2007年04月30日

〜4/29のアート巡り

《4/25》
・須藤由希子 「この庭に 〜黒いミンクの話」原画展
GALLERY at lammfromm
東京都渋谷区上原1-1-21 山口ビル1F
3/24(土)〜4/26(木)
月〜金:12:00〜20:00/土:11:00〜20:00/日祝:11:00〜19:00
須藤由希子3/24DM.jpg

やさしい風合いが心地よい鉛筆画。
素朴な風景、場面が、やわらかな感触でていねいに描かれていたのが印象的で、鉛筆の鉛色が紙の白をよりやさしく引き立てているような風合いも、なんともほっこりと和める雰囲気で。
この展示では紙に描かれた鉛筆画のみの出展でしたが、現在オペラシティで開催中のProject Nではキャンバスに描かれた作品も出展されているようで、ぜひ観に行ってみたいです。


☆オノマトペ vol.3 ― 回帰線上のpale note CHIHIRO ABE×KUMIKO YAGI
@@ギャラリーエス S zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
4/24(火)〜4/29(日)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
オノマトペDM.jpg


・本多久美子 個展
@@ギャラリー悠玄
東京都中央区銀座6-3-17 悠玄ビル
4/24(火)〜4/29(月)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
本多久美子/24DM.jpg

渋めの色調で繰り広げられる、ふわりとした日本画。
入口すぐの手のひらの大きさの小品や、大きな画面でのどこか牧歌的というか、のんびりとした、悠久の雰囲気が漂う場面などが印象に残ります。
また、ところどころに登場している動物の素朴なかわいらしさもいい感じです。

本多久美子01 本多久美子03

本多久美子02


☆<倉重迅「His Shadow Enwraps Me」
ミヅマ・アクション
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F
4/25(水)〜526(土)日月祝休
11:00〜19:00
倉重迅4/25DM.jpg


・Yoo Seung Ho展“echowords”
MIZUMA ART GALLERY
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル2F
4/25(水)〜526(土)日月祝休
11:00〜19:00
Yoo Seung Ho 4/25DM.jpg

ミヅマのメインスペースで今回フィーチャーされているのは、韓国のアーティスト。
森美術館での「秘すれば花」でも出展されていた方で、モノクロームの作品がずらりと並んで渋い世界を作り上げています。
遠めで眺めると実にオーソドックスな水墨画の風合いなのですが、至近で観ると遠目では滲んだグラデーションに見えていた部分でさえも、すべてハングルやアルファベットの文字で描き出されていてとにかく驚かされます。
そして、特別大きい画面というわけではないのにもかかわらず、大陸的な堂々とした雄大さ、スケールの大きさを感じます。


・第28回グラフィックアート『ひとつぼ展』
ガーディアン・ガーデン
東京都中央区銀座7-3-5 リクリートGINZAビルB1F
4/9(月)〜4/27(金)日祝休
12:00〜19:00
ひとつぼ展4/9パンフ.jpg

既知のアーティストが多数出展されていた今回のひとつぼ展。
限られた壁のなかでそれぞれのアーティストがしっかりと個性を発揮していて楽しめました。

ふわりとピンク色が広がる山城えりかさん、虫の死骸を精緻に銅版で再現した齋藤悠紀さん、ペットボトルのキャップを使ってキュートな世界を繰り広げているmayuさん、今回はじめて拝見して、その細かな描き込みに驚かされた増子博子さんなど、印象に残るクリエイションが個人的に多かったなか、グランプリに選ばれたのが服部公太郎さん。
作品はキャンバスを分解して4本足の動物に作り替えてられた、いかにも服部さんらしい「あるもののもともとの姿、意味に別の意味を与える」というもの。そのアプローチのユニークさに加えて、そこにポップな感性も織り込まれています。
その服部さんが個展でどんなイメージの提示をもたらしてくれるか、楽しみです。


《4/27》
ART AWARD TOKYO 2007
@行幸地下ギャラリー
東京都千代田区丸の内2
4/27(金)〜5/27(日)
11:00〜20:00
AAT2007.gif


《4/28》
☆ShinPA 東京藝術大学デザイン科描画系
おぶせミュージアム
長野県上高井郡小布施町大字小布施595
2/16(金)〜5/15(火)
9:00〜17:00
ShinPA2007パンフ.jpg


☆山本修路「松 From lammfromm」
GALLERY at lammfromm
東京都渋谷区上原1-1-21 山口ビル1F
4/28(土)〜5/29(火)
月〜金:12:00〜20:00/土:11:00〜20:00/日祝:11:00〜19:00
山本修路4/28DM.jpg
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2007年04月29日

review:松岡歩展《4/21》

松岡歩展
@銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
4/16(月)〜4/21(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)
松岡歩4/16DM.jpg


日本画に収められた、エキゾチックなリズム。


スルガ台画廊での松岡歩さんの個展です。
極力少ない数の色彩で作り上げられる独特の世界。
そこに描き出されるモチーフのユニークさ。
そういったさまざまな要素が興味深い日本画です。


入口を入ると、まず2点の大作が。
遠目で観る限りは茶系の色面の広がりに感じられるのですが、至近で見るとそこにはたくさんの花や葉がぼんやり浮かんでいます。


松岡歩@スルガ台10


松岡さんの作品は、地味ながらもたいへん個性的に感じられる色彩が広がります。
土っぽくもあり、または鉄錆のようでもあり...画面の絶妙の凹凸感が独特の渋味、深みをもたらしています。
そこにさりげなく織り込まれるモチーフのエキゾチックな風合い。さらに、幾何学的なかたちが連な模様。
こういったものが、絵のなかに登場する人物の姿と響きあって、そこで奏でられる物語を作り上げているように感じられます。


