2007年05月31日

review:篠原愛展《5/30》

篠原愛
Gallery Q
東京都中央区銀座1-15-7 マック銀座ビル2F
5/28(月)〜6/2(土)
篠原愛5/28DM.jpg


シュールな絵の世界に広がる耽美的な風合い。


篠原愛さんの個展に行ってきました。

Gallery Qの比較的コンパクトなスペースに、油彩の作品とモノクロームのイラストが並びます。
そしてそれぞれ、シュールなモチーフがつくり出すホラーチックな構成のそこかしこに潜む、実に細やかな描き込みに目が奪われます。

DMにも使用された、入口正面の壁に展示された大きな作品。
テーブルに臥せる女の子の躯から生える薔薇や朝顔の根元の赤の生々しい鮮やかさ、その薔薇のなかには鳥が鋭い目線をこちらに向けていて、そういったモチーフのインパクトは鮮烈です。
そして、何と言っても、圧巻の細かい描き込み。画面を横切る細くて白いレース、女の子が身に纏う黒のレース、そしてその女の子の髪、臥せるテーブルの木目、そういったものが実に精緻に描かれていて、その奇妙な絵の世界に強烈なリアリズムがもたらされています。


篠原愛04 篠原愛02 篠原愛05 篠原愛03

篠原愛01


加えて、色彩の鮮やかさも印象的です。
やわらかで明るい色彩に魅入られ、心を許して絵の世界に入ろうとすると、そのシュールな絵の世界にやられてしまう・・・このふたつの要素がもたらすギャップも印象に残ります。


篠原愛07

篠原愛06


入口から続く壁にはイラストの作品が並びます。
こちらも繊細で鋭い線の重なりで、部分的にスクリーントーンも用いながら、実に精緻にさまざまなシュールな場面が描かれています。


篠原愛10

篠原愛09


そして、1点だけ出展されていた鉛筆画。
独特のやわらかな風合いを醸し出していて、今回の展示のアクセントとなっています。


篠原愛08

それぞれの作品が持つ力に圧倒されながら、かつその色の鮮やかさを堪能し、さらに細かい写実的な描き込みをじっくりと凝視して感嘆する...さまざまな驚きに満ちた展示です。
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2007年05月30日

review:水野温子展「きらきら」《5/29》

水野温子展「きらきら」
GALLERY HOUSE MAYA
東京都港区北青山2-10-26
5/28(月)〜6/2(土)
11:30〜19:00(最終日:〜17:00)
水野温子5/28DM.jpg


あざやかな色彩の重なりが醸し出す、やわらかい光のハーモニー。

GALLERY HOUSE MAYAで開催中の水野温子さんの2年振りの個展に行ってきました。


水野温子08


ひとつひとつの作品におけるさまざまなモチーフは、スッスッと走る細かい線がひとつの色面を作り上げ、それらが重なって描かれています。
また、色面のひとつひとつがくっきりとしているのもたいへん特徴的です。マスキングテープを駆使して、花弁や葉の1枚1枚、茎の部分など、あるいはある風景のなかのシルエットをていねいに象っいくことで、淡く美しいグラデーションを伴った色面が画面に、まるで薄い紙のようなものを置いていかれたかのように描かれています。
この画面の絵の具の立体感は、至近で拝見するとよりリアルに伝わってきます。


水野温子02 水野温子03

水野温子01


厚めのパネルが用いられていて、その側面にも表面の絵の続きが描かれているのもユニークです。
横だけでなく、下のほうにも。


水野温子04

水野温子05


このような、たいへんユニークなアプローチがなされていながら、その色のやわらかさ、描かれるモチーフから伝わってくるやさしい時間などによって、さわやかな気持ちが心のなかに広がります。
バラや桜など、花を描いた作品は、その花の可憐な美しさがていねいに引き出されていて、一方でいつかのシーンを切り取って独特の彩りで描かれた作品は、不思議な懐かしさ...未来の記憶を思い起こさせてくれるようでもあったり、ある物語のなかに入り込んだような気持ちが沸き起こってきたり。。。


水野温子06 水野温子12 水野温子11

水野温子10


ふわりとやさしい色に包まれた空間が、できあがっています。
清々しいイメージが溢れてきて気持ちいいんです。


水野温子09
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2007年05月29日

review:黒糖のにほひ 東京―波照間往復絵日記展 藤田夢香+坪谷彩子《5/22》

黒糖のにほひ 東京―波照間往復絵日記展 藤田夢香+坪谷彩子
美篶堂
東京都千代田区外神田2-1-2 東進ビル1F
5/22(火)〜6/3(日)月休
11:00〜20:00(土日:〜18:00)
黒糖のにほひDM.jpg



沖縄と東京、遠く離れたふたつの場所で綴られた時間。


藤田夢香さんと坪谷彩子さんの2人展に行ってきました。
藤田さんはこれまでもいろんな展覧会で作品を拝見していて、最近ではクリルタルにシルクスクリーンプリントが施されたオブジェが印象的なのですが、今回はこれまでとは志向が違っていそうで楽しみでした。


まず、ギャラリーの中央のテーブルに本が積まれています。
身の丈の言葉といった風合いの、どこかほっとするような言葉と、シルクスクリーンの作品などもいっしょに綴じられている本。
真っ白な表紙と、美篶堂らしいていねいな仕上げから、すっと清々しい印象を受けます。


黒糖のにほひ01

黒糖のにほひ02


向かい合う壁に、坪谷さんと藤田さんの作品がそれぞれ展示されています。
坪谷さんは、机の引き出しをパネルに見立てて、そこにモノクロームの写真と小さなカラーの写真を収めているもの。
それぞれの風景、場面に想い出が詰まっているような感じがしみじみと伝わってきます。


