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《upcoming exhibiton》

《current exhibiton》
202502.jpg
坂本睦美/竹村文宏
@ex-chamber museum
〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル2階a
070-5567-1513
2/15(土)〜3/30(日)月火水休(2/24祝日開廊)
木金:15:00〜18:00、土日祝:12:00〜18:00
プレスリリース
インスタレーションビュー

Mutsumi Sakamoto/Fumihiro Takemura
@ex-chamber museum
Koura-Daiichi BLDG 2f-a, 1-1-6, Nihonbashi-Kayabacho, Chuo-ku, Tokyo, Japan
81-70-5567-1513
February 15(Sat)〜March 30(Sun) closed on Mondays to Wednesdays (February.245 is open)
Thursdays and Fridays:15:00〜18:00, Saturdays, Sundays and holiday:12:00〜18:00
installation views

《past exhibiton》

ex-chamber museum
http://ex-chamber.seesaa.net
〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町1-1-6 小浦第一ビル2階a
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tel: 070-5567-1513
mail: exchamber@yahoo.co.jp
インフォメーション

ex-chamber museum
Koura-Daiichi BLDG 2f-a, 1-1-6, Nihonbashi-Kayabacho, Chuo-ku, Tokyo, Japan
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mail: exchamber@yahoo.co.jp
information

artists
伊藤航 Wataru Ito
小野川直樹 Naoki Onogawa
小坂学 Manabu Kosaka
後藤勇治 Yuji Goto
坂本睦美 Mutsumi Sakamoto
佐藤明日香 Asuka Satow
勢藤明紗子 Asako Setoh
田島大介 Daisuke Tajima
鶴友那 Yuna Tsuru
照井譲 Yuzuru Terui
平山紗代  Sayo Hirayama
山口英紀 Hidenori Yamaguchi

new articles

2007年02月14日

review:Little Black.. A new gallery installation by Alexander Gelman《2/10》

Little Black.. A new gallery installation by Alexander Gelman
東京都渋谷区渋谷2-17-3 渋谷アイリスビルB1F
12/2(土)〜12/29(金)月火休
13:00〜20:00
A.Gelman 2/3 DM.jpg


メインスペースの天井にたったひとつだけ、黒いキューブが展示されています。









・・・それだけ。
たったそれだけの極めてシンプルなインスタレーション。












・・・ホントにそれだけなんですが...









ギャラリーの入口、ガラス張りのドアの前にたった瞬間の感情は、例によって...



















!!!!!!!Σ( ̄口 ̄;)

これを観ずして、どうして現代アート好きと言えるかと。
サブスペースには、このインスタレーションを基に制作されたと思われるグラフィック作品が展示されています。
フューチャリスティックなイメージが、透明のパネルにマウント、あるいはプリントされたモノクロームの画面から静かに発散されていて、そのアーバンかつ耽美的な世界に感嘆。。。



とにかく、行けば分かる。観ないと、損。
是非。
posted by makuuchi at 08:47| Comment(2) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:片岡雪子「2月」《2/10、2/11》

片岡雪子「2月」
Gallery≠Gallery
東京都中央区新川1-3-23 八重洲優和ビル2F
2/3(土)〜2/15(木)
12:00〜19:00
片岡雪子2/3DM.jpg



片岡雪子GG03

昨年のGALLERY IT'Sなどでの個展以来の片岡雪子さんの個展。
前回のナチュラルな空間とはまったく違う、ホワイトな広がりが印象的なGallery≠Galleryでの展示です。
その空間の雰囲気の違いが、片岡さんの究極的な物質感を静かに発散している独特の質感の作品が持つポテンシャルをさらに引き出し、前回の展示を拝見しているだけに、さらにその世界が広がって感じられます。

片岡さんの小品がそれぞれの壁に1点だけ。
贅沢な空間の使い方に、そこにいてさまざまな距離で片岡さんの作品を眺めるだけでなく、ホントにそこにいるだけでぐんぐんとイマジネーションの広がりを実感します。

片岡雪子GG05

片岡雪子GG04


奥のほうのサブ的なスペースには、どこか朽ちたようなスカイグレーに染まった作品が、窓の光へとミルものの意識を導くように横一列に並べて展示されています。
スクエアのパネルの上の表情の違いを味わいつつ、ミニマムなリズムを感じながら。。。

片岡雪子GG02

片岡雪子GG01


床に重ね置かれた作品も空間演出に静謐なインパクトを与えています。

片岡雪子GG06


10日、11日と続けて伺ったのですが、伺った時間や気候のわずかな差からも、窓から差し込む光の違いによって雰囲気も異なっていたのが印象に残ります。

空間と作品との素晴らしいコラボレーション。忘れない空間体験を得られたような気がします。
片岡さんの作品がまた別の空間で拝見できることも楽しみですし、この
posted by makuuchi at 07:21| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:白夜 弥田真一展《2/10》

白夜 弥田真一展
ギャラリーコンセプト21
東京都港区北青山3-15-16
2/8(木)〜2/14(水)
11:00〜19:00(最終日:〜16:00)
弥田真一2/8DM.jpg


油彩の本格的な風合いと、現在の空気を充満させる感性とが組み合って作り上げられる世界。

弥田真一08

DMを偶然目にして気になって、今回の弥田真一さんの個展に足を運んだ次第なのですが、こういったかたちで面白い展示に巡り合えると本当に嬉しい!

グレー調の色彩で展開される、不良願望を突き動かされるようなクールでホットな作品が、ずらりと並びます。
強い存在感が伝わる黒の稜線、無彩色のなかに現れる原色の鮮烈なアクセント。
細かく描き込まれる部分にも見応えがあるのはもちろん、全体を俯瞰したときに目に留まる事物によって、画面の中で展開される物語へとイマジネーションが突き進みます。

弥田真一02 弥田真一03 弥田真一04

弥田真一01


総じて油彩らしくフラットな画面のマチエルの作品ですが、1点だけ、異様なまでに立体的に画面の表面が作り上げられているものが。
うねるような画面の質感に圧倒されます。

弥田真一05

弥田真一06

多くの作品で、人物の肖像が描かれています。
その佇まい、出で立ちが極めてクール。
岡本太郎的なシュールな力強さとリアルタイムで進行するヒップホップのグラフィックアートとが出会ったような感触が、堪らなくかっこよく感じられます。

弥田真一12 弥田真一09 弥田真一11 弥田真一10

ぜひもっといろいろと拝見したくなるような、ワクワクした楽しさに満ちあふれた世界です。

弥田真一07
posted by makuuchi at 00:05| Comment(5) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月12日

〜2/12のアート巡り

《2/9》
田中麻紀子 “Le musee des actrices 〜女優博物館〜”
H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHI
東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング1F
2/9(金)〜4/12(木)
田中麻記子2/9DM.jpg


《2/10》
☆<喜多祥泰 個展
@銀座スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
2/5(月)〜2/10(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)
喜多祥泰DM.jpg


・'Nanako Yoshikawa Exhibition
galleria grafica bis
東京都中央区銀座6-13-4 銀座S2ビル1F
2/5(月)〜2/10(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
吉川奈菜子2/5DM.jpg

木版画です。踊るような色彩が印象的な作品です。
ひとつの画面に溢れるさまざまな色彩はそれぞれ透明感があって、ファンタジックな雰囲気をよく演出しています。

吉川奈菜子02 吉川奈菜子04


☆石塚悦子展
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
2/5(月)〜2/10(土)
11:00〜19:00
石塚悦子2/5DM.jpg


・上坂美樹展 −つづくものがたり−
なびす画廊
東京都中央区銀座1-5-2 ギンザファーストビル3F
2/5(月)〜2/10(土)
11:30〜19:00(最終日:〜17:00)
上坂美樹2/5DM.jpg

銀箔の使い方に特徴を感じる上坂美樹さん。
絞れれた色彩による画面での、それぞれの統一感が興味深い世界を演出しています。

上坂美樹02 上坂美樹01 上坂美樹03


☆北 彩子 彫刻展「架空の想い出」
GALLERY b.TOKYO
東京都中央区京橋3-5-4 第一吉井ビルB1F
2/5(月)〜2/10(土)
11:00〜19:00(金:〜21:00、最終日:〜17:00)
北彩子2/5DM.jpg


片岡雪子「2月」
Gallery≠Gallery
東京都中央区新川1-3-23 八重洲優和ビル2F
2/3(土)〜2/15(木)
12:00〜19:00
片岡雪子2/3DM.jpg


・桑原朋子展 〜private room〜
@Gallery銀座フォレスト
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル507
2/5(月)〜2/10(土)
12:30〜19:00(最終日:〜17:30)
桑原朋子2/5DM.jpg

問答無用のかわいらしい色彩と、それで描かれるかわいいキャラクター、そしてなんともほっこりとした世界。
木版画としては意外なほどにはっきりとしたパステル調の色彩が鮮やかで、優しい雰囲気をふわりと充満させています。
版画作品に紛れ込むようにして置かれた、絵の世界から出てきちゃったようなオブジェも版画と同様にかわいいです。
多摩美大の4年生とのことなので、卒業制作も楽しみ!

