2007年03月31日

review:佐々木里加展 ―BRAIN SPACE―《3/24》

佐々木里加展 ―BRAIN SPACE―
Gallery Q
東京都中央区銀座1-15-7 マック銀座ビル2F
3/12(月)〜3/24(土)日休
11:30〜19:00(最終日:〜17:00)
佐々木里加3/12DM.jpg



今年のVOCA展で拝見した未知のアーティストの作品の中でもっとも印象に残ったひとつ。
横長のパネルにマウントされたおそらく出力の作品で、不思議な透明感のある白のグラデーションで構築され、尋常でない広がりを感じてしまうダイナミックな一面と、無意識に作品へと近付いて至近でじっと凝視してしまうほどに、細かな影と白とのコントラストによる混沌とが一体になって、ぐんぐんと意識が揺れるような圧倒的な風合いに驚嘆した次第。


その作品のアーティスト、佐々木里加さんの個展がGallery Qで開催されているのを人づてに知り、これ以上ないタイミングで拝見することができました。



コンパクトなスペースの四方の壁に1点ずつと、事務所のほうに小品が数点というシンプル構成。
メインスペースに展示されたのはVOCA展に出展されていた作品と同サイズのものが入く口から続く壁に1点と、縦長の作品が他の3つの壁にそれぞれ配され、ギャラリーの真ん中に佇むと、作品群が醸し出す強烈な引力に圧倒されるような気がします。


残念ながらご本人は不在で、直接お話を伺うことは叶わなかったのですが、佐々木さんの作品は「脳」がモチーフとなっているとのこと。
脳の模型を制作し、その画像をパソコンに取り込んで加工することで、このような特有のうねりを持った曲線がなめらかに、かつ複雑に交錯する作品が作り上げられるようです。
そういった過程を知ると、無機的な色彩感の中に強く有機的な要素を感じ、そこに意識がどんどんと呑み込まれていくような印象を佐々木さんの作品に持つ理由も理解できます。


縦長の作品は、脳がその画面にあわせるように、縦長に引き伸ばされています。
それがまるでその色の水に保存されているかのように、尋常でない透明感を放ちなががそこに存在しています。
この圧倒的な縦のダイナミズムに囲まれ、自分がミニマムな世界へと入り込んでしまったかのような状況が連想されます。


佐々木里加01


その3点に囲まれた状態で俯瞰する正面の横長の作品。
今もなお、ぐんぐんと左右へ広がり続けているかのような勢いを感じます。
作品の中のなめらかな曲線で描き出されるひとつひとつのパーツが隣り合い、重なり、ずっと画面の向こうへと続く奥行きを醸し出すと同時に、画面の表へと立体的に迫ってくるような臨場感も発散しています。
また、その曲線とグラデーションとが織り成すものは、あたかも澄んだ音で発せられる不協和音のように、それに触れた刹那に受ける素直な美への刺激とは裏腹に、危ない芳香も漂ってくるような。。。
この画面から感じる鮮烈なインパクトは忘れ難いです。


佐々木里加03

佐々木里加02



この佐々木さんの作品、さらに引き伸ばされて展開されたらどうなるんだろう、という興味も湧いてきます。
出力作品の強みとして、そういったことも不可能ではないところに期待も思わず抱いてしまいます。
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2007年03月30日

review:ceramic works 神崎まり展《3/25、3/26》

ceramic works 神崎まり展
プラザ・ギャラリー
東京都調布市仙川町1-24-1
3/24(土)〜4/22(日)水休
10:00〜18:30
神崎まり3/24DM.jpg



やさしいかたち、やさしい色。


神崎まり04


UPLINK GALLERYでの個展を拝見して、そのときの壁沿いに一列に配置されたルージュのインスタレーションが、そのときは正直なところよく分からなかったものの、印象に残っている神崎まりさんの、プラザ・ギャラリーでの個展に行ってきました。

メインスペースには、土の質感が残る、ほぼ人の顔くらいの大きさの手びねりの陶芸作品が、壁に「置かれる」ように展示されています。そのかたちはなんともいえない優しい雰囲気が溢れています。
そのひとつひとつになんともいえない和みの味わいが伝わってきます。


神崎まり07 神崎まり06 神崎まり05

神崎まり08



動物の顔、お家といった、なんとなくそのかたちに具体的なイメージが浮かんでくるものもあれば、種や内蔵といった、生命感が込められたような有機的なもののように見えるものも。
やさしいベージュ色に、それぞれの作品の一部分に着色された金色が映え、そのコントラストもいい感じを醸し出しています。
また、その金色がスポットの光を受けて壁につくり出す光のグラデーションが、土の優しい質感とは違った独特の美しさを放ち、作品とのギャップも面白い見どころとなっています。


神崎まり03 神崎まり01

神崎まり02



サブスペースの棚には小品が置かれています。
それぞれ、蓋付きの入れ物となっていて、同じく土の質感が優しく残り、一部が金色に塗られているもの。
手に持ったときの土の質感も嬉しく、それに加えて蓋を開けてみたときに、蓋と下の部分とが擦れるときに聞こえるチリチリという音も耳に心地よく届きます。
動物のかたちをモチーフにした作品も、抽象的ながら有機的なイメージを持つ作品も、なんともいえないかわいらしさを醸し出しています。


神崎まり12 神崎まり11

神崎まり10 神崎まり09


僕が伺った時間がちょうど日が落ちた頃で、ガラス張りの空間のなかで優しい照明がふわりと広がってい感じられたのも印象的です。
自宅から近いこともあるので、何度かこの雰囲気に癒されに行きたいと思っています。


神崎まり13
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2007年03月29日

review:大島梢展「青」《3/27》

大島梢展「青」
ギャラリーエス S zone
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
3/27(火)〜4/1(日)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
大島梢3/27DM.jpg