黒糖 坪谷彩子02 黒糖 坪谷彩子03

黒糖 坪谷彩子01


藤田さんは、今回は紙の作品。
やわらかな色彩に染められ、そこに文字が乗って、さらに箱のかたちに組み上げられています。


黒糖 藤田夢香04


文字と色彩とから思い浮かんでくるイメージも楽しい作品です。
向かいの坪谷さんの作品が記憶を辿るような雰囲気で、こちらの藤田さんの作品は、もしかしたらそこから伝わった雰囲気から浮かんできたイメージを紡いでいるような、そんなやさしさが滲んできている感じです。


黒糖 藤田夢香06 黒糖 藤田夢香05 黒糖 藤田夢香03

黒糖 藤田夢香02


また、1点だけ展示されている手製の封筒も実に味わい深い風合いを醸し出しています。


黒糖 藤田夢香01


ふたりの想い出におじゃましているような、なんとなく欲凝りとした気分に浸れる素敵な展示です。
置いてある黒砂糖をいただくと、この雰囲気と繋がっているようにやさしい風味が口のなかに広がります。


黒糖のにほひ03
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2007年05月28日

〜5/28のアート巡り

《5/22》
井上鑑 Soundings 2007「音は旅、音は砂、音は血のように熱く甘い闇」
NADiff
東京都渋谷区神宮前4-9-8 カソレール原宿B1
5/12(土)〜5/22(火)
11:00〜20:00
井上鑑5/12パンフ.jpg

NADiffの真ん中にあるギャラリースペース、その両側の入口が白いカーテンで仕切られ、中に入るとちょっとした風景に紛れ込んだような思いを抱かせるインスタレーションになっていました。
そして、チキチキというイントロに続いて流れてきたのは、分厚いサラウンドサウンドによるストリングスとピアノのアンサンブル。
部分的にエフェクトがかけられていて、アコースティックな響きの中に刹那的に電気的に加工されたディレイ音が聴こえてきたり。狭くて薄暗い空間の中を満たす重厚な音楽に浸りながら、思わず目を閉じて音から見える景色を脳裏に浮かべていると...不思議とていねいなナレーションが聴こえてきそうなほど、童話の世界に紛れ込んだようなイメージが湧いてきました。
一曲終え、この展覧会の常連という方と入れ代わりで出てきて、ひと呼吸おいてあらためて。
先ほどと同じイントロダクションに導かれて現れた曲は、ぐんぐんと煽るようにグルーブする変拍子のアフリカンビート。息もつかせぬリズムの展開、その上をすらすらと力強く舞うサックス、そして軽妙な井上氏のボーカル。局面で登場するアグレッシブなフレージングのユニゾンアンサンブルは圧巻で、その瞬間が訪れるとそれまで何とか把握していたビートの流れを見失ったときの緊張感がまた堪らない。。。

アートの空間で堪能する最上級のサウンド。音から得るイマジネーションも、いつもよりも豊かに感じられました。
ちょうどいらっしゃってた井上さんとご挨拶できたのも嬉しいサプライズ。
もうずいぶん昔、僕が楽器を始めるか始めないかの頃にNHK教育で放送されていた「ベストサウンド」という番組ではたいへんお世話になった(といってもその頃の僕には内容が難し過ぎて、「学んだ」というよりゲストや井上さんのライブを楽しんだりゲストとのトークが面白かったり、といった思い出なのですが)こともあって、なんとも感慨深かったのです。



☆黒糖のにほひ 東京―波照間往復絵日記展 藤田夢香+坪谷彩子
美篶堂
東京都千代田区外神田2-1-2 東進ビル1F
5/22(火)〜6/3(日)月休
11:00〜20:00(土日:〜18:00)
黒糖のにほひDM.jpg

オリジナリティ溢れるシルクスクリーンのアーティスト、藤田夢香さんと、一時期沖縄の黒砂糖工場で働いていたという坪谷彩子さんとによる、ふたつの場所で綴られた時間を現した展示です。
それぞれの記録からにじみ出るあたたかさがなんとも印象的。



《5/26》
・瀧下和之展 〜過去から現在〜
GALLERY SHOREWOOD
東京都港区南青山3-9-5
5/21(月)〜6/14(木)日祝休
11:00〜18:00
瀧下和之5/21DM.jpg

「桃太郎」のシリーズでおなじみの瀧下さんの、過去の作品を中心にした展覧会です。
もちろん鬼ヶ島でイキイキと動き回る鬼たちの姿がそこかしこに見受けられる展覧会なのですが、逆に新鮮で嬉しいのが、もしかしたらそれ以前に制作された、動物を描いた作品が観られることで。
うねうねとコミカルに走る桃太郎シリーズの線、そして風神雷神や虎、龍の作品などで見受けられるくっきりとした稜線がなく、ふわりと広がる色彩のグラデーションが美しい深い孔雀や犬などの絵の味わい深さは、近作と比べて鑑みると独特で興味深いです。

瀧下和之@S 02 瀧下和之@S 03

そしてもちろん、鬼ケ島。
広い画面でじゃれあう桃太郎の家来たちと鬼たち。毎度のことながら、ホントに楽しい雰囲気が充満した世界です。

瀧下和之@S 01



《5/27》
・梅田恭子 銅版画+ドローイング「コトヅテノツブテ」
ギャラリーf分の1
東京都千代田区神田駿河台1-5-6 コトー駿河台
5/23(火)〜6/2(土)月休
11:00〜18:30(日、最終日:〜17:00)
梅田恭子5/23DM.jpg