松岡歩@スルガ台03 松岡歩@スルガ台02

松岡歩@スルガ台01


横向きの女性の憂いを帯びた表情。
その仕草は、独特の色彩とさまざまなモチーフによってさらに引き立てられ、独特の雰囲気を醸し出しています。


松岡歩@スルガ台06 松岡歩@スルガ台05

松岡歩@スルガ台04


小さな画面の作品では、その画面に登場する月、花、動物など、そして幾何学的なかたちの連なりとが織り込まれて、シンプルながらもしっかりと、和とも洋ともいえないユニークな雰囲気がさらりと滲み出ています。


松岡歩@スルガ台08 松岡歩@スルガ台07

松岡歩@スルガ台09


松岡さんの作品からは「夜」のイメージが思い浮かびます。
さまざまなもののかたちがおぼろげになって...でも、だんだんと目が慣れてくるとその姿が浮かび上がってきて、その輪郭もはっきりとしてくるような...。
描かれるモチーフが醸し出すものも含め、そんなゆるやかな時間を実感させてくれる風合いがあるように思えます。


松岡歩@スルガ台11
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review:石塚桜子展《4/21》

石塚桜子展
@ギャラリーアーチストスペース
東京都中央区銀座6-13-4 長山ビル3F
4/16(月)〜4/21(土)
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
石塚桜子4/16DM.jpg



封じ込められた、熱い闇。


石塚桜子 09


これまで佐藤美術館でのグループショーで拝見してきた、石塚桜子さんの個展に行ってきました。
初めて拝見したとき、画面表面の艶と、その艶の奥に渦巻く黒の世界の力強さのインパクトが鮮烈に印象の残っていました。


あらためて個展で拝見しても、やはりその異様なまで力強さは圧倒的です。
ニスを何層にも重ね塗りされることで作り上げられる画面の表面の透明な艶は、てらてらとそこにあるものを映します。目の前に広がる虚の世界との距離感、すぐそこにあるのに決して近付けないような遠さを、その透明な膜が感じさせてくれます。


石塚桜子 01

石塚桜子 02


さまざまな色彩が画面のなかに現れていますが、何よりも、黒が印象的です。
すべての色彩の向こう側にはどこまでも続く闇があるように感じさせてくれるほど、どこまでも深い黒。
そしてそこに広がるさまざまな色彩もまた、その黒の引力に抵抗するように、異質の力強さを内包しているようにも思えます。
その色彩によって現されている人面のよなモチーフは、石塚さんの絵の世界に声にならない叫びを轟かサテいるようにも感じられます。


石塚桜子 10 石塚桜子 08

石塚桜子 07


小品においてもその異様な世界は変わらず。
それでいて、やはりその大きさだからこそ展開することができる、実験的とも思えるさまざまな構成が描き出されています。
ぐんとバリエーションを広げているようにも感じられ、このクリエイションの果ての無さを実感します。


石塚桜子 06 石塚桜子 05

石塚桜子 04


挑むような抽象世界。
物理的な独特の質感と奥行きが印象に残ります。


石塚桜子 03
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2007年04月28日

review:井上裕起展 salaMandala/EDEN《4/25》

井上裕起展 salaMandala/EDEN
和田画廊
東京都中央区八重洲2-9-8 近和ビル302
4/24(火)〜4/30(月)
13:00〜19:30(最終日:〜17:30)
井上裕起4/24DM.jpg



やわらかな色彩を纏ったサンショウウオ。


和田画廊での、前回の山本麻矢さんに続いて開催される木彫の展覧会。
今回は、井上裕起さんによる、なんともかわいらしい木彫りのサンショウウオがギャラリーの床を這っています。


まず、入口で1匹お出迎え。


井上裕起04


尖った首まわりのエリや、前足後足の指など、本当にひとつの木から掘り出したことが信じられないくらいに精緻で、かつなめらかさが印象的です。


だいたい手のひらに乗るほどの大きさのサンショウウオなのですが、1匹だけ石彫の大きなサンショウウオがテーブルの上に鎮座してます。


井上裕起03 井上裕起02


深く黒光りする表面といい、その表面に浮かぶ石の紋様といい、木彫のサンショウウオとはまた違ってどんとした存在感のインパクトはかなりのもの。
でも、瞳がつぶらだったりして、やっぱり妙に愛嬌もあるんです。


井上裕起01


そして、この石彫のサンショウウオが見下ろすギャラリーの床一面に散らばる木彫のサンショウウオ。
まず、1匹1匹のカラフルな色彩が醸し出すふわりとした幸福感が、感性を包んでくれます。


井上裕起09 井上裕起08 井上裕起07


さまざまな仕草のサンショウウオ。
前脚を立ち上げて首を持ち上げていたり、地面に視線を這わせているものがいたり。
浮き出るあばらの骨なども再現されていますが、やはり空をたゆたう「尾」の姿が、この空間の気の流れさえもやわらかく変えてしまっているように感じられるほどに、優雅に可憐に作り込まれています。
とにかくあの薄さに驚嘆。内側にぐるりと巻き込むような尾など、あらためて本当に彫ったのか、とにわかに信じ難いほど。

それほどまでにていねいに作り込まれ、透明感のある彩色が施されたサンショウウオのひとつひとつに、井上さんの心尽しが滲み出てきているように思えます。
浮き出る木目もまた美しいです。

井上裕起10 井上裕起11


ぱっと明るい空間のそこかしこから放たれるやわらかい色彩が作り上げる浮遊感。
全体を俯瞰したときの幸せな高揚感がたまらなく気持ちいいです。
そして続いて、足で踏んでしまわないように注意しながらそれぞれのサンショウウオに近付いてそこに注ぎ込まれた木彫のスキルの素晴らしさや、精緻に彫り込まれた部分、そして木目の模様などに目を凝らせば、またたくさんの発見と驚きがあるんです。