至高の細密画。



大島梢@es 09


昨年、ミヅマアクションで開催された「眼差しと好奇心vol.1」ではじめて拝見して、その精緻さに驚嘆し、この企画展において僕にとっていちばんの発見のひとつだった大島梢さんの、ギャラリーエスでの個展です。

すごく楽しみだったのですが、その期待は無論良いほうに裏切られ、ひとつひとつの作品が持つ繊細さ、力強さに魅了されてしまった次第です。


今回出展されているなかでもっとも大きな作品。
その広い画面を青い鳥が埋め尽くしています。
ジェッソが施された画面の白に、さまざまな青のグラデーションが鮮やかに映えます。
そして、ここに描き出される青い羽のひとつひとつの精緻さには圧倒されます。


大島梢@es 04 大島梢@es 05


眼前を埋め尽くす青い鳥の一群。
優雅さと混沌とした感触とがひとつの画面から同時に感じられます。ぶつかり重なる羽の音が聴こえてきそうなほど、尋常でないほどに動的なイメージが沸き上がってきます。

もし、この一群が視界から退いたらいったいそこにはどんな光景が広がるだろう...ずっと向こうまで続く、終わりがない白い世界かもしれないし、見たことがない色彩に溢れる森があるかも知れない...。

・・・この作品を前にしていると、いろんな想像が膨らんでいきます。


大島梢@es 03


ものすごい迫力を伴って観るものを圧倒してきます。
下方から力強く沸き上がる雲に紛れながら、渦を巻くように現れる鳥の青い羽。
陸に近い部分の小さな羽が凝縮された部分には意識が呑み込まれ、空に現れている大きな羽には後ずさりするほどの力強さ。


大島梢@es 07 大島梢@es 08

大島梢@es 06


ちいさな花弁が組み重なって美しい球体が作り上げられ、それが画面にいくつも詰め込まえれることでミニマルな奥行き感が演出されている作品も、見応え充分です。
そこにひとつだけ、青い羽の球体が存在していて、その青の美しさが素晴らしく映えます。


大島梢@es 02

大島梢@es 01


大島さんの細密画には、最高級の「切れ味」、シャープさを感じます。
今回出展された作品の多くが下地にジェッソが施されたもので、そのフラットな画面が、切れ味をさらに鋭いものに押し上げているように感じられます。
用いられる画材も、鉛筆、ペン、そして大島さん自らこの細密画用に筆を加工され、アクリル絵の具で描かれるものも。
これだけのバリエーションに富んでいながら、今回は特に「青」がテーマということもあって、清々しいほどの統一感が空間を占めているのも印象的です。

最相葉月さんの本で読んだ印象が強いこともありますが、「青」という色は、「青いバラ」の花言葉が「不可能」であったり、あるいはチルチルとミチルの兄妹が探すのも「青い鳥」だったりと、幻想的な雰囲気を持ち合わせているように感じられます。
おそらくまた別の色彩であってもきっと素晴らしく美しい世界が描き出されることに一縷の疑いも持ち合わせないのですが、「青」という幻想的な色彩と、細かい線のピンと張りつめた緊張感とによって、この独特の雰囲気が作り上げられているような気がします。

作品によっては幼虫などグロテスクなはずのモチーフも含まれているのですが、それすら清々しい印象を持ち、そういったモチーフの曲線の妖しさに鋭さを感じ取ってしまうのも、上記のような要素がそうさせているのかな、と。。。


大島梢@es 12 大島梢@es 10

大島梢@es 11


今回の展示における、大島さんの作品の中に現れる白、黒、青。
おそらくそれぞれもっとも美しい白、黒、そして青だと思います。またさらに、そこでさまざまなリズムを描き出す細密な線も、文句なくいちばん美しい線だと思うのです。


大島梢@es 13
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2007年03月28日

review:古橋香:理想の女の子《3/24》

古橋香:理想の女の子
PUNCTUM
東京都中央区京橋1-6-6 ハラダビル2F
3/19(月)〜4/1(日)
12:00〜19:00(最終日:〜16:00)
古橋香@PUNKTUM DM.jpg



さまざまなアイデアが詰まった油彩の作品。

先日まで開催されていたワンダーシード2007にも出展されていた、古橋香さんの個展に行ってきました。
いや、もう文句なく面白い、思い切りの良さに痛快さを感じる展示です!



まず、ギャラリーのいちばん広い壁の全面を覆うほどの大作に目を奪われます
同じパターンの女の子の肖像が3つ並ぶ構成。これほどの大きさの画面の中で繰り返されるループは圧巻で、たとえ3つだとしても、イメージとしてカットされた両脇の画面にはもっとずらりと並んでいるのでは、と想像すると、さらにこの作品の世界に引き込まれていきます。

また、型と色の配置こそ同じパターンであっても、そこに描き出される色の広がりが異なるのも面白いです。
特に髪の部分、女の子の表情と同様に動きを感じるそのかたちの中で、ひとつの動線を描きながらその色面のなかにものすごいダイナミックさをもたらしています。
背景の色彩の飛沫もそのダイナミズムをさらに加速させているように感じられます。


古橋香01

古橋香02


その向側に展示されている、ひとりの女性の肖像画も印象的です。
滋味溢れる優しい表情の女性。しかし、髪や背景などに広がる色彩はアグレッシブ。油絵の具の素材の質感も生々しく、色彩的にも立体的にも上記の大作にも負けないくらいのダイナミックさが現れていて、見応え充分です。


古橋香04 古橋香05

古橋香03


小品はさまざまなスタイルの作品が揃っています。
この展示で拝見して古橋さんらしいと感じるざらつきのあるマッドな質感の作品から、ぱっと鮮やかな色彩が印象的なもの、さらには板に直接描き出された版作品も。