ちょうどこの日が最終日だったギャラリー人での3人展にも参加されていた梅田恭子さんの、もう何度目かになるギャラリーf分の1での個展です。
雁皮紙に加え、肌理の細かい紙を用いることで、メタリックな渋さを発散させる抽象的な銅版画がずらりと並んでいます。作品によっては手描きも加えられ、なんとも深みのある世界が展開されています。

梅田恭子02

梅田恭子06 梅田恭子05

床置きのアクリルケースなどの中には、折り畳まれて本のサイズに纏められた作品が。

梅田恭子03

作品によっては何かを具体的に連想させてくれる、それでいて曖昧さが独特の雰囲気を醸し出している作品も。
じんわりと心に響く感じが印象的です。

梅田恭子04
posted by makuuchi at 06:34| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月27日

review:When too perfect...,liber gott boese./Room/机上位《5/19》

When too perfect...,liber gott boese./Room/机上位
BOICE PLANNING
神奈川県相模原市相原5-12-47-2F
5/19(土)〜6/17(土)土日祝のみオープン
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
BP5/19パンフ.jpg



表向きには3つの展覧会が開催されている、この初夏のBOICE PLANNING
3階のSPACE Aで、海外の3名のアーティストのインスタレーションが展開されている「When too perfect...,liber gott boese.」。
2階のSPACE Bでは、輪派絵師団の映像作品「ROOM」が上映。
そしてSTUDIOでは、BOICEのメンバーがそれぞれ、1台のテーブルの上で個展形式の展開をする「机上位」。
・・・といった具合で。

順路通り、まずは3階から。

《When too perfect...,liber gott boese.》
いかにも海外のアーティストらしい、コンセプトが全面に押し出されたインタラクティブなインスタレーションが3つパッケージされています。

まず、オーストリアのトニ・クラインレルヒャーさんのインスタレーション。
まず手前に、「お箸なげ」が。
コンクリートの上に妙に行儀よく配置されたそれぞれの行為の案内が不思議な感じを醸し出しています。

BOICE TONI 02 BOICE TONI 03

で、「芸が細かい」と思わず唸ったのが、置かれた紙に漢字が当てられたトニさんの印が押されているところ。これが入ってることで、いろんな人がこの紙にいろんなことを描いても、それが自分の作品なのだそう。人が描いたものを自分の作品にするのではなくて、自分の作品が人の手によって他方面へと広がる、そんなイメージのようで、なかなかユニークなアプローチだなぁ、と。

BOICE TONI 01

その奥には、瓶に詰められた豆腐が。そしてそれらは山のかたちをしているのですが、「富士山」とのことで。

BOICE TONI 04

しかもその数、36個。

富嶽三十六景かよ!Σ( ̄口 ̄;)

また、その豆腐に突き刺さる割り箸は、宗教的な意味合いも込められているようでした。

BOICE TONI 05


ディーター・ブッハートさんの「交換のモニュメント」には、長いテーブルにさまざまなものが置かれていて、それらをどんどん物々交換していうというもの。その光景はどんどん変化していきます。実際に、かなりキテレツなものも置かれていたり。

BOICE Dieter 02 BOICE Dieter 03

BOICE Dieter 01

もうひとりのマルコ・エヴァリスティさんのところには、かなり奇妙な感じで缶詰が並べて置かれていたわけですが...ちょっと分からなかったです(汗)。



《ROOM》
輪派絵師団の映像作品が、2階の手前のコーナーであるSPACE Bで上映されていたのですが、これがめちゃくちゃ面白い!
なんでも、彼らの映像がYouTubeでかなりのアクセスを集めて話題にもなっているそう。

冒頭に登場する男。
電話をかけて、一日の終わりを迎え、ベッドに横たわって眠りに入る男のこの部屋で、このあとから繰り広げられていく空前絶後、波乱万丈な展開に、ひとときたりとも目を離せないのです。

輪派絵師団 01 輪派絵師団 02

時には「えっ!!!」と思わず息を呑むようなアクロバティックなシーンも。
ひとつ前の段階ではたしかにその部屋に描かれたり作られたりしたものが、次の場面では消えていたり、劇的に変化していったり。
そして最後に登場する木。ここまでの紆余曲折がとにかく見応え充分、抜群の臨場感で。

輪派絵師団 03

サブスペースの小さなモニターでも映像作品が流れていて、それを観て気付いたのですが、多摩美術大学の昨年度の学内卒業・修了制作展で観て強く印象に残っていたのでした。
サイトを拝見すると、ライブペインティングも精力的に行っているようなので、そちらもぜひ時間を作って伺いたいと思っています。


《机上位》
そして、僕にとっては、いつも展示のオープニングの歓談の場になっている印象が強いスペースでは、BOICEのメンバーがそれぞれ1台のテーブルの上でさまざまな展開を行うという面白い企画が開催されているんです。

まず、同日に府中での展示もチェックしている横手山慎二さん。
まずシンプルなのが、逆に奇妙なインパクトを感じます。
テーブルの上に置かれたアイテムはふたつ。
合版と反射鏡による、なんだか最先端のアイテムを模したようなものと、ビールケースから生えていて、ビニールが被せられたセイタカアワダチソウっぽい雑草。

机上位 横手山慎二01 机上位 横手山慎二02

シンプルなのはその光景だけだはなく、素材も。
セイタカアワダチソウに見えるものももちろん、といか、実はというか...。
素材がはっきりと認識できるところに、横手山さんのクリエイションのユニークさが力強く込められているような気がします。
・・・敢えて『この』精度。今は具体的な言葉が浮かんでこないのですが、そこに奥深さが潜んでいるような感じで、この先の展開もすごく興味深いです。