井上裕起06
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2007年04月27日

review:forerunners & four eggs 小橋陽介&坂田祐加里《4/21、4/26》

forerunners & four eggs 小橋陽介&坂田祐加里
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
4/17(火)〜4/28(土)日月祝休
12:00〜19:00
four eggsパンフ.jpg


見事なまでの陰と陽。


2ヶ月にわたって開催されているGALLERY MoMoの企画、「forerunners & four eggs」の最後を飾るのが、小橋陽介さんと坂田祐加里さん。
墨絵を中心とした坂田さんのモノクロの世界と、どこまでも明るい小橋さんの世界とのコントラストも痛快な展覧会です。


まず、坂田さんの作品。深い夜のイメージ。
和紙の質感もしっかりと残り、そこにグロテスクなモチーフなどが織り込まれ、ダークな風合いが充満しています。


坂田祐加里07 坂田祐加里08

坂田祐加里06


精緻に描き込まれた部分の異様なまでの妖しさ。
墨によって植物や虫が細やかに、かつ美しく再現されています。
色彩がないぶん、余計にその妖しさ、おどろおどろしさが押し出されているような感触です。


坂田祐加里05

坂田祐加里04


メインのスペースには水墨画によって構成されていますが、カウンター付近には油彩の作品も。
画面のなかでうねる鮮やかな色調から受けるインパクトは結構鮮烈。


坂田祐加里01 坂田祐加里02


おそらく水墨画も坂田さんにとって「冒険」だと思うのですが、そのチャレンジングな姿勢は油彩の作品のユニークな構成や画面表面の風合いからも充分に伝わってきます。


坂田祐加里10

坂田祐加里09




この夜の世界を通過して隣の小橋さんのコーナーへと足を踏み込むと...


小橋陽介002


出ました自画像!
うってかわって明るい色彩によって展開される突き抜けたポジティブな世界がそれぞれの画面のなかで展開されています。
素朴だったり、どこか切迫しているような表情だったり...ホントにさまざまな「自画像」が登場し、そのダイナミックでアグレッシブな雰囲気は痛快です。


小品も多数展示されています。
かわいかったり、やけにリアルだったり。


小橋陽介006 小橋陽介004 小橋陽介003

小橋陽介005


絵のなかとはいえ、これほどまでに「やりたい放題」やられるともう呆れちゃうというか...「しょうがないなぁ(笑)」といった感じで。
しかし、どこまでも奔放で伸び伸びとしたその自由人っぷりがたまらなく楽しいんです。
むしろ「どんどんやってくれぇ!」とエールを送らずにはいられないという、そういうポジティブさに溢れています。


小橋陽介001


二人のアーティストが作り上げた質感がまったく違う「深み」が印象的です。
posted by makuuchi at 06:54| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月26日

review:タムラサトル POINT OF CONTACT ―接点―《4/21》

タムラサトル POINT OF CONTACT ―接点―
Takuro Someya Contemporary Art
千葉県柏市若葉町3-3 TSCA KASHIWA
4/21(土)〜5/27(日)月火水、5/10〜5/12休・4/30開廊
12:00〜21:00
タムラサトル4/21青図.jpg



SPARK!!!

タムラサトル@TSCA 14


昨年のGallery Qでの個展や、今年最初のTSCAのショーケースなどで作品を拝見しているタムラサトルさんの、満を持してのTakuro Someya Contemporary Artでの個展に行ってきました。


入口を入るとまず、その吹き抜けのスペースでさっそく...






SPARK!!!

タムラサトル@TSCA 06


天井から吊り下げられた砲丸、その先に接点となる金属の棒が取り付けられ、床に置かれた円形の大きな金属板の上を揺れる砲丸が通過するたびにその先の棒が床面に接触するというダイナミックな作品がいきなり展示されています。


タムラサトル@TSCA 04 タムラサトル@TSCA 07

接点部分が接触するたびに、その傍に床置きされた電球が光り、瞬間の接触だとその灯りも一瞬灯り、砲丸の振幅が狭くなって円のなかを棒が引きずられるようになると煌々と明るく光ります。
その引きずられる棒の様子は、これだけ機能のみを追求された出で立ちの作品のなかにあって妙に有機的で、眺めているとだんだんと和んでくるから不思議。


タムラサトル@TSCA 02



階段を昇ると今度は、回転する接点が。
1分置きに回転と停止とを繰り返し、ふたつの円形の金属板に接触する瞬間とその内側を引きずるところで火花が散っています。


タムラサトル@TSCA 12 タムラサトル@TSCA 10


もちろんこちらにも電球が。
回転中、ぱんぱんに光を放ちます。


タムラサトル@TSCA 09


接触部分の「ジー」というノイズ、さらには接触面にぶつかる瞬間の「ガン!」というノイズもかなりのインパクト。
これだけ大掛かりでありながら、肝心なところが究極的にアナログなのがまた面白くて、愛嬌もあるように感じられるんです。


タムラサトル@TSCA 08



続く細長い空間では、Gallery Qでの個展にも出展されていたものをこの空間のために再構築された作品が。


タムラサトル@TSCA 20


要は全体を延長しただけではあるのですが、チェーンに引きずられて向こうまで行って還ってくるという単純な仕組みでありながら、その時間が心地良くて。


タムラサトル@TSCA 16 タムラサトル@TSCA 15


もちろん電球も。
ただ整然と並べてあるだけなのに、この姿にも愛着が湧いてきます。


タムラサトル@TSCA 18


棒が細長い板を引きずった痕も生々しく残ります。
こちらも例に漏れずアナログな仕組みですが、その単純な構造が醸し出すどこか不器用な感触が面白いんです。


タムラサトル@TSCA 13



最後のスペースでは小品が、壁と台とに並んで展示されています。
展示されている大きな作品のミニチュア版のような作品も。
そして、それぞれの設置部分が放つ火花は線香花火のようにちりちりと地味で、接地している時の「ヂー」というノイズも実に小さいのですが、それがまたかわいいんです。