桑原朋子01 桑原朋子03 桑原朋子02


☆白夜 弥田真一展
ギャラリーコンセプト21
東京都港区北青山3-15-16
2/8(木)〜2/14(水)
11:00〜19:00(最終日:〜16:00)
弥田真一2/8DM.jpg


☆Little Black.. A new gallery installation by Alexander Gelman
東京都渋谷区渋谷2-17-3 渋谷アイリスビルB1F
12/2(土)〜12/29(金)月火休
13:00〜20:00
A.Gelman 2/3 DM.jpg


☆第4回 無限展 ―日本画―
もみの木画廊
東京都世田谷区奥沢6-33-14 もみの木ビル201
2/7(水)〜2/13(火)
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)
無限展2007DM.jpg


《2/11》
・杉並区文化協会美術展「日本に魅せられた作家たち」
セシオン杉並展示室
東京都杉並区梅里1-22-32
2/10(土)〜2/17(土)
11:00〜19:00
日本に魅せられた作家た.jpg

アダム・ブースさんが参加されているということで観に行ってきました。
しっかりとインスタレーションされた展示で、過去の作品や芸大の記念館での展示にも出展された作品など、アダム・ブースさんの個性が発揮されていながら、なおかつバリエーションに富んだ展示となっています。
木枠に張られた絹に描かれた作品の、絹の繊細さが際立った感じが印象的だったり、芸大記念館での展示では暗めの照明で幽玄な印象だった屏風がここでは絵の中に登場するキャラクターがしっかりと認識できてずいぶんと雰囲気に違いが感じられて、大変興味深かったです。


・版画3人展vol.16 アヤコイサカ・齋藤悠紀・志村冬佳
ギャラリー52
東京都千代田区飯田橋3-2-12
2/9(金)〜2/17(土)木休
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
版画3人展2/9DM.jpg

タイトル通り、3名の版画のアーティストがピックアップされたグループ展です。
なかでも、折りに触れて拝見している志村冬佳さんの作品が、これまでの重厚な印象を引き継ぎつつも、たいへん明るい色調で構成されたものも現れて、嬉しい驚きに満ちあふれていました。
作品の中の風景がより具体的に感じられるようになってきたのもたいへん興味深いです。

52志村冬佳01 52志村冬佳02 52志村冬佳03

アヤコイサカさんの作品は、どこか遠くの風景を思わせるパステル調のやわらかな色彩が印象的です。

52アヤコイサカ01 52アヤコイサカ02

齋藤悠紀さんは、異様なまでに細かく昆虫の死骸を描いた奇妙な迫力を持った作品と、自然に腐食させたような版を利用して描き出された抽象的な作品。繊細な技術と大胆さとが相まって、独特の質感が伝わってきます。

52齋藤悠紀01 52齋藤悠紀02


☆MOTアニュアル2007「等身大の約束」
東京都現代美術館 企画展示室3F
東京都港江東区三好4-1-1
1/20(土)〜4/1(日)月休(2/12開館、2/13休)
10:00〜18:00
MOTアニュアル2007DM.jpg


・横井悠 ―おはなてん.―
書肆啓祐堂
東京都港区高輪3-9-8 高輪インターコート1F
2/2(金)〜2/12(月)水休
13:30〜19:30
横井悠2/2.jpg

キャンバスの作品と、紙にデッサン調に描かれたものが透明のアクリルにラミネートされたものが展示されています。
枯れた花に美を感じ、それを画面に引き出そうとしたような作品。
横井さんはこれまでは抽象画をメインに制作されていたそうで、今回のようなモチーフは初めてとのこと。
ラメも用いたふわっと明るい色彩感が印象的で、これからどういう方向に向かっていくかが楽しみです。

横井悠01 横井悠02


・アートラッシュ企画vol.50 バレンタイン企画 〜 For You 〜
アートラッシュ
渋谷区恵比寿西2-14-10-103
1/31(水)〜2/12(月)火休
11:30〜20:00(月:〜17:00)
For You DM.jpg

久し振りに拝見する野谷美佐緒さんのグラフィックアートにびっくり!
昨年秋の稲村ヶ崎での展示に伺えなかったので残念に思っていたのですが、今回拝見した作品の、CGらしいくっきりとした色彩感はそのままに、そこからイメージがぐんと広がるような感触に、しばし見とれてしました。

野谷美佐緒V01



《2/12》
☆「第10回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」展
岡本太郎美術館
神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5
2/3 (土)〜4/8 (日) 月休(2/12開館、2/13、3/22休)
9:30〜17:00
一般:\600、高・大学生\400、中学生以下65歳以上無料
TARO展2007.jpg


・松明堂ギャラリー20周年記念「新作家たち selection展 vol.2」−小川陽太郎・コイズミアヤ・立川公子・柳場大−
松明堂ギャラリー
東京都小平市たかの台44-9 松明堂書店地下
2/4(日)〜2/18(日)
11:00〜19:00
新作家たち2007パンフ.jpg

vol.1では平面の作家のみの構成でしたが、今回は立体も含み、さらに雰囲気も含めていろんなバリエーションがある展示。
コイズミアヤさんは、以前ギャラリー椿の個展で拝見して以来気にとめている立体のアーティストで、今回はさらにかわいらしいジオラマ風のオブジェが展示されていました。素材の木を染めるやわらかい白、謎めいた不思議なかたちの立体と、細かい板を組み上げた建物風のもの。それらで作られる小さなジオラマ。視界にに入った瞬間に「あ、観に来て良かったな」と感じました。

コイズミアヤ01 コイズミアヤ02 コイズミアヤ03

今回の展示で興味深く拝見したのが立川公子さんの銅版画。
建物がある風景を力強く、繊細に描き出しているのですが、ホントに久々に僕にとって銅版による熱を帯びたような力強い黒の黒さに目を奪われました。モノクロームで描き出された重量感、重厚な感じに感服しきり、です。

立川公子02 立川公子01

小川陽太郎さんの金魚のきらびやかさ、柳場大さんの遠い光景のような感じの写真もそれぞれ独特の雰囲気です。


・Sae Takahashi Exhibition こども展
にじ画廊
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-10
2/8(木)〜2/13(火)
12:00〜20:00
Sae Takahashi 2/8DM.jpg

さまざまな色彩を用いて子供などが描かれた作品がずらりと並んで目を楽しませてくれるのですが、順を追って観てきて最後の作品、コマ割りのマンガの一場面を描いた2点の作品、吹き出しの文字までが明朝体などで描き出されていて、ユニークな感じです。
ぜひ一度、この色彩感をコンセプトに展示をやってほしい!