古橋香08 古橋香09 古橋香10

古橋香07


この「版」というのが古橋さんにとってのキーワードのひとつでもあるそうで、いくつか展示されている同じパターンがひとつの画面で繰り返される作品群について、たとえ版で制作してもまったく同じには作れないというもどかしくも味わいが出る部分に注目し、敢えて同じパターンをひとつの画面で展開させて、その差、違いに面白さを見い出したい、という意図もあるようです。

さまざなまアプローチが込められたユニークなクリエイション。
個性的な色彩感覚、マチエルが醸し出す斬新さが心地よいインパクトをもたらしてくれます。
今回出展された作品も相当な大きさですが、さらに大きな作品を観てみたいという、観る側の身勝手な欲も湧いてきてしまいます。


古橋香06
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2007年03月27日

review:工事中 UNDER CONSTRUCTION(工事責任者:桃木彩)《3/24》

工事中 UNDER CONSTRUCTION(工事責任者:桃木彩)
Gallery≠Gallery
東京都中央区新川1-3-23 八重洲優和ビル2F
3/17(土)〜3/29(木)
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)




こんなDM。


桃木彩3/17DM.jpg


いったいどんなインスタレーションなんだろう、と逆に妙に期待が煽られたわけですが、ふたつの映像作品が軸となった、思いのほかシンプルで、そのストレートさが心地よい展示です。



このギャラリーの奥のスペースにある窓の映像と、そこから眺める川面を撮影したものとで構成された3分程度の無声の作品。
窓から川面、そして再び窓へと画面の移り変わりはあるものの、その構成はシンプルそのもの。撮影された映像自体が加工されることはなく、ただ淡々と撮られたものが壁に映し出されて行きます。


桃木彩06 桃木彩02 桃木彩03


窓に掛かるブラインドの、水平に直線が並ぶ様子が無機的に感じられるところから始まり、そこから川面の映像へと移っていく。。。

最初はその水面に向こう側の建物が映り込んだ様子が。それが川の流れで浮かび上がる水面のうねりによって滲み、だんだんとそのうねりがダイナミックに変化して...そこから水面のアップへと移り変わり、右から左へと水面のうねりがつくり出す美しいグラデーションが流れ、そのシーンを眺めているとものすごいスピードで変化を繰り返す画面に思わず酔ってしまう...水平感覚の狂いを実感し、意識が飛ばされてしまったような。。。

そして、その水面のアップの場面がフェードアウト、最後に再び窓の映像が現れます。


桃木彩04 桃木彩08 桃木彩07


何か具体的なものがある感じはしないものの、この映像の展開、構成には唸らされた次第です。
静かなシーンから始まって、だんだんと動的な要素が取り入れられ、再びの平穏が現れる直前のクライマックスのインパクトはちょっと忘れ難いです。


桃木彩05



もうひとつの映像作品は、ギャラリーの床に設置された排気孔の口の部分から壁に向かって上映されています。


桃木彩10 桃木彩11


無音の作品ですが、こちらは音があっても面白かったかな、と思うものの、、唐突に展開されるコミカルなシーンで思わず「は?」とツッコミを入れてしまいたくなるのですが、その意味不明さからかけ離れた予想外の展開へと進み、最後に現れる排気孔が持つ意外な美しさが演出されたシーンに目を奪われます。


桃木彩09



それにしても...

このインスタレーション、床に設置された排気孔は排気孔そのものでしかなく、そこに何らかのメッセージが込められていると感じられなかったのですが、逆にそのストレートさが痛快で面白く感じられました。


桃木彩01
posted by makuuchi at 07:26| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月26日

〜3/25のアート巡り

《3/24》
☆VOCA展2007
上野の森美術館
東京都台東区上野公園1-2
3/15(木)〜3/30(金)
10:00〜17:00(金曜日:〜19:00)
VOCA2007パンフ.jpg



・平成17-18年度 文化庁買上優秀美術作品 披露展
日本芸術院会館
東京都台東区上野公園
3/13(火)〜3/25(日)
10:00〜16:00

三瀬夏之介さんの作品、あの緑青や墨、胡粉などで展開される独特の風合いが額に収められた大作に、今まで感じたことがない渋さが伝わってきました。
これほどまでに「本格」の雰囲気を持つ画風だとは、と。その大胆さから滲み出るアバンギャルドな渋味はもちろん内包しつつも、今回の落ち着いた場所で見せる「正装」の風格ある佇まいに、三瀬さんの世界が持ち合わせる奥深さにあらためて感じ入った次第です。
この他、風間サチコさんの船を描いたダイナミックな作品が印象に残っています。



・BRIAN ALFRED -GLOBAL WARNING-
SCAI THE BATHHOUSE
東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
3/23(金)〜4/28(土)日月祝休
12:00〜19:00
BRIAN ALFRED 3/23DM.jpg

マスキングを駆使したくっきりとした色彩のエッジが気持ちいいグラフィカルな作品。
快晴の青空、そこに湧く雲の立体感。風にはためく旗までもがひとつひとつの色面のエッジをくっきりと持たせ、ケレン味のないポジティブな風景が広がっています。
また、細かく紙を切ってコラージュされることで描かれた小品も楽しいです。
小さな画面の中は「ここまで切り紙でやっちゃうか!」っていう痛快極まる驚きに溢れています。



・YANOMICHIRU EXHIBITION 七色あんふぇーる
HIGURE 17-15cas
東京都荒川区西日暮里3-17-15
3/18(日)〜3/28(水)月休
12:00〜20:00(土日祝:11:00〜20:00)
矢野ミチル3/18DM.jpg