壁掛けで、回転するディスク部分の接点に起こる火花。

タムラサトル@TSCA 21 タムラサトル@TSCA 22


吹き抜けのところに展示された作品のミニチュア版。
振り子の揺れがちょっとせわしなく感じるのもご愛嬌。

タムラサトル@TSCA 23 タムラサトル@TSCA 24


壁掛けで、階段を昇った最初のコーナーの作品のミニチュア版。
大きな作品ほどの派手さこそないものの。そこに起こる実に小さなスパークが何故かいとおしくて。

タムラサトル@TSCA 25 タムラサトル@TSCA 26


台上の作品で、先の曲がった接地部分が金属面を回転していて、その痕がくっきりと残っています。
小さな丸みを帯びたそのかたちは、絶妙な美しさを放っているように感じるのです。
そして、そこでスパークする小さな火花をよりクリアに見えるように、電球の灯りを遮る遮光板が取り付けられていて、それもまたなんともかわいらしい。。。

タムラサトル@TSCA 27 タムラサトル@TSCA 28


台上の作品、接地は回転するディスク。
このディスクはタムラさんの名刺代わりのユニークなクリエイションです。

タムラサトル@TSCA 29 タムラサトル@TSCA 30



タムラさんの今回出展された火花系の作品は、余計な装飾は一切なく、単純にスパークさせるための機能のみを考えて製作されていて、その潔さはホントに痛快です。
そして、例えば接触部分に取り付けられたラジエーターやある程度の可動範囲を確保するためのスプリング、ちいさな火花を見やすいように取り付けられた板など、その究極的なスマートさのなかにちょこちょとっと取り入れられるアイデアの面白さも見逃せません。

そうやって提示されるスパークの数々。
派手にバチンと弾けるものからチリチリと線香花火よりも地味なものまで、それぞれの一期一会の出会いも楽しく、エキサイティングでありながらほっと和める世界が繰り広げられています。


何より、このTakuro Someya Contemporary Artのたっぷりの空間でそれを体感できるのはホントにありがたいです。

たしかに都心からだとちょっと遠いですが、足を運ぶだけの価値があるエンターテイメントです!


タムラサトル@TSCA 17
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2007年04月25日

review:大森暁生展 −Lunatic Party−《4/21》

大森暁生展 −Lunatic Party−
新宿高島屋 10階美術画廊
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2
4/19(木)〜5/1(火)
10:00〜20:30(4/21、最終日〜16:00)
大森暁生4/19DM.jpg


リニューアルオープンを迎えた新宿タカシマヤに新たにできた美術画廊。
こちらの画廊はこれまでの百貨店のなかにある画廊とは一線を画し、コンテンポラリーにも対応できる斬新な内装が素晴らしくて、作品のポテンシャルも十二分に引き出せ得ると思われるスペースとなっていて、まずそのことに驚き、かつ、嬉しくなった次第です。


そのこけら落としにフィーチャ−された大森暁生さん。
まさにオープニングショーにふさわしく、空間のシックな雰囲気やゆったりとした面積など、そのユニークさを存分に活かした至高のインスタレーションが展開されています。

多くの作品が、額装された鏡面に木彫が取り付けられ、まるでオブジェが宙に浮かぶような演出がなされています。このアイデアには、心底感服した次第。

入口ではたくさんの揚羽蝶が壁際を飛んでいます。
美しい羽の模様が木彫りで白い部分を抜くことで見事に再現され、黒のフォルムの妖しげな雰囲気が渋い木製の額と鏡面とによってさらに演出されています。


大森暁生14

大森暁生13


虚空を舞う、羽が付いた無数の黒い薔薇。


大森暁生15

大森暁生12


腹の付け根からそれぞれがそれぞれの長さで糸を出した蜘蛛の一群。
足の1本1本もリアルに再現され、それがずらりと並ぶ様子は壮観です。


大森暁生16

大森暁生17


アートフェア東京でも展開された「BAD LAND」。
暗めの照明も、妖しいムードを演出します。


大森暁生05 大森暁生06


この一角に設置された巨大なコウモリのオブジェ。抜群の存在感。
羽の間接部分の金具の臨場感もひときわ強く伝わってきます。


大森暁生04



展示スペースのほぼ中央には、ガラスのテーブルが。
そして、ここには巨大な古代魚が悠然とその姿を晒しています。
尋常でない迫力。鱗のひとつひとつ、鰭、顔のパーツなどが実に精緻に再現されていて、見応えも充分。


大森暁生09 大森暁生08


腰を屈め、その古代魚の姿をじっくりと眺め、その迫力を間近に感じると、時空を超えた世界へと心が誘なわれるような気分です。


大森暁生07


各所に配置された小品もステキです。
マスクにしても百合のオブジェにしても、それらが醸し出す優雅で幽玄な雰囲気が素晴らしいです。


大森暁生10 大森暁生11


いちばん奥の一角で展開されている羽ばたく鳥の一群を再現したインスタレーション。
これがホントに素晴らしい!