机上位 横手山慎二03



山下美幸さん。
焦茶色に塗られたテーブルの上に描かれる、白に淡い色彩が滲む、このなかでひときわ素直な美しさをやわらかく発散している作品。
桜を思わせる太い木の幹、地面に広がる先端が尖った草の葉。そして、唐突に、ボーリングのピンが。
泡のような白の色面が寄り添って描き出す世界。もっとこの続きを観てみたくなるような。
テーブルスタンドの強い灯りもむしろ自然にそこに収まっているんです。

机上位 山下美幸04 机上位 山下美幸02 机上位 山下美幸03

机上位 山下美幸01


丸橋伴晃さんは、またこれが丸橋さんらしい構成で。
そのテーブルの一角の壁には、先月開催されていた「赤坂娘」がところ狭しと重ねられています。この距離で見て、改めてその大きさを実感。

机上位 丸橋伴晃02 机上位 丸橋伴晃03

そして、テーブルの上はクロスが敷かれ、その上にはお茶碗とお箸が。
さらに正面には、女の子がひたすら食べる映像が流されています。

机上位 丸橋伴晃04

カメラの主(おそらく丸橋さん)と談笑しながら食べる女の子、何やら不可解な行動で食べる女の子とその仕草はさまざま。
なかでもいちばん強烈だったのが、唯一逆回しで編集されている女子高生。
口から食べ物が出てくるわけですが、出てきてもまだ口を動かしてる・・・


ど、


ど、


どんだけ食ったんだぁぁぁっっ!!!Σ( ̄口 ̄;)

という具合に絶句、しかもメロンパンにサラダにカラアゲにヤキソバその他、合間に飲むのはオレンジジュース、それらをとっかえひっかえ。
いや、すごいものを観た、という、充実感、達成感が。

机上位 丸橋伴晃01



佐藤純也さんは、今の佐藤さんを現しているような感じです。
スクエアの画面に描かれたさまざまなモチーフと、そこにいっしょに置かれた何も書かれてないノートのコピー。
現在進行形のクリエイションは、どの時点からでも始まりなんだ、ということを主張しているかのようで、それが頼もしく思えてきます。

机上位 佐藤純也01 机上位 佐藤純也02

周辺には、小品がいろいろと置かれていて、こちらも観ていて楽しいです。

机上位 佐藤純也03


そして、それでは終わらない...!
テーブルの下に配された白熱灯が照らすのは、テーブルの下の絵。
このあたりのユーモアが堪らないんです。


机上位 佐藤純也04


雨宮庸介さんは、いちばん奥の薄暗い一角で。
しかも、テーブルではなく、イーゼルに平面の作品が置かれています。
では、テーブルは、というと、絵のなかに。
雨宮さんのタブローというのも新鮮でたいへん興味深く、それがロウソクの火の灯りだけで照らされて、さらに描いている現場そのままの感触が伝わるように、いっぱいの灰皿や筆立てなども置かれていて、それが絵の世界の奇妙さに臨場感をもたらしています。

机上位 雨宮庸介02

机上位 雨宮庸介01


これらの3つの展示で発揮されたクリエイションは、アーティストの数以上の大きさ、規模で。
それぞれが思い切りのある展開なのが痛快で、さて次は、と期待も膨らむ展覧会です。








《おまけ》
丸橋さんのテーブルの下で蠢く人影に全米が泣いた

バサッ、バサッ UFO!
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2007年05月26日

review:永井夏夕展 −un/real−《5/20》

永井夏夕展 −un/real−
GALLERY HIRAWATA
神奈川県藤沢市遠藤2969-2
5/12(土)〜6/10(日)月火休
13:00〜18:00
永井夏夕5/12DM.jpg


『空』に会いに。


GALLERY HIRAWATAでの永井夏夕さんの個展に行ってきました。
前回こちらで開催された個展はサブスペースのみの展示だったのですが、今回はメインの広いスペースにも永井さんの作品が並ぶということで、それだけで期待が高まります。
しかも、BankART NYKでのレジデンス期間中に永井さんが制作されていた大作も、こちらでその全貌が観られるというのも大きな楽しみのひとつで。



壮観。

ゆったりと長く、天井も高い空間。
そのいちばん広い壁に、透き通った空がぐんと広がり、そのずっと向こうに水平線が走っています。
さらに、雄大な景色のなかで、悠然と大気が動いている...視界をそんな光景に占められて、とてつもなくダイナミックなイメージが心のなかに広がります。
広くて遠い空に舞う鳥の影がさらに圧倒的な臨場感を伝え、そして右手前の無彩色の島が力強いアクセントをここにもたらしています。

伺った日は天気もよく、この作品と対面する扉が開け放たれ、さらに開放感に満ちていました。


永井夏夕04 永井夏夕03

永井夏夕02



昨年のおぶせミュージアムでの「作家の卵」展に出展された作品もこちらでふたたび観ることができたのも嬉しかったです。
こちらの作品は、今年の始めに佐藤美術館で開催された巡回展示の際、高さが佐藤美術館の壁に収まらず展示ができなかったそうなのですが、こちらではゆったりと展示されています。
どこまでも続いているような遠い空が印象的です。


永井夏夕06

永井夏夕05



スクエアの画面4点が縦に並ぶユニークな作品。
これまでの永井さんの作品は、コンビナートが主に黒系統の無彩色で描かれていてそれが空の青に映えていることが多かったのですが、この作品ではそのコンビナートタワーが白で描かれています。
それが、永井さんの作品のイメージに広がりをもたらしていて、たいへん新鮮なんです。
構成のユニークさもさることながら、これまでとはひと味違うクールさ、これまでの作品では感じられなかった独特のキュートさが溢れています。


永井夏夕08 永井夏夕09

永井夏夕07


他、さまざまな大きさの作品がギャラリーの各所に配されていて、それぞれの画面が広々としたイメージをもたらしてくれます。
雲が広がっていく空、暮れる空、冬の冷たい空...それぞれの空の表情がいとおしく感じられます。


永井夏夕17永井夏夕15 永井夏夕16

永井夏夕18


遊び心に溢れたオブジェ魅力的です。
天気が良かったので外の芝生に展示されていた、机と椅子の上に作り上げられたジオラマ。
ギャラリーの隅っこに掛けられた長い長い梯子。
サブスペースの小品。
それぞれが、なんともいえないキュートさを醸し出しながら、それでいて平面の作品と通ずるフィクショナルなイメージもあって、この展覧会の素敵なアクセントとなっています。


永井夏夕10 永井夏夕12

永井夏夕13


僕にとって思い出深いしらみず美術での5人展以来、永井さんの展示は折りに触れて拝見しているのですが、かわいらしさとアバンギャルドさが同居した「箱庭」や、空想のコンビナートをコラージュの手法も取り入れながら描いた作品、昨年のごらくギャラリーでの個展におけるさまざまな空の表情を経て、アートフェア東京での増保美術のブースでの展開、そして今回の個展と、今の永井さんの充実ぶりはホントに目を見張るものがありますし、続けて観ているものとしてホントに嬉しく感じられます。

湘南台駅からバスで行くギャラリーで、都心からだと行くのがちょっとたいへんなところなのですが、それでもぜひたくさんの方に観てほしい、素晴らしい展覧会です。

そして、できれば、晴れた日に。


永井夏夕01
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2007年05月25日

review:金子健太郎 ナイーブこくはつ展2《5/24》

金子健太郎 ナイーブこくはつ展2
ギャラリーエス S zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
5/22(火)〜5/27(日)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
金子健太郎5/22DM.jpg


クレイジーな描き込みがもたらす、尋常でない奥行き感。


ギャラリーエスでの金子健太郎さんの個展です。
相当にキワモノ的なモチーフが描かれていますが、何より凄いのが、ペンによる描き込み。
もう「そこまで描くか!」っていうくらいに、精密、精緻。


金子健太郎05


意志が強そうで、それでいてなんとなく淀んだ表情の女の子が描かれたこの作品。
その背景は微妙な差の色調がうねり、折り重なって独特のコントラストがもたらされていますが、実はこれ、すべ、この女の子の思いを現した「言葉」になっています。
黒っぽいのは、漢字などを用いた密度の濃い文字が使用されているから。
この凄み、ちょっと画像では伝えられないのです。


その横の、ニワトリを描いた作品。
とさかの皮膚の凹凸感、羽の繊維の質感、そういったものが下地の色の上に描き加えられるペンの線によって実に精密に再現されていて、否応無しに至近でじっくりと見入ってしまいます。


金子健太郎02 金子健太郎04 金子健太郎03

金子健太郎01


描き込み、もとい、書き込みが凄まじいのはこの作品も。
鈍重な黄色い色彩に乗る細かいドット。
僕が撮って掲載する画像だと、現状ではこれが限界なのですが...これ、「月火水木金土日」の羅列。
いや、この行為の痕跡はヤバすぎますよ、ホントに。


金子健太郎06

金子健太郎07


その他、同じく精密な線が下地の色彩に立体感と奥行き感をもたらしている作品がずらりと並んでいます。
どれも見応え充分。下地の色にペンの色が重なることで、画面の色に変化がもたらされるのも面白く感じられます。


金子健太郎10

金子健太郎08 金子健太郎09


この凄み、ぜひ実際に至近で堪能してほしいです!


金子健太郎11
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review:名雪園代 漆展《5/22》

名雪園代 漆展
galleria ACCa
東京都台東区下谷3-1-32
5/19(土)〜5/26(土)
11:00〜18:30(最終日:〜16:00)
名雪園代5/19DM.jpg


自然のかたちを活かしたコンテンポラリーな漆芸の世界。


とあるところでDMを目にして面白そうで、名雪園代さんの個展に行ってきました。
DMの」画像を見た限りでは、七宝か焼物か、というイメージだったのですが、漆芸の展覧会で。
しかし、そのアプローチがたいへんユニーク。


DMにおさめれていた作品、DMでは正面から撮影されていたのですが、実際は立体的に結構な奥行きがある作品。
直方体の正面に、おそらく樹木の皮のチップが漆で定着させてあるかっこいい作品。
その皮の凹凸感やチップが並ぶ軽妙なリズム感など、漆の渋さとともにいろんなイメージが浮かんできます。


名雪園代02

名雪園代01



ギャラリーのそこかしこに配置された小品が、また面白いんです。
まず、壁の棚に置かれたいろんな「種」。
ていねいに作られ、漆で彩色されているんです。ものによっては本物と見紛うほど。


名雪園代04


床に置かれた低いテーブルには、小石や木の皮のチップを漆で塗ったものが。
そのまま置かれるものもあれば、標本のようにちいさなケースに収められているものも。黒と赤とのコントラストが小さな世界に深みをもたらしているように思えます。

棚にはかんざし。ホントにさまざまなかたちのかんざしがずらりと並んでいて、洗練されたフォルムを見比べる楽しさに溢れています。


名雪園代05 名雪園代06 名雪園代07

名雪園代09 名雪園代08


壁には、板に彩色された作品がずらりと。
こちらもさまざまな大きさ、さまざまなかたち、そしてそこにいろんな紋様が描かれています。
かたちの有機的な面白さと整然とした模様のリズムとが、お互いを引き立てあって、さらに漆独特の深みのある色合いが、かたちと模様とのコントラストにまた別のユニークさをもたらしている、という感じです。


名雪園代11 名雪園代10

名雪園代12


なかなか目にする機会はないものの、漆という素材はホントに魅力的で、可能性もあることを再認識させられました。もっとも、この驚きと発見は毎度のことなのですが。
何はともあれ、それぞれの小さな世界が奏でる奥深さを堪能した次第です。


名雪園代03
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2007年05月24日

review:田中みぎわ展 さんざめく野の予感《5/19》

田中みぎわ展 さんざめく野の予感
ギャラリー桜の木 銀座
東京都中央区銀座5-3-12 壹番館ビルディング3F
5/18(金)〜5/31(木)日祝休
11:00〜19:00
田中みぎわ5/18DM.jpg


連綿と伝わる水墨画。
そこに吹き込む新しい風...


田中みぎわ05


ギャラリー桜の木での田中みぎわさんの個展です。
田中さんというと、一昨年のVOCA展で、カラフルな作品のなかで、和紙に水墨という極めてシンプルな色彩感でひときわその渋さや静謐感が印象深かったのですが、今回あらためて個展で拝見する機会を得て、会場の各所にかけられたさまざまな風景に感じ入った次第です。


田中みぎわ02 田中みぎわ06

田中みぎわ07


墨がもたらす微妙で絶妙なグラデーション。
コントロールされた、あるいはもしかしたら敢えて意図せずに自然にまかせてもたらされた滲みが、画面に描き出される風景に膨らみ、奥行きをもたらし、さらにはそこに吹く風の音、水面に広がるさざ波の声を届けてくれるかのようです。
ある作品はその地にいるかのようなイメージが湧き、また別の作品は記憶の残像を蘇せたかのような刹那的な風合いが印象的です。


田中みぎわ04 田中みぎわ08

田中みぎわ03


いちばん奥の一角には、今回の展示でのもっとも大きな作品が展示されています。
大きな画面での抽象的な水墨の配色。それでいて、不思議と、どこか静かな場所にいるような気持ちを呼び起こさせてくれるんです。
懐かしさとは違って、むしろ新しい世界が広がっているように感じられます。


田中みぎわ01


作品はホントにシンプルに、和紙に墨、で描かれているそうですが、その墨の粒子が、照明によってきらきらと輝いているのも美しいです。

モノクロームで繰り広げられる静謐感が溢れる美しい作品。
コンテンポラリーな魅力も収められた水墨の世界。
だからこそ、眺めていてさまざまな想像がゆるやかに訪れてきて、気付くと豊かなイメージが溢れているんです。
posted by makuuchi at 09:23| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:Viviane★Kick(近藤彩)襲名披露エキシビション《5/20》

Viviane★Kick(近藤彩)襲名披露エキシビション
横濱 牙狼画廊
神奈川県横浜市中区山下町122
5/19(土)〜5/31(木)月休
11:30〜19:30
近藤彩5/19DM.jpg


さらに情動的に...!


今年に入ってすでに3つの展覧会をこなしているこんどうあやさんの、牙狼画廊でのグループ展に続いて開催される個展です。
ここでのグループ展には伺えなかったので、今回の個展で改めて伺った次第で。


曙橋と新宿での展示で拝見して、アグレッシブな木版画の世界にさらに拍車がかかった感じはしていたのですが、今回の個展ではそれがさらに全面に押し出され、臨場感や迫力がぐんと増しているよう感じられます。

炎を思わせる朱に包まれる光景。
その朱が、画面のなかに収められた女の子のほとばしる情動をダイナミックに現してしているように感じられます。


近藤彩01

近藤彩02


セーターを纏った女の子の作品も。
手彩色による青の鮮やかさが、こんどんさんの熱っぽい木版画に清々しいアクセントをもたらしていて新鮮です。


近藤彩03

近藤彩05


自画像が小品も、その画面の小ささに関らず、結構な迫力です!
小さいからこそ、そこにぎゅっと強い意志が封じ込められたような。


近藤彩06 近藤彩07


木版画というと、どこか朴訥としておだやかな風合いが魅力だと思うのですが、こんどうさんの場合「木版は刃物を使って創るんだ」という尋常でない強さを感じます。
凸版の面のエッジのケレン味のなさといい、取り上げるモチーフの熱さといい、作品のなかのさまざまな要素からはむしろ感情に対するリアクションが最優先されてしかるべき、と感じてしまうのですが、それが「木版」という、他の版技法ほどではないにしても作品になる前に一度「摺る」という客観的な行程が加えられる手法で描き出されていることが、あらためて興味深く感じられます。

今後も、火傷するような熱い展開を期待してしまいます...!


近藤彩04
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review:小林万希子展「Pieces "カケラあわせ"」《5/22》

小林万希子展「Pieces "カケラあわせ"」
GALLERY HOUSE MAYA
東京都港区北青山2-10-26
5/21(月)〜5/26(土)
11:30〜19:00(最終日:〜17:00)
小林万希子5/21DM.jpg



言葉そのままの、やさしい色、やさしい場面。


GALLERY HOUSE MAYAでの2年振りの小林万希子さんの個展に行ってきました。
前回の個展以来、ハードカバーの本や文庫本にも小林さんの作品が登場するようになったようで、今回の個展では表紙に使用された作品とともに、その本も置かれていて、見比べるのもまた楽しいです。


ふわりとした質感の紙にオイルパステルで描かれるさまざまな風景。
レイドバックしたような、なんだか懐かしい風合いの色彩が、やさしく心を包んでくれるような感じです。


小林万希子02 小林万希子01

小林万希子08


ひとつの作品に用いられる淡い色彩はおおむね統一感があって、それぞれの色彩のグラデーションも緩やかに織り重ねられていきます。
また、背景に広がる色はふっくらとしていて、あたたかみを感じます。


小林万希子05

小林万希子09 小林万希子03

小林万希子07


小林さんの作品でユニークなのは、そのオイルパステルでひとつひとつの色面を描きながら、稜線を白く残していくところ。
紙の色がそのままの稜線は、まるでそこだけマスキングが施されたようにていねいに同じ幅ですらりと画面にのこされています。それが、パステルのふわりとした風合いで広がる色彩を引き立てていて、かつ、木々の葉や、家や納屋の壁板、床板など、細やかに描かれているものにもやわらかさが滲み出ているんです。


小林万希子04


ああ、なんにもいらないなぁ、と。
やさしさをやさしいと感じる心だけで、充分にほっこりとした気持ちになれる、穏やかな雰囲気の素敵な展覧会です。
posted by makuuchi at 08:41| Comment(4) | TrackBack(1) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月23日

review:羽田美奈展《5/16、5/19》

羽田美奈展
シロタ画廊
東京都中央区銀座7-10-8
5/14(月)〜5/26(土)日休
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)
羽田美奈5/14DM.jpg


この「味」。ひとたびその面白さを感じると、もうたまらない。


個展やアートギャラリー環での二人展などで拝見している羽田美奈さんの、シロタ画廊のちいさなほうのスペースで開催されている個展です。

いや、もう、ホントに面白い。この奇妙なかわいさがたまらない。
凹版と凸版の木版を組み合わせて描き出される、なんとも奇妙な姿の犬たち。
より現実の姿からは離れていっているはずなのに、より擬人化の具合が強くなっているというか、その仕草や表情から伝わってくるイメージの豊かさ、深みは留まるところを知らないと思わせられるほど。


羽田美奈 03 羽田美奈 02

羽田美奈 01


その犬の姿に組み合わさる矩形。イスの形をしていたり、台のようなものだったり。
それがまた大変にユニークな奥行きを画面にもたらしています。
その矩形と絡まる犬に心で「なにやってんの...」と問いかけると、「関係ないでしょ」とまるで取り合わないようなつれない返事が返ってきそうな感じで。


羽田美奈 09

羽田美奈 04


黒い紙に摺られた作品がまたかっこいい・・・!
和紙の繊維の質感が全面からにじみ出ている「闇」のなかに浮かび上がる白い犬の姿。本来の紙の色の作品での鯔背な朴訥感から思うと、ものすごくクールな妖しさを放ちつつ、妙な色香も感じるんです。


羽田美奈 07

羽田美奈 06


また、今回の個展では1点だけドローイングも。
なんだかまた新しい展開が始まりそうで、すごく楽しみです。


羽田美奈 08


いろんな違和感が詰まった世界で、僕もはじめて羽田さんの木版画を観たときの第一印象が、絵の犬に向かって「・・・なんだお前...」みたいな感じだったのが、今はそのユーモラスさに触れるのが心地よくて。
一度ほれると病み付きに。
ちょっと試しに観てみてほしい世界です。


羽田美奈 10
posted by makuuchi at 07:12| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:青黒い平面《5/19》

青黒い平面
@ギャラリー・しらみず美術
東京都中央区銀座5-3-12 壹番館ビルディング4F
5/17(木)〜5/25(金)日祝休
12:00〜18:30
青黒い平面DM.jpg



奇妙さが魅力の3つの個性。


二人の岩彩のアーティストとひとりの木版画のアーティストがパッケージされ、それぞれ独特な風合いを醸し出している展覧会です。
「青黒い」という形容もその奇妙な面白さを言い得ているというか、もちろん色彩的なこともあるのですが、それ以上にこの言葉の響きが展覧会に合っているような感じです。


アートスペース羅針盤での個展で続けて拝見してきた西川芳孝さん。
化物が画面に現れていて、それらがコワイというよりもなんだか愛嬌があって、妙に素朴な仕草が印象に残る画風です。
今回は額に収められた小品が数点出展されていて、一見すると水彩画のような感じなのですが、作品によっては岩彩と銅版とを組み合わせたものだそう。細かい線で描き出される不思議な線の流れが、独特のしなやかさ、そして鋼の線のような強さを放っていて、背景のやさしい色に引き立てられていてかっこいいんです。


西川芳孝@しらみず01 西川芳孝@しらみず02

西川芳孝@しらみず03


そして、大作も1点出展されています。
濃い青を背景に、無数に縦横に走る黒い線、複雑に交差し、うねり、絡まりあいながら、それらが化物の姿をさりげなく現していき、魑魅魍魎の世界を作り上げています。
線を追って眺めるとその時間とともに絵の世界に引き込まれていきます。
難波田父子のスタイルをひとつの画面に合わせたような雰囲気も面白く感じられます。


西川芳孝@しらみず04

西川芳孝@しらみず05



佐藤美術館でのグループ展、b.TOKYOやコバヤシ画廊での個展などでは、パネルが複雑にが組み合わさって構築される迫力の立体岩彩作品を出展されていた市川裕司さん。今回の展覧会では、敢えて平面への再挑戦といった感のある、力強い作品が出展されています。

画面から溢れる黒い布が印象的な小品群。
なによりアプローチが面白いのと、モノクロームの色彩のクールさが印象的です。


市川裕司@しらみず04 市川裕司@しらみず05


入口正面に展示された大作は、平面をまさに逆手に取ったような感じの作品です。
黒い布が放つ幽玄な流れ、透明の支持体に描き込まれる白のうねり。これらが一体となって平面から溢れ、ウ否応無しに観る者の意識を呑み込んでしまうような異様な迫力に満ちています。


市川裕司@しらみず02 市川裕司@しらみず03

市川裕司@しらみず01



この展覧会ではじめて拝見する、唯一の女性であり木版画の渡邊麻衣子さん。
木版らしいやわらかな色彩に溢れて、この空間の心地よいアクセントとなっています。


渡邊麻衣子@しらみず03


重なる花のシルエットが幽玄なイメージを連想させてくれます。
どことなく奥が深く感じられる雰囲気。なんだか現実から一歩離れた空間に紛れ込んだような感触が、妙に心地よいんです。


渡邊麻衣子@しらみず01 渡邊麻衣子@しらみず04 渡邊麻衣子@しらみず05


そして、さまざまな色彩のなかにもぱっと思わず目を見張る透明感溢れる鮮やかな色も。
木版の緩やかさ、穏やかさのなかに現れる瑞々しい色彩は、まるでその風景が揺らぐような妖しさを醸し出しているよう感じられます。


渡邊麻衣子@しらみず02


それぞれ異なる個性がひとつの空間に収められて奏でるハーモニーも面白い、さまざまな想像を喚起してくれる展覧会です。
posted by makuuchi at 06:50| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月22日

5/21のアート巡り

・米岡響子展
アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
5/21(月)〜5/26(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
米岡響子5/21DM.jpg

これまで、グループ展などで折りに触れて拝見し、細かい描き込みなどが印象に残っていた米岡響子さんの個展です。
この個展では、貝殻などがていねいに描かれた水の底を思わせる場所の穏やかな赤と、そこから上への黒へと緩やかに変わっていくグラデーションの美しさが印象的な作品が、さまざまな大きさに画面に描かれ、展示されていて、その空間に入ったかのような独特な雰囲気が作り上げられています。
そのなかに揺らめくように存在する金属色の有機的な何かが、深い風合いをさらに演出しています。

米岡響子04 米岡響子05 米岡響子06

なかでも、入口左手の壁いっぱいの画面の作品は圧巻。
遠く深い悠久の世界へと誘ってくれるような感じです。

米岡響子03 米岡響子02

米岡響子01

今回はひとつの色彩で統一されていますが、他の色彩での展開も観てみたいです。


・永井雅人展
なびす画廊
東京都中央区銀座1-5-2 ギンザファーストビル3F
5/21(月)〜5/26(土)
11:30〜19:00(最終日:〜17:00)
永井雅人5/21DM.jpg

力強さを放つ銅版画。
一昨年に青山の画廊で個展を拝見した永井雅人さんの久々の個展です。
モノクロームの大きな作品は、さまざまなうねりが縦横に広がるアバンギャルドな雰囲気が強く印象に残ります。

永井雅人05 永井雅人06

目に鮮やかな、さまざまな色彩が登場する作品も。
こちらは重ねられた版によって作り上げられた模様の面白さに加え、手描きの箇所もそこかしこに織り込まれて、さらにユニークな感触です。

永井雅人04 永井雅人03 永井雅人02

永井雅人01


・篠田飛鳥 -image-
ギャラリー悠玄
東京都中央区銀座6-3-17 悠玄ビル
5/20(日)〜5/26(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
篠田飛鳥5/20DM.jpg

昨年の個展も印象的だった篠田飛鳥さんのおよそ1年ぶりの個展です。

篠田飛鳥 02

どこかユーモラスな感じにデフォルメされたさまざまなモチーフ。
そして、やわらかい質感がなんとも和めます。そんな雰囲気の作品が、小品を中心にずらりと並んでいます。
たくさんあるのもなんだか楽しくなります。

篠田飛鳥 05 篠田飛鳥 04 篠田飛鳥 03

絵のなかの色彩がほっこりとしていて、それでいて鮮やかさもあるのがいい感じです。

篠田飛鳥 01
posted by makuuchi at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月21日

〜5/20のアート巡り

《5/16》
・青木千絵展
ギャラリー手
東京都中央区京橋3-5-3 竹河岸ビル1F
5/14(月)〜6/2(土)日休
11:00〜19:00
青木千絵5/14DM.jpg

漆の黒と赤とが美しい艶を放つ、存在感たっぷりのオブジェ。
壁沿いにはドローイングが並びます。

青木千絵04

ギャラリーの中央に、そのオブジェは展示されています。
ほぼ実物大の、座る人の半身が大きな塊から生えるようになっていて、どこか憂いを帯びたようなその佇まいと、巨大な塊が放つ力強い静謐さとが、深遠なイメージを喚起させる圧倒的な世界を作り上げています。
とにかく、赤から黒へと向かうグラデーションが美しいんです。

青木千絵03 青木千絵02

青木千絵01


☆羽田美奈展
シロタ画廊
東京都中央区銀座7-10-8
5/14(月)〜5/26(土)日休
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)
羽田美奈5/14DM.jpg

一度気になったらもう、そのへんてこな犬の味わい深すぎる表情や仕草の虜に。
本来の犬の姿からも遠ざかっているのですが、それが余計に擬人化されているように思えるから不思議です。


《5/18》
・Book / Art Group Show
Gallery Jin
東京都台東区谷中2-5-22 山岡ビル1F
5/18(金)〜5/27(日)月火休
12:00〜19:00