もともと工場だったギャラリーの1階と2階とにいっぱいに展示されたイラスト。
色彩のスプレッドからインスパイアされ、そこに人々などの姿が細い黒の線で紡がれていくような感じです。
その繊細さと、小さな画面から膝の高さの屏風、さらには天井から吊り下げられた大きな作品まで、紙と絵の具とペンとの組み合わせから感じられる渋味と同時に、さまざまなサイズの画面で展開される伸び伸びとした面白さが伝わってきたのが印象に残ってきます。

矢野ミチル@HIGURE 01

矢野ミチル@HIGURE 02



☆工事中 UNDER CONSTRUCTION(工事責任者:桃木彩)
Gallery≠Gallery
東京都中央区新川1-3-23 八重洲優和ビル2F
3/17(土)〜3/29(木)
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
桃木彩3/17DM.jpg



・ツリタニユリコ展
四季彩舎
東京都中央区京橋2-11-9 西堀11番地ビル2F
3/19(月)〜3/24(土)
11:00〜18:30
ツリタニユリコ3/19DM.jpg

アクリル絵の具とペンとで描かれるちいさな作品。
絵と、その隣にちいさな文字で2、3行の言葉が添えられていて、何かのおとぎ話の一場面のような風合いが面白いです。その構成の作品が壁にていねいに展示されていたのも印象的。
文字が添えられていない作品も、細かい線が醸し出す繊細さがより美しく感じられます。

ツリタニユリコ01 ツリタニユリコ02

ツリタニユリコ04



☆古橋香:理想の女の子
PUNCTUM
東京都中央区京橋1-6-6 ハラダビル2F
3/19(月)〜4/1(日)
12:00〜19:00(最終日:〜16:00)
古橋香@PUNKTUM DM.jpg



・服部誠展
GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 第一吉井ビルB1F
2/12(月)〜2/17(土)
11:00〜19:00(金:〜21:00、最終日:〜17:00)
服部真3/19DM.jpg

モノクロームで描き出される油彩の作品。
ひとつひとつの大小の色面における黒と白とのグラデーションの面白さと、それらが積み上げられてダイナミックな様相を呈する面白さと。
まさに異次元の世界が展開されています。

服部誠01 服部誠02

小さな色面によって展開される異様なまでにミニマルなリズム。これが大画面の各箇所に凝縮され、その部分に意識が引き込まれていきます。
この混沌とした感じが痛快です。

服部誠03 服部誠04

服部誠05



☆屋宜久美子展
アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
3/19(月)〜3/24(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
屋宜久美子3/19DM.jpg



村井美穂 作品展 −キマジメ装置−
藍画廊
東京都中央区京橋3-3-8 新京橋ビル1F
3/19(月)〜3/24(土)
11:30〜19:00(最終日:〜18:00)
Fi村井美穂3/19DM.jpg



☆「みみなり」怱滑谷昭太郎
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1
3/19(月)〜3/25(日)
11:00〜19:00(最終日:〜16:30)
怱滑谷昭太郎3/19DM.jpg



☆松永龍太郎 個展
@銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
3/19(月)〜3/24(土)
11:00〜19:00(土:〜17:30)
松永龍太郎3/19DM.jpg



☆佐々木里加展 ―BRAIN SPACE―
Gallery Q
東京都中央区銀座1-15-7 マック銀座ビル2F
3/12(月)〜3/24(土)日休
11:30〜19:00(最終日:〜17:00)
佐々木里加3/12DM.jpg



渡邊貴裕展 "DISORDINATO"
GALERIA arts
東京都渋谷区神宮前5-51-3
3/23(金)〜4/1(日)月休
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
渡邊貴裕3/23DM.jpg

ちいさなスペースいっぱいに軽快な作品が展開されていて、とにかく楽しい空間が作り上げられています。
包装紙に描かれた絵がずらりと並ぶ壁の一角、女性の寝顔とさまざまなアイテムが墨とクレヨンとで紙袋に描かれ、雑然と床に散らされていたり、大きな包装紙に描き出された女性の姿のダイナミックさがなんとも楽しかったり。
作品それぞれの楽しさはもちろん、それぞれのコーナーに添えられているキャプションや空間のインスタレーションなど、そこで展開されるひとつひとつに遊び心が感じられるのも嬉しいです。

渡邊貴裕01 渡邊貴裕02

渡邊貴裕03

また、こういった紙と墨とによる描き手の楽しさが伝わる索引に溢れた展示の奥に1点だけ出展されている日本画がたいいんです。独特のオリエンタルな風合いが、このインスタレーションに引き立てられているような感じです。



2e collection 07 She is like a rainbow
foro08
東京都港区白金台5-13-14 白金台The1000 地下1階
3/22(木)〜3/31(土)
12:00〜20:00(最終日:〜18:00)
2e3/22DM.jpg

このスペースでのオープニングの展示も素敵だった2eの、今回は新作アイテムの展示。
2eらしい遊び心がふんだんに取り入れられたノートや栞、壁紙、手鏡など、そのひとつひとつの素朴なかわいらしさが印象的です。
そして、前回ほどの大きな展開はないものの、やはり今回も素敵な空間が作り上げられています。変な例えですが、マシュマロの中に入っちゃったような印象です。

She is like a rainbow 01 She is like a rainbow 02 She is like a rainbow 03

She is like a rainbow 04



《3/25》
☆ceramic works 神崎まり展
プラザ・ギャラリー
東京都調布市仙川町1-24-1
3/24(土)〜4/22(日)水休
10:00〜18:30
神崎まり3/24DM.jpg
posted by makuuchi at 08:36| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月25日

review:鈴木良治作品展《3/18》

鈴木良治作品展
京都今出川ギャラリー
京都府京都市上京区今出川通烏丸西入ル北側築山南半町244-2
3/10(土)〜3/22(木)金休
11:00〜19:00
鈴木良治@今出川パンフ.jpg



その存在を知って以来、ずっと伺いたかった、京都今出川ギャラリー
金丸悠児さんや野地美樹子さんの作品を取り扱われているということもあって、いつかお目にかかる機会はあるだろうと思ってはいたのですが、やはりこちらから足を運びたいと思っていました。

で、今回、野谷美佐緒さんと杉尾供美さんの展示が京都で開催されることもあり、ちょうど今出川ギャラリーでも面白そうな展覧会が開催されている最中だったので、ならば今、行こう、と決心した次第。


ギャラリーの北門さんともいろんなお話が伺えて、たいへん充実した時間が過ごせたのですが、開催されていた鈴木良治さんの展覧会もたいへん印象に残るもので。
やはり実際に拝見するとその絵の実際の大きさで観られるだけでなく、その絵の表情が直に伝わってくることを、今更ながらに実感しました。


まず、リトグラフの作品。
モノクロームで、画面の縁にヘこみのようなものが見受けられる作品もあることから銅版画のような味わいもあり、それでいてリトグラフ特有の線や色面の広がりもひとつの味としてじっくりと伝わってきます。


鈴木良治03


描かれるモチーフもたいへんユニークです。
静物画的な構成の作品もいいですし、なにより素朴で、いきいきとした表情と躍動感溢れる姿の子供が登場する作品が痛快です。


鈴木良治01 鈴木良治02

鈴木良治04



油彩の作品は、リトグラフのモノクロの世界から一変して、透明感溢れる澄んだ世界のなかに広がる静けさが印象的です。
画面いっぱいに描かれる犬。遠い砂浜に寝転ぶ男の子。
言葉ではなく、イメージで何かを伝えてくるかのような、不思議な雰囲気も溢れているように感じられます。

そして、その透明感が素晴らしいです。
まるでずっと先の未来から眺めた過去、想い出のような...そんな時間軸を無視したイメージも自然に心の中に浮かんできます。


鈴木良治06 鈴木良治07

鈴木良治08



台の上で展会されていた水彩の作品の水彩らしい素朴さも。


鈴木良治09



ご本人にお目にかかれなかったのは残念ですが、素敵な世界に巡り会えて、京都まで来て良かったなぁ、と。
もっと大きな画面の油彩の作品もぜひ観てみたいです。大きな画面で展開されたら、きっとイメージももっとぐんと広がって行くような気がします。

鈴木良治05
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review:光 新谷仁美 小川サトシ《3/17》

新谷仁美 小川サトシ
GALLERY it's
東京都渋谷区猿楽町2-7 シャトーソフィア(竹久ビル)6F
3/11(日)〜3/18(日)
13:00〜20:00
光3/11DM.jpg




新谷・小川01



それぞれ異なる個性がパッケージされたユニークな二人展。
素材的なものも含めての「色」そのものが持つ質感を前面に押し出したような新谷仁美さんと、驚くほどに精緻な描き込みに驚かされる
小川サトシさん。それぞれが繰り出してくるユニークな世界の対比も面白い展覧会。



小川サトシさん。
一見して「写真?」と思ってしまうのですが、これが色鉛筆の作品。葉脈や昆虫の姿が細かく再現されています。
大本には写真があって、それをトレースして描かれるようなのですが、それを差し引いてもこの精緻さに驚かされます。
また、画面の表面がコーティングされていて、いわゆる色鉛筆の質感は表出していないのですが、じっくり観るとホントに手描きの痕跡が見受けられて驚きもさらに増します。

白抜けの部分が、それぞれのものを透過して届く光に感じられるのも興味深いです。


小川サトシ02 小川サトシ03

小川サトシ01



新谷仁美さんは、ふたつのシリーズが出展されていました。
まずは、紅茶などで染め上げられた和紙の作品。素材の味わいの優しさや素朴さがダイレクトに伝わります。


新谷仁美03

新谷仁美02


この和紙の作品からは信じられないほどに鮮やかな色彩の作品も出展されていて、この未来的なイメージ広がる鮮やかさのインパクトが痛快です。
シルクスクリーンに用いる顔料を何層も重ねるというプロセスで生み出されたグラデーションの美しさ、瑞々しさが印象に残っています。


新谷仁美04

新谷仁美01



それぞれの作品における、タイトルにある「光」というキーワードへのアプローチを考えるのも面白いです。
それぞれの「光」への解釈の違いもなんとなく伝わってくるような気がした次第です。


新谷・小川02
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review:春風のおくりもの展《3/18》

春風のおくりもの展
恵文社一乗寺店/ギャラリーアンフェール
京都府京都市左京区一乗寺払殿町10
3/13(火)〜3/19(月)
10:00〜22:00(最終日:〜18:00)
春風のおくりもの@恵文社DM.jpg



京都へ。


今年は一度は京都へ行くつもりでいて、そのタイミングを、こちらでもずっと拝見している野谷美佐緒さんと、ジュエリーアーティストの杉尾供美さん、お菓子の竹田里美さん3人のコラボレーションの展示が開催されていたこの日曜日に行ってきた次第。
ずいぶん前から、野谷さんが「ここでやりたい!」とおっしゃっていた恵文社一乗寺店/ギャラリーアンフェールでということもあって、やはりその目標が叶った展示は見逃すわけにはいかない、と。


この恵文社一乗寺店、はじめて京都に行ったときにもお邪魔していて、そのときはギャラリーめぐりを本格的にやりはじめる前だったのですが、京都の郊外にある広々とした味わい深いところで印象に残っていて、僕にとって京都のランドマークのひとつです。
今回も思ったのですが、市街から恵文社に行くには電車かバスを乗り継がないといけないのですが、それでもお客さんがけっこういらっしゃってるのがすごいなぁ、いいなぁ、と。この落ち着いた雰囲気は、一度行くとまた足を運びたくなる、いろんなものが溢れていていつ行っても何か面白いものがあるような気がする、そんな場所なので、このお客さんの数も分かります。