地上から眺めることしかできない空を飛ぶ鳥の姿。
その飛ぶ鳥の姿が、鏡面を用いることでホントに羽ばたいているように提示されています。
もちろん、それぞれの鳥は、広げる羽の雄大さも素朴な目もていねいに表現されていて、ひとつひとつを木彫作品として眺めていくだけでも感動が心に広がっていきます。


大森暁生03 大森暁生02


その作品がこうやってインスタレーションされ、その全体を俯瞰するとまるで飛行する鳥の一群のなかにいるような臨場感がリアルに伝わってきます。
この感動は、イマジネーションもぐんと押し広げ、ホントに気持ちいいんです。


大森暁生01



作品のひとつひとつで。
壁一面で。
そして、空間全体で。
さまざまな視点から楽しめる素晴らしい展覧会です!
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review:大河原愛「網膜の記憶」《4/21》

大河原愛「網膜の記憶」
十一月画廊
東京都中央区銀座7-11-11 長谷川ビル3F
4/16(月)〜4/28(土)日休
12:00〜20:00(土:〜17:00)
大河原愛4/16DM.jpg



削がれた躯に見い出される美しさ。


十一月画廊で開催されている大河原愛さんの個展です。
展覧会ごとにさまざまなスタイルを取り入れていく大河原さん、今回もまた新たに独特の色彩を手中に収め、その個性的な世界を広げています。


入口左手奥の壁では、前回あたりからの展開でもある、大きな画面いっぱいに広がる鮮やかな色面から浮き上がる躯の作品が。
まるで水面に浮かぶように、色のなかに現れる女性のヌード。顔がななく、脇腹が浮き出てるほどの痩身が醸し出す特有の艶かしさが強く印象に残ります。


大河原愛12

大河原愛13


今回は、キャンバスの地の質感を残し、それがブラウンに染め上げられてやけに物質的な質感が押し出された風合いをバックに、大河原さんの線がすらりと走っています。
そのブラウンの色彩の有機的な感触が、画面をうごめく曲線に宿る生命感をさらに強く感じさせてくれます。


大河原愛02 大河原愛03

大河原愛01


そして、この色彩と線とで展開する作品がさまざなまサイズで出展されています。
この風合いが、今回の個展における空間に統一感をもたらしています。
黒や白の線で描き出されるフォルムの有機的な風合いが、そしてそこにさらに描き加えられる色彩によって繰り出される陰影が、より臨場感を伴ってそれぞれの画面から現れています。


大河原愛04 大河原愛10 大河原愛11

大河原愛08


線で描かれる細身の体躯は一様に伸びやかでさまざまな表情があり、そしてこれほどまでに有機的。しかし、顔がないせいか、そこには感情、あるいは意識のようなものがあからさまには伝わってこない...それが大河原さんが描き出す世界に奥行きをもたらしています。

伝わらないから、探る...。
そこに感情がないのではなくて、そこに「封じ込められた」ような感触。言葉にならない思い。
複雑ですぐには分からない、読み込むことでそこに込められたメッセージをようやく汲み取れる小説にも通ずる「深み」があるような気がするんです。


大河原愛05 大河原愛06

大河原愛07


さまざまな小品も、合わせて出展されています。
洋書のページに描かれたもの、ちいさな画面に現れる体躯。
その小さな世界にも、やはり何かが封じ込められたような風合いがあり、それぞれが独特の深み、物語を内包しているように感じられます。


大河原愛15 大河原愛16

大河原愛14


女性らしいやわらかさ、艶かしさ、そして、強さ。
画面のなかで展開される「動き」のダイナミックさ、そしてそこに存在するはずの感情を思わず追い求めてしまう、奥行きある世界。

おそらく数本の線を引くだけで、大河原さんはそこに世界を創りだせるような気がします。


大河原愛09
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2007年04月24日

review:山本太郎展“日々是日本゜-ヒビコレニッポン”《4/5、4/15》

山本太郎展“日々是日本゜-ヒビコレニッポン”
Bunkamura Arts&Crafts
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
4/2(月)〜4/15(日)
10:00〜19:30
山本太郎4/2DM.jpg


「なるほど!」と思わず膝を叩いてしまいたくなるような、ポンと伝わるユニークさ。


今年のVOCA賞のアーティスト、山本太郎さんの個展に行ってきました。
そのVOCA展では、何やら意味深なモチーフが織り込まれ、腕組みをしてそこに収められたメッセージ性を汲み取ろうとじっくり鑑賞するような屏風の作品でしたが、その深みに触れたあとで今回開催された個展を拝見して、


ワカッタ-----(゜∀゜)----- !!!!


と心のなかで歓喜してしまうほどに。
いわゆる日本のわび、さびを感じさせるモチーフと今の時代のアイコン的なものとがひとつの画面に収められて、そのユーモアがたまらないんです。


まず、この展示でのもっとも大きな屏風の作品。
金箔を背景に満開の桜。苔が生し鮮やかな緑が乗る幹の力強いうねりとその枝に咲く桜のケレン味のなさ。
そして、その桜の堂々とした姿の前に、ある種の傍若無人ささえも感じるほど佇む信号機。2機のジェット機。緑の柵。
そのあまりにも大胆であからさまな構図に「空気読めw」とか思ったりもするのですが、しかし思い返すと現実には、大きな桜の樹がある場所には信号機もあるかもしれないし、柵も設置されているだろうし、飛行機が向こうの空に飛んでいてもまったくおかしくない。。。

「当たり前」をこうやって絵のなかで提示されるとこれほどまでにシュールでユーモラスになるのか、いう驚きが心のなかに広がってそれがまた痛快で。


山本太郎01

山本太郎02


小さな屏風と軸の作品も1点ずつ展示されていて、こちらではひとつのモチーフにスポットが当てられたシンプルな構成。


山本太郎03 山本太郎04


扇子も多く展示されていました。
ちいさいパノラマを思わせる扇子の画面には、時間の流れを感じる横への展開に、これまた山本さんらしいユーモラスな組み合わせのモチーフが織り込まれています。
特に、年末年始がもみの木の木陰から抜けでるサンタクロースのシルエットと、松林へと向かう鶴とで表現されたものがかなりツボで。