高橋咲詠01
posted by makuuchi at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:渡邊たまえ展《2/3》

渡邊たまえ展
番町画廊
東京都中央区銀座6-7-19 空也ビル3F
1/29(月)〜2/3(土)
10:30〜18:30(最終日:〜17:00)
渡邊たまえ1/29DM.jpg


土の質感、色。
そして、やさしい表情。
目にするだけで不思議とほっとした気分に。。。

折りに触れて伺っている番町画廊で立体の作家の個展が行われると伺って楽しみにしていた今回の渡邊たまえさんの個展。
このちいさなスペースに陶の作品が並んだらどんな感じになるんだろう、とちょっと心配な気分もあったのですが、かえってこの小ささが、素材そのもの、として渡邊さんの作品が持っている優しくてあたたかい雰囲気を親しみのある距離で伝えてくれているような感じがして。

素朴な表情の人がたくさんいて、それぞれの作品のどこかに渡邊さんの想いが込められているような。
こうやって優しい素材で作品にされることで、もしかしたら悲しいとか、寂しいとか...人だったら誰もが持っている弱い心を包んでくれるような優しさにかたちを変えて。

渡邊たまえ01

渡邊たまえ02

ちいさな作品には、かわいらしさが溢れています。
ちょっと不思議なシチュエーションの中にいる人。お皿の上に半身を現す目を閉じた人や、まるで湖面の上に浮くように横たわる人。

渡邊たまえ07 渡邊たまえ06

壁に沿って横たわる像。
ふわりと宙に浮く感じが心にやわらかさをもたらしてくれます。

渡邊たまえ11

渡邊たまえ12

全身が再現されているオブジェは、両手はほぼかならずそのどちらかは緩やかに開かれ、もう片方はやわらかく握られています。
こういったところにも、握る手で弱さを包み、開く手で優しさを解放するようなイメージへと繋がっていくようにかじられます。閉じられた目の優しい表情も、そういった思いを後押ししてくれるようで印象的です。

渡邊たまえ05 渡邊たまえ04 渡邊たまえ09

渡邊たまえ03

ほんの少しだけ、平面の作品も展示されていました。
おそらくデッサン的なもんもなんだろうな、と推測するのですが、こうやって平面の中に収められても優しい印象が伝わってきます。

渡邊たまえ13 渡邊たまえ14


そこに置かれたオブジェをさまざまな角度から眺めることで、それがひとつの風景となって、いろんな物語が生まれてきます。

渡邊たまえ08
posted by makuuchi at 07:29| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:鷲野佐知子《2/3》

鷲野佐知子
シロタ画廊
東京都中央区銀座7-10-8
1/29(月)〜2/3(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)
鷲野佐知子1/29DM.jpg


鷲野佐知子05

木版画のやわらかな色彩。
ひとつ引いた強さでの色彩が印象的な、鷲野佐知子さんの個展です。
植物、花をモチーフにしたような、やわらかく透明感がある色の重なり。

鷲野佐知子07 鷲野佐知子06

カラフルな色彩のかわいらしさとともに、木版画特有のどこか大人っぽい雰囲気が滲みます。
そして、至近で拝見すると、画面に広がる色の上に細かな白のドットが散らばっています。
油性と水性のインクを使うことでこういった効果を生み出しているそうなのですが、この細かい白が、作品の夢の景色のような世界をさらに奥ゆくのあるものへと押し進めているように思えます。

鷲野佐知子02 鷲野佐知子03 鷲野佐知子04

鷲野佐知子01

さまざまな色が画面にあふれているなかで、特に赤に惹かれます。
瑞々しく、温もりを感じる赤。。。
この赤はどこかで目にしたような気がして「なんだったかな...?」といろいろ思い巡らせてみたのですが...

・・・ロースヒップティーでした。
鷲野さんもさすがにそういうイメージは込められていないと思うのですが、なんとなくこの色彩から伝わってくるやわらかさ、温かさ、透明感が僕の中でリンクして、嬉しい気分に。

鷲野佐知子12 鷲野佐知子13

鷲野佐知子10 鷲野佐知子08

画面の中で可憐に灯る花。。。
小品の中にたった1輪だけ咲く花でさえもふわりと醸し出している、ドリーミーな世界が心に残ります。

鷲野佐知子09
posted by makuuchi at 06:58| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月11日

八谷和彦関連展示《12/17、2/1》

「夢」なんて、ないのかも知れない...
それを試み、実現させてしまうこのバイタリティを前にして、そういうふうに感じてしまいます。

現在2会場で同時開催されている八谷和彦さんの個展です。

・Open Sky 2.0|八谷和彦
ICC
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4F
12/15(金)〜3/11(日)月(月曜日が祝日の場合、翌日)・12/28〜1/4、2/11休
八谷和彦 ICC パンフ.jpg

・無人島プロダクションpresents003 八谷和彦"初"ドローイング展〜手で描いたものしか出しません〜
無人島プロダクション
東京都杉並区高円寺南3-58-15 平間ビル3F
2/1(木)〜3/31(土)日祝休(月火水はアポイントメントオンリー)
11:00〜19:00
八谷和彦2/1DM.jpg



まず、昨年のうちに久々に行ったICC
まず、いつもと違う会場の入口の注意書きに。

八谷和彦 ICC 09

「写真撮影OK」て!
コスプレ歓迎はともかく、嬉しいサービスです。

その入口を通過するとすぐに現れる図面や製作記録の写真など。
これだけでもけっこうな見応えです。

八谷和彦 ICC 01


会場のなかで上映されていた飛行実験の映像の中で八谷さんがおっしゃってた言葉で特に印象に残っているのが、自分はアーティストであり、自分が作るものはアートであって、この作品はきっと飛行しているときがいちばん美しいはずだから実際に飛ばしてみたいし、そこをオーディエンスにも実際に観てほしい」という内容のもの。
映像は期間で変わっていくようなのですが、僕が拝見したときの映像ドキュメントを観ていて、自然と手に汗握り、飛んだ瞬間、さらに飛行距離と時間を伸ばしていく過程にエキサイトしてしまいました。

で、その飛行中の姿はホントに美しい、そう感じました。

しかし。
飛行していない、こうやって会場に置かれた状態でも、八谷さんのこの作品のフォルムは充分に美しいのです。

八谷和彦 ICC 03

八谷和彦 ICC 02


会場内にはいくつかの機体が展示されています。
実物大の迫力に圧倒されます。

八谷和彦 ICC 06 八谷和彦 ICC 05

八谷和彦 ICC 04

また、展示会場内では面白いインタラクティブな企画もいくつか行われていました。
瓶のなかにある石を拾い、そこに書いてあるセンテンスを引き当てれば実際に作品に乗って仮想飛行を体験できるというもの。これは僕は体重オーバーで石こそ引き当てたものの実現せず...。

もうひとつ、3つの3択クイズに答えて全問正解すればベッド大の仮想機体を使用して、実際に仮想の飛行体験を得られる、というもの。
こちらはカンが冴えていたおかげで一発で全問正解、ベッドの上にうつ伏せになって、そこでバーなどをコントロールして東京の空を飛んでいく作品で。ほんの数分程度の仮想体験ながら、かなり楽しめました。

八谷和彦 ICC 07

展示室に向かう階段のすぐ手前にあるテーブルには、いたずら心が溢れている作品が忍ばされています。
光る小さな球体、そこを出たり入ったりする天使たち。すごくかわいらしい作品で、これに気付いて本当に良かったです。

八谷和彦 ICC 08


無人島プロダクションでの個展は初日に。
こちらにはホントにデッサンなどがホントにそのままのかたちで展示されています。
ICCで開催中の作品のものから過去のさまざまな美術館などで展示された作品など、八谷さんが思い付いた、あるいは考え抜いたアイデアが、何かの裏紙であったり、なかには「ほぼ日手帳」の1ページやレシートの裏などに描かれています。
本来公開するために描かれていないはずなのに、それぞれの画面はしっかりと観る人をエンターテインしてくれていて。
好奇心と現実との距離がどんどん詰められていくスリルもここには存在しているように感じられます。
無人島プロダクションのちょっと窮屈なかんじの小さな空間で展示が行われているのも、臨場感があっていい感じです。

八谷和彦 無人島 01

鉛筆やペンで描かれたデッサンが壁にところ狭しと展示されている中で、いくつかあったワッペンが素敵なアクセントとなっていました。

八谷和彦 無人島 02

これからもきっと、さらにイメージと現実との差を詰めていくんだろうな、と思い浮かべると、八谷さんの存在がホントに痛快に思えてきます。
冒頭で『「夢」なんて、ないのかも知れない』と書きましたが、むしろ、「夢」しかないのかも知れないです。
ワクワクするようなアーティストの存在が、「夢のような現実」を期待させてくれます。
posted by makuuchi at 06:52| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月10日

review:村田朋泰展 ブラックルーム&ホワイトルーム《2/3、2/6》

村田朋泰展 ブラックルーム&ホワイトルーム
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
2/3(土)〜3/2(金)日月祝休
12:00〜19:00
村田朋泰2/3DM.jpg

面白い!
ホントに面白い!


昨年のヴァリエテ本六での個展に続いて、開催されている村田朋泰さんのGallery MoMoでの個展。

ヴァリエテ本六では、ちょっと考えられないほどにある意味意表をついた大胆なインスタレーションでしたが、昨年に続いて開催されるMoMoでの個展は、主に平面の作品が多く出展されています。



・・・とはいえ、そこは村田さん。
その平面の作品だけをとっても、それが単に「絵」というカテゴリーに収めてしまうのは抵抗がある、というかもったいないと感じてしまうほどに、村田さんの個性が溢れています。

タイトル通り、「ブラックルーム」と「ホワイトルーム」とのふたつのコーナーに分けられた今回の展示。
まずはホワイトルームのほうから。

入口の右手にずらりと並ぶパステル画。
村田さんご自身による映像作品「藍の路」のなかに現れる場面が、粘土の人形たちによる映像のどこかしっとりとした質感とはまた違った、優しくやわらかなテイストで再現されています。この「藍の路」はMoMoでもモニターで上映されているので、それを観つつ、あらためてこれらのパステル画を拝見するとより奥行きある世界が楽しめる気がします。

村田朋泰 MoMo 01

その向かいには、ちいさなキャンバスに描かれた小品がずらりと。
僕にとっては、この作品群が村田さんの真骨頂のひとつ。
ちいさな画面の中で、さかだちくんがやりたい放題というか、ちょっとエッチなシーンに童顔のさかだちくんが入り込んでいるコミカルさがたまらない!
また、2点だけ飾られているSEKITORIKUNのツッコミどころ満載の出で立ちも最高です。
ぱっと明るい色彩をバックに、実は余計に絵の世界を混乱させちゃってるかのような文章なども添えられて、ひとつひとつの絵がしっかりと観る人をエンターテインしてくれます。

村田朋泰 MoMo 02

村田朋泰 MoMo 03

ホワイトルームには、そのスペースの中央に実に古めかしい風合いの1本脚のアパートが建てられています。
その屋根には「あの頃思ってた未来」の象徴のようなアンテナが、そして各部屋の窓がモニターになっていて、そこから例によってキッチュな映像が流れています。

村田朋泰 MoMo 04


続いて、ブラックルームへ。

村田朋泰 MoMo 05


暗幕で覆われたブラックルームは、そのまま「夜」、あるいは「宇宙」を思わせる空間となっています。
こちらにも平面の作品が多く展示されていますが、そのなかには宇宙服に身を纏ったキャラクターが登場し、口を開けたような花が咲く奇妙な世界を探検しているような世界が綴られています。
もっとも、そこが地上のどこか、普段の生活圏のどこかを感じさせるものも多いですが、暗めの色調で描かれているせいか、それすらも現実とは違う世界のように感じられます。

・・・もしかしたら、ここは「昼があっての夜」なんじゃなくて、四六時中「夜」な空間かも知れない...そんなイメージも涌いてきます。

村田朋泰 MoMo 08 村田朋泰 MoMo 06 村田朋泰 MoMo 11

村田朋泰 MoMo 07

ブラックルームでの立体作品がまたユニークです。
あの角度で再現されると、不思議さがさらに増大してきます。

村田朋泰 MoMo 09 村田朋泰 MoMo 10


夜の世界から眺める昼の世界@Gallery MoMo。

村田朋泰 MoMo 12


パステル画、油彩画、立体、映像...そしてさまざまなグッズ。
この展示の中で、グッズか何かに書かれていた「生は荒川、名は村田朋泰」というキャッチコピーが目に入ってきたのですが、そこにさらに「ジャンル:村田朋泰」というのも加えたくなるほど。
それぞれの作品・展示から観る人を楽しませたい、というエンターテイメント精神に溢れています。そして、それをオーディエンスに合わせるのじゃなくて、村田さんご自身が持つアイデアやイマジネーションの面白さをどう提示すれば面白く伝わるか、楽しんでもらえるかをしっかり考えた上で、制作されているんじゃないかな、と思うのです。

今回の展示、上でも少し触れましたがもちろん映像作品が上映されていますし、ホントにたくさんの作品で溢れています。
遊びに行く感じで、ぜひたくさんの人に楽しんでほしいです。
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2007年02月09日

review:天久高広展 EVERLASTING《2/6》

天久高広展 EVERLASTING
ギャラリーエス
東京都渋谷区神宮前5-46-13 ツインエルビル
2/6(火)〜2/11(日)
11:00〜19:00(最終日:〜17:00)
天久高広2/6DM.jpg

圧巻の筆致。

僕がギャラリー巡りをはじめた頃に、ギャラリー椿GT2での個展を拝見した天久高広さんの、ギャラリーエスのふたつの展示スペースを使った個展です。


Sゾーンには大作が展示されていて、この空間に足を踏み入れただけでその圧巻の絵の世界に引き込まれます。
異国の古い建築物が丁寧に、石膏による独特の立体的なマチエルを伴った画面の中に再現されています。
そこに、さりげなく天使の姿が織り込まれています。
天久さんが近年に行ったイタリアなどの海外での体験、その場で直に触れた印象がふんだんに取り込まれていることも、独特の世界を形成する一助となっているようです。

天久高広04 天久高広03 天久高広02

天久高広01

しかし、その細やかさには目を奪われます。
煉瓦のひとつひとつ、石柱の表面の傷、地面に転がる石などが信じられないくらいに精緻に描き込まれている様子は、まさに「圧巻」の一言です。
さらに、ダークグレーの渋い色調が、沈み込んでいくようなクールな世界を演出しています。
ひとつの作品から壮大な物語が思い浮かんでくるような感じです。

天久高広06 天久高広07

天久高広05

カウンターがあるEゾーンには小品が展示されています。
画面が小さくても、そこに込められた情報量の多さにはやはり圧倒されます。
煉瓦造りの窓から姿を現す天体、そのダイナミックさ。呑まれるような印象です。
また、独特の立体的なマチエルによってさらに作り込まれた画面に描き出される天使の骸骨の絵も、独特の重量感があり、見応え充分です。

天久高広10 天久高広09

天久高広11

それぞれの作品から広がっていく物語に思いを馳せるべく、目を開けつつ、心の目を閉じてここから生まれるイマジネーションに誘われていきたくなります。それほどに力強い作品、力強い展示です。

天久高広08
posted by makuuchi at 05:34| Comment(2) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

review:HALUYA YOSHIDA 宇宙陶芸Exhibition2007《2/3》

HALUYA YOSHIDA 宇宙陶芸Exhibition2007
GALLERY 蓮
東京都渋谷区神宮前2-5-6
1/27(土)〜2/9(金)
11:00〜19:30
吉田晴弥1/27DM.jpg



宇宙陶芸。

吉田晴弥10


神田サオリさんの公開アトリエの最終日を翌日に迎えた1月30日。
そこに笑顔で現れた吉田晴弥さん。神田さんが描いた壁の絵をバックに、ご自身の陶芸に対する熱い思いを語られたのですが、それがすごく面白くて。
陶芸のルーツを探るためにハワイまで行って、溶岩の声に耳を澄ませた...そんな大胆な行動力と、より広大な方向へとご自身のクリエイションを追求していくユニークな姿勢に興味を持ち、ちょうど個展を開催中とのことだったので、その週末に足を運んだ次第です。

宇宙陶芸...吉田さんがおっしゃるには、川崎市内で制作されれば「川崎焼き」でもかまわないのだけれど、もっと広く考えれば「関東焼き」だし、さらに広げれば「日本焼き」「地球焼き」...要するに自分がどこにいるかを考えたとき、ここは宇宙の一部なのだから「宇宙焼き」。

しかし、作品を拝見すると、まさに「宇宙陶芸」という言葉から感じるイメージもあながち遠くない気がするんです。

吉田晴弥03 吉田晴弥02 吉田晴弥01

力強く、美しい作品がずらりと並びます。
丸皿の美しさは言葉を失うほど。
吉田さん曰く、「この美しさは土の力であり、金属の力なんです」。
自然のものが生み出す美しさに対する吉田さんの謙虚さも、それぞれの作品から伝わってきます。

ユーモラスな姿をしたたくさんのオブジェも展示されています。
こねられた土によって作り上げられた動きのあるオブジェ。

吉田晴弥04 吉田晴弥05 吉田晴弥06 吉田晴弥07

吉田晴弥08

壁に掛けられた作品。こちらもユニークです。
大昔の文字を思わせる紋様に、力強さを感じます。

吉田晴弥15 吉田晴弥16

そして、ひときわユニークな作品が、この「エネルギウスボード」。
この展示において唯一、陶ではない作品ですが、発想の自由さが作品から放たれ、その力強さが他の陶の作品と違和感ない響きあっています。

吉田晴弥14

拝見する機会はそれほど多くはないのですが、焼き物の展示は、さまざまな作品がひとつひとつ微妙に違った表情でたくさん展示されている楽しさがあります。
吉田さんの展示では、それをひときわ強く感じます。実際に使っていきたくなるようなカップやお皿から、飾って眺めていたいプレートまで、種類はもちろん、身近にあるだけで元気を与えてくれそうなポジティブなエネルギーに満ちています。

吉田晴弥12 吉田晴弥11

吉田晴弥13

このユニークな個性との出会いに感謝、です。

吉田晴弥09
posted by makuuchi at 04:42| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月08日

review:SAORI'An open atelier 2006-2007 [ ぐ つ ぐ つ。]《1/23、1/27、1/30、1/31》

SAORI'An open atelier 2006-2007 [ ぐ つ ぐ つ。]
GALLERY 空
東京都渋谷区猿楽町27-4
12/2(土)〜1/31(水)
11:30〜20:30(土日祝:11:00〜20:30)


昨年12月の初めから年を跨いで今年1月末日まで行われた神田サオリさんの、GALLERY 空での公開アトリエ。

これまでも何度も足を運び、そのたびに現れている新しいものを見つけるのが楽しくて。

1/20、神田さんがこの空間を描きあげるためにスパートをかけた週の週末。それまで以上に素敵な表情が空間のそこかしこに溢れはじめました。

神田サオリ 空 1/20 03 神田サオリ 空 1/20 01 神田サオリ 空 1/20 05 神田サオリ 空 1/20 04

いつしか床に現れた黒の湖面にも、人魚が姿を現しました。

神田サオリ 空 1/20 02


続いて伺ったのが27日。
この日は神田さんもお留守で、最後にひとりだけでこの空間を味わえた日。
最初に拝見したときにはホントに真っ白だったこの空間が、こんなにもさまざまなもので溢れかえっていることにあらためて驚きと喜びを感じつつ、床に座し、この色彩を浴びるように、ゆったりと過ごした小一時間。

神田サオリ 空 1/27 04 神田サオリ 空 1/27 03 神田サオリ 空 1/27 02

細かく観ると繊細で、全体を俯瞰するとダイナミックで。

神田サオリ 空 1/27 05 神田サオリ 空 1/27 06

金魚が華麗な姿をひらめかせながら天へと向かっていきます。

神田サオリ 空 1/27 01


more...
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2007年02月07日

review:轟友宏展《2/3》

轟友宏
GALLERY SHOREWOOD
東京都港区南青山3-9-5
1/29(月)〜2/22(木)日祝休
11:00〜18:00
轟友宏1/29DM.jpg

わぁ!カウンタックだぁ!

轟友宏07

このフォルムを観ると一瞬で子供の頃のあのスーパーカーブームの記憶が蘇ってきて、一気に童心に帰ってしまい、幸せな気分にぃぃ!





・・・も、もといっ(落ち着け自分)





DMをいただいたときから楽しみにしていた、轟友宏さんの個展。
スポーツカーからバス、トラック、電車まで、さまざまな乗り物が、いきいきとした黒の稜線と、ぱっと瞬間的に気分を高揚させてくれる色彩とで描かれています。
その色彩、使われる絵の具もきっと本望だろうな、と思ってしまうほどに、スクエアの白い画面の中で明るく楽しそうに躍動しています。

轟友宏02

轟友宏03


さらに、この線の歪み方の大胆さといったら...もう、ホントに楽しすぎます!
本来まっすぐ、あるいは計算され尽くされた美しい曲線を描いているはずの車両のフォルムがここまでぐにゃぐにゃと...。
むしろこのユーモアのおかげで、絵の世界にポジティブさが充満しているように感じます。
車の中に乗っている人たちの表情も楽しそうです。

轟友宏06 轟友宏05

轟友宏04


そして、もうひとつ、ユニークなポイントが。
ナンバープレートに注目していただくと...多くの作品のそれが空欄になっています。
ギャラリーのスタッフの方が教えてくださったのですが、ここが空欄になっているのは、それぞれの作品のオーナーになってくださった方が所望される文字を、轟さんがそこに描き加えてくださるとのことで。
ご自身の作品をとことん楽しんでもらいたい、という轟さんのエンターテイナーっぷりに脱帽です。
こういうお話を伺うと嬉しくなってきます。

轟友宏01


その空間にいるだけで、ポップミュージックが聴こえてきそうな感覚。
この雰囲気がたくさんの人に届いたらいいなぁ、と。
posted by makuuchi at 06:57| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月06日

review:末宗美香子 作品展《1/30》

末宗美香子 作品展
SPICA art
東京都港区南青山4-6-5
1/30(火)〜2/12(月)日休
11:00〜19:00(2/3:〜16:00、最終日:〜17:00)
末宗美香子1/30DM.jpg


♪ほら、レビューが始まる〜


SPICA末宗美香子02

ピチカートファイブのおなじみの節が聴こえてきそうな、スタイリッシュなアートに囲まれた空間。
昨年の新生堂での個展以来、およそ1年ぶりの末宗美香子さんの個展です。

白一色の背景に、さまざまなファッションに身を包んだ人々の肖像が描かれた作品です。
「アート」と「ファッション」の間にあるような独特の立ち位置がたいへん興味深く感じられるのですが、前回の個展の時とくらべるとちょっと雰囲気が変わって、そのときより今回のほうがさらに「アート」の領域に入り込んできたかのような雰囲気です。

いちばん変化したなぁ、と感じるのはやはり「顔」。
敢えて、肌としては違和感を感じてしまう色使いや顔のパーツの配置などに大胆さが現れているような感じで、その思い切りの良さが、より「アート」へと向かっている印象を与えているのかも知れません。

もちろん、身に纏う服の彩り、模様の鮮やかさは健在です。
さまざまな服がずらりと並んだ様子は壮観。しかも、軽やか。
動きのあるポージングも楽しいです。

SPICA末宗美香子05 SPICA末宗美香子03

SPICA末宗美香子04

ギャラリーの入口付近、ちょっと狭くなっている通路のスペースに、小品が展示されています。
白い背景は同じですが、このサイズのコンパクトさこそが、大きな作品と違った味わいを感じさせてくれます。かわいらしさというより、アーティスティックな部分がより引き出されたような。

SPICA末宗美香子06

SPICA末宗美香子07


一足先に春を感じるような、カラフルな色彩が印象に残ります。
このファッショナブルな雰囲気、ほかではなかなか味わえないです。

SPICA末宗美香子01
posted by makuuchi at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月05日

〜2/4のアート巡り

《1/30》
☆末宗美香子 作品展
SPICA art
東京都港区南青山4-6-5
1/30(火)〜2/12(月)日休
11:00〜19:00(2/3:〜16:00、最終日:〜17:00)
末宗美香子1/30DM.jpg


《1/31》
SAORI'An open atelier 2006-2007 [ ぐ つ ぐ つ。]
GALLERY 空
東京都渋谷区猿楽町27-4
12/2(土)〜1/31(水)
11:30〜20:30(土日祝:11:00〜20:30)


《2/1》
・O JUN 展「遊園」
ミヅマアートギャラリー
東京都目黒区上目黒1-3-9 藤屋ビル5F
2/1(木)〜3/3(土)日月祝休
11:00〜19:00
O JUN2/1DM.jpg

めちゃくちゃいい!面白い!
O JUNさんの作品は、これまで小品は拝見したことがあったのですが、今回の展示では頑丈をうな金属製の額に収められた大作が壁を埋め尽くしていて、圧巻です。
鉛筆による精緻な紋様あり、カラフルな色面の重なりによって織り成される人物や車や飛行機あり、親しみある事物がキャッチーでスタイリッシュに描かれていて、その上、さらにあれだけの大きさでありながらなんともほっこりと和めて、作品に囲まれた空間の居心地がすごくいいのも印象に残ります。
その作品が収められた画集もその「ゆるさ」がしっかりと詰め込まれていて楽しいです。


☆無人島プロダクションpresents003 八谷和彦"初"ドローイング展〜手で描いたものしか出しません〜
無人島プロダクション
東京都杉並区高円寺南3-58-15 平間ビル3F
2/1(木)〜3/31(土)日祝休(月火水はアポイントメントオンリー)
11:00〜19:00
八谷和彦2/1DM.jpg


《2/2》
・Simon PATTERSON「The Last Supper,1998」
ヴァイスフェルト
東京都港区六本木6-8-14コンプレックス北館3F
2/2(金)〜2/23(金)日月祝休
11:00〜19:00

文字の力。空間の力。
真っ白の空間に実にシンプルに配置された作品は、空間と同様に真っ白く塗布されたパネルのど真ん中に人物の名前がアルファベットでシルクスクリーンプリントされているだけ。
しかし、これらの名前と配置が現すのは、あの「最後の晩餐」。この絵に登場する人物の名前だけが画面に乗り、絵と同じ配置で展示されています。
画面の文字に込められたメッセージ、コンセプトを知ると、さらにこの空間の神々しさが体全体に力強く伝わってきます。静謐な、深遠な迫力です。
あの「最後の晩餐」のなかに囲まれているのか、と思うと、その場にいることに恐縮してしまいます。
観る人によっては、もっとぐっとくるものがあるのだろうな、と想像。


《2/3》
・2006おぶせミュージアム「作家の卵展」巡回 ShinPA 〜中島千波と東京藝術大学デザイン科描画系作品展〜
佐藤美術館
東京都新宿区大京町31-10
前期:1/17(水)〜2/4(日)後期:2/7(水)〜2/25(日)月休
10:00〜17:00(金:〜19:00)
入場料:一般\500 学生\300
ShinPA.jpg

昨年、おぶせミュージアムで開催された「作家の卵展」の巡回展。
そちらで発表された作品が多く出展されると思いきや、予想以上に違う作品が展示されていて嬉しい驚きに満ちていました。

阿部穣さんの作品、重厚な姿を晒し、ゆったりと水底をたゆたう鯉。その視線は、メダカの一群に向かっています。メダカは童謡で歌われているように、お遊技しているような感じが楽しいです。
そして、画面全体の雰囲気は、相変わらずの渋味に溢れていて見応え充分です。
ShinPA 阿部穣01

芹田紀恵さんの作品は、昨年の修了展示で発表された、3点組の女性の立像を描いたもの。
それぞれの作品に描かれる女性の神々しい姿、優しさや憂いを帯びた表情が、画面の金箔などによって際立たされています。また、画面に登場する猫もユニークな雰囲気を演出しています。
ShinPa 芹田紀恵01

嬉しい驚きに満ちていた森田洋美さんの作品。
ちょうどこの日まで開催されていた新生堂での「Namiken 1」展で出展されていた作品とはがらりと雰囲気が異なり、中央の木の根元とその両隣りの神々しく描かれた女性の絵とで構築される世界からは、光の中のイメージが惹起されます。
どこかあどけなさが感じられる人物の表情も印象的です。
ShinPa 森田洋美01

スルガ台画廊での個展を3月に控えている松永龍太郎さんの作品は、日本画の手法によって大変アーバンな風合いがとにかくかっこいいです。フューチャリスティックなモチーフが取り入れられていて、画面の質感とのギャップもユニークに感じられます。
細かく精緻に描かれたサテライト。もっといろいろと作品を観てみたくなり、個展が本当に楽しみになってきます。
ShinPa 松永龍太郎01

おぶせで拝見し、さらに各個展などでも拝見している作品に再び、あるいは三たび出会えたのもやはり嬉しいです。
金丸悠児さんや瀧下和之さんほかが参加される後期展示も楽しみです。


☆鷲野佐知子
シロタ画廊
東京都中央区銀座7-10-8
1/29(月)〜2/3(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)
鷲野佐知子1/29DM.jpg


・牧野環 個展
@スルガ台画廊
東京都中央区銀座6-5-8 トップビル2F
1/29(月)〜2/3(土)
11:00〜19:00(最終日:〜17:30)
牧野環1/29DM.jpg

北海道で取材された風景を描いた日本画作品が並んでいました。
雪景色を描いた作品にぐっときました。白の白さに感動。
暮れる港の光景を描いたような大作も見応え充分の臨場感でした。


・王培 新作展「花様年華」
ナカジマアート
東京都中央区銀座5-5-9 アベビル3F
2/1(木)〜2/14(水)
11:00〜18:30
王培2/1DM.jpg

素朴な子供達がていねいに描かれた、岩彩の作品。
その素朴さが本当にかわいらしくて、それぞれの作品がいとおしくなってきます。
画面のなかで遊ぶ様子、壁にチョークで書かれた落書きに和み、大陸の雰囲気を感じさせてくれる鮮やかな色彩感に気持ちが優しく高揚してきます。


☆渡邊たまえ展
番町画廊
東京都中央区銀座6-7-19 空也ビル3F
1/29(月)〜2/3(土)
10:30〜18:30(最終日:〜17:00)
渡邊たまえ1/29DM.jpg


☆HALUYA YOSHIDA 宇宙陶芸Exhibition2007
GALLERY 蓮
東京都渋谷区神宮前2-5-6
1/27(土)〜2/9(金)
11:00〜19:30
吉田晴弥1/27DM.jpg


☆轟友宏展
GALLERY SHOREWOOD
東京都港区南青山3-9-5
1/29(月)〜2/22(木)日祝休
11:00〜18:00
轟友宏1/29DM.jpg


村田朋泰展 ブラックルーム&ホワイトルーム
GALLERY MoMo
東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
2/3(土)〜3/2(金)日月祝休
12:00〜19:00
村田朋泰2/3DM.jpg


《2/4》
・文化庁メディア芸術祭10周年企画展 日本の表現力
国立新美術館
東京都港区六本木7-22-2
1/21(日)〜2/4(日)
10:00〜18:00(金:〜20:00)
日本の表現力パンフ.jpg

金曜日の夜にお目にかかった@大橋陽山さんに教えていただき、最終日に滑り込みで観に行くことができました。
時代を彩ってきたさまざまなメディアがところ狭しと展示されていて、思わず「懐かしい!」と心の中で喝采を上げてしまうものもあれば、ごく最近の「ああ、あったなこれ!」って思い出すものまで、楽しい展示が続きます。

で、お目当ては最後のコーナー。未来へと誘ってくれるクリエイションが展示されていました。
鈴木太朗さんのファンを使った作品や八木澤優記さんの光る椅子も出展されていて、 それらをこういった場所で拝見できたときの嬉しさ、いろんな方が作品を楽しんでいる様子を眺めてなんとも痛快な気分に。
そして、いちばんの驚きは、児玉幸子さんによる「モルフォタワー」という作品。磁性流体(鉄か何かの粒子を含んでいるために磁力に反応する液体)の水面の中央にそびえ立つ円錐上のタワー。このタワーに通電すると、流体が反応して硬質な棘を思わせるアバンギャルドな姿に変容する過程に目を奪われ、通電が解かれた瞬間に棘が霧散してしまってタワーの表面がむき出しになる様子を観たときの驚きは尋常ではなかったです。


・「一匹狼のグループ展 vol.1 〜鬼ころし〜」稲見理 さとう凛香 横井山泰 3人展
横濱 牙狼画廊
神奈川県横浜市中区山下町122
1/31(水)〜2/12(月)2/5休
11:30〜19:30
鬼ころし1/31DM.jpg

横井山泰さんの作品は、やはりいちばんの大作が印象に残ります。大きな画面に横たわる犬のなんとも言えないキッチュな表情と佇まいのコミカルさといったら...!
稲見理さんは細かいペン画で、小さなお化けのようなものが密集している様子に引き込まれます。
さとう凛香さんの作品では、ちいさな楕円状の画面のなかで繰り広げられた切り絵が面白かったです。


・SHOWCASE
ZAIM
神奈川県横浜市中区日本大通34
2/2(金)〜2/4(日)
12:00〜19:00(最終日:〜17:00)
入場料:一般\700
SHOWCASEパンフ.jpg

さまざまなアートプロジェクトを紹介する、興味深い企画です。

遊工房アートスペースの部屋へ。
こちらでは、ふたりの外国人アーティストのクリエイションが展示されていました。
Clinton Kingさんは、写真が1点と、インスタレーションが。
手作りの紙袋がダークな色調に彩色され、それが空間の一角に並べて展示されていて、まずその色の美しさ、バランスが印象に残ります。本来使い捨てられる紙袋がこうやって並べられる様子は、そういった使い捨てられることへのアンチテーゼのようにも感じられました。
Clinton King 02

写真は、一見するとパステルか何かによるドローイングかと錯覚するのですが、実は階段をアップで撮影したもの。視点がすごく面白い!
Clinton King 01

ファイルも拝見して、大変ユニークなコンセプトや興味深いパフォーマンスも多数敢行されているようで、そのバイタリティとクリエイティビティに脱帽です。

もうひとりは、Julie Curtissさん。
壁の細い配管の部分にはドローイングが。
Julie Curtiss 01

もうひとつは、グレーの台に置かれたグレーの表紙の冊子。
この中には、(おそらく)日本のマンガの血飛沫の部分を抜き出してトレースした絵がそれぞれのページに描かれています。
それだけになると言われなければそれが何か分からないのですが、説明されてそのコンセプトのユニークさに感じ入ります。
Julie Curtiss 02

日本人アーティストとはやはりどこか違うクリエイションの質がすごく新鮮に感じられました。
加えてお二人ともたいへんフレンドリー。またいろいろと彼らのクリエイションに触れる機会を持ちたいです。

Continue Art Projectの部屋では、フタバ画廊での個展で出展された、あの岩崎龍次さんの4輪車が!
今回は乗らなかったものの、やはりここでも大人気の模様でした。
また、これまでユーモラスすぎるインスタレーションで毎度楽しませてもらっている佐々木たくめいさんのドローイングも展示されていて、インスタレーションとのギャップがたいへん興味深かったです。
佐々木たくめい01

で、残念ながらそのばで聞くことはできなかった、BOICE PLANNINGの加藤慶さんのディレクションによる、このイベントに参加しているプロジェクトのリーダーによるクロストーク。
のちのちその内容はウェブ上でも読めるかもしれないとのことなので、それを楽しみに待ちたいと思います。


・ART HERE NOW 展
湘南台画廊
神奈川県藤沢市湘南台7-8-1
1/27 (土)〜2/06 (火) 水休
13:00〜19:00(最終日:〜17:00)
ART HERE NOW DM.jpg

折りに触れて拝見している大塩紗永さんの作品が出展されていると伺って、はじめて湘南台画廊へ。
木板の床とコンクリートの壁、高い天井、そこから降り注ぐ自然光。素敵な空間に感動。
大塩さんの作品は2点、これまでに拝見してきた、夢の中の風景のような独特の世界は健在で、そこにこれまで登場しなかった鮮やかなピンクによる広がり、高揚感が印象に残ります。
ほかにもユニークな個性が溢れていました。
K's Galleryでの個展で拝見したことがあった井上雅之さんの作品、霞がかったように広がる赤を背景に文字が連なる様子が興味深いです。
Choi Ji Hyunさんのちょっとコミカルな雰囲気を持ったユニークな世界、前澤妙子さんの銅版画も印象に残っています。


湘南台から横浜へと戻ってきてから、偶然「SHOWCASE」でお会いした永井夏夕さんにお知らせいただいた、永井さんがレジデンスで制作されているBankART Studio NYKへ。
1階のスペースにある部屋には、床いっぱいにさまざまな表情の空が広がっていて。
ここでの公開制作に加え、春にはいくつかの展示の予定もあるとのことで、楽しみです。
また、別の部屋で制作なさっている、風景のシルエットをさまざまな色調で表現するシルクスクリーンの告野展子さん、テンペラ画で大人のファンタジーといったナイーブな世界感が深く印象に残る廣川裕美子さんも紹介していただき、それぞれの個性的なクリエイションに触れることができた次第で。
こういった場所で交流も面白いなぁ、と。
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2007年02月04日

review:灰原 愛 個展 〜胸のざわめき〜《1/27》

灰原 愛 個展 〜胸のざわめき〜
フタバ画廊
東京都中央区銀座1-5-6 福神ビルB1
1/22(月)〜1/28(日)
11:00〜19:00(最終日:〜16:30)
灰原愛1/22DM.jpg

もう一昨年になる、谷中の旧平櫛田中邸で開催された第1回の「アトリエの末裔、あるいは未来」展で拝見して以来気になっていて、昨年の青空DEアートで出展されたかわいいレインコートの女の子の像も素敵だった木彫アーティスト、灰原愛さんの個展。

展示されていた作品は3点。
どの作品からも、灰原さんの想いがしっかりと伝わる素敵な作品でした。

ギャラリーのほぼ中央に展示された、すらりと立つ女性の像。
本当にいい表情をしていると想います。刹那的に物思いに耽ってしまう、そんな瞬間を捉えたような。
また、「小さく前へ倣え」っぽいポーズが、あどけなさを感じさせてくれます。
彩色もたいへんていねいに施されているのも印象に残ります。

灰原愛09 灰原愛08 灰原愛10

灰原愛07

壁際には、ちいさな女の子たちが糸電話遊びに興じていました。

灰原愛01 灰原愛02

この作品、ふたりともそれぞれひとつの木から彫って製作されたのこと。
小さな手のひら、指先。その手に収まっている糸電話の受話器。ひとつひとつが丁寧に、細やかに左舷去れています。
最初の材木の状態からノミを当てていって、こうやって完成させた瞬間の感激はどんなものだろう、と、灰原さんの作品への想いを想像すると、観る僕らの作品へのいとおしさも、灰原さんのそれには遠く及ばないまでも、より増してくるような気がします。

灰原愛03


もうひとつは、燭台に乗せられた3本のロウソクから燃え盛る炎。
こちらもひとつの細目からの削り出しだそうです。

灰原愛04 灰原愛05

この炎を拝見して思い出すのが、もう一昨年に青山のギャラリーGANでの個展で拝見し、冒頭でも書いた「アトリエの末裔」展でも出展されていた高見直宏さん。
高見さんは、個展では何故か男子用便器が燃え盛っていたのですが、その炎のサイズや迫力といったら、例えようもないほどの尋常でない感じで。田中邸では、立つ男性の頭部が炎に包まれていました。
ユーモラスなアプローチや大胆さからして、いかにも男性的な、高見さんの作品を拝見していることもあって、今回拝見した灰原さんが木彫で再現した炎は、どこか優しさに満ちているような、あったかい感じが印象的でした。

灰原愛06


これまで作品を続けて拝見してきて、灰原さん、たくさんの人を幸せな気持ちにさせてくれるアーティストだと思います。
たくさんの人にこの素敵な世界が届いてほしいです。
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2007年02月03日

review:吉田暁子「満散(みち)るちから」展《1/24、1/27》

吉田暁子「満散(みち)るちから」展
東京画廊
東京都中央区銀座8-10-5-7F
1/24(水)〜2/17(土)日月祝休
11:00〜19:00(土:〜17:00)
吉田暁子1/24DM.jpg


幻想のなかにひそむ艶やかさ。

東京画廊での吉田暁子さんの個展。
吉田さんの作品を拝見するのは今回が初めてですが、壁にランダム調に配された小品と、ダイナミックに置かれた屏風とで、たいへん幻想的な「和」の雰囲気が充満しています。

小品にはふたつの種類があり、まず、カラフルに彩られた作品が入口沿いの壁から各所に配置されています。
ひとつの画面の中にさまざまな素材が取り入れられ、じっくりと拝見しているとその素材同士のギャップの面白さ、艶やかなコントラストがつくり出す世界に意識がだんだんと呑み込まれていくような感触に。

木の板の質感を生々しく残した表面は、僅かに透明感をたたえた白で覆われ、鮮やかなエメラルドグリーン、揺らめくような赤褐色がその白を背景に絶妙のコントラストで画面に動きやイメージの広がりをもたらしますが、さらに眺めると、その奥にひそむ金属的な輝き、きらめきに心が掴まれます。

吉田暁子06 吉田暁子04

吉田暁子05


縦長の作品は、もっと具体的に何らかの世界がイメージされるような感じです。
その形によって生み出される縦の動線、流れの中に自然と時間的なイメージも生まれ、この長さであるのにどこかパノラマのような感じで、そこで紡がれる物語にいろんな思いが交錯します。

吉田暁子02 吉田暁子03 吉田暁子01


そして、屏風。
この空間に入ると否が応でもこの迫力に呑まれます。
屏風の中には小品よりももっと大胆に生々しく、さまざまな素材が取り込まれていて、かなりのインパクトです。

吉田暁子08 吉田暁子10

貼り巡らされる和紙は、まるで大地から沸き上がる雲のよう。
走るように配されるミラーのラインからは、重々しい和の質感にあって、未来的なイマジネーションが貫くような、スピード感と鋭さが感じられます。

また、この屏風越しに観る小品も楽しく感じられます。
天井近くに配された作品など、まさに、この地平からぽんと浮き出たような感じで。

吉田暁子07 吉田暁子11

全体として「和」の印象が強いのですが、その広がり方はむしろ大陸的な雄大さ、力強さを感じます。
しゃがんで見上げるようにして眺めると、その迫力がさらに増して感じられます。

吉田暁子09


オープニングでは、華道家とのコラボレーションによるパフォーマンスも披露されたとのこと。
残念ながらそのパフォーマンス自体は観ることができなかったのですが、その日に屏風の前に置かれていた力強い活け花も印象的でした。
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2007年02月02日

review:岩崎智子《1/25、1/27》

岩崎智子
SCAI X SCAI
東京都港区六本木6-8-14 Patata六本木203
1/25(木)〜2/17(土)木金土のみ
12:00〜19:00
岩崎智子1/25DM.jpg


閉じ込められた美しいノイズ。

今年最初のでの展示は、たいへんユニークなプロセスを経て制作される岩崎智子さんの個展です。

岩崎智子01

まず、下地の色が画面に塗布され、その上に、和紙に摺られたゴム版画が部分的に配され、蜜蝋で定着されます。その上からさらに蜜蝋で薄くコーティングされているようです。
作品の中に登場するたいへん優しい風合いのノイジーな線が和紙に摺られたゴム版画というのが大変ユニークです。もっとも、目を凝らさないとコラージュされている様子はなかなか判別できないのですが、この過程を知ったことが、少なくとも僕にとって、この岩崎さんの絵の世界に奥行きを与えてくれまたような気がします。。

岩崎智子02 岩崎智子07

岩崎智子03

もしかしたら岩崎さんが伝えたいことからは離れてしまうかも知れないのですが、僕は、この中に封じ込められているものが、錆びた針金であったり、あるいは朽ちた花や葉の脈のように思えます。
錆びていったもの、朽ちてしまったものをまるで弔うかのように、せめて最後の美しい姿を留めておこうとしているかのように...画面の中でその姿を閉じ込めているような。
だから、背景の色彩にたいへんやわらかで甘い色が選ばれているのかな、と。

また、ちょっと違う視点からでは、遠い記憶のようにも感じられます。
湿り気を保たれたパステルカラーがその記憶を優しく包んでくれているような印象も持ちます。

岩崎智子05 岩崎智子06

岩崎智子04


この質感は、観終わってギャラリーを後にしても優しく心の中に残ります。

ギャラリーには、岩崎さんの作品がカバーに採用された筒井康隆氏の文庫本も置かれています。
この画面に文字が乗ると、またユニークな面白さが引き出されます。

いろいろなイメージへ想いを馳せながら、じっくりと味わいたい世界です。

岩崎智子08
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2007年02月01日

review:Namiken I 展《1/25、1/27》

Namiken I 展
新生堂
東京都港区南青山5−4−30
1/24(水)〜2/3(土)日休
11:00〜18:00(最終日:〜17:00)
Namiken1.jpg

金丸悠児さん、石居麻耶さんをはじめとして、僕が今のようにギャラリーをいろいろと観て回るきっかけとなった方々が多く所属していたということがあって、個人的に東京芸大デザイン科出身のアーティストの展示を拝見する機会が特に多いのですが、この展示は現在デザイン科の描画の研究室に現役で在籍なさっているアーティストのグループ展です。

これまで折りに触れて拝見している方や昨年の「波濤の会」展ではじめて拝見して印象に残っていた方も参加されるので楽しみにしていたこの企画展、期待を裏切らない興味深いクリエイションが並んでいます。


エレベーターを降りた入り口の壁沿いには、森田洋美さんの作品が並びます。
パネルに同時に描き込まれた額。狭くなってしまった画面に詰め込まれるように、顔が窮屈に収められています。

Namiken森田洋美01

Namiken森田洋美02


佐藤誠高さんの作品は、一見するとモノクロームの写真かと見紛うのですが、よく拝見すると大変精緻に描かれた作品です。
あまりの精密さに瞬時には気付けなかったのですが、女性の首部と胸部とが真逆になっていたり、ほぼ同じポートレートがひとつの画面で繋がっていたりと、奇妙な構成がかなり印象に残ります。

Namiken佐藤誠高01


金木正子さんと三島祥さんは、オーソドックスな日本画のスタイルを踏襲しているように見受けられます。
金木さんの作品は、まず中央の座る女性を横からの姿で描いた大きな作品のどこかのんびりとした感触が印象に残り、続いて並んで展示されている花の絵から描画力が伝わってきます。

Namiken金木正子02

Namiken金木正子01


三島祥さんはさらにオーソドックスなスタイルを感じさせてくれます。
縦長の小品に描かれた遠い風景の静謐感、真っ白の画面に絶妙なグラデーションで描かれる花の可憐さが印象的です。

Namiken三島祥02

Namiken三島祥01



そして、今回特に楽しみにしていた岡田直樹さん。
「波濤の会」で拝見したテーブルに臥せる女の子の作品は、芸大デザイン科にはこれまでいなかったスタイルで、その個性に触れたときは衝撃的ですらありました。

今回は3点組といっていい作品が出展されています。
おそらくひとりの女性が座る姿の足元、腰部、顔を描いたと思われる作品ですが、背景の白に細やかな色の粒子が集められるように描き込まれているのを目にして、思わず至近でしっかりと観察してしまいます。

Namiken岡田直樹01

この独特のグラデーションといい、フラットなのに立体的に感じられるマチエルといい、いろんな作品を拝見してきたなかでも岡田さんのような雰囲気を醸し出している作品にはお目にかかったことがないような気がします。
もっと続けていろいろと拝見してみたいです。

Namiken岡田直樹02 Namiken岡田直樹03

Namiken岡田直樹04


2eのメンバーでもあり、foro08での展示も素敵だった井上恵子さん。
今回はタブローの作品、あの2eの世界にも通ずる独特の浮遊感が溢れています。

真っ白の画面に、そこに浮かぶ感じを楽しむように、イスがまるで雲のように戯れています。
その白からもふわりとした高揚感が伝わってきます。

Namiken井上恵子04

Namiken井上恵子03

もう1点の作品はさらに登場するイスの数も減り、もっと自由に空間を舞うイメージが楽しいです。
シンプルな画面から広がるファンタジーがどこまでも続いていくような、そんな感じです。

Namiken井上恵子01

Namiken井上恵子02


今回拝見したアーティスト今後もすごく楽しみです!
近いところでは、金木さんがスルガ台画廊で個展を開催されますし、芸大の修了展示でも井上さん、金木さん、森田さんが出展されるはず。
また上記の3名は現在開催されている佐藤美術館での「作家の卵」展でも作品が拝見できます。
さらに、遠いですが長野県のおぶせミュージアムで2月から開催される芸大デザイン科の展示にも金木さん、三島さん、森田さん、井上さんが出展されます。
posted by makuuchi at 06:28| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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