークな個性を発揮しています。
cross exhibition 西山ひろみ展
@ギャラリーなつか cross
東京都中央区銀座5-8-117 GINZA PLAZA58 8F
7/9(月)〜7/21(土)日祝休
11:30〜18:30(土:〜17:00)
ギャラリーなつかの通路部分を、ミニギャラリーとして開催される展覧会。
今回は西山ひろみさん、紙の上に広がる鉄錆の粒子と細かい黒のドットによって、深く渋い世界がつくり出されています。
奥のミーティングルームにも大作が。
びっしりと画面に乗る無数の細かいドットを観るだけで、この作品を描きあるためにどれだけの時間がかかったのだろう、と圧倒されます。
そのドットが繰り広げる陰影によって、やさしい人物の表情が浮かび上がっています。鉄錆の素材としての重みとともに、その色合いの渋味が実にうまく取り込まれていているように感じられます。
もっといろいろと観てみたいと思うのです(が、きっと時間が相当かかるんだろうなぁ...)。
夏目麻麦展
@ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
7/17(火)〜7/31(火)日休
11:00〜18:30
デュマスを思わせる、深遠な世界。
何も描いていない...なのに、その色彩と風合いだけで魅せるのです。
《7/22》
yuta iida soro exhibition oratotical inventory
@Bunkamura Gallery
Arts & Crafts + Gallery+
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
7/17(火)〜7/31(火)
10:00〜19:30
ペーパーブックや厚紙で、展示の度にどんなものをつくってくるのだろう、と楽しみな飯田竜太さん。
今回は、三島由紀夫の「永すぎた春」の活字が切り取られ、編み上げられて、それぞれの画面に収められています。ちいさなルビだけが残る紙や、活字が編まれてできた網など、こういった形での文学や本へのリスペクトも興味深く感じられます。
ウィンドウには重なる厚紙を使ってつくられた立体の作品が見応え充分。さらに、壁にかかった厚紙の作品も面白いです。
そして、Gallery+には例によって多数の文庫本のインスタレーションが。
SAORI CHIBA ART EXHIBITION 2007
@ギャラリー同潤会
東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ 同潤会アパー
ト再生棟「同潤館」2F
7/19(木)〜7/24(火)
12:00〜19:00(土、最終日:〜17:00)
鮮やかな色彩の重なりが美しい花の絵。ちばさおり です。
色鉛筆などで彩られたカラフルな花、すらりと流れる色面も美しいです。
紙の白色を背景にして、奥行きがぐんと感じられるのもユニーク。大きな作品から小品、そしてポストカードまで、まさに咲き乱れるように、さまざまな花が溢れています。
2007年07月22日
review:千々岩修展《7/14》
千々岩修展
@アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
7/9(月)〜7/14(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)

岩絵の具で描き出される、繊細で透明な色の重なり。
昨年末の東邦アートでの個展以来に開催された、千々岩修さんのアートスペース羅針盤さんの個展に行ってきました。
今回は、前回に引き続いてのカラフルな色彩で、今までのと較べるとどこかの風景や何かを連想させるような、抽象的な世界にちょっとしたイメージの入口が現れているような作品も出展されていて、それがたいへん興味深かったです。
縦長の画面に描かれた大きな作品。
さまざまな色の重なりによって引き出された奥行きが、どこかの風景を思い起こさせてくれます。
青はそのまま水がある風景を、そして、遠くに蜃気楼のような色の重なりが広がっているかのような。。。


比較的ちいさな作品も多数出展されていました。

大きな画面の作品と比べると、ひとつひとつの画面に色彩の統一感が織り込まれているような感じです。どの作品が、「何色の作品」と表現できそうな感じです。

そして、その色彩の重なりで生まれた動線が、キラキラと光が織り成すドリーミーな雰囲気を醸し出しています。

今回は、横長の大作も。
大きな画面に、これまでの作品、特に小品に現れていたエッジが立つような色彩に加え、千々岩さんの作品にはこれまで多くは登場しなかった滲むような色面も加わり、さらに木の枝葉のシルエットらしきものも織り込まれ、横に流れるように現れている弧とともに、ダイナミックな絵巻のような展開がなされていて圧巻です。

今回の千々岩さんの作品を拝見して、もっと繊細に世界を作り上げようとされているような印象を受けました。
ひとつひとつの色の厚みをさらに薄く...隣り合い、重なりあう色彩の距離を垂直方向に狭めつつ、そしてそれがむしろどこまでも深く続いていくような、これまで思い浮かぶことすらなかったかも知れない新しい世界を構築しようとしているような。。。
今回の展覧会を拝見して、次にどんな世界が繰り広げられるか、楽しみです、
@アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
7/9(月)〜7/14(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
岩絵の具で描き出される、繊細で透明な色の重なり。
昨年末の東邦アートでの個展以来に開催された、千々岩修さんのアートスペース羅針盤さんの個展に行ってきました。
今回は、前回に引き続いてのカラフルな色彩で、今までのと較べるとどこかの風景や何かを連想させるような、抽象的な世界にちょっとしたイメージの入口が現れているような作品も出展されていて、それがたいへん興味深かったです。
縦長の画面に描かれた大きな作品。
さまざまな色の重なりによって引き出された奥行きが、どこかの風景を思い起こさせてくれます。
青はそのまま水がある風景を、そして、遠くに蜃気楼のような色の重なりが広がっているかのような。。。
比較的ちいさな作品も多数出展されていました。
大きな画面の作品と比べると、ひとつひとつの画面に色彩の統一感が織り込まれているような感じです。どの作品が、「何色の作品」と表現できそうな感じです。
そして、その色彩の重なりで生まれた動線が、キラキラと光が織り成すドリーミーな雰囲気を醸し出しています。
今回は、横長の大作も。
大きな画面に、これまでの作品、特に小品に現れていたエッジが立つような色彩に加え、千々岩さんの作品にはこれまで多くは登場しなかった滲むような色面も加わり、さらに木の枝葉のシルエットらしきものも織り込まれ、横に流れるように現れている弧とともに、ダイナミックな絵巻のような展開がなされていて圧巻です。
今回の千々岩さんの作品を拝見して、もっと繊細に世界を作り上げようとされているような印象を受けました。
ひとつひとつの色の厚みをさらに薄く...隣り合い、重なりあう色彩の距離を垂直方向に狭めつつ、そしてそれがむしろどこまでも深く続いていくような、これまで思い浮かぶことすらなかったかも知れない新しい世界を構築しようとしているような。。。
今回の展覧会を拝見して、次にどんな世界が繰り広げられるか、楽しみです、
review:竹内翔 ''Fool for the City''《7/13、7/15》
竹内翔 ''Fool for the City''
@Gallery惺
東京都武蔵野市御殿山1-2-6 ビューキャニオン吉祥寺御殿山B1F
7/7(土)〜7/29(日)火水休
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)

絵のなかでひろがっている、ちいさなストーリー。
Gallery惺で開催されている竹内翔さんの個展です。
DMの絵のどこかほのぼのとしてやさしい雰囲気に惹かれて足を運んだのですが、扉をくぐった瞬間からその世界に包まれるようで、なんとも心地よい雰囲気が溢れています。
作品そのものは、いろんな紙などに描いたドローイング風のものを中心に、ちいさな画面にぎゅうぎゅうに描き込みが詰め込まれているものや、ノートの1ページにメモのように描いたもっとイージーなものまで、さまざまな風合いが揃っています。
なかでもまず目に入ってくるのが、やはり大きな作品。

水彩絵の具の滲んだ感じ、赤い地平と水色の空とのコントラスト、地平の遠くに見えるランドマーク、そして、画面の中央にいる女の子。
その表情、仕草がなんとも味わい深く、何かを想っている、そんな感じが緩やかに伝わってきます。
その向かいにも大きな作品。

イヤホンを耳に付けた女の子の横顔。
こちらの女の子の表情も憂いを帯びているような印象で、浮かぶ想いに心を委ね、耽っている様子が伝わってきます。大きな瞳の奥に宿る意志も強そう。
ほぼ全面を染めあげる薄い青に赤い線で描かれた女の子、イージーな風合いが絵からそこはかとなく漂ってくる切なさも演出しているかのようで。
小品も魅力的です。
描きながら、「なんとなくここにはこれ」といったふうに、思い付いたものを思い付くまま画面に置いていったような感触がまた堪らなかったり、一方で細かくてその1本1本に強さを感じる線が画面中に密集している作品は、線同士の色のコントラストがくっきりと、しかし軽やかに火花を散らしながら、からりと明るい雰囲気を醸し出しています。


床置きで展示された作品、展示のアクセントとなっていて良い感じ。

事務所のスペースには下書き的なものやドローイングが狭いスペースに詰まっています。
描かれたもののひとつひとつに、不思議とその場面が思い浮かんできます。

今年の岡本太郎賞の展覧会でもひとつのブースでフィーチャーされていたそうで、そのときは既知の作家と動きがある作品に気が向いていたために「観たかも知れない」程度にしか印象が残っていないのが今更ながらに口惜しく。。。
で、今回はじめて竹内さんの作品にしっかりと触れて、それぞれの作品がまるで、ちいさな物語の回想シーンのように、そこに登場している人物の想いヘ意識が自然に向かってしまうのがホントに気持ちよく感じられます。
実にイージーな、「描けちゃった」的な風合いを残しつつ、それがむしろ効果的に雰囲気を演出しているのも好印象です。
機会があれば、言葉が添えられている作品も観てみたいような気がしたり、小説の挿絵やカバーでも出会ってみたいクリエイションです。
@Gallery惺
東京都武蔵野市御殿山1-2-6 ビューキャニオン吉祥寺御殿山B1F
7/7(土)〜7/29(日)火水休
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)
絵のなかでひろがっている、ちいさなストーリー。
Gallery惺で開催されている竹内翔さんの個展です。
DMの絵のどこかほのぼのとしてやさしい雰囲気に惹かれて足を運んだのですが、扉をくぐった瞬間からその世界に包まれるようで、なんとも心地よい雰囲気が溢れています。
作品そのものは、いろんな紙などに描いたドローイング風のものを中心に、ちいさな画面にぎゅうぎゅうに描き込みが詰め込まれているものや、ノートの1ページにメモのように描いたもっとイージーなものまで、さまざまな風合いが揃っています。
なかでもまず目に入ってくるのが、やはり大きな作品。
水彩絵の具の滲んだ感じ、赤い地平と水色の空とのコントラスト、地平の遠くに見えるランドマーク、そして、画面の中央にいる女の子。
その表情、仕草がなんとも味わい深く、何かを想っている、そんな感じが緩やかに伝わってきます。
その向かいにも大きな作品。
イヤホンを耳に付けた女の子の横顔。
こちらの女の子の表情も憂いを帯びているような印象で、浮かぶ想いに心を委ね、耽っている様子が伝わってきます。大きな瞳の奥に宿る意志も強そう。
ほぼ全面を染めあげる薄い青に赤い線で描かれた女の子、イージーな風合いが絵からそこはかとなく漂ってくる切なさも演出しているかのようで。
小品も魅力的です。
描きながら、「なんとなくここにはこれ」といったふうに、思い付いたものを思い付くまま画面に置いていったような感触がまた堪らなかったり、一方で細かくてその1本1本に強さを感じる線が画面中に密集している作品は、線同士の色のコントラストがくっきりと、しかし軽やかに火花を散らしながら、からりと明るい雰囲気を醸し出しています。
床置きで展示された作品、展示のアクセントとなっていて良い感じ。
事務所のスペースには下書き的なものやドローイングが狭いスペースに詰まっています。
描かれたもののひとつひとつに、不思議とその場面が思い浮かんできます。
今年の岡本太郎賞の展覧会でもひとつのブースでフィーチャーされていたそうで、そのときは既知の作家と動きがある作品に気が向いていたために「観たかも知れない」程度にしか印象が残っていないのが今更ながらに口惜しく。。。
で、今回はじめて竹内さんの作品にしっかりと触れて、それぞれの作品がまるで、ちいさな物語の回想シーンのように、そこに登場している人物の想いヘ意識が自然に向かってしまうのがホントに気持ちよく感じられます。
実にイージーな、「描けちゃった」的な風合いを残しつつ、それがむしろ効果的に雰囲気を演出しているのも好印象です。
機会があれば、言葉が添えられている作品も観てみたいような気がしたり、小説の挿絵やカバーでも出会ってみたいクリエイションです。
2007年07月21日
review:内海聖史展《7/10、7/13》
内海聖史展
@GALERIE ANDO
東京都渋谷区松濤1-26-23
7/10(火)〜7/28(土)日月休
11:30〜19:00

資生堂ギャラリーでの個展に続いて始まった内海聖史さんのギャラリエ・アンドウでの個展。
おおきさもかたちもまったく異なる空間で、そのうちの壁一面を覆う細かいドット、そしてそれと対峙するひとつの円環。
無数の視点が壮大なイメージを喚起させてくれます。
空間に響く色彩。
資生堂ギャラリーの大きな空間を充分に活かした素晴らしい個展の直近で開催された内海聖史さんのGALERIE ANDOでの個展にさっそく行ってきました。
空間の容量こそ資生堂ギャラリーと比べるとおそらく相当に小さいはずなのに、むしろスールの大きさはもしかしたらこちらのほうが大きいかも知れない、と感じさせてくれるほどに、今回も渾身のインスタレーションが展開されています。
ギャラリエアンドウというと、ちいさくてすごく変わったかたちの空間という印象がかなり強く、ここで内海さんがどんな展開をしてくるのか、ここでの個展の情報をいただいたずいぶん前から楽しみだったのですが、瀟洒な扉を明けてくぐった瞬間に視界に飛び込んでくる壁一面に広がる紫の色彩のグラデーションにただただ圧倒されてしまった次第です。
いつだって、僕の期待は内海さんのクリエイションに追い付いたことはないのです。

なにより、「紫」という色彩のチョイスが今回の展覧会のもっともユニークなポイントのひとつのように思えます。
内海さんからもオープニングの日に伺ったのですが、紫というとその色の印象の幅がたいへん広く、「赤っぽい」紫も「青っぽ
@GALERIE ANDO
東京都渋谷区松濤1-26-23
7/10(火)〜7/28(土)日月休
11:30〜19:00
資生堂ギャラリーでの個展に続いて始まった内海聖史さんのギャラリエ・アンドウでの個展。
おおきさもかたちもまったく異なる空間で、そのうちの壁一面を覆う細かいドット、そしてそれと対峙するひとつの円環。
無数の視点が壮大なイメージを喚起させてくれます。
空間に響く色彩。
資生堂ギャラリーの大きな空間を充分に活かした素晴らしい個展の直近で開催された内海聖史さんのGALERIE ANDOでの個展にさっそく行ってきました。
空間の容量こそ資生堂ギャラリーと比べるとおそらく相当に小さいはずなのに、むしろスールの大きさはもしかしたらこちらのほうが大きいかも知れない、と感じさせてくれるほどに、今回も渾身のインスタレーションが展開されています。
ギャラリエアンドウというと、ちいさくてすごく変わったかたちの空間という印象がかなり強く、ここで内海さんがどんな展開をしてくるのか、ここでの個展の情報をいただいたずいぶん前から楽しみだったのですが、瀟洒な扉を明けてくぐった瞬間に視界に飛び込んでくる壁一面に広がる紫の色彩のグラデーションにただただ圧倒されてしまった次第です。
いつだって、僕の期待は内海さんのクリエイションに追い付いたことはないのです。
なにより、「紫」という色彩のチョイスが今回の展覧会のもっともユニークなポイントのひとつのように思えます。
内海さんからもオープニングの日に伺ったのですが、紫というとその色の印象の幅がたいへん広く、「赤っぽい」紫も「青っぽ