山本太郎08

山本太郎09


もうひとつの大きな作品。
ウィンドウから観るようなかたちで展示されていました。

碗を逆さにしたようなフォルムの山が折り重なり、そこにはくねくねと艶かしい幹の松や桜の木が並んで植えられていて、下のほうの浜辺には銀色の波が打つ。。。
桜と松が整然と並ぶ山の表面には、これまた真直ぐな道路が山を横切り、山と山の間には最新鋭の鉄道車両がトンネルからその姿を現しています。

どうよ、このシュールさ。このユーモア。

もう、楽しくてしょうがないんです。


山本太郎07 山本太郎06

山本太郎05


それにしても、繰り返しになるのですが、現実には桜の樹のそばには信号もあって道路も通っているのに、こうやって絵のなかで提示されると逆にそれが現実から遠く感じられるのがホントに興味深く感じられます。
いかに、何かを見るときに実際に見えているものを意識から外しているか...そういうことを、あらためて気付かさせられたような気がします。
そして、そういったことがしっかり提示できているのは、ただこういった構図を描いたのではなく、モチーフのひとつひとつが実は細やかにディテールを再現され、さらに連綿と続く日本画のスキルがしっかりと積み上げられているからでは、とも思うのです。

日本画ではなくて「ニッポン画」と敢えて名乗る山本さんのスタンスもまた、痛快で頼もしく感じられます。
今度はどんな現実を提示してくれるのか、ホントに楽しみです!
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2007年04月23日

〜4/22のアート巡り

《4/20》
・第32回木村伊兵衛写真賞受賞作品展 本城直季「small planet」
コニカミノルタプラザ ギャラリーC
東京都新宿区新宿3-26-11 新宿高野ビル4F
4/20(金)〜4/27(金)
10:30〜19:00(最終日:〜15:00)
木村伊兵衛賞4/20DM.jpg

大きな画面で眺める本城さんの写真はホントに楽しくなってきます。
普段の街並みが、線路がすぐ側を走る運動場が、夜の光景が、例のミニチュア風な質感に仕上げられていて、なんともいえない和み感も。


大和田良 "Strings of Life"
B GALLERY
東京都新宿区新宿3-32-6 BEAMS JAPAN 6F
4/19(木)〜5/15(火)
11:00〜20:00
大和田良4/19DM.jpg


《4/21》
☆大森暁生展 −Lunatic Party−
新宿高島屋 10階美術画廊
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2
4/19(木)〜5/1(火)
10:00〜20:30(4/21、最終日〜16:00)
大森暁生4/19DM.jpg


・原田節子展
MA2 GALLERY
東京都渋谷区恵比寿3-3-8
4/3(火)〜4/21(土)日月祝休
11:30〜19:00
原田節子4/3DM.jpg

色鉛筆で描かれた抽象的な色の線の重なり。
そこに同時に収められた日付けの走り書きと相まって、刹那的な風合いを醸し出しています。
「・・・分からない」と拒絶しようとすると、そこから画面のなかの線が花に見えてくる不思議。
一度花に見えると、どんどんそのなかに封じ込まれた美しさが現れてくるような...。

MA2 GALLERYのふたつのフロアの各所に配された花の絵。実は尋常でない数の表に出て来ていない作品があるそう。
すべて同じ大きさの作品でしたが、もっと大きな画面、あるいはミニマムな画面の作品も観てみたい気がします。

原田節子01


☆forerunners & four eggs 小橋陽介&坂田祐加里
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
4/17(火)〜4/28(土)日月祝休
12:00〜19:00
four eggsパンフ.jpg


☆松岡歩展
@銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
4/16(月)〜4/21(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)
松岡歩4/16DM.jpg


ミヤケマイ展 LUNA PARK
村越画廊
東京都中央区銀座6-7-16 岩月ビル8F
4/16(月)〜4/21(土)
10:00〜19:00(土:〜18:30)

ホントに楽しい!
文句なく楽しい!

アートフェア東京でもフィーチャ−されていたミヤケマイさんの、昨年に続いて開催された村越画廊での個展。
さまざまな遊園地の光景が織り込まれ、さらに表面に被せられたアクリル板に描かれた文字が影となって画面にアクセントをもたらしていたり、ちょっとしたユーモアがすごく活かされている楽しい作品に溢れていました。


☆石塚桜子展
@ギャラリーアーチストスペース
東京都中央区銀座6-13-4 長山ビル3F
4/16(月)〜4/21(土)
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
石塚桜子4/16DM.jpg


大河原愛「網膜の記憶」
十一月画廊
東京都中央区銀座7-11-11 長谷川ビル3F
4/16(月)〜4/28(土)日休
12:00〜20:00(土:〜17:00)
大河原愛4/16DM.jpg


・GALLERY EXPECTS vol.9 大島真由美
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1
4/16(月)〜4/22(日)
11:00〜19:00(最終日:〜16:30)

昨年の芸大の記念館での展示が印象的だった大島真由美さんの個展。
以前の屏風のインスタレーションはしばらくお休みのようで、今回は軸とコラージュ的な作品の展示でした。

屏風のときのポップな風合いとは打って代わって、精緻な描き込みによる実に渋い世界が軸のなかの画面に広がっています。

大島真由美01 大島真由美05

奥のほうの壁にダイナミックに展示されている写真作品。
それぞれの作品に、大島さんの手によるアクセントが手描きで施されていて、それぞれの画面のどこに手描きの絵があるかを探すのも楽しいです。

大島真由美04

そして、芸大でも展示された3点組の作品。
作り込まれた間接照明のなかに浮かび上がっていた色彩の麗らかさも印象的でしたが、ホワイトキューブと蛍光との空間に展示されるとその作品が持つ色彩の鮮やかさが全面に押し出され、細やかさもよりはっきり鑑賞することができて嬉しいです。