小雨が混じる肌寒い3月の日曜日。
三条あたりで偶然見つけた貸し自転車を駆り、サドルの低さに違和感を覚えつつもいつも東京でやってるようにすっ飛ばして一乗寺へ。

息が上がった状態で伺うギャラリーアンフフェール、いつもとはずいぶんと遠い場所で、よく知る笑顔に出迎えていただいて。
同時に、目にすっと入ってくる鮮やかなグラフィック作品。

・・・ああ、来て良かったなぁ、と。


野谷さんのパネルの作品と、その側に設置されたちいさな棚にちょこんと乗る杉尾さんのシルバー。


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すっきりとした色の重なりが、爽やかな風を運んできてくれるような野谷さんの絵と、野に咲く小さな花のような佇まいに心尽くしを感じる杉尾さんのジュエリー、それぞれが寄り添って、空間を共有している様子がなんとも微笑ましいんです。
そこに、京都という場所が持つあたたかみがエッセンスとして加えられて、なんとも嬉しい気分が沸き上がります。


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展示スペースの一角には、桜が。
小さなパネルに紡がれるピンクと白の色面の重なり。1点1点のやさしい色彩と奥行きも楽しいです。


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そして、それらがいっぱい集まってインスタレーションされ、満開の桜を思わせる色彩の広がりが展開しています。
野谷さん曰く「ここでしか観られない展示」。これをここで拝見することができて、心からの満足感を得られました。


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ギャラリースペースの中央に置かれた台の上に、今回唯一の、ひとつの作品におけるコラボレーション作品が、ひっそりと咲いていました。
ちいさな透明のキューブの中に詰め込まれた作品。
野谷さんの切り紙がやわらかく広がり、それに包まれるように杉尾さんのシルバーが。


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もちろんグッズ類もさまざま。
今回はじめて出展されたという杉尾さんの革製品、竹田さんの焼菓子、野谷さんのポストカードが、テーブルに、棚に、溢れています。


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ここに足を運んだ方が次々とギャラリースペースに訪れ、それぞれの作品を眺めて最後にポストカードを手に取ってレジに進まれるのを何度も見かけて、そういうリアクションも嬉しかったり。

これまで何度も拝見してきたアーティストの作品をいつもと違う遠い場所で観て、すごく新鮮な気持ちと同時に何故か懐かしい気分もあって。
いろんな意味で心に残る展覧会でした。


春風12
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2007年03月24日

review:綿引明浩展《3/17》

綿引明浩展
ギャラリー椿
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
3/17(土)〜3/31(土)日休
11:00〜18:30
綿引明浩3/17DM.jpg



色彩の歓喜の声が聞こえる...


ギャラリー椿でおなじみの、透明アクリルパネルに裏から描くユニークな手法で明るい世界を展開されるアーティスト、綿引明浩さんの個展です。
昨年はGT2のスペースで個展が行われ、会期中に開催されたワークショップも楽しかったのを覚えています。


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今回の作品は、音楽をモチーフになさったとのこと。
「音楽」という、実際は見えないものを画面に現した作品で、その幸福感がそれぞれの画面から優しく広がっています。
絵の中に登場する、半身が人になっている白い鳥が、ぱっと目に鮮やかな色彩で紡がれる背景をバックにのびのびと両翼を広げて飛び立っています。素朴な表情も印象的です。


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さまざまなサイズの作品が展示されているのも興味深いです。

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そういったなか、スクエアの作品がずらりと並んだ一角が素晴らしい。。。
赤や黄色のグラデーション、すうっと吸い込まれるような透明感を持つ青。
瑞々しい色彩が画面に溢れています。
綿引さんのユニークな手法に因るところも大きいですが、そこに用いられた色のひとつひとつが本当に嬉しそうに、自らが持つ明るさ、美しさを発しているように感じられます。
そういったポジティブな世界がていねいに並べられ、綴られるあったかさが溢れた物語に浸る心地よさ。


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綿引明浩3/17 01



GT2では、おなじみの赤や青の人物のシルエットが登場する作品が展示されています。
いわゆる名画がモチーフになっている作品も多く、その「観たことある」背景の中に赤や青の人がいて、またひと味違うユーモラスな味わいが感じられて楽しいです。


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色彩の喜ぶ声を肌で感じることで、こちらの感性も同じように喜んでいることを実感します。
何もいらない、素直な感性で触れるだけで堪能できる、素敵な世界です。


綿引明浩3/17 08
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review:forerunners & four eggs 山本弘&熊丸加奈子《3/22》

forerunners & four eggs 山本弘&熊丸加奈子
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
3/20(火)〜3/31(土)日月祝休
12:00〜19:00
four eggsパンフ.jpg


GALLERY MoMoが企画する2週間ずつの展示が4つ、全部で2ヶ月あまりにわたって展開される「forerunners & four eggs」の2番目。
この企画のトップを飾った「草間彌生&替場綾乃」がすごく良かったので、逆にそれに続く今回の展示はどうなんだろう、と期待と心配とが渦巻いていたのですが...


・・・心配などまったくの杞憂に終わりました。


今回紹介されている新進のアーティストの熊丸加奈子さん。
油彩の作品とドローイングとが出展されていていて、どちらもたいへん個性的な風合い。心地よいインパクトを伴っています。

まず油彩の作品。透明感溢れる色彩で伸び伸びと描き出されるキッチュな姿をした人物の肖像。
その顔の表情の豊かさ、やわらかさから感じる温もりと、その鮮やかさに未来的なインパクトを感じる色彩とが重なって、なんとも斬新なイメージを感じさせ、ユニークな風合いを醸し出しています。


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静物、花が挿された花瓶、あるいは木の枝がモチーフとなったような作品も、たいへん緩やかな広がりが画面からもたらされています。
透明感は若干押さえ込まれていながらも、ぽっと灯るような優しい色彩によって、布のようななめらかさが感じられます。


熊丸加奈子03

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ドローイングの作品は、紙に水彩絵の具、色鉛筆などによる線や色面で、油彩の作品と比較すると若干の静けさを感じさせながらも、ちょっと暗めの色彩と曖昧な輪郭とによって醸し出されているレイドバックした雰囲気、独特の「渋味」が印象的です。


熊丸加奈子06


ぼわっと滲む水彩絵の具の色の広がりのほのぼのとした感じ。さっと引かれる線の軌跡の味わい深さとそこに現れる美しい色彩の繊細さ。そして、その線によって描き出される、人物のシルエットを思わせる線。
額装されて展示されている他にも、多くの作品がファイルに収められていて、こちらにも愛着が湧いてしまうようなキャラクターがいっぱい登場します。


熊丸加奈子07 熊丸加奈子09

熊丸加奈子08


不思議なかわいらしさ、その痛快さ。
ハッピーな感動が溢れているような気がします。
山本弘氏の暗い色彩、筆の運びのうねりによるエネルギッシュさとのコントラストも興味深いです。


熊丸加奈子04
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2007年03月23日

review:江戸意匠 MAISTER MEETS DESIGNER Vol.1『床の間から日常へ』《3/20、3/22》

江戸意匠 MAISTER MEETS DESIGNER Vol.1『床の間から日常へ』
GALLERY le bain
東京都港区西麻布3-16-28 1F
3/20(火)〜3/25(日)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
江戸意匠DM.jpg


江戸に伝わる技術と現代のデザインとのユニークなコラボレーション。
それぞれに込められたユニークさが楽しい展示です。

六本木の大使館街(と呼ぶかどうかは知らないですが)にあるGALLERY le bainで開催されている江戸意匠展へ行ってきました。


ガラス張りの空間で、ミヤケマイさんの大きな掛け軸の作品がお出迎え。
大きな滝を模したように展示されています。

なによりも、このサイズのミヤケさんの作品を拝見できることが嬉しい!
コミカルさ、ユーモラスさを醸し出している絵の中の魚などの表情、ほっこりと和める優しい色彩。
作品のそこかしこがくり抜かれているのも楽しく、大きな石に乗せられ、撓ませて設置された掛け軸の裏のほうに画面の表からの光が穴から射しこんで影に光のドットをもたらし、実際の滝の裏側にいるような演出も面白いです。


江戸意匠01 江戸意匠02

江戸意匠03


ギャラリーのスペースに、江戸に伝わる技術と現代のデザインとがコラボレートしたさまざまな作品が展示されています。
組み紐、江戸切子のガラス細工、亀甲、表具などの技術がが、万年筆やらスニーカーやらに持ち込まれて、独特の味わい深さが馴染みあるアイテムに新鮮味をもたらしています。


江戸意匠04 江戸意匠05


これまでなかなかじっくりと触れることがなかった、江戸から連綿と続く技術がこういったかたちでレコメンドされることが面白いです。
実際に使ってみたいと思わせてくれるものもいっぱい。


江戸意匠06 江戸意匠07

江戸意匠08 江戸意匠09

江戸意匠10


そして、この展示のインスタレーションが素晴らしいです。
角材を組み上げて作られた台座がなんともいい味わい。
材木のやわらかな白が目に優しく、そこに押された焼き印も映えます。


江戸意匠11

江戸意匠12


こちらで紹介されている作品は、5月ごろに江戸意匠のサイトであらためて紹介されるそうです(現在は準備中)。
それまでにぜひ、この展示で実際に手に取って、現在に息づく江戸の粋を味わっていただければ。
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review:Eternal Spring アダム・ブース 日本画展 永遠の春《3/17》

Eternal Spring アダム・ブース 日本画展 永遠の春
Gallery ef
東京都台東区雷門2-19-18
3/16(金)〜4/15(日)火休
12:00〜21:00
アダム・ブースef.jpg



この空間を味わう、贅沢。
味わえる贅沢。


六本木での個展やセシオン杉並でのグループ展から間を置くことなく開催されているアダム・ブースさんの個展。
前回の個展の際にお目にかかったときに、今回の個展への力の入れようが伺えたのですが、期待に違わぬ素晴らしい展示です。


今回はじめて伺ったGallery ef
これまでも銭湯や眼科医などさまざまな空間を改装したギャラリーを体験しましたが、こちらはもともとが古い蔵。それだけで充分に味わい深い空間です。
手前のカフェのスペースにも数点の作品が展示されていますが、そこを抜けて奥へと進み、小さな入口をくぐると、2階建ての薄暗い空間が。

床板、漆喰の壁、階段、柱のそれぞれから歴史の重みが伝わるとともに、そのひとつひとつに「魂」のようなものも感じます。霊的なものではなくて、この場所を保つために尽くされた心、愛情。それに対して、自然と感謝の気持ちが浮かびます。
こういった場所に出会えることに感動。本当に嬉しいです。


・・・こんな素晴らしい空間で展開されるアダム・ブースさんの世界。
味わい深い空間と独特なエキゾチシズムを醸し出すアダムさんのクリエイションとのコラボレーションが、至高のインスタレーションを作り上げています。


屈んで入口をくぐり、体勢を戻した刹那に眼前に迫る大作。
丁寧に保存された漆喰の壁と黒く艶を放つ柱に飾られた作品は、筆跡が気の流れを思わせる青を背景に、ダイナミックにうねる桜の幹とアダムさんの作品ではおなじみの象、鳥、桃といったモチーフが配されています。

まさに、「永遠の春」。
現実の季節感よりも、さまざまな魂が目覚め、芽吹く「春」という時期が持つどこか妖しげな雰囲気をアダムさんらしく再現しているように感じられます。

この大きな画面が高い天井の空間に設置され、見上げるようにして眺めることもあり、絵の世界を体全体で浴びるように味わえます。


アダム・ブース@ef 01


さらに、磨き込まれ黒光りする床に、この作品が美しく映っています。


アダム・ブース@ef 02


靴を脱いであがり、移動するたびにみしりと鳴く床板。
ていねいに施された照明に浮かび上がる作品群が醸し出す、独特の静謐感。
この空間に滲み渡るさまざまな要素が、心地よい緊張をもたらしてくれます。


アダム・ブース@ef 04


階段を見上げると、その正面にも作品が。
さらに奥深くヘと誘ってくれるような演出がなんとも心憎い...。


アダム・ブース@ef 06

アダム・ブース@ef 03


軋む階段を昇り、2階へと歩みをすすめると、さらに広がりを持つ空間が。
中央部が階下に抜けていて、その部分はさすがに通れないものの、たっぷりと余裕を感じる空間で、1階と同じく繊細な感性で展開されるアダムさんの作品がていねいに展示されています。


アダム・ブース@ef 08


作品のひとつひとつがこの素晴らしい空間によって見事に演出され、その独特の世界の美しさ、ユニークさが
前面に押し出されています。
僕が伺ったときは、ギャラリーには他のお客さんがいらっしゃらず、僕だけでこの空間を独占することができ、2階では、床に座り、壁にもたれてゆったりと...時間を忘れてこの世界を体感することができたのも、なんとも忘れ難い体験となりました。

嬉しいことに会期も長いので、機会を持って何度か伺いたいと思っています。
ひとりでも多くの方に足を運んでいただいて、この展示を体感してほしいです。


アダム・ブース@ef 09
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2007年03月22日

review:鴻崎正武展《3/17》

鴻崎正武展
Art Gallery 山手
神奈川県横浜市中区山手100 サンセット山手1F
3/17(土)〜3/27(火)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
鴻崎正武@山手DM.jpg



微妙に、しかし明らかに変化を感じさせる「TOUGEN」。



精力的に作品を制作・発表されている鴻崎正武さんの、今年最初の個展へさっそく行ってきました。
場所は、Art Gallery 山手。賑やかさが心地よい中華街までは行ったことがあったものの、そのすぐ側にこんな瀟洒な雰囲気の場所があったんだ、と横浜の奥深さにあらためて感じ入った次第です。
目の前の坂を挟んだすぐには大きな桜の木があります。僕が伺った日はまだ開花の素振りも見せていませんでしたが...。


で、鴻崎正武さん。
昨年も3つの個展に足を運びましたが、過去の油彩の屏風作品も合わせて展示されたスルガ台画廊、大作が多く出展されパワフルな空間が展開されていたギャラリーアートポイントと、このふたつの展示では混沌とした力強さが印象に残っているのですが、年末の啓祐堂での展示で感じた変化・・・独特の画面構成に柔らかさ、明るさが感じられるようになってきました。

そして今回の個展。
その明るさがさらに全面に押し出されたような感じです。
これまでの観る人の存在を呑み込むようなインパクトから、ある種の幸福感さえも感じるようなやわらかい雰囲気が漂っているように思えます。


鴻崎正武@山手08


鴻崎さんが日本画の画材を用いるようになってからずっと続けて拝見しているのですが、独特の手法で画面に取り入れられる箔などの使い方がたいへん熟れてきた印象が嬉しいです。見事に作り込まれた立体的な模様の部分、箔が散らされた箇所など、その風合いに、意図しているものと実際のものとの差がおそらくずいぶんと埋められてきたのでは、と。。。
この熟れ具合も、もしかしたら画面の明るさに貢献しているのかも知れません。

加えて、画面の中の鮮やかな色彩のラインが複数に沿ってつくり出す未来的な模様も印象的です。絢爛で個性的な「和」の世界に取り込まれたこの線がアクセントとなって、未来的な味わいも加えられています。


鴻崎正武@山手02 鴻崎正武@山手0 鴻崎正武@山手04

鴻崎正武@山手01



今回もずらりと小品が並んで展示されています。
小品では、ひとつの画面に登場するさまざまな生物のパーツを組み合わせて構成されたモチーフがひとつだけ描かれ、その存在をさまざまな色彩や質感を取り込んだ背景によってよりそのユニークさを全面に現しています。


鴻崎正武@山手10 鴻崎正武@山手11

鴻崎正武@山手07


そして、全体に感じられる明るさがそれぞれの小品ひとつひとつからも滲み出ています。中央に描かれるモチーフも、これまでのと比較するとグロテスクさがずいぶんと抑えられたような印象で、そこに咲く花にもどこはかとなく可憐な雰囲気を漂わせていたり、昆虫や動物を思わせるものの素朴な印象があります。


鴻崎正武@山手12 鴻崎正武@山手14 鴻崎正武@山手13

鴻崎正武@山手06


優しく灯るような、そういうポジティブな明るさが満ちています。
同じサイズの作品がずらりと、整然と展示されている楽しさも印象的です。


鴻崎正武@山手09


背景の中の、箔のきらびやかさと岩絵の具の色彩の鮮やかさとのコントラスト。
そこに浮かび上がるモチーフのユニークな佇まい。
それらが見事に調和しあって、面白い雰囲気が作り上げられています。

少しずつ変化が感じられることも、今後の鴻崎さんの展開に期待を抱かせてくれます。


鴻崎正武@山手05
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