大島真由美03

大島真由美02


・SPRING BOARD 2007 Part 2
Break Station Gallery

4/21(土)〜5/10(木)
7:00〜23:00
SPRING BOARD2007パンフ.jpg

上野駅の一角を展示スペースとして利用している展覧会。
6名のさまざまなアーティストがピックアップされていますが、なかでも先日アートスペース羅針盤で開催された個展が印象的だった屋宜久美子さんの作品の、あの表面のアクリル板の影の映り込みが美しく再現されていたのと、東京画廊で開催されている「25×4=□」展でのファーストインパクト、柴田鑑三さんのスチロールボードをカットして製作された小品を観ることができたのが嬉しかったです。


タムラサトル POINT OF CONTACT ―接点―
Takuro Someya Contemporary Art
千葉県柏市若葉町3-3 TSCA KASHIWA
4/21(土)〜5/27(日)月火水、5/10〜5/12休・4/30開廊
12:00〜21:00
タムラサトル4/21青図.jpg


《4/22》
石森忍展 “動物農場”
GALLERY HANA SHIMOKITZAWA
東京都世田谷区北沢3-26-2
4/20(金)〜4/25(水)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
石森忍4/20DM.jpg

ユニークなコラージュ。
動物のシルエットのなかにいろんな画像が織り込まれ、それがさまざまなイメージを喚起させてくれます。
まずは小品があって、それを拡大、分割して紙に取り込み、それをパネルに貼って重ね、さらにメディウムらしきもので表面を処理した作品。観てすぐ伝わるかっこよさ。

石森忍05

ギャラリーの中央部で、回転する台の上に置かれたオブジェも面白い!

石森忍01

コラージュの手法の面白さと、それをエディションものとして再現したアイデアのユニークさに感服です。

石森忍03 石森忍04

石森忍02
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2007年04月22日

review:NEXT DOOR vo.1《4/14、4/19》

NEXT DOOR vo.1
T&G ARTS
東京都港区六本木5-9-20
4/14(土)〜4/28(土)日月祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
(Bar Time:20:00〜29:00)
NEXT DOOR 4/14DM.jpg



So Funny,So Cute!


六本木の芋洗坂沿い、レントゲンやタロウナスが入るコンプレックスビルへ向かう少し手前にあるアートスーペース、T&G ARTSで開催されている、素敵な個性がパッケージされた展覧会です。

これまでに個展で拝見している畑中宝子さんと海老原靖さんとが参加されているということで楽しみだったのですが、その他のアーティストの作品もユニークでフレッシュなものが多くて楽しめます!


入口には海老原靖さんの作品がお出迎え。

海老原靖@T&G01


1階と2階との2フロアで、しかもそれぞれがたっぷりのスペース。
6名のアーティストがそれぞれのコーナーでその個性がしっかりと発揮されていて、6つの個展をひとつの空間で観られるような感じもあり、それでいてハイアベレージでまとめられたセレクションでお互いの個性がひとつの空間で引き立てあっているようにも感じられます。


まず1階の中矢篤志さん。
クッションのような丸い画面に描かれていて、そのキュートな色彩には楽しくなってきますが、それとは裏腹の歪んだ有機的な絵のなかに現れる「目」にドキッとします。

中矢篤志@T&G01 中矢篤志@T&G03

1点だけ出展されている方形の作品でも、丸い画面とかわらず、色彩の有機的なうねりに迫力が。

中矢篤志@T&G02

壁からぽこんと盛り上がるような丸い画面が空間にどこかユーモラスなアクセントになっているようにも感じられます。

中矢篤志@T&G04



林真世さんの作品は、浮かんだイメージからのリアクションがそのまま作品に収められたような感じが痛快です。
画面にたくさんの情報量が詰め込まれています。緻密でもあり、イメージに追い付こうとする痕跡のようなものも伝わってきたり。

林真世@T&G01 林真世@T&G02

入口側の柱のような部分の壁には、今回展示されているオブジェの元絵なのか、それともそのオブジェを観ながら描いたものなのか...そういったことを想像するのも楽しいです。

林真世@T&G03

そして、さまざまな作品が壁に展示されて、インスタレーション的な風合いも醸し出しています。
描くという「遊び」が、そしてクリエイトする楽しさが真直ぐ伝わってきます。

林真世@T&G04


1階のスペースから2階へと向かう途中にバーカウンターがあり、そこと2階への階段で展開されているのが渡辺元佳さんのインスタレーション。
もう、いたるところにサル、サル、サル。

渡辺元佳@T&G02

壁に、階段に、床に、そして天井からぶら下がって。
数えませんでしたが、思い返しても軽く20匹ほどはいたはず。
紙でできたサルたちがいたるところでやんちゃに遊んでいます。
その1匹1匹はホントに愛嬌ある表情で、コミカルな仕草がまたかわいくて。

渡辺元佳@T&G03

なかには、マクドナルドのハンバーガーの包装紙とレシートに覆われたサルが台の上で前え倣え。
よくも食ったり、もとい、よくも作ったり、といった感じで笑えます!

渡辺元佳@T&G01

他にも体中に一円玉を貼りめぐらされたのがバーのところでぶら下がっていたり。
あと、外のウィンドウでも大きな袋でかくれんぼしてるような展示がなされていてこちらもぜひチェックしてほしいポイントです。かわいく動くウサギもいます(笑)。

渡辺元佳@T&G04


2階へあがると、畑中宝子さんの作品が。
どちらかというと「濃いめ」のクリエイションが続いた1階を観たあとで畑中さんの作品が目に入ってきて、その淡い色彩で展開される女の子の日常をモチーフにしたような繊細さと儚げな風合いに、なんだか気分もリフレッシュ。

畑中宝子@T&G03

ギャラリーエスでの個展での、畑中さんの作品だけに囲まれた空間もぐっときましたが、今回のグループ展ではその浮遊したような色彩がより引き立てられているように感じられます。

畑中宝子@T&G02

こういったグループショーにおいて、ちょうどバイキング料理の途中でいただく氷菓子の爽やかさにも通ずる、嬉しいアクセントになっています。

畑中宝子@T&G01


美島菊名さんの作品には思わず「やられた。。。」と。
画像を出力されたもので、写真とは違うざらつきが画面に残り、それが黒く色塗られた額とともに、美島さんのキッチュな世界をさらに奇妙なものへと押し上げているように感じられます。

美島菊名@T&G04

人形に覆われた女の子が振り向く様子。
テーブルの上に置かれた赤いワンピースの女の子とアーティスティックに剥かれた林檎。
・・・などなど、どこか妖しげな演出がなされた作品は、女の子のアーティストならではの大胆さが充満しています。

美島菊名@T&G03

そして、今回新しく製作された「花」の作品。
女の子の腕に描かれた花、それを愛おしむ女の子。
・・・なんだろう、この説得力は...と、実にシンプルなアイデアなのにもかかわらず、画面のなかの女の子の恍惚とした表情と合わせた腕に咲く花の奇妙な美しさに魅入られてしまいます。

美島菊名@T&G02

美島菊名@T&G01


最後のコーナーには、海老原靖さんのダイナミックな世界が。
フタバ画廊での個展で展開されていた、たしか映画のワンシーンを一旦停止にしてそれを元に描いた作品。
画面いっぱいに描かれた俳優、女優の顔、そしてそこに走る色彩のノイズ。そのコントラストから迫力と刹那的な風合いが感じられます。

海老原靖@T&G02

今回出展されたすべてのアーティストの作品のなかでもっとも巨大な画面で繰り広げられる大写しの顔。
おそらく海老原さんが敬愛するマコーレ・カルキンのものと思われるのですが、とにかくこれほどの画面で展開されるとそれだけでもう圧倒されてしまいます。

海老原靖@T&G03

そしてこの作品を敢えて何が描かれているか分からないほどの至近で観てみると、横の動線を持つ色の流れにものすごいスピードを感じ、ぐんと意識がその動線に引っ張られるような錯覚を覚えるほど。

海老原靖@T&G04


たっぷりのスペースで繰り広げられているユニークなクリエイション。
視覚だけじゃなく、さまざまな感性を総増員させてポジティブに楽しめる展覧会です。

また、このT&G ARTS、ギャラリーの営業時間は夜の7時までなのですが、それから1時間のインターバルをおいた後、20:00から翌日5:00までバーとして営業され、その間はギャラリースペースにソファなどが設置されてゆったりとアートも楽しめる空間・時間が現れるそう。
ぜひ遅い時間にも伺ってみたいです。
posted by makuuchi at 11:25| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月21日

review:呉亜沙「the CAST」《4/14》

呉亜沙「the CAST」
ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
4/14(土)〜4/28(土)日休
11:00〜18:30
呉亜沙4/14DM.jpg



おかえりなさい!


呉亜沙01



文化庁の留学制度で1年間ニューヨークに滞在されていた呉亜沙さん。
その渡米の直前に開催された個展で拝見したメランコリックな世界が忘れられず、ニューヨークにいらっしゃる間も折りに触れて過去の小品なども拝見しながら、次の呉亜沙さんの展開を楽しみにしていたのですが、その膨らんだ期待を充分に満足させてくれる素敵な世界が今回のギャラリー椿での個展でもいっぱいに広がっています。


呉亜沙06


さまざまなサイズの画面のなかで、おなじみの2本足で立つウサギと女の子とで繰り広げられる物語。
今回出展された作品に登場するキャラクターたちは稜線があってくっきりとしていて、そのせいか「ここにいるんだよ!」っていうことをアピールしているような印象を覚えます。
どこか淋しげな雰囲気を漂わせていた前回の個展のときとくらべても、より「元気な」というか、溌溂とした感じが伝わってきます。
加えて、僕の記憶ではこれまではひとつの画面のなかに女の子はひとりしか登場しなかったと思うのですが、今回はウサギたちと同様にたくさんの女の子ががひとつの画面に登場していて、それもポジティブな印象をさらに強くさせてくれているような気がします。


呉亜沙09 呉亜沙08

呉亜沙04


色彩は、特に「青」が印象的です。
入口と対角にある長い壁に展示されている作品はほぼ「青」の作品で統一されていて、その清々しさを浴びるように感じて、深呼吸して爽やかな空気を胸いっぱいに吸い込んだような気持ちよさがあるような気がします。


呉亜沙07 呉亜沙10 呉亜沙03

呉亜沙05


その青のなかに並ぶ、絵と立体の組み合わせによる楽しい作品。
いたずらっぽさ、おてんばさがなんともユーモラス。


呉亜沙11

呉亜沙12



もうひとつ、立体の作品が。
こちらは床面が円形のテントのようなもので、その下の方でテントのなかに顔を突っ込んだ女の子たちがぐるりと輪になっています。
呉亜沙さんの絵の世界をそのまま再現したような何とも楽しい雰囲気が溢れています。
そして、実際に自分もそのテントのなかに顔を突っ込んでみると・・・。


呉亜沙13

呉亜沙14


爽やかさとポジティブな雰囲気に溢れた気持ちいい展覧会です。
きっとニューヨークは楽しかったんだろうな、と想像して呉亜沙さんに尋ねると、「いろいろありましたけどね」と笑顔で答えが返ってきました。

この素敵な世界を再び堪能できたことが嬉しいです。
観られたことで充分、嬉しい。
そして、7月に佐藤美術館で今回に続いて開催される個展もすごく楽しみ!

大切にしたい、ずっと大事に観続けていきたい、そして紡がれる世界をその都度楽しんでいきたいクリエイションです。


呉亜沙02
posted by makuuchi at 08:18| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする